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駐車場の技術的基準(換気基準)に関する 検討調査業務

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駐車場の技術的基準(換気基準)に関する 検討調査業務
駐車場の技術的基準(換気基準)に関する
検討調査業務
報
告
書
平成28年3月
国土交通省
都市局
街路交通施設課
目
次
1 業務概要 .................................................... 1-1
1.1 業務目的....................................................... 1-1
1.2 業務フロー..................................................... 1-2
1.3 業務内容....................................................... 1-3
1) 現行の換気基準の課題の整理 .................................. 1-3
2) 換気基準の今後のあり方の検討 ................................ 1-3
3) 報告書作成 .................................................. 1-3
2 現行の換気基準の課題の整理 .................................. 2-1
2.1 駐車場法と技術的基準の概要 ..................................... 2-1
2.1.1 駐車場法 ................................................... 2-1
1) 駐車場の分類と統計 .......................................... 2-1
2) 駐車場の整備状況 ............................................ 2-2
2.1.2 路外駐車場の技術的基準 ..................................... 2-3
1) 路外駐車場技術的基準の概要 .................................. 2-4
2) 換気基準の概要 .............................................. 2-5
2.2 現行の換気基準................................................. 2-6
2.2.1 考え方 ..................................................... 2-6
2.2.2 算定根拠 ................................................... 2-6
2.2.3 自然換気における必要開口部面積の根拠 ....................... 2-7
2.3 社会情勢の変化................................................. 2-8
2.3.1 自動車排出ガス規制の推移 ................................... 2-8
2.3.2 次世代自動車の開発・普及 ................................... 2-9
2.3.3 自動車排出ガスの大気汚染状況 .............................. 2-10
2.3.4 自動車のCO排出量の低減(道路トンネル) .................. 2-11
2.4 換気装置の運用実態 ............................................ 2-12
2.4.1 換気装置の設置状況 ........................................ 2-12
2.4.2 換気装置の運用実態 ........................................ 2-13
2.4.3 換気基準に係る経緯・現状のまとめ .......................... 2-14
3 換気基準の今後のあり方の検討 ................................ 3-1
3.1 検討の進め方................................................... 3-1
3.1.1 検討の視点 ................................................. 3-1
3.1.2 検討の流れ ................................................. 3-1
1) 現行基準における算定根拠 .................................... 3-1
2) 検討の流れ .................................................. 3-2
3.2 換気基準の検討................................................. 3-3
3.2.1 駐車場における自動車のCO排出量(q) ..................... 3-3
1) 基本的な考え方 .............................................. 3-3
2) 算定方法 .................................................... 3-3
3) 駐車場における自動車のCO排出量(q)の算定結果 ........... 3-10
3.2.2 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R) .......... 3-12
1) 基本的な考え方 ............................................. 3-12
2) 算定方法 ................................................... 3-13
3) 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)の算定結果 . 3-15
3.2.3 指標物質の選定 ............................................ 3-19
1) 基本的な考え方及び条件 ..................................... 3-19
2) 各有害物質の排出量算定 ..................................... 3-20
3) 各有害物質が人体に与える影響 ............................... 3-27
4) 指標物質の選定 ............................................. 3-27
3.2.4 駐車場内のCO設定濃度(N) .............................. 3-28
1) 基本的な考え方 ............................................. 3-28
2) CO濃度の基準値 ........................................... 3-28
3) 一酸化炭素(CO)が人体に与える影響 ....................... 3-31
4) CO濃度及び暴露時間と人体への影響 ......................... 3-32
5) 駐車場内のCO設定濃度(N) ............................... 3-32
6) 駐車場内のCO設定濃度の運用について ....................... 3-33
3.2.5 換気による必要供給空気量(v) ............................ 3-34
1) 基本的な考え方 ............................................. 3-34
2) 算定方法 ................................................... 3-34
3) 換気による必要供給空気量(v)の算定結果 ................... 3-34
3.3 機械換気に関する原単位の検討 .................................. 3-36
3.3.1 現行基準における原単位 .................................... 3-36
3.3.2 新たな原単位の考え方 ...................................... 3-37
1) 新たな原単位 ............................................... 3-37
3.4 自然換気(開口部換気)に関する原単位の検討 .................... 3-38
3.4.1 現行基準における原単位の考え方 ............................ 3-38
3.4.2 自然換気(開口部換気)に関する原単位の検討 ................ 3-39
1) 検討方針 ................................................... 3-39
2) 自然換気(開口部換気)路外駐車場の実態調査 ................. 3-39
3) 見直しについて ............................................. 3-40
3.5 新たな換気基準のまとめ ........................................ 3-41
3.5.1 換気による必要供給空気量の見直し .......................... 3-41
3.5.2 原単位の見直し ............................................ 3-42
1) 換気基準の新たな原単位 ..................................... 3-42
2) 今後のさらなる社会情勢の変化に伴う基準の見直しの必要性 ..... 3-42
4 路外駐車場の換気基準に関する検討委員会 ...................... 4-1
4.1 委員会概要..................................................... 4-1
4.2 各回委員会概要................................................. 4-1
4.2.1 第1回委員会 ............................................... 4-1
4.2.2 第2回委員会 ............................................... 4-2
4.2.3 第3回委員会 ............................................... 4-2
1業務概要
1 業務概要
1.1 業務目的
駐車場法で規定される路外駐車場については、自動車の駐車の用に供する部分の面積が50
0m2以上であるものの構造及び設備に関して、同法第11条により、同法施行令で規定され
る技術的基準によることとされている。
この技術的基準として、建築物である路外駐車場について、同法施行令第12条において換
気装置の能力に関する基準(以下「換気基準」という。)が規定されており、近年、社会情勢
の変化に伴い、当該規定の検討が必要な状況となっている、
このような状況を踏まえ、本業務では、換気基準のあり方について検討を行った。
1-1
1業務概要
1.2 業務フロー
本業務は、以下の手順で検討を行った。
1.路外駐車場の換気基準の課題の整理
3.路外駐車場の換気基準に
関する検討委員会
(1)駐車場法と技術的基準の概要
(2)現行の換気基準の考え方
(3)社会情勢の変化
(4)換気装置の運用実態
第1回検討委員会
2.換気基準の今後のあり方の検討
2.1 換気基準の検討
第2回検討委員会
(1)駐車場における自動車のCO排出量(q)
(2)駐車場内でエンジンをかけている自動車
の割合(R)
(3)指標物質の選定
(4)駐車場内のCO設定濃度(N)
(5)換気による必要供給空気量(v)
2.2 機械換気に関する原単位の検討
2.3 自然換気に関する原単位の検討
3.報告書作成
図 1-1 業務実施フロー
1-2
第3回検討委員会
1業務概要
1.3 業務内容
1) 現行の換気基準の課題の整理
駐車場法における現行の換気基準の考え方を整理するとともに、近年の社会情勢の変化(自
動車の環境性能の向上等)を踏まえ、現行の換気基準の課題を整理する。
また、これに併せ、換気装置の運用実態の調査も行う。
① 駐車場法と技術的基準の概要
② 現行の換気基準の考え方
③ 社会情勢の変化
④ 換気装置の運用実態
2) 換気基準の今後のあり方の検討
現行の換気基準の課題の整理を踏まえ、有識者委員会(「路外駐車場の換気基準に関する検
討委員会」)を開催し(3回)、専門的・技術的見地から換気基準の今後のあり方について検
討を行う。
(1) 換気基準の検討
現行の換気基準の課題を踏まえ、以下の項目について、検討する。
① 駐車場における自動車のCO排出量(q)
② 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)
③ 指標物質の選定
④ 駐車場内のCO設定濃度(N)
⑤ 換気による必要供給空気量(v)
(2) 機械換気に関する原単位の検討
換気基準の検討を踏まえ、機械換気に関する原単位について検討を行う。
(3) 自然換気に関する原単位の検討
換気基準の検討を踏まえ、自然換気に関する原単位について検討を行う。
3) 報告書作成
上記、検討内容について、報告書としてとりまとめる。
1-3
2現行の換気基準の課題の整理
2 現行の換気基準の課題の整理
2.1 駐車場法と技術的基準の概要
2.1.1 駐車場法
駐車場法は、都市における自動車の駐車のための施設の整備に関し必要な事項を定めること
により、道路交通の円滑化を図り、もって公衆の利便に資するとともに、都市の機能の維持及
び増進に寄与することを目的として、昭和32年(1957年)に制定された。
駐車場法制定の背景には、当時、自動車保有台数が急速に増加する中で、都市部では慢性的
な駐車場不足、路上駐車、交通渋滞等の問題が発生しており、駐車場整備に対する要請の高ま
りがあった。
1) 駐車場の分類と統計
駐車場は、一般公共の用に供される「駐車場」と、一般公共の用に供されない「自動車の保
管場所」(車庫)に大別される。
駐車場法の適用範囲としては、下図に示す通り、主に都市計画駐車場、附置義務駐車施設、
届出駐車場及び路上駐車場が対象となっている。
駐車場
一般公共の用に
供される駐車場
路外
都市計画駐車場(都市計画法・駐車場法)(118千台)※1
道路管理者が整備する駐車場(道路法等)※統計データなし
附置義務駐車施設(駐車場法)(2,997千台)※1
届出駐車場(駐車場法)(1,661千台)※1
自動車の駐車の用に供される部分の面積が 500m 2以
上で料金を徴収するもの
その他の路外駐車場(駐車場法) ※統計データなし
自動車の駐車の用に供される部分の面積が 500m 2未
満のもの及び500m2以上で料金を徴収しないもの
路上駐車場(駐車場法)(8百台)※1
路上
(路外駐車場では満たされない駐車需要に対応するもの)
パーキング・メーター、パーキング・チケット(道路交通法)
一般公共の用に
供されない駐車場
自動車の保管場所
※1:平成25年度末
図 2-1 駐車場の分類
2-1
2現行の換気基準の課題の整理
2) 駐車場の整備状況
平成25年度末における各駐車場の整備状況を以下に示す。
駐車場台数〔万台〕
500
【参考】自動車の保有台数:7,670万台(H25年度末)
450
400
350
300
250
駐車場総台数
附置義務駐車施設
200
150
届出駐車場
100
50
都市計画駐車場
0
S33
S38
S43
S48
S53
S58
S63
H5
図 2-2 駐車場の整備状況
2-2
H10
H15
H20
H25 〔年度末〕
2現行の換気基準の課題の整理
2.1.2 路外駐車場の技術的基準
路外駐車場で、自動車の駐車の用に供する部分の面積が500m2以上のものは、構造及び
設備について、建築基準法その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規
定によるほか、駐車場法施行令で定める技術的基準の適用を受ける。
また、都市計画区域内において、上記路外駐車場のうち、その利用について駐車料金を徴収
するものを設置する者は、路外駐車場の位置、規模、構造、設備その他必要な事項を都道府県
知事等に届け出なければならない。
駐車場法
第11条(構造及び設備の基準)
路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上であ
るものの構造及び設備は、建築基準法 (昭和25年法律第201号)その他の法令の
規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術的
基準によらなければならない。
第12条(設置の届出)
都市計画法第四条第二項の都市計画区域(以下「都市計画区域」という。)内にお
いて、前条の路外駐車場でその利用について駐車料金を徴収するものを設置する者(以
下「路外駐車場管理者」という。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところによ
り、路外駐車場の位置、規模、構造、設備その他必要な事項を都道府県知事(市の区域
内にあっては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければなら
ない。届け出てある事項を変更しようとするときも、また同様とする。
2-3
2現行の換気基準の課題の整理
1) 路外駐車場技術的基準の概要
路外駐車場の技術的基準については、具体的には駐車場法施行令で定められている。
表 2-1 駐車場法施行令(抜粋)
・路外駐車場の出口及び入口を設けることができる箇所
第7条
・一定規模以上の路外駐車場における出口と入口の離隔
(自動車の出口及び入 ・出入口部分の隅切り
口に関する技術的基準) ・出口部分の視認性
・国土交通大臣の認定により出入口の設置が可能となる箇所と要件
第8条
(車路に関する
技術的基準)
・自動車の車路の幅員
5.5m以上
(一方通行の自動車の車路の幅員
・はり下の高さ
・縦断勾配
3.5m以上)
2.3m以上
17%以下
第9条
(駐車の用に供する
・はり下の高さ
2.1m以上
部分の高さ)
・建築物である路外駐車場において、直接地上へ通ずる出入口のある階以
第10条
外の階に自動車の駐車の用に供する部分を設けるときは、建築基準法施
(避難階段)
行令(昭和25年政令第338号)第123条第1項若しくは第2項に
規定する避難階段又はこれに代る設備を設けなければならない
第11条
(防火区画)
・建築物である路外駐車場に給油所その他の火災の危険のある施設を附置
する場合においては、当該施設と当該路外駐車場とを耐火構造の壁又は
特定防火設備によって区画しなければならない
・建築物である路外駐車場には、その内部の空気を1時間につき10回以
第12条
(換気装置)
上直接外気と交換する能力を有する換気装置を設けなければならない
・ただし、窓その他の開口部を有する階でその開口部の換気に有効な部分
の面積がその階の床面積の10分の1以上であるものについては、この
限りでない
第13条
(照明装置)
第14条
(警報装置)
第15条
(特殊の装置)
・自動車の車路の路面
10ルクス以上
・自動車の駐車の用に供する部分の床面
2ルクス以上
・建築物である路外駐車場には、自動車の出入及び道路交通の安全を確保
するために必要な警報装置を設けなければならない
・予想しない特殊の装置を用いる路外駐車場については、国土交通大臣が
その装置がこの節の規定による構造又は設備と同等以上の効力があると
認める場合においては、適用しない
2-4
2現行の換気基準の課題の整理
2) 換気基準の概要
建築物である路外駐車場については、自動車から排出される有害な物質を屋外に排出し、利
用者が安心して自動車の保管を寄託できるよう、換気装置に関する基準(駐車場法施行令第1
2条)が定められている。
駐車場法施行令
第12条(換気装置)
建築物である路外駐車場には、その内部の空気を1時間につき10回以上直接外気
と交換する能力を有する換気装置を設けなければならない。
ただし、窓その他の開口部を有する階でその開口部の換気に有効な部分の面積がそ
の階の床面積の10分の1以上であるものについては、この限りでない。
これにより、第12条に定められている面積以上の開口部を設けることが出来る地上駐車場
では一般的に開口部換気(自然換気)が行われているものの、定められている面積以上の開口
部を設けることが出来ない地下駐車場等では、一般的に機械換気装置が設けられている。
この基準は、昭和32年に駐車場法施行令が制定されて以降、一度も改定されていない。
2-5
2現行の換気基準の課題の整理
2.2 現行の換気基準
2.2.1 考え方
現行の換気基準について当時の文献等を調べたところ、その算定根拠については、「駐車場
の技術的基準について」(1958年)(村山幸雄、三井達雄 著)に記載されている。
以下、上記文献に基づき、現行の換気基準について説明する。
2.2.2 算定根拠
現行の換気基準の算定根拠は、以下の通りである。
<駐車場内におけるCO濃度>
Q: 駐車場内のCOの体積(m3)
V: 駐車場の容積(m3)
Q
m・R・q
=
V
v
m: 収容自動車台数(台)
R: 駐車場内でエンジンをかけている自動車の
割合
q: 駐車場における自動車のCO排出量
(m3/h・台)
v: 換気による供給空気量(m3/h)
1時間あたりの換気回数をn(回)、駐車場の床面積をS(m2)、駐車場の天井高さをh(m)
とすると、v = n・V = n・S・h となることから、
V
換気回数n〔回/時間〕=
Q
R・q
・
h
m
・
S
ここで、駐車場内の一酸化炭素(以下「CO」という。)濃度については、恕限度※である
100ppmとして設定されている。
※恕限度(じょげんど) : 人体に害を与えるような条件の限度。保健上許されている有害物質などの限度。
(出典:新明解国語辞典第7版)
当時の算定式における設定値が、
駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(ラッシュ時)(R):7%
駐車場における自動車のCO排出量(q): 1m3/h・台
駐車場の天井の高さ(h): 2.7m
車路を含む自動車1台あたりの駐車場床面積(S/m): 25m2
であることより、CO濃度(Q/V)を上述の恕限度である100ppm以下とするための
換気回数は算定すると、10回以上となる。
2-6
2現行の換気基準の課題の整理
2.2.3 自然換気における必要開口部面積の根拠
自然換気における必要開口部面積の算定根拠は、以下の通りである。
10・V=
1
・A・k1・k2・w・3600(s)
2
V:駐車場の容積(m3)
2
A:開口部面積(m )
k1:周囲の建物等による風速の修正係数
k2:窓の流出係数
w :常時の平均風速(m/s)
駐車場の床面積をS(m2)、駐車場の天井高さをh(m)とすると、V=S・h
より、
開口部面積
A
:
の床面積比
S
=
2・10・h
k1・k2・w・3600
ここで、当時の算定式における設定値が、
駐車場の天井の高さ(h) : 2.7m
周囲の建物等による風速の修正係数(k1) : 0.15
窓の流出係数(k2) : 0.50
常時の平均風速(w): 2m/s
であることより、自然換気の場合の開口部面積の床面積比は、1/10以上となる。
2-7
2現行の換気基準の課題の整理
2.3 社会情勢の変化
2.3.1 自動車排出ガス規制の推移
乗用車の自動車排出ガス規制の主な推移を以下に示す。
昭和41年に「ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車の一酸化炭素濃度規制」が
開始されて以降、年々強化されている。
表 2-2 乗用車の自動車排出ガス規制の主な推移(新車;ガソリン・LPG車)
年
内
容
昭和41年(1966年) 4モードCO規制開始(排出ガス濃度3%)(運輸省の行政指導)
昭和42年(1967年) 4モードCO規制(道路運送車両法の保安基準に基づく規制となる)
昭和44年(1969年) 4モードCO規制強化(排出ガス濃度2.5%)
昭和45年(1970年) アイドリングCO規制開始(4.5%)
昭和46年(1971年) CO規制対象の拡大(軽自動車、LPG車を追加)
昭和48年(1973年) CO、HC、NOxの本格的規制開始(10モード)
昭和50年(1975年) CO、HC、NOxの規制強化、試験モードに11モードを追加
昭和51年(1976年) NOxの規制強化
昭和53年(1978年) 日本版マスキー法施行、NOxの規制強化
平成
3年(1991年) 試験モードを10モードから10・15モードに改定
平成10年(1998年) アイドル規制強化
平成12年(2000年) CO、HC、NOxの規制強化
平成17年(2005年)
試験モードをコンバインモード(10・15モード(88%)+11モー
ド(12%)の和)に改定
平成20年(2008年)
試験モードをコンバインモード(10・15モード(75%)+JC08
Cモード(25%)の和)に改定
平成21年(2009年)
PM規制を導入(ガソリンを燃料とする吸蔵型窒素酸化物還元触媒を装着
した直接噴射式の原動機を有する自動車)
平成23年(2011年)
試験モードをコンバインモード(JC08Hモード(75%)+JC08
Cモード(25%)の和)に改定
出典:「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十二次報告) 参考資料」(中央環境審議会大気・
騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会(平成26年12月))及び「道路運送車両の保安基準」(国土
交通省)より作成
2-8
2現行の換気基準の課題の整理
2.3.2 次世代自動車の開発・普及
次世代自動車の開発・普及状況を以下に示す。
乗用車の販売台数が伸び悩む中、平成21年度以降、ハイブリッド自動車の販売台数が急速
に増加している。
ハイブリッド自動車、電気自動車、PHV等の次世代自動車が乗用車販売台数に占める割合
は、平成26年度で約22%に達している。
販売台数〔千台〕
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
約22%
0
平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
ハイブリッド自動車(HV)
電気自動車(EV)
プラグインハイブリッド自動車(PHV)
その他
図 2-3 乗用車販売台数と次世代自動車販売台数の推移
出典:「次世代自動車(乗用車)の国内販売台数の推移」、「低公害車等出荷台数」
及び「自動車統計月報」(一般社団法人 日本自動車工業会)より作成
ハイブリッド自動車(HV)
電気自動車(EV)
グランハイブリッド車(PHV)
燃料電池車(FCV)
2-9
2現行の換気基準の課題の整理
2.3.3 自動車排出ガスの大気汚染状況
自動車排出ガスによる大気汚染状況をみると、下図の通り、自動車保有台数は年々増加して
いる一方で、自動車から排出される有害物質による大気汚染状況は改善されており、一酸化炭
素(CO)については、昭和47年度時点の数値の1/10になっている。
図 2-4 自動車保有台数と自動車排出物質量の推移
出典
保有台数
:「自動車保有台数の推移」( 一般財団法人 自動車検査登録情報協会)より作成
排出物質量 :「平成24年度 大気汚染状況について(一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局の測定
結果報告)」(環境省)より作成
2-10
2現行の換気基準の課題の整理
2.3.4 自動車のCO排出量の低減(道路トンネル)
道路トンネル設計時の換気量計算に用いられる自動車のCO排出量は、「道路トンネル技術
基準(換気編)・同解説」によると、道路トンネルにおける実測値が下図の通り示されており、
現在では、昭和39年当時の6分の1に低減されている。
CO排出量〔L/km・台〕
図 2-5 道路トンネルの換気量計算に用いられるCO排出量の推移
資料:「道路トンネル技術基準(換気編)・同解説」(社団法人 日本道路協会)より作成
2-11
2現行の換気基準の課題の整理
2.4 換気装置の運用実態
2.4.1 換気装置の設置状況
地下駐車場内の換気装置の設置状況について、A市営駐車場を参考に見ると、以下の通りで
ある。
・換気装置のファンの最大換気量及びダクト、シャフト等の大きさは、駐車場法施行令の基
準に適合するよう設計されている。
・給気側のファン及びダクトで新鮮な空気を場内に供給し、場内で汚染された空気を排気側
のファン及びダクトで外に排気する構造となっている。
・換気量は、CO濃度の計測値を基に台数制御によって調整されている。
①・④換気ファン
②給気ダクト及び吹出口
③排気ダクト及び吸込口
⑤CO濃度センサー
図 2-6 A市営駐車場(平面図)
※資料提供:A市
2-12
2現行の換気基準の課題の整理
2.4.2 換気装置の運用実態
換気装置の運用実態は、駐車場によって異なるが、大規模な路外駐車場では、省エネ等の観
点から、駐車場の利用状況(CO濃度等)に応じて換気装置の稼働率が調整されているケース
が見られる。
図 2-7 インバータ制御方式における
換気装置の運転イメージ
図 2-8 台数制御方式における
換気装置の運転イメージ
(CO濃度に応じて換気装置のモーター
回転数(換気量)を制御する)
(CO濃度に応じて換気装置の稼働
台数を制御する)
<インバータ制御方式における換気の流れ>
インバータ制御方式とは、CO 濃度の上昇・下降に応じて
換気装置のモーター回転数(換気量)を制御し、CO 濃度を
一定以下に保つ方式
①CO 濃度が運転基準濃度を上回ると、換気装置が起動
し、濃度の上昇に合わせてモーター回転数(換気量)を
上げる
②CO 濃度が下がり始めた事を検知すると、濃度の下降に
合わせてモーター回転数(換気量)を下げる
③CO 濃度がさらに下がると、運転を停止する
<台数制御方式における換気の流れ>
台数制御方式とは、CO 濃度の上昇・下降に応じて換気
装置の運転台数を段階的に制御し、CO 濃度を一定以
下に保つ方式
①CO 濃度が上昇し、1台目運転基準濃度を上回ると、
1台目の換気装置が起動する
②1台目運転開始後、さらに CO 濃度が上昇し、2台目
運転基準濃度を上回ると、2台目の換気装置が起動
する
③CO 濃度が一定濃度以下まで下がったことを検知す
ると、1台停止し再度1台運転となる
④CO 濃度がさらに下がると、1台目も運転を停止する
換気装置の運用実態について、下表に示す駐車場について確認したところ、現行基準以下の
換気量で、CO濃度は現行基準の恕限度100ppmを大きく下回る5~25ppm以下に保
たれている。
表 2-3 換気装置の運用実態
駐車場名
制御方式
換気量
CO濃度
インバータ制御
現行基準の40%以下
10ppm以下
一部インバータ制御
現行基準の
75~100%
5ppm以下
A市営駐車場※1
台数制御
現行基準の50%以下
25ppm以下
A市役所駐車場※1
台数制御
現行基準の50%以下
概ね
25ppm以下
インバータ制御
現行基準の50%以下
10ppm以下
都内商業施設駐車場※1
都内スポーツ施設駐車場※1
都内タワーマンション※2
資料提供
2-13
※1:駐車場管理者
※2:自動制御機器メーカー
2現行の換気基準の課題の整理
2.4.3 換気基準に係る経緯・現状のまとめ
換気基準に関する現状および経緯をまとめると、以下の通りである。
① 昭和32年に駐車場法が制定されて以降、駐車場法施行令で規定されている換気基準は
改定されていない。
② 昭和41年に「ガソリンを燃料とする普通自動車及び小型自動車の一酸化炭素濃度規
制」が開始されて以降、自動車の排出ガス規制が年々強化されている。
③ 次世代自動車の開発・普及も相まって、自動車から排出される有害物質による大気汚染
状況は大幅に改善している。
④ 実態調査からは、現行基準で定められている換気能力(10回/時間)が必要な場面は
見られない。
上記を踏まえ、換気基準の見直しに向け、各種検討を次章より示す。
2-14
3換気基準の今後のあり方の検討
3 換気基準の今後のあり方の検討
3.1 検討の進め方
3.1.1 検討の視点
以下の視点から検討を行う。
① 現在の自動車の環境性能に対応した基準であること
② 駐車場の実況に応じて合理的な設計が可能な基準であること
③ 設計者や行政機関などが判断しやすい基準であること
3.1.2 検討の流れ
1) 現行基準における算定根拠
現行の換気基準の算定根拠は、以下の通りである。
<駐車場内におけるCO濃度>
Q: 駐車場内のCOの体積(m3)
V: 駐車場の容積(m3)
m: 収容自動車台数(台)
Q
m・R・q
=
V
v
R: 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合
q: 駐車場における自動車のCO排出量
(m3/h・台)
v: 換気による供給空気量(m3/h)
ここで、Q/V=N(駐車場内のCO設定濃度)とおき、上式を変形すると
換気による必要供給空気量 :
v
=
m・R・q
N
また、現行基準の算定にあたっては、各項目の値を
q(駐車場における自動車のCO排出量)=1(m3/h・台)
R(駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合)=0.07(7%)
N(駐車場内のCO設定濃度)=100×10-6(100ppm)
とした上で、以下の通り、換気による必要供給空気量を1台あたり700m3/hと算定
している。
v
=
m・0.07・1
100×10-6
3-1
=
700m〔m3/h〕
3換気基準の今後のあり方の検討
2) 検討の流れ
現行の換気基準は、前述の通り、駐車場における自動車のCO排出量(q)、駐車場内で
エンジンをかけている自動車の割合(R)、駐車場内のCO設定濃度(N)の3つの各項目
の値から、換気による必要供給空気量が算定されている。
一方、2章で示した通り、自動車の排出ガス規制強化による有害物質の排出量減少、次世
代自動車の普及なども相まって、自動車から排出される有害物質による大気汚染状況は大幅
に改善しており、特に駐車場における自動車のCO排出量(q)は、現行基準策定時から変
化しているものと考えられる。
そのため、以下に示す各項目の値の現在の数値を検討し、これらの検討結果から換気によ
る必要供給空気量を算定する。
検討すべき各項目の値は以下の通り
① 駐車場における自動車のCO排出量(q)
② 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)
③ 指標物質の選定
④ 駐車場内のCO設定濃度(N)
①~④の結果に基づき、換気による必要供給空気量(v)を算定
3-2
3換気基準の今後のあり方の検討
3.2 換気基準の検討
3.2.1 駐車場における自動車のCO排出量(q)
1) 基本的な考え方
現行基準の算定にあたっては1m3/h・台としているが、環境性能の向上により、現行
基準制定時と比較すると、自動車のCO排出量は減少しているものと考えられる。
本来であれば国内を走行している自動車の実測値よりCO排出量を求めることが理想であ
るが、現時点では、実測値についての十分なデータは存在しない。
このため、道路運送車両法に基づく基準(道路運送車両の保安基準)によるCO排出量規
制値をもとに、以下4点を踏まえ、駐車場における自動車のCO排出量を算定することとす
る。
①駐車場における自動車のCO排出量は、エンジンを稼動させている入庫時及び出庫時
の排出量より構成される。
②換気基準の適用対象となる路外駐車場は、一般公共の用に供される駐車場であり、建
築物であることから、駐車場における自動車のCO排出量は、乗用車を対象に算定す
る。
③道路運送車両法に基づく基準(道路運送車両の保安基準)においては、ガソリン・L
PG乗用車とディーゼル乗用車では規制値が異なるが、ディーゼル乗用車については
CO排出量の規制値がガソリン車よりも低く、また、乗用車の登録台数に占める割合
もわずか(約1%)であることから、算定においては考慮しない。
④駐車場における自動車のCO排出量は、①から③に基づいて算定した各規制のCO排
出量に、当該規制の対象となる初度登録年別台数割合を乗じて、加重平均化する。
通常、駐車場内で自動車がCOを排出するのは、入庫時及び出庫時にエンジンを稼動させ
ている時であり、駐車中はエンジンを稼動させていないためCOは排出されない。
駐車場における自動車のCO排出量(q〔m3/h・台〕)は、間断なく入庫及び出庫が
連続するものとした時に、この1時間における1台あたりの排出量の総和とする。
2) 算定方法
(1) 駐車場における自動車のCO排出量(q)
駐車場における自動車のCO排出量(q)は、入庫時及び出庫時のCO排出量より算定す
る。
様々な形状の駐車場があり、入庫時及び出庫時の走行時間及び走行距離も駐車場によって
異なり、CO排出量も入庫時及び出庫時の走行時間及び走行距離により異なる。
ここでは、
標準的なモデルとして、
入庫時と出庫時の時間的加重割合が等しいものとして、
入庫時の排出量(q入庫)と出庫時の排出量(q出庫)の平均値で設定する。
q〔g/h〕=
(q入庫 + q出庫)
2
3-3
…〔1〕
3換気基準の今後のあり方の検討
(2) 道路運送車両の保安基準における排出ガス規制及び試験方法
排出ガスの規制値は、道路運送車両の保安基準において規定されている。
規制値は、エンジン及び燃料の完全燃焼を促す触媒が十分暖められた状態(暖機状態)か
ら試験を実施するホットモードと、エンジン及び燃料の完全燃焼を促す触媒が冷却され、排
出ガスの浄化機能が低下している状態(冷間状態)から試験を実施するコールドモードのそ
れぞれにおいて規定されている。
ホットモード及びコールドモードでは試験走行パターンが異なり、下図の通りとなってい
る。ホットモードの試験モードとしては、10モード及び10・15モードがあり、一方、
コールドモードの試験モードとしては、11モードがある。
【ホットモード】
図 3-1 10 モード試験の走行パターン
図 3-2 10・15 モード試験の走行パターン
【コールドモード】
図 3-3 11 モード試験の走行パターン
【JCO8モード】
図 3-4 JCO8モード試験の走行パターン
3-4
3換気基準の今後のあり方の検討
各規制におけるガソリン・LPG乗用車のCO排出量規制値を、以下に示す。
ホットモードは試験中の総排出量を走行距離で除した値(g/km)で表され、コールドモ
ードは試験中の総排出量(g/test)で表される。
なお、H17規制よりホットモードとコールドモードの各試験値を規定の割合で加重平均
した値で規制への適否を判定するコンバインモードが導入されている。
また、H21試験モードからは、新たな試験モードとしてJC08モードが導入されてい
る。JC08モードは、同じ走行パターンで、暖機状態から発進するJC08Hモードと、
冷間状態から発進するJC08Cモードの2モードにより試験が実施される。
表 3-1 各規制におけるガソリン・LPG乗用車のCO排出量規制値
S48
規制
S50
規制
S51
規制
S53
規制
H3
試験
モード
H12
規制
10
26.0
2.70
2.70
2.70
-
-
10 ・ 15
-
-
-
-
2.70
0.67
11
-
85.0
85.0
85.0
85.0
19.0
規制名
モード
ホット
〔g/km〕
コールド
〔g/test〕
※
規制名
モード
コンバイン※
〔g/km〕
H17
規制
H20
試験
モード
H23
試験
モード
1.15
1.15
1.15
H17規制より、試験モードがホットモードとコールドモードを組み合せたコンバインモードに変更
出典:道路運送車両の保安基準より作成
コンバインモードでの規制は、ホットモード及びコールドモードによる試験値を、以下の
割合で平均化した値で規制への適否の判定を行う。
表 3-2 コンバインモードのホットモード及びコールドモードの構成割合
CO排出量規制値
〔g/km〕
規制名
ホットモード及びコールドモードの構成割合
10・15モード : 88%
H17規制
11モード
H21
試験モード
: 12%
10・15モード : 75%
1.15
JC08Cモード : 25%
H23
試験モード
JC08Hモード : 75%
JC08Cモード : 25%
表 3-3 各試験モードの走行距離および走行時間
モード
走行距離〔km〕
走行時間〔s〕
10
3.319
675
10 ・ 15
4.165
660
11
4.080
505
JC08
8.172
1,204
3-5
3換気基準の今後のあり方の検討
(3) 入庫時のCO排出量(q入庫)
駐車場入庫時は、エンジン及び燃料の完全燃焼を促す触媒が十分暖められた状態(暖機状
態)であることから、排出量はホットモードにおいて検討を行うこととし、ホットモードの
規制値及び試験諸元値を用いて算定する。
算定にあたっては、CO排出量の規制値(g/km)から 1 試験あたりの総排出量(上限
値)を算出し、その値を 1 試験あたりの走行時間で除し、入庫時の時間排出量とする。
規制値〔g/km〕× 試験走行距離〔km〕
q入庫〔g/h〕=
…〔2〕
CO排出量〔㎥〕
試験時間〔h〕
0
試験時間
50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
経過時間〔s〕
図 3-5 ホットモード試験でのCO排出イメージ
図 3-6 ホットモード試験(JC08Hモード)における実測データの一例
3-6
3換気基準の今後のあり方の検討
(4) 出庫時のCO排出量(q出庫)
駐車場出庫時は、エンジン及び燃料の完全燃焼を促す触媒が冷却され、排出ガスの浄化機
能が低下している状態(冷間状態)であることから、排出量は、コールドモードにおいて検
討を行うこととし、コールドモードの規制値及び試験諸元値を用いて算定する。
算定にあたっては、エンジン始動後、触媒が暖められ、CO排出量が低い値に安定するま
でに要する時間を180秒とし、その間にCO排出量の規制値(g/test)分が全て排出
されるものとし、その排出量が 1 時間続くものとして、出庫時の時間排出量を算定する。
q出庫〔g/h〕=
規制値〔g/test〕
(180/3,600)
…〔3〕
180 秒
図 3-7 コールドモード試験でのCO排出イメージ
図 3-8 コールドモード試験(JC08Hモード)における実測データの一例
3-7
3換気基準の今後のあり方の検討
(5) 各規制の対象となる自動車の登録台数
平成27年3月末現在で登録されている乗用車(軽乗用車、小型乗用車及び普通乗用車)
の初度登録年別台数データより、各規制の対象となる乗用車台数は下表の通りである。
表 3-4 初度登録年別乗用車台数割合(平成27年3月末現在)
初度登録年
規制名
昭和47年以前
昭和4 8
昭和4 9
昭和5 0
昭和5 1
昭和5 2
昭和5 3
昭和5 4
昭和5 5
昭和5 6
昭和5 7
昭和5 8
昭和5 9
昭和6 0
昭和6 1
昭和6 2
昭和6 3
平成元
平成2
平成3
平成4
平成5
平成6
平成7
平成8
平成9
平成1 0
平成1 1
平成1 2
平成1 3
平成1 4
平成1 5
平成1 6
平成1 7
平成1 8
平成1 9
平成2 0
平成2 1
平成2 2
平成2 3
平成2 4
平成2 5
平成2 6
平成2 7
合 計
※1
登録台数割合
全体登録台数に占める
次世代自動車(※2)の割合
0.084%
S48規制
S50規制
0.016%
S51規制
0.028%
S53規制
1.22%
H3試験モード
11.80%
0.01%
H12規制
25.30%
0.24%
H17規制
18.75%
0.43%
H20試験モード
12.40%
1.42%
H23試験モード
30.40%
6.14%
100.00%
8.24%
※1 昭和47年以前は、S48規制に算入
※2 次世代自動車は、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブ
リッド自動車(PHV)及び燃料電池車(FCV)である。
出典
登録台数:軽自動車検査協会及び一般財団法人自動車検査登録協会からの提供データより作成
次世代自動車割合:一般社団法人自動車工業会からの提供データより作成
3-8
3換気基準の今後のあり方の検討
S48規制
0.084%
S50規制
0.016% S51規制
0.028%
H3試験モード
11.80%
H23試験モード
30.40%
6.14%
S53規制
1.22%
11.79%
0.01%
24.27%
初度登録年別
乗用車
登録台数割合
25.06%
H12規制
25.30%
1.42%
10.98%
0.24%
0.43%
18.31%
H20試験モード
12.40%
H17規制
18.75%
次世代自動車
図 3-9 各規制対象別の自動車の登録台数割合(平成27年3月末現在)
■次世代自動車におけるCO排出量の考え方
次世代自動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車及び電気自動車)につ
いては、低速走行時にはエンジンが稼動しないもしくは稼働率が高くないことから、駐車場内では
COを排出しないもの(CO排出量=0)とし、加重平均値の算定ではその割合分を控除する。
(6) 加重平均による算定
駐車場における自動車のCO排出量(q)は、各規制のCO排出量(qk)と各規制の登録
台数割合Wk による加重平均値として算定する。
n
qk〔g/h〕= Σ(qk × Wk)
…〔4〕
〔4〕で算定したq(g/h)を1気圧・25℃における時間排出量(m3/h)に換算する。
q〔m3/h〕=q〔g/h〕 ・
※ COの分子量:28.01、
1
28.01
・
0.0224×298
273
…〔5〕
1molあたりの体積:0.0224m3(0℃・1気圧)
3-9
3換気基準の今後のあり方の検討
3) 駐車場における自動車のCO排出量(q)の算定結果
(1) 入出庫時の排出量(q入庫及びq出庫)
〔2〕と各規制値よりq入庫 k を算定すると、以下の結果が得られる。
表 3-5 q入庫の1時間換算CO排出量〔g/h〕
規制名
モード
規制値
q入庫 k〔g/h〕
S48規制
10
26g/km
460.2
S50規制
10
2.7g/km
47.8
S51規制
10
2.7g/km
47.8
S53規制
10
2.7g/km
47.8
H3試験モード
10・15
2.7g/km
61.3
H12規制
10・15
0.67g/km
15.2
H17規制
10・15
0.67g/km
(※1)15.2
H20試験モード
10・15
0.67g/km
(※1)15.2
H23試験モード
10・15
0.67g/km
(※2)15.2
※1:H17規制(コンバインモード)及びH20試験モード(コンバインモード)について
は、ホットモードによる試験モードが10・15モードであることから、q入庫は直前
のH12規制における規制値で設定。
※2:H23試験モード(コンバインモード)については、試験走行パターンの変更による
ところが大きいため、q入庫については、H12規制における規制値で設定。
〔3〕と各規制値よりq出庫 k を算定すると、以下の結果が得られる。
表 3-6 q出庫の1時間換算CO排出量〔g/h〕
規制名
S48規制※1
モード
規制値
―
(※1)―
q出庫 k〔g/h〕
1700
S50規制
11
85g/test
S51規制
11
85g/test
1700
S53規制
11
85g/test
1700
H3試験モード
11
85g/test
1700
H12規制
11
19g/test
380
H17規制
11
19g/test
(※2)380
H20試験モード
11
19g/test
(※3)380
H23試験モード
11
19g/test
(※3)380
※1:S48規制はコールドモードでの規制がされていないため、q出庫はS50規制の値で設
定。
※2:H17規制(コンバインモード)については、コールドモードによる試験モードが11モ
ードであることから、q出庫は直前のH12規制における規制値で設定。
※3:H20規制(コンバインモード)及びH23規制(コンバインモード)については、試験
走行パターンの変更によるところが大きいため、q出庫はH12規制における規制値で設
定。
3-10
3換気基準の今後のあり方の検討
(2) 各規制におけるCO排出量(q)
〔1〕と表 3-5 及び表 3-6より、以下の結果が得られる。
表 3-7 各規制のCO排出量〔g/h〕
規制名
q 〔g/h〕
q 〔g/h〕
入庫
qk〔g/h〕
出庫
S48規制
460.2
1080.1
S50規制
47.8
S51規制
47.8
1700
873.9
S53規制
47.8
1700
873.9
H3試験モード
61.3
1700
880.7
H12規制
15.2
380
197.6
H17規制
15.2
380
197.6
H20試験モード
15.2
380
197.6
H23試験モード
15.2
380
197.6
1700
873.9
(3) 駐車場における自動車のCO排出量(q[m3/h・台])
各規制の登録台数割合(表 3-4)と各規制のCO排出量(qk)より、加重平均排出量を算定
すると以下の結果が得られる。
表 3-8 加重平均排出量〔g/h〕
規制年
qk〔g/h〕
登録台数割合Wk
次世代自動車割合〔%〕※
加重算定値〔g/h〕
S48規制
1080.1
0.084%
0.907
S50規制
873.9
0.016%
0.140
S51規制
873.9
0.028%
0.245
S53規制
873.9
1.22%
10.662
H3試験モード
880.7
11.80%
0.01%
103.835
H12規制
197.6
25.30%
0.24%
49.519
H17規制
197.6
18.75%
0.43%
36.181
H20試験モード
197.6
12.40%
1.42%
21.696
H23試験モード
197.6
30.40%
6.14%
47.958
加重平均排出量〔g/h〕
271.143
※次世代自動車割合分については控除
得られた加重平均排出量(q〔g/h〕)を〔5〕より体積に換算すると、
q〔m3/h〕 ≒ 0.24〔m3/h〕
となる。
これは、現行の換気量の算定根拠である1〔m3/h〕の約1/4の排出量である。
⇒駐車場における自動車のCO排出量(q)は、0.24m3/h・台(現行基準の
算定根拠の約1/4)に見直す。
3-11
3換気基準の今後のあり方の検討
3.2.2 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)
1) 基本的な考え方
駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)とは、1時間のうち入庫及び出庫す
る際に自動車がエンジンをかけている時間の占める割合である。
Rの算定にあたっては、単純化するために、駐車区画1台分に着目した場合、図 3-10に表
されるように、1時間(3600〔s〕)において、自動車がエンジンをかけている時間、
すなわち、入庫に要する時間(駐車場に入ってからエンジン停止まで)と出庫に要する時間
(エンジン始動から駐車場を出るまで)の合計時間の占める割合である。
R=
の合計〔s〕
3,600〔s〕
図 3-10 駐車場内でエンジンをかけている時間(入庫及び出庫)のイメージ)
出庫
入庫
0
入庫
出庫
駐車時間
駐車時間
3,600s
(1 時間)
1 台の駐車
(1 台目)
1 台の駐車
(a 台目)
図 3-11 駐車区画1台分に関する駐車場内でエンジンを
かけている自動車の割合(R)の模式図
現行基準の算定にあたっては、駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合は 0.07
(7%) としているが、駐車場法施行令が制定された昭和32年と比べて大きく変化を及ぼ
すような要因は特段考えられない。
このため、現在でも同様の数値が得られるか、改めて検討を行うこととする。
3-12
3換気基準の今後のあり方の検討
2) 算定方法
次に、図 3-11における
の合計は、1 時間における駐車区画1台分において 1 台目
の車からa台目の自動車が、入庫及び出庫(以下「入出庫」という。)に要する時間の合計
であり、以下の式で表すことができる。
の合計= a・t
t:自動車1台の入出庫におけるエンジン稼動時間〔s〕
ここで、aとは、駐車区画1台分において、1時間あたりで入れ替わった台数であるが、
駐車場全体(駐車場収容台数m台)で考えると、以下に示す通り、1時間あたりの駐車場全
体の入出庫台数(b)を駐車場収容台数(m)で除した値、すなわち、1時間あたりの駐車
場回転率(A)と同一の値である。
1時間あたりの駐車場回転率:A =
b
b:1時間あたりの駐車場全体の入出庫台数〔台〕
m
m:駐車場収容台数〔台〕
駐車場収容台数 m台
入庫b台
駐車場回転率
b
= m (=A)
出庫b台
図 3-12 1時間あたりの駐車場回転率のイメージ
よって、駐車場内全体でエンジンをかけている自動車の割合(R)は、以下の通り表され
る。
駐車区画1台あたり
R=
R=
駐車場全体
a・t
3,600
A・t
3,600
R=
A・t
3,600
A:1 時間あたりの駐車場回転率
t:自動車 1 台の入出庫におけるエンジン稼動時間〔s〕
以上より、ここでは、駐車場内でエンジンをかけている割合(R)の設定に必要となる1時
間あたりの駐車場回転率(A)と自動車1台の入出庫におけるエンジン稼動時間(t)の
積の最大値について検討を行う。
なお、検討にあたっては、国土交通省において平成24年度~平成26年度に実施した駐
車場の利用実態調査より、自動車の駐車の用に供される部分の面積が500m2以上(収容
台数40台以上)である101箇所の駐車場を対象に利用実態について集計・分析を行う。
3-13
3換気基準の今後のあり方の検討
(1) 1時間あたりの駐車場回転率(A)
1時間あたりの駐車場回転率は、前述したように、駐車場全体の1時間あたりの自動車の
入出庫台数(b)を駐車場の収容台数(m)で除した値である。
1時間あたりの駐車場回転率(A)=
1時間あたりの自動車の入出庫台数(b〔台〕)
駐車場収容台数(m〔台〕)
駐車場収容台数 m台
入庫b台
駐車場回転率
b
= m (=A)
出庫b台
図 3-13 1 時間あたりの駐車場回転率のイメージ
(2) 自動車1台の入出庫におけるエンジン稼動時間(t)
自動車1台の駐車場でのエンジン稼働時間(t)は以下に示す通り、入庫時と出庫時の各
エンジン稼働時間の合計であり、さらに細分化すると、主に以下の5つの要素から構成され
る。
t:自動車1台の入出庫におけるエンジン稼動時間
= 料金ゲート通過時間(入庫時) + 車路走行時間 + 入庫切り回し時間
+ 出庫時アイドリング時間 + 料金ゲート通過時間(出庫時)
図 3-14 入出庫のイメージ
ここで、tについては、車路走行時間及び料金ゲート通過時間や入庫時の車両切り回し時
間等の各所要時間より、自動車1台の入出庫におけるエンジン稼働時間tを設定する。
■車路走行時間
先に示した101箇所の駐車場の車路走行時間について、「地下駐車場における必要換
気量算出法の検討(近藤靖史、吉野一、空気調和・衛生工学会論文集No.93,20
04年4月)」参考1)に記載の式を参考に算定(10秒単位に切上げ)する。
■車路走行時間以外の所要時間設定
実地調査参考2)を参考に設定する。
3-14
3換気基準の今後のあり方の検討
3) 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)の算定結果
(1)で算定したA(1時間あたりの駐車場回転率)及び(2)で設定したt(自動車1台の入
出庫におけるエンジン稼働時間)より、駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)
を算定した。
その結果、1日のうちピーク時の1時間において、駐車場内でエンジンをかけている自動
車の割合は、最大値 0.0678(6.78%)、平均値 0.0117(1.17%)と
なった。
3,600s(1 時間)
入庫
出庫
駐車時間
出庫
入庫
0
駐車時間
3,600
1 台の駐車
1 台の駐車
出庫
入庫
駐車時間
1 台の駐車
図 3-15 駐車区画1台分における駐車場内でエンジンを
かけている自動車の割合(R)の模式図
最大値 6.78%
1.17%
図 3-16 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合の分布図
(参考)
最大値(0.0678)における各構成変数
収容台数:270台
時間最大駐車場回転率:1.19
自動車1台の入出庫におけるエンジン稼動時間:205秒
R=
A・t
=
3600
1.19×205
3600
≒ 0.0678
⇒駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)は、0.07(7%)
(現行基準の算定根拠)を維持する。
3-15
時間
3換気基準の今後のあり方の検討
表 3-9 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)算定結果一覧(その1)
駐車場におけるエンジン稼働割合の算定
施設概要
No
調査
年度
都市圏
分類
使用用途
駐車場
収容台
数( 台)
時間平均 時間最大
駐車場
駐車場
回転率
回転率
(A a v e) (A ma x )
負荷率
時間最大
駐車場回転率
時間平均
駐車場回転率
駐車場
床面積
〔㎡〕
駐車場
車路
延長
〔m〕
駐車場
車路
走行
時間
〔秒〕
入庫時
ゲート
通過
所要時
間
〔秒〕
入庫時 出庫時
切り回し ア イドリ
所要
ング
時間
時間
〔秒〕
〔秒〕
出庫時
1台の
ゲート
ピー ク 時
エ ンジン
通過
エ ンジン
稼働
所要
稼働割合
時間
時間
〔%〕
〔s〕
〔秒〕
1
H24
東京
オフィスビル
412
0.25
0.33
1.32
13,733
223
110
15
40
35
25
225
2 .0 6
2
H24
東京
オフィスビル
73
0.07
0.14
2.00
2,433
94
50
15
40
35
25
165
0 .6 4
3
H24
東京
オフィスビル
138
0.05
0.10
2.00
4,600
129
60
15
40
35
25
175
0 .4 9
4
H24
東京
オフィスビル
212
0.05
0.09
1.80
7,067
160
80
15
40
35
25
195
0 .4 9
5
H24
京阪神
オフィスビル
183
0.10
0.17
1.70
6,100
148
70
15
40
35
25
185
0 .8 7
6
H24
東京
オフィスビル
106
0.07
0.12
1.71
3,533
113
60
15
40
35
25
175
0 .5 8
7
H24
東京
オフィスビル
70
0.07
0.11
1.57
2,333
92
50
15
40
35
25
165
0 .5 0
8
H24
東京
オフィスビル
66
0.06
0.09
1.50
2,200
89
50
15
40
35
25
165
0 .4 1
9
H24
東京
オフィスビル
121
0.10
0.17
1.70
4,033
121
60
15
40
35
25
175
0 .8 3
10
H24
京阪神
オフィスビル
94
0.06
0.14
2.33
3,133
106
50
15
40
35
25
165
0 .6 4
11
H24
東京
オフィスビル
71
0.18
0.30
1.67
2,367
92
50
15
40
35
25
165
1 .3 8
12
H24
東京
オフィスビル
79
0.06
0.09
1.50
2,633
98
50
15
40
35
25
165
0 .4 1
13
H24
京阪神
オフィスビル
63
0.07
0.13
1.86
2,100
87
40
15
40
35
25
155
0 .5 6
14
H24
東京
オフィスビル
284
0.03
0.07
2.33
9,467
185
90
15
40
35
25
205
0 .4 0
15
H24
東京
オフィスビル
54
0.09
0.14
1.56
1,800
81
40
15
40
35
25
155
0 .6 0
16
H24
京阪神
オフィスビル
108
0.13
0.23
1.77
3,600
114
60
15
40
35
25
175
1 .1 2
17
H24
京阪神
オフィスビル
72
0.06
0.15
2.50
2,400
93
50
15
40
35
25
165
0 .6 9
18
H26
東京
オフィスビル
280
0.07
0.20
2.86
9,333
184
90
15
40
35
25
205
1 .1 4
19
H25
京阪神
オフィスビル
309
0.07
0.11
1.57
10,300
193
90
15
40
35
25
205
0 .6 3
20
H25
東京
オフィスビル
282
0.06
0.09
1.50
9,400
184
90
15
40
35
25
205
0 .5 1
21
H25
京阪神
オフィスビル
181
0.10
0.16
1.60
6,033
148
70
15
40
35
25
185
0 .8 2
22
H25
京阪神
オフィスビル
216
0.05
0.08
1.60
7,200
161
80
15
40
35
25
195
0 .4 3
23
H25
東京
オフィスビル
214
0.06
0.09
1.50
7,133
160
80
15
40
35
25
195
0 .4 9
24
H25
東京
オフィスビル
220
0.06
0.11
1.83
7,333
163
80
15
40
35
25
195
0 .6 0
25
H25
東京
オフィスビル
205
0.01
0.13
13.00
6,833
157
80
15
40
35
25
195
0 .7 0
26
H25
東京
オフィスビル
91
0.10
0.14
1.40
3,033
105
50
15
40
35
25
165
0 .6 4
27
H25
東京
オフィスビル
78
0.06
0.10
1.67
2,600
97
50
15
40
35
25
165
0 .4 6
28
H25
東京
オフィスビル
94
0.06
0.11
1.83
3,133
106
50
15
40
35
25
165
0 .5 0
29
H25
東京
オフィスビル
179
0.01
0.02
2.00
5,967
147
70
15
40
35
25
185
0 .1 0
30
H25
東京
オフィスビル
473
0.02
0.04
2.00
15,767
239
110
15
40
35
25
225
0 .2 5
31
H26
東京
オフィスビル
140
0.09
0.44
4.89
4,667
130
60
15
40
35
25
175
2 .1 4
32
H26
東京
商業施設
755
0.07
0.22
3.14
25,167
301
140
15
40
35
25
255
1 .5 6
33
H26
東京
商業/オフィス
193
0.04
0.11
2.75
6,433
152
70
15
40
35
25
185
0 .5 7
34
H26
東京
オフィスビル
537
0.05
0.11
2.20
17,900
254
120
15
40
35
25
235
0 .7 2
35
H26
東京
商業施設
49
0.08
0.14
1.75
1,633
77
40
15
40
35
25
155
0 .6 0
36
H26
東京
オフィスビル
546
0.07
0.17
2.43
18,200
256
120
15
40
35
25
235
1 .1 1
37
H26
東京
オフィスビル
396
0.02
0.07
3.50
13,200
218
100
15
40
35
25
215
0 .4 2
38
H26
東京
オフィスビル
114
0.06
0.12
2.00
3,800
117
60
15
40
35
25
175
0 .5 8
39
H26
東京
商業/オフィス
670
0.04
0.06
1.50
22,333
284
130
15
40
35
25
245
0 .4 1
40
H26
東京
オフィスビル
190
0.06
0.10
1.67
6,333
151
70
15
40
35
25
185
0 .5 1
41
H26
東京
商業施設
154
0.03
0.14
4.67
5,133
136
70
15
40
35
25
185
0 .7 2
42
H26
東京
オフィスビル
160
0.07
0.17
2.43
5,333
139
70
15
40
35
25
185
0 .8 7
43
H26
東京
商業/オフィス
276
0.02
0.15
7.50
9,200
182
90
15
40
35
25
205
0 .8 5
44
H26
東京
オフィスビル
155
0.02
0.08
4.00
5,167
137
70
15
40
35
25
185
0 .4 1
45
H26
東京
オフィスビル
108
0.09
0.23
2.56
3,600
114
60
15
40
35
25
175
1 .1 2
46
H26
東京
商業/オフィス
665
0.06
0.14
2.33
22,167
283
130
15
40
35
25
245
0 .9 5
47
H26
東京
オフィスビル
74
0.07
0.17
2.43
2,467
94
50
15
40
35
25
165
0 .7 8
48
H26
東京
オフィスビル
135
0.02
0.05
2.50
4,500
127
60
15
40
35
25
175
0 .2 4
49
H26
東京
オフィスビル
531
0.05
0.08
1.60
17,700
253
120
15
40
35
25
235
0 .5 2
50
H26
東京
オフィスビル
94
0.04
0.08
2.00
3,133
106
50
15
40
35
25
165
0 .3 7
51
H26
東京
オフィスビル
113
0.07
0.17
2.43
3,767
117
60
15
40
35
25
175
0 .8 3
52
H26
東京
オフィスビル
198
0.01
0.03
3.00
6,600
154
70
15
40
35
25
185
0 .1 5
53
H26
東京
オフィスビル
71
0.06
0.12
2.00
2,367
92
50
15
40
35
25
165
0 .5 5
54
H26
東京
オフィスビル
154
0.02
0.05
2.50
5,133
136
70
15
40
35
25
185
0 .2 6
55
H26
東京
オフィスビル
386
0.01
0.02
2.00
12,867
216
100
15
40
35
25
215
0 .1 2
3-16
3換気基準の今後のあり方の検討
表 3-10 駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)算定結果一覧(その2)
駐車場におけるエンジン稼働割合の算定
施設概要
No
調査
年度
都市圏
分類
使用用途
駐車場
収容台
数( 台)
時間平均 時間最大
駐車場
駐車場
回転率
回転率
(A a v e) (A ma x )
負荷率
時間最大
駐車場回転率
時間平均
駐車場回転率
駐車場
床面積
〔㎡〕
駐車場
車路
延長
〔m〕
駐車場
車路
走行
時間
〔秒〕
入庫時
ゲート
通過
所要時
間
〔秒〕
入庫時 出庫時
切り回し ア イドリ
所要
ング
時間
時間
〔秒〕
〔秒〕
出庫時
1台の
ゲート
ピー ク 時
エ ンジン
通過
エ ンジン
稼働
所要
稼働割合
時間
時間
〔%〕
〔s〕
〔秒〕
56
H26
東京
商業/オフィス
2,483
0.03
0.07
2.33
82,767
547
250
15
40
35
25
365
0 .7 1
57
H26
東京
オフィスビル
221
0.04
0.13
3.25
7,367
163
80
15
40
35
25
195
0 .7 0
58
H26
東京
オフィスビル
221
0.03
0.04
1.33
7,367
163
80
15
40
35
25
195
0 .2 2
59
H26
東京
商業施設
72
0.09
0.17
1.89
2,400
93
50
15
40
35
25
165
0 .7 8
60
H26
東京
オフィスビル
244
0.01
0.02
2.00
8,133
171
80
15
40
35
25
195
0 .1 1
61
H26
東京
オフィスビル
381
0.02
0.03
1.50
12,700
214
100
15
40
35
25
215
0 .1 8
62
H26
京阪神
商業施設
1,230
0.09
0.22
2.44
41,000
385
180
15
40
35
25
295
1 .8 0
63
H26
京阪神
オフィスビル
2,495
0.15
0.31
2.07
83,167
548
250
15
40
35
25
365
3 .1 4
64
H26
地方
オフィスビル
275
0.04
0.12
3.00
9,167
182
90
15
40
35
25
205
0 .6 8
65
H26
地方
商業施設
240
0.24
0.40
1.67
8,000
170
80
15
40
35
25
195
2 .1 7
66
H26
地方
オフィスビル
88
0.06
0.13
2.17
2,933
103
50
15
40
35
25
165
0 .6 0
67
H26
地方
オフィスビル
60
0.05
0.10
2.00
2,000
85
40
15
40
35
25
155
0 .4 3
68
H26
地方
オフィスビル
92
0.14
0.54
3.86
3,067
105
50
15
40
35
25
165
2 .4 8
69
H26
地方
オフィスビル
73
0.06
0.10
1.67
2,433
94
50
15
40
35
25
165
0 .4 6
70
H26
地方
宿泊施設
153
0.07
0.16
2.29
5,100
136
70
15
40
35
25
185
0 .8 2
71
H26
地方
商業施設
400
0.10
0.20
2.00
13,333
219
100
15
40
35
25
215
1 .1 9
72
H26
地方
オフィスビル
96
0.04
0.10
2.50
3,200
107
50
15
40
35
25
165
0 .4 6
73
H26
地方
オフィスビル
60
0.05
0.08
1.60
2,000
85
40
15
40
35
25
155
0 .3 4
74
H26
地方
オフィスビル
184
0.03
0.07
2.33
6,133
149
70
15
40
35
25
185
0 .3 6
75
H26
地方
オフィスビル
273
0.05
0.12
2.40
9,100
181
90
15
40
35
25
205
0 .6 8
76
H26
東京
オフィスビル
98
0.05
0.10
2.00
3,267
109
50
15
40
35
25
165
0 .4 6
77
H26
東京
商業施設
470
0.12
0.30
2.50
15,667
238
110
15
40
35
25
225
1 .8 8
78
H26
東京
商業施設
189
0.11
0.29
2.64
6,300
151
70
15
40
35
25
185
1 .4 9
79
H26
東京
商業施設
740
0.11
0.22
2.00
24,667
298
140
15
40
35
25
255
1 .5 6
80
H26
地方
商業施設
690
0.09
0.21
2.33
23,000
288
130
15
40
35
25
245
1 .4 3
81
H26
京阪神
商業施設
1,125
0.17
0.45
2.65
37,500
368
170
15
40
35
25
285
3 .5 6
82
H26
京阪神
病院
218
0.17
0.33
1.94
7,267
162
80
15
40
35
25
195
1 .7 9
83
H26
京阪神
公園
217
0.03
0.31
10.33
7,233
162
80
15
40
35
25
195
1 .6 8
84
H26
京阪神
学校
43
0.01
0.07
7.00
1,433
72
40
15
40
35
25
155
0 .3 0
85
H26
京阪神
公共施設
81
0.67
1.27
1.90
2,700
99
50
15
40
35
25
165
5 .8 2
86
H26
京阪神
公共施設
65
0.33
1.02
3.09
2,167
88
40
15
40
35
25
155
4 .3 9
87
H26
京阪神
公共施設
80
0.36
0.76
2.11
2,667
98
50
15
40
35
25
165
3 .4 8
88
H26
京阪神
商業施設
508
0.24
0.44
1.83
16,933
247
120
15
40
35
25
235
2 .8 7
89
H26
京阪神
商業施設
4,800
0.03
0.12
4.00
160,000
760
350
15
40
35
25
465
1 .5 5
90
H26
地方
商業施設
460
0.19
0.39
2.05
15,333
235
110
15
40
35
25
225
2 .4 4
91
H26
地方
商業施設
128
0.05
0.11
2.20
4,267
124
60
15
40
35
25
175
0 .5 3
92
H26
地方
住居施設
144
0.09
0.24
2.67
4,800
132
60
15
40
35
25
175
1 .1 7
93
H26
地方
商業施設
184
0.12
0.19
1.58
6,133
149
70
15
40
35
25
185
0 .9 8
94
H26
地方
商業施設
321
0.16
0.34
2.13
10,700
197
90
15
40
35
25
205
1 .9 4
95
H26
地方
宿泊施設
350
0.04
0.10
2.50
11,667
205
100
15
40
35
25
215
0 .6 0
96
H26
地方
公共施設
151
0.42
1.20
2.86
5,033
135
70
15
40
35
25
185
6 .1 7
97
H26
地方
飲食店
178
0.04
0.11
2.75
5,933
146
70
15
40
35
25
185
0 .5 7
98
H26
地方
体育館
400
0.24
0.44
1.83
13,333
219
100
15
40
35
25
215
2 .6 3
99
H26
地方
体育館
270
0.75
1.19
1.59
9,000
180
90
15
40
35
25
205
6 .7 8
100
H26
地方
商業施設
650
0.59
0.82
1.39
21,667
280
130
15
40
35
25
245
5 .5 8
101
H26
地方
病院
306
0.05
0.10
2.00
10,200
192
90
15
40
35
25
205
0 .5 7
338
0.10
0.21
2.49
198
1 .1 7
平均値
※1 駐車場車路走行速度は時速8kmと設定。
※2 駐車場車路走行時間以外の所要時間(115秒)の内訳は以下の通り。
ゲート通過時間(入庫時) :15秒
入庫時切り回し時間
:40秒
出庫時アイドリング時間 :35秒
ゲート通過時間(出庫時) :25秒
3-17
3換気基準の今後のあり方の検討
(参考1)「地下駐車場における必要換気量算出法の検討」(近藤靖史,吉野一)
空気調和・衛生工学会論文集.No.93,p49-56(2004)
■平均走行距離
式(12):Lave≒1.9√A
Lave:平均走行距離〔m〕
A:駐車場床面積〔m2〕
■駐車場床面積
式(20):Tp≒0.03×A より
Tp
0.03
Tp:収容台数〔台〕
A:駐車場床面積〔m2〕
A≒
(参考2)実地調査
エンジン稼働時間(t)の設定にあたり、駐車場内での各所要時間を把握するため、
都内の路外駐車場を対象に調査を実施。
<調査概要>
・調査年:平成27年7月
・調査箇所:都内の路外駐車場(4箇所)
対象駐車場の使用用途:商業施設2箇所、オフィスビル2箇所
対象駐車場の規模:4箇所ともに収容台数500台以上
・調査台数:計40台
・調査項目:
料金ゲート通過時間(入庫時、出庫時)
入庫時切回し時間
出庫時アイドリング時間
3-18
3換気基準の今後のあり方の検討
3.2.3 指標物質の選定
現行基準の指標物質は、前述の通り一酸化炭素(CO)だが、自動車の排出ガスに含まれる
主な有害物質としては、一酸化炭素(CO)の他、窒素酸化物(NOX)、二酸化炭素(CO
2)、硫黄酸化物(SOX)及び粒子状物質(PM)があげられる。
今回、現行基準のCO排出量の設定値見直しに伴い、指標物質を引き続き一酸化炭素(CO)
とすることが妥当であるか、確認を行う。
1) 基本的な考え方及び条件
上記有害物質について、ある一定時間における排出量を算定し、その排出量に対し、人体
に危険な影響を与える濃度まで希釈するために必要な供給空気量を算定し、最も多いものを
指標物質とする。
(1) 基本的な考え方
・一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO2)及び粒子状物質(PM)については、道路運
送車両法に基づく基準(道路運送車両の保安基準)によるガソリン・LPG乗用車の排
出量規制値をもとに、エンジン及び燃料の完全燃焼を促す触媒が十分に暖められた状態
(暖機状態)から試験を実施するホットモードと、エンジン及びその完全燃焼を促す触
媒が冷却され、排出ガスの浄化機能が低下している状態(冷間状態)から試験を実施す
るコールドモードの規制値をもとに按分して算定する。
なお、按分にあたっては、駐車場内での排出を想定するため、入庫時のエンジン状態
である暖機状態(ホットモード)と出庫時のエンジン状態である冷間状態(コールドモ
ード)の時間的加重割合は等しいものとする。
・二酸化炭素(CO2)については、「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」(環
境省)における二酸化炭素排出係数に基づき算定する。
・硫黄酸化物(SO2)については、「日本工業規格 JIS K 2202」に示された、
ガソリンの硫黄含有量に基づき算定する。
(2) 各試験モード別試験走行時間及び試験走行距離
表 3-10 試験モード別試験走行時間及び試験走行距離
試験モード
試験走行距離(km)
試験走行時間(s)
10モード
3.319
675
10・15モード
4.165
660
11モード
4.080
505
JC08モード
8.172
1,204
(3) 乗用車平均燃費
算定に使用する乗用車平均燃費は、国土交通省が公表している平成25年度のJC08モ
ードにおける乗用車平均燃費(21km/ℓ )とする。
3-19
3換気基準の今後のあり方の検討
2) 各有害物質の排出量算定
(1) CO排出量
① CO排出量の算定方法
1分間あたりのCO排出量(1気圧・25℃)の算定方法は以下の通り。
i) 駐車場入庫時(ホットモード)
駐車場入庫時(ホットモード)のCO排出量は、規制値の単位が(g/km)で規定さ
れているため、試験走行距離及び試験走行時間を用いて(m3/min)に換算する。
排出量:qh =
〔m3/min〕
規制値〔g/km〕× 試験走行距離〔km/test〕×60〔s/min〕
1
0.0224×298
×
×
試験走行時間〔s/test〕
28.01
273
※COの分子量:28.01、1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
ii) 駐車場出庫時(コールドモード)
駐車場出庫時(コールドモード)のCO排出量は、規制値の単位が(g/test)で
規定されているため、試験走行距離及び試験走行時間を用いて(m3/min)に換算す
る。なお、CO排出量が低い値に安定するまでに要する時間をエンジン始動後180秒と
し、その間に全ての規制値分が排出されるものとして算定する。
規制値〔g/test〕× 60〔s/min〕
排出量:qc
=
〔m3/min〕
180〔s/test〕
1
×
28.01
0.0224×298
×
273
※COの分子量:28.01、1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
iii) CO排出量
CO排出量は、駐車場入庫時及び駐車場出庫時の排出量の平均値で設定する。
排出量:q
=
〔m3/min〕
qh〔m3/min〕 + qc〔m3/min〕
2
3-20
3換気基準の今後のあり方の検討
② CO排出量の算定結果
i) 駐車場入庫時(ホットモード)のCO排出量
表 3-11 駐車場入庫時におけるCO排出量算定結果
CO
試験モード
規制値
S48規制
S50規制
S53規制
H12規制
10モード
10モード
10モード
10・15モード
g/km
3
m /min
台数割合
排出量(m3/min)
26.0
2.70
2.70
0.67
0.00670
0.00070
0.00070
0.00022
0.08%
0.04%
13.02%
86.85%
0.00001
0.00000
0.00009
0.00019
3
加重平均排出量(m /min)
0.00029
ii) 駐車場出庫時(コールドモード)のCO排出量
表 3-12 駐車場出庫時におけるCO排出量算定結果
CO
試験モード
規制値
g/test
3
m /min
台数割合
排出量(m3/min)
S48規制
S50規制
S53規制
H12規制
11モード
11モード
11モード
11モード
85.0
85.0
85.0
19.0
0.0247
0.0247
0.0247
0.0055
0.08%
0.04%
13.02%
86.85%
0.00002
0.00001
0.00322
0.00478
加重平均排出量(m3/min)
0.00803
※S48規制については、コールドモードが規定されていないため、S50規制の排出量を用いる
iii) CO排出量
CO排出量(1気圧・25℃)の算定結果を以下に示す。
q=
=
qh〔m3/min〕
+
qc〔m3/min〕
2
0.00029〔m3/min〕
+
2
≒ 0.00416(m3/min)
3-21
0.00803〔m3/min〕
3換気基準の今後のあり方の検討
(2) NO2排出量
① NO2排出量の算定方法
1分間あたりのNO2排出量(1気圧・25℃)の算定方法は以下の通り。
i) 駐車場入庫時(ホットモード)
駐車場入庫時(ホットモード)のNO2排出量は、規制値の単位が(g/km)で規定
されているため、試験走行距離及び試験走行時間を用いて(m3/min)に換算する。
排出量:qh =
〔m3/min〕
規制値〔g/km〕× 試験走行距離〔km/test〕×60〔s/min〕
1
0.0224×298
×
×
試験走行時間〔s/test〕
46.01
273
※NO2の分子量:46.01、1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
ii) 駐車場出庫時(コールドモード)
駐車場出庫時(コールドモード)のNO2排出量は、規制値の単位が(g/test)
で規定されているため、試験走行距離及び試験走行時間を用いて(m3/min)に換算
する。なお、NO2排出量が低い値に安定するまでに要する時間をエンジン始動後180
秒とし、その間に全ての規制値分が排出されるものとして算定する。
規制値〔g/test〕× 60〔s/min〕
排出量:qc
=
〔m3/min〕
180〔s/test〕
1
×
46.01
0.0224×298
×
273
※NO2の分子量:46.01、1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
iii) NO2排出量
NO2排出量は、駐車場入庫時及び駐車場出庫時の排出量の平均値で設定する。
排出量:q
=
〔m3/min〕
qh〔m3/min〕
+ qc〔m3/min〕
2
3-22
3換気基準の今後のあり方の検討
② NO2排出量の算定結果
i) 駐車場入庫時(ホットモード)のNO2排出量
表 3-13 駐車場入庫時のNO2排出量算定結果
Nox(NO2)
試験モード
S48規制
S50規制
S51 規制
S53規制
H12規制
10モード
10モード
10モード
10・15モード
10・15モード
3.00
1.60
1.20
0.48
0.08
0.00047
0.00025
0.00019
0.00010
0.000016
0.08%
0.02%
0.03%
13.02%
86.85%
0.000000
0.000000
0.000000
0.000013
0.000014
g/km
規制値
m3/min
台数割合
排出量
(m3/min)
加重平均排出量
(m3/min)
0.000027
ii) 駐車場出庫時(コールドモード)のNO2排出量
表 3-14 駐車場出庫時のNO2排出量算定結果
Nox(NO2)
試験モード
S48規制
S50規制
S53規制
H12規制
11モード
11モード
11モード
11モード
11.0
11.0
6.0
1.4
0.00195
0.00195
0.00106
0.00025
0.08%
0.05%
13.02%
86.85%
0.000002
0.000001
0.000138
0.000217
g/test
規制値
3
m /min
台数割合
3
排出量(m /min)
3
加重平均排出量(m /min)
0.000358
※S48規制については、コールドモードが規定されていないため、S50規制の排出量を用いる
iii) NO2排出量
NO2排出量(1気圧・25℃)の算定結果を以下に示す。
q=
=
qh〔m3/min〕
+
qc〔m3/min〕
2
0.000027〔m3/min〕
2
≒ 0.000193(m3/min)
3-23
+
0.000358〔m3/min〕
3換気基準の今後のあり方の検討
(3) CO2排出量
CO2の排出量については、「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」(環境省)
における二酸化炭素排出係数(2.32kg/ℓ )と、JC08モード試験における乗用車
平均燃費から算定する。
① CO2排出量の算定方法
1分間あたりのCO2排出量(1気圧・25℃)の算定方法は以下の通り。
2.32〔kg/ℓ〕× 1,000〔g/kg〕×試験走行距離〔km/test〕×60〔s/min〕
排出量:q
=
試験走行時間〔s/test〕×乗用車平均燃費〔km/ℓ〕
〔m3/min〕
1
×
44.01
×
0.0224 × 298
273
※CO2の分子量:44.01、1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
② CO2排出量の算定結果
CO2排出量(1気圧・25℃)の算定結果を以下に示す。
q=
2.32〔kg/ℓ 〕×1,000〔g/kg〕×8.172〔km/test〕×60〔s/min〕
1,204〔s/test〕×21〔km/ℓ〕
×
1
44.01
×
0.0224×298
273
≒ 0.0250(m3/min)
3-24
3換気基準の今後のあり方の検討
(4) SO2排出量
SO2の排出量は、「日本工業規格 JIS K 2202」で定められたガソリン 1 リット
ルに含まれる硫黄含有量の上限値が、エンジン内での燃焼過程で酸素と反応し、全てSO2
として排出されるものとして算定する。
① SO2排出量の算定方法
1分間あたりのSO2排出量(1気圧・25℃)の算定方法は以下の通り。
なお、ガソリンの質量及びJIS規格における硫黄含有量の上限値は以下による。
ガソリンの質量:0.74kg/ℓ
JIS規格における硫黄含有量の上限値:0.001質量パーセント
よって、ガソリン1ℓ 中の硫黄含有量の最大値は、
0.74〔kg/ℓ 〕 × 0.001 × 10-2= 0.0074〔g〕
である。
0.0074gの硫黄が全て二酸化硫黄(SO2)として排出された場合の排出量は以下
の通りとなる。
0.0074
×64.06≒0.015(g/ℓ )
32.06
※Sの原子量:32.06、SO2の分子量:64.06
排出量q
0.015〔g/ℓ〕× 試験走行距離〔km/test〕×60〔s/min〕
=
試験走行時間〔s/test〕×乗用車平均燃費〔km/ℓ〕
〔m3/min〕
1
×
64.06
×
0.0224 × 298
273
※1molあたりの体積:0.0224m3(0℃、1気圧)
② SO2排出量の算定結果
SO2排出量(1気圧・25℃)の算定結果を以下に示す。
0.015〔g/ℓ 〕×8.172〔km/test〕×60〔s/min〕
q=
1204〔s/test〕×21〔km/ℓ 〕
×
1
0.0224×298
×
64.06
273
≒ 0.00000011(m3/min)
3-25
3換気基準の今後のあり方の検討
(5) PM排出量
PMの排出量は、道路運送車両法に基づく基準(道路運送車両の保安基準)による排出量
規制値から算定する。
① PM排出量の算定方法
1分間あたりのPM排出量の算定方法は以下の通り。
排出量:q
=
規制値〔g/km〕× 試験走行距離〔km/test〕×60〔s/min〕
試験走行時間〔s/test〕
〔g/min〕
② PM排出量の算定結果
PM排出量の算定結果を以下に示す
q=
0.005〔g/km〕×8.172〔km/test〕×60〔s/min〕
1204〔s/test〕
≒ 0.00204(g/min)
(6) 各有害物質の排出量算定結果
自動車の排出ガスに含まれる主な有害物質である一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO
X)、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOX)及び粒子状物質(PM)の駐車場内にお
ける自動車からの排出量(1気圧・25℃)はそれぞれ以下の通りである。
表 3-15 各有害物質の駐車場内における自動車からの排出量(1気圧・25℃)
一酸化炭素
(CO)
窒素化合物
(NO2)
二酸化炭素
(CO2)
硫黄酸化物
(SO2)
粒子状物質
(PM)
0.00416m3/min
0.000193m3/min
0.0250m3/min
0.00000011m3/min
0.00204g/min
3-26
3換気基準の今後のあり方の検討
3) 各有害物質が人体に与える影響
「空気調和・衛生工学便覧」(空気調和・衛生工学会)によると、以下に示す有害物質が
30分~1時間の曝露により、人体に危険な影響を与える濃度は以下の通りである。
表 3-16 人体に危険な影響を与える濃度 (30 分~1時間の曝露による)
一酸化炭素(CO)
窒素化合物(NO2)
二酸化炭素(CO2)
硫黄酸化物(SO2)
1,500~2,000ppm
117~154ppm
50,000~67,000ppm
50~100ppm
なお、粒子状物質(PM)については、「空気調和・衛生工学便覧」(空気調和・衛生工
学会)には人体への影響に関する記述が無い。
そのため、ここでは一旦比較の対象物質から粒子状物質(PM)を外して指標物質を選定
し、新基準における換気量が算定された後、安全性について確認を行う。
4) 指標物質の選定
2)及び 3)の通り、一酸化炭素(CO)、窒素化合物(NO2)、二酸化炭素(CO2)及び
硫黄酸化物(SO2)については、人体に危険な影響を与える濃度(30分~1時間の曝露
による)以下に希釈するための換気による必要供給空気量(1気圧・25℃)を算定すると、
以下の通りとなり、一酸化炭素(CO)が最も危険側にある物質となる。
表 3-17 人体に危険な影響を与える濃度まで希釈するために必要な換気量
一酸化炭素(CO)
窒素化合物(NO2)
二酸化炭素(CO2)
硫黄酸化物(SO2)
2.08~2.77 m3/min
1.25~1.65 m3/min
0.37~0.50 m3/min
0.001~0.002m3/min
⇒指標物質は、引き続き一酸化炭素(CO)とする。
なお、上述の通り、粒子状物質(PM)については、ここでは、比較の対象物質から外し
たが、指標物質とする一酸化炭素(CO)の換気による必要供給空気量(v)を算定後、粒
子状物質(PM)に関する比較・検討を行うこととする。
(参照 P3-39「粒子状物質(PM)に関する指標物質との比較・検証」)
3-27
3換気基準の今後のあり方の検討
3.2.4 駐車場内のCO設定濃度(N)
1) 基本的な考え方
駐車場内のCO設定濃度は、「駐車場の技術的基準について(1958年 村山幸雄、三井
達雄)」によると、現行では指標物質を一酸化炭素(CO)とした上で、設定濃度を恕限値
である100ppmとしている。
しかしながら、人への曝露時間をどのように見込んで設定したかについて、経緯を示した
文献は見当たらない。
そのため、駐車場内のCOの設定濃度については、他法令等における規制値、海外の規制
値やCO濃度が人体に与える影響等を参考に、設定を行うこととする。
2) CO濃度の基準値
(1) 他法令におけるCO濃度の基準値
他法令をみると、自動車ターミナルや道路トンネルにおいて、CO濃度100ppmとの
規定がある。
一方、大気の環境基準においては、1日平均値が10ppm以下、8時間平均値が20p
pm以下との基準が設けられている。
居室においては、空気調和設備や機械換気設備を設けている場合は10ppm以下となっ
ているが、外気が汚染されている場合等においては20ppm以下との基準が設けられてい
る。
各法令の趣旨等を勘案すると、想定される滞在時間の違いにより、異なったCO濃度規制
値が設定されている。
3-28
3換気基準の今後のあり方の検討
表 3-18 他法令におけるCO濃度規制値
法令名(通知名)
趣旨
CO濃度
自動車ターミナルの位置、 自動車ターミナルにお 通常の状態において
構造及び設備の基準を定め ける基準
100ppm
る政令
(昭和34年政令第320
号)第12条
建築物における衛生的環境
の確保に関する法律施行令
(昭和45年政令第304
号)第2条
空気調和設備又は機械
換気設備を設けている
場合に、居室において
適合すべき基準
備考
制定年
基準値を超えるおそれ
がある場所には、基準
値を保つことができる
換気装置を設けなけれ
ばならない
昭和34年
(制定時)
10ppm以下
(大気中がおおむね1
0ppmを超えるた
め、居室において10
ppm以下になるよう
に空気を浄化して供給
することが困難である
場合は20ppm以
下)
昭和45年
(制定時)
建築基準法施行令
中央管理方式の空気調 10ppm以下
(昭和25年政令第338 和設備を設けている場
号)第129条の2の6
合に、居室において適
合すべき基準
昭和45年
(一部改正)
地下駐車場における排出ガ 駐車場業務を行う場所 1時間平均で50pp
スによる障害の予防につい における基準
m以下
て(昭和46年3月18日
労働省労働基準局長通知)
昭和46年
事務所衛生基準規則
労働者を常時就業させ 50ppm以下
(昭和47年労働省令第4 る室における基準
3号)第3条
昭和47年
(制定時)
事務所衛生基準規則
空気調和設備又は機械 10ppm以下
(昭和47年労働省令第4 換気設備で中央管理方 (外気が汚染されてい
3号)第5条
式のものを設ける場合 るために、10ppm
に、労働者を常時就業 以下の空気を供給する
させる室に供給される ことが困難な場合は2
空気の基準
0ppm以下)
昭和47年
(制定時)
大気の汚染に係る環境基準
について(昭和48年5月
8日環境庁告示第1号)別
表
人の健康を保護するう
えで維持することが望
ましい基準(環境基
準)
1日平均値が10pp
m以下かつ
8時間平均値が20p
pm以下
道路トンネル技術基準(昭 換気施設の設計に用い 100ppm以下
和49年11月29日建設 る一酸化炭素の目標濃
省都市局長、道路局長通 度
知)
3-29
工業専用地域、車道そ
の他一般公衆が通常生
活していない地域また
は場所については適用
しない
昭和48年
(制定時)
トンネル内の滞在時間
を30分程度として設
定したとされている
(同基準解説)
昭和49年
3換気基準の今後のあり方の検討
(2) 海外における駐車場内のCO濃度基準値
海外のガイドライン等においては、各国基準値にばらつきはあるものの、概ね駐車場内の
CO濃度基準の短期曝露は15~30分で90~120ppm、長期曝露は8時間平均値で
25~50ppmと基準を設けている例が見受けられる。
表 3-19 海外における駐車場内のCO濃度の基準値
国
名
カナダ
(オンタリオ州)
フィンランド
基 準 値
出典
1日8時間かつ週40時間の勤務時間において、平均25
ppm以下とし、労働者の一酸化炭素の暴露を制限するよ
う駐車場換気を行う。また、短期曝露(15分間以内)で
「駐車場換気/技術仕様5-0
は100ppmを超えてはならない。一般的な排気システ 指針 7」(オンタリオ州労働省)
ムが使われる所では、全体エリアに均一な交替空気を提供
できるよう換気を設計されなければならない。
空気の汚染物質の濃度が規定値を超過した場合は最大の
「フィンランドの建築基準」
換気が実施されなければならない(例をあげると、一酸化 指針
(環境省)
炭素の濃度が50ppmに達した場合)。
フランス
駐車場の各区画での一酸化炭素の濃度の上限は下記の通
りである。(外で抽出されたサンプルの一酸化炭素の数値
にかかわらず、これらの数値に従わなければならない。)
「覆われた駐車場に関する通達」
・どの期間でも連続的な8時間で計算された平均含有値が
指針 (エコロジー・持続可能開発・エ
1分あたり50ppmを超えてはならない。
ネルギー省)
・どの期間でも20分間での平均含有値は100ppmを
超えてはならない。
・瞬時の分量で200ppmを超えてはならない。
オランダ
最大濃度の規定値は、30分間で120ppm、かつ8時 業界 産業基準
間で25ppm。
基準 (オランダ規格協会)
韓国
路外駐車場の内部空間の一酸化炭素濃度は、駐車場を利用
する車両が最も頻繁な時刻の前後8時間の平均値が50
「駐車場法施行規則」
ppm以下(「多衆利用施設などの室内空気質管理法」第 義務
(国土交通部)
3条第1項第9号の規定による室内駐車場は25ppm
以下)に維持しなければならない。
英国
「イングランド及びウエールズ
8時間平均30ppm以下、出入り口などの濃度の高い場
指針 における建築規則に基づく承認
所では90ppm超が15分間を超えてはならない。
基準書」
「カリフォルニア ビルエネルギ
全てのセンサー部で常時25ppm以下に維持しなけれ
義務 ー効率基準」(カリフォルニア
(カリフォルニア州) ばならない。
エネルギー委員会)
米国
3-30
3換気基準の今後のあり方の検討
3) 一酸化炭素(CO)が人体に与える影響
一酸化炭素(CO)への曝露により、血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度が高まると、人体
に以下のような症状が表れるとされている。
① 一酸化炭素の曝露による健康に対する影響(抜粋)
WHO(世界保健機関)環境保健基準
一酸化炭素、1999年
一酸化炭素への曝露の影響
血中一酸化炭素ヘモグロビンの濃度が5.0%から、健康な若い成人の、酸素摂取量の減少と最大運動
条件下での作業能力を低下させた結果が明らかに見られ、いくつかの研究では、2.3%から4.3%と
低い一酸化炭素ヘモグロビンで作業能力の減少を観察した。
これらの影響は、十分に高い一酸化炭素曝露の状況下での、特定の物理的に厳しい職業やレクリエーシ
ョン活動に起こりうる面で、一般集団の健康に影響すると言ってよい。
10〜30%の高い一酸化炭素ヘモグロビン飽和で、一酸化炭素中毒の神経学的徴候、頭痛、めまい、
吐き気、混乱、見当識障害や視覚障害のような19の症状が発生する可能性がある。30~50%の一酸
化炭素ヘモグロビンの生成で、労作性呼吸困難、脈拍と呼吸数の増加、めまいが観測された。
一酸化炭素ヘモグロビン濃度が50%に達すると、痙攣、心肺停止に発展する可能性がある。
世界保健機関(WHO)のガイドライン
ガイドラインの有用性(ppmの値は四捨五入)については、軽め、もしくは適度な運動に従事する通
常の被験者の場合であっても、血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度が2.5%を越えない、平均曝露時間を
以下のように決定した。
100mg/m3(87ppm)なら15分
60mg/m3(52ppm)なら30分
30mg/m3(26ppm)なら1時間※
10mg/m3( 9ppm)なら8時間
※一般的なホッケーの試合や練習において、26ppmの一酸化炭素に1時間以上
曝露すると、正常な被験者は一酸化炭素ヘモグロビン濃度が2.5%を超える。
② 「一酸化炭素の環境基準」の解説と達成への方向(1970年・藤原正弘著)(抜粋)
項目
概
(1)
人の健康と 福祉に
及ぼす影響
(2)
(3)
(1)
(2)
重要な人へ の影響
とその汚染条件
(3)
(4)
(5)
要
COは血液中のヘモグロビン(CO血球素)と結びつき、その結合力が酸素より240倍
強いため、CO血球素の本来の酸素運搬の機能が阻害される。
COが生体内のある種の酸素と結合、または反応することによって生理機能障害が起こる。
自然的に体内で一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)がごく少量であるが生成される。こ
れは空気中にCOがない場合、スムーズに外へ呼気とともに放出されるが、COがある場
合その肺胞からの解離が阻害される。
内因性CO(自然的に体内で発生するCO)の肺胞での解離を阻害することなく、完全に
生理学的に解離を円滑に進行させるためには、吸入空気のCO濃度は5ppmを下回るこ
とが望ましい。
喫煙・暖房・厨房、および大気汚染におけるCOの汚染などから吸収されたCOをすみや
かに体外へ排除するためには、環境大気中のCOは可及的に低濃度でなければならない。
たとえば、1時間値の平均CO濃度20ppmの空気を8時間の間呼吸してCOHbが増
加した人のCOHb量が、もとの値までに回復するためには、1時間値5ppm程度のと
ころに、少なくとも8時間以上いることが必要である。この状態を1時間値の24時間平
均値に換算すると10ppm程度となる。
時間識別能力の低下は、血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度(COHb)が2%に達すると
現れてくる。たとえば、24時間、COに汚染された空気を呼吸する場合には、COHb
が2%以下を維持するためには、CO濃度の1時間値の24時間平均は10ppm以下で
なければならないことになる。また、1時間だけCOに汚染された空気を呼吸する場合に
は、1時間値55ppm以下であることが望ましい。
心筋梗塞発作患者には、1時間値の24時間平均濃度10ppmのCO汚染が数日間つづ
くと、COによる悪影響があらわれる。
COHb量が5%に達すると、精神神経機能が低下すること、貧血者、重要臓器の循環障
害者の死期が早まることがみとめられている。このCOHb量5%は、30ppm8時間
で生じる。
3-31
3換気基準の今後のあり方の検討
4) CO濃度及び暴露時間と人体への影響
3)より、一酸化炭素(CO)の濃度及び暴露時間と人体への影響の関係は下表の通りであ
る。
表 3-20 CO濃度及び曝露時間と人体への影響の関係
「WHO(世界保健機構)のガイドライン」 「『一酸化炭素の環境基準』の
解説と達成への方向」
血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度2.5%
※軽めもしくは適度な運動に従事する通常の
被験者において作業能力が減少
血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度2.0%
※時間識別能力が低下
9ppm/10ppm
8時間
24時間
26ppm
1時間
-
52ppm/55ppm
30分
1時間
87ppm
15分
-
5) 駐車場内のCO設定濃度(N)
駐車場内のCO濃度を設定する上では、濃度とともに、駐車場内に滞在する時間をどのよ
うに考えるかが重要である。
駐車場における一般的な利用者の滞在時間は短く、建築物に設置される階当たりのフロア
面積が国内最大規模の路外駐車場(約200m×約500m)において、駐車後に場内の最
長経路(約500m)をゆっくりとした速度(秒速0.96m)で移動するような場合であ
ったとしても、車路走行時間(走行距離約300m;時速8kmで算定)を含めた駐車場内
での滞在時間については、通常の利用形態では30分を超えないものと考えられる。
また、WHOのガイドラインでは、軽めもしくは適度な運動に従事する通常の被験者にお
いて作業能力が減少する(血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度が2.5%に達する)のは52
ppmで30分間の暴露とされており、「『一酸化炭素の環境基準』の解説と達成への方向」
では、時間識別能力が低下する(血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度が2.0%に達する)の
は55ppmで1時間の暴露とされている。
以上を踏まえ、駐車場内のCO設定濃度は、ピーク時1時間において50ppmとする。
この場合、3.2.2 における駐車場の実態調査結果より、1時間あたりのピーク時における
駐車場回転率は1日の営業時間(平均18.3時間)における1時間平均駐車場回転率の2.
49倍であることから、設けられた換気装置を100%の稼働率で連続運転させた場合には、
平均CO濃度は20ppm程度の水準となる。これは、居室において許容されている水準と
同程度である。
⇒駐車場内のCO設定濃度(N)は、ピーク時1時間において50ppm(現行基準の
算定根拠の1/2)とする。
3-32
3換気基準の今後のあり方の検討
6) 駐車場内のCO設定濃度の運用について
駐車場法施行令第12条では、換気装置に関する基準について規定されているが、その運用
について規定されていない。
2.4.2 でも記載している通り、近年、大規模な路外駐車場では、省エネ等の観点から、駐車
場の利用状況(CO濃度等)に応じている換気量(装置の稼働率)がインバータ制御等によっ
て調整され、運転されている事例が見られる。
ここで、これらの制御により、駐車場内のCO濃度が50ppm程度で保持されるような運
用がされた場合、利用者が長時間滞在するような状況においては、人体への影響が危惧される
ことになる。
よって、換気装置の運用において留意を促す必要があると考えられる。
3.2.2 における駐車場の実態調査結果より、1時間あたりのピーク時における駐車場回転率
は1日の営業時間(平均18.3時間)における1時間平均駐車場回転率の2.49倍である
ことから、8時間平均では、約2倍になると推定される。
以上より、換気装置の運用にあたっては、25ppm以下を保つことを推奨することとする。
⇒換気装置の運用にあたっては、25ppm以下を保つことを推奨する。
3-33
3換気基準の今後のあり方の検討
3.2.5 換気による必要供給空気量(v)
1) 基本的な考え方
今回、換気基準の検討で算定した、3.2.1 駐車場における自動車のCO排出量(q)、3.2.2
駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)、3.2.3 指標物質の選定、3.2.4 駐車
場内のCO設定濃度(N)の値より、新たな基準における換気による必要供給空気量(v)
を算定する。
2) 算定方法
新たな基準における換気による必要供給空気量の算定にあたり、現行基準の算定根拠に、今
回新たに設定した値を代入して算定する。
(現行基準における算定根拠)
q(駐車場における自動車のCO排出量)=1(m3/h・台)
R(駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合=0.07(7%)
N(駐車場内のCO設定濃度)=100×10-6 (100ppm)
v
=
m・0.07・1
100×10-6
700m〔m3/h〕
=
(新たな基準における必要供給空気量)
q(駐車場における自動車のCO排出量)=0.24(m3/h・台)
R(駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合=0.07(7%)
N(駐車場内のCO設定濃度)=50×10-6 (50ppm)
v
=
m・0.07・0.24
100×10-6
≒
340m〔m3/h〕
3) 換気による必要供給空気量(v)の算定結果
今回設定した値で算定すると、換気による必要供給空気量(v)は、駐車場収容台数1台あた
り340m3/h(現行基準の算定根拠の約半分)となる。
⇒換気に必要な供給空気量(v)は、駐車場収容台数 1 台あたり340m3/h(現行
基準の算定根拠の約1/2)。
3-34
3換気基準の今後のあり方の検討
■粒子状物質(PM)に関する安全性の検証
粒子状物質(PM)については、「3.2.3 4)指標物質の選定」において、一旦比較の対象
物質から外していたが、以下の検討により、指標物質である一酸化炭素(CO)よりも安全
側にあることの確認を行う。
「3.2.5 換気による必要供給空気量(v)」において提示された指標物質(CO)の希釈
に必要な供給空気量340(m3/h)でPMを希釈した際の濃度を算定し、「大気汚染に
係る環境基準」に示されている浮遊粒子状物質の基準値(0.1mg/m3)に対して検討
を行う。
駐車場内におけるPM排出量は、自動車1台あたりの1時間排出量に、駐車場内でエンジ
ンをかけている割合(R)(7%)を乗じた値で表される。
駐車場内における排出量=0.00204(g/min)×60(min/h)×0.07
=0.008568(g/h)
換気による供給空気量で希釈した際の濃度:
0.008568(g/h)×1000(mg/g)÷340(m3/h)
≒ 0.0252(mg/m3) <
0.1(mg/m3)
以上より、「大気汚染に係る環境基準」に示された浮遊粒子状物質の1時間値の1日平均
値より下回っており、指標物質である一酸化炭素(CO)よりも安全側にあるといえる。
3-35
3換気基準の今後のあり方の検討
3.3 機械換気に関する原単位の検討
3.3.1 現行基準における原単位
現行基準では、駐車場の容積を1単位として換算した原単位で基準を設けている。
これは、一酸化炭素の発生源である自動車に着目し、直接的に駐車場収容台数を 1 単位とし
て原単位を設定することが適切である一方、駐車場収容台数は駐車区画の見直し等によって駐
車場設置後に変更される可能性があることから、基準となる 1 単位として採用されなかったも
のと考えられる。
駐車区画の見直し等によって駐車場設置後
に変更される可能性がある
換気装置の能力 :
○(台)× v(m3/h・台)
図 3-19 駐車場収容台数を1単位とした場合の課題
なお、現行基準では、駐車場の天井高を高く設計した場合には、必要以上の能力を有する換
気装置の設置が要求されるという問題が生じている。
天井高さによって必要以上の能力を有する換気
装置の設置が要求されてしまう場合がある
換気装置の能力:
W(m)×D(m)×h(m)×○(回/h)
図 3-20 駐車場容積を1単位とした場合の課題
<現行基準の算定方法(機械換気)>
v=700・m
=700・(S/25)
=700・((V/2.7)/25)
≒10V
3-36
v
m
S
25
V
2.7
: 換気による必要供給空気量(m3/h)
: 駐車場収容台数(台)
: 駐車場の床面積(m2)
: 自動車1台当たりの床面積(m2)
: 駐車場の容積(m3)
: 駐車場の天井高(m)
3換気基準の今後のあり方の検討
3.3.2 新たな原単位の考え方
1) 新たな原単位
新たな原単位の設定にあたっては、駐車場収容台数や天井高さの影響を受けない駐車場の床
面積を1単位とする。
⇒換気基準における1単位を、駐車場の床面積に見直す。
駐車場の床面積を1単位として原単位を算定すると以下の通りである。
<駐車場の床面積を1単位とした場合の新たな原単位(機械換気)>
換気による供給空気量(m3/h)
駐車場収容台数(台)
駐車場の床面積(m2)
自動車1台当たりの床面積(m2)
駐車場の容積(m3)
駐車場の天井高(m)
v
:
m
:
S
:
25 :
V
:
2.7:
v=340・m
=340・(S/25)
≒14S
⇒換気基準における新たな原単位は、14とする。
(参考)<現行基準の算定方法>にあてはめた場合の換気による必要供給空気量(v)の比較
現行基準の算定方法に当てはめると以下の通り、換気による必要供給空気量(v)は、
現行基準の1/2となる。
■現行の換気による必要供給空気量(v)
v=700・m
■新たな換気による必要供給空気量(v)
v=340・m
=700・(S/25)
=340・((V/2.7)/25)
=700・((V/2.7)/25)
≒
≒10V
3-37
5V
3換気基準の今後のあり方の検討
3.4 自然換気(開口部換気)に関する原単位の検討
3.4.1 現行基準における原単位の考え方
現行基準では、自然換気については駐車場の床面積を1単位として原単位を設定している。
<現行基準の算定方法(自然換気)>
A=2・v/(k1・k2・w・3600)
=2・700・(S/25)/(0.15・0.50・2・3600)
≒(1/10)・S
A
v
k1
k2
w
S
25
:
:
:
:
:
:
:
開口部面積(m2)
換気による供給空気量(m3/h)
周囲の建物等による風速の修正係数
窓の流量係数
常時の平均風速(m/s)
駐車場の床面積(m2)
自動車1台当たりの床面積(m2)
現行基準の算定根拠となっている各数値については、引用された文献等は見当たらない。
なお、現在の文献を確認すると、以下のような内容が記載されたものがあり、現在において
も一定の妥当性を有していると考えられる。
(参考)各係数及び数値
① k1 周囲の建物等による風速の修正係数(0.15)
「ビル風の基礎知識」(風工学研究所)によれば、新宿新都心をモデルにした風洞実験
の実験値及び観測値において、一般的に周辺の障害物に直接的に邪魔されていない地点と
新宿新都心の風速比の最低値は0.15程度とされており、現行基準と同程度の数値とな
っている。
② k2 窓の流量係数(0.50)
「空気調和・衛生工学便覧」(空気調和・衛生工学会)においては、単純な窓の場合、
窓の流量係数は約0.7とされている。なお、自然換気口の面積算出における例示では、
流量係数として0.5が使用されている。
③ w:常時の平均風速(2〔m/s〕)
2〔m/s〕 は、6大都市のうち最も平均風速の低かった京都市における観測値と同
程度である(昭和32年当時)。また、直近においても、昭和32年当時とほぼ同程度の
観測値となっている。
3-38
3換気基準の今後のあり方の検討
3.4.2 自然換気(開口部換気)に関する原単位の検討
1) 検討方針
自然換気(開口部換気)に関して、新たな基準における必要供給空気量(v)(340・
m〔m3/h〕)を代入して、必要開口部面積を算定すると、現行の基準の1/2程度(駐
車場の床面積の1/20程度)となる。
しかしながら、風の有無や開口の配置方法等によっては十分な換気能力が得られないケー
スも考えられる。
このため、自然換気(開口部換気)の路外駐車場においてCO濃度の実地測定を行った。
2) 自然換気(開口部換気)路外駐車場の実態調査
自然換気(開口部換気)の路外駐車場におけるCO濃度について、以下の通り、5箇所の
駐車場において実地測定を行った。
今般の調査においては、自動車の出庫直後と考えられる3地点を除いたほぼ全ての調査地
点でCOが不検出であった。
このことから、一定量の換気は確保されており、現行基準の算定式についても一定の妥当
性は得られていることが確認できた。
表 3-21 自然換気(開口部換気)路外駐車場実態調査結果
測定結果
CO濃度(ppm)
駐車場名(施設用途)
測定対象階(収容台数)
測定回
1
2
駐車場A(商業施設)
3
2
2階(収容台数50台・床面積1,700m )
4
5
6
1
2
駐車場B(複合商業施設)
3
2
3~4階(収容台数51台・床面積1,400m )
4
5
6
1
2
駐車場C(駐車施設)
3
2
2~3階(収容台数58台・床面積1,400m )
4
5
6
1
2
駐車場D(複合商業施設)
3
2
2階(収容台数177台・床面積4,500m )
4
5
6
1
2
駐車場E(複合商業施設)
3
2
3階(収容台数270台・床面積9,800m )
4
5
6
開口部
1
2
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
3
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
5
N.D.
N.D.
N.D.
滞留部
中心部
4
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
5
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
※測定は約20分ごとに各測定地点において測定(各駐車場、計2時間・6回測定)
※N.D.は不検出(CO濃度測定に使用した機器の検出下限値は1ppm)
※出庫台数は測定対象フロアを通過する台数も含んだ値
3-39
6
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
6
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
7
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
26
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
N.D.
-
開口部の
平均風速
(m/s)
出庫台数
(台/h)
0.80
80
開口率
(参考)
駐車場内で
エンジンを
かけている
自動車の
割合
風速
(気象台)
(m/s)
0.0534
9.6
0.0540
7.6
0.0906
7.2
0.1039
6.7
0.0024
3.4
0.0051
4.1
0.0159
3.4
0.0159
3.2
0.0226
2.9
0.0174
2.1
1/9.93
0.66
91
0.81
136
1/9.50
1.00
173
0.42
4
1/9.44
0.29
3
0.37
60
1/8.73
0.27
60
0.41
110
1/9.87
0.23
98
3換気基準の今後のあり方の検討
(測定方法)
図 3-17 調査箇所イメージ図
※調査員が順に各測定地点で測定を実施
(これを、測定実施時間中、20分ごとに繰り返す)
(使用機器)
検知範囲
(サービスレンジ)
0~300ppm
(301~2000ppm)
分解能
0~ 350ppm: 1ppm
350~2000ppm:50ppm
※1 分間計測中、観測者の目視による瞬時値
寸法(突起部は除く) W66×H24×D57mm
重量
約68g(電池含む)
図 3-18 使用機器(一酸化炭素濃度計)
3) 見直しについて
2)の結果より、一定の妥当性が得られていることは確認できた一方、自然換気(開口部換気)
については、周囲の建物の状況、風速等によって大きく左右される。
また、現行の基準(駐車場の床面積の1/10倍)を満たすためには通常3~4方向に開口
部を設ける必要があるが、これを1/2程度に緩和すると、1~2方向の開口部のみで基準を
満たすことが可能となる場合もあり、開口の配置方法によっては、自然換気が十分に機能しな
い可能性も考えられる。
よって、自然換気(開口部換気)の基準については、現行のまま据え置く。
⇒自然換気(開口部換気)の基準については、現行のまま据え置く。
3-40
3換気基準の今後のあり方の検討
3.5 新たな換気基準のまとめ
3.5.1 換気による必要供給空気量の見直し
これまでの検討結果を踏まえ、
①駐車場における自動車のCO排出量(q)
②駐車場内でエンジンをかけている自動車の割合(R)
③指標物質の選定
④駐車場内のCO設定濃度(N)
⑤換気による必要供給空気量(v)
上記については、以下の通り見直すこととする。
表 3-22 換気による必要供給空気量の見直し
項
①
目
現 行
見直し後
参考
ピーク時
1時間平均
8時間平均
0.24
(m3/h・台)
1.0
駐車場における自動車1台・1時間
あたりのCO排出量(q)
(m3/h・台) 【現行基準の
約1/4】
②
駐車場内でエンジンをかけている自
動車の割合(R)
③
指標物質の選定
④
駐車場内のCO設定濃度(N)
0.07
(7%)
0.07
(7%)
一酸化炭素
(CO)
一酸化炭素
(CO)
100×10-6
(100ppm)
換気による必要供給空気量(v)
⑤
v
=
m・R・q
N
700m
(m3/h)
50×10-6
(50ppm)
【現行基準の
1/2】
340m
(m3/h)
【現行基準の
約1/2】
m: 駐車場収容自動車台数(台)
3-41
0.035
(3.5%)
25×10-6
(25ppm)
3換気基準の今後のあり方の検討
3.5.2 原単位の見直し
1) 換気基準の新たな原単位
換気基準の原単位については以下の通り、容積(V)から床面積(S)を原単位として見
直すこととする。
表 3-23 原単位の見直し
S:駐車場の床面積(m2)
V:駐車場の容積(m3)
25:収容台数1台あたりの駐車場の床面積(m2)
2.7:駐車場の天井高(m)
現行
見直し後
容積(V)を
単位とする場合
v=700m
=700(S/25)
=700((V/2.7)/25)
≒10V
床面積(S)を
単位とする場合
v=700m
=700(S/25)
≒28S
換気基準
(機械換気)
v=340m
=340(S/25)
=340((V/2.7)/25)
≒5V
v
= 340m
= 340(S/25)
≒ 14S
(床面積(S)を単位として)
(容積(V)を単位として)
内部の空気を床面積1m 2 につき14
内部の空気を1時間につき10回以上
m 3 /h以上直接外気と交換する能力
直接外気と交換する能力を有する換気
を有する換気装置を設けなければなら
装置を設けなければならない。
ない。
※ 自然換気(開口部換気)の基準については、現行の基準を引き続き維持。
2) 今後のさらなる社会情勢の変化に伴う基準の見直しの必要性
現在、前述の通り、次世代自動車の普及が今後さらに進むことや環境性能の更なる向上が
予想され、それに伴い有害物質の排出量はさらに減少し、路外駐車場内のCO排出量も減少
していくと考えられる。
そのため、今回の見直しを前提として、今後の社会情勢の更なる変化に注視し、必要に応
じて見直しの検討を重ねていくことが必要である。
3-42
4路外駐車場の換気基準に関する検討委員会
4 路外駐車場の換気基準に関する検討委員会
4.1 委員会概要
本検討内容については、以下の構成による委員会を3回開催し、路外駐車場の換気基準に関
する検討を行った。
【座長】
水野 明哲
工学院大学 名誉教授
【有識者】
委 員
鍵 直樹
東京工業大学 大学院情報理工学研究科 准教授
委 員
草鹿 仁
早稲田大学 理工学術院創造理工学部 教授
委 員
近藤 靖史
東京都市大学 工学部建築学科 教授
【地方公共団体】
委 員
加藤 達也
川崎市 まちづくり局交通政策室 地域交通対策担当課長
【事務局】
国土交通省 都市局 街路交通施設課
4.2 各回委員会概要
各委員会の概要は以下の通り。
※ 委員会資料は参考資料参照
4.2.1 第1回委員会
日時:平成27年7月27日(月)
議事:議題1 路外駐車場の換気基準に係る経緯・現状について
議題2 検討の進め方について
議題3 指標物質及び基準濃度の設定について
〔委員からの主なご意見〕
・現行基準制定時の理論(特に自然換気の各種係数)についても検討が必要である。
・自動車から排出される物質の状態は必ずしも気体ではないため、「指標気体」ではな
く「指標物質」とするべきである。また、「許容濃度」という表現は普遍的、医学的
な意味合いが強くなるため、駐車場を対象とするなら、「基準濃度」という表現が適
切である。
・指標物質の選定にあたっては、排出ガスにCO、NOx、SOx等の物質がどの程度
含まれており、一定時間における排出量に対し何m3の空気量で希釈すれば基準濃度
以下になるのかを比較し、その上で一番危険側にある物質がCOであるという論理的
な説明が必要である。
・基準濃度を瞬時値で考えるのか平均値で考えるのか、医学的な立場からの検討も必要
である。
・PMは、人体への影響とは別に前方視認性への影響があるが、駐車場の場合それほど
問題にならないと考えられる。
4-1
4路外駐車場の換気基準に関する検討委員会
・CO濃度センサーの設置や用途別等の運用方法によって基準を規定する方法もあるが、
路外駐車場の設置の届出(駐車場法第12条)において、一度届出を受理した後、個々
の駐車場の運用状況を継続的に確認していくことは、自治体事務として現実的に困難
である。
4.2.2 第2回委員会
日時:平成27年10月8日(木)
議事:議題1 必要な換気量の算定について
議題2 原単位の設定について
〔委員からの主なご意見〕
1.必要な換気量の算定について
・必要な換気量について、事務局案を了承する。
・換気装置の運用にあたっての一酸化炭素の設定濃度については、情報提供の検討が必
要。
2.原単位の設定について
・機械換気における原単位について、事務局案を了承する。
・自然換気については、駐車場における実地調査等を実施したうえで、検討することと
する。
・機械換気と自然換気の併用については、解析が難しく基準化は困難である。
4.2.3 第3回委員会
日時:平成27年12月8日(火)
議事:議題1 自然換気に関する基準の検討
議題2 路外駐車場の換気基準に関する見直しの方向性
〔委員からの主なご意見〕
1.自然換気に関する基準の検討
・自然換気は気温や風速等によって換気の効果が大きく左右されるほか、仮に基準を緩
和した場合には、開口部の配置等によっては、十分な換気がなされないケースも考え
られることから、自然換気に関する基準の緩和については慎重に行うべきである。
2.路外駐車場の換気基準に関する見直しの方向性
・事務局案を了承する。
・換気装置の運用については、今後、通知等により25ppm以下を保つことを推奨す
べきである。
【今後の予定】
本検討委員会の結論を踏まえ、今後、駐車場法施行令の改正に向けた手続きを進める。
4-2
Fly UP