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LC リング型 VCO の実験による検討
平成 26 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 37 LC リング型 VCO の実験による検討 The experimental study of the LC-Ring Voltage Controlled Oscillator A-1 田村 貴志 松谷 康之 Takashi TAMURA Yasuyuki MATUYA 青山学院大学理工学部 電気電子工学科 Science & Engineering,Aoyama Gakuin University Department of Electrical Engineering & Electronics 1.はじめに 電圧制御発振器(VCO: Voltage controlled ら、コルピッツ発振回路の電源電圧依存性は 4MHz/V、 oscillator)は通信機器の主要回路である。近年の LSI の定 LC リング型 VCO は 8.5MHz/V、3 段インバータリング発振 電圧化のトレンドに沿って、VCO の低電圧化も盛んに検 回路は 9.5MHz/V であった。コルピッツ発振回路の電源電 討されている。本検討では低電圧化に適した VCO である 圧依存性は非常に小さいが、LC リング型 VCO はリング発 LC リング型 VCO[1]に対し、その動作を実験により検証す 振回路よりも小さいがコルピッツ発振回路より大きな値とな る。 った。これは、電源電圧変動により(1)式の A、B の値が変 2.LC リング型 VCO 図 1 に 3 段インバータの LC リング型 わるためであると考えられる。 VCO の回路構成を示す。インバータ段で構成されたリング 5.まとめ LC リング型 VCO が VCO として動作することを VCO 内に、インバータによるコルピッツ発振回路を組み込 実測により明確にした。発振周波数の電源電圧依存性を んだ回路構成である。図 2 に図1回路の等価回路を示す。 低減することが今後の検討課題である。 ro はインバータの出力抵抗である。ro ′ はインバータ段の出 参考文献 力抵抗、CL はインバータ段の寄生容量である。図 1 のa点 [1]枦、井岡、松谷「LC-リング型電圧制御発振器の一検討」 と b 点が差動で動作することを用い、a点と b 点に接続され 電気学会電子回路研究会、ECT-14-075、2014.10.9 る 2 つの L/2 のコイルに分割し、かつ D の部分のインバー タを(1)式の伝達関数で置き換える。 A + jB Finv = (1) √A2 + B 2 これにより図 3 のシグナルフローが得られる。このフローの 発振条件はオープンループの伝達関数の虚数部が 0 とな 図 1 3 段インバータの LC リング型 VCO ることである。これから発振周波数を求めると(2)式となる。 −L f= B √ 2 B 2 + L ( ) + 32ro 2 LC A A 8πro LC (2) 図 2 LC リング型 VCO の等価回路 これから、Vin の制御によりFinv を変えることにより発振周波 数を変化させることができることがわかる。 3. LC リング型 VCO の発振特性 図 4 に図 1 に示すイン バータ 3 段の LC リング型 VCO の発振周波数の Vin 依存 性を示す。回路は L=1.8μH、C=20pF(インバータ入出力 容量値)、インバータ 74HC04 を用いて構成した。このとき のコルピッツ発振回路部分の発振周波数は 62MHz であり、 インバータ 3 段のリング VCO の発振周波数は Vin =2V で 61MHz であった。LC リング型 VCO の発振周波数は Vin を 1.6V から 2.2V まで変化させることにより、57.5MHz から 81MHz まで変化させることができる。本実験では Vin の制 御範囲は 0.6V 程度と狭いが、適度なg m を有する NMOS ト ランジスタを用いれば制御範囲を広げることが可能であ る。 4.発振周波数の電源電圧依存性 表 1 に提案する LC リ ング型 VCO、3 段インバータリング発振回路、およびコルピ ッツ発振回路の発振周波数の電源電圧依存性を示す。電 源電圧の変動範囲を 10% (5V±0.5V)とした。表 1 の結果か -37- 図 3 LC リング型 VCO のシグナルフロー 図 4 3 段インバータ LC リング型 VCO 入出力特性 表 1 各 VCO、発振器の電源電圧/出力特性 Copyright © 2015 IEICE