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バルト海世界の自然

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バルト海世界の自然
2016/5/16
バルト海世界の自然
人間生活を規定する環境
バルト海域における自然環境
• 世界最大の汽水性の海
• 北:スウェーデン、フィンランド
• 東:ロシア、エストニア、ラトビア
、リトアニア
• 南:ポーランド
• 西:ドイツ、デンマーク
• 5つの海域〜バルト海本域、
ボスニア湾、フィンランド湾
、リガ湾、カテガット海域
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生息環境の多様性
•
フィンランド、スウェーデン沿岸部…数万におよぶ小島と
岩礁
•
カテガット海域、バルト海本域南岸…砂地と海草場
•
バルト海南東部…砂丘と潟湖
•
ボスニア湾北岸…広大な森林地帯
バルト海世界の気候
•
バルト海世界南部…温暖で湿潤な気候
• eg. 平均気温7.2℃
•
バルト海北部…北極圏に近い寒冷な気候
• eg. 平均気温0.3℃
•
冬季よりも夏季に多い雨
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バルト海という内海の海況
• 水深250〜460メートルほどの
複数の海盆から構成→海盆は
隔てられ海水交換が限られる
• 限られる大西洋との海水交換
→緩慢な海水流入
• 200を越える河川からの淡水
流入→世界最大の汽水性の海
バルト海という内海の海況
•
淡水と海水の混合が少ない→富栄養化や嫌気状態の頻発
•
塩分濃度の勾配という特色…西が高く、北・東は低い
•
貧しい生物多様性
• 若い汽水性の海
• 海中の低い酸素レベル
• 冷たい水温、塩分濃度の違いんも大きさ
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バルト海の生物多様性
• 大型海洋生物は塩分低下
に応じて減少
• 塩分高い開放性水域(カ
テガット海域など)にニ
シン、タラなどの魚類
• 汽水域では淡水魚・海水
魚が混在、海産ほ乳類も
バルト海世界に生きる
• バルト海集水域の人口(現在
で約1500万人)
•
•
人口密集地域…デンマーク、ド
イツ、ポーランドなどの海岸部
人口密度の低い地域…スウェーデ
ン、フィンランド
•
バルト海集水域の土地利用
• 森林48%、農地20%、非生産農地11%
、牧草地6%、湖沼6%、市街地1%
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バルト海世界に生きる
•
伝統的産業…バルト海南部・東部・西部における農業、バルト海
沿岸部における漁業・養殖業
•
新たな産業…石油生産業、観光業
•
全バルト海域における海運業
•
有史以来、海上経由の貨物輸送の発達
•
現在ではフェリー、タンカー(化学物質・石炭・石油など)など大型船舶の
往来
• ヴァイキング→ハンザ同盟→各王国の商人など
•
富栄養化、有害物質・石油などによる汚染の可能性
陸のバルト海世界と海のバルト海世界
•
陸から見たバルト海世界の生活環境
•
•
•
海から見たバルト海世界の生活環境
•
•
•
森林に閉ざされた丘陵と湖沼の多い北部・東部
森林世界を基盤とした生活環境
モレーン堆積による肥沃な南部
農耕経営を基盤とした生活環境
海上交易と港湾都市
•
•
•
貧相な生物多様性ゆえの漁業資源の限界
比較的穏やかな海況
交易路としてのバルト海の意義と港湾都市の発展
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バルト海世界の文化と社会
バルト海に生きる人間集団
スエビの海〜ゲルマーニアの世界
•
タキトゥス『ゲルマーニア』の叙述
•
スエビ族…ゲルマン民族の一派(ケルト族の一派との説も)
→北ドイツは10世紀にキリスト教化
•
古ゲルマン社会…バルト海沿岸に居住する部族社会
• 牧畜・狩猟・農耕(燕麦・大麦・蕪など)を生業とする定住生活
• 部族集団(キヴィタス)を構成:王・戦士・自由民・奴隷
• 民会の存在:戦士・自由民の成人男子による合議
• 従士制:戦士(貴族)が自由民の子弟を従える
• ゲルマン的多神教→後の北欧神話への継続
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ヴァリャーグの海〜ヴァイキングの世界
• ノルマン人…バルト海沿岸・スカンディナヴィア半島に居住
したゲルマン部族の一派
• 8〜11世紀にかけてバルト海・北海から地中海・黒海にかけて
の範囲で遠洋航海
• ヴァイキング社会…古ゲルマン社会の継続
• 狩猟・牧畜・漁労・農業・商業 などを 混在 させた 生業
• 職業に対応した身分分化の不進 行…自 由民 の存在
• ゲルマン的多神崇拝の継続→北 欧神話 へ
バルト海東岸〜諸部族の織りなすモザイク
•
フィン・ウゴル系民族…ウラル山脈からイングリアにかけてス
ラヴ系民族が拡充する前の原住民→フィンランド・エストニア
・ラトヴィアの一部へ移住
•
バルト系民族…ヴィスワ川からドニエプル川までバルト海南東
岸に居住する民族→湖沼で囲まれた地域…独自の言語(リトア
ニア語・ラトヴィア語などのバルト諸語)・宗教(リトアニア
の自然崇拝など)を保持
•
スラヴ系民族…カルパチア山脈周辺の原住民→6〜7世紀以降、
生活圏を拡散して現地人とゆるやかに同化
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バルト海世界のヨーロッパ化
〜キリスト教世界の拡散
• ノルマン人のキリスト教化…10世紀以降、デンマーク、スウェーデ
ンなどのキリスト教王国の成立
• ドイツ人の東方植民…12〜14世紀、ドイツの辺境伯・騎士団・修道
会に主導されたバルト海南岸への植民活動、モンゴルの侵略以降の
復興とも関係
• 北方十字軍…デンマーク、スウェーデン、リヴォニア帯剣騎士団、
ドイツ騎士団によるバルト海東岸部族のキリスト教改宗を目的とし
た軍事遠征
• キリスト教文化・ゲルマン 由来 の政治 社会 制度 の拡 散
• ゲルマン系とスラブ系(な らび にスラ ブ系 に同 化し たバル ト系 )の 対立の 起源
バルト海世界における政治社会
〜北方ゲルマン世界の構成
•
デンマーク、スウェーデン…フィンランドも含む
•
北ドイツ…神聖ローマ帝国のなかで政治秩序は分立、都市はハン
ザ同盟を結成
•
エストラント、リヴォニア、クールラント…ドイツ系住民が入植
し、原住民支配→ドイツ騎士団領、都市の一部はハンザ同盟に参
加
•
リトアニア…例外的にゲルマン系とは一線を画す→ドイツ騎士団
と反発するポーランドとの連合
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バルト海世界の政治社会の変動
〜バルト海を巡る覇権抗争の余波
•
デンマーク・スウェーデン、プロイセン(かつてのドイツ
騎士団領の継続)によるゲルマン系の政治秩序の継続
•
ポーランド・リトアニア共和国、ロシア(かつてのモスク
ワ大公国)によるスラヴ系の政治秩序の勃興
•
大北方戦争(18世紀初頭)以降のロシア帝国によるバル
ト海東岸支配→プロイセンとロシアによるポーランド分割
(18世紀末)…北欧・ドイツ・ロシアの鼎立するバルト
海世界
バルト海世界に生きる人間集団
•
キリスト教到来以前からのゲルマン系の文化的・社会的要
素の継続
•
リトアニアをはじめとする独特なバルト系の言語的・宗教
的要素の継続(→ゲルマン系・スラヴ系との同化)
•
長期に渡るドイツ系の政治的・経済的な主導的役割
•
ゲルマン系の政治・社会的基盤の上に、新たな政治秩序と
してバルト海東岸を覆ったスラヴ系の存在
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