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アドミッションセンター活動日誌 - 大学教育機構

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アドミッションセンター活動日誌 - 大学教育機構
表紙写真:碧水秋葉(山口・長門峡 撮影:Hexiaoyi)
巻頭の言葉
大学教育機構の新しい出発を期待して
山口大学学長 丸本 卓哉
大学教育機構長をお引き受けして6年が経過し、本年で7年目を迎えるところ
でしたが、思いもかけず5月から学長を拝命することとなり、機構長を退任しま
した。振り返るとあっという間の6年間でした。お陰様で大学教育機構だよりも
7号の発行となりました。この間思い起こすと、数え切れない程の出来事があっ
たといえますが、忘れられないことは法人化前に大学教育センターと学生支援セ
ンターが文部科学省の省令施設として認められたことと大学教育棟の改修案が承
認されたことです。また、エクステンションセンターが学内措置ではありました
が設置され、学外に対する教育の社会貢献窓口としての役目を十分に果たすこと
が出来るようになったことです。さらに特色ある教育改善プログラム(特色GP、
現代GPなど)で、平成16年度2件、平成17年度5件、平成18年度5件が採択さ
れたことも、うれしいことでした。機構内の6センターそれぞれが私を支えてい
ただいたことに対し、本紙面をお借りして心より感謝申し上げます。
私の後任として機構長を引き受けていただいた塚原副学長は、医学部保健学科
長と評議員を永年勤められた教育熱心な国際人です。きっと新しい視点で、大学
教育機構をリードしていただけるものと確信しています。今年は法人化して3年
目ですが、大学運営にとっては、予算上の減少が大きな課題として相変わらず続
いています。大学教育機構の予算もかなり窮屈になっていると思いますが、経費
削減や工夫によって全員力を合わせてこの苦況を乗り切っていただきたいと願っ
ています。大学教育機構は山口大学の最も大切な背骨です。今後、機構の益々の
充実と新しい出発を期待しています。
−1−
おさ
特集 新しい長から
ご あ い さ つ
大学教育機構長(理事・副学長)
塚原 正人
「大学教育機構だより」第7号をお届けします。2003年秋に創刊号を発行して以来3年
が経ちます。本誌を通して大学教育機構の活動・実践状況に触れていただければ幸いです。
教育機構では大学教育センター、アドミッションセンター、学生支援センター、国際セ
ンター、保健管理センターおよびエクステンションセンターの6センターそれぞれが緊密
に協力しあい、連携をとりながら教育・研究・業務を遂行しています。各センターの独自
性を発揮しつつ、一丸となって機構に課せられた使命を遂行したいと思います。現在、教
育研究総合センター(旧共通教育棟)の第Ⅱ期改修工事が行われています。共通教育本館
棟および講義棟が順次改修され、2007年3月に完成予定です。ハード面の改修に伴い、機
構の教職員が心を新たにして、6センターと各部局との連携をスムーズにしながら、教育
環境を充実させていきたいと考えています。
本年度は6項目の重点目標すなわち1)Admission Policy(AP)、Graduation Policy(GP)
の作成とカリキュラム・マップの構築、2)2006年問題に対応した共通教育の教育プログ
ラム改善、3)教務事務・厚生事務電算システム機能の拡充、4)障害者学習支援、5)
国際交流戦略本部の設置、6)山口県内11大学コンソーシアムとの協力連携の促進、を設
定していますので、その達成に向けて努力したいと思います。
大学教育機構は教育の実務面はもとより、常に学部との有機的かつ密接な連携のもと、
横断的視野に立って大学の教育戦略、たとえば特色ある大学教育支援プログラム(GP)な
どの研究費獲得や国際交流・貢献につながる国際戦略を立案・実施する役目も担っていま
す。そのためには、各センターの教職員が一丸となってさまざまな課題に取り組む必要が
あります。常にPDCA(Plan, Do, Check, Act)を念頭におきながらそれぞれの職責を果たし
ていくことが大切です。本誌を通して、教育機構教職員の活動・実践に対する理解がいっ
そう深まることを期待しています。
皆さまの温かいご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
−2−
おさ
特集 新しい長から
大学教育センター長に就任して
大学教育センター長 岩部 浩三
平成8年5月に大学教育センター長に就任い
たしました。4ヶ月足らずの間の感想ですが、
センター長の仕事と認識していた部分は実は海
面上の氷山の一角にすぎず、むしろ海面下にあ
る部分の大きさに驚いております。教育は、授
業にたずさわる教員の方々日々の教育活動と学
生諸君の勉学活動がすべてであり、できる限り
その活動を円滑で効率性の高いものにし、働き
やすい・学びやすい環境にしていかなければな
らないと感じております。そのために、微力な
がらできる限りのお手伝いをしたいと考えてお
ります。
さて、大学教育センターは、教養教育と専門
教育を体系的、総合的に行う教育システムの確
立をめざし、特色ある大学教育を実施するため
に平成14年にスタートしました。
現在、大学教育センターの企画実施面につい
ては、特に次の2点を実施し、外からもよく見
える教育カリキュラムの実現を目指していま
す。
1.すべての授業について、その内容と評価方
法を詳しく述べたシラバスを作成し、WEB公
開すること。
2.グラデュエーション・ポ
リシー、すなわち卒業時ま
でに達成すべき教育目標を
学部学科ごとに設定し、各
授業科目とグラデュエーシ
ョン・ポリシーとの対応関
係を示したカリキュラムマ
ップとともにWEB公開す
ること。
また、教育評価の観点か
らは、授業の質と内容を充
実するために学生授業評価
とそれを踏まえた教員授業
自己評価を実施し、授業改善に反映させていま
す。
このような作業を通じて問題点を発見し、
Plan-Do-Check-ActのPDCAサイクルによって教
育改善を推進しています。その成果は日々の授
業の充実として現れてきていますが、本学の教
育プロジェクトの中には「TOEICを活用した英
語カリキュラム」を始めとして、「特色ある大
学教育支援プログラム(特色GP)」や「現代的
教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」な
ど国の「大学教育改革の支援プロジェクト」と
して高く評価されるものが数多く出てきていま
す(現在11件)。もちろん、このような成果は
大学教育センターの実績ではなく、各学部・学
科あるいは共通教育分科会に所属する教員の
方々の力によるものに間違いありません。セン
ターの業務は、共通教育の実施運営や、学部教
育との連携などに注意しながら、大学全体の教
育活動をサポートすることに他ならず、山口大
学の特色ある教育をより一層発展させるお手伝
いができればと願っております。
このような努力を続けながら、全国の「楽し
く勉強をしたい若人」の山口大学への入学と進
学を心よりお待ちしています。
学生との意見交換会にて(左1人目)
−3−
おさ
特集 新しい長から
AO入試は山大教育に有効か
アドミッションセンター長 富永 倫彦
●画期的な山大の選抜実施組織
この春、AO入試で入学した学生が初めて卒
業しました。同時に5回目のAO入試による入
学生を迎え入れたことになります。そして先ご
ろ、2007年度入学者の合格発表のを行いました。
今のところ、AO入試を明確に定義づけるも
のは示されていませんが、2000年の大学審議会
答申には、「アドミッション・オフィス入試に
求められるもの」として、以下の項目が掲げら
れています。
① 自らの意思で出願できる、公募型の入学
者選抜であること
② 求める学生像や、受験生に求める能力・
適性等を明確にし、それに応じた選抜方
法を工夫・開発すること
③ 受験生の能力・適性・意欲・関心等を多
面的、総合的に評価すること
④ 高校生との相互のコミュニケーションを
重視するものであること
⑤ 専門的なスタッフの充実等十分な体制を
整備すべきこと
本学のAO入試はこれらの項目に沿ったもの
で、他大学と比較してもオリジナリティのある
選抜方法となっています。とりわけユニークで
ある点は、AO入試委員会を全学的な選抜実施
組織として位置づけ、各学部から選出された教
員とアドミッションセンターの教員で構成し、
この組織が、いわゆるアドミッション・オフィ
ス機能を果たすものとした点にあります。した
がって、医学部の教員が人文学部の面接を担当
したり、経済学部の教員が工学部の面接に携わ
ったりします。他の選抜方法の実態が学部入試
であることと比較すれば、国立大学としては画
期的だと言えるでしょう。
●問われる選抜方法と教育体制の整合性
山口大学のAO入試が必ずしも理想的な選抜
方法として機能しているわけではありません
が、少なくとも、従来の選抜方法では見られな
かった学生を受け入れることが出来ていること
は事実だと思われます。学部によっては学力不
足が指摘されるなど多少の問題点もあります
が、入学当初の成績が芳しくない学生の中にも、
学年を経るにつれて飛躍的に向上している者が
見受けられるとの報告もあります。これは、意
欲的に取り組んだ学生とそれに応えた大学の教
育成果であり、選抜方法と教育体制が連動した
理想的な事例と言えるでしょう。
AO入試の成否は、卒業後も含めた一定のス
パンで追跡調査を重ねなければ論じることは出
来ませんが、少なくとも僅かばかりの個性的集
団が授業を活性化し、クラブ活動等でリーダー
シップを発揮している状況が随所に現れている
ことは事実です。
教育は人材育成であり、時代の変化と社会の
要請に応えることが大学教育の大きな役割です
から、入試で教科学力だけにこだわらなければ
ならない必然性はないように思われます。大学
ユニバーサル化時代とも言われる今日、大学は
万人のための教育機関を指向するわけですか
ら、学びたい学生のすべてを受け入れるのが理
想でしょう。しかし、やむなく選抜をしなけれ
ばならない状況にあるなら、まず第一に学習意
欲の高い学生から受け入れるのが筋ではないで
しょうか。つまり、「教えやすい学生」より
「教えがいのある学生」を入学させることこそ、
ユニバーサル化した大学に相応しい学生像だと
思われます。その意味で、山口大学のAO入試
は、学生受け入れの在り方として理にかなった
適切な方法だと考えられます。無論、その場合
に問われるのは教育体制の整備です。受け入れ
た学生を教育する体制がなければ入試改革は罪
づくりになってしまうのです。従って、AO入試
で受け入れた個性豊かな(?)学生をどのように
育て社会が求める人材として輩出するかは、今後
の大きな課題であり大学の責任でもあります。
−4−
おさ
特集 新しい長から
大学教育機構の一員となって
学務部長 佐藤 修二
平成18年4月から新たに大学教育機構の一員
となった。
桜咲く季節に山口大学の新入生と同じように
新たな気持ちで大学の門をくぐりながら、ふと
20年程前の遠い昔の記憶が蘇った。
当時は、多くの国立大学に学生部長(現在の
学生担当副学長相当職)と学生部次長(現在の
学務部長相当職)が配置されていた。私は文部
省学生課の若手職員として勤務しており、全国
の学生部次長と国立大学における学生部の取り
組みについて議論する機会が多くあった。
相手は昭和30年後半から40年前半にかけて全
国に吹き荒れた学園紛争において様々な苦難を
切り抜けてこられた面々である。また、学生の
自主的な活動を支援し、学生が自立した人間と
して成長し、社会に巣立っていくプロセスに携
わる仕事に自負心を持っておられた方々であ
る。当時の「名物次長」と呼ばれた豪傑達と、
旧制高校時代の伝統を受け継ぐ厚生補導の在り
方、戦後米国から導入されたSPS理論の重要性
などについて出張先で夜どおし語り明かしたこ
ともしばしばあった。話の中でよく出てきたの
は、入試、学生支援、留学生などの諸問題につ
いて学長指揮の下、教官と事務官が一体となり、
機能的な取り組みが展開できる全学的な組織の
創設であった。先輩達は20年以上も前に、本学
の大学教育機構のような組織に自分自身の活躍
の場を求めていたのかもしれない。
スマートな公務員というよりも、熱血漢で、
昔の地域社会には必ずいた「近所の恐いおじさ
ん」タイプが主流だった輩も、もうすでに定年
となって、それぞれ第二の人生を歩まれておら
れることと思う。緑豊かな本学キャンパスの風
景と重なり、多くの生き生きした顔が懐かしく
思い出される。現在、「廣中レポート」の御膝
下の大学で、彼らが理想と考えていた組織に籍
を置く後輩に彼らはどんなメッセージを託して
くれるのだろうか。
大学教育機構は山口大学の教育理念である
「発見し、はぐくみ、かたちにする、知の広場」
を実践すべく、学生のための大学づくりの中心
的な役割を果たす組織として平成13年に設立
され、6つのセンターに属する教員と学務部に
属する職員が相互に連携しながら、様々な活動
を展開し今日に至っている。この間、国立大学
は法人化され、また、いわゆる全入の時代を迎
え、学生の能力・適性や興味・関心の多様化が
進み、大学を取り巻く環境は近年大きく変化し
てきている。特に、大学の使命として、顧客で
ある学生への支援施策をより一層充実させ、次
代を担う人材を育成していくことが求められて
いる。
大学教育機構が学部・学科を超えた総合的な
視点から必要な政策を推進する上で、少しでも
機構長、各センター(所)長のお役に立ちたい
と考えている。また、大学教育機構が職員にと
って、教員とともに学生支援のための車軸の両
輪となり、専門的な能力を活かし活躍のできる
職場となることを強く願っている。
時代は移り変わっても、学生の存在によって
成り立つ大学の姿は不変であると思う。よって
学生支援の在り方は大学教職員にとって永遠の
テーマかもしれない。20年先の山口大学の後輩
達に何を語り継ぐべきか、何を残していくべき
か、これから多くの人と出会い、語らいを通じ
て是非見つけ出してみたい。
大学教育機構での一期一会の出会いに感謝し
つつ、これからの我が国を背負っていく若人の
智慧と可能性を信じながら。
−5−
あしあと
天釣両行の理
前アドミッションセンター長 岡村 康夫
現 教 育 学 部 教 授 ・ 評 議 員 最近特に脳裏に去来する想念がある。それは
世界の根本相は円環的ではないかという想念で
ある。それも閉じた円環ではなく、その都度新
たな局面へと開かれた円環ではないかというも
のである。それはむしろ螺旋的と言った方が良
いかもしれない。そこから考えると、存在も時
間も基本的には直線的ではなく、螺旋状である
ということになる。われわれはイメージ的には
時間や空間を直線的に捉えている。自分の生涯
を考える場合も、誕生から死までを、ある時点
で始まり、ある時点で終わるように思い込んで
いる節がある。果たしてそうであろうか。自分
の生涯は世界・時間の一部であり、またその生
活の場も世界・空間の一部である。自分の生涯
には本来、縦にも横にも重層的に世界が関わっ
ている。われわれはその一部を勝手に切り取り、
時間・空間だと考えているのである。
ところで、円相は古来、その円く閉じられた
構造に拠って完全性、すなわち一つの完
結した姿を象徴するものとして考えられ
てきた。そもそも円は基本的には中心点
と円周とによって描かれる。ただし、そ
の円を基本にして世界を構想しようとす
るならば、それはスタティックな状態に
おいてではなく、ダイナミックに運動す
る状態において想定せざるを得ない。ご
存知のように円運動を成立せしめる力は
求心力と遠心力とである。この二つの相
反する力の均衡のうえに円運動は成り立
っている。そのバランスが崩れ、いずれ
か一方の力が強まると円運動は消滅する。
ただし、ここで想定しようとしている
ダイナミックな運動とは単に永遠に同じ
場所で回帰する円運動ではない。むしろ、
無限へと開かれた、しかも不可逆的に進
行する螺旋的円環運動である。世界は常
に動き流れ、同じ場所に留まることを知
らない。それは常に新たな局面へと飛躍的に展
開する要素を孕みながら動いているのである。
宇宙・世界を動かしている力はこのような求心
力と遠心力との拮抗関係のなかで働くものであ
ると思う。たとえ一時的には遠心力が強まり、
円運動が直線運動へと変貌することがあったと
しても、それは直ぐに求心力によって引き戻さ
れ、新たな次元での円運動が始まると考えれば
良いと思う。いわゆる天釣両行である。われわ
れはその無限の螺旋的円環運動の一部を切り取
り、これが善、あれが悪、あるいは闇や光など
と小賢しくわれわれの進むべき道を不遜にも指
示しようとするのである。これは誇大妄想であ
ろうか。いつも堂々巡りをしながら、新たな方
向性を見出せない現状が以上のような想念に想
いを馳せさせる原因となっているのかも知れな
い。わが大学にとって、一日も早く飛躍的に新
たな局面が開かれることを願って止まない。
−6−
曼荼羅(ネパール)
あしあと
Think Ahead
前 エ ク ス テ ン シ ョ ン セ ン タ ー 長 村田 秀一
現山口大学経営協議会理事・副学長 国、地方、企業、大学を問わず数年前に予測
していた様々な課題を、議論に終始するだけで
なく、スピーデーに対応しなければならない時
代に突入しています。もともと、日本人は農耕
民族的であり、温和で自然への適応能力が高い
というすばらしい気質がありますが、近年の日
本を取り巻く環境の変化の早さは、我々の潜在
的な信念を揺るがせ、日常の思考や活動に影響
を及ぼすほどであり、どこかに抵抗感を持って
いる方がほとんどではないかと思います。
大学に目を向けると、この時代の流れの
速さに伴う変化は、大学の理念に影響して
いるとさえ考えられ、まさに日本の高等教
育の在り方の問題になっています。
さて、エクステンションセンターの立ち
上げに携わり、多くの教員の意識を垣間見
ることが出来ました。かなりの教員が、大
学の使命である教育、研究、学問継承に加
え、社会活動が大きな役割を担うこと自体
否定はしないものの、従来の教育・研究が
本分であるということをどこか強調してい
たような気もします。また、大学の多くの
意志決定が委員会方式によることが多いこ
とも、再考してみる時代になっています。
もちろん、大学の多くのマターが委員会で
決められること自体自然なことと思いま
す。しかし、その委員が委員個人でなく、
学部の利益代表者であるとの立場が強くな
りますと社会から見れば非常識に見える事
態になります。法人化後3年目になって、
大学は意志決定ばかりでなく様々な分野に
おいて試行錯誤を繰り返していますし、発
展志向できるやり方が生まれてこそ、山口
大学の将来が見えてくるのではないでしょ
うか。
これからの大学は、これまでになかった
運営機能を息吹かせ、構成員がそれを認知
し、外部に対して前向きな「評価」をこなせる
こともポイントでしょう。また、よく「競争」、
「格差」といわれますが、これも日本が今世紀
に直面した大きな課題です。この言葉は、残念
ながら大学間にも当てはまることが現実になっ
ています。
これからは部局や機構の垣根を感じないよう
に、まず我々一人一人が認識してこそ、地域基
幹総合大学として羽ばたける大学になると思う
この頃です。
−7−
長州ファイブ(写真提供:萩博物館)
あしあと
「学習支援」に関する一分野からの考察
前 農 学 部 教 授 西口 毅
現学習相談支援室相談員 Ⅰ はじめに
「学習支援」は、学生の学習相談に対応しよ
うという試験的な試みであり、対象分野は、数
学、物理、化学、生物、英語である。これは昨
年度後期(11月14日 ∼1月27日 )と今年度
前期(6月12日 ∼7月21日 )に実施された。
筆者は、昨年度後期に6回、今年度前期に7回、
理系の一分野(化学)の「学習支援」を担当し
た。その際の実情と感想を報告する。これは一
分野の報告に過ぎないが、このシステムを考え
る上で参考になれば幸いである。
Ⅱ 来訪者数
「学習支援」の試みの成否は、この制度の利
用状況に依存する。昨年度後期の場合には、来
訪者は4名程度であり、来訪者が全くない日も
多かった。このように来訪者数が極端に少なか
った理由としては、次の2点が挙げられる。
これまでになかった新しい試みであるし、
学生への情報提供も不十分であった。なじみ
の学生に尋ねてみても、知らない場合が多か
った。
「学習支援」が行われた部屋は窓に暗幕が
張られた資料室であり、中で何が行われてい
るのかは、部屋に入るまで分からなかった。
今年度前期は、1回だけ来訪者がない日があ
ったが、残りの6回には、2∼4名の来訪者が
あった。平均的には、1回当たりの来訪者数は
3名程度であった。前学期より来訪者が増えた
理由としては、下記の2点が挙げられる。
1年生全員にお知らせのプリントが配布さ
れ、情報提供がよりよく行われた。
共通教育棟3階の通路から内部が見える部
屋で行われた。
Ⅲ 来訪者数をどう見るか
来訪者に対する最も望ましい対応形態は、1
対1での連続的な対応(時間的に細切れでない
対応)である。この家庭教師型の対応形態では、
1回当たり3名という人数は、担当者側から見
れば妥当な数である。1名当たり2,3個の質
問事項をもつことが多く、来訪者ごとに質問事
項が異なるので、3名程度への対応でも90分位
はかかってしまう。この人数でも、学生の来訪
時刻が重なる場合が多いし、各人ごとに課題が
異なるから、先着順に対応せざるを得ず、後か
ら来た学生には待ってもらうことになる。
このような家庭教師型の対応形態は、来訪者
にとっては望ましい。しかし、大学の限られた
リソース(資源)を使って行われるのだから、
効果対労力(費用)比という観点から見ると、
贅沢過ぎる対応形態であろう。対応法の工夫等
で、同時に複数の来訪者に対応できる体制(寺
子屋型)も可能にしておき、効果対労力比を高
めることが必要である。
Ⅳ 来訪した学生の特徴
来訪した学生には、下記のような特徴があった。
授業で課せられた課題を解くために来訪した。
授業で配布されたプリントの問題をやってみ
たが、どうしても分からない(答が記載のもの
と合わない)ものがあり来訪した、という場合
が最も多い。次に多いのが、解いておくように
担当教員から言われた教科書記載の問題が解け
なくて来訪した、という場合である。このよう
に、全員がプリントまたは教科書記載の問題・
課題を解くために来たのであり、知りたいこと
は明確である。やや漠然とした感じの「何々に
ついてより深く知りたい」といった理由で来た
学生は皆無であった。
−8−
来訪した学生の学力レベルが中位以上であ
った。
20問の問題が出題されている場合には、2∼
3問が分からず、他は解けるといったレベルの
学生の来訪が多い。つまり、全てを理解したい
と考える真面目な学生が来た。プリント等の内
容から考えて、半数位しか解けない学生も多い
と思われるが、そのレベルの学生は来なかった。
おそらく、学力下位層の学生は、分からないと
ころも分からないままに放置しておくのであろ
う。このように現状では、「学習支援」は、底
辺層のレベルを上げることには役立っていな
い。これは、専門で必要な科目を入試で選択し
ていない学生もいることを考えると、肯定でき
ることではない。
集団ではなくて個々に来訪していた。
友人間で勉学について相談することが多けれ
ば、「学習支援」にも一緒に集団として来る場
合が多いであろう。しかし、実情は、同じクラ
スの学生が3人一緒に来たことが(質問内容は
一人ずつ異なった)一度あっただけで、他のケ
ースでは、一人ずつばらばらに来た。このこと
から、クラスメート間での勉強についての会話
は殆どないと推測される。(学生間で教えあう
ことは、肯定的に評価してよいと思われる。)
Ⅴ 来訪者数を増やすには
前述したように、1対1での対応は、学生に
とってはベストなものである。しかし、限られ
た大学のリソースと効果対労力比を考えると、
担当者が同時に2,3名の学生に対応できるこ
とが望ましい。来訪者数を増やすためには、大
学全体、当該科目の授業担当者、「学習支援」
の担当者それぞれの努力が必要であろう。
A 大学が行う措置
「学習支援」についての案内を、毎期ごと、
1年生全員に対して配布する。配布物に、来
訪する学生は、1年生でなくてもよく、学年
を問わないことも記載する。(共通教育だけ
でではなく、大学全体での教育効果を考え
る。)
開始時期を1週間遅らせるか、実施期間を
1週間延長して、試験期間中にも実施する。
今は1つの情報端末(パソコン)での検索
で対応しているが、状況によっては、複数の
情報端末を設置する。
来訪者数によっては、SA制度も活用する。
B 通常の授業の担当者の対応(授業のスタイ
ル)
学生の来訪理由から、来訪者が受けている授
業のスタイルがほぼ分かる。「学習支援」の利
用状況は、当該科目での授業スタイルに大きく
依存する。
予備校での授業は、問題集の問題を解くとい
う形式で行われることが多いという。このこと
は、入試問題にはその科目の重点事項が凝縮し
た形で内包されているからであり、問題を解く
(演習を行う)ということが確実な理解に最も
有効だからであろう。大学の授業でも、言葉だ
けによる説明や解説だけでは、学生の理解も深
まりにくく記憶にも留まりにくい。問題を解く
(演習を行う)ことでこそ、授業内容が身に付
くと言える。
従って、教員は自分の授業の要点を設問の形
で表現し、それをプリントとして配布すること
が望ましい。演習問題を解かせ、その解答を提
出させ、それを添削して返すという方法は、学
生のためにはベストなものである。そして、実
際にそれを実行しておられる教員も存在する。
しかし、この方法での教員の負担は大きい。
添削採点には、多大の時間がかかる。それだけ
ではなく、添削等は面白くないから、それをや
るには気力も要る。従って、少人数授業を除け
ば、通常は実行不可能であろう。
添削をしなくても、学生が自発的に演習問題
を解く努力をしてくれると、かなりの効果が期
待できる。しかし、単に演習問題のプリントを
渡しただけでは、学生が解く努力をするとは限
らない。授業で解答を示すだけでは、学生が自
分自身で考えるという要素が抜け落ちる。何ら
かの圧力をかけて、学生に演習問題を解く努力
をさせることが必要であろう。
そもそも、教育は圧力と強制なしには成り立
たない。最も普通に利用される圧力は、学期試
験(中間テスト、期末テスト)とその結果に基
づく単位認定であろう。演習問題を解く努力を
させる圧力として、「学期試験には、プリント
の問題に類似した問題を出題する。演習問題が
解けるなら、学期試験の問題も解けるであろ
う。」と宣言することも有効である。
演習問題、特に計算問題では、解答を付ける
ことが望ましい。解答がないと、自力で解いた
答が正しいかどうか分からず、理解に確信がも
−9−
てないからである。事実、「自分が出した答が
プリントの答と違っている。その理由が分から
ない。」と言う来訪者は多い。ただし、解答に
至る詳細なプロセスの記述はない方がよい場合
もあろう。それがあると、「自分で考える」と
いう要素が抜け落ちがちになるからである。
演習問題を出した場合には、ある程度のアフ
ターケアが必要であろう。その一つは、メール
による自発的な問い合わせへの添削である。詳
細な解答プロセスをデジタル化しておくと、メ
ールによる問い合わせには、そのデジタル文の
部分的な「コピー&貼り付け」で対応できる場
合が多い。そのため、筆記用具による添削に比
べて、労力が格段に少なくて済む。また、自分
の解を示して添削を求める学生の積極性は、そ
れ自体でも評価に値する。
さらに、「学習支援」もアフターケアの一助
として利用できるかもしれない。極言すれば、
演習問題へのアフターケアこそ「学習支援」の
最大の任務であろう。「学習支援」の存在によ
って、アフターケアなしの“無責任な”演習で
も、かなりの教育的有効性を持つ可能性がある
ように思われる。
C 「学習支援」担当者の同時対応能力の向上
「学習支援」の利用者数は、大学や教
員の対処法や利用法に依存するが、今後、
増大する可能性は十分にある。利用者数
が増えた場合は、担当者には、同時に複
数の来訪者に対応すると同時に、一人ひ
とりにスピーディに対応することが求め
られる。また、「学習支援」の目的は、
単純に問題の解法を教えることではな
く、理解を深め確実なものにさせること
である。このような観点から、考えられ
る方策をいくつかあげてみよう。
であろう。解法を考え模索してみるというプ
ロセスは、プリント等の課題で既に実行され
ているのだから、この場合には、カードに解
答プロセスが詳細に記載されていてもかまわ
ない。
数冊の参考書を用意しておき、関係のあり
そうは項目を索引から検索させ、その部分を
読ませる。もちろん、学生が理解できない語
句や内容については説明するか調べさせるこ
とが必要である。授業の教科書を持参してい
る場合には、なるべくそれを用いて正解に到
達するように誘導する。
今は、英語のページまで含めれば、分から
ないことの殆ど全てはインターネットで調べ
られる。「学習支援」でも、インターネット
での検索は多用した。複数の端末を使い、効
率的な検索法と検索項目を指示することによ
って、同時に数人の来訪者に対応する能力を
高めることができるであろう。
以上、筆者の乏しい経験に基づいたものに過
ぎないが、「学習支援」の現状とその改善策ら
しきものを述べてみた。
一般に、来訪者が理解を深めたいと
思う事項は、授業担当教員が重要だと
思うことであり学生が理解しにくいと
感じることである。そのような事項の
数は限定的であり、それほど多くない。
学生が知りたいことはパターン化され
ている。そのような分野での典型的な
問題例とその詳細な解答プロセスを記
したカードを用意しておき、まずその
カードの問題を解かせ、次に授業で出
題された問題に再挑戦させるのもよい
−10−
第54回中国・四国地区大学教育研究報告
第1部会「教育改善に学生力を
どう活かすか」
国際センター 講師
杉原 道子
本セッションのねらいは以下のように謳われ
ている。
「教育改善を図るとき」、「学びの主体」は学生
であるとの基本的な認識のもとで、いかにして
学生の力を教育改善に生かすことができるかが
重要なポイントになります。従来の教員主導の
教育改善では、教員が「学生のために」と思って
行ったことが、学生に不評で、逆に学生の不満
を募らせていることも少なくありません。そこ
で「教員側の視点」を「学生と教員の双方の視点」
へと転換する必要があります。しかし、どのよ
うにして学生の力を教育改善に適用するのか、
学生の力を本当に頼むことができるのか、とい
う問題も指摘されます。こうした問題に取り組
んでいる大学の事例を通して、学生参画型教育
改善の効果や可能性について討議したいと考え
ています。
以下において、発表者の講演の表題を示し、
概略を述べたい。
最初に、「大学院生による学習支援の実践例」
という表題で平澤明子氏(愛媛大学教育・学生
支援機構学生支援センター)と山内一祥氏(愛
媛大学大学院教育学研究科 修士課程2年次
生)の事例報告があった。愛媛大学では、平成
17年より、大学院生力を活用し、学生の自己学
習を支援する活動に取り組んでいる。学習支援
用のスペース(図書館1F スタディヘルプデ
スク)を設け、相談にやってくる学生の個々の
ニーズに応じて、大学院の学生がマンツーマン
でサポートするものである。この取組では授業
や学部等の枠を超えて、学習する側である学生
の立場に立ったより柔軟なサポートが可能であ
り、取組の主な狙いは、単位取得不良者や留年
者の退学を予防することであるが、教育に対す
る「学生の声」を汲みあげ、教育改善につなげる
機能をも担い得ることが期待されている。
二つ目の発表は「『創生型学習』から『共創
型学習』へ∼学生の活力を生かした授業改善の
試み∼」という表題で大橋眞氏(徳山大学)の
事例報告が行われた。平成17年度より体験を取
り入れた少人数演習型授業「創生学習科目」を取
り入れた。体験を取り入れることにより、学生
間に話題の共通性を持たせ、教員と共に汗を流
しながら自然な形で、学びの共同体を授業の基
本としている。学習成果が他のグループや教員
を刺激し、お互いに学習意欲を高めるスパイラル
構造ができ、共創型学習の実現を目指している。
三つ目の発表は「学生力⊆教育改善(学生力
sebseteqq教育改善)という表題で竹内靖男氏
(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)と福田
詔子氏(岡山大学文学部3年次生)の事例報告
が行われた。岡山大学では学生・教職員教育改
善委員会(平成17年度文部科学省特色GPに採択)
が設立され、学生委員31名、教員14名、職員3
名で構成されている。学生の声をそして活力を
教育改善に取り入れることが重要と認識され、
学生の理解度を的確に把握できるような双方向
性の授業に取り組んでいる。
以上各大学において、それぞれ学生力をうま
く教育改善に役立てている実践例を拝聴し、多
くの知見を得ることができた。なかでも、愛媛
大学のスタディヘルプデスクの活動は特筆すべ
きであろう。大学院生が主体的に運営し、援助
の必要な学生を支援している。理系科目の相談
が圧倒的に多いとのことである。また、レポー
トの書き方や勉強のやり方などについての相談
も多いそうである。あまりにも基礎的なことは
やはり教員には聞きにくいとのことであった。
「学生がほしいサービスは学生が最もよく知っ
ている」「大学院生は教員が提供し得ないサービ
スを提供しうる」というのも事実であろう。ま
た、学生の声をひろい教員にフィードバックす
ることにより、学生の声を教育改善に活かして
いる。大学院生のスタッフの多くは教師を志望し
ているそうであり、貴重な経験になるであろう。
山口大学においても、スタディヘルプデスク
のように、学生同士が共に学びあう場を学生に
与えることが重要であると思われる。一般学生
だけでなく留学生をも含めた学習支援活動の場
を設定することにより、学びあう学生の輪が広
がるだけでなく、真摯に学びあう学生の姿は大
学が学びの場であることの認識を深めることに
なる。学びの場に集う学生間の交流は、人間形
−11−
第2部会「教員の教育力や教育
成果の検証方法について」
大学教育センター 講師
吉田 香奈
第2部会では教員の教育力をいかに向上さ
せ、教育効果を高めるかについて検討が行われ
た。現在、多くの大学ではFD活動が実施されて
いるが、このような取り組みは果たして効果を
挙げているのか、また、教員の教育力や教育成
果はいかなる方法で検証され、評価され得るの
か、という問題が大会事務局より提起され、こ
うした問題に取りくんでいる大学の事例を踏ま
えながら討議が行われた。大会事務局からの依
頼を受けて、山口大学からは筆者が近年の取り
組みを紹介し、続いて岡山大学からは鷲尾誠一
教授(自然科学研究科)より授業評価と教員個
人評価制度の取り組みについて報告が行われ
た。セッションの参加者は84名であり、約1時
間半にわたって討論が行われた。
〈報告内容〉
1.山口大学「山口大学の教育改善の取り組
みと検証体制」
・山口大学におけるカリキュラム・授業の
検証体制について
・教育活動全般に関する自己点検評価の取
り組みについて
2.岡山大学「岡山大学の授業評価および個
人評価制度とその教育検証機能」
・学生による授業評価アンケートによる教
育検証
・教員個人評価制度の内容と検証
〈主な論点〉
・学生授業評価の実施方法(実施組織、評価
項目、結果の分析・公開)(山大・岡大)
・シラバスに記載された到達目標(観点別)
の評価方法(山大)
・授業がうまくいかない教員のためのサポー
トシステム(山大・岡大)
・教育評価と人事評価の関係(山大)
・客観的な教育効果の測定方法(山大・岡大)
のシラバスを中心とした個々の授業の検証体制
が構築されているところである。各学部・学科
ではGraduation Policy(GP、教育活動の成果と
して卒業時に学生に保証する最低限の基本的な
資質)を設定し、GPと各授業科目の到達目標と
の対応関係を示すカリキュラムマップが作成さ
れている。作成過程には教員が参加し、自らの
授業を検証する機会となっている。また、学生
授業評価の実施および教員授業自己評価の実施
を通じて授業の成果が検証されるとともに、ア
ラカルト方式FD研修会や授業参観・授業研究会
の開催を通じて授業の改善が促進されている。
さらに、卒業生満足度調査も実施し、大学の教
育成果の検証が行われている。また、本年度よ
り大学評価室が設置され、これと同時に教育、
研究、社会貢献、大学運営全般について各組織
の長が水準判断を開始することが予定されてい
る。今回の報告では、以上のような山口大学に
おける教育改善への組織的取り組みが個々の教
員の教育力の底上げを目指して行われている点
について報告を行った(詳しくはパワーポイン
ト資料参照)。
また、岡山大学からは授業評価と教員個人評
価について報告が行われた。特に後者の個人評
価について岡山大学は大変力を入れており、シ
ステムの整備が進んでいるという感じを受け
た。個人評価における教育活動評価の基本方針
は「教育能力をレベルアップする機会」とする
ことに置かれており、そのため、量的評価では
なく教える行為の質的評価(自己評価+実証デー
タ)を中心に据えているという点が印象的であっ
た。しかし、問題点として実際には教員個人の
教育活動の見直しには上手くつながっておらず
形式化している点が指摘されていた。FDの体制
を整えてもなかなか教員個人の教育改善にはつな
がらないことは他の多くの大学からも指摘されて
いるところであるが、岡山大学ではこの点につい
て教員が「教育に関わる価値観を共有すること」
がまず前提であるという点が強調されていた。
報告終了後にはフロアーから様々な質問・意
見が寄せられ、活発な議論が行われた。主な論
点は上記に整理したとおりである。中国・四国
地区の各大学との意見・情報交換は有意義であ
り、今後も継続されることを期待したい。
山口大学では2003年度に授業のシラバスを改
善し、観点別到達目標及び観点別成績評価方法
を記載したシラバスが導入された。現在は、こ
−12−
外講師によるオムニバス方式)およびインター
ンシップ科目(国内、海外)(2000年∼)、能力
開 発 科 目 ( 2 0 0 2 年 ∼ )、 キ ャ リ ア 教 育 科 目
(2004年∼)、および興動館科目(2006年∼)が
教育学部 助教授 開設されている。また、今年度から、「夢チャ
曽根 涼子
レンジシート(キャリアシート)」の取り組み
を始めた。このシートには、自分史のページ、
第3部会では、岡山大学教育開発センターの
自己理解のページ、将来のページ、およびキャ
三浦孝仁教授の司会のもとに、キャリア教育に
ンパスライフを考えるページがある。学生は、
取り組んでいる大学の事例が3つ報告された
1年次から4年次まで、1年に2回、自分の夢
後、キャリア教育の実施状況や問題点について
チャレンジシートを確認し、加筆をする。これ
討議された。キャリア教育とは、職業観や知識、
を用いて、教職員が常に学生とかかわり指導し、
技能を身に付け、自ら進路を選択する力を育む
その将来に資することを目的としている。
教育のことである。以下に、各事例報告につい
て、表題と発表者を示した後、概略を述べる。
3.「工学部におけるキャリア教育=創造力教
育の推進」
1.「キャリア教育への取り組み 就職活動支
塚本 真也(岡山大学大学院自然科学研究科)
援の観点から」
学業成績の優秀な学生が就職戦線で何度も不
岡野 喜良(倉敷芸術科学大学就職部長)
採用となる事態に遭遇し、企業が求めている高
学生数は1学年430名程度であるが、学科は
度技術者は、従来型のキャリア教育では育成が
8つある。そのため、キャリア教育は分野が広
困難であると判断した。そして、企業現場から、
範囲で、対象などの選択に悩む。キャリア教育
工学部のキャリア教育には即戦力技術者の養成
として、1、2年次生を対象に「人生と仕事
が求められており、その中で最も重要な能力が
Ⅰ・Ⅱ」(学内外講師によるオムニバス方式、
創造力であると再認識した。そこで、「教育目
2002年∼)、3年次生に「キャリアラーニング」
標」および「養成する人材像」を、それぞれ即
(SPI対策、2003年∼)という授業科目を設定し
戦力技術者を養成する創造力キャリア教育およ
ている。キャリア教育を受けた第1期生(今春
び創造力を発揮して新技術・製品が開発可能な
卒業)の就職内定率は以前よりも高く、キャリ
21世紀型高度技術者に設定し、その実現のため
ア教育の効果はあったと評価している。今年度
のカリキュラムと実施体制の構築を行った。本
からは、さらに地域活性化プロジェクトに4年
キャリア教育は、6年(大学院を含む)一貫で
次生を参加させることなどを検討中であり、4
創造力を18科目群によって総合体系的に訓練す
年間の一貫教育を目指している。
るというものである。このようなキャリア教育
キャリア教育の授業は選択科目であるので、
の結果、顕著な教育成果の獲得に成功した。ま
全学生が受けるわけではない。受講者数は年々
た、創造力キャリア教育は、その教育論文など
増加する傾向にはあるが、より多くの学生に受
に工学教育賞などの教育賞が3件授与されてお
講してもらうことが現在の課題である。また、
り、教育界と工業界から極めて高い評価を獲得
予算との関係で、学外講師を遠方から招来でき
している。
ないという問題などもある。
報告が行われたどの大学もキャリア教育に熱
心であった。その背景には、学生が入学後に
2.「広島経済大学におけるキャリア教育の取
「不適応状態」に陥るケースが増えているとい
り組みについて」
うこともあるということであった。今後は、多
岡本 貞雄(広島経済大学学生相談室長)
様化する学生の個別対応のキャリア教育が求め
バブル崩壊後、就職率が著しく低下した。こ
られるように思われた。
れは、入学志願者数の減少につながる恐れがあ
り、大学存続に関わる問題である。大学全体で
学生の進路について取り組まなければならない
という認識となり、キャリア教育が積極的に実
施されている。具体的には、教養特別講義(学
第3部会「キャリア教育の実施
状況と問題点について」
−13−
ルが高すぎるとの意見が英語では20%なのに対
し数学では60%にのぼるという結果には考えさ
せられた。
第4部会「高校と大学の教育接
続について」
理工学研究科 助教授 伊藤 暁
人文・社会科学分科会
「人文・社会科学における導入教育」
山本平山岡山大学教育開発センター長の司会
により、高校の新学習指導要領による2006年問
題ならびに高大連携に関する取り組み状況につ
いて報告と討論が行われた。
岡山理科大学では県内外の公立私立高校(山
口県内を含む)に対してインターネットによる
遠隔授業配信(授業科目はインターネット入門
とアルゴリズム入門)を行っており、突発的な
故障や高校行事による遂行上の困難さにもかか
わらず、順調に稼動しているとのことである。
管理システムは予算の都合もあり独自開発され
たものであるが、1コマの授業に対して大学講
義室に4名、高校側教室に1名の技術スタッフ
を配置しており、本格的な遠隔授業を行うために
は種々の環境整備が前提になると改めて感じた。
香川大学において2006年問題に関して各学部
に質問したところ、文系では特に必要なしに対
し、医学部を含む理系では必要との結果が得ら
れ、学部による温度差が明らかになった。今の
ところ学部ごとに独自で対応しており、今後全
学的な対応策が必要になるとのことであった。
松江東高校からは、スーパーサイエンスハイ
スクールプログラムを通じた島根大学ならびに
大阪大学との連携について報告があった。資料
として本年度SSH事業説明書が配布されたが、
始めて見るその広範囲な内容に驚かされた。講
演会をはじめとする学外講師の招聘、大学での
実習・講義・実験、研修旅行(施設見学、実験
講座)などは大学関係者も羨むような豪華な内
容であり、さぞかし企画・実施担当者が大変で
あろうと推測した。また高校側では“疲れたら
大学へ”が合言葉になっているとのことで、大
学とっても附属高校以上の存在になっているよ
うに感じられた。
最後に岡山大学における高大連携事業につい
て総括的な報告があった。2006年問題に関連す
る話題として、県教育委員会との間で教育連携
協議会が設置され、部会レベルでの接続連携が
始まっているとのことである(情報処理部会に
ついては本年度設置予定)。また、1年後期時
点で行っている学生アンケートに現れた、レベ
人文学部 助教授 山本 真弓
はじめに、司会の渡邉護教授(岡山大学大学
院社会文化科学研究科教授)より、本分科会で
のふたつの報告の共通テーマ―新入生を大学教
育へ導入するにあたって―の趣旨説明がなされ
た。その後、岡山大学における文学部と法学部
の実践報告が、それぞれ永田諒一教授(西洋史)
と黒神直純教授(国際法)により行なわれた。
文学部には基礎科目がⅠからⅢまで開講され
ており、このうちⅠが導入教育として位置づけ
られている。これらの科目は平成16年度の改組
に伴って開講されたもので、その目的は人文学
を学ぶための基本的な心構えや関心を培うこと
と、大学での学習に必要な方法・技術・知識な
どを身につけることにあるとのことであった。
その特長はクラス制を採っていることで、具体
的には一クラス17∼20名程度で10クラスを20名
の教員が担当(一クラスを2名で担当)してい
ることであろう。また、統一マニュアルを作成
し、それに従って毎年統一シラバスを作成して
いる。内容は、講義の聞き方、ノートのとり方、
本の読み方から、討論の仕方、レポートの書き
方、引用の仕方まで多岐にわたっており、配布
された資料の「『1年次のクラス制と文学部基
礎科目新設』メモ」によると、シラバス案には
「第十五回 上級生になっていくとき(進路の
マ マ
組み立て方、選 考 の決め方、迷いへの対応)」
といったものまで含まれていた。担当教員は統
一内容を教えるという自覚の下で各自がオリジ
ナリティーを出すということであったが、現実
問題としては、細かいところまで統一すること
はできず、学生からは内容が他のクラスと異な
るなどの苦情が寄せられているということであ
った。報告者である永田教授からは、問題提起
として、教育には大きく分けてマニュアル式教
育と徒弟式教育があると考えられるが、学生の
授業評価が低くなることを覚悟のうえで、マニ
ュアル式ではない教育も必要ではないか、とい
−14−
う意見が出された。これは、基礎科目について
実施の合意があったにもかかわらず、「大学の
教育にふさわしくない。大学は自らが主体的に
学ぶところだ」という意見が教員側にくすぶり
つづけていることを踏まえたものであった。こ
れについて、フロアーからは「やはり大学教育
のなかで必要」との意見が出され、それを踏ま
えてさらに、「討論の仕方」について具体的に
どのような教育を行なっているのか、などの質
問が寄せられた。
次に法学部の実践報告として、法政基礎演習の
詳細が説明された。文学部との大きな違いは、法
学部には将来法曹(裁判官、弁護士、検事など)
を目指している学生−目的意識がしっかりしてい
る学生―が多いこと、したがって、法学部有志ボ
ランティア(教員および上級生)による「基本書
を読む会」が課外授業として10年以上にわたって
続けられてきたという実績があること、さらに司
法試験を目指して勉強する学生のための大学公認
のサークル・法友会が存在することなど、学部全
体に法政基礎演習開講の素地がすでにできあがっ
ていたと思われることである。したがって、法学
部内の学問分野としては法律学と政治学、さらに
法律学のなかでも国内法と国際法といった違いが
あるにもかかわらず、2002年度にはほぼすべての
教員が執筆した共通テキストを作成することに成
功している。このほか、授業の一環として、学生
を法廷傍聴に連れていくなどの試みも行なってお
り、組織的な「マニュアル式教育」の成功例とい
う印象を受けた。
フロアーからは、法学部全教員による共通テキ
ストの執筆という「難事業」に敬意が表され、そ
の成功の秘訣について質問があった。これについ
て報告者は、共通テキスト作成だけでなくそもそ
も導入教育自体の大前提として、多くの教員の理
解を得ることがもっとも必要であり、かつ困難な
ことでもあろうとの「回答」があった。なお、大
学評価・学位授与機構と朝日新聞社から講演者を
迎えた初日のシンポジウムで、一般参加者として
挙手のうえ、極めて明快に質問をしたのは岡山大
学法学部3年の学生だったことが話題になった。
ふたつの報告と意見交換を通して感じたこと
は、導入教育の取り組みには、それを担う学部の
全教員の専門の壁を越えた交流と相互理解が不可
欠であるということである。したがって、その成
否は、教員間の日常的な交流と異なる専門分野へ
の理解にかかっているのではないかと思われる。
情報科学分科会「大学における
今後の情報処理教育のありかた」
理工学研究科 助教授
伊藤 暁
岡山大学の情報処理科目部会長である大学院
自然科学研究科杉山祐二氏の司会により、2006
年問題に対する実践的な取り組みについて意見
交換が行われた。
まず、杉山氏自身による専門学科向け情報処
理入門科目の授業シラバスについて詳細な説明
がなされた。以前に比べWordやExcelのところで
手持ち無沙汰の学生もいるが、オプションとし
て高度な作業内容(縦書きや2段組、定積分や方
程式の解法)を追加することで対応している。結
果的にTAが少し暇になった程度とのことである。
次に、高知大学から2006年問題検討プロジェ
クトの概要が紹介された。WindowsやOfficeの
操作方法伝授的な内容の削減、新入生に対する
PC操作診断テストの実施、教員への高校情報科
教科書の配布が予定されているとのことである。
続いて本分科会に参加していた各大学から情
報処理教育の現状が報告された。テキストの統
一化、ノートPCの推奨などは大学、学部によっ
てまちまちであることが良くわかった。なお筆
者の専門分野に関連することであるが、大学で
の情報処理教育の目的はWindowsのマーケット
を作るための人材とそのマーケット上で商売す
る人の育成にあると企業では分析しているこ
と、大学でアルゴリズムやコンパイラの授業が
少なくなっていることを企業側が憂慮してい
る、との話が特に興味深かった。
最後に、今回本研究会に参加したことで授業
とは何かについて深く考える機会が得られたこ
とを感謝したい。
外国語(英語)分科会
「実践的英語運用能力のための
英語教育改革への取り組み」
人文学部 教授 太田 聡
この分科会では、「実践的英語運用能力のた
めの英語教育改革への取り組み」というテーマ
−15−
のもと、岡山大学外国語教育センターの「英語
副専攻コース(minor in English program)
」の取り
組みについての報告を伺い、それに基づいて、英
語教育改革の方策についての意見交換を行った。
岡山大学における副専攻コースとは、学生達
が所属する学部や学科の専門分野で学習した知
識を、さらに広い視野で有効に活かすことので
きる能力を養えるように、各学部が定めている
教育課程(カリキュラム)とは別の教育課程と
して設けたもので、平成17年度以降の入学者が
学ぶことができるものである。副専攻コースを
履修することができる学生は、主専攻の学習に
おいて優れた成績を修めており(例えば、文学
部の場合は、「修得単位30単位以上で、評点の
平均点が80点以上であること」といった判定基
準が設けられている)、かつ、副専攻開設学部
から受け入れを許可された者である。そして、
副専攻制により設置されたコースを修了する
と、卒業時に学長より修了証書が交付される。
なお、副専攻コースで履修した単位は、原則と
して所属学部の卒業要件単位とはならない。
外国語教育センター英語系は、平成17年度入
学生から、英語コミュニケーション・スキルを
身につけ、研究活動や仕事の実践的な場で使え
る英語運用能力の習得を目指す、副専攻英語コ
ースを開設した。そして、授業科目は、1∼2
年次に履修する教養教育科目である「上級英語」
と、3∼4年次に履修する(平成19年度から開
講する)専門基礎科目の「セミナー」および
「リサーチ・プロジェクト」に大きく分かれる。
さらに、上級英語は、(i)アイデアをまとめ、
最近話題の様々なテーマを理解し、自分の意見
を明確かつ効果的に表現するスキルを習得する
「スピーキングと討論」、(ii)物語、ラジオやテ
レビ番組、学術講演など様々なリスニング教材
を用いて、多様な内容と場面での理解力向上の
ためのスキルを習得し、英会話におけるより良
い聞き手になるコツも学ぶ「リスニングとスピ
ーキング」、(iii)様々な英語のテキストを楽に
読めるようになること、読解力向上のための
様々なスキルを身につけること、活発に討論に
参加することによって読解力を伸ばすこと、な
どを目指す「多読と討論」、(iv)私的な文書、
修辞効果をねらった文章、簡潔なリサーチ・レ
ポートなど、多様なジャンルの英文の書き方を
学ぶ「プロセス・ライティング」、といった具
合に目標・目的別に授業科目が細かく分かれて
いる。そして、上級生用の「セミナー」はすべ
て英語で行われる通年の演習であり、プレゼン
テーションやディベートを行い、リサーチ・ペ
ーパーが課される。また、「リサーチ・プロジ
ェクト」では、扱われるテーマが「セミナー」
の場合よりもより専門的になる。
本学共通教育では、TOEICを利用したカリキ
ュラムを英語教育の柱に据えて、大きな成果を
上げてくることができた。そして、英語が決し
て得意ではない学生でも、一定の水準以上の英
語力を身につけて卒業できるように、教科書・
教材の改良、e-learningの導入など、様々な取り
組みがなされてきた。しかし、英語が苦手な学
生へのケアは色々と工夫されても、英語がよく
できる学生が、その力をより伸ばせるためのカ
リキュラムとなると、とても十分とは言えない。
TOEICでの(730点以上、860点以上といった)
高得点を目指すパイロット・クラスや補習的な
クラスは開設されているが、受講者はごく少数
なのが現状である。また、TOEIC以外で英語力
を伸ばしたいと思う学生達への対応も不十分で
あると言わざるを得ない。
岡山大学外国語教育センターの英語の専任・
専従教員は6人――うち4人が(日本語もかな
り堪能な)ネイティブ・スピーカー――であり、
本学の外国語センターと比べると、人数的にも
充実している。よって、本学に岡山大学と同じ
ようなプログラムの実施を今すぐに考えるのは
無理があるかもしれない。しかしながら、学
部・学科の枠を超えて、英語の力をより伸ばし
たいと願う優秀な学生達に、上級・専門基礎レ
ベルの英語の授業を提供するためのモデルとし
て、岡山大学方式は大いに参考になった。
外国語
(初修)
分科会「初修外国語
の発信力をどのように高めていくか」
人文学部 教授
富平 美波
本分科会では、岡山大学外国語教育センター
から2件の事例が紹介され、その内容をめぐっ
て質疑・討論が行われた。
1.「ひとつの授業の試み:『外国語を学ぶ、
世界が広がる』」
(報告者:岡山大学外国語教育センター
久保田 聡 教授)
−16−
はじめに、岡山大学における初修外国語教育
の実情について、簡単な説明がなされた。「大
綱化」以降、専任教員ポストの減少や非常勤講
師の削減などによるマンパワーの縮小という問
題は、現在多くの大学が共有している課題であ
るが、岡山大学においても例外ではなく、その
こともあって、教養教育における初修外国語の
位置づけは、必修から自由選択へと変わった。
その際、カリキュラム策定にあたっては、次の
ような諸点が共通合意として採用された。
①週2回(文法・読本)の受講を課し、学ぶ
からにはしっかりとやらせる。
②中級レベルの科目(週1回)を設け、2年
次以降の学習も保証する。
③朝鮮語・ロシア語・イタリア語・スペイン
語を新たに導入する。
④1学期1コマを2単位とする。
⑤学部の判断により必修指定も可能とする。
(4単位まで=即ち半年分。)
実施してみると、履修単位の上限制や、時間
割上のバッティング、必修単位が半年間で満た
されてしまう、などの原因から、前期に履修が
偏る、或いは、そもそも履修しにくい、などの
問題が生じており、時間帯の確保・上限制の改
善などを全学にアピールしている段階である。
また、露・伊・西の各言語については、非常勤
講師が担当している。
本報告で紹介された科目「外国語を学ぶ、世
界が広がる」は、外国語教育センターが教養教
育の「主題科目」として開講しているもので、
初修外国語の履修が選択制となったのを受け、
学生に初修外国語学習の意義を伝え、意欲を喚
起するために設けられたものである。外国語教
育センター教員と学部教員によるオムニバス講
義で、「言葉」・「異文化理解」等をキーワー
ドに掲げ、15回の講義を通じて、独・仏・中・
朝・露・伊・西の各言語の「世界」に触れさせ
る。具体的には簡単な表現などを通じてその言
語の特徴を理解させ、その言語が背景としてい
る文化を紹介することが主である。席上シラバ
スのコピーを頂戴したが、それを見ると、「語
学研修のススメ・留学への道」や「理工系から
見た外国語学習」、「世界の言語」等のテーマも
1回ずつ組み込んであった。そして、最終回に
は、受講者に対し、外国語学習に対してどのよ
うに認識が深まったかについて問う機会が設け
られているとのことであった。なお、学内に専
門教員のいない露・伊・西の各国語について
は、外国語教育センターの教員が講義を担当し
ていられる模様であった。
本学の初習外国語分科会でも、このような授
業の必要性について外国語担当教員から提案が
なされたことがあったので、類似の授業を実際
に実施している事例として、興味深い報告であ
った。本学での議論の際には、このような授業
によって意欲を喚起された学生が、学年後期か
ら直ちに初級の受講を始めることが可能である
ようなカリキュラムを設けるのが最も望ましい
という意見が出ていたが、実際にはなかなかに
困難である。この点、どの大学でも事情は共通
するのだろうか、報告の後、早速、他大学の参
加者から質問が出されたが、岡山大学でも、そ
の点の対応はできていない、とのことであった。
受講者には、やはり文学部の学生がたくさん
入っているらしく、この授業の履修者から、果
たしてどのくらいの初修外国語科目履修者が生
み出されているかという点も、今後、検証すべ
き課題であるようだ。総じて学生の満足度は良
好で、受講者も増加傾向にあるけれども、担当
の岡山大学の先生から見ると、各文化に対する
紋切り型理解を助長する結果になっていない
か、「楽勝授業」化して、他の授業のじゃまを
していないかなどの危惧が残るとのことだった。
類似の授業としは、広島大学でも「初修外国
語の世界」が開講されているそうで、これも事
例の1つとして注目すべきかと思われた。広島
大学では専用のテキストを作っているが、岡山
大学では異なる見解から、敢えて作成せず、担
当教員の作るハンドアウトと参考文献リストを
用いて講義しているとのことであった。
2.「岡山大学の外国語『副専攻コース』制度
について」
(報告者:岡山大学外国語教育センター
江代 修 助教授)
報告された「副専攻」制度は教養教育に属す
るものであるが、その制度のそもそもの母体は
文学部の「副専攻」制度にある。
岡山大学の文学部において、外国語学習を主
体とする「副専攻」制が設けられた背景には、
学部の教育体制の改革により、学生が、例えば
「英文」などの単位に所属することがなくなり、
全体が「言語文化学履修コース」という大きな
枠に所属するようになったことがある。この大
きなコースの中にはいくつかの専攻が設けられ
ているのであるが、専攻は学生の所属単位では
−17−
なく、履修する授業を選択することによって卒
業した専攻が決まるという制度である。そのた
め、ある外国語を専門に学ぶ教育上の単位に学
生が最初から所属する、ということがなくなっ
た。(このような学部の制度改革は、存在する
動向の1つとして注意すべきかと思われた。)
このカリキュラム改革後、卒業単位のうちに
占める自由選択科目の範囲は46単位と多くな
り、その単位を使って主専攻の他に副専攻が修
了できるようになっているわけである。外国語
に関して設けられている副専攻コースは英語・
ドイツ語・フランス語・中国語で、30単位をも
って修了単位としている(修了した学生には証
書が出るとのことであった)。そのうち、初修
外国語のコースは、教養科目の初修外国語と同
時進行、かつそれに接続する形で、1年次・2
年次・3年次の3年間を通じ、運用能力の向上
を目指すもので、いわば、厳格なビギニング・
コースと、アドバンスト・コースとが一体化し
たようなもの、という印象であった。コースを
選択した学生は、1年次には、教養科目の初修
外国語の他に、コミュニケーション外国語の単
位をもっとたくさん取り、2年次以降には、
「時事○○語」、「ビジネス○○語」などをも含
む多様な中級授業を受ける。席上配布された資
料で見たところでは、開講科目の名称や種類は
語種によって少しずつ違っているが、教養教育
科目(教養の初級と中級)以外に、専門科目と
して各語種とも15の授業科目が設けられてい
た。授業の担当については、文学部と外国語教
育センターの教員が合同で当たっている(もと
もと、外国語教育センターの専任教員のうち4
名の先生は、文学部から転出されている)由で
ある。
設置3年目の初めての専攻修了者は、ドイツ
語20名、フランス語10名、中国語30名だった由
である。これらの数値なども含めて、副専攻制
度導入に伴い、WGが設けられて追跡調査をし、
成果と課題の検討をしているとのことであった。
筆者の理解が正しければ、この文学部の副専
攻のうち、ドイツ語コースとフランス語コース
が全学に開放されて、教養教育の副専攻コース
としての役割も果たしているわけである。外国
語履修者がより高度なレベルへ到達できるため
の環境を整えるという見地から導入されたもの
で、授業の種別を明示したシラバスを作成し、
ブラッシュアップ(「復習」の語を用いると、
学生が忌避するとのこと)やステップアップに
活用してもらいたいという趣旨である。しかし、
将来的なニーズはあるか、他の科目との時間割
上のバッティング、中級教育に関するノウハウ
の蓄積がまだまだ足りない、などの点が、今後
に検討かつクリアすべき課題として残されてい
るということであった。実務的問題に限って見
ても、全学開放にあたり、時間割の調整がどれ
ほどの難事であるかは、誰しもよく理解し得る
所である(学部の内部に限ってもやはり困難で
あろう)。そのこととも関連するのかもしれな
いが、ドイツ語検定・フランス語検定の3級合
格を目指す授業は、9月に集中講義として導入
されているという報告があった。
この件に関しても、報告終了後質疑が行われ
たが、出席者が、文学部の新しい専攻制度を理
解しようとして、その詳細に関する質問を集中
させてしまった感があった。この文学部の副専
攻制度についてなお情報を得たい向きは、イン
ターネットで岡山大学のウェブページにアクセ
スすると、中に専門の解説ページが設けられて
いて、そちらを参照することができる由であった。
なお、今回報告を行われた岡山大学外国語教
育センターでは、日・英語によるカラフルなセ
ンター紹介パンフレットを作っておられて、席
上筆者も1部頂戴することができた。
保健体育分科会「スポーツ実習
(体育実技)
の新たな取り組み」
教育学部 助教授
曽根 涼子
多くの大学でカリキュラム改革が進む中、保
健体育科目においても実技・実習を中心に模索
が続いている。東京大学では実技に加え講義や
実験実習を含めた授業、運動部部員を対象に講
義と実習による集中授業など、様々な授業の工
夫がなされている。本分科会(司会:岡山大学
教育学部 徳永敏文教授)では、スポーツ実習
の新たな取り組みについて、岡山大学の事例が
同大学教育学部の鈴木久雄教授によって報告さ
れた。また、その後に、事例報告についての質
疑応答などが行われた。以下に、概略を述べる。
岡山大学の事例:スポーツ実習などの実技に
関しては、学生の需要や評価は高いが、場所や
予算の制限、教員の削減などによって十分な対
応がとれていない。そこで、岡山大学では通常
−18−
のスポーツ実習に加えて、スポーツ習慣をもつ
学生を対象とした授業の実施について検討を進
めている。具体的には、1)サークル活動者へ
のスポーツ医科学講義と活動報告による単位
化、2)学生主体の地域スポーツ教室の企画・
運営・指導活動への単位化、3)公開スポーツ
講座や地域スポーツ教室(総合型地域スポーツ
クラブなど)の指導補助活動への単位化などで
あり、新しいスポーツ教育を展開し、保健体育
科目およびスポーツ教育活動の充実を目指して
いる。上記の1)∼3)について、単位化が実
現した場合には、1)は生涯スポーツの振興
(学生のスポーツ人口増加対策、理論的トレー
ニングや障害予防の知識向上、週2回以上のス
ポーツ実践を8ヶ月以上行う)や運動習慣のな
い学生がスポーツ実習(授業)を履修しやすく
なることに繋がる。2)は企画・指導経験によ
る学生の意欲向上や社会性の向上、3)は社会
性の向上や指導技術の向上などが期待でき、2)
や3)は、自ら考え、発言し、行動できる人材
育成ということにも繋がるであろう。
事例報告の後、授業の位置づけ、教員の関わ
り方、評価基準などについての質問があった。
いずれについても現在検討中であるが、岡山大
学は、文部科学省大学改革推進事業・現代的教
育ニーズ取組支援プログラムに「バリアフリー
による双方向スポーツ教育活動」(平成17年度)
で選定されており、それと関係してスポーツ教
育センターが設置され、今回の取り組みについ
ても実現を目指しているという返答であった。
日本語・日本事情分科会「日本語
コースのカリキュラムを考える」
国際センター 講師
杉原 道子
本分科会の目的は以下のように謳われている。
留学生教育の問題はどの大学にとっても大学
の生き残りとイメージアップにつながる重要な
ものとなっている。が、現実には非常勤講師手
当ての削減、少人数クラス廃止、レベル統合等、
現場の教員にとっては困難な問題が続出してい
る。今回、各大学が具体的にどのような問題を
抱え、それが、どのようにカリキュラムに影響
を及ぼしているか、また、今後、どのような方
策や展望でカリキュラムを編成していくべきか
等について、意見を交換したい。
最初に酒井峰男氏(岡山大学留学生センター)
から「岡山大学留学生センターにおけるカリキ
ュラムの課題」についての発表があった。
各大学の日本語関係の機関では、どの大学も
財政面で大きな問題に直面している。特に国立
大学法人化、日本社会の少子化傾向、日本留学
に対する熱気の収斂等の諸問題により、大学の
財政難には厳しいものがあり、そのため岡山大
学においても、日本語・日本事情を取り巻く教
育環境、特にカリキュラムがもろに、その影響
を受け、コースの縮小、少人数クラスの廃止、
レベルの統合、部局間でのカリキュラムの相互
乗り入れ等、教育環境が大幅に変化している現
実とその対策について説明された。
その後、参加大学それぞれが直面している課
題について発表し、意見交換を行った。特に、
「日韓共同理工系学部留学生予備教育」について
は、各大学の受け入れ人数が1、2名のことが
多いため、各大学が協力してコンソーシアムを
組み、一箇所で教育することが重要であるとの
意見が多かった。
また、留学生教育においても量から質への対
応が求められている。
山口大学においても、真に日本との架け橋と
なる人材育成、特に大学院留学生数の確保が重
要な課題となっている現状では、研究生を確実
に大学院に送り込むことが重要な課題である。
短期留学生の増加などにより学習対象者が増加
しているにもかかわらず、クラス数を減少しな
ければならない。国際センターと各学部の留学
生向けのカリキュラムの相互乗り入れを行い、
レベル別のクラス編成を徹底すると共に各学部と
の緊密な連携を強化する必要があると思われる。
−19−
各センター活動報告
大学教育センター
主 催:大学教育機構(3月実施分は医学部
保健学科と共催)
日 程:平成18年9月15日 [在山地区]
13:30∼16:30
平成19年3月16日 [宇部地区]
13:30∼16:30
場 所:在山地区(共通教育棟2F多目的室)
、
宇部地区(未定)
対 象:希望者
講 師:池田 幸夫(教育学部教授)
内 容:授業を受けた学生が、
「分かった」と
実感をもつ授業とは、どのような授
業であろうか。そのような授業を行
うためには、どのような方法をとれ
ばよいのか。また、授業に活気があ
って、授業中に眠気を感じさせない
授業にするためにはどうすればよい
のか。実際の授業のVTRを見ながら
授業分析を行い、授業改善に必要な
ノーハウについて考察する。
平成18年度全学FD研修会実施計画
H18年8月30日現在
平成18年度の山口大学のFD活動は、中期目
標・中期計画に則り、大学教育機構主催のアラ
カルト方式全学FD研修会の充実を図るととも
に、各学部・学科及び授業科目別分科会におけ
るFD活動を積極的に推進する。
以下に大学教育機構主催のFD研修会の実施要
項を示し、各学部FD委員会の協力のもと、でき
るだけ多くの教員の参加を期待するものであ
る。また、各学部・学科及び分科会のFD活動、
研修会についても、その活動計画や実施要項に
関して事前に全学に案内する予定である。併せ
てさまざまな機会を利用して、授業改善に取り
組んでいただければ幸いである。
Ⅰ.研修会(場所については、参加者数と使用
設備を見て、後日決定、通知する)
1.新規採用教育職員研修会(実施済み、詳細
は25頁の報告をご覧下さい)
主 催:大学教育機構
日 時:平成18年4月21日 13:30∼17:00
場 所:共通教育棟二階小会議室
対 象:平成17年4月以降に新規採用された
講師以上の教育職員(大学で教鞭を
とっていた方は除く)
講義1:シラバスの作成
か
ぎょう き
暁毅(大学教育センター助教授)
講 師:何
内 容:教務システムの説明と山口大学の観
点別シラバスの作成方法及びWEBシ
ラバスの入力法など。
講義2:学生授業評価と教員授業自己評価
講 師:吉田 香奈(大学教育センター講師)
内 容:山口大学の学生授業評価システムと
教員授業自己評価システムの内容説
明など。
その他:ノートパソコン持ち込みが望ましい。
2.授業技術研修会−分かる授業の作り方と進
め方−
3 . 脱 初 心 者 ! MS Office( Word, Excel,
Power Point)実践的活用法
主 催:大学教育機構
日 程:平成18年9月22日 13:30∼16:30
場 所:在山地区(共通教育棟2F多目的室)
対 象:希望者(初心者対象)
講 師:川崎 勝(医学部助教授)
内 容:教材作成や教務事務に不可欠なMSWordとMS-Excelの便利な使い方やエ
ディタとの違い及びパワーポイント
との連携を、講義と実習で学ぶ。
※各自、必ずMS-WordとMS-ExcelとPower
Pointのインストールされたノートパソコン
を持参してください。
4.パワーポイント教材の作り方
主 催:大学教育機構
日 程:平成18年9月14日 13:30∼16:30
場 所:在山地区(共通教育棟2F多目的室)
対 象:希望者
講 師:鷹岡 亮(教育学部助教授)
内 容:本研修会では、パワーポイントを用
いた教材作成の方法を実習します。
−20−
はじめに、パワーポイントの基本ス
キルやスライド作成の基本パターン
について説明し、操作して頂きます。
その後、考えてきて頂いた10分程度
の授業内容をパワーポイント教材と
して作成して頂きます。
受講対象者の条件:
Power Pointの入ったノートパソコン持
参できること。
Wordや一太郎を使って文章や図が書け
ること。
研修会当日までに、Power Point教材を
利用するような10分程度の授業場面(内
容)を考えてきて頂けること。
5.学生参加型授業・学生発信型授業の設計と
評価 −理系授業の場合−
主 催:大学教育機構(3月実施分は医学部
保健学科と共催)
日 程:平成18年9月7日 [在山地区]
13:30∼16:30
平成19年3月20日 [宇部地区]
13:30∼16:30
場 所:在山地区(共通教育棟2F多目的室)
、
宇部地区(未定)
対 象:希望者
講 師:大島 直樹(大学院技術経営研究科
助教授)
内 容:学生の変容に伴い、近年特にその重
要性を高めている学生参加型授業、
学生発信型授業の設計と評価の方法
について学ぶ。
6.客観的な成績評価の方法
主 催:大学教育機構
日 程:平成18年9月21日 [在山地区]
13:30∼16:30
(都合により取り消し)
平成19年3月15日 [宇部地区]
13:30∼16:30
場 所:宇部地区(未定)
対 象:希望者
講 師:沖 裕貴(立命館大学教授、予定)
内 容:厳格な成績評価とは、優の乱発や楽
勝科目をなくすといった表面的な取
り組みを指すものではない。評価者、
被評価者ともに納得できる客観的、
公平な評価規準を定め、指導と評価
の一元化を目指すことにある。本研
修では、ルーブリック評価をもとに、
特に情意的領域や向上目標などの達成
度を客観的に測定し、形成的評価や総
括的評価に生かす方法や技術を学ぶ。
Ⅱ.講演会
山口大学のベスト授業(実施済み、詳細は次の
頁をご覧下さい)
主 催:大学教育機構
日 程:平成18年8月2日 13:00∼17:30
場 所:大学会館
対 象:教職員・学生
1.ベストティーチャー講演会
テーマ:山口大学のベスト授業
講 師:平成17年度ベストティーチャー賞受
賞者
古賀 大三(農学部教授)
大島 直樹(大学院技術経営研究科
助教授)
岡村 吉永(教育学部助教授)
吉水佐知子(経済学部教授)
司 会:山本 芳実(農学部教授・大学教育
センター主事)
内 容:本学は平成17年にベストティーチャー
賞を創設し、第一回目の受賞者とし
て9人の先生方が受賞されました。
ベストティーチャーの先生方はそれ
ぞれの分野で教育の質の向上に大変
貢献されました。この講演会ではご
自分の授業の最も工夫したところなど
についてお話し頂きたいと思います。
2.パネルディスカッション
テーマ:良い授業とは?
パネリスト:ベストティーチャー・学生代表
司 会:福田 隆真(教育学部教授)
内 容:講師のベストティーチャーと学生代
表が学生にとって良い授業とはどん
な授業であるかについてディスカッ
ションします。
−21−
* 研修会等の場所や持ち物等の最新情報は、
大学教育センターHP(http://www.epc.
yamaguchi-u.ac.jp/)に掲載いたしますの
で、参加者は事前にチェックしていただき
ますようお願いいたします。
講演している古賀大三先生
講演している大島直樹先生
講演している岡村吉永先生
講演している吉水佐知子先生
パネルディスカッション
学生パネリスト(左から雷蕾・経済学研究科1年、
川野智裕・人文3年、徳冨信恵・教育4年)
平成18年度山口大学FD講演会
山口大学では、平成17年度より全学FDの実施
方法が大幅に改善され、従来行われていた宿泊
型の研修会を発展的に解消するとともに、FD講
演会(夏期1回)およびテーマ別研修会(年10
回程度)が開催されている。今年度のFD講演会
は8月2日に実施された。
今年度は「山口大学のベスト授業」と題して、
約4時間半にわたる講演およびパネルディスカ
ッションが行われた。本学では、平成17年度に
ベストティーチャー賞が創設され、各学部・研
究科から第1回目の受賞者として9名の先生方
が表彰されたが、今回の講演会では、この中か
ら4名の受賞者に授業の工夫点についてお話い
ただくとともに、後半のパネルディスカッショ
ンでは学生を交えて、「良い授業」についてデ
ィスカッションが行われた。当日は大学会館の
会場には計62名の教職員・学生が参加した。ま
た、メディア基盤センターの「LIVE山口大学」
のホームページより講演会の模様が学内にネッ
トライブ中継された。
講演会では、まず、農学部教授の古賀大三先
生より、通常の授業で心がけている点について
講演が行われた。学生の集中力を途切れさせな
いためにはどうしたら良いか、学年別ではどう
−22−
いった点に注意して授業を行うべきか等につい
て豊富な経験の一部が披露された。
次に、大学院技術経営研究科助教授の大島直
樹先生より「インストラクショナルデザイン手
法に基づいた物理学実験のWeb教材開発」と題
して講演が行われた。これまで取り組んでこら
れた共通教育の物理学実験のWeb教材作成にあ
たって苦労された点、インストラクショナルデ
ザインの理論、Web教材の長所・魅力等につい
て報告が行われた。
続いて、教育学部助教授の岡村吉永先生から
は共通教育の技術概論(応用科学系列)の授業
を事例として、どのように学生の関心・意欲を
喚起し、思考力を鍛えるかについて報告が行わ
れた。FD参加者は授業で出される問題を実際に
その場で解き、その後に学生がどのような解答
を出したかについて聞くことができ、思考力を
鍛える授業を行うためにはどうしたらよいかを
考える良いきっかけとなった。
最後に、経済学部教授の吉水佐知子先生より、
経済学部専門科目の会計学演習の授業を事例と
しながら、学生の授業外学習を充実させる方法
や学生の授業への積極的な参加を促す方法の紹
介が行われた。
パネルディスカッションでは、講演者に3名
の学生代表を交えて意見交換が行われた。また、
フロアーからも多くの質問が寄せられた。主な
論点は以下のとおりである。
・よい授業を行うためには何が必要か?
・シラバスの書き方、効果的な使用方法
・大規模授業での工夫点
・学生から質問を引き出すにはどうしたらよ
いか?
・学生の参加型授業を作っていくにはどうし
たらよいか?
・授業外学習を積極的にさせるにはどうしたら
よいか、主体的な学びを促すためのコツは?
・よい授業と楽しい授業の違いは何か?
研修会後に実施したアンケートでは、「良か
った」「非常に良かった」という意見が約8割
を占め、概ね好評であった。具体的な感想とし
て、「講演された先生方の様々な工夫は非常に
興味深く、大変参考となった」「ベストティー
チャーの先生方の授業への情熱が伝わる講演会
で、刺激を受ける機会となった」という意見や、
「パネルディスカッションの学生の発言に驚き
を感じました。文系だけでなく理系の学生も出
してほしかったです」という意見が寄せられた。
(文責:吉田)
研修会に参加した感想
人 数
構成比
良くなかった
1
4%
余り良くなかった
1
4%
どちらとも言えない
4
15%
18
69%
2
8%
良かった
非常に良かった
FD講習会会場
第1回 FD委員会と
学生との意見交流会
6月28日13:00より第1回FD委員会委員と学
生代表との意見交流会が開催された。各学部か
らは学生(院生含む)13名が出席し、教職員15
名とともに「授業評価のあり方」について約2
時間にわたる活発な意見交換が行われた。この
ような意見交流会の開催は初めての試みであ
り、開始前は学生から意見が出されるかどうか
心配されたが、いざ始まってみると活発な意見
交換が行われ、非常に有意義なものとなった。
主な論点は以下のとおりである。
1)学生は授業評価を真面目に行っている
か?
2)教員は授業評価の結果を踏まえて授業改
善を行っているか?
3)授業評価を授業改善に結びつけていくに
はどうしたらよいか?
1)については真面目に行っている学生から
そうでない学生まで様々であること、学期末に
たくさんの授業評価をしなければならないため
負担であること、最終授業の終わり10分くらい
−23−
意見交流会 その1
意見交流会 その2
率直に意見を述べる学生 その1
率直に意見を述べる学生 その2
で行うためゆっくりと意見が書けないこと等の
意見が出された。この解決策としてもっと記入
の時間をとってほしいこと、授業評価の目的・
意義を学生に伝える努力をすること等の意見が
だされた。また、2)については改善に熱心な
教員とそうでない教員がいること、および後者
の教員の授業は改善されていないことが指摘さ
れた。3)については、授業評価の結果を学生
に公開してほしいという意見が多かった。学生
は毎回多くの評価を行っているにもかかわらず
その結果を知る機会がないことにかなりの不満
を持っており、それが授業評価を真面目に行わ
ないことにつながっていることが指摘された。
研修会に参加した感想
学 生
人 数
構成比
良くなかった
0
0%
余り良くなかった
0
0%
どちらとも言えない
1
8%
良かった
8
62%
非常に良かった
4
31%
また、公開が前提であれば教員は授業評価の結
果を無視できなくなるといった内容の意見も多
く出された。
FD委員からは授業評価が適切に行われるには
まずは教員と学生の間に信頼関係が必要である
こと、認証評価等の外部評価に対応するために
授業評価を行っているのではなく、授業の改善
のために行っているのであるという意識を共有
する必要があること等が指摘された。
予定していた2時間はあっという間に過ぎ、
最後に感想をアンケート用紙に記入してもらっ
た。意見交流会に参加して「非常によかった」
「良かった」と回答した学生は9割にのぼり、
また、FD委員からも今後も継続し
てほしいという意見が多数寄せら
れた。なお、具体的な感想は以下
FD委員
のとおりである(抜粋)。学生か
人 数 構成比
らの意見にもあるように、時間の
0
0%
短さや討論の進め方については次
回の意見交流会で留意しておくべ
0
0%
き点であろう。
0
0%
〈FD委員より〉
6
67%
・FD委員以外の教員、一般学生
3
33%
にも公開した方が良い
−24−
・学生の発言が積極的にあってよかった
〈学生より〉
・各学部が集まり、話し合いをする場という
のが今までなかったので、様々な学部の教授
や学生の意見を聞くことができてよかった。
・先生の考えが聞けて、学生の視点外の見え
方が理解できたので良かったと思う。これ
から、学生と先生との間のズレを埋められ
たらいいなと感じた
・先生方と学生との間に評価を行うことに対
しての意識の違いがあると感じました。
・質問項目の内容が不十分だと思います。こ
れだけのデータでは良い授業かどうかの評
価は難しいのではないでしょうか。
・時間が短く、討論らしくなく、一方的なと
ころがあったと思います。もう少し活発な
意見交換ができれば良かったと思います。
・きちんと授業評価をするためには学生と教
授両方の意識改革が必要だと思いました。
新任教育職員FD研修会
意見・感想
人 数
構成比
良くなかった
0
0%
余り良くなかった
0
0%
どちらとも言えない
0
0%
良かった
3
33%
非常に良かった
6
67%
(文責:吉田)
新規採用教育職員研修会実施
大学教育機構主催(大学教育センター担当)
の平成18年度新任教育職員FD研修会は4月21日
13:30から17:00まで、共通教育棟2階小会議
室において実施された。参加者は、平成17年4
月以降に新規採用された在山地区の講師以上の
教員9名である。研修は教育国際担当副学長で
大学教育機構長の丸本卓哉先生(当時)の挨拶
で始まり、2部構成で行われた。第1部では本
学の観点別シラバスの書き方とWEBシラバスの
入力方法などについて説明が行われた(講師:
大学教育センター何)。また、第2部では本学
の教育改善の取り組みと学生授業評価及び教員
自己授業評価の方法について説明が行われた
(講師:大学教育センター吉田)。
研修終了後のアンケートでは、ほぼ全員の先
生から良い評価を頂いた。具体的感想は以下の
とおりである。「『シラバスの作成』の内容が大
変すばらしいと感じました。後日きちんと読み
直そうと思います」「全学をあげて教育の質向
上に対し、真剣に取り組んでいることがわかり
ました。参考になりました」「配布されるだけ
では読み込めない資料について、丁寧な説明を
受け、理解が進んだように思う」「シラバスに
関する認識等が変わりました。今後に活かした
いと思います」「現在、学校現場でも授業評
価・業績評価が導入されています。私は中学校
現場から来ましたが、教職員の自己評価、生徒
による授業評価、外部人材による総合評価等が
入りながら、リンクして教職員の業績評価とつ
ながっています。その流れをうけて山大の取組
みも理解しやすかったと思います。分かり易く
ご指導いただきありがとうございました」「授
業がありましたので貴重なお話の大部分を聞く
ことができず大変悲しく思っております。はじ
めの部分と後ろおしまいの部分のみ聞かせてい
ただきましたが、それだけでも勉強になりまし
た。ありがとうございました」「山大シラバ
ス・大学教育について得るところがあった」。
逆に研修会の進め方・内容については次のよ
うな意見も寄せられた。「Webシラバスについ
ての説明はもっと早い段階で行う方が良かった
のではないかと思います」、「時間が足りなかっ
た。実際にシラバスを作成する実習時間が欲し
い」。これらの意見から、実施時期や参加者の
範囲など、これから改善しなければならないと
ころが浮き彫りになった。
−25−
(文責:何)
2006年度プレースメント・テス
トについて
本学のプレースメント・テストは新入生の基
礎学力を問う試験であり、数学と理科(物理、
化学、生物)について実施している。これによ
り基礎学力不足と判定された学生には、高校レ
ベルの数学と理科を復習する「入門」授業の受
講をうながしている。
プレースメント・テストは前期授業の開始前
に実施し、判定結果を学生に告知するようにし
ている。本年度は4月6日 に実施し、数学:
613名、物理:304名、化学:205名、生物学:
221名の受験者があった。
本年度でプレースメント・テストを始めて4
年目になるが、有効性や実施方法に関して多く
の議論がなされてきた。例えば、学生の所属に
よらず一律である現行のテストは、各学部や学
科等がそれぞれに求める基礎学力を測る指標と
して適切であるかが問われている。今後は、こ
れまでの議論を踏まえてテストの改良を進めて
ゆく予定である。
(文責:木下)
2005年度卒業生満足度調査につ
いて
山口大学における卒業生満足度調査は、2003
年度より統一した満足度尺度を用いて毎年実施
している。満足度尺度は2002年度の卒業生満足
度調査結果を用いて開発した。この調査では、
各授業群、学生生活や人間関係、学生生活の支
援体制、生活環境に関する質問を設けており、
「不満である」、「どちらかというと不満」、「ど
ちらともいえない」、「どちらかというと満足」、
「満足している」の5段階から選択する形式で
アンケート調査を実施している。
2004年度と2005年度の結果を比較すると、学
部全体の総合満足度はやや上昇した。各満足度
をみると、授業や学生支援に関する評価が向上
している。中でも「多人数教育」に関する評価
が向上している。このことから、授業の管理
(出席の確認など)や内容に対する教員の意識
改善と学生生活や就職支援など多面的な学生支
援体制の充実が進みつつあるといえるだろう。
全体としては2004年度と比較して2005年度の
卒業生満足度は改善傾向にあると思われるが、
この結果からFD等による教育改善活動に確かな
手ごたえがあるとはまだ明言できない。今後も
継続的な教育改善活動を行うことにより、多面
的な教育サービスの改善と充実に注力しなけれ
ばならない。
(文責:木下)
学習相談支援室の開設について
大学教育センターでは、本年度も学習相談支
援室を開設しました。
授業を受けていても理解できない場合、その
ままにしておくとますます理解が難しくなりま
す。なるべく早い段階で解消するのがベストで
すが、自分一人では難しいと感じている人も多
いと思います。そのような悩みを解消する試み
として、大学教育センターでは学習相談支援室
を開設し、学習相談を実施しています(8頁の
記事を参考して下さい)。
相談内容 共通教育で講義されている以下の
授業に関する学習相談
場 所 共通教育棟3階ラウンジ
(中央玄関の階段を上がって左
側角の部屋)
※物理学は理学部で開設
時 間 16:30−18:00
曜日・科目 月曜日 数学(担当・柏木先生)
物理学
(担当・朝日先生、院生)
火曜日 英語(担当・倉増先生)
水曜日 化学(担当・西口先生)
木曜日 生物学
(担当・祐村先生)
−26−
アドミッションセンター
各センター活動報告
地方試験場先行大学への調査を
実施
アドミッションセンターでは、今年3月、地
方試験場を実施している鹿児島大学、信州大学、
秋田大学を調査訪問しました。過去にAO入試
の地方試験場実施等を検討して参りましたが、
AO入試という枠組みではなく、入試全体にお
いて地方試験場の可能性を探るために実施しま
した。
今後、各大学の有するメリット、デメリット
双方を山口大学のケースに置き換えて検討し、
山口大学の今後の入試における可能性を検討し
ます。
大学進学時の状況に関する調査
を実施
今年4月、アドミッションセンターでは、新
入生に対する悉皆調査として「大学進学時の状
況に関する調査」を実施しました。その結果、
山口大学の学生が受験時にどのような進学意識
を持ち、どのような情報を必要として行動した
のか、学部別、入学区分別にその最新事情が浮
き彫りになりました。
まず、今年度入学者の山口大学の受験理由
(図1)は「国立大学だったから」が61.0%で最
も高いことが明らかになりました。これは昨年
アドミッションセンター富永倫彦が大学入試セ
ンターと共同で行った「大学進学時の情報利用
に関する調査」と同様の結果となり、法人化さ
れて2年が経過しましたが、いまだなお、この
要因が山口大学の受験動向に強く影響していま
す。
また、山口大学を受験校として決定した時期
(図2)から、センター試験が山口大学の受験
動向にいまだに大きく影響していることも明ら
かになりました。センター試験自己採点終了以
降に山口大学を第一志望校とした学生が43.3%
存在します。この時期にやっと志望校の1つと
した学生が29.8%です。山口大学を第一志望と
した時期の該当なし16.0%は山口大学が第2志
望以下で入学してきた学生と考えられます。
次に、山口大学のホームページの利用やオー
プンキャンパス、入試説明会、受験相談会への
参加についてですが、ホームページは全体の
70
61.0
60
50
47.5
40
34.0
31.6
30
20
12.4
10
0
5.4
4.3
入
学
難
易
度
が
自
分
に
あ
っ
て
い
た
か
ら
入
試
科
目
が
自
分
に
あ
っ
て
い
た
か
ら
選
抜
方
法
が
自
分
に
あ
っ
て
い
た
か
ら
A
P
が
自
分
に
あ
っ
て
い
た
か
ら
専
攻
し
た
い
学
問
分
野
が
あ
っ
た
か
ら
教
育
内
容
に
特
色
が
あ
る
か
ら
13.1
8.0
1.3
有
名
な
教
授
・
優
秀
な
教
授
が
い
る
か
ら
0.7
国
立
大
学
だ
っ
た
か
ら
総
合
大
学
だ
か
ら
大
学
院
が
整
備
さ
れ
て
い
る
か
ら
と
り
た
い
資
格
・
免
許
が
と
れ
る
か
ら
2.5
1.9
1.1
3.1
4.3
4.8
施
設
・
設
備
が
い
い
か
ら
伝 かク
統 らラ
ブ
や
・
知
サ
名
ー
度
ク
ル
が
活
あ
動
る
か
が
ら
充
実
し
て
い
る
就
職
状
況
が
い
い
か
ら
あ校
っ風
てや
い
るキ
かャ
らン
パ
ス
の
雰
囲
気
が
自
分
に
入
学
金
・
授
業
料
が
安
い
か
ら
図1 山口大学の受験理由
−27−
5.8
3.9
3.4
3.1
自
宅
か
ら
通
え
る
か
ら
親
元
を
離
れ
ら
れ
る
か
ら
あ
ま
り
考
え
な
い
で
選
ん
だ
そ
の
他
0.5
奨
学
金
や
特
待
生
制
度
が
あ
る
か
ら
70
60
志望校の1つに決めた時期
50
第一志望校に決めた時期
43.3
40
29.8
30
16.0
20 16.9
14.1
12.6
11.0 10.8
8.3
8.0 9.2 6.9
6.6
6.3
10
0
高
校
3
年
に
な
る
前
ま
で
高
校
3
年
の
夏
休
み
前
ま
で
高
校
3
年
の
夏
休
み
中
か高
ら校
冬3
休年
みの
前夏
ま休
でみ
明
け
セ高
ン校
タ3
ー年
試冬
験休
直み
前か
まら
で
終セ
了ン
以タ
降ー
試
験
自
己
採
点
ャンパス、入試説明会、受験相談会への参加は、
AO入試、推薦入学志望者が積極的であると考
えられます。詳しくは、7月に各学部に配布さ
せていただいた、報告書をご覧ください。
該
当
な
し
新たにスタートした入研協に参加
図2 山口大学受験決定時期
83.1%が受験情報を得るために利用していまし
た。
山口大学のオープンキャンパス参加は入学者
全体の19.2%、入試説明会、受験相談会への参
加も入学者全体の6.6%で、非常に低い値になり
ました。
入試区分別でみると、オープンキャンパス
(図3)はAO入試による入学者、次いで推薦入
学による入学者の参加が多く、同様に、入学説
明会、受験相談会(図4)もAO、推薦入学に
よる入学者の参加が多いという結果になりまし
た。
山口大学の入試広報の側面から、オープンキ
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
91.4
43.1
13.6
5.5
前期
後期
推薦
AO
図3 入試区分別山大オープンキャンパスへの参加
25.0
23.5
20.0
17.6
国立大学アドミッションセンター
連絡会議に出席
15.0
10.0
5.0
入試改善に関する調査研究および情報の提供
等、国立大学の入試に関わる協議会として昭和
55年に設置された国立大学入学者選抜研究連絡
協議会(入研協)は、第1回大会から昨年の第
26回大会開催まで活発な活動が展開され、本学
アドミッションセンターでも設置以来、毎年参
加し研究発表を行ってきました。
しかし、平成18年4月から入研協を発展的に
改組し、独立行政法人大学入試センターの事業
として位置づけられることになりました。これ
を機に、すべての国公私立大学に参加を呼びか
け、新たに「全国大学入学者選抜研究連絡協議
会」として入学者選抜改善に関する調査研究を
推進することになりました。
新入研協としてスタートした第1回の全国大
学入学者選抜研究連絡協議会は、5月31日 ∼
6月2日 、静岡大学を世話役として静岡県コ
ンベンションアーツセンター(グランシップ)
で開催されました。
全体会のテーマは以下の通りです。研究会で
は「入学区分別に見た大学進学時の情報利用の
実態−山口大学全学部2年生対象調査−」をテ
ーマにアドミッションセンター富永倫彦が発表
しました。
[全体会のテーマ等]
○ セミナー「各国の入試制度」
○ 公開討論会「多様化する高校と新教育課
程下での大学入試」
○ テーマ指定討論会「数学の作題体制につ
いて」
4.8
0.9
0.0
前期
後期
推薦
図4 入試区分別山大説明会への参加
AO
例年、入研協開催時に行われている国立大学
アドミッションセンター連絡会議が、本年も入
研協開会前の5月31日10時30分から開催され、
−28−
本学アドミッションセンターも出席しました。
今年度から愛媛大学学生支援センターの新たな
加盟が認められ、加盟大学は20校となりました。
総会に引き続いて各大学からの実践報告が行
われ、今年は、以下の3大学が報告しました。
○ 鳥取大学「鳥取大学アドミッションセン
ターの目指すもの」
○ 広島大学「広島大学AO選抜の現状と課
題」
○ 愛媛大学「愛媛大学のAO選抜」
トリー段階を廃止し出願から開始することに変
更しました。今年度のAO入試のプロセスと志
願状況は以下のとおりです。
Step1
出 願 受 付 平成18年8月21日
∼8月25日
第1次選抜 書類選考
第1次選抜
平成18年9月15日
結果発表
第2次選抜 面接試験、講義等理解
力試験
平成18年9月25日
∼9月29日
合 格 発 表 平成18年10月25日
入 学 手 続 平成18年11月1日
∼11月6日
Step2
Step3
Step4
AO入試の選抜システムを変更
Step5
Step6
山口大学AO入試は19年度選抜で6回目を迎
えました。今年度の選抜では、受験生の負担と、
エントリー制による効果を考え合わせて、エン
(文責:林)
平成19年度AO入試志願状況
学 部
人文学部
学 科 等
募集人員
5
66
13.20
言語文化学科
5
65
13.00
10
131
13.10
表現情報処理コース
4
10
2.50
数理情報コース
6
20
3.33
10
30
3.00
20
181
9.05
小 計
20
181
9.05
物理・情報科学科
5
12
2.40
生物・化学科(化学コース)
4
20
5.00
地球圏システム科学科
4
18
4.50
13
50
3.85
機械工学科
5
30
6.00
社会建設工学科
5
21
4.20
応用化学科
4
17
4.25
電気電子工学科
4
15
3.75
知能情報工学科
4
28
7.00
感性デザイン工学科
3
20
6.67
循環環境工学科
3
7
2.33
28
138
4.93
81
530
6.54
小 計
経済学部
理 学 部
経済学部
小 計
工 学 部
倍 率
人文社会学科
小 計
教育学部
志 願 者
小 計
合 計
−29−
平成18年度上半期の入試広報活動
アドミッションセンターでは、①これからの
大学教育にふさわしい力をもった学生を確保す
る、②山口県内はいうまでもなく県外等国内外
からの入学者確保に努める、③全学的な課題と
位置づけ必要な方策と予算措置を講ずる、の3
点を入試広報戦略の骨格的な考え方として入試
広報活動を進めている。また、たんなる大学の
広報にとどまらず、①大学の研究活動に触れさ
せ、高校生の知的興味関心を高め課題探究能力
の向上を図る、②大学教育の意義や目的を理解
させ、教育研究活動に進んで参画する意欲と関
心を高め人間性の向上を図る、③山口大学の教
育研究活動の特色を伝え、山口大学への入学動
機を高める、という「拓く、耕す、受け入れる」
能力開発的入試広報に努め、いわば「大学ゼロ
時間目の授業(=ステージゼロの教育)」とし
てさまざまな取り組みを展開している。
1 進学説明会「スプリングセミナー」
3月27日 の東京会場を皮切りに、28日 広
島会場、29日 山口会場、30日 小倉会場の4
カ所で「山口大学進学説明会スプリングセミナ
ー」を開催した。東京3校9人、広島36校102
人、山口44校195人、小倉26校86人の高校生、
先生や保護者の方々が参加した。
セミナーでは山口大学アドミッションセンタ
ー田中均助教授が「山口大学ってこんな大学」
というテーマで、「長州ファイブ」「アドミッシ
ョン・ポリシー」「桜の花」をキーワードに、
山口大学の理念と目標、特色ある教育活動、学
生生活や進路・就職支援などについて話があ
り、「ほかならぬ自分、愛すべき自分を、学問
することを通して見つけるのが大学。異質なも
のが行き交い交流することで出会いや発見があ
るのが「知の広場」としての山口大学」と説明
した。
パンフレットなどの資料ではわからないこ
とを理解できた。
(広島)
TOEICを積極的に取り組むというところが
すごく魅力的に思えた。
(小倉)
シンボルマークにいろいろな意味があるの
が分かりおもしろかった。
(山口)
資料などでしかわからなかった学校像や学
校の雰囲気が構内見学で見てイメージが変
わった。(山口)
「どんな人でもプロフェッショナルになる」
という言葉が印象的だった。
(小倉)
「山口大学 学びのフィールド」では文系・
理系に分かれて学部の内容について、各学部の
先生方から説明があり、参加者は熱心に聞き入
っていた。人文学部では、大学の学部の一番は
じめにある学部であり諸科学の根底にある「人
間とは何か」を追究する学問であること、教育
学部ではすべての人が受けた「教育」経験した
「学校」を改めて考えること、経済学部では確
固たる伝統の上に立ち自分維新を目指した先進
的な学びを進めることなどが語られた。
小倉会場:文系会場の様子
経済学部の仕組みがよくわかった。学部に
入ってから学科が選べることを知ることが
できてよかった。
(広島)
人文学部は興味を引かれるコースがたくさ
んあった。とても楽しかった。
(山口)
教育学部の留学制度に関する疑問が解け
た。取得できる教員免許状の内容を詳しく
知ることによって興味あるコースの範囲が
大きくなった。
(山口)
広島会場:全体会の様子
−30−
獣医を希望していますが、農学部全体の情
報を聞くことができてよかった。(東京)
理学部や工学部に新たな興味がもてた。進
路を決めるいいきっかけになった。(山口)
看護以外の医学部全体の話も含めて聞けて
とても興味がわいた。(広島)
医者の仕事は人間としての仕事ということ
を新鮮な気持ちで聞くことができました。
(小倉)
山口会場:理系会場の様子
理系の学部説明会でも、理学部・医学部・工
学部・農学部の各学部の先生方から、学部の特
色や教育活動について説明があった。理学部で
は、基礎から応用までを少人数教育で学べる学
部であること、科学する心を抱いてほしいこと、
農学部では、人類の未来を左右する現代の農業
問題に立ち向かう学部であること、医学部では
テクニカルスキルにあわせてヒューマンスキル
を重視する学部であること、工学部では創造性
を発揮して問題意識を研ぎ図まして未来を作る
学部であることなどが語られた。
各会場とも、文系・理系の説明会と同時に、
学部ごとにもうけられたブースで個別の相談会
も開いた。個別相談では、入学者選抜の方法や
入試科目・配点など直接入試に関わることや、
どのような教育カリキュラムか、どのような資
格や免許がとれるかなどについて、熱心に尋ね
る姿が見られた。山口会場では、構内の施設を
巡るミニキャンパスツアーも行われた。
広島会場:個別相談会の様子
東京会場の様子
先生方もとても親しみやすく個人相談では
知 り た か っ た 細 か な と こ ろ ま で 聞 け た。
(小倉)
わかりやすい説明だった。この時期に行わ
れているのでとても来やすくてよいと思っ
た。(山口)
とても参考になった。就職率がよくて驚い
た。(山口)
オープンキャンパスにも行ってみたい。配
付された資料やホームページをもとに両親
にも相談しようと思う。(広島)
とてもわかりやすかった。英語の勉強はや
っぱり必要だと再認識した。またいろいろ
なことを知ってみたい。(広島)
2 18年度(4月∼6月)の入試広報活動
(カッコ内は昨年度同時期の件数)
ア 高校で実施した入試広報活動
4月3校(1校)、5月4校(11校)、6月
12校(5校)の合計19校(17校)で入試広報
活動を行った。このうち高校が主催した説明
会等は6校であり、進路情報関連業者を介し
て実施した説明会等は13校であった。また、
−31−
山口県内高校は8校であった。
イ 大学(本学)で実施した入試広報活動
4月0校(1校)、5月0校(0校)、6月
4校(4校)の合計4校が来学し、入試広報
活動を行った。進路情報関連業者を介して実
施した説明会等は0校であった。また、山口
県内高校は4校であった。
ウ 大学(他大学)で実施した入試広報活動
7月から8月にかけて九州地区国立大学と
オープンキャンパス参加の相互乗り入れを行
う予定である。
エ 公共・民間施設等で実施した入試広報活動
22カ所で入試広報活動を行った。このうち、
他大学と共同して実施したものは0件、予備
校が主催して実施したものは0件、進路情報
関連業者等が主催して実施したものは22件で
あった。
3 オープンキャンパスの実施
「オープンキャンパス見直しワーキング」の
報告書で①全学的な実施体制・組織・方策及び
予算措置を講じること、②全学的に実施する企
画内容を工夫し学部で実施する企画内容と調整
すること、③オープンキャンパスの実施に焦点
を合わせた広報活動を行うこと、の3点が提言
されたことを受けて、今年度についてはアドミ
ッションセンター・入試課が全学企画等を担当
して実施することとなった。
オープンキャンパスは、8月7日 経済学
部・理学部・医学部、8月8日 教育学部・農
学部・工学部、8月9日 人文学部・工学部が
それぞれ行った。
参加人数は人文学部人文学部468人,経済学
部503人、教育学部504人、理学部219人、農学
部380人、医学部418人、工学部506人の合計
2,998人(昨年は2,691人)で昨年を307人、
11.3%上回った。
「TOEIC」の紹介
とりわけ今年は以下の点で広報と実施組織、
企画内容の改善を行った。
広報では昨年までのポスター配布に加え、進
路情報関連雑誌への掲載1件、新聞広告3件を
行い、案内チラシを20,000枚作成し600校に配布
した。また、4月から7月までの間、高校や公
共・民間施設での説明会等において実施を広く
案内した。
実施組織の面では、高校生や保護者から強く
要望のあった学生との交流の機会を作るため
に、アドミッションセンター・入試課を中心と
して有志を募り、学生実行委員会を立ち上げ、
企画内容・運営に学生が参画した点が大きな改
善点である。学生実行委員会は5月9日にスタ
ートし、50名の有志組織となった。隔週での全
体会合を基本に、各担当ごとの会議を毎週実施
し、学生ならではの視点からさまざまな企画の
提案や、きめ細かな運営上の工夫などを行った。
丸本学長も「かき氷」のサービス
課外活動の紹介:大学会館ホール
企画内容の面では、学部単位で実施するより
も全学的に実施することがより効果的である内
容について企画化し、この全学企画を実施する
時間帯として午前11時30分から午後1時までの
−32−
時間帯を確保した。今年度は山口地区のみで全
学企画を実施した。全学企画では特色ある教育
活動として「TOEIC」や「おもしろプロジェク
ト」の紹介や、サークル等の課外活動の紹介、
学生による相談コーナーや学部ブースの設置、
キャンパスツアー、かき氷の提供などを行った。
生実行委員会のメンバーがキャンパスマップを
配布し学部までをエスコートした。また、午後
の学部の企画終了後には、学生実行委員会のメ
ンバーが大学内を案内しキャンパスツアーを行
った。
学生実行委員会による相談コーナー
また、参加者の利便性を高めるために、益田、
萩、長門市、新山口駅からの送迎バス、湯田温
泉駅からのピストン輸送バスを毎日8台運行し
た。学内では来学者を横断幕や幟で出迎え、学
地元の4年制私立大学は学費が高いから行
かない。国公立が本命です。(広島県から
の参加)
山大を選んだのは地元だから。高校で野球
をやっていたので大学でもできたらいいな
と思います。(山口県からの参加)
他の短大も見に行きます。今日のオープン
キャンパスはクラブ・サークル紹介とかあ
っておもしろかったです。(山口県からの
参加)
大学生って責任がいるんだなあと思いまし
た。(山口県からの参加者)
まだ1年生なんですけど文系と理系とどっ
ちにするか決めるために来ました。(山口
県からの参加者)
(文責:田中)
山口大学
オープンキャンパスチラシ
−33−
各センター活動報告
国際センター
韓国公州大学校――
International Week
2006年5月22日―26日にかけて、韓国公州大
学校が「国際週間」と称して協定校の教員学生、
数十名を招待して、1週間、寝食を共にしなが
ら異文化交流を行った。共通言語のない交流と
も言えた。が、かえってそのことが、人間は共
有するものが多く、言語はその一部の属性でし
かないことを学ぶには絶好の機会であった。学
長晩餐、大学紹介(山口大の学生は英語で行い、
公州大の孔女史からお褒めを頂いた)、韓国文
化体験、キャンパスツアー、公州見学、ソウル
では青瓦台にまで足を運んだ。公州市は百済文
化の地でその当時の文化遺産が多く残されてい
て、日本の古代と深い関係がある。土地柄は山
口に酷似した山紫水明の地である。
私は24日まで参加した。その間、学長離任式
で流される協定校からの挨拶のビデオ撮り、今
後の両校の交流について協議した。2004年来続
けてきた日韓中の「3校学生交流」への協力に
謝辞を述べ、この交流は“反日”に視点を据え、
若いときにお互いが接してこの問題を考え、理
解力を培い、友情を育み、将来、同じ問題が同
じようにくすぶらないように、相互理解と情愛
をもって真正面から取組み解決できるような人
材を育成することを目的とすることを述べた。
公州大学校からは賛意と協力の同意を得た。
日本の近隣諸国は、日本と同じように世界で
も最も少子化の著しいところであり、大学の世
界に対してブランド化の志向もあり、国際戦略
上、“国際化”の実践がさまざまな形態を取っ
て実践されている。そのスピード感と大学経営
の中核へ迫る国際化の熱風は凄まじい。山口大
学は、大学全体としてその熱風を送りまた受け
ているのであろうか。国際化への大学経営理念
とその戦略が一つの焦点に向かって絞り込むの
を必然化しなければならないことをこの公州大
学校の「国際週間」でも肌で感じていた。
(文責:宮崎)
2006年度
夏季短期語学研修プログラム
元気に記念撮影
町に出て実践授業
リジャイナ大学語学研修(カナダ)
期 間:平成18年8月5日∼
9月5日(4週間)
参加学生数:10名
担 当:今井新悟
引 率:N. Edwards(外国語センター)
リジャイナ大学夏季語学研修の参加者の過半
数は海外渡航が初めてでした。出発前にシミュ
レーションがあり、皆問題なくチェックインや
セキュリティチェックを通過することが出来ま
した。関西空港から国際交流に向けての一歩が
始まりました。リジャイナ空港で大学の担当者
とカナダ人ホストファミリーが出迎えてくれま
した。カナダの文化に触れる最高の機会です。
ホストファミリーたちのやさしさと真面目さが
−34−
すぐ感じられました。リジャイナ大学での研修
では、素晴らしい設備を利用することができま
した。優れた講師のおかげで、学生たちは効果
的で面白い授業を楽しむことができました。自
学自習のE-Learningの授業も学生たちにとって
興味深かったようです。英会話のパートナーと
の会話もとても楽しそうでした。リジャイナ近
郊に出かけ、カナダの大自然を体験することも
できました。このプログラムでカナダの広大さ
と人々の心の広さをよく知ることができ、日本
の代表としてとても良い印象を持ってもらうこ
とも出来ました。
しかったそうです。2名の参加学生の感想を紹
介します。
(文責:杉原)
韓国語のクラスでは、初心者に対しても学び
やすい授業展開で理解しやすく雰囲気良く行わ
れました。フィールドアクティビティでは、
様々な形で韓国の伝統文化や現代の韓国を知る
ことができました。また、中国・ドイツ・アメ
リカから参加者がいた為、英語でのコミュニケ
ーションも必要とされ良い経験となりました。
(工学部 山 弘貴)
(文責:Edwards)
仁荷大学語学研修(韓国)
期 間:平成18年8月6日∼
8月19日(2週間)
参加学生数:7名
担当・引率:杉原 道子
協定大学である仁荷大学のご好意により7名
(各校5名の割り当て)の学生が参加しました。
語学研修だけでなく、韓国の伝統料理、礼儀作
法、テコンド体験など多彩なプログラムを経験
させていただきました。特にホームステイは楽
日本の中での常識の枠を外れた世界観の中
で、生活習慣や食生活の違いを実感できたホー
ムステイは本当に良い体験でした。(中略)限
られた期間の中でしたが、たくさんのプログラ
ムも充実していて私の中で確実に「韓国」が身
近なものになりました。語学研修を終えた今、
切に自己の確立のための様々な必要性を自覚し
ています。
(教育学部 宮田 綾子)
研修参加者
仁荷大学学生寮
−35−
山東大学語学研修(中国)
期 間:平成18年8月10日∼
9月10日(4週間)
参加学生数:6名
担 当:門脇 薫
引 率:齋藤 匡史(経済学部)
協定大学である中国の山東大学での語学研修
は、2004年度(2005年2月)、2005年度(8月)
に引き続き今回が3回目です。協定大学という
ことで山口大学の学生のみを対象にしたプログ
ラムを提供してくださり、また研修費用のディ
スカウントもあります。
今年度は来年度以降の中国語の単位化に向け
て、研修期間が3週間から4週間になりました。
8月10日 に出発し9月10日 までの研修に6
名が参加しました(引率教員:中国語部会長・
経済学部齋藤教授)。山東大学からは山口大学
独自のプログラムを実施するには10名以上の参
加者が必要と言われているのですが、今年度は
参加者が残念ながらそれには達しませんでし
た。非常に充実した内容の中国語研修なので、
今後この4週間のプログラムに全学からより多
くの学生の参加が望まれます。
開講式
カンパセーションパートナーとの交流
ニューカッスル大学英語研修(オーストラリア)
期 間:平成18年8月19日∼
9月17日(4週間)
参加学生数:4名
担当・引率:赤木 弥生
国際センターでは、オーストラリア・ニュー
カッスル大学(NC大)への学生派遣を平成18
年春季プログラムから始めました。ニューカッ
スル大学では、中国、韓国、中近東など世界中
から集まった学生と共に4週間、英語コース
(ELICOS)の授業を受けます。グループ研修と
は異なり、課外活動や週末の文化体験プログラ
ムなど学生が個々に選択し参加します。また、
ホームステイでは、家族に宿題を手伝ってもら
ったり、週末はバーベキューに行ったりとオー
ストラリアの生活や文化を体験しながら、英語
でコミュニケーションを図ります。参加学生は、
おおらかなオーストラリア人気質を肌で感じ、
そのライフスタイルを通じて、自主性や英語での
コミュニケーション力を高めることができます。
ユーカリの森の中に佇むNC大
ホストファミリーとバーベキューを楽しむ山大生
(文責:門脇)
−36−
(文責:赤木)
公州大学短期学生交流プログラム
期 間:平成18年9月13日∼
9月19日(2週間)
参加学生数:5名
担 当・引率:杉原 道子
5名の学生がレポートや面接の結果選抜さ
れ、このプログラムに参加しました。このプロ
グラムは学生同士の交流が
目的で、公州大学のご好意
で滞在費等を負担していた
だきました。
出発前から大学紹介など
周到に準備しました。日韓
の学生が両国の歴史的問題
のみならず、今後の両国関
係について話し合い、貴重な体験を積むことが
できました。送別会では女性は浴衣を、男性は
法被を着て「大内の殿様」を踊りました。他大学
からの参加者や韓国の学生も一緒に踊りを楽し
みました。
(文責:杉原)
韓国の古典音楽の実習
国際センター総長主催の午餐会の後で
Temple Stay(甲寺)での文化体験
Temple Stay(甲寺)での朝食
−37−
各センター活動報告
学生支援センター
門的に相談に応じています。一人で考え込まず
に是非学生相談所の門を叩いてみてください。
活動報告
学生支援センターが平成15年4月に設置さ
れ、今年度は早4年目です。学生支援課が学務
課と一体となって共通教育講義棟の正面玄関右
に移転し、学生の利用がより一層便利になりま
した。またこれまでの就職情報相談室も山口大
学就職支援室と名称変更し、共通教育講義棟の
図書館近くに移転して、よりよい就職支援を全
学生に提供しております。さらに本年度4月か
ら、これまで就職情報相談室のあった共通教育
講義棟1階のエレベーター前に、
「自主活動ルー
ム」がオープンしました(後述参照)。本年度
も学生生活をあらゆる面から支援すべく、スタ
ッフ一同まい進しております。ここでは平成18
年度4月から8月における学生支援センター各
部での活動状況について報告します。
学生なんでも相談窓口
平成17年度において、なんでも相談窓口で受
け付けた相談件数は124件でした。ここでの主
な相談内容としては、就学相談・生活相談です。
平成18年度7月現在では52件となっています。
こちらでは、学生生活にまつわる様々な問題に
関して、学生が気軽に声をかけられる体制を整
えています。ちょっと疑問に思うこと、なんと
なくどうしたらいいのかわからない、そんなと
きには是非、学生生活なんでも相談窓口の相談
員に声をかけてください。もちろんプライバシー
が守られるよう、個室での対応もしています。
本窓口は、共通教育講義棟1階正面玄関右側の
学生センター奥にあります。
学生相談部の取り組み
学生相談部は「学生相談所」と「学生なんで
も相談窓口」とが連携した相談体制を整え、保
健管理センター、学部等及び他機関との連携を
深め学生からの相談にあたっています。
学生相談所
平成17年度において、山口地区学生相談所で
受け付けた相談件数は323件(のべ1,218回)、宇
部地区学生相談所で受け付けた相談件数は119
件(のべ258回)でした(両地区ともに電話や
メールによる相談件数を含む)。最も多い相談
内容は「心理的問題」で、その次が「精神保健」
となっています。平成18年6月末現在において
の相談件数は、山口地区で134件(のべ367回)、
宇部地区で78件(のべ168回)となっています。
平成17年度同時期の相談件数と比較すると、両
地区とも上回っています。学生相談所の存在が
かなり学生に周知されてきた表れと思っていま
す。学生相談所では臨床心理士の資格を持った
カウンセラーが、学生の様々な悩みに関して専
学生なんでも相談窓口(学生センターの一番奥の窓口)
カウンター越しに尋ねるもよし、
奥の個室にて相談するもよし
学生生活支援部の取り組み
学生生活支援部は、経済的支援として、奨学
金貸与、入学料・授業料免除などを行い、また
学生が自主的・自立的に行う課外活動の支援を
行っています。そのほか課外活動施設・福利厚
生施設の充実整備も学生生活支援部の業務で
す。
−38−
経済的支援
①奨学生
平成18年度も例年通り、春に日本学生支援
機構の奨学生を募りました。それ以外にも、
山口県奨学会や長崎県育英会などの地方自治
体や財団などの奨学生も募りました。平成17
年度に日本学生支援機構の奨学金に採択され
た学生数(一種と二種きぼうの合計)は、学
部生932人、大学院生224人の計1,156人でした。
結果、平成17年度3月末日現在の日本学生支
援機構奨学金貸与者は、総計3,905人(一種と
二種きぼう及び学部と大学院の総数)となり
ました。また平成17年度3月末日現在のその
他の奨学生貸与者数は83名(学部及び大学院
の総数)となっています。平成18年度の採択
者数などのデータは現在整理中です。奨学金
の貸与に関して詳しく知りたい方は、共通教
育講義棟1階正面玄関右側の学生センター経
済支援係にお問合せください。
②入学料・授業料免除
平成17年度入学料免除者は、半額免除者が
大学院生53名で、学部生における申請者はあ
りませんでした。平成17年度授業料免除者に
関しては、全額免除者数が学部生595名、大
学院生292名、半額免除者数は学部生329名、
大学院生84名でした(いずれも前期後期を合
わせたのべ数)。平成18年度前期における入
学料免除者はいずれも半額免除で大学院生52
名、授業料免除者に関しては、全額免除者は
学部生300名、大学院生154名、半額免除者は
学部生151名、大学院生45名でした。平成17
年度後期から学部生の成績優秀者に対する授
業料の特別待遇生制度を設けています。この
制度による免除者数は、平成17年度後期で64
名、平成18年度前期で50名でした。こうした
免除制度に加えて、入学料には徴収猶予制度
も設けています。各種免除制度、猶予制度に
関して詳しく知りたい方は、共通教育講義棟
1階正面玄関右側の学生センター経済支援係
にお問合せください。
課外活動等の支援
4月4日に、学部生2,128名、大学院生700名
の入学式が山口県スポーツ文化センター(山口
県維新100年記念公園内)にて開催されました。
4月8日正午からクラブ・サークル等の紹介を
目的とした新入生歓迎フェスティバル'06が共通
教育講義棟一帯をメイン会場に開催されまし
た。6月16∼18日には、体育会および文化会の
合宿研修(通称「C.M.C.」=サークル・ミーテ
ィング・キャンプ)が山口徳地青少年自然の家
で行われました。7月1日、前夜からの大雨と
警報が出ているにもかかわらず、「雨天決行」
の決断、実行委員会をはじめ関係者の「七夕祭
がしたい」との思いが通じたのか、徐々に天候
が回復し、午後3時より予定どおり七夕祭を開
催することができました。平成18年度の第57回
中国五大学学生競技大会は、山口大学が主管校
となっています。6月24、25日には水泳競技が
学内の施設で行われ、9月にはその他の競技が
山口大学およびその周辺施設で開催されます。
学生支援課はこうした学内課外行事の運営や運
営補助としての学生支援活動も行っています。
自主活動ルーム
「みんなの“楽しい”を見つけにきませんか?」
平成18年度4月に、共通教育講義棟1階のエ
レベーター前に自主活動ルームが開設されまし
た。山口大学は、「発見し・はぐくみ・かたち
にする 知の広場」を理念として、学生の皆さ
んが大学生活の主人公として輝くことを目指し
ています。自主活動ルームは、この理念・目標
経済支援係窓口(学生センターの奥から2番目の窓口)
−39−
共通教育講義棟1階のエレベーター前の
自主活動ルーム入り口
を実現するために、ボランティアや地域との交
「地域交流には興味があるけれど何をすればよ
流活動を通して、積極性・自主性・創造性が培
いのか」、といった悩みをもった学生も多いと
われるような情報・相談援助を提供していきた
思います。自主活動ルームには、そうした学生
いと考えています。
に応じるべくボランティアコーディネーターが
自主活動ルームの主な業務としては、「おも
配置されています。何気ないことでも結構です。
しろプロジェクト」および各種地域ボランティ
とりあえず話しかけてみてください。そこから
ア活動に関する情報配信と、ボランティア参加
始まるかもしれません。
に関する各種相談の受付です。
開設されて間もないものですので、まだまだ
「おもしろプロジェクト」とは、1996年より
十分とはいえない状況ではありますが、自主活
開始された学生の自主活動への資金支援を行う
動ルームのスタッフ一同、皆様のお越しを心よ
制度です。資金支援の対象となる自主活動には、
りお待ちしております。では最後に自主活動ル
ほとんど制限がなく、また年間1件あたり最大
ームのスタッフから一言づつ。
60万円の高額支援を行うのが特徴です。「おも
・何か元気になることがしてみたい。
しろプロジェクト」は、「学生の自主性への信
いろんな人と出会いたい。山口を知りたい。
頼・失敗してもいい・思う存分」という哲学の
そんな思いがボランティアに繋がるかもし
もと10年間実施され、その間に採択された企画
れません。
は109件、累計5,500万円の支援を行いました。
どんなことでも大丈夫。気軽に話をしに来
「おもしろプロジェクト」は全国の大学でもあ
てみませんか。
まり例をみない企画であり、またその特徴・哲
学生生活が、もっと楽しくなるきっかけが
学には山口大学のオリジナリティがあふれてい
見つかるかもしれません。(ボランティア
ます。企画性、特徴、哲学に加えてこれまでの
コーディネーター・高見)
実績が国より認められ、「山口大学おもしろプ
・笑顔で皆さんをお待ちしています。気軽に
ロジェクト−学生の創造性に期待する支援事
声をかけて下さい。(* ^―゚)ノ(西村)
業」として、平成17年度「特色ある大学教育支
・今までボランティアに興味がなかったあな
援プログラム(特色GP)」に採択されました。
たも♪ぜひ、おこし下さい。(古屋)
自主活動ルームには、この山口大学の財産とも
いうべきおもしろプロジェクトに関する過去の
資料が保管されています。応募してみたいと思
った方は、まずこれらを閲覧してみてはどうで
しょうか。また、自主活動ルーム前の掲示板に
は、今年度採択された企画の進捗状況が掲示さ
れています。こうした情報も「おもしろプロジ
ェクト」企画・立案に非常に参考になるものと
思います。
ボランティアや地域交流活動に興味のある学
生は意外と多いものです。しかしこれまで山口
自主活動ルームのスタッフ
大学にはそうした情報の発信地がありませんで
(左から、西村・高見・古屋)
した。自主活動ルームはそうした学生のニーズ
に答えるために、
現在、様々なボラ
ンティアおよび地
域交流活動に関す
る情報の収集とそ
の配信を行ってい
ます。また、「自分
にはどんなボラン
ティアが適してい
自主活動ルーム内の概観
自主活動ルーム外の掲示板
る の だ ろ う か 」、
−40−
自転車整理
共通教育講義棟の前には、屋根付き自転車置
き場が設置されています。しかしこの自転車置
き場に駐輪できる自転車の絶対量が、自転車に
乗って登校する学生数より大幅に下回っている
ため、結果として自転車置き場に駐輪できなか
った自転車が通路に乱雑に停められている状態
になっています。この状態は共通教育棟周辺の
景観を損なうだけでなく、駐輪した自転車の出
し入れを困難にし、さらにその出し入れの際に
ケガを引き起こしたりもします。そこで、4月
24日から1ヶ月間、平成18年度「おもしろプロ
ジェクト」に採択されたグループの一つである
「My Campus」が中心となって、自転車整理
(自転車の並べ直し)を行いました。共通教育
講義棟の1番教室と2番教室の周辺を対象と
し、毎日2コマ目と3コマ目の開始時に活動し
ました。まず活動を開始する4月24日より前に、
自転車整理を開始する掲示を行い、さらに自転
車置き場周辺の通路に黄色と黒の太いナイロン
紐を打ち付け、補助駐輪場を設置しました。活
動では、屋根付き自転車置き場に駐輪された自
転車および通路に乱雑に駐輪されている自転車
を、それぞれ屋根付き自転車置き場と補助駐輪
場に整然と並べ直しました。活動終了直後の自
転車置き場付近は非常に整頓化されており、自
転車置き場周辺の美観が形成されるとともに、
駐輪された自転車の出し入れが容易となりまし
た。しかし、次のコマが始まる前にはまた、自
転車置き場は乱雑な状態に戻ってしまいます。
そしてそれをまた整頓し直す、活動当初はこの
ような「イタチごっこ」を繰り返していました。
しかし、日を重ねるに連れ徐々に補助駐輪場へ
正しく駐輪する学生が増え始め、活動当初整理
に1時間以上要していたのが、終了時頃には30
分もかからない程度で済むようになりました。
活動終了後でも、補助駐輪場に整頓して自転車
を停める学生が大多数を占めるようになり、自
転車置き場周辺の美観が形成されるようになり
ました。このように自転車整理は学生の駐輪マ
ナーの向上にも役立ったようです。活動終了後
に共通教育の講義でとったアンケート調査にお
いて、自転車整理に関心を寄せていた学生が多
数いたことがわかり、また自転車置き場周辺の
美観に共感して駐輪時のマナーの大切さを知っ
たという声も多く得ることができました。
自転車整理活動前の自転車置き場はこのような状態。
乱雑に自転車が駐輪されてます。これでは奥から自転車を出すのは大変ですねぇ。
みんなで力をあわせて自転車を整理中!
−41−
活動終了後の自転車置き場周辺は、ここまで変貌します。
これなら奥の自転車を取り出すのも容易ですし、見た目もとてもきれいですね^^
就職支援部の取り組み
就職支援部では、学生の就職活動とキャリア
形成を支援するために、以下の取り組みを実施
しました。
キャリア教育
平成18年度前期は、就職活動を行う前に知っ
ておくべき知識や考え方を習得し、自分自身の
キャリア形成に役立てることを目標とした総合
科目「キャリアと就職」を開講しました。吉田
キャンパスにて、火曜日3・4時限、火曜日
5・6時限と水曜日5・6時限の3コマ開講
で、会社の組織や財務、給与・社会保険や人事
マネジメントなど、働く前に知っておきたい基
本を学び、受講生はそれぞれ260名、178名、
309名でした。講義で学ぶほか課題レポートに
も取り組み、学生たちは自分の問題としてキャ
リアを考える機会になりました。また、コミュ
ニケーション力を高めるための授業として、総
合科目「キャリア形成とコミュニケーション」
を水曜日3・4時限に開講しました。こちらは
少人数でグループワークを含む実践的授業で28
名が受講しました。
後期は、総合科目「キャリアと就職」を常盤
キャンパスにて2コマ開講、総合科目「キャリ
ア形成とコミュニケーション」を吉田キャンパ
スにて1コマ開講します。また、低学年を主対
象とした主題別科目「社会と組織:キャリアデ
ザイン」を吉田キャンパスにて2コマ開講する
予定です。
総合科目「キャリアと就職」
総合科目「キャリア形成とコミュニケーション」
−42−
YYジョブサロンin山大
昨年4月より山口県若者就職支援センターの
常設ブランチとしてYYジョブサロンin山大が就
職支援室内に開設され、同センターのキャリア
カウンセラーが火曜日と木曜日に常駐して就職
相談やセミナーを行っています。地域の若者た
ちの支援拠点であり、本学による地域貢献のひ
とつの取り組みでもあります。また、10月から
は常盤キャンパスに「YYジョブブランチin山大
☆工学部」との名称で相談コーナーを開設し、
毎週一回金曜日に個別相談のほか面接対策や応
募書類などのミニセミナーも実施してきまし
た。こちらは工学部本館一階の就職相談室にお
気軽にお越しください。4月∼8月の個別相談
は167件、セミナー参加者は延べ536名でした。
個別のカウンセリングを行うほか、自己分析セ
ミナーや面接練習会・グループディスカッション
などの「ミニセミナー」の開催するほか、8月
1日の人文学部「就職活動リスタートセミナー」
や、8月4日の農学部「就職支援セミナー」の
実施にも協力いただきました。このほか、7月
1日の七夕祭では適職診断&クイズ大会を企画
し、学外の方を含めて114名の参加がありました。
就職相談
山口大学就職支援室では、就職アドバイザー
およびスタッフが学生の就職相談に応じていま
す。平成18年4月以降(平成18年8月31日まで)
の就職相談件数は538件(YYジョブサロン担当
分を除く)で、前年同期(296件)に比べて242
件増えました。エントリーシートの書き方、業
界・企業研究の方法、公務員志望に関する相談
のほか、4年生・修士2年生の求人応募に関す
る相談を多く受けました。また、このほか就職
アドバイザーによる面接練習会も開催し、個人
面接や集団討論練習など延べ216人の学生の指
導を行いました(平成18年4月∼8月)。
公務員講座OBOG交流会
8月5日に公務員講座OBOG交流会を開催し
ました。大学生協と協力して学内講座を実施し
て7年目。今年も全国各地で公務の仕事に活躍
しているOBOGたち8名に協力いただき、開催
したものです。当日は、まず4年生による質問
会を大学会館会議室で開催したあと、3年生を
対象としたパネルディスカッションおよび質問
会。その後、会場をボーノ(生協食堂)に移し
て交流会を行いました(参加者数30名)。
YYジョブサロンin山大ミニセミナー面接練習会
公務員講座OBOG交流会
就職活動交流会
7月8日に就職活動交流会2006 Summerを開
催しました。「就職活動を先輩から学ぼう」を
合言葉に、学生が学生を教えあい、学びあうと
いう企画です。平成15年秋にはじまり今回で第
6回目となる学生主体の恒例行事となりまし
た。今回は、就職活動を体験した4年生・修士
2年生やOBOGの方々などあわせて18人に協力
七夕祭でのクイズ大会
−43−
いただき実施しました。はじめに経済学部C201
教室にてOBOGによる講演会・パネルディスカ
ッションが行われ、次に、会場をボーノ(生協
食堂)に移して先輩学生1名を後輩学生4名程
度で囲むグループディスカッションおよびゲー
ム大会、最後に食事をともにしながら先輩後輩
の交流会であるフリーセッションが行われまし
た(参加者数54名)。
就職活動交流会
体受検会を吉田キャンパスにて6月28日に実施
し、7月15日と19日に結果配付・解説会を実施
しました。受検した学生は299名です。なお、
常盤キャンパスでは後期の実施を予定していま
す。
山口大学就職講演会・就職説明会
平成18年度前期は、学生支援センター主催の
就職説明会として、教員採用試験ガイダンス
(4月26日)、警視庁警察官等採用説明会(4月
19日)、公務員ガイダンス・学内講座説明会
(4月24日・5月10日)福岡県警察官説明会
(5月17日)、日経ナビ2008説明会・登録会(5
月10日)、就職ナビ・プレオープン直前企画/
いまからはじめる就職活動準備(5月31日)、
理系大学院生のための就職支援セミナー/就職
ナビの活用法(6月13日)、就職ナビの活用法
(6月14日)などを開催しました。
また、平成18年度前期には企業を招き、11件
の会社説明会を開催しました。開催場所として、
主に共通教育講義棟2階のミーティングルーム
が用いられました。
就職関連講座
学生の就職活動を支援するための講座とし
て、大学生協の協力のもとに「公務員講座」
(6月より)を開講しています。このほか「就
職講座」「教員講座」を後期に開講する予定で
す。
適職診断R-CAP団体受検会
R-CAPとは、自己認識を深め職業適性を考え
るツールであり、社会人2万人のデータをもと
に140職種との適合度、向いている職場環境な
ど4つの指標を分析する検査です。今年度も団
理系大学院生のための就職支援セミナー
学部就職支援行事への協力
学部等主催の就職支援行事の実施に協力して
います。前期は、学年当初ガイダンスへの協力
ほか、理学部就職支援セミナー(7月28日)、
人文学部就職活動リスタートセミナー(8月1
日)、農学部就職支援セミナー(8月4日)な
どが開催され、学生支援センターはその実施に
協力しました。
R-CAP結果配布・解説会
−44−
学内業界・企業研究会
ます。
機構だより第6号で、この研究会の様子など
研究会に参加いただいた企業に、研究会運営
について報告しました。発刊後の追跡調査によ
に関するアンケート調査を行いました。回答の
り、参加企業数、参加学生数などの数的な詳細
あった企業数は115社(回収率65.3%)でした。
データが整いました。また、研究会の参加企業
研究会の申込受付時期や開催期間およびその時
に回答を依頼した、この研究会や山口大学生の
期に関する質問に対して、9割近くの企業が
印象、山口大学卒業生の活躍状況に関するアン
「適当である」であると回答しました。学生サ
ケートの集計が終了しました。そこで、今回は
ポーターを含めスタッフの対応に関しては、
これら様々なデータについて報告させていただ
「非常に良い」と「良い」がそれぞれ約45%の
きます。機構だより第6号と数値が若干異なっ
回答率を占めました。研究会の総合評価として
ておりますが、こちらに掲載する数値が最終確
は、「大変有意義」と回答した企業の割合は
定値です。本文は、第6号の修正の意味を含ん
38.3%、「有意義」が51.3%、「普通」が7.8%で
でいると考えていただきたく思います。
あり、「無意味」や「やや無意味」と回答した
平成17年度の学内業界・企業研究会は、吉田
企業はありませんでした(無回答2.6%)。研究
地区と常盤地区の二会場で開催されました。吉
会に関する意見として、多くは感謝の声や次年
田地区では、共通教育講義棟の25, 26, 27, 28, 29
度の継続開催希望に関するものでした。また
番教室及び第二学生食堂「きらら」が、常盤地
「研究会終了後などに学部の就職担当教職員と
区では、D24教室がそれぞれ会場となりました。
交流会が行いたい」、「各教室での研究会開催時
研究会は吉田地区では12月17日、1月14日の2
の企業紹介は学生サポーターのほうがよいので
日間に加えて、2月13日∼2月23日までの9日
は」のような研究会改善に関する参考意見や、
間の計11日間、常盤地区では2月13日∼3月6
「教室内で待機している学生サポーターに緊張
日までの14日間開催されました。
感がない」といったお叱りの声も頂きました。
開催枠数は、吉田教室形式85、吉田京都企業
このような企業からの生の声を大事にして、よ
フェスティバル7、吉田ブース形式53、常盤教
りよい研究会作りをしていかなければならない
室形式41、常盤京都企業フェスティバル6の計
と思っております。以上をまとめると、企業側
192枠で、参加した企業の実数は176社(団体)
から見て、本研究会は基本的に満足のいくもの
でした。一方で参加した学生のべ数は、吉田地
であり継続的開催が望まれていること、今後若
区開催分で3,761人、常盤地区開催分で582人の
干の修正は必要ではあるが開催方法に関して大
合計4,343人で、実数は899人でした。この結果
きく変更を加える必要はなさそうであることが
より、学生1人あたり平均で約4.83社訪問した
わかりました。
ことになります。しかし、図を見ていただけれ
アンケートの項目として、山口大学生の就職
ばわかるように、実際には、出席企業
数が3社以下の度数を、参加した学生
の約半数が占めています。様々な業界
や企業をできるだけ多数訪問して自身
のキャリアアップ、進路選択の一助と
してもらいたいという趣旨で、本研究
会は開催されています。図の結果から、
学生支援センターとして、学内業界企
業研究会の趣旨を、より一層広報して
いかなければならないことがわかりま
した。しかし、一方で、参加した実人
数が899人というのは、非常に喜ばしい
状況です。平成17年度卒業生および修
了生の就職希望者の総数は1,661人でし
た。この数値を平成18年度の就職希望者
と同数とみなすと、半数以上の就職希望
図 出席企業数と総学生参加実数に対する割合との関係
者がこの研究会に訪れていることになり
−45−
意識に関する印象について尋ねました。好印象
的言葉として多数あげられたのは、「真面目」、
「積極的」、「礼儀正しい」、「素直」などでした。
一方で、悪印象的言葉として、「おとなしい」、
「積極性にかける」などの記入がありました。
これらは研究会での状況が大きく影響するもの
と思われます。参加学生数が多く、質疑応答が
活発となった研究会での開催企業は、山口大学
生は積極的などの好印象を受けるでしょうし、
参加学生数が少ない場合は、消極的など悪印象
を受けるでしょう。一方で、この積極性に関し
て両意見が出ているということから、山口大学
生の就職意識に関して二極化が進んでいるとい
うことも予想されます。更なる調査をすすめ、
学生の状況の把握と対策を学生支援センターは
すすめていかなければならないでしょう。基本
的には山口大学生は、企業に対して、「ややお
となしい傾向もあるが、真面目で礼儀正しく、
素直である」という印象を与えているようです。
アンケートの調査項目として、山口大学卒業
生の活躍状況を尋ねる質問を組み込みました。
回答のあった企業のうち山口大学卒業生が在籍
していない企業はわずか5.2%でした。さらにこ
こ3年での採用状況をみても、採用が0人であ
ったと回答した企業は、16.5%です。本研究会
の開催企業は、基本的に県外の大手企業を選択
して招待しています。この結果から山口大学卒
業生は、全国の大手企業で活躍しており、ここ
数年においても、そうした大きな企業に採用さ
れていることが予想されます。さらに、記入し
てもらった活躍状況をみると、役員や管理職、
研究職、営業職など、各企業の様々な分野で、
それぞれが個性と能力を活かして活躍している
ようです。
(文責:辻)
図 山口大学卒業生の在籍状況
図 直近3年間の採用状況(内定辞退者を含む)
−46−
各センター活動報告
保健管理センター
保健管理センターにおける平成18年度前期の
主な活動状況について報告します。
新入生健康診断及び学生定期健
康診断
保健管理センターでは、学校保健法及び学校
保健法施行規則に基づき、山口大学に在籍する
全ての学生(学部生・大学院生・留学生・研究
生等)を対象として、定期健康診断を年1回実
施しています。
新入生健康診断は吉田キャンパス内の保健管
理センターにおいて、毎年、入学式前後に実施
しています。18年度は4月3日∼10日のうち4
日間と半日を用いて実施しました(1日あたり
約450名受診)。数年前から、入学式前後の期間
を利用して、各学部においてフレッシュマンセ
ミナーやオリエンテーションが企画されるよう
になり、同時期に実施していた健康診断日程の
立案も、年々、複雑になりつつあります。しか
し、できるだけ授業開始前に実施を考慮するこ
とで、新入生健康診断の受診率は、例年ほぼ
100%近い数値を維持しており、本年度(18年
度)も99.4%と高い受診率を達成することがで
きました。
新入生健康診断風景
一方、学生定期健康診断は、主に2年生以上
の学部生及び大学院生を対象として実施してい
ます。設定時期は地区ごとに異なっており、18
年度は、吉田キャンパス(人文・教育・経済・
理・農学部)では4月12日∼20日までの7日間、
常盤キャンパス(工学部)は4月26日∼28日の
3日間、小串キャンパス(医学部)は5月22
日・23日の2日間で実施しました。実施場所は、
それぞれのキャンパスに健診会場を設け実施し
ました(吉田キャンパス:事務局1号館1階の
保健管理センター、常盤キャンパス:工学部福
利厚生棟(生協)、小串キャンパス:医心館2
階の保健管理センター)。
山口大学は主にキャンパスが3つに分散され
ているため、実施場所が変わる度に、検査器機
の移動と健康診断会場のセッティングを繰り返
さなくてはなりません。過密な健康診断スケジ
ュールの中で、かなりの重労働ではありますが、
今年度は嬉しいことが1つありました。この度、
吉田キャンパスの保健管理センター下ピロティ
に、新たに集団検診室(通称、リフレッシュル
ーム)が設けられました。そのおかげで、例年、
胸部X線検査の更衣室として、簡易の小屋(?)
を建てていましたが、その作業から解放されま
した。スタッフの労力が削減されたこともさる
ことながら、受診学生からもきれいでしっかり
した造りの検診室に対する評判は上々でした。
−47−
リフレッシュルーム内の様子
リフレッシュルーム外観
平成18年度の学部別・学年別の定期健康診断
受診率を表1に示します。
18年度の学部在学生全体の受診率は66.6%で、
昨年度と比較すると4.4%高くなりました。この
背景には、本年度から吉田及び常盤キャンパス
では、健診日程を各1日ずつ増やしたこと。ま
た、各学部ともに2年生及び3年生の受診者数
が年々増加傾向を示していることなどが考えら
れます。なお、学部ごとにみると、工学部の受
診率が半数を割っており、今後も重点的に健康
診断を受診するよう働きかける必要があると思
われました。受診率の向上に伴い、異常所見の
早期発見・早期治療への導入の機会も高まりま
す。大学生の時期は、最も疾病の少ない年代に
該当しますが、生活習慣病予防の観点から、今
後も「年1回の定期健診」を定着化させる必要が
あると思われます。その実現のためにも、健康
診断日程や方法について改善を重ね、学生がよ
り受診しやすい体制を整えていきたいと思って
います。
(文責:梅本)
表1 平成18年度新入生及び学生定期健康診断受診率
人文学部
教育学部
経済学部
理 学 部
農 学 部
工 学 部
医 学 部
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
受診者数
対象者数
受 診 率
新入生
196
197
2 年
128
197
3 年
178
201
4 年
186
231
99.5
273
273
65.0
245
274
88.6
234
266
80.5
259
314
78.2
738
854
100.0
408
411
89.4
229
400
88.0
262
403
82.5
327
515
86.4
818
1318
99.3
238
239
57.3
163
240
65.0
173
302
63.5
196
239
62.1
532
781
99.6
135
135
67.9
71
150
57.3
119
138
82.0
88
128
100.0
608
615
47.3
130
539
86.2
246
762
68.8
434
518
98.9
208
209
24.1
198
218
32.3
215
241
83.8
206
227
87
99
83
89
44.5
789
874
99.5
90.8
89.2
90.7
87.9
93.3
90.3
−48−
5 年
6 年
9
31
30
33
29.0
90.9
在学部生
492
629
68.1
317
480
66.0
810
1819
エクステンションセンター
各センター活動報告
18年度公開講座(前期)
18年度公開講座は表1に示すように、防府市
教育委員会との連携による会場提供を受けた1
講座を含め全20講座を計画し、昨年同様これま
での山口大学公開講座史上最多の講座数となっ
た。ただし、前期開講講座のうちサタデーカレ
ッジ「現代文化コース」については、受講申込
締め切り後も申し込みが2名しかない状況であ
ったため開講しないこととなった。この点に関
しては、その後のエクステンション委員会での
最小開講人数に関する議論等を経て、「5名以
上は開講する」という基準を設け、5名に満た
ない場合は担当講座の責任者と協議の上決定す
ることとなった。前期講座の概要を報告するに
あたり、講座の運営実施にご尽力いただきまし
た教職員の皆様に心から御礼申し上げます。
なお、周南市教育委員会、周南市企画課主催
の「周南オープンカレッジ」(表2)、「周南サ
テライトカレッジ」(表3)、宇部市教育委員会
主催の「宇部市大学開放講座」(表4)にも、
センターから教職員の方に講師をお願いし引き
受けていただいた講座を毎年提供している。
表1 平成18年度山口大学公開講座
講 座 名
歩いて、学んで、理解する。カタロ
講座1
グにない秋吉台
対 象
市民一般(成人対象)
開講期間
時間帯
開講場所
4/22, 4/23
10:00∼17:00
10:00∼15:00
受講料 定員
秋吉台
5,000
30
5/20∼7/29
14:00∼15:30
(隔週土曜計6回)
山 口
4,800
20
講座2 「おくのほそ道」を読む
市民一般
講座3 健康づくりのための運動指導講座
地域の運動指導者や各種
学校において健康教育に
携わっている方など
5/27, 6/17, 7/8,
11/11, 12/9, 1/13
13:00∼17:00
山 口
7,200
30
講座4 小麦栽培から始めるパンづくり
市民一般(成人対象)
5/31, 8/23, 11/8
10:00∼15:00
山 口
5,400
30
6/3∼7/8
14:00∼16:00
(毎週土曜計6回)
山 口
5,400
25
13:00∼16:00
宇 部
4,000
30
6/10∼7/8
14:00∼16:00
(毎週土曜計5回)
防 府
5,000
30
講座5 市民のためのライフプラン講座
市民一般
病気とつきあいながらいきいきと生
講座6 きるために ─乳がんの手術とリン
パ郭清後の患者さんのために─
市民一般
講座7 電波で見た宇宙
市民一般
講座8
プロの技術で挑む小麦栽培から始め
る地産地消のパンづくり
講座9
2006年小・中学校教員のための英
語・国際理解指導者研修会
6/10
平成16,17年度の「小麦栽
培から始めるパンづくり」
修了者
小・中学校教員及びテー
マに関心のある方
講座10 理科実験講座
小・中学校教員
講座11 木工入門
市民一般(小学生以上)
講座12 農山漁村での安らかな暮らしを願っ
て、柿本人麻呂を祀る
講座13 ヒューマンスクールⅩⅧ「やまぐち
の美術史」
講座14 神経系の老化 ─どのように予防す
るか、どのように治すか─
サタデー
カレッジ
2006
やまぐち
外国語学習コース(英語)「英詩の
こころ」
現代文化コース「現代社会における
不安とリスク“安心・安全な社会を
めざして”」
異文化交流コース「異文化理解のた
めの第一歩」
外国語学習コース(ドイツ語)ハイ
ジの世界」
市民一般
市民一般
市民一般
市民一般・学生
市民一般・学生
市民一般・学生
市民一般・学生
−49−
6/28
10:00∼16:00
山 口
4,000
30
8/2∼8/4
10:00∼16:00
宇 部
6,000
30
8/7∼8/8
9:00∼16:00
山 口
5,400
20
8/11∼8/13
8:30∼13:00
山 口
5,000
10
9/30, 10/11
5:00∼17:00
10:00∼12:00
俵山温泉
4,000
30
10/4∼12/13
(隔週水曜計6回)
10/2∼11/13
(毎週月曜計6回)
※10/9は除く
5/13∼7/1
(毎週土曜計8回)
5/13∼7/8
(毎週土曜計8回)
※5/20を除く
10/7∼11/25
(毎週土曜計8回)
10/7∼12/2
(毎週土曜計8回)
※11/11は除く
13:30∼15:00
山 口
4,800
50
19:00∼20:30
宇 部
4,800
40
13:30∼15:00
山 口
5,400
30
15:10∼16:40
山 口
5,400
30
13:30∼15:00
山 口
5,400
30
15:10∼16:40
山 口
5,400
30
表2 周南オープンカレッジ
健やかライフの食生活講座
∼女性のためのヘルスプロモーションセンター∼
生と死…哲学的考察の試み…
生活習慣病の予防は、日頃の食生活の改善が重要です。
講 師 古荘 真敬(山口大学人文学部助教授)
健康な食事・食品の取り方について講演をおこないます。
生まれて、生きて、死んでいくとは、どういうこ
時 間 13:00∼14:30
となのか。哲学者たちの言葉と思想を読み解きつ
会 場 ①∼③徳山保健センター講義室3案内図
つ考察する。
④周南市市民館大会議室
時 間 13:30∼15:00
内 容 8月26日
①「中高年期の栄養管理」
会 場 徳山保健センター講義室3案内図
講師:田坂克子(山口大学医学部附属病院栄養治療 内 容 9/30
古代ギリシアとアレントの思索
部副部長)
10/7
近代ヨーロッパの思索
9月2日
②「食品添加物入門」
10/14
ハイデガーとレヴィナス
講師:上田順子(山口大学医学部保健学科助教授)
10/21
現代の課題
9月9日
③「栄養補助食品について」
受講料 1,000円(4回通して)
講師:岡野こずえ(山口大学医学部保健学科助教授)
9月16日
④「塩分を控えてすこやかライフ
∼食生活を見直すことの大切さ∼」
講師:阿部芳江(山口大学医学部保健学科教授)
受講料 1,000円(4回通して)
表3 周南サテライトカレッジ
第1回 5月15日 日本原始文化の地域性(縄文文化の西東)
中村 友博〈山口大学人文学部教授〉
第2回 5月22日 日本原始文化の地域性(弥生文化の西東)
中村 友博〈山口大学人文学部教授〉
第3回 5月29日 倭人が鉄と出合ったころ(弥生時代の石器と鉄器1)
村田 裕一〈山口大学人文学部講師〉
第4回 6月5日 倭人が鉄と出合ったころ(弥生時代の石器と鉄器2)
村田 裕一〈山口大学人文学部講師〉
第5回 6月12日 中国古代における皇帝の巡幸と巡幸地 馬 彪〈山口大学人文学部教授教授〉
第6回 6月19日 中国古代における禁苑について 馬 彪〈山口大学人文学部教授教授〉
第7回 6月26日 中国大運河と後期中華帝国
滝野正二郎〈山口大学人文学部助教授〉
第8回 7月3日 中国大運河と後期中華帝国
滝野正二郎〈山口大学人文学部助教授〉
【時 間】18:00∼19:30
【受講料】2,000円 【会 場】3F講座室
表4 平成18年度宇部市大学開放講座
日 付
学 習 内 容
講師(敬称略)
学習テーマ
時 間
円滑なコミュニケーションを図るため、ま
18時30分から
山口大学人文学部
自分を知りたい
9月25日 ずは分かっているようで分かっていない自
教授 林 伸一 ∼自分って一体?∼ 20時45分まで
分のこと(性格、適性等)を認識する
現代の家族コミュニケーションにおいて大 山口大学学生相談所カウ
家族3現代の家族に 18時30分から
10月23日 切なことをカウンセリング技法の中から学 ンセラー、臨床心理士
20時30分まで
おいて大切なこと
ぶ
今井 佳子
向こう三軒両隣との近所づきあいを上手く
山口大学人文学部
向こう三軒両隣との 18時30分から
11月13日 する方法や近所づきあいの効能(孤独にな
20時30分まで
教授 林 伸一 かかわり
らない、させない)を学ぶ
災害とコミュニティー大規模災害時にコミ
山口大学人文学部
住民参加のまちづく 18時30分から
11月20日 ュニティーが果たしうる機能と災害に強い
20時30分まで
助教授 横田 尚俊 り1
コミュニティーづくりについて学ぶ
−50−
次に、各講座の概要を紹介する。
【講座1】歩いて、学んで、理解する。カタロ
グにない秋吉台
昨年に続いて開講された現地体験型の公開講
座である。地域の貴重な自然資産である秋吉台
の現状を実際に見学、調査することで、学術的
な視点から自然保護のあり方、意義を考察する
ことを目的として二日間の日程で行われた。
今年の受講者数は昨年の倍近い29名の参加者
となり、地域の自然学習に対する関心の高さが
うかがわれた。講師陣も昨年同様、本学理学部
の松村先生に加え、庫本秋吉台科学博物館名誉
館長、前田秋吉台エコミュージアム館長、地域
団体「とってもゆかいな秋吉台ミーティング」
永嶺事務局長、地元住民・多賀谷氏という陣容
で、秋吉台の自然と歴史を学ぶテーマを深める
ことのできる内容となった。なお、開催にあた
って秋芳町、美東町、秋吉台家族旅行村の後援、
協力をいただいた。
本講座に参加されたすべての方に好評をいた
だいたが、その中から主な感想を紹介する。
・講師の方々、スタッフの皆様には親切丁寧に
ご指導いただきとても感謝しています。カリ
キュラムもよく整えられていて、秋吉台を
色々な角度から知ることができて満足してい
ます。また、22日の交流会ではお心づかいが
ありがたく感じました。ご負担をおかけしま
した。
・秋吉台の散歩は普段から好きでやっています
が、そこにある木々や草花や石がどのような
ものか、書類や資料を見ても分からなかった
ことが分かって良かったです。これからは、
秋吉台・秋芳洞を一歩違った視点から見るこ
とができそうです。
・山口県に住みながら秋吉台は大昔海だった位
しか知らなくて、東京にいる孫にしっかり話
してあげられたらいいなと思って参加した程
度ですが、先生方の分かり易い講義を受けて
目から鱗感を受けました。台の出来た歴史と
か、草原保全のご苦労や草焼きの意味など、
しっかり孫に説明できるような気がします。
先生方の心のこもったご配慮で楽しい2日間
が過ごせました。本当にありがとうございま
した。
・秋吉台上に咲く花や植物についてはある程度
知っていましたが、歴史や民話、石の発掘の
話、また、岩になっている化石等奥がまだま
だ深く大変興味がわきました。とても良い講
座だったと思います。
※この講座の舞台裏はP69の私説私語をご覧下
さい。
講座1
【講座2】「おくのほそ道」を読む
昨年に続き開設された講座で、昨年の受講者
数19名を大幅に超える48名の受講応募が本講座
の人気を示している。今年も平成8年に発見さ
れ反響を呼んだ芭蕉自筆の草稿本の影印(古書
などを写真にとり、印刷すること)と活字本文
とを対置したテキストを用いて、「おくのほそ
道」の魅力が6回にわたって詳しく丁寧に解説
された。
受講された方は60歳代の方が14名、70歳代の
方が16名と6割が高齢の方であったが、購入さ
れた分厚い原文テキストを机上に置かれ、静か
な中にも熱い学びへの思いが教室に満ちてい
た。内容・講師とも全員の方が満足と高く評価
された。主な感想は以下の通りである。
・先生のご熱心なご講義で学生時代に帰ったよ
−51−
うでございました。これからもぜひぜひこの
ような機会をつくっていただきたいと思って
おります。大変有り難うございました。
・戦時中で全くの文学にうとく育った者にとっ
て誠に親切な講義で格調高く理解しやすかっ
た。資料も豊富で誠実な講義でした。誠にあ
りがとうございました。
・原本を使う講義ははじめてでしたが、資料も
くわしく説明も分かりやすくて楽しいひとと
きでした。古典への興味が湧いてきました。
ありがとうございました。続きの講座楽しみ
にしています。
・通常学ぶことのない内容で、毎回とても興味
深く受講させてもらいました。受講前には難
しすぎるのではと不安でしたが丁寧な講義で
した。是非また受講したいと思います。あり
がとうございました。
・とても丁寧なはっきりした言葉で話してくだ
さり、とても好感がもてました。内容も重厚
で、今後暇とお金がありましたら、一度芭蕉
がたどった順番に旅してみたいと思うように
なりました。ご講義どうも有り難うございま
した。続きも聴講してみたいと思います。
・以前より時間がもてるようになったら古典な
ど学習したいものと思っており、今回大変う
れしく学ぶことができました。芭蕉自筆本の
今後も毛筆の参考にと読む書くなど活用しよ
うと思います。ありがとうございました。
講座2
【講座3】健康づくりのための運動指導講座
※通年講座(5月∼平成19年1月)のため後
期分に記載。
【講座4】小麦栽培から始めるパンづくり
※通年講座(5月∼11月計3回)のため後期
分に記載
【講座5】市民のためのライフプラン講座
本年度はじめて開講された講座である。近年
注目されている「私たちの夢のかなえ方を、資
金面も含めて具体的に考えていく方法」として
の「ライフプラン」をテーマとした内容を、経
済学部石田先生と専門家であるファイナンシャ
ルプランーの連携によって展開したものであ
る。女性の方を中心として熱心に受講されてい
た。主な感想は以下の通りである。
・経済についてあまり知識のない私も参加する
ことができ良かったと思います(初心者向
け)。ライフプランを作ることにより、自分
の目標がはっきりし、モチベーションも上げ
る機会になりました。ありがとうございまし
た。また、個々の質問に対しても細かく対応
してもらえたのが良かったです。
・自分自身将来設計ができていないし、何も目
標がないのに気付き、これを機にいろいろ考
えていこうと思います。
・分かりやすく熱のこもった講義をありがとう
ございました。家計のことを考えていくため
のきっかけになり、これからも勉強していき
たいと思うことができました。
・人生をチャレンジしてみようと思いました。
ありがとうございました。
・行動する力が出てきたようです。
−52−
講座5
【講座6】病気とつきあいながらいきいきと生
きるために∼乳がんの手術とリンパ
郭清後の患者さんのために∼
年々増え続けているといわれる乳がんをテー
マに、診断・手術・術後治療・再発治療まで
「乳がん治療のあれこれ」、リンパドレナージセ
ラピスト(看護師)が、乳癌手術後の合併症の
一つである「腕のリンパ浮腫」の治療のお話と
実技指導、乳がん患者会の方が、実体験を通し
て学んだ「乳がんと上手に付き合う方法」を講
義するものであった。30名の受講申し込みがあ
り(本学の公開講座はじめての方は22名)、こ
のテーマへの関心の高さが窺われた。主な感想
は以下の通りである。
・患者さんが講師として体験談を話されたこと
は大変勇気づけられたと思い
ます。講義内容も分かり易く
話していただきありがとうご
ざいました。
・自分の治療方法、薬の作用、
これからの考え方等基本的な
学習ができて良かった。とて
も理解しやすい説明でした。
マッサージの実技は役立ちま
す。特に強さについては先生
の手で示していただきました
ので感覚的な理解ができまし
た。
・公開講座を受講して本当に良かったです。リ
ンパのマッサージ、特に勉強、参考になりま
した。
・患者会代表が講師として選ばれたことに時代
の流れを感じました。とっても良いことだと
思います。
・皆様の色々な体験談が聞けて参考になり、ま
た不安が少しうすらぎました。ありがとうご
ざいました。
・とてもわかりやすい講座で助かりました。担
当の先生の話だけでは難しく理解できない部
分も少しあって、それが大体わかりました。
そして他の乳がんの患者さんと話もできて、
勇気づけられて良かったです。
講座6
−53−
【講座7】
防府市教育委員会との連携講座で、防府市青
少年科学館ソラールを会場として開講された。
宇宙に関する最新の科学的成果に加えて、山口
大学で行っている電波天文学の研究について講
義された。本講座には25名が受講され、電波望
遠鏡の自作に取り組もうという高校生も参加さ
れて、熱気にあふれる講座となった。特に最終
講義では、「KDDI山口衛星通信所」(仁保)で
現地学習を行い(天候が悪く、電波望遠鏡の操
作はできなかったが)、受講者には大きな学問
的刺激となった。主な感想は以下の通りである。
・若い頃から宇宙の事が大好きでした。空を見
上げる事の多い子供でした。この度の講座を
受け、今まで知らなかった専門的な事を知り、
身体の中に深くしみこみました。人は宇宙か
ら生まれたということをみんなに話をしてい
ます。
・ずっと山口大学で研究をして成果をどんどん
出してください。パラボラアンテナが電波望
遠鏡になってすごい立派な研究機器になって
いるとは、山口県のほとんどの人が知らない
と思います。是非もっともっと自慢してPRし
てください。山大に天文学を勉強することを
目指して入学する人がきっと増えるし、増え
てほしいです。
・最新の天文学の内容について、わかりやすく
説明をいただけてありがたかった。定期的に
このような講座があると、天文に興味のある
方の一つの集まりとなればいいと思います。
・天文学の歴史から豊富な資料まで、色々なも
のを見せていただきました。改めて宇宙に対
して神秘的に感じました。また、質問にも丁
寧に答えていただきました。子供が電波観測
をしたいと言っており、その面でも個人的に
指導していただいたり、感謝しております。
・宇宙のことについて知らないことがわかりま
した。講義は分かりやすく楽しむことができ
ました。科学、宇宙を研究してきた人物に関
心を持ちました。
講座7
【講座8】プロの技術で挑む小麦栽培から始め
る地産地消のパンづくり
昨年に続き、講座「小麦栽培から始めるパン
づくり」に参加された方を対象として開講され
た。山口県の奨励品種となったパン用小麦品種
ニシノカオリを使った地産地消のパンをつくろ
うと努力されている生産農家、製粉業者、製パ
ン業者の方からプロの技術の粋を学ぶことをテ
ーマとして、製粉技術に関する講義、名田島栽
培現地での説明、「葡萄の森」でのプロのパン
職人によるパンづくりに関する講義と試食、地
産地消の意義などについて学習が行われた。当
日はテレビ局や新聞社から多数の取材も行わ
れ、この取り組みへの関心の高さが理解された。
なお、本講座の実施にあたっては、嘉川興業、
葡萄の森、山口農林事務所、美祢農林事務所、
見つめて!やまぐち農産物愛用推進委員会のご
協力をいただいた。主な感想は以下の通りであ
る。
・大変よく練られた計画に敬服いたしておりま
す。今後とも参加させていただきます。あり
がとうございました。
・今回で3回目になりましたが、内容が益々整
ってきている印象を持ちました。今後とも
益々発展されんことを願っております。
・実際にニシノカオリのパンを食べて、それを
作ったパン屋さんのお話が聞けてすごく勉強
になりました。私はOLでガラスしか作ったこ
−54−
とはありませんが、農業をしてみたいし、パ
ンを作りたいと思いました。
・4月7日の新聞記事に「秀」ベーカリーがの
っていました。お店を訪ねた際、先生より勧
められて今日にいたりました。とてもすばら
しい時を過ごすことができうれしく思いま
す。来年も是非参加したいです。たくさんの
方を誘います。ありがとうございました。
講座8
【講座9】小・中学校教員のための英語・国際
理解教育指導者研修会
昨年に続き専門職(小学校・中学校)対象講
座として開設された。小・中学校における英語
教育・国際理解教育に関する指導法をワークシ
ョップ形式で行い、英語での活動を通して英語
力の向上を図ると同時に、英語、文化指導法お
よび英語圏での基本的な思考方法であるクリテ
ィカル・シンキングを養成する教育法について
講義された。今年は会期を3日間としてより参
加しやすく工夫された内容となった。工学部の
常盤工業会館を会場として行われ、宇部市、下
関市、萩市などから小・中学校の先生方29名が
熱心に受講された。講義以外にも昼休み等を利
用して留学生と国や文化について話し合うな
ど、受講生からは「教育の原点に立ち返る機会
となった。また参加したい」「これからの教育
の最新のあり方を学べて良かった」「英語観、
世界観が広がった」などの感想が寄せられた。
講座9
【講座10】理科実験講座
本講座も専門職(小学校・中学校理科教員)
対象講座として例年開講されている人気の高い
講座である。第一日目は理科教育の学習論や教
材開発に関する講義・実験や観察を行い、二日
目は山口市秋穂の海岸において野外観察実習を
行った。
−55−
講座10
【講座11】木工入門
平成7年度から毎年開催され恒例となった本
講座は、昨年の倍の受講申し込みがあり(はじ
めて受講される方7名)、担当・岡村先生のご
配慮により急遽2回に分けて実施することとな
った。受講された方は、暑い中にもかかわらず
板材加工の基本や棚製作など熱心に取り組まれ
ていた。
・のこぎりのひき方やテクニックなどが3日間
でたくさん学べたのでおもしろかった。また、
初めて使う機械があってとても良い経験にな
った。
・ゆっくりと親切に教えていただき大変分かり
易かったと思います。また、冷茶も用意され
ていてお心使いを感じました。この教室が気
(木)に入りました。
・物を作る作業なので今回受けた人数は、質問
や指導を受けるのに適切だと思います。とっ
てもわかりやすかったです。
・毎年親切丁寧に教えて頂きありがとうござい
ます。とても分かり易く、毎年良い作品が出
来て満足しています。子どもたちも毎年楽し
みにしています。また、来年も参加したいの
でどうぞよろしくお願いいたします。8月末
は中学校の行事があるようなので、今頃の時
期が良いかもしれません。
・前年より午前中3日間になりましたのに、こ
の時間中でりっぱな作品に仕上がりました。
限られた時間内に計画される先生は大変でし
ょうが、次回もまたどんなものになるか楽し
みにしています。お世話になりました。
・小学∼成人になるまで技術授業がなくて、の
こ、カンナ、ノミ等の基礎的なこともわかっ
ていなかったことがはじめて理解できたとこ
ろも沢山ありました。人生後半は何事も自分
をほめて、作品に対しても90点以上をつけが
んばります。次回も参加できますようにお願
いいたします。
・初めての講座でしたが、道具の使い方等とて
も参考になりました。もっと工具のイロハ等
そしてどのような時に使用するのか等の指導
もあったら良い。また、道具の使い方によっ
て危険防止の説明があってよかった。小物で
も緻密なところや合わないところなど難しか
ったが参考になりました。また、難聴者に対
する情報保障者の許可をいただいての参加だ
ったので分かり易かったので、配慮に感謝し
ます。
・一般の講習会や勉強会では、これだけ工具、
道具等製作方法の基本を説明してもらえると
ころはなかった。ありがとうございました。
講座11
−56−
【サタデー・カレッジ】
英詩のこころ(外国語学習コース)
英詩入門のコースとして開講された本講座に
は、21名の方が受講された。「チョーサーから
現代に至るイギリスの名詩を、自然、愛、美、
その他の分野に亘って味読観賞します。詩を読
むことは散文を読むのとは趣を異にしますが、
決して難しいことではありません。すぐれた詩
は人生の真実をしみじみと読者の心に語りかけ
てくれます。皆さんと一緒に、英詩の世界に親
しみその諸相を知り、また言葉の魅力に触れて
みたいと思います」という田中晋先生の熱意あ
ふれる講座は大好評であった。主な感想は次の
通りである。
・英詩を短時間で学問的にご講義賜り大変感動
いたしました。これを機会にさらに英詩の心
を学びたい深めたいと思っています。田中教
授のご熱意ですっかり英詩漬けになりました。
・先生のお話を聞きとてもためになりました。
英詩の心を大切にしていきたいと思っていま
す。なお、英詩を通して自然、人生に対して
ものの見方が変わったような気がします。
・はじめは難しく周囲の方々とのレベルがとて
も私とかけ離れているようなので不安もあり
ましたが、図書館で英詩集を借り毎週講座の
準備をし、とても充実した2ヶ月を過ごすこ
とができました。数年前に湖水地方を訪れワ
ーズワースのゆかりの地を訪問しましたが、
そのときはピンときませんでした。もったい
なかったと思います。あらためてイギリスを
訪問したいと思いました。
・英詩というものを読んだりしたことがなかっ
たので、初めは不安でしたが先生が分かりや
すく説明なさったので安心した。内容も大変
興味深いものだった。
・最初は難しくてついていけるだろうかと心配
しましたが、回を追うごとに詩のすばらしさ
がわかってくるようになり、とてもよい勉強
になりました。学生時代英詩を十分に勉強する
ことができなかった私にとってはまた一つ知識
が増えたことで大変良かったと思っています。
・英詩にはほとんど接することがなかったので
すが、四季の移り変わりを様々な詩人の観点
から見るというテーマが貫かれていて面白く
受講することができました。ただ内容が深か
ったのに個人的には予習だけで終わり、復習
せずに過ぎてしまったことを反省しています。
・参考資料等もたくさん用意していただけた上に、
大変丁寧に解説をなさいましたので、安心して
読み進めることができました。とても親切にご
指導下さり、満足のゆく講座でした。とてもお
世話になりました。ありがとうございました。
サタデー・カレッジ(田中晋先生講義)
サタデー・カレッジ(開校式:田中学部長挨拶)
受託研究の受け入れ
本年度は下記の受託研究2件の受け入れを行
った。
委託者:財団法人山口県ひとづくり財団
・研究担当:エクステンションセンター
(担当代表:長畑教授)
−57−
・研究題目:平成18年度人材育成調査研究事業
・研究内容・目的:近年の国際化、情報化、
少子高齢化、地方分権改革の急速な進展や
社会経済環境の激変により、県民の生涯学
習ニーズはますます高度化、多様化しつつ
あり、地域の持続的発展をめざす生涯学習
によるまちづくりに係る諸課題への対応は
喫緊の課題となっている。本調査研究は、
こうした県民の生涯学習、まちづくり、人
づくりに関する意識と実態及び学習ニーズ
を調査、分析することにより、今後の山口
県ひとづくり財団の各種人材育成事業の推
進に係る基礎資料を得ることを目的とする
・研究方法:「県民の生涯学習に関する意識
調査」を県民2,400人(無作為抽出)に対し
て郵送法で行う。中間報告9月末。最終報
告書平成19年2月末。
・委託費:250万円
委託者:秋芳町
・研究担当:長畑教授
・研究題目:秋吉台地域観光長期ビジョン策定
・研究内容・目的:秋芳町まちづくり交付金
事業推進協議会の報告書による基本理念に
基づき、秋吉台地域を一体的に捉えた観光
長期ビジョンを作成する。又、若竹山荘跡
地の施設及び黒谷隧道の改修工事の基本計
画・設計を作成する。
〈秋吉台地域観光長期ビジョン関係〉
・合併後(1市2町)の新市の地域活性化を
視野に入れた秋吉台地域の総合的な観光活
性化構想案を作成する。
・秋吉台地域における自然保護地区(秋吉
台・秋芳洞)、観光開発地区(広谷地区)
の長期観光開発ビジョン及びその実現のた
めの基本計画を作成する。
〈まちづくり交付金事業関係〉
・若竹山荘跡地に整備される自然景観に配慮
したビジターセンター(サテライト施設)
の基本計画・基本設計を作成する。必要と
する機能は次の通りである。
①ガイダンス機能 ②交流機能 ③展示機
能 ④危機管理機能
・黒谷隧道における、歩行者(入洞者)支援
(休憩機能・展示解説機能)に係る基本計
画・基本設計を作成する。
・委託費:2,482,200円
3.科学研究費補助金の採択について
平成18年度科学研究費補助金申請において、
下記のエクステンションセンターからの申請が
基盤研究 に採択された。
研究テーマ
「分権時代における住民を主体とした地域
生涯学習システムに関する調査研究」
研究代表者
エクステンションセンター・長畑教授
研究分担者
エクステンションセンター主事・吉村教授、
エクステンションセンター・辰己講師
研究の目的・内容
地方分権改革が急速に進展する中、自己責
任・自己決定に基づく住民自治の確立が求め
られている。とりわけ、生涯学習によるまち
づくりの取り組みには住民力を高める役割が
強く期待されており、地域住民を主体とした
産公学民の広範なネットワークと協働による
総合的な地域生涯学習システムの構築は喫緊
の課題となっている。
本研究では、大学と自治体(防府市)との
連携協定に基づき、①防府市民を対象とした
総合的なアンケート調査により地域ニーズを
把握するとともに、地域生涯学習事業の結果
を評価する、②地域生涯学習システムに関わ
る各主体(指導者バンク登録者、世話人会、
公民館職員、小中学校教員等)に対するアン
ケート調査を行い課題を明確にする、③各主
体対象のアンケートの中から代表的な事例を
抽出しヒアリング調査を行う、④データ全体
の解析から住民を主体とした地域生涯学習シ
ステムのあり方に係る一つのモデルを構築す
る、ことを目的とする。
補助金
190万円(2年間)
(文責:長畑)
開放授業が始まりました!
山口大学では、平成18年度から社会貢献活動
の一環として、正規学生に対して開講されてい
る授業を一般市民に開放する「開放授業」を実
施しております。開放授業は、地域社会におけ
る生涯学習の一端を担うとともに、地域社会の
知的啓発に資することを目的としております。
この意味において開放授業は、実施形態が異な
るだけで、すでに実施している公開講座とその
目的を一にするものであります。
受講者の平均年齢は54.5才。前期は延べ34人
の方が受講されました。様々な思いをもって受
講されているようです。
・大学へ行けなかった時の悲しさは今でも思い
出されますが、この年齢になって大学で授業
−58−
を受けられるとは夢夢考えにも及ばず、あり
がたく感謝で一杯です。開放授業は、あっと
いう間でしたが、学生時代よりも、今の方が
ずっと楽しく授業を夢中で受けられた気がしま
す。これからも毎年一科目でも受講し、自分の
残り少ない人生に夢をつなぎたいと思います。
・貧しくていけない自分たちの時代でしたが、
今こうして授業を受けられたのは、学校・先
生方のおかげと心より感謝しています。あり
がとうございました。今後も開放授業が続く
こと願います。
・私は45年前に大学に行きたかったのですが、
引き揚げ者の両親の元では大変なことで諦め
ました。高校では進学希望者が150名いたの
ですが。卒業式で涙したことが今でも記憶に
残っています。子供には大学を進めました。
どんな雰囲気で勉強していくのか、いろいろ
経験させたかったのです。今この年齢になっ
て、まさか思いを寄せた大学へ勉強が出来る
チャンスをいただけると思ってもいなく、す
ぐに希望しました。
・受講の理由は、今まで最も判らない分野だっ
たから少しでも知りたいと思ったのが理由で
す。山口大学の学生さんと一緒に机を並べて
同じ授業が受けられるということが嬉しいと
思い、参加しました。
・介護に疲れはてていた私に息子が作ってくれ
た時間でした。先生が紹介してくださる本、
次々と読みあさりました。本を読む楽しさを
思い出させていただきました。
また、「大学は単に知識を切り売りする場で
はなく、“研究”をしてその成果を“教える”
場ではないでしょうか」という意見もあり、カ
ルチャーセンターではなく、ハイレベルでアカ
デミックな内容を大学に求められていることが
わかります。
授業を担当した先生からは、「学生と同様授
業を社会人に開放することによる問題点はなか
った。出席票による意見においても否定的なコ
メントは全くなかった。開放授業者は教室の前
方に席を取る方が多く、こうした態度が学生に
より影響を与える可能性があるのではないか。
学生も修了証書授与にあたって、拍手で受講者
の努力を讃えていた(経済学部今津教授より)」
という報告がなされた。
前期は、下記のとおり、7つの講義を開放し
ました。
人文学部 添田建治郎 教授
「日本の方言」
講義の内容:方言とは何でしょうか、その概念
規定をいたします。方言の意義・方言を研究
することの意義、方言形式の要因、日本の東
西方言の違い、方言分布の解釈、日本の各地
の方言などについて述べます。
受講者の声:半年間、楽しい授業を提供してく
ださりありがとうございました。毎週ワクワ
クして通うことができました。中学、高校の
授業形態と違い、添田先生の授業は人柄溢れ
る内容で、学生(一般も少量)との対話形式
(出席票をもとに内容を…)がとられ、生き
た授業だったと思います。出席票による質問、
疑問、余談にも、丁寧に調査検討してくださり、
次の週にはその結果が報告してもらえ、お忙し
いのに「さすが大学の先生!」と思いました。
医学部 谷田憲俊 教授
「生命倫理学」
講義の内容:生命倫理領域のトピックスを扱い
ます。
受講者の声:今科学技術の進歩発展にともな
い、様々な分野において、その知識と多用な
価値観により、多くのヒューマンギャップが
生じているように思います。まさに、全てに
倫理が問われる昨今、時代に即した事象の捉
え方と本当の意味での倫理学を知りたいと思
い受講いたしました。生命倫理と聞いて私に
は、生まれる生命のことしか頭にありません
でした。授業を受けてみて、死ぬことも生き
ることも生命なんだと気付きました。
教育学部 吉村 誠 教授
「国文学概論」
講義の内容:古事記神話を中心にその考え方や
読み方を講義します。
受講者の声:私たちの世代は、日本の根元を
「古事記」により、日本神話として教え込ま
れ、そのまま敗戦を迎えた経験から、いつか
「古事記」本来の読み方、見方をまとめて教
えてもらえる機会があればと思っていたの
で、早速受講を申込み、今は満足感で一杯です。
−59−
上国の関係はどうなっているのか、日本の国
際社会に対するメッセージとして政府開発援
助(ODA)とは、こうしたテーマを皆さんと
一緒に考えてゆきたいと思っています。
受講者の声:国際協力は常日頃からとても関心
を持っていましたが、知らないことが多く受
講したいと思いました。良いチャンスをいた
だいたと思います。今津先生ははっきり話さ
れて理解がしやすく、現地・現場の事がよく
わかりました。
講義の様子
教育学部 藤井マリ子 助教授
「国語科教育法Ⅰ」
講義内容:「明治以来の中等国語教育の歴史を
概観しつつ、今日の国語科教育が抱える課題
を教育制度・教科書・教育理論等から検討し
てゆきます。
(希望者なし)
経済学部 仲間瑞樹 助教授
「日本財政論」
修了証書授与
講義内容:日本の歳出入構造が抱える問題点、
財政赤字問題、日本の税制改革の現状と今後
の展望、政治と財政に関するトピックを、毎
回配布する講義ノート、資料、パワーポイン
トを利用しつつ説明します。
受講者の声:初回から最終講義までとても勉強
になりました。毎日のニュースをテレビや新
聞で見たり聞いたりしていましたが、あまり
にも知らないままにいたことがわかりまし
た。仲間先生の講義は経済や財政、金融政策
などについて、とても私には判りやすかった
と思います。
経済学部 今津 武 教授
「国際協力論」
講義の内容:グローバル化が進む中で、私たち
の生活が世界中の人々とより緊密につなが
り、便利に豊かになってきました。一方で、
世界人口の約80%は開発途上国に住み、10億
人以上の人達が1日1$以下で生活していま
す。この貧困をはじめHIV/AIDsなどの感染症、
環境汚染といった地球規模の課題(Global
Issues)が、私たちの生活を脅かしています。
こうした問題に世界の国々はどの様に立ち向
かっているのか、豊かな先進諸国と貧しい途
農学部 執行正義 助教授
「基礎園芸学」
講義内容:園芸とは、農業における一分野で、
園芸作物、すなわち、果樹、野菜、観賞植物
の生産・改良・利用に関することを扱うこと
です。農業総生産額における園芸作物の割合
は毎年30%を超え、コメ、畜産とともに日本
農業の大きな柱の一つになっています。また、
最近の園芸ブームや健康志向により、園芸作
物に対する関心はこれまでにない高まりをみ
せています。しかし、一つの園芸植物を商品
として市場に供給するためには、多種多様な
試験・研究が必要です。したがって、園芸学
は基礎から応用まで、幅の広い研究分野を包
括する学問として成り立っています。本講義
では、園芸学的研究の中身を実例とともに少
し眺めてみることにします。
受講者の声:花が大好きです。また、雑草との
毎日の戦いから、ふと園芸学とは?と思って
受講しました。日頃、チラホラと聞く話を系
統的に聞けて、見聞が広まったという感じで
す。これが大学の専門性というのでしょう。
とても面白い楽しい授業でした。
−60−
スタッフの語り場
学生との接点
大学教育センター 主事
教育学部 助教授 北本 卓也
今年の4月から新しく大学教育センター主事
になりました。新米主事でなにぶんわからない
ことが多く、周囲の方にいろいろと教わりなが
ら日々格闘しています。
主事となってまだ5ヶ月ですが、外から見た
大学教育センターと内から見た大学教育センタ
ーとではかなり印象が違っていることがわかり
ました。そこで、大学教育センターの一員とな
る前となった後で印象が違ってきた点を述べさ
せていただきます。
大学教育センターの担当は共通教育のみで
はない
実は、以前の私は大学教育センターの仕事の
主なものは「共通教育の実施」と思っていたわ
けですが、実際には「共通教育と専門教育を含
めた学生教育の統一的な教育カリキュラム、教
育方針の作成」を考えていかなければならない
ことがわかり、その難しさに四苦八苦していま
す。各学部、研究科にはそれぞれその方針、事
情の違いがありますが、その意見をまとめて、
山口大学としての統一した教育方針、教育改革
を出していかなければなりません。
ここの調整の部分が実は最も難しい仕事の1
つであることを知りました。この調整には、各
学部、研究科のご協力が不可欠であることは明
らかですので、なにとぞよろしくお願いします。
大学教育センターは情報システムを多く抱
えている
私は以前からWebシラバス作成のシステムに
関わっており、大学教育センターがそのシステ
ムの管理を行っているというのは知っていまし
たが、他にも大学教育センターは様々なシステ
ムを管理しています。具体的には、授業評価シ
ステム(IYOKAN)やE-learningのためにシステ
ム、英語学習システム(TOEIC受験用)などです。
また、教務システムの改修にも関わっています。
今後、学生に対するきめ細かい指導や教育を
行っていくためには、これからも更にこういっ
た情報システムを活用していくことが重要であ
ると思われます。この部分はシステムを管理す
る大学教育センターと、それを使う各学部、研
究科の連携が大切になってきますので、ご協力
をよろしくお願いします。
大学を取り巻く状況は日々厳しくなっていく
一方ですが、岩部センター長の挨拶にもありま
したように、山口大学は国の「大学教育改革の
支援プロジェクト」を11件獲得するなど、なか
なか健闘しています。これからも魅力的な山口
大学であるために、山口大学教員各位のご協力
をお願いします(上で何度も述べていますよう
に、大学教育センターに関わる仕事は各学部、
研究科の協力なしではなしえません)。
自己紹介です
アドミッションセンター 主事
岡村 吉永
この春より、アドミッションセンター主事を
仰せつかりました教育学部の岡村でございま
す。前アドミッションセンター長も教育学部の
岡村でしたので、アレ?っと思われた方もいら
っしゃるかもしれません。残念ながら、別人で
す。
さて自己紹介ですが、私の場合、初対面の挨
拶はまず、
「“岡村”と“吉永”ではありません、
“岡村吉永(ヨシヒサ)”です。」から始まりま
す。名字がふたつ並んだような名前のお陰で、
二人に間違えられることが少なくありません。
そのせいとは申しませんが、性格や仕事も多重
人格じみているような気がします。
一応、私の専門は「木材加工」ということに
なっています。しかし対象は、木そのものとい
うより、加工などの作業における学習者の技能
向上です。技能を簡便に測定・評価する装置や
−61−
プログラムの開発から始めますので、木に触れ
ている時間より、ハンダこてやキーボードを叩
いている時間の方が圧倒的に長いかもしれませ
ん。最近は、木と無関係な書道にも手を広げて
しまいました。木工具であれ筆であれ、伝統的
な道具に秘められた先人達の知恵や工夫、そし
てこれを使いこなす技のすごさにはいつも驚か
されます。ただ残念なことに、その学習方法
(技能獲得過程)については、合理性にかける
ものも多くみられ、改善が求められます。伝統
や文化を守るという点からも、科学的な検証と
これに基づく学習方法の確立が必要といえるで
しょう。
ところで、アドミッションセンターについて
ですが、主事を半期勤めたぐらいで理解できる
ものではなさそうです。AOなどの入試に関わ
ることだけだと思っていたのですが、そうでも
ありません。あまり手元に置きたくないような
資料も多く、とうとう手動式のシュレッダーを
買いました。いま電動にするべきだったと後悔
しています。
まだしばらくは、皆様の足手まといになりそ
うですが、なんとか早くお役に立てるようにと
思っています。どうか宜しくお願い申し上げます。
学生達はみな後輩
学務課 共通教育係
松尾 光郎
今年の10月で,ここ山口大学に採用されて丸
2年が経ちます。学務部学務課共通教育係に配
属され,最初は学生が質問に来ても,質問の内
容も質問の答えも分からず,他の人が対応する
のを横で聞いて自分も学生と一緒に理解し,ど
のように対応すればよいかを勉強するという状
態でした。進級や卒業にかかわることですので,
間違ったことを伝えてしまってはいけないと,
1年生に配付される共通教育履修案内と各学部
の要覧を読んで読み込んで,‘今の山口大学の
学生’の履修方法や単位の取り方について理解
していきました。
‘今の山口大学の学生’という言い方をした
のは他でもなく,私は10年前に,この山口大学
に入学し,卒業しています。言わば,ここにい
る学生はみな,私の後輩なのです。私が入学し
た1996年は教養部が廃止され,共通教育となっ
た最初の年でした。その頃に比べると,共通教
育の単位の取り方は大きく変わったというの
が,履修案内を読んでの印象でした。今は,私
が学生の頃にはなかったコースカリキュラム・
マトリックス表というものがあり,この表に従
って学生は共通教育の卒業単位を揃えていきま
す。私自身この表をすぐには理解できず,今の
学生は理解するのが大変だろうなと思いまし
た。やはり,入学してすぐの1年生の質問の多
くは単位の揃え方なのです。質問に来た学生と
一緒にこの表を見ながら,説明していくのです
が,どのように説明すれば一番分かりやすいか,
今でも悩みます。難しい顔をしていた学生が,
説明を分かってくれて,笑顔で帰っていくこと
を目標に対応しています。
学生と話をして思うことは,学生それぞれに
個性があり,もちろん性格が違うということで
す。外交的な学生,内気な学生,心配性な学生
…。そんな学生達の中で,レポート提出等の理
由で共通教育係に来ては話をする1年生の男子
学生の集団がいるのですが,彼らから「二十歳
になったら一緒に飲みましょう!」と言われま
した。このようなことを言われたのは,働き出
して初めてで,とてもうれしかったです。
一回り近くも若い学生達と話をするのは楽し
く,学務系以外の部課では経験できないことで
す。学生への対応の仕方に悩むこともあります
が,些細なことでも質問に来られるような雰囲
気を作っていきたいと思います。夏休みが終わ
り,学生達の元気な姿を見るのを楽しみにして
います。
学生卒業1年目。
学務課 共通教育係技術補佐員
永井 幹夫
この度、技術補佐員として共通教育係に加わ
ることになりました永井幹夫です。化学実験・
物理学実験の準備をしたり、共通教育係にて生
徒の質問等を聞いたりしています。
昨年までは、実験の都合もあり、不規則に規
則正しい学生生活を送っていましたが、そんな
−62−
私も技術補佐員歴4ヶ月…。すっかり慣れたとは
言えませんが、周りの人に助けられ・支えていた
だきながら毎日規則正しく楽しく過ごしています。
学生の頃に共通教育係に訪れたのは、学生証
を紛失した時くらいだと思いますが、今こうし
て技術補佐員として共通教育係としてプリント
を作成したり実験の準備をしていると、学生の
頃は気づかなかったけれど、知らないところで
いろいろお世話になっていたのだと思い、今更
ながら感謝したりしています。
まだまだ未熟な私ですが、私なりの最善を尽
くして頑張りますので、どうぞよろしくお願い
致します。
伝統を守り、
伝統を壊す
学務部入試課 専門職員
三原 敏秀
今年4月に入試課専門職員として異動となり
ました。原稿依頼を受けたのが7月中旬。本来
であれば、自己紹介の文章を作文することとな
るところですが、テーマは何でもよいという依
頼者からの指示でしたので、書けることでご容
赦いただきたいと思います。
「さて、何を書こうか」と考えあぐねていた
ところ、7月下旬に岐阜大学に出張する機会が
あり、前泊したホテルで夜、テレビを観ている
と、「プロフェッショナル仕事の流儀」という
NHKの番組が始まった。田中先生(AC助教授)
が同番組を使って、高校生向けに講義をしてい
たのを思い出し、そのまま観ようという気にな
った。
主人公は、京都嵐山で70年続いている老舗の
日本料理店の3代目の料理長・徳岡邦夫。京料
理の伝統をベースにしながら現代風にアレンジ
した料理も作る徳岡は、日本料理のアバンギャ
ルドと国内外から高い評価をされているが、以
前はそうではなかった。20代から東京や大阪の
姉妹店に修行に出て、包丁さばきや味付けにも
みがきがかかってきた7年後に意気揚々に店に
帰ってきた。だが、権限はないのに3代目とい
うことで、あらゆることに責任をとらされ、長
老格の料理人からは陰口をたたかれた。尊敬す
る初代の祖父からは、「おまえがいるからだめ
なんだ。」と全否定された。
おりしもバブルが崩壊し、客足も遠のき、見
切りを付けたベテランの料理人は次々とやめて
いき、店も徳岡も苦境に立たされた。「がけっ
ぷちにかろうじて指2、3本引っかかっている
だけ」と本人は回顧する。
祖父の教えを忠実に守ってきた徳岡は、もが
き苦しんだ末、祖父と同じようにしても祖父に
なれないし、なる必要もないことに気付く。洋
風化の波が押し寄せていた。若い世代は、日本
酒よりもワインを好んだ。
徳岡は、「伝統を守り、伝統を壊す」こと試
みた。日本料理に客を合わせるのではなく、客
ひとりひとりの嗜好に併せて料理を作る。その
ためには日本料理の伝統を変えることもこだわ
らない。「料理自体は変えてもいいというこ
と?」との質問に、「全然、何をしてもよいと
思う。」と答える。
そんな徳岡であっても、変えてはならない伝
統があると考える。店が70年以上続いてきたに
は理由がある。「この店のいのち。そういうも
のがあったから継続してきたもの一人と人との
関係を大切にするということが70年続いた核心
なのかな、それは変えてはいけない。料理のテ
クニックとか料理内容、サービス内容とかは今、
目の前にいる人にあわせるというのが大事なの
かな、と思う。」
「伝統を守り、伝統を壊す。」このことを山
口大学に当てはめようとするといったい何にな
るのでしょうか。山口大学の守るべき伝統とは
何か。筆者には即答できません。見分けるため
には、徳岡のようにもがき苦しむ必要があるの
かもしれません。読者におかれてはすでに見分
けられていますか?その他にも筆者にはとても
示唆に富む内容の番組でした。再放送の機会が
あれば是非ご鑑賞ください。
−63−
よろしくおねがいします
学務部入試課 入学試験課
椛村 裕二
この4月に徳山高専から入試課にやってまい
りました椛村(かばむら)です。
山口大学には研修などで何度か来たことはあ
るのですが、職員として来てみると(高専と比
べて)あらためて大きい組織だと実感していま
す。入試課は初めてなのですが、入試広報業務
として、県内外の進学説明会で受験生と話をし
たり学生たちとオープンキャンパスの準備をし
たりと、思っていたより表にでる事が多いので
以外でした。しかし、入試業務としてはこれか
らが本番なので、今年度入試が滞りなく実施で
きるよう頑張ります。よろしくお願いします。
つれづれなるままに
学務部国際課 課長補佐
後藤 明利
私が就職した昭和40年代、日本はモータリー
ゼーションの幕開け、所得倍増計画と高度成長
期のまっただ中にあった。国立大学も盛んに学
部改組が行われ、やがて各県に1医大が設置さ
れるなど大学は国民の需要に充分に応えるだけ
の設備充実を図っていた。
それから20数年が経過し、バブルの崩壊とと
もに国の財政状況は次第に厳しさを増し、大学
に対する予算は減少傾向を辿り始めた。
平成16年4月、全国の国立大学は一斉に法人
化され、今年で3年目を迎える。法人化される
と大学の運営はどうなるのだろうか、これまで
とどこがどう変わるのだろうかといった不安と逆
にある種の期待感を持って法人化の日を迎えた。
当時、私は総務課広報・調査係に所属し、全
学の立場での広報を担当していた。大学の広報
戦略を練る広報戦略委員会のもとに電子媒体担
当部会と印刷物担当部会を置き、それぞれが毎
月1回の委員会を開いて広報戦略を議論してい
た。法人化という節目の日にどんなイベントを
企画するか、法人化された「山大」をどう地域
社会へアピールするかという議論の中で様々な
奇抜なアイディアも出されたが、経費面等での
制約もあり、事務局1号館、2号館玄関に設置
したシンボルマーク入りの銘板の除幕式を行っ
たり、事務局1号館屋上にシンボルマーク入り
の大学旗を掲揚したりと、私が想像していたよ
りも地味なセレモニーにとどまった。
法人化により、大学の運営形態は大きく変わ
ったが、それと同時に変わらなければならない
私たち職員の意識はどう変わったであろうか。
私自身を含め法人化を境にして職員の意識が大
きく変わったとは言い難いのが実情ではないだ
ろうか。ある日を境にガラリと意識改革ができ
るものではないが、法人職員としての確かな自
覚と誇りを持って業務を遂行しているであろうか。
「教育は国家百年の計なり」といわれるが、
我が国の教育行政はあまりにも猫の目行政的で
あり、確固たる信念、長期ビジョンがないので
はと感じるのは私だけであろうか。
一時期ゆとり教育が推進されたが、その影響か
らか学力低下が叫ばれ始めるとこれまでとは一
転して「ゆとり」から授業時数を増やして学力
向上のための施策を講じ始めた。我が国の教育
施策が次々と変化していく中、近隣諸国では一
貫した教育理念のもとに着実にその成果を収
め、教育に関しては今や「先進国日本」を追い
越す勢いである。
大学の法人化が大学間同士の競争力、創造力
を生み出し、これまでの護送船団方式と批判さ
れた体質から大きく変貌してきていることは確
かであるが、法人化の理由が国の財政の逼迫化
から行われたものであるということも否めない
事実であると私自身は認識している。しかし、
法人化された事実は事実として厳粛に受け止
め、この体制の中でどう「山大」を発展充実さ
せ、「山大ブランド」を作っていくかというこ
とに邁進していかなければならない。
少子化に伴う大学全入時代をやがて迎えよう
としている今、大学の国際化は重要な課題であ
ると思う。山大における国際化指数はどの程度
か、留学生の受け入れ者数、日本人学生の海外
への派遣者数、学術交流協定締結校数、研究者
交流の実績等々様々な角度からの数値を他の大
学と比較することができる。これらの数値を伸
ばすことは外部資金等の獲得につながり、必然
的に大学運営に貢献することとなることから、
いずれの大学においても力を注いでいるところ
である。「山大」も規模、能力に照らせばまだ
まだ国際化の数値を伸ばしていくことが十分可
能であり、その中で「山大」が抜きん出た存在
となるためには更に「特色ある国際戦略」が必
要である。そのためには、現在「国際戦略本部
(仮称)」立ち上げの準備が進められているが、
これを早急に設置し、「山大」の意思が速やか
に反映できるような体制作りが不可欠である。
−64−
西日本地区を中心に多くの大学が東アジアとの
交流を強化しようとしているが、「山大」は他
の大学には真似のできない独特の交流の在り方
を検討し、実践していくことで、中期目標に掲
げている東アジアを基軸とした国際戦略が達成
できると思う。私は今年4月から学務部国際課
に籍を置くこととなったが、一刻も早く「国際
戦略本部(仮称)」を立ち上げ、全学一体とな
った山大独自の対東アジア戦略を展開するとと
もに高度専門職業人や研究者の育成を行うこと
により、「山大ブランド」が誕生し、浸透して
いくのではないだろうかと期待しているところ
である。
い私にとっては、全てが初めての経験ばかりで
毎日とまどってばかりです。学生さんが窓口に
来られた際も「こんにちは」と話しかけるもの
の、いざ何か尋ねられると「すみません、ちょ
っと待ってください。聞いてきます」と、周り
の先輩や上司に尋ねなければ何もできません。
特に、外国人留学生の方がいらっしゃった時に
は、会話さえままならず、相手が何に困ってい
るのか、何をしに来られたのかを理解するのに
もとても苦労してしまいます。こんな私は、学
生さんから見たら、どんなに頼りなく見えるだ
ろうと、自分自身でふがいなく思います。しか
し、考えようによっては、職員としてまだまだ
分からないことばかりの私の心境は、知らない
土地へ留学しようとしている日本人学生や新し
く日本に来られ不慣れなことの多い外国人留学
生の皆さんの心境と近いものがあり、それは学
生さんの立場により近いということだと思いま
す。このことを活かして、それぞれ異なる問題
を抱え窓口を訪れる学生さん一人一人の立場に
立って一緒に考え、状況にあった対応ができる
よう努力していこうと思います。また、日本人
学生、外国人留学生問わず、窓口での職員の対
応によって大学の印象は良くも悪くもなりま
す。これからも、多くの学生さんに山口大学を
大好きになってもらえるよう、しっかりした窓
口での対応を心がけていきたいと思います。
今・大学教育機構に
想うこと
柳井市平郡島で釣果 −アジ45センチ級−
学生支援課 課長
末永 保夫
ごあいさつ
国際課 学生交流係
松山 尚子
私が山口大学の職員になってから、早くも半
年近くが過ぎました。私の配属されたのは国際
課・学生交流係で、主に外国への留学を希望す
る日本人学生や外国からの留学生の皆さんが訪
れます。学生の時に留学した経験があるわけで
も、特に留学生との関わりがあったわけでもな
国立大学法人化も3年目を迎え慌ただしい
日々が続いています。私は山口大学に奉職して
41年目になり、奉職当時、会計係を3年経験し
た以外は全て学務系職員として勤務していま
す。学務系職員として「いつも学生の傍らに」
をテーマとして、学生と学び・遊び、学生とふ
れあい多くの学生に助けられ、学生とともに成
長させてもらった37年間でした。学生には、こ
の場を借りて感謝申し上げたいと思います。
私の学務部勤務も今年で9年目(通算16年目)
になります。企画室、教務課及び学生支援課と
各課に配属されましたが、多くは教務課(現在
−65−
の学務課)で勤務し、共通教育センター時代か
ら大学教育機構になるまで大学の変遷を経験で
きたことは、私にとっては大きな財産になって
います。山口大学が全国の大学に先駆けて大学
教育機構を設置したことは、本学の教育改革、
企画運営が画期的に変わると大きな期待をもっ
て機構の将来性を想像しました。それは全て学
生の教育及び教職員の意識の向上が図れる組織
になり得るものと考えていたからです。
ただ現在の機構は私の想像とは大きくかけ離
れ、各センター業務を遂行するだけの組織とし
か写りません。機構の教員は高度の教育を受け
た「専門職員」だと思います。個人の研究は十
分行われて良いのですが、大学教育機構教員の
本来の目的は、大学の企画・運営に携わり、教
育改革、組織改革等、本学の根幹に関わる業務
を遂行することが必要と考えます。大学機構の
教職員が一丸となって大学運営に携わる組織に
ならなければ、機構は衰退するものと考えます。
機構の利点を生かし全学的なプロジェクトを立
ち上げたり、学生の教育をどのようにすればよ
いか等々の検討をしなければならない時期に来
ていることは論を待たないと思います。大学教
育機構が設置の概念・目的を今一度再考し、機
構の活性化を望んでいるのは自分だけでしょう
か。
ます。申請書類は年2回開催します説明会で配
布しています。説明会開催の通知は掲示により
行い、前期説明会の掲示は前年の12月初め(説
明会は翌年1月中旬)、後期説明会の掲示は当
該年の6月初め(説明会は7月初旬)に各学部
及び学生支援課の掲示板に掲示しますので見落
としのないよう注意してください。免除の額は、
各期分の授業料の全額又は半額です。平成18年
度前期の実績は申請者855名に対して、全額及
び半額免除者は650名と約75%を超える免除率
となっています。
また、本学では、学業成績を基準として、学
部学生に対し各学部各学年から成績優秀者を前
期・後期毎に2人ずつ選考し、各期分の授業料
を免除する制度(特待生制度)を平成17年度の
後期から実施しています。全国の国立大学に先
駆けて実施されたものであり、他大学からも注
目されています。
授業料免除に関して、質問等がありましたら、
学生支援課の窓口へお気軽にお越しください。
学生寮今昔
学生支援課 専門職員
山本 直行
授業料免除制度って
なに
学生支援課 経済支援係長
松本 治
初めまして 平成17年4月から学生支援課
で、授業料免除業務を担当しています松本と申
します。
授業料免除制度を知らない学生さんもいると
思いますので、この場をお借りして、本学の授
業料免除制度について、簡単に説明させていた
だきます。
経済的理由により授業料の納付が困難であ
り、かつ学業優秀と認められる学生さんは授業
料の免除を申請することができます。この理由
以外でも申請することができますが今回は省略
させていただきます。
免除申請の受付は前期及び後期の年2回行い
職務上、設備の点検補修のため寮内に足を運
ぶことが多い。その際、部屋の天井、壁など随
所に赤や黒ペンキで書いた「○○要求実現・貫
徹・徹底抗戦」などの過激な落書きが見受けら
れる。大学紛争当時(主には昭和44∼46年頃)
に大学自治が強く叫ばれ、大衆団交、校舎パリ
ケード封鎖、寮への機動隊出動、自警団の結成
など事あるごとに活動学生(ほぼ同年代で「団
塊の世代」)と対立することも多かった。私が
所属していた事務局(給与係)の建物が占拠さ
れた際は、業務がストップし、特に給与が出せ
ない事態が生じた。学生と交渉の上、給与台帳
を持ち出し市内糸米(現付属山小)の廃寮とな
っていた鴻南寮の厨房跡に事務室を移して数ヶ
月間作業をすることになったが、異常事態にか
かわらず非常に楽しく思い出深いものとなって
いる。当時の学生寮が学生運動の中心となった
時期もあったが、寮祭として始まった「七夕祭」
が学内最大のお祭りとなっているように、寮生
−66−
の連帯感、団結心は今も昔も替わっておらず、
これからもエネルギー・元気の発信基地として
の役目を担ってくれるものと思う。また、紛争
当時、新築間もなかった学生寮も早40年近くが
経過し老朽化が進み、改修計画が進行中である
が、従来の学生寮の最大の魅力である「寮費が
安い(経済的負担が軽減)」「2人部屋・共同生
活(協調性養われる、友人が多い)」「寮食堂が
有ること。(廉価で規則正しい食生活)」などか
ら、例年、募集人員を超える入寮希望者がある
反面、最近は「一人暮らしがしたい」「プライ
バシーがない」「同室者とのリズムの違い」な
ど住環境の悪さを理由に退寮している現実もあ
る。法人化後、改修経費を自主財源でまかなう
必要があり、原資となる寄宿料及び収入額に直
結する入寮定員をいくらに設定するかなど、寮
生と合意されている個室化、寮食堂の廃止等を
含め「本学にあった学生寮」を見いだす時期に
来ている。
保健管理センターでの
10年
保健管理センター 保健師
森福 織江
平成9年に保健管理センター保健師として採
用されて、早いもので10年が過ぎようとしてい
ます。私が就職した頃は保健管理センターの業
務がコンピュータ化される、まさに変革の時期
でした。健康診断においては、それまで手作業
で行っていた計測値の入力が、メディア基盤セ
ンター久長先生のご協力により、健診機器から
の測定データ自動取り込みに変わり、健康診断
関係の様々なシステムが新しく構築されまし
た。健康診断結果の整理、異常者の呼出リスト
作成、健康診断証明書の発行がスムーズに行え
るようになったのは言うまでもありません。ま
た、分散キャンパスでの相談機能を充実させる
ため、テレビ電話の設置、ホームページによる
健康情報の提供、メール相談など様々な取り組
みがなされました。遅くまで残って準備をした
り大変でしたが、この経験は多くの出会いをも
たらし、その後の業務に大変役立つものとなり
ました。
さて、センター窓口には、いろいろな相談が
持ち込まれます。対応の難しさに自分の力不足
を感じたり、「相談してよかった」と言う言葉
に元気をもらったり…。その対応の中で「どう
してだろう?」と疑問に感じたことを心に留め
て検討していきたいと思い、数年前からは、女
子学生の健康問題、特に月経に関する問題を研
究テーマとして取り組んでいます。(科研費
奨励研究)月経は女性の健康のバロメーターで
あり、卒業までに月経に関するセルフケアを身
につけて欲しい、卒業後何かトラブルが起きた
ときに「そうえいばほけかんでこんなことを聞
いたなぁ…」と思い出してもらえるような保健
指導をしていきたいと思っています。
また昨年から禁煙指導にも取り組んでいま
す。医師によるニコチンパッチの処方が可能に
なりましたので、これまでより、楽に禁煙でき
るようになりました。まだまだ勉強しなければ
ならないことが沢山ありますが、「禁煙」とい
う大きなチャレンジに関われることに、やりが
いを感じています。(禁煙を考えている方は是
非ご相談下さい!)
これからは学生さんとは年が離れるばかりで
すが、学生時代に抱える悩みは、きっとどの時
代も変わらないのではないかと思います。これ
から年を重ねて「ほけかんのおばちゃん」(い
つ言われるようになるか怖いところですが…)
になっても心だけは…「ほけかんのお姉さん」
でありたいと思っています。
3年目に思うこと
保健管理センター 保健師
清長 久美
大学が法人化された平成16年、保健管理セン
ター保健師として採用されました。いつの間に
か山口にも馴染み、4年間過ごした出身大学よ
りも、山口大学のことのほうが詳しくなってし
まったように思います。
さて、最近、仕事をする中で、つくづく思う
ことが2つあります。第1は、いろんな学生が
いるんだなぁということです。当たり前のこと
なのですが、臨機応変な対応が求められます。
先輩方のようにできるには、まだ時間がかかり
そうですが、今の自分にできることをその場で
−67−
考え、行動したいと思っています。第2は、情
報収集の大切さです。大学周辺の医療機関情報
はもちろんのこと、学生時代に学んだことが、
今となっては変わっていることも多くありま
す。常に新しいことを知っておけるよう、アン
テナを張り巡らせておきたいと思います。
また、私には保健師以外に、吉田事業場専任
衛生管理者としての仕事もあります。法人にな
って新しく必要になった仕事のため、1年目は
前例がなく、仕事内容もよく分からず、右往左
往していたのが本音です。しかし、2年目の平
成17年度に安全衛生対策室ができ、体制も整い、
とても仕事がしやすくなりました。今は週に1
回(毎週火曜日)、この安全衛生対策室に勤務
しています。また、この日に、吉田事業場の巡
視をしています。まだまだ巡視の認知度は低い
のですが、机の上でパソコンに向かっているだ
けでは分からないことを見たり、考えたりする
ことができ、学部にとっても、少なからず刺激
になっているだろうと思います。初めは法律上
決まっているから仕方なく…という姿勢でした
が、今はやはり必須の活動だと考えています。
幸い、この巡視も、徐々に定着しつつあります。
多くの人に助けてもらいながら、3年目を迎
えました。今、改めて振り返ると、「まだまだ
未熟だな」と思うこともあれば、「ここをこう
変えたい」と見えてきたこともあります。日々
勉強しながら、もっと成長出来るよう、今後も
努力したいと思います。
「離れ小島」で3年目
やく自分のすべきことが明確になりつつありま
す。
附属病院専任衛生管理者として、職場巡視を
し、委員会の議題を作成し、職員健診等をする。
保健管理センター保健師として、学生の怪我の
手当てや相談を受ける、学生健診等をする。最
初は、職員に関することと学生に関することを
両立することの難しさを感じていましたが、今
思い返すと結局は、職員・学生の安全衛生につ
いて、よりよい環境を整えていけるよう支援す
ることなんだということに気づきました。
医心館2階の相談者数も、年々増えています
(平成17年度527件)。私が、ここに配属されて
から思うのは、やはりメンタル面での相談が増
えてきているということです。今後、職員・学
生のメンタルヘルス体制を強化していく必要が
あると感じています。
そして、何も分からず医心館2階という「離
れ小島」に来た私が、ここまでやってこれたの
は、職員・学生健診や病院、医学部学生につい
ての様々な体制などを丁寧に教えてくださった
事務職員の方々のお陰だと思っています。現在
でも、職員健診のデザインを一緒に検討してい
ただいたり、施設に関することにすぐ対応して
下さったり、学生が倒れた際には、車椅子を用
意して病院まで一緒に搬送していただいたり、
等、本当に多くのことを他の業務もある中、協
力して下さっています。医心館2階は、「離れ
小島」である為、時に私自身のこころの癒しの
場所を求めて医学部本館を訪れることも多々あ
ります。なかなか、面と向かっては照れくさい
為、この場を借りてお礼申しあげます。そして、
今後ともよろしくお願いいたします。
保健管理センター 保健師
中原 敦子
私が、附属病院看護部から保健管理センター
へ平成16年4月に異動となり3年目になりま
す。保健管理センター医学部分室の保健師とし
て、また、附属病院の専任衛生管理者も担い、
分からない事だらけの日々でした。最近、よう
−68−
私説私語
〈公開講座の舞台裏〉
「コーディネーターはつらいよ…
でも、努力は報われる」
エクステンションセンター主事 高橋 肇
〈4月20日 〉
明後日からの土曜日・日曜日は秋吉台の公開
講座である。秋吉台の保全活動を続けてきた
“とってもゆかいな秋吉台ミーティング”の協
力のもと、大勢のスタッフに支えてもらうこと
ができた。3月にはスタッフ会議も行い、宿泊
オプションの手配、講師の先生方への事前連絡、
受講者への事前お知らせなど準備万端整い、ま
さに実施を待つだけである。今年度は、29名も
の申し込みもあり、大盛況である。天気予報を
見ると、明後日は午後から雨の予報。う∼ん、
大丈夫だろうか?
〈4月21日 〉
天気予報を見る。土曜日はやはり雨のよう
だ。しかもお昼から降り始めて翌日まで降り続
くようだ。雨プログラムは用意してあるが、初
日が雨の場合は2日目午前中に散策する予定の
ため、このままだとメインの草原散策ができな
くなる。それであれば、むしろ、初日の雨が降
る前に散策しよう、と考えていた。
〈4月22日 〉
朝、3時に目が覚めた。どうもお天気が気に
なって眠れない。TVのスイッチを入れ、ケー
ブルTVのウェザーチャンネルという天気予報
専門の番組を見た。「こんな天気予報専門の番
組なんていったい誰が見るんだろうか?」と思
っていたが、まさか自分がこれを見るとは思わ
なかった。あれ?なんだか変だぞ?げげっ、夕
べと予報が変わっているぞ!
今日になって降水確率が午前60%、午後90%
に変わっている。これでは午前中、散策してい
る間に雨に降られてしまう。しかも、昨日まで
は23日のお昼まで雨が降る予報であったが、今
では、23日は終日晴れマークが出ている。軽い
目まいに襲われた。心配でいてもたってもいら
−69−
れない。秋吉台ミーティン
グ事務局長の永嶺さんに相
談したい!でも、まだ朝の
3時である。
とりあえず、朝が来るの
を待つしかなかった。永嶺
さんは梨農家である。農家
の朝は早いはずだ。朝の6
時になったら電話しても大
丈夫だろう。
高橋:「今朝、天気予報
を見たら午前中の降水確率
が60%に上がってしまいま
した。明日の午前中は晴れ
の予報でしたので、どうやら低気圧が予想以上
に早く動いているみたいです。」
永嶺:「TVを見てみたら、もう福岡では雨
が降り始めているようですよ。」
高橋:「再び予定を変更して、雨天用のプロ
グラムに変更してみます。」
永嶺:「大丈夫ですか?」
高橋:「とにかく、7時になるのを待って、
講師の先生にもう一度電話してみます。」
この日の講師の前田先生と松村先生に電話を
して予定変更の了解を得た。
8時15分には家族旅行村に到着した。9時受
付にもかかわらず、まだ8時30分という頃から
続々と受講者も集まり始めた。
「昨年は楽しかったわ。今年もお世話になり
ますよ。」昨年参加された女性達が笑顔であら
われた。そんなふうに言ってもらえるのがとて
もうれしい。今年もがんばらなくては。
ところが、雨天用プログラムになったことを
博物館に連絡していなかった。午後の部屋の使
用について秋吉台科学博物館に確認の連絡をい
れた。
高橋:「山口大学の高橋です。公開講座では
お世話になっています。明日お世話になるとこ
ろでしたが、雨天用プログラムになったので今
日の午後になりますが、よろしいでしょうか?」
博物館:「ええっ?!今日ですか?すいません、
本日の午後は別の団体が使う予定になっていま
すが…」
高橋:「でええっ!つ、使えないのですか?」
博物館:「はあ…」
そう言えば、博物館には雨天用プログラムに
ついて説明していなかった。とにかく、今は、
悔いていても始まらない。どうにかしなくては
ならない。
永嶺:「家族旅行村かエコミュージアムでや
らせてもらうしかないですね。」
高橋:「機材が必要ですからエコミュージア
ムにお願いしましょう。」
エコミュージアムに電話して、急遽、講座を
受け入れていただいた。さらに、明日講義予定
の庫本先生、松村先生に本日への変更と講義場
所の変更を伝えなくてはならない。
まずは庫本先生の自宅に電話してみる。お留
守だった。庫本先生の別の仕事場に電話してみ
るが、つかまらない。博物館にもう一度電話し
て、庫本先生が到着されたら予定が変更したこ
とを伝えていただくことにした。そうこうして
いると、スタッフの皆さんが集まってきた。若
干の不安は残したままだが、スタッフの皆さん
の励ましと協力のおかげでなんとか開催に漕ぎ
着けることができた。
9時25分、コーディネーター・高橋の挨拶で
講座の幕が上がり、9時30分、バスがエコミュ
ージアムに向け出発した。受講者の中には2回
目の参加の方もいて、顔見知りを中心に、早く
も盛り上がっていた。これから始まる講座への
期待からか、あちこちでおしゃべりに花が咲い
ている。こうやって受講者の輪ができあがり、
公開講座でもそれなりに同級生というのができ
るようである。
この日は天候の影響もあり、朝から夕方まで
一日中講義になってしまったが、受講者の皆さ
んは居眠りすることもなく熱心に受講してくれ
た。講座を企画した者としてこんなに嬉しいこ
とはない。また、講師の先生方もスタッフも相
次ぐ予定変更を快く受け入れてくれた。講師に
もスタッフにも共通していることは、秋吉台を
−70−
心から愛し、秋吉台の魅力を多くの人に伝えた
いという思いである。
家族旅行村に到着してその日は解散となる。
12名が宿泊のオプションプランを申し込み、夜
の懇親会に参加してくれた。夜7時の開会を待
ちきれずに、スタッフも受講者も皆ログハウス
の一室に集まっていた。12畳ほどの部屋に2つ
のテーブルが斜めに置かれ、20名ほどの参加者
がその中にひしめくようにして座った。
秋吉台ミーティングの阿座上委員長による乾
杯の音頭を皮切りに宴会はスタートした。一同
年齢を感じさせない飲みっぷりで、皆ゆかいに
笑い、語り合い、大いに場は盛り上がった。宴
たけなわで、これも恒例の秋吉台ミーティン
グ・吉屋さんのフォーク演奏が始まった。
吉屋さんは、コンビニのオーナーであるが、
本業は大工であり、もう一つミュージシャンと
いう顔をもつ。ギターの演奏が終わると、少し
ずつ席の移動が始まった。向こう側に座ってい
た女性が、フラフラっと移動して吉屋さんの隣
に座る。今度は反対側の女性がまた、フラフラ
っと立ち上がって私と吉屋さんとの間に入る。
女性受講者:「ちょっとすみません。」
高橋:「いえいえ、どうぞ、どうぞ。」
気づいてみると、吉屋さんの周りをほとんど
の女性受講者が取り囲んでおり、私は押し出さ
れるように、男性スタッフや男性受講者と小さ
な輪をつくっていた。飲み会の場は、吉屋ボス
ザルを取り囲むメスザルたちと、その周りを遠
巻きに眺めるオスの負けザルたちといった、サ
ル山の様相を呈していた。
私が若い頃、中学生・高校生だった頃もそう
だった。ギターを弾ける奴はモテる。そんな奴
をいつも遠くから指をくわえながらうらやまし
そうに眺めていたものだ。ほろ苦い青春の日々
が脳裏によみがえる。
夜も更け、大賑わいのサル山からも一人また
一人とねぐらに帰っていった。気づいてみると、
後に残っているのは、いつまでも上機嫌のボス
ザルとその周りにたむろする若オスの負けザル
だけになっていた。メスザルはもうどこにもい
ない。私もそろそろ寝ないと身がもたない。か
くして、負けザルがまた一頭群れを離脱したの
であった。
〈4月23日 〉
サル山の隣の隣の部屋で目が覚めた。
私は、さっさと朝食を済ませて皆よりも早く
スタッフ部屋に入っていた。9時半になったら、
宿泊組に通い組の受講者が加わる。皆、昨日、
終日講義を聞かされていただけに草原散策を楽
しみにしているに違いない。
さらに、散策の案内役として秋吉台ミーティ
ングの豪華スタッフが集まってくれた。彼らを
活かすも殺すもコーディネーターの私の腕次第
なのかもしれない。
9時半に家族旅行村出発の予定であったが、
8時半頃から早くも受講者の皆さんが集まり始
めていた。皆、この時を待っていたかのように
やる気満々の様子が伺えた。張り切って歩いて
くれるのは結構なことなのだが、このように気
持ちが昂ぶっている時こそ、怪我や事故に気を
つけなければならない。
出発5分前、受講者の皆さんに本日の予定を
伝えた。スタッフもいれて総勢40名近い人が一
緒に行動すること。帰りの時間をきちんと守り
たいこと。お鉢山の頂上までは整然と行動して
ほしいこと。しんがりには、私が鬼の形相で皆
さんを追い立てること。往路で気づいたこと、
ゆっくりと観察したいことなどは、すべて復路
で自由に楽しんでほしいということ、を受講者
の皆さんにお願いした。
皆さん、私の親のような年の方々ばかりであ
る。私のような若造が生意気にも受講者の皆さ
んの行動に注文をつけたわけだが、皆さん、ニ
コニコと私の注文を聞き入れてくださった。こ
ういう心の広さも「年の功」ということなので
あろう。
さて、9時半を待っていよいよお待ちかねの
龍護峰コースの散策である。
心配していたとおり、男性の方が1名、登る
のを苦しそうにされていた。隊列のしんがりは、
阿座上さんと私であった。この二人で励まして
あげても本人にとっては重荷になるだろうと配
慮し、この方には阿座上さんに同行してもらい、
私はその前の後尾についた。私が森を抜けて草
原に出た時には、すでに講師である永嶺さん、
多賀谷さんを受講者の皆さんが大きくとり囲ん
でいて、説明の準備が出来ていた。「もう一人、
少し遅れていらっしゃいますが、もう、始めて
ください。」
やがて、遅れていた男性受講者と阿座上さん
が追いついた。女性受講者の一人が近くに駆け
寄り飲み物を渡していた。ご夫婦お二人で参加
されていたのである。また、奥さんのお仲間も
いっしょに皆さん近寄ってこられた。
−71−
奥さん:「遅かったわねぇ、大丈夫。」
ご主人:「はあ、はあ、はあ、ああ、ちょっ
とえらいかな?」
講師の説明を聞いている間にだいぶ息も整っ
てこられた。十分な休憩をとって再び出発とな
った。ここからは見通しの利く草原を歩くので、
次の目的地の龍護峰がどこにあるかを把握でき
る。精神的には森の中ほどきつくない。ただし、
ここからもまだまだゆるやかなのぼりが続く。
男性受講者は少し歩いては立ち止まり、また少
し歩いては立ち止まっていた。「前を見て歩く
ばかりでなく、ちょっと立ち止まって後ろの景
色も見てみませんか?」 遠慮なくマイペースで
歩いてもらうよう、敢えて立ち止まることを促
してみた。「ああ、きれいだ。」後ろを向くとす
でに展望台まで広がる草原と周辺の山々の景色
が目に飛び込んでくる。遠くまで景色を見通せ
るところが草原歩きの楽しさなのだ。
隊列は、またたく間に縦に長く延びていき、
私たちは最後尾をゆっくりと歩いた。奥さんが
この講座に参加するまでのいきさつをお話しく
ださった。
奥さん:「実は、家の人は、昨年心臓の手術
を受けたんですよ。それまではどこでも元気に
歩いていたんですけどね。手術の後も順調に回
復していったんで、今回、秋吉台を散策しよう
ということにしたんですけど、皆さんにご迷惑
をおかけしたのではないかしら…」
高橋:「迷惑だなんてお考えにならないでく
ださい。いろいろな場合に対応できるように、
私たちスタッフも大勢いるのです。先頭の皆さ
んのことは考えずに、マイペースで行きましょ
う。決して無理はなさらないでくださいね。」
結局、このご夫婦は龍護峰とお鉢山の分岐点
までは辿り着いたが、龍護峰への登山を断念し
た。この場所で皆が龍護峰から帰ってくるのを
待つという。このご夫婦が他の皆さんに迷惑が
かかることを気にされてもいけないと思い、阿
座上さんと私はご夫婦をそこに置いて目的地へ
と向った。まあ、草原の真ん中であるから遠く
にいても二人の姿は確認できるのであるが。
やがて、吉村さんがこの地に伝わる民話など
を語り始めた。私も聞きたいところではあった
が、後に残してきたご夫婦のことが気になる。
一足先に龍護峰を出発してご夫婦のいる場所へ
と戻った。
草原は、うす曇の中、心地よい風が吹き、上
空高くヒバリがさえずっていた。なんともゆっ
たりとした時間と空間が広がっていた。ご夫婦
もしっかり休めたためか、ずいぶんと元気にな
−72−
った。
高橋:「せっかくここまで来たのですから、
せめてお鉢山には登ってみませんか?ここから
あと200メートルのところですから。」
奥さん:「はい、私も主人と同じことを話し
ていたところです。」
わずかに200メートルの距離ではあったが、
お鉢山までゆっくりゆっくりと登った。ご夫婦
は、ご主人が手術される前にここを訪れたこと
があるそうで、思い出話などをしながら散策を
楽しまれていた。
なんとかお鉢山の頂上まで辿り着いてもらえ
た。頂上から眼下に一望できるこの草原の景色
を目に焼き付けてもらうことができた。
お鉢山の頂上で本隊と合流し、永嶺さんをは
じめ、講師やスタッフの皆さんの説明を聞くこ
「和漢食漫談録」その1
コ ー ヒ ー
大学教育センター 助教授
何 暁毅
およそ舶来ものに対し
て、僕はいつも逃げ腰だ。
中国では被差別の農民出
身で身分は低く、教養に
も限度あり、生まれつき
の保守主義、自分のことはイヤなほど自分が分
ともできた。最後に私が
コーディネーターとして
〆の挨拶をした。とにか
く、事故なく皆が無事に
帰り着くことができそう
だ。
帰りは旅行村まで自由
散策の形で山を下りた。
あのご夫婦も順調に降り
て行かれた。皆さん散策
を十分に堪能されたであ
ろうか?しんがりの私た
ちがいよいよゴールイン
しようという段になり、
クローバーの生えている
旅行村ラウンジの前まで辿り着いた。講師の多
賀谷さんがいち早く四つ葉のクローバーを見つ
けて最後に歩いていた私たちに教えてくれた。
「こうして一つ見つかると、その周りにも四つ
葉があるものなんですよ。」
女性受講者の一人がやはり四つ葉のクローバ
ーを見つけて、手折って私のポケットに挿して
くれた。
女性受講者:「高橋先生、ほんとうにお世話
になりました。先生に幸運が来ますように…」
高橋:「あ、ありがとうございます。」
私が頬をほんのりとピンク色に染めてしまっ
たのを、気づかれてしまっただろうか?
コーディネーターはたしかにたいへんだった
かもしれない。でも、努力はいろんな形で報わ
れるのである。
かっている。こと味になると、最も頑固だ。し
かしこんな年になって、南に北に、中国に日本
に、いろいろなところでいろいろな人と会った
し、いろいろなものをも見てきた。そしていろ
いろなことをイヤでも経験しなければならなか
ったし、いろいろなものを嫌いでも食べなけれ
ばならなかった。
それは二十年以上前の、大学二年の時、ある
日同級生数人と一緒に王府井(当時北京随一の
繁華街)に遊びに行ったときのこと。ぶらぶら
歩いて、疲れたので、「東風市場」という大き
な店の北口の喫茶店に入って休むことにした。
一緒に行った同級生の中に北京出身の女友達二
−73−
人が居る。彼女たちは壁に貼られたメニューを
見て、それぞれコーヒーを注文した。本当の話、
僕はそれまでコーヒーというものを本で読んだ
こと以外、何も知らなかった。飲むのはもちろ
んのこと、見たこともなかった。しかし平凡な
僕、大物のように知らないなら知らないと言う
偉い行動ができなかった。彼女たちに笑われな
いために格好つけのつもりもあったし、好奇心
もあったので、同じコーヒーを注文した。
やがてコーヒーが持ってこられた。しかしそ
れを見た途端、僕は気を失いそうになった――
漢方薬の煮汁ではないか?!これは飲み物かよっ
て感じ。でもここで挫いたら笑われると思い、
密かに彼女たちをまねして、その黒い水に砂糖
を入れ、スプーンで混ぜた。それからおそるお
そる一口を飲んでみた。ゲッ、マズッ!普通な
らここで「まずい」と叫び、吹き出すかも知れ
ないが、一応僕も大学生だし、教養もある人間
だから(疑問!)、顔色一つ変えずに、コップ
を机に静かに置き、みんなとそのまま談笑を続
けた。
談笑はいいが、このコーヒーは相変わらず飲
めないのが問題だ。僕は小さいとき病気になっ
たら母にいつもとても苦い漢方薬の煮汁を飲ま
された。漢方薬の黒い煮汁はそれまで僕の知る
限りで最も苦いものであった。しかしこいつは
それ以上ではないか。みんな良も平気に飲んで
いるな――そう思いながら、もう一つ砂糖を入
れて混ぜ、それから唇で舐めてみた。まだ苦い。
どうせ砂糖はただだから、それから入れて、舐
める、入れて、舐めるの連続であった。さすが
に隣の人に不審に思われた、「大丈夫?砂糖入
れ過ぎじゃない?」僕はそのまま砂糖を入れな
がら「大丈夫。甘いのが好きだから」
と答えるのに精一杯だった。結果は
ご想像の通り、トロリとした得体の
知らない黒い液体は、依然として苦
く、しかも頭が痛くなるほど甘くな
ってしまった。勿論とても人が飲め
る代物ではない。結局僕はそのまま
残し、逃げるように店を後にした。
その後、僕は西安のある大学で教
鞭をとることになった。そこに伊藤
さんという一人の日本人留学生がい
た。彼は東京の大学を7年かけてよ
うやく卒業し、その学業のレベルは
よく分からないが、コーヒーに関し
ては造詣は深かった。彼は他の飲み物は口に入
れず、専らコーヒー専門だ。一日四十六時間、
一年三百六十五日、いつでもどこでもコーヒー
を飲む。ある日僕は思わず「おまえこんなにコ
ーヒーを飲んだら、内臓まで黒くなっているじ
ゃないか」とからかった。しかし彼はにやりと
笑い、「内臓だけじゃないよ、心まで黒くなっ
ているよ」と返してきた。まったく。
ところで、家内は一応中国の都会出身で、新
しいものに対して受け入れはわりと早い。案の
定、日本に来て間もなく、彼女はコーヒーを飲
む「悪習」を身に付けてしまった。伊藤さんほ
どではないが、それでも毎日飲まないと気が済
まないみたいだ。毎晩皿洗い、洗濯など家事を
済ませ、子供を寝かせてから自分で熱々のコー
ヒーを作り、テレビを見ながら、ゆっくり飲む
のが彼女の何よりの楽しみだ。僕はというと、
お茶で「茶を濁す」しかない。
たくさんの外国のものは時間の経つにつれ、
多く触れるうちになれてしまい、嫌いでなくな
る。しかしコーヒーに関しては未だに苦手だ。
僕はいつも分からない、何で人々は病気でもな
いのに毎日お金を出して薬みたいな苦くて黒い
水をのむか、と。
ある日、僕はテレビを見ながら悠然とコーヒー
を味わっている家内に「コーヒーを飲むことは
一種の自虐行為ではないか」と聞いた。そうす
ると彼女はジロリと僕を見て「田舎もののおま
えに何が分かるの」と鼻から笑い、手に持った
コーヒーをまたおいしそうに一口飲んだ。
やれやれ、保守的な田舎出身の僕はやはりコー
ヒーのことは分かるはずがないから、大人しく
お茶を楽むしかないね。
北京にある中国風の建物スターバックスコーヒー
−74−
大学教育センター活動日誌
4月
11日
大学教育機構センター長連絡会議
25日
大学教育機構運営委員会
26日
教務委員会
26日
FD委員会
5月
1日
共通教育実施部会
24日
教務委員会
24日
FD委員会
30日
大学教育機構大学教育職員会議
30日
大学教育機構運営委員会
6月
13日
教育改善推進会議
27日
大学教育機構大学教育職員会議
27日
大学教育機構運営委員会
28日
教務委員会
7月
3日
外国語センター会議
3日
大学教育機構センター長連絡会議
10日
共通教育実施部会
18日
大学教育機構大学教育職員会議
18日
大学教育機構運営委員会
26日
教務委員会
26日
FD委員会
8月
31日
大学教育機構連絡会議
(大学教育機構センター長連絡会議から名称変更)
9月
19日
大学教育機構大学教育職員会議
19日
大学教育機構運営委員会
27日
教務委員会
27日
FD委員会
−75−
アドミッションセンター活動日誌
4月
20日
AO入試委員会(平成18年度第1回)
26日
入試委員会(平成18年度第1回)
5月
16日
AO入試委員会(平成18年度第2回)
19日
山口県地区大学入試センター試験利用大学入試担当課長会議
24日
入試委員会(平成18年度第2回)
31日
全国大学入学者選抜研究連絡協議会第1回大会(静岡)(∼6月2日)
6月
10日
キャンパスイノベーションセンター入居大学合同説明会(東京)
26日
平成19年度AO入試学生募集要項公表
28日
入試委員会(平成18年度第3回)
7月
6日
平成19年度入学者選抜要項公表
7日
山口大学公開説明会(高校教諭対象)
13日
AO入試委員会(平成18年度第3回)
22日
4大学九州地区合同入試説明会(福岡)(神戸大学・山口大学・岡山大学・烏取大学)
26日
入試委員会(平成18年度第4回)
28日
中国地区国立大学入試説明会(大阪)
8月
7日
山口大学公開説明会(高校生対象:経済学部・理学部・医学部)
8日
山口大学公開説明会(高校生対象:教育学部・工学部・農学部)
9日
山口大学公開説明会(高校生対象:人文学部・工学部)
21日
平成19年度AO入試出願受付(∼25日)
24日
平成19年度大学入試センター試験入試担当者連絡協議会(第1回:高知)
29日
平成19年度AO入試第1次選抜(書類選考)
(∼9月8日)
9月
1日
平成19年度推薦入学・帰国子女特別選抜・社会人特別選抜・私費外国人留学生
選抜学生募集要項公表
8日
AO入試委員会(平成18年度第4回)
15日
平成19年度AO入試第1次選抜結果発表
21日
入試委員会(平成18年度第5回)
25日
平成19年度AO入試第2次選抜(面接試験・講義等理解力試験)
(∼29日)
10月
4日
平成18年度山口県高等学校長協会との入試関係等連絡会
12日
AO入試委員会(平成18年度第5回)
25日
平成19年度AO入試第2次選抜合格発表
25日
入試委員会(平成18年度第6回)
−76−
国際センター活動日誌
4月
10日
22日
24日
26日
大学院予備教育開講式
新留学生研修会(∼4/23、国立山口徳地青少年自然の家)
海外短期語学研修全体説明会(山口・共通教育棟)
海外短期語学研修全体説明会(宇部・国際センター)
5月
10日
30日
国際交流委員会
外国人留学生に係る入国・在留等手続研修会(広島市留学生会館)
6月
7日
8日
28日
国際交流委員会
平成18年度留学生交流研究協議会(∼6/9、東京・国立オリンピック記念青少年総
合センター)
平成18年度全国国立大学留学生センタ−長及び留学生課長等合同会議(東京ガーデン
パレス)
7月
2日
4日
5日
9日
10日
16日
21日
22日
28日
30日
外国人学生のための進学説明会(東京・サンシャインシティ文化会館)
国立大学法人留学生指導担当研究協議会(東京・東京大学)
国際交流委員会
山東大学International Summer School(∼8/4)(中国・山東大学)
韓国外国語大学校International Summer Session(∼8/11)(韓国・韓国外国語大学校)
外国人学生のための進学説明会(大阪・グランキューブ大阪)
山口大学日中学術交流奨励会理事会・総会(山口・ホテルニュータナカ)
日韓共同理工系学部留学生事業協議会(石川・金沢KKR)
日本留学フェア(台湾・高雄)
日本留学フェア(台湾・台北)
8月
3日
5日
7日
10日
19日
中興大学Chinese Culture and Language Program(∼8/16)(台湾・中興大学)
リジャイナ大学短期語学研修(∼9/5)(カナダ・リジャイナ大学)
仁荷大学校短期語学研修(∼8/19)(韓国・仁荷大学校)
山東大学短期語学研修(∼9/1)(中国・山東大学)
ニューカッスル大学短期語学研修(∼9/19)
(オーストラリア・ニューカッスル大学)
9月
6日
11日
13日
19日
19日
22日
23日
28日
国際交流委員会
日韓プログラム留学推進フェア(合同説明会)(韓国・大韓民国教育人的資源部国際教
育振興院)
公州大学校短期学生交流プログラム(∼9/19)(韓国・公州大学校)
ニューカッスル大学短期語学研修(8/19∼9/19)(オーストラリア・ニューカッス
ル大学)
JICA獣医技術研修員の視察研修訪問団の来学
外国人留学生企業見学会(宇部・宇部蒲鉾㈱、山口・積水ハウス㈱山口工場)
留学生交流セミナーin Totori(∼9/24)(鳥取・鳥取環境大学、鳥取・ホテル砂丘セ
ンタ−)
大学院予備教育修了式
−77−
学生支援センター活動日誌
4月
4日
入学式
8日
新入生歓迎フェスティバル ’06
12日
学内企業説明会①「日通商事株式会社」
13日
YYジョブサロン関連行事「4月ミニセミナー①面接対策」
18日
YYジョブサロン関連行事「4月ミニセミナー②グループディスカッション」
19日
山口大学就職説明会「警視庁警察官等採用説明会」
20日
YYジョブサロン関連行事「4月ミニセミナー③履歴書・エントリーシート」
21日
YYジョブサロン関連行事「就職活動応援・面接対策セミナー(工学部)
」
24日
山口大学就職説明会「公務員ガイダンス・学内講座説明会」
25日
YYジョブサロン関連行事「4月ミニセミナー④面接対策」
26日
山口大学就職説明会「教員採用試験ガイダンス」
27日
学生委員会
28日
YYジョブサロン関連行事「就職活動応援・面接対策セミナー(工学部)
」
5月
8日
公務員試験対策講座受講相談会(16日まで)
9日
YYジョブサロン関連行事「5月ミニセミナー①面接対策」
10日
山口大学就職説明会「公務員ガイダンス・学内講座説明会」
10日
日経ナビ説明会・登録会
11日
YYジョブサロン関連行事「5月ミニセミナー②就活リスタート」
16日
YYジョブサロン関連行事「5月ミニセミナー③履歴書・エントリーシート」
17日
山口大学就職説明会「福岡県警察官第2回採用試験(男性・女性)説明会」
17日
就職活動交流会2006 Summer実行委員募集説明会
17日
人文学部主催行事「就職活動再構築セミナー」(学生支援センター協力)
18日
YYジョブサロン関連行事「5月ミニセミナー④面接対策」
19日
就職活動交流会2006 Summer実行委員募集説明会
22日
学内企業説明会②「三菱電機住環境システムズ株式会社」
23日
YYジョブサロン関連行事「5月面接練習会①」
25日
学生委員会
25日
YYジョブサロン関連行事「5月面接練習会②」
30日
YYジョブサロン関連行事「5月面接練習会③」
31日
毎日就職ナビ登録説明会「いまからはじめる就職活動準備」
6月
1日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会①」
2日
キャリアデザイン委員会
6日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会②」
8日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会③」
9日
学内企業説明会③「JFEシステムズ株式会社」
9日
学内企業説明会④「株式会社富士通ソーシャルサイエンスラボラトリ」
13日
毎日就職ナビ登録説明会「理系大学院生対象就職ナビ活用法」
13日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会④」
14日
毎日就職ナビ登録説明会「3年生対象就職ナビ活用法」
−78−
15日
学内企業説明会⑤「山口日産自動車株式会社」
15日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会⑤」
16日
学内企業説明会⑥「日本通運株式会社」
16日
体育会および文化会の合宿研修C. M .C. (18日まで)
20日
学内企業説明会⑦「読売新聞西部本社株式会社」
22日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会⑥」
24日
第57回中国五大学学生競技大会・水泳競技(25日まで)
26日
学内企業説明会⑧「バンドー化学株式会社」
27日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会⑦」
28日
適職診断R-CAP学内団体受検会
29日
学生委員会
29日
YYジョブサロン関連行事「6月面接練習会⑧」
7月
1日
七夕祭
1日
適職診断&クイズ大会
4日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会①」
6日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会②」
8日
就職活動交流会2006 Summer
11日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会③」
13日
学内企業説明会⑨「Total Life Creation Group」
13日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会④」
15日
適職診断R-CAP結果配布・解説会①
18日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会⑤」
19日
適職診断R-CAP結果配布・解説会②
19日
学内企業説明会⑩「明星工業株式会社」
20日
学内企業説明会⑪「株式会社ボゾリサーチセンター」
20日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会⑥」
25日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会⑦」
27日
学生委員会
27日
YYジョブサロン関連行事「7月面接練習会⑧」
28日
理学部主催行事「就職支援セミナー」(学生支援センター協力)
8月
1日
人文学部主催行事「就職活動リスタートセミナー」(学生支援センター協力)
4日
人文学部主催行事「就活入門講座」(学生支援センター協力)
4日
農学部主催行事「就職支援セミナー」(学生支援センター協力)
22日
YYジョブサロン関連行事「8月面接練習会①」
25日
YYジョブサロン関連行事「8月面接練習会②」
29日
YYジョブサロン関連行事「8月面接練習会③」
−79−
保健管理センター活動日誌
4月
3日 ∼10日
新入生健康診断・入学時健康調査
5日
新入生オリエンテーション(経済学部)講演
12日 ∼20日
学生定期健康診断(吉田地区)
13日
学生特別健康診断(空手道部)
20日 ・25日
放射線電離健康診断(小串地区/採血)
21日
センター会議
26日 ∼28日
学生定期健康診断(常盤地区)
※新入生・在学生健康診断再検査(随時)
5月
2日
8日
22日
24日
25日
健康診断証明書受付・発行開始
学生特別健康診断(空手道部)
∼23日
学生定期健康診断(小串地区)
七夕祭食中毒予防講話
学生特別健康診断(柔道部)
結核に関する説明会(管弦楽部)
26日
センター会議
※新入生・在学生健康診断再検査(随時)
※保健管理センター便り(5月号)発行
6月
13日
学生特別健康診断(空手道部)
23日
センター会議
27日
学生特別健康診断(教育学部保健体育)
※新入生・在学生健康診断再検査(随時)
7月
3日 ・5日 ・7日
電離放射線健康診断・特殊健康診断(小串地区/採血)
6日 ∼7日
電離放射線健康診断・特殊健康診断(常盤地区/採血)
10日 ∼11日
電離放射線健康診断・特殊健康診断(山口地区/採血)
19日
学生特別健康診断(教育学部保健体育)
21日
センター会議
25日 ∼26日
職員定期健康診断(山口地区/附属小・中・幼)
※保健管理センター便り(7月号)発行
8月
1日
2日
7日
22日
23日
28日
9月
1日
2日
9日
∼2日
・7日
・29日
∼25日
∼3日
∼10日
学生特別健康診断(サイクリング部)
学生特別健康診断(ハンドボール部)
学生特別健康診断(ワンダーフォーゲル部)
学生特別健康診断(空手道部)
中・四国大学保健管理研究集会参加(徳島)
救急処置に関する講習会(教育学部)
センター会議
中国五大学学生競技大会(夏季大会)救護
中国五大学学生競技大会(夏季大会)救護
−80−
エクステンションセンター活動日誌
4月
11日
11日
12日
13日
14日
14日
17日
17日
18日
22日
25日
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼
∼23日
5月
13日
∼
13日
∼
15日
20日 ∼
25日
26日
27日 ∼
31日 ∼
6月
7日
7日
10日
10日
28日
30日
∼
7月
3日
21日
8月
1日
2日
4日
7日
11日
25日
28日
9月
4日
30日
開放授業「国語科教育法Ⅰ」
(前期)
開放授業「国文学概論」 (前期)
やまぐち街なか大学実行委員会
開放授業「生命倫理学」 (前期)
開放授業「日本財政論」 (前期)
開放授業「国際協力論」 (前期)
開放授業「日本語の方言」 (前期)
開放授業「基礎園芸学」 (前期)
第1回エクステンション委員会
公開講座「歩いて、学んで、理解する。カタログにない秋吉台」
防府市連携連絡会議(18年度第1回)
やまぐちサタデーカレッジ「外国語学習コース(英語)『英詩のこころ』」
(7月1日まで)
やまぐちサタデーカレッジ「現代文化コース『アメリカ小説を英語で読む』」
(7月8日まで)
やまぐち食と緑の県民フォーラム実行委員会
公開講座「『おくのほそ道』を読む」(7月29日まで)
第2回エクステンション委員会
防府市連携連絡会議(18年度第2回)
公開講座「健康づくりのための運動指導講座」(2007年1月13日まで)
公開講座「小麦栽培から始めるパンづくり」(11月8日まで)
エクステンションだより(メールマガジン)第10号発行
シニアアクティブ推進会議
公開講座「病気とつきあいながらいきいきと生きるために」
公開講座「電波で見た宇宙」(7月8日まで)
公開講座「プロの技術で挑む!小麦栽培から始める地産地消のパンづくり」
防府市連携連絡会議(18年度第3回)
第3回エクステンション委員会
やまぐち街なか大学実行委員会
∼4日
∼
∼8日
∼13日
∼27日
∼
∼
防府市連携連絡会議(18年度第4回)
公開講座「小・中学校教員のための英語・国際理解指導者研修会」
高大連携特別講義「ハローサイエンス」(8月30日まで)
公開講座「理科実験講座」
公開講座「木工入門」
公開講座「木工入門」
シニアサマーカレッジ(9月8日まで)
防府市連携連絡会議(18年度第5回)
公開講座「農山漁村での安らかな暮らしを願って、柿本人麻呂を祀る」
(10月1日まで)
−81−
「大学教育」第4号原稿募集のお知らせ
平素は大学教育機構編集委員会への格別のご高配を賜り、厚くお礼申し
上げます。
早速ですが、
「大学教育」第4号の原稿を募集したく、お知らせ申し上げ
ます。ぜひ原稿を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
募集内容:論文、実践報告、業務報告(レポート)など。(詳しくは下の
「投稿規定」をご覧ください)
締 切:2006年12月末
発 刊 日:2007年3月下旬
お問い合せ・原稿宛先:「大学教育」編集委員会 何 暁毅
内線 5065
[email protected]
学務課総務係 片山
内線 5060
[email protected]
付:『大学教育』投稿規定
・本誌は、大学教育改善の立場で高等教育への理論的あるいは実践的にア
プローチすることを目的とした山口大学大学教育機構の紀要である。
・本誌は、大学教育に関連する論文、および大学教育機構を構成する各セ
ンターの業務報告、資料、その他で構成する。
・投稿者は、山口大学大学教育機構に所属する者、および編集委員会が認
めた者とする。
・投稿原稿の採否および掲載の順序等は編集委員会が審査の上、決定する。
査読の結果、原稿の内容や形式について修正を要求することがある。
・原則として、論文は400字詰め原稿用紙100枚まで、論文以外は50枚まで
とする。これを超える場合は、編集委員会が分割掲載や削減を要求する
ことがある。
・論文は、本文の前に200字程度の要旨、およびキーワード5個程度を付し
て提出する。なお、脚注は文末脚注とする。
・投稿原稿は、原則として電子ファイルで提出し、邦文タイトルのほか英
文タイトルを提出する。
・著者校正は原則として2校までとする。
・原稿執筆者には、「紀要」5冊、抜き刷り30部を無料贈呈する。それ以上
必要な場合は執筆者の実費負担となる。
・本誌に掲載された論文は、HPなど関連電子媒体に公開することを著者が
同意したものと見なす。
・上記以外の事項は必要に応じて執筆者と相談の上、編集委員会が適宜に
処理する。
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−82−
「大学教育機構だより」編集委員会
委員長 何 暁毅 (大学教育センター 助教授)
委 員 林 寛子 (アドミッションセンター 講師)
〃 杉原 道子 (国際センター 講師)
〃 辻 多聞 (学生支援センター 講師)
〃 梅本 智子 (保健管理センター 保健師)
〃 辰己佳寿子 (エクステンションセンター 講師)
各センターお問い合せ先
大学教育センター:学務部学務課総務係
TEL:083-933-5060 FAX:083-933-5154
E-mail:[email protected]
アドミッションセンター:入試課
TEL:083-933-5168 FAX:083-933-5041
E-mail:[email protected]
国際センター:国際課
TEL:083-933-5982
FAX:083-933-5988
E-mail: [email protected]
学生支援センター:学生支援課
TEL:083-933-5074 FAX:083-933-5040
E-mail: [email protected]
保健管理センター:
TEL:083-933-5160 FAX:083-933-5163
E-mail: [email protected]
エクステンションセンター:学務部学務課総務係
TEL:083-933-5059 FAX:083-933-5154
E-mail: [email protected]
大学教育機構だより 第7号
2006(平成18)年10月発行
編 集:「大学教育機構だより」編集委員会
発 行:山口大学大学教育機構
お問い合せ:学務部学務課総務係
住 所:〒753_8511 山口市吉田1677_1
電 話:083_933_5060
F A X:083_933_5154
E - m a i l:[email protected]
U R L:http://www.oue.yamaguchi-u.ac.jp
大学教育機構だより 第7号
編 集:「大学教育機構だより」編集委員会
発 行:山口大学大学教育機構
お問い合せ:学務部学務課総務係
住 所:〒753_8511 山口市吉田1677_1
2006
(平成18)
年10月
電 話:083_933_5060
F A X:083_933_5154
E - m a i l:[email protected]
U R L:http://www.oue.yamaguchi-u.ac.jp
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