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貨幣と金融 Part-1

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貨幣と金融 Part-1
教養教育科目
はじめての経済学
第 12 回
貨幣と金融 Part 1
2015 年 7 ⽉ 7 ⽇(⽕2)2 限
担当教員:
経済学部 唐渡 広志(からと・こうじ)
研究室:
経済学研究棟4階432号室
email:
website:
[email protected]
http://www3.u-toyama.ac.jp/kkarato/
1
所得水準と価格
1ヶ⽉の所得が 20 万円の⼈の消費計画(2014年) (所得全額を消費すると仮定)
消費⽀出
2014年
¥200,000 = ¥500 × ⽶(3kg) + ¥20 ×卵(10個) + ・・・ + ¥2000 × シャツ(1枚)
1年後
もし,所得が変わらずに購⼊する財・サービスの価格が,すべ
て2倍になったら・・・
2015年
¥200,000 = ¥1,000 ×⽶(2.5kg) + ¥40 ×卵(7個) + ・・・ + ¥4000 × シャツ(0枚)
・価格が上昇すると同じ 20 万円で購⼊できる消費量は(たいてい)減ってし
まう(需要の法則)。
→2014年の所得(20万円)と2015年の所得(20万円)は,はたして同じ価値
をもっているだろうか?
2
異時点間の所得の比較
⾷べられる⽶の量で測った所得
1ヶ月に買える
米の価格
所得
(¥/kg)
(万円/1ヶ月) 米の数量(kg)
1ヶ月に買える
米の数量
の増加率(%)
1995
350
26
743
.
2000
420
31
738
−0.6
2005
450
37
822
11.4
2010
490
40
816
−0.7
2015
500
39
780
−4.5
¥ 260,000
 742.9 kg
¥350
738  743
 100%  0.6%
743
所得
(円/ 1ヶ月)
1ヶ月に買える米の数量 
米の価格(円/ kg)
本当に買うかどうかは別として,もし1ヶ⽉の所得をすべて
「お⽶」の消費に充てたら,どれぐらい買えるか。
3
ある年を基準においた価格指数で実質化(1)
1995年の価格を 1 とする
(1995年の価格を基準とする)
名⽬所得を
⽶の価格指数で割った値
米の価格 米の価格指数
名目所得
(¥/kg)
(1995年=1) (万円/1ヶ月)
実質所得
(万円/1ヶ月)
実質所得
の増加率(%)
1995
350
1.00
26
26.0
.
2000
420
1.20
31
25.8
−0.6
2005
450
1.29
37
28.8
11.4
2010
490
1.40
40
28.6
−0.7
2015
500
1.43
39
27.3
−4.5
1995年の価格(¥350)で
各年の価格を割った値
2015年の39万円は1995年の価格
で測ると 27.3万円に相当する
(物価の変動を考慮に⼊れて,1995年を基準に考えると所得は実
質的に1.3万円増えている[26.027.3] )
【重要】名⽬所得を価格指数で割ると実質所得が得られ,異時点間の⽐較ができる
4
ある年を基準においた価格指数で実質化(2)
2015年の価格を 1 とする
(2015年の価格を基準とする)
名⽬所得を
⽶の価格指数で割った値
米の価格 米の価格指数
名目所得
実質所得
実質所得
(¥/kg)
(2000年=1) (万円/1ヶ月) (万円/1ヶ月) の増加率(%)
1995
350
0.70
26.0
37.1
.
2000
420
0.84
31.0
36.9
−0.6
2005
450
0.90
37.0
41.1
11.4
2010
490
0.98
40.0
40.8
−0.7
2015
500
1.00
39.0
39.0
−4.5
2015年の価格(¥500)で
各年の価格を割った値
1995年の26万円は2015年の価格で測ると 37.1
万円に相当する.
(物価の変動を考慮に⼊れて,2015年を基準に考えると
所得は実質的に1.9万円増えている[37.139.0])
【重要】名⽬所得を価格指数で割ると実質所得が得られ,異時点間の⽐較ができる
5
例題:買うことのできる小麦で実質所得を測る
実質所得 
名目所得
価格指数
小麦粉の価格
(¥/kg)
小麦の価格指数
(2011年=1)
名目所得
実質所得
実質所得
(万円/1ヶ月) (万円/1ヶ月) の増加率(%)
2011
200
1.00
40
40.0
0.5
2012
198
0.99
40
40.4
1.0
2013
210
1.05
42
40.0
−1.0
2011年の⼩⻨価格を1とするとき,
[1]. 2013年の⼩⻨の価格指数を求めなさい。
[2]. 2013年の実質所得を求めなさい。
[3]. 2013年 1 年間の実質所得の増加率 [%] を求めなさい。
6
物価指数
[指数]: ある値を基準にして,他の値の基準値に対する⽐で表
した値
[物価指数]: 異なった時点における多数の財の物価⽔準を⽐較
するために,様々な商品の価格指数を加重平均化した値
商品 Aの重み 
商品 Bの 201 0年価格
商品 Aの 2010 年価格
 商品 Bの重み
商品 Aの 2005 年価格
商品 Bの 2005 年価格
 国で作成している物価指数
 消費者物価指数(CPI):主に家計が⽀出する財・サービスや輸⼊
品を対象に価格を指数化したもの(中間財は含まない)。
 GDPデフレーター:国内で⽣産されたすべての財・サービス(中間
財,最終財)を対象に価格を指数化したもの.
7
例
1. 商品の購⼊価格と数量
⽶
価格 数量
円/kg kg
2000年 450 120
2005年 490 100
2010年 500 90
シャツ
価格 数量
円/枚 枚
3000 4
2500 5
2000 5
ガソリン
2. 2000年の⽀出割合(重み)
価格 数量
⽶ シャツ ガソリン 合計
円/ℓ ℓ
140 1500 価格×数量 54,000 12,000 210,000 276,000
(2000年)
128 1800
重み
0.20
0.04
0.76
1
161 1300
3. 2000年の価格を基準とする2010年の各商品の価格指数
価格指数
⽶
1.11
500円
450円
シャツ ガソリン
0.67
1.15
2000円
3000円
161円
140円
4. 2000年の価格を基準とする2010年の消費者物価指数
0.20  1.11  0.04  0.67  0.76  1.15  1.12
重み
価格指数
2010年の物価⽔準は2000年
に⽐べて,12%ほど⾼い
8
197001
197109
197305
197501
197609
197805
198001
198109
198305
198501
198609
198805
199001
199109
199305
199501
199609
199805
200001
200109
200305
200501
200609
200805
201001
201109
201305
201501
消費者物価指数 CPI
消費者物価指数(Consumer Price Index; CPI)
2010年を 100 としたときのCPI(消費者物価指数)の推移
120
100
80
60
40
20
0
データ:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
9
140
120
300
100
250
80
40
⾁類
⽣鮮野菜
⾐料
20
50
0
0
197001
197212
197511
197810
198109
198408
198707
199006
199305
199604
199903
200202
200501
200712
201011
201310
60
197001
197212
197511
197810
198109
198408
198707
199006
199305
199604
199903
200202
200501
200712
201011
201310
商品別価格指数(2010年 = 100)
350
家賃
電気代
家庭⽤耐久財
通信
200
150
100
10
価格変動(1995年2015年)
71品⽬の財・サービスの価格指数分布:CPI は2.6%上昇
指数 1.3以上
ガス代
灯油
保健医療サービス(診察代,⼈間ドック受診料
など)
⾝の回り⽤品(ハンドバッグ,指輪,腕時計)
たばこ
1.7 1.5 - 1.7
価格指数
1.3 - 1.5
1.1 - 1.3
0.9 - 1.1
0.7 - 0.9
0.5 - 0.7
0.3 - 0.5
0.7以下
0.1 - 0.3
家庭⽤耐久財(電⼦レンジ,エアコン,冷蔵庫,
⾷器棚など)
室内装備品(置時計,照明器具,カーペットな
ど)
教養娯楽⽤耐久財(テレビ,パソコン,デジカ
メなど)
- 0.1
0
6
12
18 24
度数
30
36
11
実質化
実質値 
p0
x t  yt 
pt
名⽬値
物価指数
t
時間
p
物価⽔準
物価指数
(CPI)
y
名⽬値
0
p0
1
y0
x
実質値
x0 
p0
1
p0
p1
1
p1
p1/p0
y1
x1  y1 
2
p2
p2/p0
y2
x2  y 2 
p0
p2
3
p3
p3/p0
y3
x3  y3 
p0
p3
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
基準
時点
・
・
・
【重要】名⽬値を物価指数で割ると実質値が得られ,異時点間の⽐較ができる
物価指数 
名目値
名⽬値を実質値で割った値を物価指数と考えることもできる。
実質値
12
実質的な貨幣価値(2010年=100)
 1970年:CPI = 33.7
当時のカラーテレビの値段:10万円
• 10万円 / 0.337 = 29.7万円
• 1970年当時10万円だったテレビは2010年
の貨幣価値に直すと29.7万円相当
 1975年:CPI = 57.7
当時のラーメン⼀杯の値段:210円
• 210円 / 0.577 = 364円
 1985年:CPI = 88.8
2010年基準の1万円の価値
年次
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
2015
実質的な
価値(円)
78,226
52,151
31,190
12,663
10,419
9,700
10,000
9,615
CPI
12.8
19.2
32.1
79.0
96.0
103.1
100.0
104.0
1950年における1万円は,
2010年の貨幣価値に換算して
78,226円分の価値があった.
当時の⼤卒の初任給:14万円
• 14万円 / 0.888 = 15.8万円
• 現在の⼤卒初任給は 20.6万円
13
2008年
2006年
2004年
2002年
2000年
1998年
1996年
1994年
1992年
1990年
1988年
1986年
400,000
1984年
1982年
500,000
1980年
1978年
1976年
1974年
1972年
1970年
所得(現⾦給与総額[⽉あたり])
名目所得と2005年基準の実質所得[月額所得]
600,000
実質所得
名⽬所得
300,000
200,000
100,000
0
データ:厚⽣労働省「賃⾦構造基本調査」
14
物価上昇率
t 年の対前年物価上昇率 %  
CPI t  CPI t 1
 100 % 
CPI t 1
2005年基準
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
CPI
物価上昇率[%]
101.5
100.6
100.3
100.3
100.0
100.3
100.3
101.7
100.3
99.6
−0.89
−0.30
0.00
−0.30
0.30
0.00
1.40
−1.38
−0.70
データ:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
15
インフレーション
 インフレーション[Inflation]
 物価⽔準が持続的に上昇し続ける状態(インフレ)
 インフレと貨幣
 持っている1万円は,今使えば1万円のモノを購⼊できる.
 物価が上昇しているとき
• 物価が1年後に5%上昇するとき,現在の1万円(現在の物価を基準
に考えると)は将来の9,524円に相当する。
• インフレは貨幣価値を下落させる。
10,000円
10,000円
 1年後 :
 9,524円
1.05
1
16
デフレーション
 デフレーション[Deflation]
 物価⽔準が持続的に下落し続ける状態(デフレ).
 デフレと貨幣
 持っている1万円は,今使えば1万円のモノを購⼊できる.
 物価が下落しているとき
• 物価が1年後に5%下落するとき,現在の1万円(現在の物価を基準
に考えると)は将来の10,526円に相当する。
• デフレは貨幣価値を増⼤させる
10,000円
10,000円
 1年後 :
 10,526円
0.95
1
17
第1次世界大戦後ドイツのハイパーインフレーション
1921年 = 100としたときの物価⽔準
通貨単位の変更(マルクレンテンマルク)
Price Index
(Jan. 1921 = 100)
1923年11⽉
1兆分の1のデノミ(レンテンマルク)
100,000,000,000,000
1,000,000,000,000
1兆
10,000,000,000
100,000,000
10億
1,000,000
10,000
100
1921
1922
1923
1924
1925
マンキュー経済学II マクロ編 p350
18
物価の下落と賃金の下落,失業
価格
賃⾦
財・サービス市場
労働市場
S
S
D
D
数量
雇⽤量
デフレ・スパイラル
 財・サービス市場で需要の減少が起きると,物価⽔準が低下する。
 企業の収⼊が減るので,企業の労働需要も減り賃⾦が下落する
 賃⾦が下がらない場合は,失業が発⽣する。
 ⼈々の名⽬所得が減って財・サービス市場で需要が減少し,さらに物価が下落する。
(ただし,デフレ経済では実質賃⾦が上昇することもある。)
19
GDPデフレーター
・実質GDPは,物価⽔準を基準年に固
定した上で,⽣産の変化だけを観察し
名⽬GDP ている。
定義 : GDPデフレーター 
GDP を基準にした物価⽔準 の指標
実質GDP
・物価⽔準が上昇すると,名⽬GDPは
y
p
上昇するが,実際の⽣産は増えていな
x
いかもしれない。
物価⽔準 p:
GDPデフレーター
物価⽔準 p:
GDPデフレーター
1.10
1.05
y  p x
物価が上昇した場合
y: 名⽬GDP = 525
y  p x
y: 名⽬GDP = 550
x: 実質GDP
500
x: 実質GDP
500
20
GDPデフレーター
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
GDP
実質値
GDP
デフレーター [兆円]
p
x
1.11
447
1.10
459
1.09
471
1.10
472
1.10
465
1.08
467
1.07
477
1.06
475
1.04
480
1.02
491
1.01
498
1.00
507
0.99
516
0.98
525
0.97
506
0.96
495
0.94
511
名⽬値
[兆円]
y
496
505
516
521
511
507
511
502
498
502
503
505
509
513
490
474
479
物価上昇率で⽐較したCPIと
GDPデフレーター
物価上昇率[%]
2005年基準の GDP
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
-2.5
1994年から2010にかけて15%下落(1.110.94)
CPI
GDPデフレータ
1995
2000
2005
2010
データ:内閣府「SNA統計」,総務省統計局「消
費者物価指数」
CPIは主に消費者が購⼊する財・サービスの
価格指数
GDPデフレーターは企業間で取引される
財・サービスも含んでいる。
21
名目値と実質値の変化率
GDPの変化率のことを経済成⻑率とよぶ
yt  pt xt
t 年の名⽬ GDP 変化率 :
名⽬経済成⻑率 
yt  yt 1 pt xt  pt 1 xt 1

yt 1
pt 1 xt 1
pt  pt 1 xt  xt 1 pt  pt 1 xt  xt 1




pt 1
xt 1
p 1
xt 1



 


 t 



物価上昇率
実質経済
成⻑率
変化が⼩さいときには
無視
名⽬経済成⻑率 ≈ 物価上昇率 + 実質経済成⻑率
22
名目経済成長率 ≈ 物価上昇率 + 実質経済成長率
4.0
3.0
1.0
0.0
名⽬経済成⻑率
-1.0
物価上昇率
-2.0
-3.0
-4.0
-5.0
実質
名⽬
GDPデフレーター
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
変化率(%)
2.0
実質経済成⻑率
年次
23
名目賃金上昇率 ≈ 物価上昇率 + 実質賃金上昇率
1985
1990
1995
2000
2005
2010
5年後との成⻑率
名⽬賃⾦上昇率% 物価上昇率% 実質賃⾦上昇率%
3.1
2.1
1.0
4.0
3.1
0.9
0.3
−0.1
0.4
0.1
−0.8
0.9
7.2
−0.3
7.6
4.3
−0.7
5.0
10
名⽬賃⾦上昇率
物価上昇率
実質賃⾦上昇率
8
上昇率%
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
1982
1987
1992
1997
2002
2007
24
金利 (1)
⾦利とはお⾦を貸し借りするときの「価格」であると同時に,銀⾏にお⾦
を預けたときのお⾦の成⻑率を⽰している。
例.100万円(元本)を 1 年間 1 %の⾦利で3年間預⾦すると:
 1年⽬の元本+利息: 100
+
(100×0.01) =
100 × (1 + 0.01) = 101
 2年⽬の元本+利息: 101
+
(101×0.01) =
101 × (1 + 0.01) = 102.01
 3年⽬の元本+利息: 102.01 + (102.01×0.01) = 102.01 × (1 + 0.01) = 103.0301
複利計算
3年間で発⽣した利息
1年⽬: 1[万円]
2年⽬: 1.01 [万円]
3年⽬: 2.0100 [万円]
合計: 3.0301 [万円]
物価が変動しているときは?
物価が全く変動しなけれ
ば得られる名⽬上の利息
25
金利 (2)
400
元⾦100万円の成⻑
預⾦が2倍
になるまでの年数
×
5%
14.2
+
3%
23.4
△
1%
69.7
○
0.5%
139.0
300
250
200
150
100
預金額
350
⾦利
(1年間)
0
5
10
15
年
20
25
30
国内銀⾏の定期預⾦⾦利%
(2013年6⽉)
⾦利%
都銀
0.02
地銀
0.02
ネット銀⾏ 0.03〜0.7
26
金利 (3)
複利計算
1年に1回利息の⽀払いがある場合
A:元本
, r:金利
0
1年後 : A1  A0 1  r 


 A 1  r    A 1  r  
2年後 : A2  A1 1  r   A0 1  r 
2
3年後 : A3
3
2
0


n年後 : An  An 1 1  r   A0 1  r 
n

An  A0 1  r n : 現在からみた n 年後の将来の元本価値
例: 100万円を年利2%の⾦利で4年間銀⾏に預けたときの,100万円の将来
価値はいくらか.
100 1  0.02  108.2432[万円]
4
27
金利 (4)
1年に s 回利息の⽀払いがある場合
 r
n 年後の元本価値:An  1  
 s
sn
A0
s
 mと定義して書き直すと
r
m

1  
n 年後の元本価値:An  1   
 m  
rn
A0  A0 e rn
m が⼗分に⼤きいとき
28
金利と物価上昇率
 年利 5 %で1年間銀⾏に預けたならば
 100 + (100×0.05) = 100×(1+0.05) = 105
 ⾦利が 5 %のとき,現在の100万円は1年後の105万円に等しい
 もし,今後1年間の物価上昇率が 1 %ならば
 現在の100万円は1年後の 99.0099 万円に等しい
(将来の99.0099万円は,現在の100万円に等しい)
 実質的な⾦利は名⽬上の⾦利からインフレ率を差し引いて
考える必要がある。
29
実質金利 (1)
実質⾦利:物価の変動を考えたときの実質的な⾦利.
実質⾦利 ≈ 名⽬⾦利 -[予想]物価上昇率
名⽬⾦利:銀⾏の店頭で表⽰されている⾦利


実質的な将来価値:100  1  
0.
05  
0.01  104


実質⾦利
100万円の将来価値
名⽬⾦利 = 5% 予想物価上昇率 = 1%
(3.9604%)
実質⾦利 ≈ 4%
現在
100万円
100万円
100万円
1年後
105万円
99.0099万円
約104万円
30
実質金利 (2)
 経済がインフレのとき
 物価が上昇しているので実質⾦利は名⽬⾦利よりも低くなる
 経済がデフレのとき
 物価が下落しているので実質⾦利は名⽬⾦利よりも⾼くなる
 借⾦の価値
 例.名⽬⾦利5%で100万円を借りる
• インフレ率が0%のとき,1年後に105万円を返済
• インフレ率が1%のとき, 1年後に105万円を返済するが,返済額の実質価値は104万円に減っ
ている.
• インフレ率が-1%のとき, 1年後に105万円を返済するが,返済額の実質価値は106万円に増
えている.
 借⾦をしている側にとってインフレは実質的な返済額を減らす効果
を持つ。(貸している側は逆)
31
キーワードと参考文献
Keywords: 価格指数,消費者物価指数(CPI),
GDPデフレーター,名⽬GDP,実質GDP,
物価上昇率,インフレーション,デフレー
ション,名⽬⾦利,実質⾦利
参考⽂献
1. マンキュー, N.G.:pp. 138 – 144, 248 – 268, 336 –
371
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