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『未来を育み ・豊かさを求め・ 活気あふれる里づくり』
みやぎの活き活き地域づくり支援事業∼ は く ぐ く は ぐ 『 未 来 を 育み ・ 豊 か さ を 求 め ・ 活 気 あ ふ れ る 里 づ く り』 多賀城市農村活性化ビジョン ∼はじめに∼ 多賀城市は、昭和46年11月、県下9番目の市として市制を施行しました。 当時の人口は、37,758人、農業では、水田面積約606ha、農家戸数671戸となっ おり、水稲栽培を中心として農業生産が盛んな地域でありました。 それから40年近く経過した現在では、人口61,978人(平成25年2月末現在)、水田面 積約309ha(市街化区域田を含む)、農家戸数334戸となり、面積、戸数とも半減していま す。 残された農地のうち、農業振興地域約300haについて、市街地に囲まれた決して良好 み ど り とは言えない環境の中で地域住民と協調し、農業農村の情景や水土里の環境を守り、そ の一方では大消費地仙台市に隣接した利点を生かし、先の東日本大震災からの復興と 向き合いながら、今後とも先祖代々受け継がれてきた農地を守るため、都市近郊農業と その発展に取り組まなければなりません。 そのために、将来にわたり安定した持続可能な農業経営の振興を図るためには、生産 基盤を強化・整備するとともに、農地の集積を進め、担い手の育成と新たな組織体制づく りを重要課題と位置づけ、『未来を育み・豊かさを求め・活気あふれる里づくり』を考える 活力と魅力ある地域づくりを目指して行きたいと考えています。 今回、市内の農業者及び入作者の方などの協力を得て、多賀城市農業復興委員会で 作成した、この活性化ビジョンが今後の多賀城市農業の発展に役立つことを心より願っ ております。 おわりに、本事業への取り組みに際し、ご指導及びご支援をいただきました関係者及 び関係団体の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、ほ場整備事業の推進に向け、より 一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。 平成25年3月 多賀城市農業復興委員会 会長 伊藤 政幸 -1- 目 次 はじめに…………………………………………………………………………………1 目 次…………………………………………………………………………………2 1 多賀城市農業活性化計画基本方針 …………………………………………………4 (1) 活性化ビジョン策定の目的と位置づけ ……………………………………………4 (2) 基本的な展開方針 …………………………………………………………………4 (3) 推進体制 ……………………………………………………………………………5 2 多賀城市農業の現状 …………………………………………………………………6 (1) 多賀城市農業の概要 ………………………………………………………………6 ① 地域の立地 ……………………………………………………………………6 ② 人口・就業人口 ………………………………………………………………6 ③ 主な土地利用 …………………………………………………………………7 ④ 歴史 ……………………………………………………………………………7 ⑤ 地域社会 ………………………………………………………………………9 (2) 多賀城市農業の現状と課題………………………………………………………10 ① 農業基盤 ……………………………………………………………………10 ② 営農……………………………………………………………………………11 ③ 生活・自然環境 ………………………………………………………………11 ④ 歴史・文化 ……………………………………………………………………12 ⑤ 交流・福祉 ……………………………………………………………………12 3 多賀城市農村の活性化目標…………………………………………………………13 (1) 地域営農システム構想……………………………………………………………13 ① ほ場整備事業の導入…………………………………………………………13 ② 農業の効率化と合理化………………………………………………………13 ③ 多様な営農体系の構築………………………………………………………13 ④ 関連農業施設、生産施設の整備・導入計画の策定…………………………14 (2) 地域農地マネジメント構想…………………………………………………………14 ① 農地の受委託促進……………………………………………………………14 ② 農地の高度利用………………………………………………………………14 ③ 農地所有者と耕作者の相互連携……………………………………………14 -2- (3) 農村環境保全構想…………………………………………………………………15 ① 自然環境の再生………………………………………………………………15 ② 水田と農業水利施設の利活用………………………………………………15 ③ 市街地周辺の環境保全………………………………………………………16 ④ 環境教育の推進………………………………………………………………16 ⑤ 地域性を活かした特色ある農村集落の創造…………………………………16 4 農村活性化の実行計画………………………………………………………………17 (1) 地域住民による活性化……………………………………………………………17 (2) 短期・中期的な取組事項 …………………………………………………………17 (3) 取組事項の目的、方針・具体的な活動内容………………………………………18 (4) 実現に向けた支援事業……………………………………………………………19 5-1 多賀城地区土地利用計画図………………………………………………………20 5-2 多賀城地区農村活性化構想図……………………………………………………21 〈参 考 資 料〉 6 これまでの活動状況 …………………………………………………………………22 (1) 多賀城市農業復興委員会…………………………………………………………22 (2) 専門部会の活動状況………………………………………………………………28 7 アンケート調査の結果 ………………………………………………………………29 8 多賀城市農業のデータ………………………………………………………………30 -3- 1. 多賀城市農業活性化基本方針 (1)活性化ビジョン策定の目的と位置づけ 未曾有の被害をもたらした東 日本大震災を契機に被災地であ る本市住民の誰もが震災前と変 わりなく、今までどおりに暮らせる ようにこれからの生活設計を考え る必要性が生じています。 また、農業者においても同様に 本市の今後の農業のあり方と真 剣に向き合い農業経営の継続を 考える転機を迎えています。 そのために活性化ビジョンの策定にあたっては、本市農業の復興と本市の特徴を 生かした魅力的で活力のある快適な農村農業の実現を図るため、地域住民及び農 業関係団体等の幅広い参画を得て多賀城市農業復興委員会を設立し、ワークショッ プ等の手法を活用しながら、本市農業の現状を見つめ直し、課題を整理し、その解 決策の検討と目標を設定し、将来の本市農業の理想的な姿を構想・ビジョン化する ことを目的としました。 また、以上の取り組みを明らかにするため、地域営農システム構想、地域農地マ ネジメント構想、農村環境保全構想を内容とする「多賀城市農村活性化ビジョン」を 策定しました。 この活性化ビジョンは、多賀城市内の農業振興地域が、今後10年間に目指す 「将来像」とそこに到達するための取り組みをまとめたものです。 (2)基本的な展開方針 活力のある地域を作り出すために、「営農」「土地利用」「農村環境」の個別目標を 設定し、その調和と活性化に向けた活動を地域ぐるみで積極的に展開していきま す。 「営農」:産業として魅力ある農業の確立 農業生産性の向上と収益性の高い農業経営及び6次産業化などにより、高生産 性農業と農業収入の向上を目指します。 -4- 「土地利用」:農業基盤整備の確立 大区画ほ場整備事業を推進し、効率的で合理的な土地利用の実現を図り、大規 模農業と組織的な農業経営を目指します。 「農村環境」:農業環境の保全と住宅環境と調和した地域社会の確立 自然溢れるほ場環境や地域資源である田園風景を生かし、水辺環境等の農業農 村環境を保全し、周辺住宅環境との調和を図り、暮らしやすい地域社会の形成を目 指します。 (3)推進体制 多賀城市農業復興委員会は、上記目的等に取り組むため、住民参画による自主 的な組織として、地域農家、多賀城市興農実行組合長会、仙台農業協同組合及び 農業関係団体等を中心に、多賀城市、多賀城市農業委員会等関係各機関の支援 のもとで活性化ビジョンと復興プランの策定にあたりました。 多賀城市農業復興委員会 【目的】農村活性化ビジョンと農業復興プランを作成する。 ◆構成 多賀城市農業委員会、地区興農実行組合、水利委員、認定農業者 連絡会、農業青年会議、農地所有者、入作者、JA仙台、他 営農・6次産業化 計画専門部会 ほ場整備計画 担い手育成 専門部会 専門部会 土地利用計画 農業農村環境 専門部会 専門部会 その他必要と する専門部会 農家及び地域住民との意見交換・説明会等 -5- 2.多賀城市農業の現状 (1)多賀城市農業の概要 ① 地域の立地 多賀城市は宮城県の東部太平洋 岸に近く、仙台市と塩竃市の中間に 位置し、面積19.65k㎡と狭小で すが、JR 東北本線、JR 仙石線、国 道 45 号、県道仙台塩釜線(通称:産 業道路)、三陸自動車道などの交通 インフラが整備され、仙台港にも近 く、東部、北部は住宅地、南部は、 工業地帯、西部は農地及び住宅地 となっています。 気候は年間を通じておおむね温暖で、降水量、降雪量ともに比較的少なくな っています。 地質的には、七北田川、砂押川によってつくられた沖積土壌で豊沃であり、 長年良質米と野菜を生産し、花卉やトマトなどを栽培する施設園芸も盛んで す。 多賀城市の農業振興地域は高低差の少ない平坦な地形で、学校や住宅地 なども点在していますが、水田を中心とする約300ha の農地がまとまって存在 しています。 ② 人口・就業人口 本市の人口は、平成25年2月末現在で24,733世帯、61,978人となって おりますが、平成22年度農林業センサス では、農 家 数334戸 、農 家 人 口1,146 人となっており、総農家数は、市世帯数の 内の1.4%となっています。 また、年齢割合については、平成23年 度多賀城市の概要では、人口に占める65 歳以上の割合が18.9%であるのに対し、 -6- 農林業センサスでは農家人口に対する65歳以上の割合は42.2%となってお り、農業従事者の高齢化と若者不足が見て取れます。 なお、農家人口については、本市は、仙台市に隣接し通勤に適した地域であ るため、農家の子弟の多くは他産業に従事し、農業従事者の高齢化と担い手 不足が進んでいます。 農家戸数の内訳については、専業農家42戸、第一種兼業農家20戸、第二 種兼業農家181戸、自給的農家91戸となっています。 ③ 主な土地利用 本市の土地利用構成は、市域1,965ha、農用地は309ha(市街化区域田 を含む)でうち農業振興地域は約300ha となっており、割合としては、農用地が 16%でうち農業振興地域は15%、宅地が30%、その他54%となっていま す。 本市農業振興地域の水田は、昭和26年から昭和30年頃の耕地整理により 10a 区画に整備されているものの、農道は幅員が概ね3mと狭く、水路は用排 水兼用の土水路となっており、耕地整理から、約60年が経過しており、この間、 農業の機械化が進むとともに米の生産調整が導入され環境は大きく変化しまし た。 農地流動化の状況については、約17%にとどまっており、ほ場整備が遅れて いる(小規模区画水田や土水路等)ため、規模拡大が進まない要因となってい ます。 ④ 歴史 「多賀城」は奈良時代から平安時代まで陸奥国の国府が置かれ、律令政府 による東北支配の拠点になったところで、奈良時代には、軍事的な機関として 鎮守府も併設され、東北地方の中 心地として栄えました。 明治22年、市制町村制により13 の村を統合して多賀城村となり、昭 和17年に海軍工廠が設置されると 都市化、工業化され、同26年に町 制を施行しました。 以後、工廠跡は陸上自衛隊駐屯 地や工場地帯として生まれ変わり、同46年には市制を施行しました。 -7- 農業用ため池である加瀬沼は、市北部に位置し周囲約4㎞、面積約40ha で、周辺は桜の名所や憩いの場所となっており、農林水産省のため池100選 に県内で唯一選ばれています。 江戸時代の万治年間(1658年∼ 1661年)に八幡地区の天童氏により 拡張・築堤が行われ、以来 市川・浮 島・高崎・東田中・八幡地区への貴重 な農業用水として永年に渡り使用され ています。 農林水産省ため池 100 選定 http://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/tameike/ 平成9年度には、宮城県によるため 池等整備事業によりアース型ダムとし て提高10.4m、提長196m、提頂幅4mの県内最大のため池として整備され、 現在では隣接しているモリリン加瀬沼公園(宮城県加瀬沼公園)と一緒に多く の市民に親しまれています。 仙台市泉区松森地区の七北田川を水源とする宝堰とその用水路は、元禄6 年(1693年)の絵図や宝永3年(170 6年)の丸太沢前堤の工事記録から、 宝堰用水の前身である青津目堀や山 王堀が既にあったことが確認でき、こ の頃には開削されていたことを伺わせ ます。 現在も仙台市宮城野区岩切、利 府町神谷沢、市内の新田、高橋、山王、 南宮地区などの水田を潤している本市最長、最大の灌漑施設です。 南宮神社は、明治の合社令により一 度、市川の総社宮に合祀されましたが、 現在では南宮裏と呼ばれる田んぼの中 に鎮座しています。「たがじょう今昔」によ れば、神社が多賀城に勧請されたのは、 今から1千年余り前の天暦年間で神社を 中心に部落ができたと言われています。 -8- ⑤ 地域社会 農業振興地域には、新田・高橋・山王・南宮・市川・高崎・東田中・八幡・岩切の 9字名、11の農家組合と近接して19の行政区があり、町内会、老人会、PTA、子 供会、消防団、興農実行組合等が中心となり、各地区の集会場や公民館、生活セ ンター等を利用して夏祭り、収穫祭や敬老会等のイベントが催されており、イベン トや道路、花壇の植栽などの行事を通じて地域住民との交流や活動が活発に行 われています。 また、市内の学校では、農道を利用したあぜみち駅伝や給食食材の生産者を 交えた交流給食会、農業体験学習などを実施しています。 -9- (2)多賀城市農業の現状と課題 ① 農業基盤 本地域のほ場環境については、標準田が10a と狭小区画であり、湿田により 転作に不向きな状況にあります。 水路は、基幹水路及び小水路とも用排水を兼用した土水路のぜい弱なもの が大部分を占めており、老朽化による侵食、崩落が頻発し、開削が広がってい ます。 また、農道は擦違いができない狭いものであり、経年劣化による陥没、沈下 被害が多く、生産性と効率の悪いほ場となっており、昭和30年の耕地整理以 降、現在まで本格的整備が行われておらず、農業生産基盤の整備が大幅に遅 れています。 問題点 1 崩落した水路 問題点 2 侵食した水路 問題点 3 狭小で路肩が弱い農道 問題点 4 陥没した農道 - 10 - ② 営農 営農状況としては、農業従事者の高齢化が進んでおり、このまま推移すると 担い手不足が形に表れ、近い将来に農地を耕作できなくなる農家が数多く出て くることが予想されます。 その一方で将来の営農者である若い担い手においては、現在の生産性と効 率の悪いほ場環境では、規模拡大や転作に限界があり、営農意欲がある若い 担い手が育たず、農地集積が進まない他、集落による担い手への集積も頼み にくい状況にあり、現在の長時間労働と低収入と言う労働環境では、営農意欲 が後退し、サラリーマン化による離農・後継者不足とこれに伴う耕作放棄地の 増加に拍車を掛けることになるものと思われます。 また、本地域における生産調整については、調整水田比率が高く推移してお り、水はけの悪い水田条件により転作作物の作付けが困難であり、労力が増 加することになり、集団化なども進まない状況にあります。 このように考えると都市近郊型農業地域である本市での営農環境について は、ほ場条件が悪いことに加えて、高齢化、離農、担い手・後継者不足による 農業従事者の減少という施設及び人的両面で悪循環に陥っており、農地及び それを守る農業農村の環境は現在のままでは、悪化の一途をたどるものと思 われます。 ③ 生活・自然環境 本地域内は、周辺を住宅地に囲まれており、また、地域内には、住宅地、資 材置き場、会社事務所などの非農用地が点在しているため、周辺住民の環境 意識の向上に伴い農薬散布・農業機械騒音・稲わら燃やしなどの農作業への 問い合わせや農道通過車両の増加と買い物、健康志向による散策者等の歩 行者の農道通行の増加による農業用 車両との交互通行が増加しており、近 年は周辺住民の居住環境との調整が 必要となっています。 また、周辺住宅地からの生活排水 の水路への流入による水質の汚濁の ため、浄化対策が必要となっていま す。 - 11 - さらに、近年では周辺住宅地より雨水排水の農業用水路への流入が増加し、 少量の降雨でも農業用水路からの越水などによる水田冠水や道路冠水被害 の発生が頻発しております。 このような地域環境の変化と少子高齢化が進む中で周辺住民と農家が協力 して、安全で安心して生活できる環境、子供達が自然とふれあい、伸び伸びと 成長できる環境、高齢者に優しく生きがいを持ってもらえる環境を整え、将来に 向けて推進活動を継続していくことが必要と考えます。 ④ 歴史・文化 地域内に点在する農業用施 設や歴史的文化遺産は、先人 達の努力によって作られた地 域の歴史であり、受け継がれ たまちづくりの精神を支える貴 重な財産です。これらを今後ど のように保護・保全し、地域の 活性化と結びづけながら、後世 に伝えていくかが現代に生きる私達の責任と課題であります。 ⑤ 交流・福祉 各地区に公民館や生活 センター等の施設は開設 されていますが、子供達 が昔のように自然の中で 安全で自由に遊べる場所 や生き物達とふれあう水 辺環境は整っていないの が現状です。 また、今後は農業者と 地域の高齢者等の交流と生きがい支援のための貸し農園といった「生きがい 施設」などの整備が必要となります。 将来にわたり、住民と農家の地域交流や子供達と高齢者などの世代交流を 支えるためには、地域内での祭事・催しの拡充と交流を深めるための施策の 検討が必要です。 - 12 - 3.多賀城市農村の活性化目標 (1)地域営農システム構想 農業生産性の向上を図るためには、作 業効率化、生産コストの低減と農業労働時 間の短縮が不可欠です。 また、経営規模を拡大し、多角経営を促 進するために、ほ場整備事業を導入して、 農地集積と担い手や営農組織を育成し、農 地の保全と高生産性農業及び高収入化を目指します。 ① ほ場整備事業の導入 ・ 水田の大区画化による生産性の向上と経営の合理化と経営規模の拡大 ・ 用排水の分離と整備による安定した用排水化と農作業の効率化による労働 時間の短縮 ・ 農道の拡幅による農作業の効率化と搬送時間の短縮と安全性の確保 ・ 暗渠排水の導入による水田の汎用化と複合栽培と農業生産力の強化 ② 農業の効率化と合理化 ・ ほ場大区画化に伴う大型農業機械の導入促進による農作業の効率化と労 働時間の短縮 ・ 大型農業機械の導入と共同利用促進による生産コストの低減 ・ 大型農業機械導入を見越した農道条件整備 ・ 水田、畑、施設園芸等の配置見直しによる農業生産力の向上、農作業の効 率化と合理化 ・ 自然エネルギー発電、余熱や工業用水等の利用による低コスト化の検討 ③ 多様な営農体系の構築 ・ 水田汎用化による転作作物の転換推進による農業所得の増加 ・ 耕地ブロックローテーションと2年3作体系の導入による耕地利用率の増加 ・ 複合栽培と多角経営・6次産業化などによる高収入化の促進 ・ 担い手農家への農地集積による中核的農業経営体の育成 ・ 農作業の分担化とローテーション化などにより多くの農家が参加できる集落 営農の推進 ・ 市民農園の設置による高齢者生きがい施設設置と地域交流の促進 - 13 - ④ 関連農業用施設、生産施設の整備・導入計画の策定 ・ 関連する取水施設、基幹用排水路、排水施設等の再整備と生産機械施設、 処理加工・集出荷貯蔵施設、販売施設や機械・設備等の導入計画の策定 (2)地域農地マネジメント構想 農業従事者の高齢化による後継者不足を解消し、担い手の育成と農地集積を促 進し、地域の農地と農業を守ります。 ① 農地の受委託促進 ・ 担い手農家への農地集積による中核的農業経営体の育成 ・ 担い手農家への受委託促進と耕作放棄地の発生防止と耕地利用率の向上 ・ 農地受委託促進に向けた啓発活動及び利用調整組織の検討 ② 農地の高度利用 ・ 地域ぐるみによる土地利用型作物の生産体系の効率化・集約化 ・ ブロックローテーション、2年3作体系の導入に伴う水田利用計画の策定 ・ 需給動向、価格動向等を踏まえた転作作物の転換計画策定 ・ 総合的水田利用計画と転換計画の策定による農業生産力の強化 ③ 農地所有者と耕作者の相互連携 ・ 農地所有者と耕作者の定期的な話し合いによる相互連携促進 ・ 農地所有者と耕作者の相互連携による農地受委託促進と農地の高度利用 ・ 余剰労働力を生かした集落営農への参加と地域交流の促進 - 14 - (3)農村環境保全構想 これまで農業は、農地や農業用施設を含めて、食料の生産のみならず、豊かな自 然環境・生活環境の形成にも重要な役割を担ってきました。 水田はその湛水力などにより災 害の減災に役立ってきたのと同時 に、水循環の一環として、地域環境 の保全にも貢献してきました。 しかしながら、土地利用形態の多 様化や混住化の進展により近隣非 農家との調和が求められるなど、新 たな課題が発生しています。 また、農家人口の減少や高齢化、 後継者不足による農業基盤の弱体化や就業形態の多様化により、集落内のコミュ ニケーションが希薄化するなど集落機能の低下も懸念されています。 持続可能な農業経営の確立、農村環境の保全のため、次のとおり重点目標を設 定し、取り組みを進めます。 (重点項目) ① 自然環境の再生 農業用水や農地の耕作が、ミミ ズやトンボ、ホタルなどの豊かな 生態系の維持に大きく貢献してい るとともに、栽培方法によっては 生態系に大きな影響を及ぼす可 能性があることを踏まえ、環境に 配慮した農業を目指します。 ② 水田と農業水利施設の利活用 水田の湛水能力を再生し、水害等の減災効果を高め、水路等の農業水利施設 の基盤整備と一体的に、これらの施設に付随する水辺空間等を活用し、親水・景 観保全施設等を整備します。 また、維持管理の容易な施設への改善、汎用的な水利施設の導入を図るととも に、自然環境に配慮した施設の導入を目指します。 - 15 - ③ 市街化周辺の環境保全 自然環境と調和した田園居住空間を目指した土地利用を図り、農家と地域住 民及び非農家との交流の促進と相互理解のもとに、地域コミュニティの再生を目 指します。 ④ 環境教育の推進 持続的な環境保全の取り組みに当たっては、その基盤となる環境教育を推進し、 環境保全活動への参画を促します。また、消費者を巻き込んだ食農教育の推進・ 啓発に努め地産地消の推進を目指します。 ⑤ 地域性を活かした特色ある農村集落の創造 現存する歴史的・文化的な資源を保存・継承し、地域性豊かな農村文化の活 性化を図ります。 また、基盤整備を早期に実現し、その効果を発現させることで集落機能の再生 と強化を図るとともに、新たな農村集落の創造を目指します。また、耕作放棄地の 発生・拡大を予防するためには、農地の流動化を促進する必要があります。 そのためには、農地の受委託が円滑に進むよう環境整備に努めるとともに耕作 を担う農家が十分な農業所得を得られるよう条件を整備しなければなりません。 本市農業振興地域内のほ場整備を実施して、大面積を耕作できるよう水田の 大区画化を図るとともに、用排水を整備して水田を汎用化することにより、転作作 物の転換を振興し、耕地利用率を高める効果が期待できます。 さらに、中核的大規模経営体の育成と併せて、集落ぐるみで農業に取り組む集 落営農に取り組むとともに、地産地消推進に向けた販売体制の整備や農産物加 工など農業の6次産業化を図ることにより、本市農業生産力を強化することが求 め られ て います。 - 16 - 4.農村活性化の実行計画 (1)地域住民による活性化 目 的 景観形成・環境保全 活動化方針 具体的活動内容 地域住民参加による保全活動 清掃、草刈り、堀払い、 (農地・水・環境保全向上対策) 砂利敷、生き物調査、 水質調査の実施 活気と魅力にあふれ 地域内外の交流の促進 農業体験学習の実施 た地域・集落づくり 世代間交流の促進 新規就農者、会社退職者 地域の魅力の情報発信 等の受入れと支援 貸農園整備の検討 関連ホームページの作成 花苗植栽と収穫祭の実施 (2)短期的・中期的な取組事項 項 目 短期(平成28年頃まで) 中期(平成33年頃まで) ほ場整備事業の導入 ほ場整備事業完了 大型農業機械の導入・共同利用促進 水田・畑・施設園芸の配置見直 低コスト化の検討 地域営農システム し 畑作の作物の転換推進、農地の高度利用 ブロックローテーションの導入 2年3作体系の導入 複合栽培と多角経営・6次産業化の促進 集落営農推進 市民農園の設置 関連する農業用施設、生産施設、加工販売施設、設備等の 再整備と導入計画の策定 農地の受委託促進 地域農地マネジメン 農地集積の促進と担い手の育成確保 ト 総合的な水田利用計画の策定 転作作物の転換計画の策定 農地所有者と耕作者の相互連携促進 自然環境の再生 農業水利施設の利活用 農村環境保全 市街化周辺の環境保全 環境教育の推進 地域性を活かした特色ある農村集落の創造 - 17 - (3)取組事項の目的、方針・具体的な活動内容 取組事項 ほ場整備事業 目 的 方針・具体的な活動内容 県営ほ場整備事業実施に向けて取り組み、平成28年度の 採択を目指します 大 型 農 業 機 械 の 導 農作業の効率化と生産コス 作業集団の組織化 入・共同利用 トの低減 各種補助制度の調査と啓発 転 作 作 物 の 転 換 推 農業生産力の強化と農業所 転作作物の研究 進、農地の高度利用 得の増加 作付体系の研究 ブロックローテーショ 農作業の効率化 ン 2年3作体系 農業生産力の強化と農業所 得の増加 作付体系の研究 集落営農 対象農家の合意形成 多様な担い手の育成 農地所有者、耕作者による 検討 転作作物の研究 集落営農参加農家の組織化 農作業のマネジメント ほ場整備実施計画に掲げる 市民農園 野菜生産振興と交流促進 農地の受委託促進 耕作放棄地の発生予防と農 農地受委託制度の啓発 地の高度利用 担い手農家の育成 総 合 的 な 水 田 利 用 農作業の効率化、農業生産 農地所有者、耕作者による 計画 力の強化、農業所得の増加 検討 転作作物の研究 転作作物転換計画 作付体系の研究 農地所有者と耕作者 農地受委託促進と農地の高 農地所有者、耕作者による の相互理解 度利用 検討 自然環境の再生 環境に配慮した農業 栽培方法の研究と啓発 農 業 水 利 施 設 の 利 環境保全と農業理解促進 活用 親水・景観保全施設の整備 環境に優しい水利施設導入 市 街 化 周 辺 の 環 境 農業理解促進と地域コミュニ 自然環境と調和した田園居 保全 ティの再生 住空間 農家と非農家の交流と相互 理解 環境教育 農村環境保全と農業理解促 環境教育の推進 進 食農教育の推進・啓発 特色ある農村集落の 農村文化の活性化と新たな 歴史・文化資源の保存・継承 創造 農村集落の創造 基盤整備の早期実現 - 18 - (4)実現に向けた支援事業 項 目 ほ場整備事業 実現に向けた方策及び支援事業 多賀城地区ほ場整備事業 平成28年度事業採択を目指し、県営ほ場整備事業の 実現を推進する。 農地利用集積事業 ほ場整備推進委員会(仮称)を中心として面的集積の 実現を推進する。 担い手・法人化促進事業 ほ場整備推進委員会(仮称)を中心として経営体の育 成と集積の実現を推進する。 ほ場整備事業の工事例 - 19 - 5-1.多賀城地区土地利用計画図 凡例 歴史・文化的資源保全エリア 景観・自然環境保全エリア 農村交流推進エリア ほ場整備推進エリア 生きものにぎわいエリア - 20 - 5-2.多賀城地区農村活性化構想図 農業体験場整備 伝統資産整備 排水改良 通学路整備 通学路整備 道路整備 農業体験場整備 ふれあい水路整備 ほ場整備実施地域 ・ほ場の大区画化 ・幹線用排水路の整備 ・用排水路の分離・整備 ・農道の拡幅・整備 ・中心経営体の育成 ・農用地の集積 - 21 - 6.これまで活動状況 (1) 多賀城市農業復興委員会(平成23年度) 月 日 会議・取組事項 内 容 場 所 平成 23 年 多 賀 城 市 農 業 復 復興プランの策定について JA 仙台多賀城 10 月 13 日 興 委 員 会 設 立 準 ほ場整備事業の推進について 支店 備会 11 月 9 日 多 賀 城 市 農 業 復 委員会設立・規約について 多賀城市役所 興 委 員 会 設 立 総 委員会役員について 11 月 22 日 12 月 6 日 会 事業計画、予算について 第1回役員会 復興計画等について 山王地区公民 専門部会の活動等について 館 地 区 説 明 会 打 合 地区説明会について JA 仙台多賀城 会 支店 12 月 15 日∼ アンケート実施 12 月 15 日∼ 八幡地区 地区説明会 12 月 16 日 新田・高橋地区 農業復興委員会の設立につい 新田公民館 12 月 19 日 山王地区 て 山王生活センタ ほ場整備事業の取組について ー 八幡公民館 12 月 20 日 南宮地区 南宮集会所 12 月 21 日 市川・浮島地区 市川集会所 12 月 22 日 高崎・東田中地区 高崎集会所 12 月 26 日 その他 JA 仙台多賀城 支店 平成 24 年 第2回役員会 1 月 31 日 アンケート集計について 多賀城市役所 専門部会運営について 2 月 10 日 第3回役員会 専門部会検討事項について 多賀城市役所 3月 2日 合同専門部会 アンケート結果について 市民活動サポ 専門部会の活動について ートセンター 今後のスケジュールについて 3 月 14・15 日 視察研修(深津土地改良区、日光アグリサービス) - 22 - 栃木県 多賀城市農業復興委員会(平成24年度) 月 日 会議・取組事項 内 容 場 所 平成 24 年 部会長・副部会長 専門部会の運営について 4 月 20 日 会議 今後のスケジュールについて 4 月 27 日 第 4 回役員会 事業報告・収支決算について JA 仙台多賀城 事業計画・収支予算について 支店 5 月 21 日 ほ 場 整 備 計 画 専 農業復興プラン、農村活性化ビ JA 仙台多賀城 門部会 5 月 22 日 多賀城市役所 ジョン答申内容の検討 支店 土地利用計画専 門部会 担い手育成専門部 会 5 月 23 日 営農六次産業化 専門部会 5 月 24 日 農業農村環境専 門部会 6 月 20 日 農 業 農 村 環 境 専 農業復興プラン、農村活性化ビ JA 仙台多賀城 門部会 6 月 21 日 ジョン答申内容の検討 支店 担い手育成専門部 会 6 月 22 日 営農六次産業化 専門部会 6 月 25 日 ほ場整備計画専 門部会 6 月 26 日 土地利用計画専 門部会 6 月 28 日 地域農業経営再開復興事業講演会 東北歴史博物館 7月 10 日 JA婦人部・青年部 JA 仙台多賀城 7 月 11 日 部会長・副部会長 スケジュールの変更について 会議 ほ場整備事業について 地区懇談会について - 23 - 支店 月 日 7 月 23 日 会議・取組事項 容 場 所 農 業 農 村 環 境 専 農業復興プラン、農村活性化ビ JA 仙台多賀城 門部会 7 月 24 日 内 ジョン答申内容の検討 支店 担い手育成専門部 会 7 月 25 日 土地利用計画専 門部会 7 月 26 日 ほ場整備計画専 門部会 7 月 27 日 営農六次産業化 専門部会 8 月 21 日 合同専門 部会 (営 視察研修の行程について JA 仙台多賀城 農六次産業化、担 地区懇談会について 支店 い手育成) 8 月 22 日 視察研修(名取土地改良区) 名取市 合同専門部会(ほ 視察研修の行程について JA 仙台多賀城 場 整 備 計 画 、 土 地区懇談会について 支店 地利用計画、農 業農村環境) 視察研修(江合川沿岸土地改良区) - 24 - 大崎市 月 日 会議・取組事項 内 容 場 所 地区懇談会 9 月 3 日∼ 新田・高橋地区 ほ場整備事業の内容、効果等に 新田公民館 9月 4日 山王地区 ついて 山王生活センタ ー 9月 5日 南宮地区 南宮集会所 9月 6日 市川地区 市川集会所 浮島地区 9月 7日 高崎地区 高崎集会所 東田中地区 9 月 10 日 9 月 11 日 留 ヶ 谷 ・ 下馬 ・笠 JA 仙台多賀城 神・大代地区 支店 八幡上・八幡下一 八幡公民館 地区 9 月 12 日 八幡下二地区 JA 仙台多賀城 支店 9 月 13 日 八幡沖地区 八幡沖公民館 9 月 14 日 入作者等 JA 仙台多賀城 支店 10 月 4 日 10 月 22 日 部会長・副部会長 地区懇談会の結果等について JA 仙台多賀城 会議 支店 合同専門部会(ほ 農業復興プラン、農村活性化ビ JA 仙台多賀城 場 整 備 計 画 、 土 ジョン答申内容の検討 支店 地利用計画) 10 月 23 日 合同専門部会(営 農六次産業化、 担い手育成) 10 月 24 日 農業農村環境専 門部会 10 月 25 日 八幡下二地区懇 ほ場整備対象区域について JA 仙台多賀城 談会 支店 - 25 - 月 日 11 月 2 日 会議・取組事項 内 容 地域農業経営再開復興事業講演会 場 所 東北歴史博物 館 11 月 16 日 部会長・副部会 地区説明会の開催等について 長会議 多賀城市役所 農村活性化ビジョンの検討状況に ついて 視察研修について 11 月 29・30 日 視察研修 ひぬま川土地改良区 茨城県 金田北部土地改良区 栃木県 - 26 - 月日 会議・取組事項 新田地区 内 容 地区懇談会 場 所 新田公民館 12 月 10 日∼ 浮島地区 浮島会館 12 月 11 日 高橋地区 高橋興農会館、 東田中・高崎地 高崎集会所 区 12 月 12 日 山王地区 山王生活センタ 八幡下二地区 ー JA 仙台多賀城 支店 12 月 13 日 12 月 14 日 12 月 17 日 南宮地区 南宮集会所 留ヶ谷地区 留ヶ谷集会所 市川地区 市川集会所 八幡上地区 八幡公民館 洞ノ口、若宮地 岩切駅東土地 区 区画整理事務 所 12 月 18 日 八幡沖地区 八幡沖公民館 入作者・希望者 JA 仙台多賀城 支店 12 月 19 日 八幡下一地区 八幡公民館 1 月 23 日 集落別説明会 事業推進について 南宮集会所 2月 8日 推進会議 事業推進対策 2 月 13 日 集落別説明会 事業推進について JA 仙台多賀城 支店 山王生活センタ ー 3 月 19 日 第5回役員会 3 月 27 日 会長・副会長 事業推進 活性化ビジョン・プラン案について 答申について 推進委員会への引継ぎについて 推進委員会(仮)の設立について 活性化ビジョン・プラン市長答申 - 27 - (2)専門部会の活動状況 各専門部会では、それぞれの分 野で現状と課題などを話し合い、整 理のうえ、将来に向けた解決策の 検討と目標設定等行い構想の原案 を検討しました。 ① 営農・六次産業化計画専門部会 営農・六次産業化部会では、農業所得の増加をテーマとし、水稲栽培を 中心とした現状から、複合栽培や6次産業化による多角経営化などを話 し合い、高生産性と高収入農業を目標とした計画原案を検討しました。 ② ほ場整備計画専門部会 ほ場整備計画部会では、目指すほ場の計画をテーマとし、標準画地の大 きさや用排水路と農道の形などについて話し合い、アンケートの結果など を参考にして、生産性が高く、効率が良く、労働時間の短いほ場を整備す ることを目標とした計画原案を検討しました。 ③ 土地利用計画専門部会 土地利用計画部会では、土地利用のあり方をテーマとして、都市計画と の関連を研究し、水田ゾーンや畑ゾーンなどの考え方、レクレーション農 園の活用方法と農地の受委託の促進方法などを話し合い、農地の有効 利用を目標とした計画原案を検討しました。 ④ 担い手育成専門部会 担い手育成部会では、担い手の育成と経営モデルをテーマとし、機械・ 設備・施設の状態と担い手の現状や目標経営規模、団体経営などにつ いて話し合い、働く意欲の沸く、経営しやすく整備することを目標とした計 画原案を検討しました。、 ⑤ 農業農村環境専門部会 農業農村環境部会では、農業農村環境の保全と整備をテーマとし、外周 をとり囲む住宅環境との調和と交流や水質改善や生き物の再生などと自 然環境と景観の保全、水路の将来に渡る維持管理の方法などについて 話し合い、今後とも農業環境が持続可能となる計画原案を検討しました。 - 28 - 7.アンケート調査の結果 半数以上の方が、「縮小したい・貸したい・辞めたい・迷っている」と回答しています。 - 29 - 8.多賀城市農業のデータ 多賀城市の農産物産出額(単位:千万円) (東北農政局統計部「平成18年度生産農業所得統計」より) 計 5億1千万円 参考 ・農家一戸当たりの生産農業所得:64万円 ・耕地10a当りの生産農業所得:65千円 - 30 -