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含有カリウム触媒利用熱化学再生 バイオマス改質プロセスに関する研究

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含有カリウム触媒利用熱化学再生 バイオマス改質プロセスに関する研究
G-04
(研究コード番号 2002GP004)
含有カリウム触媒利用熱化学再生
バイオマス改質プロセスに関する研究
研究代表者
○林
潤一郎
北海道大学:日本
[email protected]
研究分担者
Chun-Zhu Li
Monash 大学:オーストラリア
倉本
産業技術総合研究所:日本
浩司
Terrence Dixon
砂糖研究所(Sugar Research Institute; SRI):オーストラリア
研究期間:2002 年 4 月~2005 年 3 月
概要
熱分解・水蒸気改質(吸熱反応)と固体残渣(チャー)燃焼(発熱反応)を物理的に分離した反応
器システムにおける含水バイオマスの熱化学再生型ガス化を提案し,純酸素を使用せずに,・重質
タールの反応内消去,・合成ガスの発熱量>12 MJ m-3,・冷ガス効率>85%,・チャーの改質反応器
内化学脱窒素,を達成するプロセス概念の実証を目指した.実験研究では,メソ多孔質アルミナを
媒体粒子とする流動層において,アルミナ表面に析出したコークとカリウムの相乗的触媒効果によ
って生成ガス中の重質タール濃度を数mg/Nm3レベルにまで低減し,また,チャー中窒素残留率を
5%未満(対バイオマス)に低減することに成功した.プロセスシミュレーションでは,媒体粒子
循環式二段流動層や,熱分解・改質・燃焼器からなる三段反応器システムの場合,バイオマス乾燥
器を含む自立プロセスにおいて82 - 85%の冷ガス効率と,発熱量が12 - 14 MJ m-3の合成ガスが得ら
れることを示した.
キーワード: バイオマス,水蒸気改質,多段ガス化,自生触媒,多機能媒体粒子
1. 序論
本共同研究は,含水バイオマスを,種々の利用が可能な高カロリーガスへと高い冷ガス効率で変換す
る熱化学再生型の流動層水蒸気改質を提案した.提案プロセスの特徴は以下のi) – iv)に纏められる.
i)
吸熱反応である熱分解・水蒸気改質(ガス化)と発熱反応であるチャー・コークの燃焼を物理的
に分離した反応器システムにおいて,純酸素や酸素富化空気を使用することなしにバイオマスを
ガスへと完全転換する.
ii)
バイオマス中の炭素や金属種に由来する高活性触媒を反応系において媒体粒子のメソ細孔表面に
in-situ自動生成し,これにより酸素を用いることなくタール(とりわけ3環以上の芳香族化合物)
を完全に熱分解,水蒸気改質する.
iii) 固体残渣の燃焼により生じた熱エネルギーを,媒体粒子を介して効率よく吸熱反応(バイオマス
の熱分解と水蒸気改質)に利用する熱化学再生サイクルを導入するとともに,反応系から排出さ
れるガスの顕熱をバイオマス乾燥と水蒸気発生に有効利用する.
iv) 流動層内のチャーの熱クラッキングと水蒸気ガス化に伴うヘテロ元素の優先脱離(ガス化)機構
に基づき,層内でチャーの化学クリーニングを行い,チャー中のNOx/SOx源を燃焼の前に著しく低
減あるいは消去する.
研究チーム“Biomass Reformers”は,上記i) – iv)の概念を実証すること,具体的には,以下を目標に
掲げ,実験研究ならびにプロセスシミュレーション研究を実施した.
1) 12 MJ m-3以上の発熱量(乾ガス,HHV基準)を有する合成ガスが生成すること.
2) 重質タール収率が0.01%(炭素基準)であること.
3) 流動層における窒素のガス化率(= 100 – チャー中残留N)が95%以上であること.
4) 流動層反応器(水蒸気改質反応器,燃焼反応器)からの排ガスの顕熱を直接利用するバイオマス
乾燥器を設計し,性能を最適化すること.
5) 自立型であり,冷ガス効率が80%以上であるガス化プロセス(プロトタイプ)を設計すること.
本共同研究では,上記を目標とする研究に合わせて,バイオマスの熱化学反応機構,とりわけ迅速熱
分解,タールおよびチャーの水蒸気改質,アルカリおよびアルカリ土類金属種(AAEM)揮発,ヘテロ
元素揮発の機構を詳細に検討し,多くの新知見を得,さらには,研究開始当初に設定した目標を超えた
新概念や新プロセスの提案につながる成果も得た.以下では,本共同研究において得られた主要知見を
総括して報告する.
2. 研究方法
2.1. 研究に使用した試料等
実験研究には,松おが粉(日本産),サトウキビバガスおよびサトウキビトラッシュ(豪州産)を共
通のバイオマス試料とした.産総研における一部の実験では,これらに加えて樫木質部(日本産)も使
用した.流動媒体粒子には,多孔質アルミナおよび珪砂を用いた.このうち前者の物性は以下の通りで
ある.形状:球状,粒子径:150 – 250 µm,比表面積:200 m2 g-1,細孔(径>2 nm)の容積:0.47 ml g-1,
細孔径の分布範囲:4 – 7 nm.
プロセスシミュレーションには,ASPEN Plus™,HYSYS™などの汎用ソフトウェアを利用したが,こ
れらに加えて,SRI において独自に開発した各種の流体力学シミュレーション(CFD)コードをバイオ
マス乾燥器やガス化炉などの設計に活用した.
2.2. 実験研究の方法
迅速熱分解によるバイオマス転換特性ならびに水蒸気改質(ガス化)による熱分解生成物の in-situ 転
換特性は,チームメンバーが独自に設計,開発した 10 種の反応器(表 1)を用いて調べた.これらの反
応器は,極めて複雑なバイオマス転換の逐次・並列転換過程の一部をそれ以外から分離,抽出して観測
できるところに特徴があり,新知見を得るのに大きく寄与した.詳細は,本報告の末尾に示した発表論
文に報告したので,ここでは省略する.
2.3. プロセスシミュレーションの方法
まず,石炭やバイオマス等の固体炭素系資源のガス化炉開発に関する既往の研究を徹底的にレビュー
し,その結果に基づいて形式の異なる 5 タイプの反応器システムについて予備的設計を行った.ついで,
個々のシステムについて,要素技術の適合性を十分に考慮しつつ基本解析(物質・熱収支)とピンチ解
析を実施した.その結果,最も有望な反応器システムとして,熱分解(流動層)
・改質(固定層)
・燃焼
器(噴流層)から成る三段反応器システム,ならびに媒体粒子循環式二段流動層反応器を選定し,さら
に詳細なシミュレーションを実施した.なお,流動層反応器(熱分解,水蒸気改質)および乾燥器の設
計には独自に開発した CFD モデルを適用し,それぞれの操作条件等の最適化を図った.
表 1. 本研究において開発した反応器一覧
Reactor
Wire-mesh reactor
Single-stage drop-tube/fixed-bed
reactor I
Single-stage
drop-tube/fixed-bed reactor II
Two-stage
drop-tube/fixed-bed reactor
Bubbling fluidized-bed reactor
Location
Monash
Hokkaido
Characteristics of biomass conversion investigated
Primary pyrolysis (slow and rapid)
Volatilization of alkali and alkaline-earth metallic (AAEM) species
Hokkaido
Carbon-based conversion of biomass by primary pyrolysis
Hokkaido
Carbon-based conversion of nascent char by steam gasification
Hokkaido
Hokkaido
Single-stage fluidized-bed/fixed-bed
reactor
Monash
Two-stage fluidized-bed/fixed-bed
reactor
Monash
Single-stage drop-tube/fixed-bed
reactor III
Two-stage fluidized-bed/fluidized-bed
reactor-I
Two-stage fuidized-bed/fluidized-bed
reactor-II
Monash
AIST
AIST
Conversion of nascent volatiles by steam reforming and thermal
cracking over porous alumina (fixed bed)
Overall characteristics of biomass conversion by the primary
pyrolysis, thermal cracking & steam reforming of nascent volatiles,
and steam gasification of char/coke
Rapid pyrolysis of biomass involving vapor phase cracking steam
reforming of volatiles, and steam gasification of char in the
presence of volatile-char interaction
Volatilization/release of AAEM species in the presence of
volatile-char interaction
Simulation of volatile-char interaction during the pyrolysis and
steam-reforming/gasification
Volatilization/release of AAEM species in the presence of
volatile-char interaction and/or volatile-ash interaction
Formation/decomposition of NH3 and HCN during pyrolysis and
steam reforming
Conversion of nascent volatiles by steam reforming and thermal
cracking over fluidizing porous alumina
Conversion of nascent volatiles by steam reforming and thermal
cracking over fluidizing porous alumina under independent control
of temperature for primary pyrolysis and reforming of tar
3. 実験結果と考察
本節では,まず,提案プロセスの概念実証に関わる研究成果を 3.1 – 3.4 節に報告する.ついで,3.5 –
3.6 節では,当初の目標を超えて得られた成果ならびに新提
3.1. 迅速熱分解により生成したタールの in-situ 分解特性な
らびに機構
バイオマス試料の迅速熱分解(500 – 800 °C)において生
成したタール蒸気のin-situ分解特性を調べた.表 1 に示した
ドロップチューブ/固定層二段反応器および流動層(一段)
反応器を用いた一連の実験結果に基づき,重質タール(3 環
以上の芳香族化合物群)完全分解消去の必要条件を見出した.
タール蒸気は多孔質アルミナの細孔表面にある酸点上で分
解し,一部はコークに転化するが,このコークはタール蒸気
1
Heav y tar yield , %-C in biomass
案について述べる.
0.8
Pine sawdust
Temperature: 800 C
Steam conc.: 17 vol%
0.6
0.4
0.2
0
0
10
20
30
40
50
の分解とさらなるコーク析出を自触媒的に促進し,これによ
Amount of coke, mmol-C/g-alumina
りタールの深度分解が進行することが判った.
図 1 は,800 °C
図 1.アルミナへのコーク析出量と充填
層通過重質タール収率の関係.タール生
成のための迅速熱分解温度は 500 °C.図
示していないが,水蒸気を供給しない場
合や,熱分解温度を 800 °C とした場合
にも同様の傾向が得られた.
に保持した多孔質アルミナ粒子充填層に連続的にタール蒸
気を通じたときのコーク析出量(横軸)と充填層を通過した
重質タール収率の関係を示したものである.適量(20 – 30
mmol-C/g-alumina)のコークが析出した場合には,水蒸気の有無に関わらず重質タール収率は 0.01%-C
を下回り,最低収率は 0.001%-C未満となる.この収率は,生成ガス(窒素フリー乾ガス)中のタール濃
度が 4 mg Nm-3未満であることに相当する.このような低濃度は,タール分解触媒として知られるドロ
マイト,オリビン,Ni担持アルミナ上のタール改質(水蒸気と酸素を使用した場合)の濃度よりもさら
に低く,アルミナ表面に析出したコークの高い活性が解る.なお,コーク析出量が 30 mmol-Cを越える
と重質タール収率が増加するのは,コーク担体であるアルミナの細孔閉塞とコーク自身の有効表面積の
低下による.
3.2. コーク担持アルミナ上のタール改質による高カロリーガスの製造
表 2 は,松おが粉およびサトウキビバガ
表 2. バイオマス試料の連続迅速熱分解・水蒸気改質試
験で得られた生成物分布(定常状態).
スを水蒸気とともにそれぞれドロップチ
ューブ/固定層二段反応器および流動層
反応器に連続供給したときの生成ガス収
率(定常状態;800 °C)を示す.いずれの
Product yield and others
Sawdust (a)
Bagasse (b)
H2, mol-H2/100 mol-C in BM
51
64
CO, mol-C/100 mol-C in BM
42.7
32.2
分解により生成したタールに由来するコ
CO2
16.7
34.0
CH4
9.2
10.3
ークが適量蓄積して以降は,重質タール収
C2H4
7.1
4.3
率は 0.01%-C未満(検出限界未満)であり,
C2H6
0.7
0.6
このとき,軽質タールの大部分はベンゼン
C3H6
0.9
1.6
C3's (other than C3H6)
0.1
0.2
反応器の場合も,バイオマス試料の迅速熱
により説明された.表より,生成ガスの発
0.2
0.6
Light tar
3.3 (d)
3.2 (d)
程度かあるいはそれ以上であることがわ
Heavy tar
< 0.01
< 0.01
かる.このように,バイオマス試料の連続
Coke (deposited over alumina)
熱量(乾燥ガス,25 °C,常圧)は 12 MJ Nm-3
供給下における生成ガスの発熱量は,本研
究において掲げた目標値を満足した.表 2
C4's
Char
Total chemical energy of product gases,
%-chemical energy of dry biomass
に示した条件を含め,定常状態において重
Calorific value of product gases
質タールを完全消去できる条件では,チャ
MJ m-3 (dry & N2-free basis)
ーとコークを合わせた収率は 10 – 20%-C
であった.後述するが,バイオマスの多段
ガス化プロセスでは,チャーとコークの燃
9.2
7.1
9.0 (c)
5.6
88
87
13.6
11.9
(a) Drop-tube/fixed-bed reactor, 800 °C, steam conc. = 16.7 vol%.
(b) Fluidized-bed reactor, 800 °C, steam conc. = 33.3 vol%.
(c) No char gasification because char was not exposed to steam.
(d) Light tar consists mainly of benzene.
焼によって生成する熱を流動媒体粒子を介して吸熱反応である熱分解・水蒸気改質反応器へと供給する.
この際チャーとコークが不足する場合には生成ガスの一部を燃焼してこの不足を補うことができるが,
いっぽう,チャーとコークが過剰に生成する場合には過剰分がそのまま冷ガス効率の低下に繋がるので
好ましくない.プロセスシミュレーションの結果によれば,チャーとコークの合計収率が 20%-C未満で
あれば発熱反応と吸熱反応のバランスを維持することができるので,表 2 に示した結果は,多孔質アル
ミナ粒子を「流層媒体」,
「高活性なコーク触媒の担体」および「熱媒体」の役割を持つ多機能粒子とし
て働かせることによって高冷ガス効率ガス化を実現できる可能性を示す.詳細は省略するが,コークお
よびチャー収率はいずれも水蒸気分圧の増加に伴って低下し,水蒸気分圧によって燃焼のための固体生
成物収率を制御できることがわかった.
3.3. バイオマス水蒸気改質プロセスの設計とシミュレーション
SRI では,当初に掲げた提案プロセスの基本概念に基づく現実的な反応器システムとプロセスの設計
と評価を実施した.評価は二段階の手順を踏んで行った.まず,第一段階では,異なる 5 つの反応器シ
ステムの評価を反応器,乾燥器,熱交
換器などの要素間の熱・物質収支を満
To1 or 2
Exhaust
Manifolds
Air
HEx1
足する範囲内で実施し,個々について
Decoking
3
Reforming
Manifolds
バイオマスの含水率やチャー収率の
2
5
Direct-contact
typedryer
決定的因子である反応器温度に対す
Flue gas
る冷ガス効率の依存性を評価した.こ
の段階では,以下の知見を得た.
・ 水蒸気投入量(対バイオマス)が
Wet BM
Product
syngas
HEx2
Dry-gas
Cleanup
Bubbling bed
pyrolyzer
To3
Ash
Dry BM
理論的必要最小量よりも大きい場
合,冷ガス効率は水蒸気投入量が少
From4
From3
Alumina beds
4
1
HEx1
Char
combustor
ないほど高くなる(ただし,熱分解,
From5
改質および燃焼によるバイオマス
の完全転化を仮定した場合)
Char
3
・ 熱化学再生システムを導入しない
限り,冷ガス効率は,チャー収率が
20%-C を越えるとその分低下する.
・ モンテカルロ法を導入し,広範囲
の条件について行ったプロセスシ
図 2. バイオマス熱分解,タール改質(コーク燃焼)およびチャー燃焼
を分離した三段反応器システムの概略.
表 3.三段反応器システムのシミュレーション結果.
Throughput/ indicator
Value
ミュレーションの結果によれば,冷
Thermal duty
4.9 MWth
ガス効率が 62%から 85%以上の範
Bagasse feed rate (50% moisture)
2080 kg/h
囲内に収まる確率は 90%である.
Product gas rate (wet basis)
1210 kg/h
第一段階の評価の結果,個々のプロ
セスの長所をハイブリッド化した 1
つのプロセス(図 2)を再提案し,こ
Fan power requirements
Product gas heating value (HHV)
Cold gas efficiency (LHV basis)
59 kW
3
> 11.9 MJ/m
82%
れについて詳細なピンチ解析を実施,
特にバイオマスと水蒸気のフローや
表 4. 二段流動層ガス化システムのシミュレーション結果.
熱交換器の仕様に着目してプロセス
Condition/performance
Value
Temp. of pyrolyzer/steam-reformer
800 °C
Temp. of char/coke combustor
950 °C
Steam-to-biomass mass ratio
0.59
Cold gas efficiency
83%
Alumina circulation rate (a)
6
Fraction of product gas sent to combustor
7%
Calorific value of product gas (HHV)
11.9 MJ/m3
(a) Normalized by feeding rate of bagasse on mass basis.
因子を最適化した.最適化プロセスモ
デル(スケール 5 MWth のプロトタイ
プ)の概略図を図 2 に,主要スペック
を表 3 に示す.このプロセスでは,含
水バイオマスの一部(40 – 50%)は乾
燥器に送り,そこで燃焼排ガス(熱分
解炉内の熱交換器を経由)と接触させて乾燥する.乾燥バイオマスは水蒸気と分離後に,含水バイオマ
スと混合して熱分解へと供給する.このとき,含水バイオマス中の水が水蒸気源となる.熱分解炉で生
成した揮発成分は,多孔質アルミナ粒子充填層(切り替え可能の 2 系列を設置)へ送り,水蒸気改質す
る.コークは,アルミナ充填層の破過が起こる前に燃焼(デコーキング)し,これによりアルミナを再
生する.いっぽう,熱分解炉で生成したチャーは燃焼器で燃焼し,生成した熱は,アルミナ充填層なら
びに熱分解炉へと供給する.このプロセスの一つの特徴はアルミナ粒子を流動させないことであり,こ
れによりシステムの簡略化を図ったことである.表 3 に示したように,本プロセスによって得られる冷
ガス効率は 82%(サトウキビバガスの場合)と計算される.
北海道大学と産総研では,バイオマス熱分解・水蒸気改質炉(改質炉)とチャー/コーク燃焼炉を備
えた二段流動層ガス化プロセスのプロセスシミュレーションを実施した.このプロセスでは,改質炉(温
度 800 °C)と燃焼炉(950 °C)の間をア
ルミナ粒子が熱媒体ならびにコーク触媒
担体として高速循環する.表 2 に示した
実験結果に基づき,これ加えて,燃焼排
熱によるバイオマス乾燥を想定したシミ
ュレーションでは,83%という高い冷ガ
ス効率が得られた(表 4).さらに,軽質
タール(収率:3%-C)をチャー,コーク
とともに燃焼することにより冷ガス効率
は 84%まで向上した.ただし,表 4 に示
したスペックを実現するためには,アル
ミナ粒子をバイオマス供給速度の 6 – 7
倍の速度(質量基準)で高速循環する必
要があり,技術的課題が残る.なお,表
3 および 4 に示した結果は,炉体や熱交
換器からの熱損失を考慮していないこと
を付記しておく.
図 3.サトウキビトラッシュの熱分解・水蒸気改質におけるNH3 お
よびHCN生成特性(流動層/固定層二段反応器).(a) 温度 700°C; (b)
温度 800°C. ■, HCN(固定層にバイオマス灰を充填しない場合).□,
NH3 (固定層にバイオマス灰を充填しない場合).●, HCN (固定層
にバイオマス灰を充填した場合).○, NH3 (固定層にバイオマス灰
を充填しない場合).
SRI では,種々の形式の乾燥器におけ
るバイオマス乾燥特性を既存の乾燥速度データに基づいて CFD シミュレーションしたところ,乾燥器
下部から高温ガス(プロトタイププロセスの場合,燃焼排ガス)を導入するガス・バイオマス並流の直
接接触乾燥器が最も効率よくバイオマスを乾燥でき,その結果乾燥器をコンパクトにできることを明ら
かにした.さらに,原料バイオマスの含水率による排ガスの必要投入量についても詳細に検討し,そこ
で得られた知見は前述した提案プロセスのピンチ解析に大きく寄与した.
3.4. バイオマス中窒素のガスへの転化特性とチャーからの窒素除去
モナシュ大学では,熱分解とこれに続くチャーおよび揮発成分のin-situ改質過程における窒素の転換
特性と行方を種々の新規反応系(表 1)において系統的に調べた.実験研究の結果,バイオマス中窒素
のアンモニア(NH3)とシアン化水素(HCN)に関して以下の主要反応経路を明らかにした.
a) NH3: 熱分解するバイオマスマトリクス内の含窒素部位の加水分解(初期熱分解)
b) NH3: チャー中の含窒素官能基の熱分解と水素添加による分解
c) NH3: 気相におけるタールの熱分解
d) NH3: HCNの加水分解
e) HCN: 気相におけるタールの熱分解
さらに,バイオマスから生じた灰分や金属種の触媒的働きにより,NH3の生成がHCNに対してより優先
的になることも明らかになった.NH3およびHCN生成特性を図 3 に示す.ここで注目すべきは,NH3お
よびHCNの収率の和が,元のバイオマス中Nの 80 – 95%に達することである.熱分解・改質時には,バ
イオマス中Nの一部はN2にも転化するので,その結果,チャー中に残留するNの割合がかなり低くなる.
チャーの元素分析等の結果に基づけば,チャー中に残存するNの割合は最も高い場合でもわずか 5%であ
る.N含有率が 0.31 wt%であるサトウキビバガスの場合,チャーに残存するNはバガス基準ではわずか
0.01%となるので,チャー燃焼によって生じるNOxを処理する必要がない.
3.5. バイオマス中金属種ならびに塩素の揮発特性と機構
バイオマスに含まれる AAEM の挙動解明は,
これらの金属種を改質触媒として利用するだけでなく,
Biomass
Decomposition of O-group
Dissociation of CO-K
induced by H-radicals
Char
KCl
Char-boned K
C-O-K
COO- K+
K-silicates
Elemental K
Interaction between
volatile K and char surface
K-silicates
図 5. 初期熱分解における AAEM の転換,揮発特性(K の場合を
例にしたもの).
CO+H2
Gas-solid
separation
(Cyclone)
Coal+
O2-enriched
air+H2O
Catalyst Char
Moving
Moving-bed
bed unit
reactor
Gasifier
Gasifier
Char
CO2 + H2
Deactivated char
Adsorbents
図 4. 熱分解時の K の揮発特性(流動層/固
定層二段反応器)に対するバイオマス粒子昇
温速度とピーク温度の影響.図の縦軸は元の
試料中の K に対するチャー中の K の割合.
Fe
loadedCoal
Catalyst
preparation
unit
Gas
separation
Flue gas recycle
H2
CO2 Capture
Ash
図6. 褐炭由来のチャーに担持したFe触媒によるNOx/SOx前駆体分
解ならびに水性ガスシフト反応を組み込んだ石炭(バイオマス)
ガス化プロセス概念図.
ガス化炉の運転トラブルを回避するためにも必要不可欠である.モナシュ大学と北海道大学では,初期
熱分解からチャー水蒸気改質に至る過程での AAEM の揮発特性を包括的に調べた.得られた知見を以
下に纏める.
a) 熱分解およびチャー改質時には,K および Na だけでなく,Ca および Mg も揮発する(従来の研究
では報告なし)
b) AAEM のうち,K および Na の揮発は著しく,チャー粒子内のシリカ濃度が低い松おが粉の場合,
ほぼ 100%が 800 °C で揮発する場合がある(初期熱分解の場合).
c) 揮発成分はチャー粒子表面と相互作用する際に,水素ラジカルをチャーに供与し,その結果,金属
状態の AAEM の揮発を促進する.このことに加えて,チャーは AAEM の再吸着剤としても振る舞
うので,AAEM の揮発率は反応器形式も含めて熱分解・改質条件に著しく依存する.
d) AAEM はチャー中のシリカ,アルミナと反応してシリケートを生成し,不揮発化する.
e) 酸化物や炭酸塩は重要な揮発種ではない.
以上に述べた知見に基づき,我々はこれまでに提案,推定されてきた AAEM の揮発機構を修正し,新
たな機構(例えば図 5:揮発成分とチャーの相互作用のない場合)を提案した.なお,バイオマス中の
塩素は,KCl や NaCl としてではなく,バイオマス中の水素を引き抜いて HCl として揮発することが明
らかになった.
3.5. 炭素質中に高分散した Fe ナノ粒子触媒の開発
モナシュ大学では,褐炭と鉄塩を原料として,炭素質マトリクス中に高分散したFeナノ粒子触媒
(Carbon-supported Nano Iron Catalyst: CNIC)を開発した.Feを褐炭粒子にイオン交換担持し,ついで,
Feイオン担持褐炭を熱分解すると,チャーマトリクス中に 50 nm以下のナノFe粒子が分散する. CNIC
は,安価である上に,低温で水性ガスシフト反応に対して市販触媒なみの高い活性を示す.CNICはHCN
やNH3に対してはこれらをN2に分解する触媒として,硫化水素(H2S)に対してはSの固定剤として働く
ので,バイオマスや石炭のガス化により生成したこれらのガスを乾式除去する触媒として有効である.
前述のように,バイオマスの熱分解・改質では,含有窒素の大部分がNH3やHCNに転化するので,これ
らの分解除去は極めて重要である.CNICは,安価でありかつ高活性な分解触媒として期待できる.
Fe ナノ粒子触媒の特性を活用した石炭/バイオマスガス化プロセスの概念を図 6 に示す.このプロセ
スでは,ガス化炉の下流に CNIC の移動層反応器を配置する.移動層では,合成ガスのシフト反応なら
びに脱 S・脱 N だけでなく,さらに揮発金属の凝縮や残留タールの析出・分解も進行し,種々のガス精
製が一段で完了する.CNIC は,通常の(廃)触媒とは異なり,廃棄や再生の問題が生じない.なぜな
ら,使用済みの CNIC をガス化炉に投入すれば,CNIC の炭素質はガス原料となり,いっぽう,Fe はガ
ス化触媒として機能するからである.また,Fe ナノ粒子は CNIC の炭素質のガス化を低温(ただし 600 °C
以上)で促進するので,例えば,ガス化炉から排出されるガスを CNIC と接触すると,炭素質のガス化
が進んで水素,CO が生成するとともに高温ガスが化学的にクエンチされ,その結果,熱化学再生が起
こる.このように,CNIC の移動層反応器は,簡便かつ高度の乾式ガス精製や水性ガスシフト反応によ
る CO 転換だけでなく,熱化学再生(冷ガス効率向上)の役割も果たす多機能反応器と成り得る.
3.6. 低温熱分解(炭化)によるバイオマス資源のアップグレーディング
バイオマス熱化学変換の第一段階である初期熱分解では,60%を越える収率(炭素基準)でタールが
生成する.このタールを本研究で用いた多孔質アルミナと効率よく接触できれば,タールはアルミナ表
面で迅速にコークキングし,さらに,生成コークはタールの自触媒的コーキングを引きおこす.産総研
と北海道大学では,バイオマス試料を 500 – 600 °C の低温で熱分解し,65%前後という(炭素基準)と
いう極めて高い収率で高付加価値のタールフリー炭化物を得る熱分解プロセス(図 7)を提案した.炭
化物のうち,コークは,タールフリー,超低 N/S 含有率,低湿分,高発熱量,水蒸気との高い反応性な
どの特徴を有し,固体エネルギーキャリアとしての利用が可能である.たとえば,中高温の水蒸気源が
あれば,水蒸気とコークを接触させ,オンサイトで水素リッチガスを生成できる.熱源がない場合は,
コークの一部を燃焼して熱を供給すればよい.コーク担持アルミナ粒子のハンドリング性は極めて良好
であり,また,ポータビリティーや安全性にも優れる.
バイオマスガス化発電プロセスの開発が国内外で進められているが,発電効率はせいぜい 30%程度で
ある.これに対して,現在商業
Gases (CH
化に向けて開発段階にある石
炭ガス化複合発電の発電効率
は 48–55%であり,バイオマス
Biomass
Pyrolysis
400 - 600 °C
Char
4,
CO, CO
2,
H 2)
No tar
Concentrated metallic
Species (K, Na, Ca)
Tar-free
利用発電よりも著しく高い.た
Coal gasification
(as fuel & catalyst)
QuickTimeý Dz
êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ-Ç ÅB
だし,発電効率をさらに向上す
Coke (+ recyclable carrier )
るには,ガス化の低温化・迅速
化による冷ガス効率向上が必
須である.現在開発中のガス化
では,生成ガスのガス化炉出口
における温度は 1200 °C程度で
あり,この高温ガスの顕熱は,
Nano-porous particle
(Recyclable coke carrier
)
Low moisture
Low N, S, Cl & ash
High calorie (> 30 MJ/kg)
Tar-free
High surface area
High reactivity
Excellent fljuidizability
Coal gasification
(as ultra-clean &
highly reactive
solid fuel)
図 7. バイオマスの低温熱分解(炭化)による高品位固体エネルギーキャリア
製造の概念図.
Syngas
Syngas/Char
Boiler
Syngas
BM-Coke
Coal
Gasifier
Hybrid
Gasifier
Coal
Coal
Steam/O
2
Syngas
> 800°C
Coke carrier
2
Coal +
BM-char
Steam/O
2
to
BM-carbonizer
Char
Water
Ash
Ash
Current coal gasification
< 900°C
BM-Coke
Gasifier
Char
Solid-gas separator
Coal
Gasifier
Steam/O
Syngas/Char
> 1100°C
Steam
Char
Syngas/Char
> 1100°C
Sequential gasification
of coal and biomass-coke
Ash
Co-gasification of
coal and biomass-char
図 8. バイオマス由来の高品位炭素質固体を活用した石炭ハイブリッドガス化の模式図.
水蒸気発生に利用される.アルミナに担持したコークを石炭ガス化炉後段に設置すれば,コークは石炭
ガス中の水蒸気とCO2によってタールフリーガス化され,このとき,石炭ガスの顕熱の一部はコークの
ガス化によって化学的にクエンチ,すなわち熱化学再生される.熱化学再生によって得られる水素リッ
チガスの化学エネルギーはもとのコークのそれに対して 130%前後である.
バイオマスの低温熱分解においてコークと共に生成するチャーには AAEM が濃縮される.チャーを
石炭ガス化炉に投入すれば,AAEM は石炭のガス化を促進するので,ガス化温度を低くでき,冷ガス効
率を向上できる.バイオマス由来の炭化物を活用するハイブリッドガス化炉の模式図を図 8 に示す.
4. 結論
本共同研究において得られた成果を以下に纏める.
(1) 熱化学再生型バイオマス水蒸気改質プロセスの概念を以下の実験あるいはプロセスシミュレーショ
ンの結果により実証した.(※はシミュレーションの結果)
・バイオマスタールからメソ多孔質アルミナ上に自動生成するコーク触媒による重質タールの消去
・ 発熱量が 12 – 14 MJ m-3である高カロリーガスの生成
・ 二段流動層ガス化プロセスおよび三段ガス化プロセスによる 80%以上の冷ガス効率達成(※)
・ バイオマス中窒素のガスへの転化率>95%
(2) バイオマスの熱化学反応による転換特性に関して新知見を得た.
・バイオマス中窒素のNH3およびHCNへの転換特性と反応機構の解明
・ アルカリおよびアルカリ土類金属種の揮発特性と機構の解明
・ 窒素転換,金属揮発およびチャーの水蒸気ガス化特性に対する揮発成分—チャー相互作用の著しい
影響
(3) 当初の研究目標を超えた新提案を行った.
・チャー炭素質に高分散担持したFeナノ粒子触媒によるガス化ガスの乾式精製(NOx/SOx前駆体分解)
および水性ガスシフト反応
・バイオマス低温熱分解によるタールフリー高品位炭素質の生成と石炭ハイブリッドガス化への適用.
5. 発表論文リスト
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of Active Catalyst for Eliminating Biomass Tar During Steam Reforming. Proc. 10th APCChE Congress
(CD-ROM Edition), 756 (2004)
Li, X., Wu, H., Hayashi, J.-i., Li, C.-Z. Volatilisation and Catalytic Effects of Alkali and Alkaline Earth Metallic
Species during the Pyrolysis and Gasification of Victorian Brown Coal. Part VI. Further Investigation into the
Effects of Volatile-Char Interactions. Fuel, 83(10):1273-1279 (2004)
Hayashi, J.-i., Mae, K. Thermodynamic Consideration on Integration of Biomass Conversion into Coal
Gasification. Proc. 21st Int. Pittsburgh Coal Conf. (in CD-ROM; ISBN 1-890977-21-7) (2004)
Hosokai, H., Hayashi, J.-i., Shimada, T., Kobayashi, Y., Li, C.-Z., Kuramoto, K., Chiba, T. Spontaneous
Generation of Tar Decomposition Promoter in a Biomass Steam Reformer, Trans IChemE Part A,
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Hosokai, S., Hayashi, J.-i. Steam reforming of biomass. Enerugii-Shigen (in Japanese), 26:178-182 (2005)
Okuno, T., Sonoyama, N., Sathe, C., Li, C.-Z., Hayashi, J.-i., Chiba, T. Primary Release of Alkali and Alkaline
Earth Metallic Species during Pyrolysis of Pulverized Biomass, J. Energy & Fuels, 19:2164-2171 (2005)
Keown, D. Favas, G., Hayashi, J.-i., Li, C.-Z. Volatilization of Alkali and Alkaline Earth Metallic Species during
the Pyrolysis of Biomass: Differences Between Sugarcane Bagasse and Cane Trash. Bioresource Technology,
96:1570-1577 (2005).
Wu, H., Li, X., Hayashi, J.-i., Chiba, T., Li, C.-Z. Effects of Volatile-Char Interactions on the Reactivity of Chars
from NaCl-Loaded Loy Yang Brown coal. Fuel, 84:1221-1228 (2005).
Bazardorj, B., Hayashi, J.-i., Shimada, T., Sathe, C., Hatakeyama, K., Li, C.-Z., Chiba, T. Kinetics of Steam
Gasification of Nascent Char from the Rapid Pyrolysis of a Victorian Brown Coal. Fuel, 84:1612-1621 (2005).
Tian, F., Yu, J.-i., Mckenzie, L.J., Hayashi, J.-i., Chiba, T., Li, C.-Z. Formation of NOx Precursors during the
Pyrolysis and Gasification of Coal and Biomass. Part VII. Pyrolysis and Gasification of Cane Trash with Steam.
Fuel, 84:371-376 (2005).
Tian, F.-J., Wu, H., Yu, J.-l., McKenzie, L.J., Konstantinidis, S., Hayashi, J.-i., Chiba, T., Li, C.-Z. Formation of
NOx Precursors during the Pyrolysis of Coal and Biomass. Part VIII. Effects of Pressure on the Formation of
NH3 and HCN during the Pyrolysis and Gasification of Victorian Brown Coal in Steam. Fuel, 84:2102-2108
(2005)
Bazardorj, B. Sonoyama, N., Hayashi, J.-i., Hosokai, S., Li, C.-Z., Chiba, T. Inhibition of Steam Gasification of
Char in a Fluidized-Bed under Continuous Feeding of a Victorian Brown Coal. Fuel, 85:340-349 (2006)
Yu, J., Tian, F.-J., Mckenzie, J., Li, C.-Z. Char-supported nano iron catalyst for water-gas-shift reaction: hydrogen
production from coal/biomass gasification. Trans IChemE Part B, in press (2006)
Tian, F.-J., Yu, J.-l., McKenzie, L.J., Konstantinidis, S., Hayashi, J.-i., Li, C.-Z. Formation of NOx Precursors
during the Pyrolysis of Coal and Biomass. Part IX. Effects of Coal Ash and Externally Loaded-Na on Fuel-N
Conversion during the Reforming of Coal and Biomass in Steam. Fuel, in press (2006)
Tian, F.-J., Yu, J.-l., McKenzie, L.J., Hayashi, J.-i., Li, C.-Z. Formation of HCN and NH3 during the Reforming of
Quinoline with Steam in a Fluidised-bed Reactor. Energy & Fuels, in press (2006)
Li, X., Hayashi, J.-i., Li. C.-Z. FT-Raman Spectroscopic Study of the Evolution of Char Structure during the
Pyrolysis of a Victorian Brown Coal. Carbon, submitted.
Li, X., Hayashi, J.-i., Li. C.-Z. Volatilisation and catalytic effects of alkali and alkaline earth metallic species during
the pyrolysis and gasification of Victorian brown coal. Part VII. Raman spectroscopic study on the changes in char
structure during the catalytic gasification in air. Fuel, submitted
Kuramoto, K, Matsuoka, K., Hosokai, S., Hayashi, J.-i. Catalytic reforming and coking of nascent volatiles
derived from flash pyrolysis biomass using meso-porous particles. I&EC Res., submitted.
Examination of catalytic roles of inherent metallic species in steam reforming of nascent volatiles from the rapid
pyrolysis of a brown coal. Masek, O., Sonoyama, N., Ohtsuno, E., Hosokai, S., Li, C.-Z., Chiba, T., Hayashi, J.-i.
Fuel Processing Technology, submitted.
Joyce, J.A., Hobson, P.A., Dixon, T.F. The optimisation of a gasification cycle utilising inherent potassium
catalysed biomass reforming of tars. Industrial Engineering Chemistry Process Design and Development,
submitted.
Factors influencing release of alkali and alkaline earth metallic species from fixed bed of biomass char upon
heating. Sonoyama, N., Okuno, T., Masek O., Hosokai H., Li, C.-Z., Hayashi, J.-I. Energy & Fuels. submitted.
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