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6701KB - 株式会社SCREENホールディングス

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6701KB - 株式会社SCREENホールディングス
社会環境報告書 2008 ∼思考展開レポート∼
思考展開
社会環境報告書
2 0 0 8
思考展開レポート
〒602-8585 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1-1
発行:総務・環境戦略室/広報室
本報告書に関するご意見、
お問い合わせ:総務・環境戦略室
Tel:075-414-7044 Fax:075-414-7043
FSC認証用紙の使用
環境保護印刷の採用
適切に管理された森林からの木材(認証
材)
を原料とした紙として、FSCから認証を
受けた用紙を使用しています。
環境保護印刷推進協議会が提唱するゴー
ルド認証基準に適合した、地球環境に優し
い印刷方法で制作されています。
大豆油インキの使用
カラーユニバーサルデザインの採用
アメリカ大豆協会が認定する生分解性や
脱墨性に優れ、印刷物のリサイクルが容易
な大豆インキを使用しています。
色覚の個人差を問わず、多くの方に見やす
いよう配慮して作成し、NPO法人カラーユ
ニバーサルデザイン機構の認証を取得して
います。
インターネットでのお問い合わせは、
当社ホームページよりお願いいたします。
URL http://www.screen.co.jp/top/contact.htm
本誌は、
当社の千都フォントを使用しています。
GAE-009 2008年6月発行
6000 TSM(R0-0)
会社概要
名 : 大日本スクリーン製造株式会社
DAINIPPON SCREEN MFG. CO., LTD.
社
本 社 所 在 地 : 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1-1
設 立 年 月 日 : 1943年10月11日
代
者 : 取締役会長 石田 明
取締役社長 橋本 正博
表
(2008年3月期)
連 結 売 上 高 : 2,798億円
(2008年3月期)
単 独 売 上 高 : 2,251億円
資
(2008年3月期)
金 : 540億円
本
(2008年3月期)
連結従業員数 : 5,041人
(2008年3月期)
単独従業員数 : 2,268人
連結子会社数 : 46社(国内22社、海外24社)
本社
■事業別の連結売上高比率(2008年3月期)
■主要製品
電子工業用機器事業
その他
0.9%
画像情報
処理機器
22.5%
電子工業用機器
76.6%
●半導体製造装置
(バッチ式洗浄装置、枚葉式洗浄装置、
コータ・デベロッパー、熱処
理装置、表面検査・測定装置)
●FPD製造装置
(コータ・デベロッパー、
エッチング装置、剥離装置、露光装置、表面
検査装置)
その他の
電子工業用機器
および部品
2.8%
●プリント配線板製造装置
(パターン検査装置、外観検査装置、描画・露光装置、
パターン測長
装置)
FPD製造装置
11.7%
半導体製造装置
62.1%
画像情報処理機器事業
●CTP(プレート出力機)、
デジタル印刷機、
その他印刷・製版関連機
器、文字フォント
■地域別の連結売上高比率(2008年3月期)
その他
4.4%
欧州
9.2%
■組織図(2008年4月1日現在)
日本
34.0%
北米
14.7%
株主総会
取締役会
アジア・
オセアニア
37.7%
監査役会
グループ監査室
会長・社長
秘書室
広報室
内部統制推進室
コーポレート
■連結売上高と連結従業員数の推移
売上高
(億円)
3,400
従業員数
半導体機器カンパニー
(人)
5,100
FPD機器カンパニー
3,200
5,000
メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー
3,000
4,900
5,041
4,798
2,800
2,600
4,700
4,547
2,400
2,200
4,800
4,672
4,460
4,500
2,000
1,800
4,300
1,919
2,693
技術開発カンパニー
4,600
4,400
1,600
ソフトウエア・テンナインカンパニー
2,465
3,013
2,798
4,200
理財カンパニー
総務カンパニー
人事カンパニー
4,100
1,400
知財センター
2004年
3月期
2
2005年
3月期
2006年
3月期
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
2007年 2008年
3月期
3月期
プロキュアメントセンター
編集方針
本報告書では、
ステークホルダーの皆さまにとっての重要な関心事、
当社グループに
とって重要な社会的責任であると考えている課題について、
重点的に報告しています。
特集では、
ステークホルダーの皆さまの期待に応える取り組みとして、彦根地区事業
所の整備「エレクトロニクス事業の発展を支える」、
ステークホルダー座談会「企業に
望まれる社会貢献と環境活動とは」、海外現地レポート
「中国現地法人MTMCの環
境対策」
を紹介しています。
情報の経年報告、
目標設定に加え、継続的改善を図れる誌面づくりに努めるととも
に、
当社ホームページにおいて、本報告書および過去の報告書のPDFや、本報告書に
掲載されていない情報、
各種詳細データなどを掲載し、
網羅性を高めています。
また、
今回の報告書ではカラーユニバーサルデザインを採用しています。
URL http://www.screen.co.jp/kankyo
会社概要 ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
編集方針 ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
トップメッセージ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 4
「未来への成長のために
リスクを恐れず、
飽くなきチャレンジを続けていきたい」
企業活動報告
位置付け
本報告書は、
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)
につい
て、主に社会・環境的側面から当社の企業活動、環境保全活動などを報告していま
す。
このほか、主に経済的側面から営業活動報告、財務諸表等を掲載するアニュアル
レポートなどがあります。
これらは、
ステークホルダーの皆さまに向けて情報を開示
する当社グループの年次報告書です。
年次報告書
社会環境報告書
経営指針・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 6
事業紹介
「電子デバイスの未来に貢献する」・
・・ 8
特集1 彦根地区事業所の整備・
・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
「エレクトロニクス事業の発展を支える」
特集2 ステークホルダー座談会・
・・・・・・
・・・・・・・・・ 12
「企業に望まれる社会貢献と環境活動とは」
アニュアルレポート
をはじめとする開示資料
社会
特集3 海外現地レポート・
・・・・・・・・・ 14
・・・・・・・・・・・
「中国現地法人MTMCの環境対策」
コーポレート・ガバナンス・
・・・・・・・・・ 16
・・・・・・・・・・・
社会
コンプライアンス・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 17
環境
経済
環境
経済
社会性報告
発行目的
ステークホルダーとのかかわり・
・・・・・・・
・・・・・・・・・ 18
当社グループの情報をステークホルダーの皆さまに開示・説明する責任を果たすと
ともに、
コミュニケーションの一助とするほか、今後の報告書の充実や企業活動に生
かし、
持続可能な企業として常に改善していくことを目的に発行しています。
お客さまとのかかわり
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 20
報告対象期間
2007年度
(2007年4月1日∼2008年3月31日)
ただし、一部の情報については上記以外の期間も含みます。
購入先とのかかわり・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 23
株主・投資家とのかかわり・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 24
従業員とのかかわり・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 26
地域社会とのかかわり・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・ 29
報告対象範囲
原則として、大日本スクリーン製造株式会社および国内・海外グループ会社を対象と
しています。環境負荷データおよび環境会計データは、環境マネジメントシステムを
構築している国内事業所単位およびグループ会社を対象としています。
環境経営報告
参考にしたガイドライン
環境経営の推進 ・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・
・・・・・ 31
GRI(Global Reporting Initiative)
「サステナビリティレポーティングガイドライン第3版」
環境省
「環境報告ガイドライン2007年版」
環境省
「環境会計ガイドライン2005年版」
※ GRIガイドライン対照表については、
製品の環境安全対策・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
事業活動における環境対策 ・
・・・・・・・・・・・・・・・・Web
環境会計・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Web
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/gri.html をご参照ください。
発行時期
第三者意見・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
2008年6月
(次回:2009年6月予定 前回:2007年6月)
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
3
トップメッセージ
未来への成長のために
リスクを恐れず、飽くなきチャレンジを続けていきたい。
取締役会長 石田 明(左)
、取締役社長 橋本 正博(右)
企業ブランド向上への経営
当社は、主力の4事業すべてで世界、
また国内トップシェアを持
4
ん。結果として、学生の方々からは
「あの会社に入りたい」、一般
つ多くの製品を有しています。
しかし、事業領域では製品のブ
の方々からは「あの会社に投資してみよう」などの関心を持っ
ランド力はある程度持っているものの企業ブランドとしての社
ていただくことが出来ると思います。
会的な認知度はまだまだ低く、製品のみならず、企業そのもの
さて、今年は前身の石田旭山印刷所の創業から140年、
また
の
「ブランド」
を上げていくことが大きな課題であると思ってい
同社のガラススクリーン研究部門が独立して大日本スクリーン
ます。
「ブランド」
とは、企業としての価値ある信頼の証しであ
製造株式会社としてスタートして65年目に当たります。長年、
り、
お客さまに質の変わらないサービスを提供し続けることを
当社ならびに当社グループを支えていただいた皆さまに心か
約束するものです。
そうなれば、
お客さまは次もまた、
当社の製
ら感謝申し上げます。
あらためて今、
ガラススクリーンから印刷
品を購入してくださるでしょう。
そのようなステークホルダーの
製版機器、
カラーテレビ用ブラウン管マスクなどの電子部品や
期待に応えられるブランドを構築していかなければなりませ
半導体、
フラットパネルディスプレーの製造装置に展開してき
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
し こう て ん か い
た
「思考展開」
の理念に立ち返り、
さらなる成長への思いを新
の安定と拡大を、
そして従業員に適正な報酬で応えることがわ
たにしたいと思っています。大日本スクリーンの歩みは新しい
たしたちの最大の社会的責任であると考えています。
技術へのたゆまぬ挑戦の歴史であり、
その繰り返しが、今日の
高い占有率を誇る製品群を生み出す原動力となったものと思
います。
これからもお客さまの厚い信頼に応えていくためには、技術の
ステークホルダーの皆さまが
「夢」
を託せる企業へ
革新性、開発スピード、
コスト、製品の品質はもちろん、
サービ
スを含めた総合的な競争力強化が必要です。2006年度には、
当社はガラススクリーンの時代、
その不安定な需要サイクルか
当社最大の生産拠点である彦根地区事業所に半導体製造装
らの打開策として
「亀の甲経営」
と称する事業の多角化を展開
置の新 生 産 棟「 F a b . F C - 2 」、F P D 製 造 装 置の新 生 産 棟
してきました。
そして今、
当社では中長期ビジョンに立って、新
「CS-1」
を建設しました。
また2007年度は、半導体製造装置
しい事業の創成に向けて、既に複数の分野で可能性を探って
の品質、性能を最大限に引き出し、製品競争力の強化を目的と
います。
その一つは、創業事業である印刷分野での
「POD(プリ
した
「プロセス技術センター」
を新設しました。
モノづくりの基
ント・オン・デマンド)」
です。
これは、大量の紙に大量の情報を
お客さまの期待
本であるQCD+E※の向上を追求することで、
印刷して広く情報伝達を行う従来の印刷手法から、
ニーズの
に、
より高いレベルで応えられるものと自負しています。併せ
多様化を背景としたワン・トゥ・ワンマーケティングへと印刷産
て、今年4月から、印刷製版機器事業とプリント配線板製造装
業に新たなソリューションを提供するものです。
これには環境
置事業の2つのカンパニーを統合したことで、技術とマーケッ
保全、特に紙の消費量など省資源の視点からも注目されてい
トの両面でシナジー効果を一層追求し、業績の拡大を目指し
くのではないかと思っています。
ます。
また、
インクジェットの技術を発展させて、紙への印刷だけで
なく、
自動車の内装パネルへの印刷など電子工業部品分野へ
の進出を具体的に進め、市場拡大に取り組んでいきます。
さら
環境保全や企業の社会的責任への
取り組み
にFPD製造装置事業では有機ELへの展開や、画像処理技術
を駆使したロボット分野への開発推進など、
「思考展開」
の理
念のもと、産業と社会、文化の発展に貢献していきます。
環境や企業の社会的責任を語るには、
まず何よりも安定した
わたしたちは新事業に伴うリスクを恐れず、
「この技術に懸け
業績の確保が重要です。
わたしたちは企業基盤を一層強化し、
る」
ロマンを持ち、
飽くなきチャレンジを続けていきたい。
当社は
「企業ブランド」
を確立していかなければなりません。
そのため
には、環境に配慮したモノづくりと従業員の環境保全への意
「思考展開」
を理念とする
「研究開発型企業」
です。
その名に恥
じぬよう、
大日本スクリーンはイノベーションを続けていきます。
識を持つことが重要だと思います。
ステークホルダーの皆さまには、
わたしたちの思いをご理解賜
京都議定書の目標開始年である2008年を迎え、
当社グルー
りたく、
そしてこれからも未来に向けて、
わたしたちと同じ
「夢」
プは製造プロセスを一層改善し、その最適化によって投入す
を共有していただきたくお願い申し上げます。
る資源を削減し、使用する薬液や水など、廃棄物の抑制に注
2008年6月
力します。
そして、何よりも大切なのは、
当社製品がお客さまの
もとでどれだけ高い環境パフォーマンスを発揮するかというこ
とです。その意味でも、
このほど完成した「プロセス技術セン
ター」
には大きな期待を寄せています。
一方、社会的責任への取り組みについては、
コーポレート・ガ
バナンスやコンプライアンスを重要な経営テーマとしていま
す。2006年度に設置した
「内部統制推進室」
を中心に、主要業
務の文書化、
コンプライアンス体制とビジネスリスク管理体制
大日本スクリーン製造株式会社 取締役会長 大日本スクリーン製造株式会社 取締役社長 石田 明
橋本 正博
の整備などを柱として、経営の透明性、健全性の確保に努めて
います。
とはいえ、
これらだけで企業としての社会的責任を果
たせるものとは考えていません。市況変化に業績が左右されや
すい企業体質からの変革に向かって、雇用の維持を前提とし
て企業価値の向上を目指し、社会に納税を、株主・投資家さま
に還元を、
お客さまに十分な満足を、購入先さまにはビジネス
※ QCD+E:品質(Quality)、
コスト
(Cost)
、納期(Delivery)
に環境
(Environment)
を付加したもの。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
5
企業活動報告
経営指針
「思考展開」
のDNAは、
のDNAは、
時代とともに脈々と受け継がれています。
時代とともに脈々と受け継がれています。
し こう て ん か い
経営理念─「思考展開」
企業理念─3つの信条
1946年度制定
1995年度制定
研究開発型企業として生まれた大日本スクリーンの、事業展
未来永続的な存続と繁栄のために、
かくありたいとする理想像
開の基本的理念です。
「自社の技術や製品にどう結び付くの
や戦略の基本を定めたもので、全グループ社員の指針、
ガイド
か」
「何が不足しているのか」
を考え、時代や社会に常にアンテ
ラインとして、活力ある企業体質をつくり出しています。
ナを張り、思いを巡らせながら新しい事業や製品の創造にチャ
未来共有
レンジを続けるという強い思いが込められています。
未来をみつめ社会の期待と信頼に応える
人間形成
働く喜びを通じて人をつくる
技術追究
独自技術の追究と技術の融合を推進する
経営指針イメージ図
経営理念
企業理念
倫理憲章
思考展開とは?
会長・石田明の父で、創業2代目にして会社を設立
した前会長の德次郎(故人)が提唱した言葉。
これ
は、
ガラススクリーンの写真触刻技術をコアとして、
世界のさまざまな国と地域に広がる
「思考展開」
の精神
欧州
8
社
北米
術、光学系技術などのフォトリソグラフィーに展開
し、印刷関連の総合機器メーカーへと発展させた
基本的理念を言い表したものです。
6
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
5
日本
精密線引き技術、感光剤塗布技術、エッチング技
アジア・オセアニア
11
社
22
社
社
倫理憲章─8つの規範
2002年度制定
企業活動を行っていく上で、
当社グループ各社および全役員、全従業員が順守し、
実践すべき普遍的な規範を定めるものです。
5.「安全衛生の確保」
当社グループは、国内および海外の各種法令や社会規範お
事業活動の基本は人であり、当社グループは人が安心して
よび会社規定を順守し、公明正大に、良識ある企業活動を
働くことができる安全かつ健康的で快適な職場づくりを目
展開します。
指します。
2.「社会貢献」
6.「企業情報の開示」
当社グループは、
大日本スクリーン企業理念を実践し、
環境・
当社グループは、広く社会とのコミュニケーションを図り、企
安全に配慮した優れた製品、サービスを提供することによ
り、産業発展への貢献をはじめ収益の社会的還元に努める
など、
広く社会に貢献します。
企業活動報告
1.「法令、社会規範の順守」
業情報を適切かつ公正に開示し、
経営の透明性を高めます。
7.「会社資産の保護」
権、技術資料などの知的財産、業務上の秘密情報などを不
当社グループは、一人一人の基本的人権を尊重するととも
正に使用したり、外部へ漏洩させるなど、企業経営を阻害す
社会性報告
当社グループは、各種機器などの有形資産、特許権や著作
3.「人権の尊重」
ろうえい
に、社内的地位、雇用形態、年齢、性別、
出身、祖先、国籍、人
種、障害の有無、宗教、信条、既婚、未婚などを理由とした差
別や不利な扱いを一切行いません。
ることは一切いたしません。
きぜん
8.「反社会的勢力への毅然たる対応」
当社グループは、社会秩序や健全な企業活動を阻害する恐
4.「人と地球にやさしい環境形成」
れのあるあらゆる団体や個人などからの要求に対しては、毅
当社グループは、人と地球に優しい環境形成の技術を追究
然たる態度で臨み、
その要求には一切応じません。
環境経営報告
することにより、世界の人々が自然と共存し豊かな未来を共
有できる社会の実現に貢献します。
ステークホルダーの立場の尊重にかかわる取り組み状況
社内規定などにより
ステークホルダーの立場の尊重
について規定
環境保全活動、CSR活動
などの実施
大日本スクリーングループ倫理要綱の倫理憲章において、
「法令、社会規範の順守」、
「社会貢献」、
「 人権の尊重」、
「 人と地球にやさしい環境形成」、
「 安全衛生の確保」、
きぜん
「企業情報の開示」、
「 会社資産の保護」、
「 反社会的勢力への毅然たる対応」など、
ステークホルダーの立場を尊重した規範を定めています。
本社地区事業所、東京地区事業所およびその他事業所でISO14001、ISO9001、
OHSAS18001認証取得しています。
また、社会性および環境経営報告として
「社会
環境報告書」
を発行しています。
「当社は、契約上秘密保持義務のある事項および営業秘密を除き、
株主、投資家、取引
ステークホルダーに対する
先、地域社会などが必要とする情報について、関係諸法令に従い、適切な時期および
情報提供に係る方針などの策定
方法により、正確な情報開示を行います。
」
(大日本スクリーングループ倫理要綱より抜粋)
2008年4月 東京証券取引所へ提出した
「コーポレート・ガバナンス報告書」
に関する資料より抜粋しています。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
7
事業紹介
電子デバイスの未来に貢献する
電子事業の未来図
大日本スクリーンには
「思考展開」
という経営理念、
そして
「脱
電池にも当社グループの技術が応用できます。CO₂排出量削
本業・拡本業」
という現会長・石田明の経営信条があります。
減は全人類に課されたテーマであることから、今後、大きな市
未来事業戦略室は、
この理念や信条に基づいて、事業全体を
場に成長すると予想されます。
ふかん
俯瞰し、
マクロ的な視点に立って事業の方向性を示す役割を
印刷分野も、
当社グループのインクジェット技術が劇的に変え
担っています。
る可能性があります。POD(プリント・オン・デマンド)
により、必
現代の市場をマーケティングという観点から眺めてみますと、
要なときに必要なだけ刷る、印刷のジャスト・イン・タイム化が
社会は
「快適」
「安心」
「安価」
というキーワードで動いていると
実現するのです。
これにより、印刷物の在庫を抱える必要がな
いえます。人々のより良いものへの欲求は科学技術を進歩さ
くなり、
印刷物にかかわる無駄や非効率が解消されます。
せ、
その結果、
ニーズはさらに高度化してきました。
しかし、
こう
した物質文明の追求が、地球環境の破壊をもたらしたことか
新しい事業領域へ、
広がる夢
ら、現在は環境にフレンドリーな生き方が模索され始めていま
現在の事業領域外にも、新しい可能性が広がります。例えば、
す。未来事業戦略室は、
こうした社会の動向を分析しながら、
ロボットです。
当社グループがつくる装置には、
いくつかのロボッ
大日本スクリーンの事業をどこに合わせていくのが効果的かを
トが組み込まれており、
これを発展させ、
新たな技術と融合させ
探っています。
ると、
医療や介護をはじめ、
さまざまな分野で活躍できるロボッ
トを開発できます。
既存事業の明るい展望
新しい事業領域となると、
技術開発カンパニーとの連携が不可
当社グループの3つの事業領域を展望すると、半導体分野は、
欠です。技術開発カンパニーでは、常に最先端の技術開発に取
既に技術的なロードマップが出来上がっており、その工程に
り組んでいます。
ベンチャー企業や大学などの研究機関から持
従って既存技術の強化を図っていくことになります。
しかしな
ち込まれた技術を、
当社グループの量産化ノウハウと組み合わ
がらここにも、
「脱本業・拡本業」
の余地があります。
せて、
製品化への道筋をつくる試みも進んでいます。
フラットパネルディスプレー分野は、
ポスト液晶パネルとして期
未来事業戦略室は、
こうした新しい事業に道筋を付けるととも
待される有機ELへの装置供給が有望で、すでに試作段階に
に、
当社グループのリソースを外部に発信していく役割も担っ
入っています。
また、次世代エネルギーとして期待される太陽
ています。
本社
「思考展開ホール」
にて撮影。
当社の経営理念である
「思考展開」
を冠したホールで、社史を彩る革新
的技術を展示しています。
コーポレート 未来事業戦略室長
高田 一郎
8
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
亀の甲型の製品変遷
企業活動報告
潜水ロボット
(色覚センサー)
半導体製造装置
1975∼
印刷製版関連機器
1943
1943∼
産業用
インクジェット
印刷機
バッチ式
ウエハー
洗浄装置
イメージ
セッター
(インクジェット式)
デジタル
印刷機
FPD関連
検査装置
プリント配線板
最終検査装置
ダイレクト
スキャナー
プリント
配線板
出力機
製版カメラ
焼付機、殖版機
プリント
配線板
ソルダーコータ
エッチング
装置
ガラススクリーン
(写真触刻技術)
マスク
直描装置
フラッシュ
ランプ
アニール
エッチング
装置
露光装置
洗浄装置
環境経営報告
プリント
配線板
直描装置
コータ・
デベロッパー ランプアニール
社会性報告
CTP
デジタル印刷機 (プレート出力機)
枚葉式
ウエハー
洗浄装置
有機EL
製造装置
プリント配線板製造装置
1970∼
1970
コータ・
デベロッパー
エッチング技術
(カラーテレビ用
シャドウマスク
製造)
カラー
フィルター用
直描装置
フラットパネルディスプレー
(FPD)製造装置
1976∼
1976
カラーテレビブラウン管用マスク
1963∼2005
1963∼2005
わたしたちは、未来に向けて果敢に挑戦します。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
9
特集1
彦根地区事業所の整備
エレクトロニクス事業の発展を支える
また、
この2極化したニーズを満たすためには、
お客さまとの緊
密なコミュニケーションを可能にする開発環境が不可欠です。
本センターでは、開発用プロセス装置とデモンストレーション
用プロセス装置を設置し、
プロセス評価技術と装置診断技術
を向上させて開発ス
ピードをアップすると
ともに、そのパフォー
マンスをお客さまに
検証いただける環境
を実現しています。
研究開発・品質評価の様子
環境や安全面にも対応した設備を導入
かつて野洲事業所などに分散していた半導体機器開発技術
者を集結させた本センターは、環境や技術者の安全面にも配
慮した開発拠点となっています。環境面では、太陽電池パネル
による発電システムを導入することにより、年間13,548kWh
(CO₂換算で5.12トン)の省エネルギー効果を見込んでいま
す。安全面では、従来は技術者自らが運んでいた薬液の投入を
配管による自動供給
執行役員
半導体機器カンパニー副社長
システムに切り替え、
灘原 壮一
モニターを通して集
中的に管理していま
顧客の期待に応えて
「プロセス技術センター」
を開設
り、技術者は開発業
2008年4月から半導体機器カンパニーの開発拠点「プロセス
務に専念できます。
す。
こうした配慮によ
プロセス技術センター全景と太陽電池パネル
技術センター」が始動しました。2006年度には新生産棟
「Fab.FC-2」
が完成し、本格稼働に入っていましたが、隣接地
に開発拠点を設けることにより、情報と課題の共有が進み、
よ
り品質の高い製品をお届けできる体制が整いました。最新鋭
のクリーンルームを設けることで、32ナノメートル、22ナノメー
トルといった半導体の次世代規格にも対応することが可能に
大日本スクリーンの洗浄装置の洗浄力
300mmウエハーに付いた0.06μm(ミクロン)
の
パーティクル(ごみ)
も逃しません。
300mmシリコンウエハー
甲子園球場に例えると・・・
(周辺を含め直径300mとする)
なりました。
最新の開発環境で開発力の向上を目指す
本センターの開設に当たっては、4つのテーマを掲げました。
(1)
プロセス開発力の強化
(2)
カスタマーサポート能力の充実
1,000倍
(3)装置の品質と信頼性の向上
(4)
コミュニケーション力のアップ
です。現在、半導体市場のお客さまの期待は、
さらなる
「微細
化への対応」
と
「コスト抑制」
という2極化が進んでいます。
さ
300mm
ウエハー パーティクル
300mm : 0.06μm
らなる微細化には、
より高度な洗浄力が必要とされます。
※ 彦根地区事業所の環境パフォーマンスデータについては、
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/performance.html をご参照ください。
10
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
300m
甲子園球場
髪の毛
300m : 0.06mm
髪の毛の直径と
ほぼ同じ
事業所の概要や当社の技術の歴史をパネルや実物展示で易
従業員と協力企業の
快適な職場環境を実現
しく解説しています。
このように本センターは、福利厚生機能に
とどまらず、大ホールなどを利用した各種研修、
さらに思考展
彦根地区事業所は、
「プロセス技術センター」
が加わり、2008
開ホールによるステークホルダーに向けた情報発信など、
社内
年4月、新たなスタートを切りました。2006年11月に完成し
外のコミュニケーション力の向上にも大きな役割を果たすこと
た半導体製造装置の新生産棟「Fab.FC-2」、FPD製造装置の
が期待されています。
新生産棟「CS-1」
の稼働、
そして今回の開発部門の集結で、彦
企業活動報告
根地区事業所は2,500人
(協力企業含む)規模に膨らんだこと
になります。本事業所ではプロジェクトを発足させ、福利厚生
と敷地内の環境の両面を見直す再配置計画を推し進めてきま
した。敷地のキャパシティーに限界があったため、約14万
2,000平方メートル(甲子園球場の約3.6倍)
を確保し、周辺
環境に配慮した緑地を有する生産・開発拠点に生まれ変わり
ました。
厚生センター全景
福利厚生機能、
コミュニケーション機能の充実
社会性報告
福利厚生面でコア施設となるのは、
「厚生センター」
です。1階
に600人収容可能な大ホール、2階にオール電化を採用した
社員食堂が入居する建屋内には、
コンビニエンスストアや各種
代理店が出店するほか、
ト
レーニングジムや健康相
社員食堂
談室を設けて、従業員の毎
日の健康管理をサポート
しています。
思考展開ホール
また、1階には「思考展開
うみ
環境経営報告
きょくざん ∼旭山の湖∼
ホール∼旭山の湖∼」
(写
真右)
を開設しています。
こ
こでは、彦根地区事業所を
訪れたゲストの皆さまに、
彦根地区事業所
副事業所長
植田 光央
コメント
思考展開ホール
「旭山の湖」
コメント
「設備の継続的な更新で、
環境優良工場へ」
「 心のよりどころ となる食堂を目指して」
本事業所は、
かつてブラウン管用シャ
単に食事を提供するだけでなく、毎日
ドウマスクを生産していた時期もあり
楽しみに食堂に来ていただける献立
大型設備が多く、電子工業用機器事
づくり、
あるいは健康面への啓発につ
業の生産拠点にシフトする中で、
これ
ながるメニューの開発にも力を注いで
を順次コンパクトで高効率なものに
います。御社は、生分解性プラスチック
更新してきました。例えば、
ボイラーや
のトレーを採用するなど、環境負荷の
排水処理設備です。社員食堂で採用
低減に配慮されています。わたしたち
したオール電化は、
ランニングコスト
も食堂で発生する残飯などの生ごみ
の抑制により、十分に採算が取れると
同時に省エネ効果も高く、CO₂換算で
年間約50トン削減できます。
当社グループ
施設管理会社
株式会社ジェラン
大下 光茂
については廃棄証明を取り、責任を
持って処理に当たっています。
食堂運営委託会社
株式会社エル・
スエヒロフードサービス
緒方 誠
氏
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
11
特集2
ステークホルダー座談会
企業に望まれる社会貢献と環境活動とは
MTMC社屋外観
当社グループでは地域社会との協働・共生に向けて、
ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを積極的に行う
ことで、
信頼を積み重ねていきたいと考えています。
京都発のCSR
(企業の社会的責任)
を体系化し、
広めることを目的と
して設立された
「京都CSR研究会」
の方々をお招きし、
望まれる社会貢献と環境活動について意見交換を行いました。
プロセスに着目したCSR推進を
地域社会と協働した活動展開を
六反(司会)
:皆さんが考える、
企業の
「社会貢献活動」
とは?
司会:では、大日本スクリーングループのCSRの取り組みにつ
藤野氏:CSRと社会貢献は分けて考えた方が良いと思います。
いて、
どのように感じておられますか。
社会貢献は経営状況によっては継続が難しくなる場合もある
藤野氏:いろいろな活動を行われているにもかかわらず、
あまり
かもしれませんが、CSRは景気が悪くなったからといってやめ
知られていませんね。
ポイントを絞った活動をする方がいいで
てしまうものではありません。
しょう。
また、単独で行うよりも地域と一緒になって進めると
今村氏:わたしは今、就職活動中ですが、社会貢献に力を入れ
か、NPOと組んで行うと良いのではないでしょうか。
ている企業は勢いがあるという印象があります。
そういう会社
岡野氏:弊社では小中学校への環境出前講座を実施してお
なら入りたい、
と思う学生が多いと思います。
り、環境マネジメントで培ってきたノウハウを積極的に外部へ
岡野氏:弊社は「科学技術で社会に貢献する」
という社是を
展開しています。
ステークホルダーに活動を知ってもらう良い
掲げています。本業を通じて社会貢献するという考えですが、
機会になっています。
御社の掲げる
「Synchronize!※」の共鳴という言葉は、社会
今村氏:そのように学生に講義などを行っていただいた企業に
とのかかわりという意味においては重要なキーワードになり
は、好感を持ちますね。
そういったことからも、就職活動以外で
ますね。
の企業とのかかわりは重要です。
中村:安定して収益を上げ、人を雇用する。
良い物を作り、
それ
島本氏:環境への取り組みを熱心に行われてきたと感じます。
が産業の発展に役立つ。
これが原点で、社会貢献ではないかと
社会問題を解決するために御社の経営理念である
「思考展
思います。
開」
を活用するというように、会社としての基本軸を分かりやす
島本氏:社会貢献とはメセナだけではない。社会貢献には狭義
くすると良いと思います。
と広義の意味があり、広義には製品、
サービス、
コストなどの経
司会:どのような取り組みを進めていきたいと考えていますか。
済的な面も含まれます。
これからは、
その収益を上げるプロセス
安藤:人材雇用面では、障がい者雇用率が法定を下回る結果
が問われます。労働環境、
自然環境への負荷、
コンプライアンス
となっており、法人としての社会的責任を果たすべく検討して
やガバナンスなどが重要です。そのようなプロセスを含めて
いるところです。
「グッドカンパニー」を目指すということがわれわれの考える
CSRです。
※「Synchronize! いつも時代と共鳴する技術。
」
は、新時代の社会に向けて展開する当社の基本姿勢を象徴するキャッチフレーズです。
12
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
京都CSR研究会の皆さま
京都文教大学 人間学部
現代社会学科教授
きょうとNPOセンター
チーフ事業コーディネーター
株式会社島津製作所
地球環境管理室 副主任
同志社大学
政策学部4年
島本 晴一郎
藤野 正弘
岡野 雅通
今村 真利子
氏
氏
氏
氏
企業活動報告
大日本スクリーンの参加メンバー
総務カンパニー社長
総務・環境戦略室 副室長
総務カンパニー 環境安全部長 人事カンパニー社長
(司会)広報室長
中村 博昭
小川 満浩
澤田 誠
六反 正道
安藤 公人
社会性報告
小川:当社は視覚情報産業※に携わってきたことから、視覚障
藤野氏:CSRは、
トップの本気度と従業員のやる気に懸かって
います。
いかに全員を巻き込めるかが大事ですね。
島本氏:基本戦略である経営理念「思考展開」
は一つのカギだ
した。
と思っています。
また、
経営目標も、
営業目標だけではなく、
CSR
澤田:本業においては、
モーダルシフトによるCO₂削減や、環境
も含めたものへのシフトが必要です。
ガバナンスの制度をどのよ
適合製品の開発を続けることが必要です。
また、社員が生き生
うに構築していくかが重要だと思います。
期待しております。
環境経営報告
がいのある方々に対して、何らかの形で貢献したいと考えてい
ます。
まずは、視覚障がい者の方をお招きし勉強会を開催しま
きと働ける会社であることは、CSRにもつながってくるのでは
ないかと思います。そのほか、森林保護活動などに参画し、地
域へも貢献していきたいと考えています。
中村:画像処理技術を提供して、京都の文化財のデジタル保
しんし
存への協力を今後も推進します。真摯な活動を広く知ってもら
い、会社に関心を持ってもらいたいですね。
京都CSR研究会
京都文教大学の島本晴一郎教授の呼びかけにより、京都に
本社を置く企業をはじめ、NPO/NGO、学生、行政など、個
人の自由な立場で参加し、京都型CSRについて議論・研究す
る会。
より充実した情報開示を
司会:社会環境報告書に対するご意見をお聞かせください。
座談会を受けて
今村氏:学生としては、職場環境などに興味があります。離職
環境的側面だけでなく広く当社に関心を持っていただけるよ
率などの情報をもっと明示してほしい。学生と企業の交流が活
う、
お伺いした意見を参考に、
よりいっそう充実したCSR活動
発化したら良いのではと思います。
を推進し、
グッドカンパニーを目指していきたいと思います。
あ
岡野氏:弊社でもそうですが、報告書が社内においてどれだけ
りがとうございました。
浸透しているか、
という視点も重要だと思います。従業員も重
今後の取り組み予定
要なステークホルダーの一人ですから。
・障がい者雇用の促進
・森林保護活動への参画
・視覚障がい者への貢献
・学生と企業の交流の活性化
※ 視覚情報産業:印刷から始まり、
カラーテレビのブラウン管用マスク製品、
液晶製造装置といった視覚情報に関わる産業。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
13
特集3
海外現地レポート
中国現地法人MTMCの環境対策
MTMC社屋外観
中国において環境問題は、他の国々と比較しても、
より深刻な
状況です。
この10年間、平均実質成長率10%という高成長を
遂げた中国は、世界の工場と呼ばれるまでに成長した半面、
CO₂排出量でも2000年には世界全体の12%を占めるに至り
ました。
美迪亜印刷設備(杭州)有限公司
総経理(取締役社長)
白石 康人
事態を深刻に捉えた中国政府も、第10期全国人民代表大会
第3回会議(2004年)
で、エネルギー資源の節約と資源の利
用効率を高め、廃棄物を再利用する循環型経済を発展させ
印刷製版機器・IT関連事業の
海外戦略を担う生産拠点
わたしども美迪亜印刷設備(杭州)有限公司(以後、MTMC)
て、環境保護を強化する方針を打ち出しました。
わたしどもMTMCは設立当初から、環境対策に積極的に取
り組んできた日本企業として、中国でも環境保全に最善を尽
くす覚悟でした。
そして、CTP自体が中間材料のフィルムを使
は、
中国市場の開拓という使命を担って、2003年9月、杭州に
わない環境配慮型製品であることから、
まずその普及に努め
設立され、
メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー
ました。
のCTP※装置を中国で製造しています。2004年10月から生産
2006年2月にISO9001の認証を取得し、翌2007年から
を開始し、2008年2月現在で累計1,000台の出荷を達成しま
主 力 製 品「 P T- R 4 3 0 0 」の量 産 体 制が整ったことから、
した。
中国国内での材料調達や低コストのインフラを活用する
ISO14001の認証取得に向けた推進チームを発足させまし
ことでコスト抑制に成功しており、
この価格競争力を生かして、
た。
それから約10カ月後の2007年11月、認証の取得にこぎ
今後は他のBRICsなど新興市場へ向けた製品出荷を目指して
着けました。
この間の認証作業をすべて現地の従業員が中心
います。
となって行ったことに、
大きな意義があったと考えています。
大日本スクリーンは、
アジア・欧州・北米・オセアニアにグルー
プ会社を設立し、世界的なネットワークを構築していますが、
多くが販売、そして保守・サービスを提供する会社であり、
MTMCは海外有数の製造会社です。
それだけに、資材の調達
から人材の育成などを通した現地化への取り組みとともに、大
日本スクリーンの経営理念をいかに従業員に浸透させるかが
大きな経営課題になっています。
その中から、今回はMTMCの
環境保全への取り組みを通して起きた、現地従業員の意識の
変化についてご紹介します。
※ CTP
(Computer to Plate)
:
印刷工程のフルデジタル化によって、
中間工程(製版フィルム)
を省いて
直接刷版に印字することを可能にした印刷技術、
またはその機械。
14
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
若い従業員で組織したEMS/QMS推進チーム
環境活動が従業員の意識を
変える
中国の環境先進企業と
なるために
MTMCが現在取り組んでいる目標は、2つあります。
正しく理解し、ISO14001の認証取得が中身のある環境活動
一つは、入荷する部品の梱包資材のリサイクル率を上げるこ
につながるよう指導することに注力しました。最初は、
ごみの分
と。
中国では、輸送中のトラブルが多く、梱包資材にかかる負荷
別回収から始めましたが、
ごみ箱の表示とは全く違うものが捨
は無視できません。
これらの梱包資材を100%リサイクルでき
てられていることもしばしばありました。中国ではまだ、
ごみの
るよう、本社からの支給部品と中国国内のサプライヤーの協力
分別は一般的ではなく、従業員に分別の意義を説明し、理解
を得ながら進めていきます。
を深めてもらうことからスタートしたのです。
もう一つは、電力経費を売り上げ比率の0.35%以下に抑える
認証取得後は目に見えて意識が変わりました。
日本から送られ
こと。中国では、
まだまだ火力発電の比率が高く、CO₂排出係
企業活動報告
MTMCは若い従業員が多く、彼らが環境対策の主旨と目的を
こんぽう
てくる部品の梱包資材を、中国国内の通い箱に転用して再利
数が先進国に比べ高くなっています。特に、夏場の電力消費量
用したり、梱包用のエアキャップを可能な限り再利用したりす
は年平均の2倍に上昇するため、環境パフォーマンスデータを
るようになりました。
また、
これは小さなことですが、従業員全
監視しながら、
削減努力を続けています。
員がマイ・カップを持っています。
自動販売機を食堂に設置して
こうした取り組みのほかにも、大日本スクリーンの企業理念を
中国語に訳したポスターを各職場や製造現場に張り、社員の
境負荷の少ないマイ・カップで対応するほかないのです。現在
目に毎日触れるようにしています。
また、
月初には全体の朝礼
の中国では、
リサイクル活動を推進しようとしても、それをサ
を行い、環境改善活動の報告を現地従業員が行うようにして
ポートする周囲のインフラが乏しく、大型の梱包材の引き取り
おり、企業マインドと環境マインドの浸透に努めています。
社会性報告
いますが、空き缶や空き瓶のリサイクルが難しい中国では、環
業者はありますが、
コピー用紙、空き瓶、空き缶などを引き取る
業者は、まだありません。飲料水メーカーなどがそのような
サービスを提供するまでには、
もう少し時間がかかりそうです。
中国・浙江省から先進技術企業に認定
MTMCはこのほど、
中国・浙江省から
「外商投資先進技
術企業」
に認定されました。
M T M Cでは現 在 、主にB R I C s 諸 国 向けに「 P l a t e R i t e
環境経営報告
Niagara
(プレートライト ナイアガラ)
」
などのCTP装置を製造
しています。
また、
ISO9001やISO14001の認証を取得するな
ど、
品質面、
環境面での取り組みも積極的に進めています。
しんし
このようなMTMCの中国市場への進出に対する真摯な姿勢
や、保有技術が高く評価され、
「外商投資先進技術企業」
に認
定されました。
MTMCのCTP装置製造エリア
EMS/QMS 推進定例会の様子
※ MTMCの環境パフォーマンスデータについては、
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/performance.html をご参照ください。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
15
コーポレート・ガバナンス
Q:企業経営の透明性をどのように確保していますか?
A:コーポレート・ガバナンス
(企業統治)
の体制を構築し、
経営基盤の強化・充実を図っています。
基本的な考え方
このほか、内部監査部門として、
グループ監査室を設置してい
ます。国内外のグループ会社を含め、
グループ全体の業務監査
コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことにより、企業経
を行い、業務の改善提案を行うとともに、
監査結果は監査実施
営において透明性、健全性、効率性を追求し、
すべてのステー
後、速やかに代表取締役に報告しています。
クホルダーの総合的な利益の確保を目指しています。
さらに、
連結中期3カ年経営計画Vision2008(2006∼2008年度)
内部統制の仕組みづくり
における基本戦略の一つとして「CSR経営の推進」を掲げ、
「コーポレート・ガバナンスの強化」
「内部統制機能の充実」
「環
企業理念の下、国内外の法令と社会規範を順守し、
より高い
境・安全経営の充実」
を重要な経営課題と位置付け、
これらを
倫理観を持って事業活動を進めています。
この基本的な考え
推進します。
方に基づいて、2006年5月に内部統制の体制整備に関する取
締役会決議を行い、
これに沿って整備を推進する組織を設け、
コーポレート・ガバナンス体制
主に次の取り組みを行っています。
1.内部統制の意義・内容の周知
当社では、経営上の意思決定機関である取締役会において、
2.各組織・グループ会社の主要業務の文書化
重要事項の決定・承認、業務執行状況の監督を行っており、
月
3.コンプライアンス体制の整備
1回の定例開催のほか、必要に応じて臨時の取締役会を開催
4.ビジネスリスク管理体制の整備
しています。経営執行については、客観性を維持するため、
5.財務報告の信頼性確保のための体制整備
2000年から社外取締役を選任しています
(現在、8人の取締
管理推進体制
役のうち3人)。
また、権限委譲と迅速な意思決定を図ることに
よる、経営の効率化と業務執行機能の強化を目指し、1999年
4月から執行役員制を導入。
さらに、2002年4月から社内カン
内部統制委員会(委員長:代表取締役社長)
を設置して、企業
パニー制を採用し、経営執行の最高審議機関として、取締役と
グループ全体のビジネスリスク管理、内部統制の基本方針や
執行役員などで構成される経営会議を設置しています。
整備計画の審議・決定ならびに進捗状況の確認などを行って
また当社は、監査役制度を採用しており、4人の監査役(うち社
います。
外監査役2人)
による監査役会を設置し、取締役の業務執行を
さらに、
コーポレート・ガバナンスを推進するため、適時開示統
監査するとともに、取締役会などの重要な会議への出席のほ
制、災害リスク管理、環境・社会性活動、
コンプライアンス、企
しんちょく
か、重要な決裁書類などの閲覧、各事業所やグループ会社の
業情報保護といった各領域において、重要事項が発生した際
監査を行うなど、適法性・妥当性の観点から監視しています。
に速やかに対応できるよう、
管理体制を敷いています。
コーポレート・ガバナンス体制の模式図
株 主 総 会
取締役会
監査役会
代表取締役会長(CEO)
代表取締役社長(COO)
経営会議
確認・改善指示
財務戦略担当役員
(CFO)
危機管理担当役員
(CRO)
報告
監査・改善報告
改善指示
内部監査
センター
カンパニー コーポレート
内部統制の体制整備
※ 当社は
「コーポレート・ガバナンス報告書」
を東京証券取引所に提出しています。
※ 最新の内容は東証の
16
会計監査人
URL http://www.tse.or.jp をご参照ください。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
グループ監査室
内部統制推進室
コンプライアンス
Q:役員・従業員の一人一人が高い倫理観を維持するために、
どんな取り組みを行っていますか?
A:コンプライアンス委員会を発足し、
日常業務に潜むコンプライアンスに関する課題に適正に
対応するとともに、
より次元の高い活動を推進しています。
基本的な考え方
ルール・順守項目
役員や従業員が行う業務が、法令・定款に適合することを確保
2007年8月、
「コンプライアンス行動理念」
を制定するととも
するため、
コンプライアンス委員会を発足しました。
この委員会
に、
コンプライアンス活動をより身近に感じることができるよう
を通じて
「倫理憲章」
の周知徹底や内部通報制度の見直しな
「キャッチフレーズ」
を設けました。
ど、
公正で透明性の高い企業経営を推進しています。
コンプライアンス行動理念
私たちは、社会の一員として各種の法令や規定を順守するだ
組織・推進体制
けでなく、高い倫理観に基づく自立的な行動を目指し、公正か
アンス担当役員を委員長とし、委員は各コーポレートの部門長
ならびに各カンパニー・センターの管理系部門長で構成されて
企業活動報告
つ適正な経営を通してステークホルダーと未来を共有できる
取締役社長直轄であるコンプライアンス委員会は、
コンプライ
ように、
いつも
「クリーンなスクリーン」
を実現します。
キャッチフレーズ
「クリーンなスクリーン」
をいつまでも…。
います。
取締役社長
教育啓発
委員長
事務局
弁護士
職務階層別に昇格時などに研修会を実施し、
さらにパソコンを
カンパニー・センター
部門長
使用した研修活動(e-ラーニング)
により、
コンプライアンスへ
社会性報告
コーポレート
部門長
の理解を深めていくための継続的な教育を行っています。
2007年度は、
当社国内グループの役員、従業員、派遣社員、
お
コンプライアンス委員会の主な
活動内容
2007年度は、
コンプライアンス体制の体系的整備(内部通報
制度「企業倫理ヘルプライン」
の見直しなど)
や、新法の施行や
ナー」
を開催しました。
また、
リスク
マネジメントに関する分かりやす
いハンドブックを作成し、配布して
います。2008年度も引き続き、
コ
ンプライアンス浸透に注力します。
環境経営報告
法改正に対応した社内規定の整備(インサイダー取引防止、公
よび協力企業社員を対象に、
「 セクハラ・パワハラ防止セミ
ハンドブック
益通報者保護など)
を行いました。2008年度は、安全保障貿
易管理への取組強化や、海外におけるコンプライアンス活動の
推進を実施していきます。
企業倫理ヘルプライン
当社国内グループの役員、従業員、派遣社員、
および協力企業
社員を対象に、電話、
ファクシミリ、
メールによる通報窓口
「企
セミナー風景
業倫理ヘルプライン」
を設置しています。2007年度からは、通
報先として、新たに社外窓口
(法律事
務所)
を設けたほか、
セキュリティー
を確保した専用ホームページによる
通報システムを導入しました。
これら
の利用を推進するために、
「企業倫理
ヘルプライン」のキャンペーンポス
ターや携帯型カードを制作し、通報
窓口の拡大をPRしています。
担当者の声
研修では、セクハラ・パワハラの基本的な
知識だけでなく、人権意識の向上と、企業
体質を変えることの重要性を解説しまし
た。今後もさまざまな形で、
コンプライアン
スの教育啓発を進めていきたいと考えてい
ます。
コーポレート 法務室 岩本 花子
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
17
社会性報告
ステークホルダーとのかかわり
事業活動によって創出される経済的価値をステークホルダーへ適切に分配すること
が、持続的な未来を共有するために必要だと考えています。
ここでは、
当社の事業活
動に伴う経済的な影響を中心に報告します。
ステークホルダー相関図
お客さま
購入先
企業が重視すべき主なステークホルダーとして、
「お客さま」
「 株主・投資家」
「 購入先」
「 従業員」
「地域社会」があります。当社では、
「ステークホ
ルダーの利益の最大化」
を目指すことが、企業と
しての社会的責任であると認識しています。
大日本スクリーン
グループ
株主・
投資家
従業員
地域社会
株主・投資家
お客さま
顧客満足の向上、
需要に応える
株主への還元の努力
お客さまである電子業界や印刷業界向けに、半導体製造装置
株主総数は16,844人、発行済み株式の総数は253,974千株
やFPD製造装置、
あるいは画像情報処理機器などの製品を販
で、所有者の主な内訳は金融機関が40.69%、外国法人(個人
売しています。現在、
当社の製品は世界中のお客さまに提供さ
を含む)
が22.56%、その他国内法人が10.41%、個人・その
れており、海外売上高の比率は6割を超えています。電子業界
他が18.61%、自己名義株式が6.52%、その他は1.21%で
向けの半導体製造装置、FPD製造装置、印刷業界向けCTPな
す。株主さまへの利益還元については、経営環境、利益の状況
どは、世界トップシェアを占めています。
当社の事業活動が、世
などを総合的に考慮し、事業拡大と利益力向上のための内部
界の関連産業の革新を支えていることを自覚し、サプライ
留保に努めるとともに、安定した配当の維持を基本としてい
チェーンの一翼としてお客さまの需要に確実に応えられるよ
ます。
う、
努めていきます。
2007年3月期(2006年度)
は、1株当たり15円とさせていた
だきました。2008年3月期(2007年度)
は、1株当たり10円の
連結売上高推移
(百万円)
300,000
250,000
200,000
150,000
配当を予定しています。
合計301,311 合計279,816
2,321
合計269,340
2,538
1,284
合計246,533
62,467
1,414
62,927
55,089
9,514
合計191,939
58,080
7,973
15,341
362
56,459
1,442
32,652
12,006
51,432
75,039
60,555
18,939
100,000
50,000
170,547
120,125
122,586
173,723
114,477
その他
画像情報処理機器
その他の電子工業用
機器および部品
FPD製造装置
1株当たり年間配当金推移
(円)
15
半導体製造装置
10
15
10
5
10
7.5
3
0
18
2004年
3月期
2005年
3月期
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
2006年
3月期
2007年
3月期
2008年
3月期
0
2004年
3月期
2005年
3月期
2006年
3月期
2007年
3月期
2008年
3月期
企業活動報告
購入先
公平、
公正な調達活動
社会性報告
国内の主要購入先は約250社、海外購入先は12カ国・約30
社に達します。契約や法令を順守し、国内外の購入先と公平・
公正な調達活動を展開しており、
相互信頼に基づき、
相互に繁
栄できる関係を築いています。
また、
グリーン調達をはじめ、地
球環境の保全への取り組みを、購入先とともに積極的に推進
しています。
地域社会
従業員
継続的な納税
総従業員数は約5,000人。国内の開発・製造拠点は17カ所、
当社はまず、企業活動を通じてきちんとした利益を挙げ税金を
販売・保守サービス拠点は37カ所。海外の現地法人は24社
納めることが、企業として果たすべき社会的責任であると考え
で、1,500人を超える従業員が従事しており、現地採用を積極
ています。
そのために、
「安定した収益体制を追求すること」
を
的に推進しています。
当社の基本方針としています。2008年3月期に当社が計上し
環境経営報告
雇用の維持、拡大
た法人税等の総額は、
4,280百万円でした。
地域別従業員数の推移
(人)
日本
北米
欧州
環境保全への取り組み
アジア・オセアニア
5,500
合計5,041
5,000
4,500
4,000
合計4,460
合計4,547
362
178
326
471
184
389
3,594
2004年
3月期
3,500
合計4,672
合計4,798
当社は、国内すべての製造拠点と主要な保守・サービス拠点
に お いて 、国 際 的 な 環 境 マネジメントシステム の 規 格
778
508
646
321
352
410
420
3,503
3,433
3,380
3,520
2005年
3月期
2006年
3月期
2007年
3月期
2008年
3月期
385
358
(ISO14001)
の認証を取得しています。総登録件数は国内外
を含め11件、
対象サイトは29サイトです。
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
19
お客さまとのかかわり
Q:品質や信頼性向上のために、
どのような取り組みを行っていますか?
A:国際標準(ISO)
に沿った体制を構築し、
お客さまの満足度向上を追求します。
品質方針
各事業の品質方針を実践する
当社グループは、企業理念の一つに
「未来共有」
を掲げていま
でいます。
そのために、
1996年から国際標準である品質マネジ
す。
「未来をみつめ社会の期待と信頼に応える」
を目指し、
お客
海外
メントシステム
「ISO9001」
(以下、
QMS)
の認証取得※を、
さまの満足や高い信頼を得ることを最重要課題として取り組ん
を含むグループ企業で推進しています。
品質マネジメント体制
■半導体機器カンパニー
■(株)
テックインテック
品質方針
「私たちは、
お客さまと喜びや感動を分かち合えるパートナーを目指します」
■(株)
SEBACS
■
(株)
SOKUDO
(株)
FASSE
トップマネジメント
■メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー
■(株)
エムティサービス東日本
品質方針MT事業
「私たちは、
お客さまに満足して頂ける製品とソリューションを提供します」
PE事業
「出荷品質の改善」
■(株)
エムティサービス西日本
(株)MEBACS
■DAINIPPON SCREEN
(AUSTRALIA) PTY. LTD.
〔DSAUS〕
■DAINIPPON SCREEN
(KOREA) CO., LTD.
〔DSKR〕
■FPD機器カンパニー
品質方針
「顧客要求を明確にし、
継続的改善により顧客に満足して頂ける製品を提供する」
■
(株)
FEBACS
■ソフトウエア・テンナインカンパニー
品質方針
「私たちは、
お客さまと喜びや感動を分かち合えるパートナーを目指します」
■
(株)
クォーツリード
■
(株)
テックコミュニケーションズ
ISO9001の単独認証範囲 ※ ISO認証取得状況については
認証範囲に含まれるグループ会社
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/iso.html
をご参照ください。
品質向上活動の事例
カンパニー全体へISO体制を浸透
品質マネジメントシステム拡大への取り組み
FPD機器カンパニーでは、QMS活動を当社グループおよびカ
ISO体制の拡大に向け、
品質マニュアルと規定類の新規作成お
ンパニーの信頼につながる最も基本的な活動と認識し、その
よび改定に取り組み、昨年10月から本格運用を開始しました。
有効性の改善に取り組んでいます。2007年度には、工場主体
内部監査、
マネジメントレビューなどを経て、更新拡大審査を
の活動を販売部門に拡大し、
カンパニー全体として活動のイン
クリアし、2008年3月にFPD機器カンパニー全体として登録
フラ強化に努めました。
認証を受けました。拡大した部門は、定着化に向け、要求され
法令順守/安全確保/品質向上
開発・設計、製造、販売する製品をお客さまの要求事項および
法的・規制要求事項に適合させ、製品の性能、安全性、信頼性
などの品質に関連するあらゆる技術基準に適合させることが
最重要課題の一つであると認識し、品質方針としています。活
動、製品、
サービスに対しての
「FPD機器カンパニーの運営重
点項目」
は
(1)法令順守 (2)安全確保 (3)品質向上の3つ
です。
20
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
るPDCA(Plan、Do、Check、Action)
サイクルを効果的に運
用できるよう、
レベルアップに努めています。
担当者の声
顧客満足度を評価・是正することの繰り
返しが、製品とサービスの向上につながり
ます。
FPD機器カンパニー 製造管理部 豊村 健司
Q:地震などの災害発生時における製品供給体制をどのように考えていますか?
A:災害発生時にも製品とサービスの確実な提供に努めます。
事業継続活動の事例
半導体機器カンパニーでは、
自然災害や不慮の事故、故障の
事業継続マネジメントの達成率推移
発生などの場合においても、
お客さまに安定して製品とサービ
2007年度
24/27=90%
スを提供することを目的に、事業継続マネジメント
(BCM※)
を
展開しています。
BCP文書化
人的資源
事業継続マネジメントのための実地訓練
2007年度は2つの事故災害を想定した実地訓練を行いまし
BCPスペアパーツ在庫
た。4月にはITサーバー機器火災による基幹システムの停止を
3
2
1
BCP作成
BCP訓練
0
BCP
生産設備
ダウン
一社購入品への対応
に11月には、震度6強(マグニチュード7.5)
の地震発生を想定
キーサプライヤー
BCP
要請
し、工場の電源ダウンによる操業停止を敢行しました
(彦根地
区事業所)
。
企業活動報告
想定し、通信システムの電源ダウンを敢行(野洲事業所)。
さら
ITデータ
バックアップ
これらの実地訓練により、緊急連絡・安否確認システムのテス
2006年度
19/27=70%
トを試行し、
クリーンルームからの避難、安否の確認、緊急時の
生産調整、ITバックアップデータの復旧など、9項目における確
認と検証を実施しました。
その活動結果により、
BCMの達成率
(右図を参照)
また、2007年度には三重県中部地震、新潟県中越沖地震、神
奈川県西部地震が発生しており、
当社は実地訓練の成果を生
かし、BCM体制の下、各地域への連絡網からお客さまの工場
BCP
スペアパーツ
在庫
一社
購入品への
対応
BCP文書化
3
BCP作成
2
1
社会性報告
は2006年度の70%から2007年度は90%へと向上しました。
人的資源
BCP訓練
0
BCP
生産設備
ダウン
キーサプライヤー ITデータ
バックアップ
BCP
要請
内の状況把握へと展開しています。
サプライヤーへ展開
2007年度は、2006年度に展開したサプライヤー27社に、新
たに6社を加えた計33社にBCMを展開しました。
当社半導体
環境経営報告
事業を取り巻くサプライヤーに対しては、
引き続きBCMを展開
していくことにより、安定した部品を供給いただくため、
お客さ
クリーンルームからの
避難訓練の様子
まへの安定した製品の供給につながると考えています。
※ BCM:Business Continuity Managementの略。
ソフトウエア開発の国際指標
「CMMI」
の
認定レベル3を達成
ソフトウエア・テンナインカンパニーでは、
主にソフトウエアの開
の
「レベル3」
の評
発能力を評価・判定する
「CMMI Ver1.2※」
定を達成しました。以前から半導体製造装置をはじめとする自
社製品の品質改善活動に取り組んできましたが、
ソフトウエア
開発プロセスの改善を形付ける施策として、2007年7月に
「CMMI」
のレベル3に基づくプロ
セス改善に着手。
組織内の開発管
理システムの整備と、体系的なプ
ロセス重視の改善活動の結果と
して、
その達成が認められました。
※ CMMI Ver1.2(Capability Maturity Model Integration)
:
米国カーネギーメロン大学が開発したソフトウエア開発における
プロセス成熟度の改善モデルを統合発展させたもの。
ITや生産設備への対応
2007年度の2回の実地訓練から、各種データのバックアップ
については、従来の7日に1回から1日1回に改善し、実際に事
故災害が発生した場合でも一層の即時復旧が可能となりまし
た。
また、
生産設備面では、
実際に事故・災害が発生した場合に
備え、別の生産場所への移管など代替生産の選定要素を抽出
し、
その環境整備を進めています。
お客さまからの期待に沿え
るよう、
今後もBCMの国際標準
(ISO)
規格への組み込みや、
各
システムのさらなる充実を図り、
取り組みを拡大していきます。
担当者の声
事業継続マネジメントはお客さまからの要
求が今後も一層期待されており、それに応
える取り組みを展開しています。
半導体機器カンパニー 品質保証部 菅 宏之
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
21
お客さまとのかかわり
Q:信頼性向上のために、
どのような製品情報を提供していますか?
A:お客さまのニーズに沿った製品情報を提供します。
製品情報提供の取り組み事例
メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー(以下、MP
お客さまの機器を災害から守るために、
「事前対策」
と災害発
カンパニー)
では、品質マネジメントのアンケート調査によりお
生後の「復旧時の点検項目」
をまとめた
「災害対策ガイドブッ
客さまのご意見・ご要望を頂き、製品・サービス・営業活動の品
ク」
を配信しています。災害発生時には、
当社独自の
「初動支援
質向上に努めています。
お客さまのご要望の多くに
「タイムリー
システム」による災害調査と復旧支援作業の状況を迅速にお
な製品情報の提供」
があり、
日々変化する環境に対応し、
お客
伝えしています。
さまの生産環境の安定稼働をサポートするための情報を当社
ソフトウエア製品のコ
ホームページ内「印刷製版機器・IT関連」
で迅速に発信してい
ンピューターウイルス
ます。
対策の対応状況をお知
URL http://www.screen.co.jp/ga_dtp/support/
らせし、
お客さまの生産
環境におけるセキュリ
製品を有効にご活用いただくために
ティー向上をサポート
製品の機能をはじめ、ユーザー導入事例やソリューションな
しています。
ど、製品を有効に活用する情報を発信しています。
また、
「出力
災害対策ガイドブック
の手引きWeb」
では、
ワークフローRIP製品「Trueflow」
を効
担当者の声
率良く機能させ、一度で正しく出力物を作成するためのフロン
トDTPアプリケーションとの運用に関するテクニカルな情報を
お知らせしています。
お客さまのお役に立てる製品情報を、
たくさん公開していきたいと思います。
メディアアンドプレシジョンテクノロジーカンパニー 企画部
生産環境のリスクを低減していただくために
徳増 路子
MPカンパニーでは、製品販売終了後7年間を目安に保守部品
を保有しています。7年後以降も可能な限り部品を供給してま
いりますが、事情により供給できない場合もあります。そのた
め、
次の展開をお客さまにご検討いただけるよう、
あらかじめ販
売終了製品の保守部品供給期間を告知しています。
お客さまや業界への貢献
既設半導体工場の環境ソリューションを提供
アジアの半導体産業に貢献 お客さま各社から表彰
株式会社東芝(以下「東芝」)
さまと当社は、半導体製造ラインの
近年着実な成長を続けているアジアのデジタル家電市場を背
洗浄工程で、
ウエハー洗浄装置から揮発により大気中に放出さ
景に、台湾をはじめ中国やシンガポールなどアジア地域におい
れるIPA※1を約75%除去する装置を共同開発しました。開発に当
て、半導体の生産規模が急速に拡大しています。半導体機器カ
たっては、東芝さまが基本コンセプトの技術提案を行い、
当社が
ンパニーは、世界有
洗浄装置に内蔵するための装置設計などを担当しました。
これま
数の半導体ファンド
で、IPAは製造ラインの外に設置された室外除害装置で除去され
リー※2であるお客さ
ていましたが、今回開発し
ま各社から、品質、
た装置を使用することによ
サービスなどサプラ
り、既設のウエハー洗浄装
イヤーとしての総合
置などにおいても、気液分
的な貢献度が評価
離ボックスの改造などによ
され、各種の表彰を
り、IPAを洗浄装置内で効
授与されました。
率的に除去し、総排出量を
削減することができます。
東芝さまと共同開発したIPA除去装置を内蔵した
当社半導体製造装置
「FC-3100」
※1 IPA(イソプロピル・アルコール)
:
大気汚染の原因物質であるVOC(揮発性有機化合物)
の一つ。
22
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
お客さまからの表彰受賞式の様子
※2 半導体ファンドリー:
製造設備を持たない半導体メーカーから設計データを受け取り、
半導体チップの製造を専門に請け負う企業。
購入先とのかかわり
Q:購入先さまと友好な関係を保つために、
どんな取り組みを行っていますか?
A:常に公正で合理的な判断を行い、社内や購入先さまなどから高い信頼が得られるよう、
業務を遂行しています。
購入先総合評価制度
方針
購買部門では、全社的な「購入先総合評価制度」を導入し、
オープン・フェアー 公平・公正な調達活動
2006年度から運用を開始しています。本制度では、前年度の
実績を基に主要な購入先さまの評価を実施。
「 経営」
「 環境」
国内外を問わず、公平・公正で自由な競争の実現を理念とし
て、幅広く優良な購入先さまを求め、品質・コスト・納期・技術
力・環境などの観点から、
購入先さまを評価・選定します。
また、
「品質」
「納期」
「協力度」
の観点から、全社の統一基準により総
合的に評価を行い、購入先さまとの取引状態を定量的に把握
し、
発注プロセスの透明性を高めています。
企業規模・取引実績の有無にかかわらず、新規購入先さまから
のご提案も積極的に検討していきます。
パートナーシップ 相互信頼に基づく相互繁栄
電子調達
購入先さまとの緊密な連携により、信頼関係の構築が不可欠
オープンな取引が求められています。
当社においても、
インター
です。相互信頼に基づく健全な取引を通じて、相互発展を築き
ネットによる電子調達の構築にいち早く取り組み、現在、
「資材
上げるよう努力します。
企業活動報告
ブロードバンド時代の到来により、資材の調達にもスピードと
調達ホームページ」
「図面開示システム」
「見積依頼・回答シス
を稼働させています。
テム」
「発注EDI※システム」
グローバル 国際的な視野での調達
これらのシステムにより、
当社と購入先さま双方の業務の効率
企業活動のグローバルな進展とともに、最適な部材を求める
化を図るとともに、
ビジネスのグローバルな展開に役立ててい
活力を世界へ展開します。
ます。
地球環境保全への積極的な取り組みとして、
取引先さまとも連
※ EDI
(Electronic Data Interchange)
:
商取引に関する情報を標準的な書式に統一して、企業間で電子的に交換する仕組み。
購入先さま
活動の事例
方針発表会の開催
新規仕入先開拓
(資材調達HP)
図面開示
見積依頼・回答
大日本スクリーン
電子調達の全体構想
携してグリーンな部材の調達を強化します。
社会性報告
グリーン調達 地球環境保全の取り組み
EDI(発注・納期・支給・検収・買掛情報)
当社は、主要な購入先さま約250社に向けて、事業カンパニー
環境経営報告
ごとの事業状況と今期方針について説明する方針発表会を、
毎年開催しています。方針発表会終了後には、懇親会を開催し
てパートナーシップを深め、相互発展できる関係構築に努めて
います。特に成果のあったVE※提案を行っていただいた購入先
ロジスティクス大賞 環境賞を受賞
さまを表彰させていただきました。
物流におけるCO₂排出量をさらに削減するため、
フェリーを利
用した九州方面への物流ネットワークを構築し、2007年4月
から海上モーダルシフト※を開始しました。その運用は当社グ
ループの
(株)
トランザップ ジャパンが担い、
メーカー、
物流業、
海運業が三位一体となった取り組みとして、新聞やテレビなど
においても注目されました。
この取り組みが評価され、社団法
2007年6月に開催された方針発表会
受賞された購入先さま
(右)
と
当社取締役社長 橋本正博
(左)
※ VE(Value Engineering)
:
製品やサービスの
「価値」
を、
それが果たすべき
「機能」
とそのためにかける
「コスト」
との
関係で把握し、
システム化された手順によって
「価値」
の向上を図る手法。
人日本ロジスティクスシステム協会
の2007年度「ロジスティクス大賞
環境賞」
を受賞。産業機器に関する
物流分野において、京都初の受賞と
なりました。
ベストパートナー表彰制度
当社では、各事業の展開
※ モーダルシフト:
従来のトラックによる幹線貨物輸送を、
地球に優しく一括大量輸送が可能な
海運や鉄道に転換すること。
に顕著な貢献のあった
購 入 先さまに感 謝し、
「ベストパートナー」
とし
て表彰しています。
表彰された購入先代表者さまと、
当社取締役社長および当社各カンパニー社長
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
23
株主・投資家とのかかわり
Q.IR活動を行う上で、
どのようなことを重視しましたか?
A.適時性、公平性を基本としたディスクロージャー(企業情報の開示)
の下、
双方向コミュニケーションを行うことです。
方針
個人投資家さまに向けた活動
個人投資家の皆さまに向けては、IR支援会社などが開催する
倫理憲章で定める「当社グループは、広く社会とのコミュニ
会社説明会・展示会への出展、工場見学会を実施しました。特
ケーションを図り、
企業情報を適切かつ公正に開示し、
経営の
に、
東京や当社事業所のある京都、
滋賀などを中心に活動を強
透明性を高めます」
に基づき、株主・投資家の皆さまとのコミュ
化しました。
さらに、株主さまとのコミュニケーションの向上を
ニケーションを図っています。具体的には、投資の判断材料と
目指し、定時株主総会の終了後に会長、社長をはじめとする役
なる経営ビジョンや財務状況を適切かつ公正に開示するとと
員との懇談会を初開催しました。
引き続き、個人の株主・投資
もに、株主・投資家の皆さまのご意見を社内へフィードバック
家さまとのコミュニケーションの場を広げていきます。
し、
双方向のコミュニケーションを積極的に進めています。
双方向コミュニケーションを
重視した活動の実施
株主・投資家さまの視点に立ったIR活動
双方向コミュニケーションを基本に、株主・投資家さまの視点
に立ったIR活動を継続しました。
皆さまから寄せられたご意見、
日経IRフェア2007
ご質問については、経営会議で報告するなど社内へのフィード
バックも積極的に行いました。
さまざまなコミュニケーションツール
国内外機関投資家さまに向けた活動
ケーションツールを制作しています。
国内外の機関投資家さま
国内機関投資家の皆さまに向けては、年4回の決算説明会の
向けにはアニュアルレポート、
インベスターズガイドを年1回発
ほか、年1回の技術セミナー、
当社事業に関連する展示会での
行。
また、株主の皆さまには
「SCREEN NOW」
(株主通信)
を
セミナー、工場見学会を実施しました。決算発表後には、経営
年4回発行しています。
当社をより良く理解していただくために、さまざまなコミュニ
トップ自らが投資家さまを個別訪問しました。
海外機関投資家の皆さまに向けては、
引き続き、欧州、
アジア、
米国への訪問を実施しました。証券会社が主催するコンファレ
ンス、展示会開催の機会をとらえて、投資家さまとのミーティン
グを経営トップ自らが行いました。
アニュアルレポート2007
(英語版、
日本語訳版)
インベスターズガイド2007
SCREEN NOW(株主通信)
2007年3月期決算説明会
2007年度IR活動実績
決算説明会
4件
技術セミナー
2件
海外IR
5件
機関投資家さま向け工場見学会、
イベント
3件
個人投資家さま向け展示会、
説明会
スモールミーティングおよび個別取材
印刷関連の展示会「IGAS2007」
ブースツアー
24
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
9件
約200件
適時性、公平性を重視した
情報開示
SRIインデックスへの
組み入れ状況
ホームページの充実
近年、
CSR
(企業の社会的責任)
への取り組みを投資判断の基
日ごろコミュニケーションを図る機会の少ない株主・投資家の
に対する
準に加えた投資信託であるSRI※(社会的責任投資)
皆さまに対しても、適時に公平な情報開示が行えるよう、
当社
関心が高まっています。
当社の株式は2004年度から、英国の
ホームページ内の
「IR情報」
の充実、改善に努めてきました。例
SRIインデックスの一つである
「FTSE-Good Index」
に組み入
えば、決算発表や重要事項の発表時には、ホームページへの
れられています。
同日開示を行っており、
また、決算説明会の動画配信を開始す
るなど、
適時性および公平性の向上に努めました。
さらに、
IR情
企業活動報告
報などのさまざまな情報を配信する
「IRメール配信サービス」
を継続しており、2007年度からは英語版メールの配信サービ
スも開始しました。
これらにより、世界中の投資家さまに積極
※ SRI:Socially Responsible Investmentの略。経済的な観点だけではなく、
※ 社会的または倫理的な観点を加えて企業を総合的に評価した投資信託。
※ 最近では、
環境への取り組みのほか、
育児支援策を中心に女性が働きやすい企業に
※ 投資するなど、
特色ある投信も増えています。
的な情報開示ができる体制が整いました。
社会性報告
IR情報トップページ
動画配信ページ
URL http://www.screen.co.jp/ir/index.html
担当者の声
外部機関からの評価
ズ(株)「2008年インターネットIR
サイトの優秀企業」
に選定されま
した。
引き続き、
ホームページにお
ける適時性および公平性を重視
した情報開示に努めていきます。
常に株主・投資家さまの視点に立ったコ
ミュニケーションツールの作成、情報開示
を心掛けています。特に個人投資家さまに
もご利用していただきやすいホームページ
については、内容の充実とともに迅速な情
報公開を行っています。
コーポレート IR室 大岡 愛
環境経営報告
大和インベスターズ・リレーション
皆さまのご意見をIR活動に反映
双方向コミュニケーションを重視する当社では、ホームページに寄せられる株
主・投資家さまのご意見・ご質問にも迅速に対応してきました。
このような意見を
反映し、2007年度には機関投資家・アナリストさま向け決算説明会における
Q&Aの内容を、
「IR情報」
のページに新たに掲載しました。
これにより、個人投資
家の皆さまをはじめ多くの方々にご覧いただけるようになりました。
また、年4回
発行する
「SCREEN NOW」
では、株主の皆さまのご意見をお伺いするために、
発行ごとにアンケートをお願いしています。
このようなアンケートを通して頂いた
ご質問を当社取締役社長が誌面上でお答えするなど、双方向コミュニケーショ
ンの場として活用しています。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
25
従業員とのかかわり
Q.従業員のやりがいと安全衛生の向上のためにどのような取り組みを行っていますか?
A.多様な雇用と職場環境の実現および心身共に健康な人づくりを目指します。
方針
当社では、
「年功序列から能力・成果主義への転換」
「社員の意思と適性の尊重」
を2本の大きな柱として
人事方針を定めており、
この考えに基づいてさまざまな人事制度や施策を導入しています。
人事戦略と各種施策への展開
業績連動賞与
社内FA(フリーエージェント)異動制度
レスキュー制度
●組織業績の賞与額への反映
●適正な賞与水準・仕組みの構築
●やる気とインセンティブの向上
●個々の視点とベクトルの統一
●人材の最適配置と最適活用
●人材の流動化による組織活性化
組織
運営
異動
自己申告制度
企業理念に
基づく
●能力開発・適材適所の促進
役職定年制度
目標管理制度
●組織目標の効果的達成
●個人の充実感と成長の実感
人事戦略
●若手登用による組織活性化
職能資格制度
●能力・成果主義を徹底
●適正な資格付与に伴う処遇・育成
教育
処遇
昇格選考
能力開発推進体制
●教育・研修の計画的実施
●教育情報の全社共有化
キャリア
プラン・雇用
●多角度審査による人材登用
資格取得報奨金制度
複線型
(コース別)人事制度
●能力開発に対する意欲向上
●多様な能力の人材確保
●人材DBの有効活用
●個々の意思と適性を尊重
●職務遂行能力の一層の向上
新賃金制度
再雇用会社
(株)
リバージョン65
博士号取得支援制度
●高付加価値高給与の実現
●年輩者の熟練技術の活用
●定年後の勤務場所の確保
●企業の技術競争力増強
●研究室との結び付き強化
セカンドライフセミナー
e-ラーニング
●退職後に必要な知識の取得支援
●能動的・継続的な教育機会の提供
年俸制
(管理者)
●資格と成果考課に応じて決定
●年功制を廃止
従業員構成と多様な雇用創出支援
地域別従業員構成(連結)
年齢別従業員構成(単独)
(2008年3月期)
海外30%
1,521人
(2008年3月期)
20代
7%
50代以上
19%
女性社員の活用
当社では、毎年、女性社員を積極的に雇用し、総合職女性社
員の採用数は年々増加の傾向にあります。職種もさまざまで、
技術、営業、企画などの各部門で日々実力を発揮しています。
グループ
従業員計
5,041人
過去3年の女性社員数推移表
40代 43%
国内70%
3,520人
30代
31%
雇用に関する取り組み
2006年3月期
2007年3月期
総合
33
44
2008年3月期
57
事務
129
122
116
嘱託
3
3
2
総計
165
169
175
毎年の新卒採用に加え、随時、キャリア採用を行っており、
2007年度の新卒採用は81人、
キャリア採用は49人、2008
26
年度の新卒採用は80人となっています。
また、2008年度の
障がい者雇用について
キャリア採用は最大20人を予定しています。全国各地で採用
昇格試験や重要な社内説明会時には手話通訳者を招くなど、
説明会を実施し、幅広い機会を提供するとともに、社内教育
全従業員に配慮する環境を段階的に整備しています。
現在、障
によって、公正な採用を行うために配慮すべき事項や男女雇
がい者雇用率は法定を下回る結果となっていますが、法定を
用機会均等法の順守、
徹底を行っています。
上回るよう取り組みを進めています。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
多様化する働き方や
生活に対する取り組み
ダイバーシティーの考えの下、多様化する働き方や生活スタイ
ルに合わせた取り組みにも力を入れています。
育児および介護短時間勤務制度
2008年4月から、育児短時間勤務の取得可能期間を
「子が小
学校3年生の3月末に達するまで」
に延長しました。
また、
男性
の育児休職は、2001年8月を皮切りに4人が取得しており、
育
児短時間勤務取得者もいます。着実に実績を積み重ねるとと
もに、
取得しやすい環境づくりを目指していきます。
再就職支援制度
育児休職取得者数
介護休業取得者数
(人)
10
(人)
5
8
4
みやこりんりん
人材派遣会社「(株)都凛々」
を2005年5月に設立し、
一般から
の登録・採用のほか、次世代育成支援策の一環として、
グルー
6
用を進め、2007年度には登録者のうち1人を採用し、派遣を
4
実施しました。
また、
グループ会社以外にも広く一般の方の登
録・採用を進め、子育てが一段落した世代に向けて、短時間や
週3∼4日の勤務など、働きやすい就業条件を提供し、社会に
復帰する機会を広げています。2007年度は延べ74人の派遣
8
8
1
2
1
2005
2006
2
1
2
0
1
3
9
(=取得開始年度)
0
2007(年度)
男性
女性
企業活動報告
プ会社を退職した社員で、
時間的に余裕ができた方の登録・採
3
1
2005
0
2006
(=取得開始年度)
2007(年度)
男性
女性
※ 育児休職については、
出産した女性は全員取得しているため、
女性社員の取得率は100%です。
スタッフの登録と、29人の新規派遣を実施しました。
また、稼
働派遣スタッフ数は、期初の33人が期末時点では48人に増
ワークライフバランスの考えの下、健康生活を確保するために
社会性報告
加しました。
タイムマネジメント啓発活動
「最低限の睡眠時間6時間」
を含め、平日に少なくとも
「10時
間を私生活として確保」
する必要
再雇用制度
があることを意識付けるために、
法改正に先行して2004年4月に設立した再雇用会社(自社の
スローガンポスターを作成しま
定年退職者を再雇用し、関連職場に派遣する会社)
の
「(株)
リ
した。国内の各勤務地およびグ
ループ会社に配布し、啓発活動
2010年3月末には180人を超える規模になる見込みです。経
を進めています。なお、児童労働
験豊富な社員の働きがい・生きがいに対するさらなる要求や、
や強制労働、義務労働に関する
会社および社会貢献への希望・期待に応えるため、
セカンドラ
問題は発生していません。
環境経営報告
バージョン65」
も、従業員数が2008年3月末で69人になり、
イフセミナーの充実、雇用形態の多様化(各種短時間コース
設定による各人のライフスタイルとの符合)などに取り組み、
社員・会社双方に貢献しています。
人材活用
次世代育成支援および健康活動
次世代育成支援や健康活動の充実のため、下記の取り組みを
行っています。
(1)
次世代育成支援
・育児休職制度の男性取得率向上のため、社内報に既取得
者の経験談を掲載してPR
社内FA(フリーエージェント)異動制度
本制度では、
あらかじめ公開している異動可能先を参考に、社
員が直接人事カンパニーにFA申請し、本人と異動希望先の部
門長が人事カンパニー立ち会いの下に面談後、最終決裁を経
て成立します。年1回の実施に当たり、異動者の意見などを参
考に毎年改善を加え、過去6回の実施において50人のFA異
動が成立しています。
今後もさらなる改善を目指します。
・育児休職者と会社の情報交換、e-ラーニング利用などによ
り、
スムーズな職場復帰を支援する仕組みを導入
(2)
ワークライフバランス支援
・仕事と家庭の調和を図り、健康で活力ある生活を送るため
に、一定条件の該当者に個別面談を実施
社内インターンシップ制度
人材育成を目的に、社内の他部門をインターンシップ先として
派遣し、
その部署の業務を行います。
他部門での業務経験によ
り、
自部門の本来業務の幅を広げる狙いがあります。期間は2
カ月以上1年以内としており、期間終了後は必ず制度適用前
の部門に戻ります。導入を始めた2007年度は1人の実績があ
りました。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
27
従業員とのかかわり
職場の安全活動
当 社 が 2 0 0 1 年 に 労 働 安 全 衛 生 マネジメントシステム
(OHSMS)
を導入して以来、
毎年減少傾向にあった労働災害・
業務上事故が、2005年度に増加反転したことを重く受け止
め、
「セイフティ66」
(2006年度)
「セイフティ67」
(2007年度)
と銘打った災害撲滅強化活動を展開しました。
この結果、災害事故の総件数(当社のほか、OHSMSの認証を
取得しているグループ会社、構内協力企業社員の災害・事故を
含む)
は、2007年度に新たに拡大認証を取得したグループ会
安全教育開催の様子
社6社分、7件を含め48件となりました。4日以上の休業労働
災害件数は、2007年度3件と2006年度に比べ減少し、災害
の重大化の流れを抑えることができました。安全教育の強化、
災害事故事例集の整備、
安全評価・安全査察による指導、
重量
物取扱者資格制度の新設、労災撲滅キャンペーン活動などの
施策により、
一定の成果があったものと考えられます。
「セイフティ」活動は、
いったん終了しますが、
まだまだ労働災
害・事故発生数低減への努力は必要であり、2008年度も
「優
労災撲滅キャンペーンのポスター
良事業所表彰制度」
の導入や、
「安全衛生教育の推進」
「安全
評価と指導・予防措置の推進」
「OHSAS18001:2007年版
従業員の健康管理と職場活力向上
への対応」
などの切り口から、
安全活動の強化を図ります。
衛生面では、
「衛生管理者会」
を今期から定期的に開催し、各
事業所の衛生管理者間の交流、
力量向上、衛生管理活動の充
労働災害と業務上事故の推移
実を図っています。AED(自動体外式除細動器)
の設置ガイド
(件数)
70
ラインを作成し、
各事業所への設置を進めました。
また、
職場に
60
おけるメンタルヘルス対策として、安全衛生委員会やe-ラーニ
ングによるメンタルヘルス教育を実施。保健師・産業医による
12
50
7
8
12
40
21
9
16
5
2
5
30
8
20
10
12
18
1
13
2001
2
4
0
2002
10
協力企業社員災害
14
3
3
3
6
1
3
3
15
13
7
7
2005
2006
1.01
1.02
7
14
2
協力企業社員事故
17
2
4
12
10
7
7
2003
9
2004
9
グループ会社事故
グループ会社災害
6
当社社員事故
9
当社社員災害
休業4日以上災害件数
3
2007
(年度)
社内相談体制を充実させ、従業員のサポートを行っています。
職場環境を調査する職場健康活力調査を実施することによ
り、
その結果を職場にフィードバックし、
組織活力の向上を図っ
ています。今期は、
日常的な体力づくり、
メタボリック対策の一
環として、
ウオーキングキャンペーンを実施しました。
従業員の健康づくりや健康管理は、従業員の幸せだけでなく、
会社の活性化にもつながることから、今後もさらに推進してい
きたいと思います。
労働災害度数率の推移
(度数率)
1.20
1.00
0.97
0.98
0.99
0.98
製造業平均
0.80
0.65
0.63
0.60
電気機械器具製造業
0.40
0.40
0.37
心肺蘇生法応急処置訓練の様子
0.34
0.36
0.35
0.39
0.20
当社労災度数率
0.21
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
(年度)
度数率=
(死傷者数/延べ労働時間数) 1,000,000
対象:グループ会社社員および協力企業社員を含みません
AEDの設置例
28
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
地域社会とのかかわり
Q:社会貢献活動をどのように考えて取り組んでいますか?
A:倫理憲章を実践し、産業発展への貢献をはじめ収益の社会的還元に努めるなど、
広く社会に貢献します。
方針
倫理憲章
「社会貢献」
の考え方を実践
社会貢献活動の取り組み概要
環境・安全に配慮した優れた製品、
サービスを提供することに
より、産業発展への貢献をはじめ収益の社会的還元に努める
など、
広く社会に貢献します。
当社はイノベーションを武器に、
視覚情報産業分野を中心に発
環境保全
展してきました。京都を拠点に、本業を通じた
「大日本スクリー
文化・スポーツ
ンらしい」
社会貢献活動を目指します。
社会福祉
活動の事例
産業発展への貢献
日本機械工業連合会の優秀省エネ表彰で
会長賞を受賞
半導体機器カンパニーが開発・販売するウエハー熱処理装置
「LA-3000-F」が、社団法人日本機械工業連合会主催の
「第
企業活動報告
国際交流
学術研究
地域社会との交流、
文化継承
産業発展へ
の貢献
次世代育成支援
28回優秀省エネルギー機器表彰」
において、
日本機械工業連
社会性報告
イノベーション
合会会長賞を受賞しました。
1997年の京都議定書で定められ
た環境目標達成の動向に
倫理憲章
対応するため、
ウエハーの
京都を拠点に発展
加熱処理部分の課題を克
服した結果、
従来装置に比
べて消費電力を3分の1以
地元小学校の児童を社会科見学で受け入れ
下に抑え、CO₂の消費量も
各拠点で、地元の小中学生を中心に社会科見学を受け入れて
782トン削減。業界から、
います。特に一昨年に開設したホワイトカンバス洛西(洛西事
高い評価を得ています。
2008年2月に行われた授賞式の模様
環境経営報告
業所)
では、毎年多くの交流が実施されており、2007年9月に
は朱雀第3小学校の5年生
フラットパネルディスプレー業界の安全標準化を推進
70人が訪問。社員と同じ
技術標準委員会活動の中で、社外の各種団体とともに標準化
昼 食 を体 験し、2 つの 実
を推進しています。
験・実演を含む館内ツアー
近年、
フラットパネルディスプレー(FPD)
の大型化に伴い、パ
の後、環境保全についての
ネル生産工場における安全を考慮することが重要となってい
説明などを聴講しました。
ホワイトカンバス洛西での社会科見学の様子
※
ます。
当社では業界の標準化活動 に参画し、FPD製造装置の
安全規格普及を強く推進しています。
※ SEMIのFPD安全規格ワークショップなど。
(SEMI:Semiconductor Equipment and Materials International)
次世代育成支援
最先端ロボットを京都の高校生に紹介
最先端のロボット技術を京都市内の高校生に紹介するイベン
トを、2007年12月に大日本スクリーン・本社で開催しました。
従来、社内向けのイベントとして開催されていた「思考展開
フォーラム」
を一般向けに実施したもので、東北大学の協力を
第3回スクリーン奨学金制度を適用
得て太鼓演奏やダンスが得意な人間型ロボットなど計6台に
立命館大学との
「中国人留学生奨学金推薦協定」
に基づき、奨
よるデモンストレーションを行いました。若者の理系離れが問
学金制度を運用しています。本協定は、立命館大学から優秀な
題になる中、未来の科学技
中国人留学生の推薦を受
術に関心を持ってもらうた
け、
当社が奨学金を支給す
めに京都市内の高校生を
るもので、国内初の産学連
招待。約80人に参加いた
携の取り組みとして2004
だきました。
年に始まりました。
2007年度の対象者に、
当社の歴史や事業概要を説明する様子
人間型ロボットの実演風景
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
29
地域社会とのかかわり
地域社会との交流、
文化継承
「スクリーン駅」を新設し、地域の利便性向上とCO₂
排出量抑制に貢献
太田川の定期河川清掃に参加
彦根地区事業所では、事業所からの排水を放流している太田
生産拠点の集結に伴う彦根地区事業所の人員増加に対応す
川の清掃を、
地元高宮町の方々と合同で行っています。
るため、
同事業所の敷地内に近江鉄道・多賀線の新駅として
「ス
この清掃は毎年7月に実
クリーン駅」
を設置し、
2008年3月15日から運行されています。
施しており、今 年 度 は
従業員の利便性を向上させるとともに、
自動車通勤の抑制など
2007年7月1日に地元
により、CO₂排出量を年間
ボランティア19人を含む
約720トン軽減。
また、
周辺
109人が参加しました。
道路の交通渋滞への影響
を緩和します。なお、スク
太田川の定期河川清掃
リーン駅は一般の方々の利
用も可能となっています。
スクリーン駅の全景と近江鉄道
画像技術を通じて、
文化遺産をデジタル化。後世に伝える活動に貢献しています
当社が開発したフルカラー大型平面ス
技術開発カンパニー
事業領域拡大ユニット
事業企画部
藤井 照夫
キャナー拡販のため、美術館へと足を
作当時の顔料を分析できるなど、
よりレベルの高い研究に応用
運んだのがきっかけで、文化財をデジ
できるほか、
正確な再生・復元にも役立つと期待しています。
タル画像で保存するデジタルアーカイ
主な活動としては、財団法人京都国際文化交流財団にスキャ
ブ事業にかかわるようになりました。
ナーを1年間貸し出し、大覚寺の桃竹図(狩野山楽:重要文化
本事業は、時とともに劣化していく文
財)
、
また祇園祭山鉾 橋弁慶山保存会所蔵 懸装品
(重要有形
化財をデジタル化することにより、現
民俗文化財)
など、京都を中心に約20社寺でアーカイブ作業
在の情報を正確に後世に残していこう
を実施しました。
とする取り組みで、財団法人京都国際
また、2004年11月にはフランスのルーブル美術館に当社製カ
文化交流財団が推進されています。
ラースキャナーを寄贈。
フランスが所蔵する美術品を撮影した
当社は、2004年から本事業に協力しています。大型スキャナー
フィルムのデジタルアーカイブ活動にも貢献しています。われ
を分解して持ち運びできるように設計したことから、国宝や重
われの祖先が守ってきた貴重な文化遺産の現在の状態を後
要文化財など、持ち出し不可能なものでもスキャナーによるデ
世に継承していくために、誰かが記録していかなければなりま
ジタル撮影が可能となりました。
スキャナーで読み取った画像
せん。当社は今後もデジタルアーカイブにより、社会に貢献し
は、
カメラで撮影するよりもひずみが出にくく、色も正確です。
デ
ていきたいと考えています。
祇園祭山鉾 橋弁慶山保存会所蔵 懸装品(重要有形民俗文化財)
30
ジタル画像を扱うことで、
オリジナルの素材を傷めることなく制
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
環境経営報告
環境経営の推進
2007年度は環境中期4カ年計画「エコ・バ
リュー21 PhaseⅡ」
の3年目に当たり、
「CO₂
CO
排出量の削減」や「資源、廃棄物の削減」、
「製
品の環境適合化」
を積極的に推進しています。
環境経営報告では、本計画に基づいた環境保
しんちょく
全活動の進捗状況を紹介します。
全活動の進捗
全活動の
進捗状況を紹介します。
状況を紹介します。
環境安全担当役員
常務取締役
野栗 和哉
企業活動報告
方針
環境安全教育
ステークホルダーの皆さまの要望に対応すべく、環境活動に
職種に応じた環境安全に関する教育体系の再整備を進めて
経済的な視点を加えた
「環境経営」
を行います。
います。2007年度は、製品設計者コースとして、株式会社松下
エコテクノロジーセンター様と富士通周辺機株式会社リサイ
クルセンター様を訪問し、
リサイクル先進事例を見学しました。
企業理念
また、半導体機器カンパ
ニーは2008年度から安
労働
安全衛生方針
全訓練センター(STC:
社会性報告
環境
理念
Safety Training Center)
を開講し、教育体制を強
環境理念
労働安全衛生方針
事業活動の基本は人であり、人
が安心して働くことができる、安
全で健康的な快適職場づくりを
目指すとともに、
より良い製品や
技術を社会へ提供することで、社
会貢献と企業責任を果たします。
化していきます。
製品設計者コースの教育の様子
(松下エコテクノロジーセンター様訪問)
教育体系
教育区分
環境経営体制
基礎コース
環境安全担当役員の下、品質・環境、労働安全衛生に関する
管理コース
事業活動を推進しています。
取締役会
会長(CEO)
/社長
(COO)
環境安全担当役員
品質・環境マネジメント活動
労働安全衛生マネジメント活動
・ISO9001およびISO14001認証取得部門
(グループ会社含む)
・OHSAS18001認証取得部門
(グループ会社含む)
品質・環境戦略会議
製品環境安全委員会
環境物流分科会
総合安全衛生委員会
OHSMS目標管理委員会
OHSMSシステム委員会
生産環境委員会
環 境
新入社員コース
新任課長コース
全社員
システム関連コース
内部監査員コース
環境影響評価者コース
製品設計者コース
購買担当者コース
職種別コース 環境施設運転担当者コース
工場設備管理者コース
廃棄物管理担当者コース
環境経営報告
大日本スクリーングループは、人
と地球に優しい環境形成の技術
を追 究することにより、世 界の
人々が自然とともに豊かな未来
を共有できる社会の実現に貢献
します。
安全衛生
新入社員コース
新任課長コース
全社員
システム関連コース
内部監査員コース
リスクアセッサーコース
製品リスクアセッサーコース
作業者コース
特定業務作業者コース
管理監督者コース
法令の順守状況とクレーム報告
環境に関連する法令、条例を順守して活動しています。
2007年度は、彦根地区事業所・プロセス技術センターの建設
による電波障害や久世事業所の駐車場の光害(ガラスの照り
EMSシステム分科会
返し)
など、近隣の方々にご迷惑をお掛けしました。
それぞれに
省エネ分科会
ついて、共同アンテナの設置や駐車方向の変更などの対策を
環境安全順法委員会
実施しました。
技術標準委員会
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
31
環境経営の推進
2007年度目標をほぼ達成しました
環境中期4カ年計画
「エコ・バリュー21 PhaseⅡ」
(2005∼2008年度)
の2007年度目標をほぼ達成しました。
しかし、
彦根地区事業所では、
同地区の整備により、
電力に関して前年比20%の環境負荷が増加しました。
2008年度は
「新環境・CSR中期計画
(2009年度∼)
」
を策定するとともに、
経団連の環境自主行動計画の見直しも踏まえ、
当社グループの環境経営をさらに推進します。
環境経営の目標と実績
区分
重点施策
エコカーの採用率を全グループ社有車の70%とする。
全社有車171台中、
エコカーは143台で
採用率は84%。
製品輸送に係る燃料の使用による温室効果ガスの
CO₂売上高原単位を、
2005年度比2%以上削減する。
2007年度のCO₂売上高原単位:
2005年度比23%削減の0.448トン/億円
廃棄物のゼロエミッションを維持し、
焼却、
埋め立てな
どの単純処分量を廃棄物量の2%以下とする。
単純処分量:
廃棄物量の0.8%
廃棄物排出量の生産高原単位を2000年度比6%以
上削減する。
2007年度の生産高原単位:
2000年度比33%削減の0.728トン/億円
事務用品のグリーン購入率98%以上を維持する。
グリーン購入率:99.2%
開発製品の消費エネルギーを、製品群ごとに性能基
準で2000年度比7%以上削減する。
対象12製品の性能基準比で平均56%削減した。
カンパニーが設定した製品について、部品のグリーン
調達率を60%以上とする。
設定した54製品のグリーン調達率:77%
環境適合製品の売上高占有率を20%以上とする。
認定した40製品の環境適合製品の売上高占有率:45%
新製品の鉛はんだを全廃する。
対象4新製品のうち、
1製品で一部全廃できなかった。
製品関連の取引先
(市販品、加工品)
へ全社購入先評
価の一環で推進する。
全社統一化した購入先評価基準で総合評価を実施
した。
設備関連の取引先(設備メーカー、工事請負会社な
ど)
へ環境活動を推進する。
グリーン調達基準の環境保全調査結果を基に、設備
関連の取引先さまへの環境活動を推進した。
各事業所は、2種類以上の継続的な地域や社会への
奉仕、
貢献活動を行う。
各事業所において周辺や河川の清掃、地域行事への
参画などにより社会貢献活動を実施した。
災害、
事故撲滅強化活動
「セイフティ67」
を継続し、
労災事故の減少化を確実なものにする。
災害事故の総件数は2006年度比5件増加したが、
4日以上の休業災害は2006年度比4件減少し、一定
の成果があった。
お客さま先での災害事故を前年比で半減させる。
昨年より1件少ない10件の災害事故が発生した。
2007年OHSAS18001を取得したグループ会社に
おいては、
3件の災害事故の発生となった。
過重労働による健康障害防止と健康な身体づくり
長時間労働者への産業医面談フローに従い、対象者
を抽出し、
面談を実施した。
グループ全体でウオーキングキャンペーンを10月と3
月の2回実施し、
健康増進普及を図った。
厚生労働省のガイドラインに基づき、
職場環境の実態
を調査し、
段階的に改善する。
快適職場指標を作成し、
4事業所の共用エリアで実施。
環境安全業績
評価制度の導入
環境安全業績評価の定着
業績連動報酬制度に環境、安全指標を組み入れ、継
続運用した。
品質・環境・労働安全の
マネジメントシステムの
グループ会社への拡大
製造、販売、管理部門一体の品質マネジメントシステ
ムの構築。製造系グループへマネジメントシステムの
拡大。
資源保全
省資源、
廃棄物の削減
製品の環境適合化推進
生産者
管理責任
サプライチェーンの
グリーン化
地域や社会への貢献
お客さま先での災害・
事故削減
職場の
安全と健康
快適な職場環境構築と
組織活力向上
その他
32
2007年度 取り組み結果
2007年度のCO₂生産高原単位:
2000年度比6%削減の21.9トン/億円
温室効果ガス
(CO₂)
排出量の削減
コミュニティー
への奉仕
2007年度 目標
エネルギーの使用による温室効果ガスのCO₂生産高
原単位を、
2000年度比8%以上削減する。
※1 詳細は
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/performance.html をご参照ください。
※2 詳細は
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/products.html
※3 詳細は
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/iso.html をご参照ください。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
をご参照ください。
製造、
販売、
管理部門一体の品質マネジメントシステム
の運用を開始した。
国内グループ会社では、
新規に10社
(QMS:2、
EMS:2、
OHSMS:6)
の認証を、
海外企業にお
いても、
新規にQMS1社、
EMS1社の認証を取得した。
大日本スクリーングループの環境活動
過去、現在、
そして未来へ・・・
2009年度∼
2005∼2008年度
2000∼2004年度
エコ・バリュー21
環境管理
中期5カ年計画
エコ・バリュー21
Phase Ⅱ
環境中期4カ年計画
環境マネジメントシステム
拡大と活動の情報公開
評価
記載頁
新環境・CSR中期計画
事業と環境活動の同軸化
CSRの具現化
2008年度(エコバリュー21 PhaseⅡ最終年度)
目標
2010年度 目標
企業活動報告
エネルギーの使用による温室効果ガスのCO₂生産高原単位を、 エネルギーの使用による温室効果ガスのCO₂生産高原単位を、
2000年度比16%以上削減する。
2000年度比11%以上削減する。
Web※1
エコカーの採用率を全グループ社有車の80%以上とする。
エコカーの採用率を全グループ社有車の100%とする。
当社製品輸送に係る燃料の使用による温室効果ガスのCO₂売上高
原単位を、
2005年度比3%以上削減する。
当社製品輸送に係る燃料の使用による温室効果ガスのCO₂売上高原
単位を、
2005年度比5%以上削減する。
廃棄物のゼロエミッションを維持し、焼却、埋め立てなどの単純処分
量を廃棄物量の2%以下とする。
廃棄物の再資源化率を100%とする。
廃棄物排出量の生産高原単位を2000年度比9%以上削減する。
廃棄物排出量の生産高原単位を2000年度比15%以上削減する。
─
事務用品のグリーン購入率100%を目指す。
事務用品のグリーン購入率100%を維持継続する。
─
製品輸送に係る梱包材重量の売上高原単位を2007年度比5%
削減する。
P36
開発製品の消費エネルギーを、製品群ごとに性能基準で2000年度
比8%以上削減する。
P37
Web※2
カンパニーが設定した製品について、部品のグリーン調達率を90%
以上とする。
P35
環境適合製品の売上高占有率を30%以上とする。
P37
運用の継続
P38
Web※1
社会性報告
環境適合製品の売上高占有率を50%以上とする。
環境経営報告
運用の継続
P23
運用の継続
P29
P30
P28
運用の継続
災害、
事故撲滅強化活動での施策を継続推進し、
労働災害撲滅に向
けて着実な前進を目指す。
また、継続的な優良事業所表彰制度を導
入し、
安全衛生活動を展開、
活性化させる。
お客さま先での災害事故を前年度比で半減させる。
メンタルヘルス対策の充実
P28
厚生労働省のガイドラインに基づき、
職場環境の実態を調査し、
改善
する。
─
P20
Web※3
運用を見直し継続
環境会計については、
URL http://www.screen.co.jp/kankyo/
accounting.html をご参照ください。
運用の継続
評価基準 「○」
目標達成 「△」50%以上達成 「X」未達成(50%未満)
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
33
製品の環境安全対策
FPD製造装置事業、
世界トップシェアの社会的責任
けんさん
世界をリードする環境対応技術
技術の研鑽と信頼獲得でシェアの向上を目指す
FPD機器カンパニーでは、
パネルメーカー各社にコータ・デベ
液晶パネルは、
ブラウン管テレビに比べて消費電力が少ない
ロッパーなどの製造装置を供給しており、主力製品のシェアは
のが特長です。逆に弱点は、
製造工程で消費するエネルギーが
世界トップを維持しています。
大きいことです。
当カンパニーでは、
この弱点を克服するため装
液晶製品は、省スペース・高精細・低消費電力を実現すること
置技術の改善に努めてきました。
その技術の一つがレジスト※1
で急速に世界に普及しました。技術の革新がガラス基板の大
の塗布方式の開発です。
基板を回転させてレジストを塗布する
型化を可能にし、
それにつれて製造装置も大きくなりました。
従来のスピンコート方式を、
スリットノズルをスライドさせるス
当カンパニーでは、2006年11月に彦根地区事業所に新生産
リットコート方式に代えることで消費電力
(コータ部のみ)
を3
棟「CS-1」
を完成させて、
ガラス基板の大型化と需要の拡大に
分の1に削減し、
レジスト消費量も最大90%削減できました。
対応できる体制を整えました。
さらに、海外のお客さまに対応
そして、基板の傾斜搬送技術の採用により、薬液の持ち出し量
するため、
オンサイト
(現地)組み立ての仕組みを構築するとと
を75%、純水の使用量を30∼50%、
それぞれ削減しました。
もに、
サービス網やメンテナンス網の国際化を進め、国内外を
新生産棟「CS-1」
は、純水の回収・再生システムを採用するな
問わず、製品の信頼性の向上とコストの抑制、納期の厳守に努
ど環境保全にも配慮した施設となっています。
また、納入装置
めています。
の大部分は、生産を委託する協力会社から直接出荷しており、
こんぽう
結果として梱包材料や輸送燃料の抑制に寄与するなど、環境
負荷の低減に努めています。
安全対策にも引き続き注力
2000年以降、FPD製造装置は急速に大型化しており、
当社製
品も最大のものは長さ56m 幅15m 高さ5mに達します。
従って、重量物の搬入、高所での作業などに伴う危険性が増し
ており、安全対策への要求は高まっています。協力会社を含め
た従業員の安全教育徹底の成果は、装置の早期立ち上げにも
寄与しており、
お客さまからも高く評価され、数社から表彰さ
れました。
2008年2月にはFPD製造装置に関する業界
SEMI※2において、
初の安全ガイドライン
(SEMI S26)
が発行されました。
策定に
当たっては、
当社従業員がリーダーとして参加しました。
当社製
品の設計・製造においても、安全仕様への対応に取り組んでい
きます。
専務執行役員
FPD機器カンパニー社長
矢追 善也
安全設計の対応例
コータ・デベロッパーの省エネルギー・省資源の展開
1
スピンコータ
(中央滴下方式)
1
リニアコータ
スリットノズル
ガラス基板
待機ポット
レジスト使用量
0.5
レジスト中央滴下
0.34
スピン
(回転による均一化)
スピンコート方式
消費電力
(コータ部のみ)
スリットコート方式
(リニアコータ )
リニアコータは当社の登録商標です。
0.11
高所作業用の柵の設置
0
スピンコート方式 スリットコート方式
※1 レジスト
(resist)
:ガラス基板に塗布する感光性の液体材料。
※2 SEMI
(Semiconductor Equipment and Materials International)
:半導体・ディスプレー・ナノスケール構造・MEMS・その他製造に使用される、
装置・材料・サービスを提供している企業
の国際的な工業会。
34
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
製品の環境負荷削減の目標を達成
2006年度からグリーンプロダクツ
(環境適合製品)
の認定を
グリーンプロダクツ
(環境適合製品)
開始し、2007年度には新たに31製品を認定し、
「グリーンプ
製品ごとに基準製品と比較し、10ポイント以上改善し、基準を
ロダクツの売上高占有率を20%以上とする」
という目標に対し
クリアした製品を
「グリーンプロダクツ
(環境適合製品)」
に認
て45%となり、大幅に目標を達成しました。
定しています。認定時の評価内容は以下の通りで、改善された
2010年度の目標「グリーンプロダクツの売上高占有率を
項目はその評価点が高くなっています。
50%以上」
に向けて、製品の環境対策を進めます。
項 目
売上高占有率と認定製品数
(認定製品数)
(売上高占有率)
実績
50%
45%
40%
30%
40%
30%
31%
20%
リデュース
製品などの小型化・軽量化・省資源化、
消
耗品などの削減、
製品などの長寿命化
リユース・リサイクル
材料統合化、
再生材料の利用、
再資源化、
材料表示、
分解・分離性、
分別性、
処理の容
易性、
回収・運搬の容易性
安全性・化学物質管理
有害性、
有毒性、
爆発性、
爆縮性、
危険性
情報の提供
有害化学物質の情報、
エネルギーの使用方
法、
処理情報提供
35
30
40
処理電力、
待機電力、
その他エネルギー、
組
み立て工数
45
40
目標
省エネルギー
25
20
20%
企業活動報告
50%
評価内容
15
10%
10%
10
認定製品数
5
9
0%
2006
2007
2008
2009
0
2010(年度)
社会性報告
主なグリーンプロダクツ例※1
2007年度に認定された31製品のうち、主な製品を紹介します。
サーマルCTP装置 PT-R8800ZX
安全性・化学物質管理
光学式外観検査装置 PI-8300
メディアアンドプレシジョン
テクノロジーカンパニー
開発リーダー
松浦 秀樹
リユース・リサイクル
PI-8300は、
プリント配線板のパターン欠陥を検出するオールインワ
ンタイプの光学式外観検査システムです。新開発の撮像システムによ
る検出力の向上と、
内部処理の高速化・最新のCPU搭載によるアクセ
ス時間の高速化・動作スピードの最適化を行い、従来機のPI-8200か
省エネルギー
らさらに10%以上の
100
高速化を達成しまし
80
60
た。
これにより、
2000
リデュース
情報の提供
40
年度と比べて性能基
20
0
準 消 費 電力を6 3%
認定基準
削減しました。
対象製品
安全性・化学物質管理
環境経営報告
最新のGLV TM(Grating Light Value)技術を応用して生まれた
1,024ch露光ヘッドを搭載。1時間当たり50版という四六全判対応
サーマルCTPでは、最高クラスの露光スピードを実現したハイエンド
モデル。お客さまの導入後の稼働率に合わせて部品を交換すること
で、製品本体を買い
省エネルギー
100
換えることなく、生産
80
60
性を向上させること
リデュース
情報の提供
40
が可 能 。カンパニー
20
方針に基づき、欧州
0
認定基準
のRoHS指令※2に準
対象製品
拠しています。
メディアアンドプレシジョン
テクノロジーカンパニー
開発リーダー
深尾 直志
リユース・リサイクル
※1 グリーンプロダクツの一覧は URL http://www.screen.co.jp/kankyo/products.html をご参照ください。
※2 RoHS指令:
「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令」
。2006年7月1日施行。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
35
製品の環境安全対策
製品の消費エネルギー削減の目標を達成しました
消費電力削減率(性能基準比)
2007年度は
「開発製品の消費エネルギーを製品群ごとに性
能基準で2000年度比7%以上削減する」
という目標に対し
(削減率)
60%
て、対象製品平均で56%削減し、
目標を達成しました。
実績
56%
50%
40%
具体的な取り組み
38%
・ 同等電力での高速化、高精細化
30%
・ 駆動部品の軽量化
20%
・ 消費電力の少ないデバイスの選定
10%
目標
・ 搬送系のスピードアップによるスループットの向上
2006
LCAの実施
8%
7%
6%
0%
2007
2008(年度)
CTP製品の最大消費電力比較(性能基準)
資 源の採 取から製 品の製 造 、流
通、使用、廃棄までのライフサイク
ルにおける環境負荷を定量的に分
(W/m²※)
140
120
析するLCA(ライフサイクルアセス
100
メント)
を実施しています。
サーマル
80
CTP(プレート出力機)製品の場
60
合、CO₂排出量の90%以上が使
用ステージです。技術革新により、
お客さま使用時の省エネルギーに
大きく貢献しています。
PT-R8000
(a=12
(a=12)
a=12)
8p-CTP(32chモデル)
PT-R8300S
PT-R8000S
PT-R8000
(a=13
(a=13)
a=13)
PT-R8000
PT-R8000Ⅱ
(a=13
(a=13)
a=13)
PT-R8800
(a=30)
8p-CTP
(64chモデル)
PT-R36000Z
PT-R3600Z
(a=34
(a=34)
a=34)
PT-R8800
PT-R8800Z
(a=42)
(a=42
a=42)
PT-RN2000
PT-R8800ZX
PT-R8800
ZX
(a=84)
(a=84
a=84)
(a=50
(a=50)
a=50)
PT-R8600
(a=20)
(a=20
a=20)
PT-R16000
PT-R32000
PT-R3200 (a=23)
(a=47)
(a=47
a=47)
8p-CTP
(512chモデル)
16p-CTP
PT-RN2000S+
PT-R8600S (a=100)
PT-R16000
PT-R16000Ⅱ
(a=22)
(a=22
a=22)
(a=23)
(a=23
a=23)
36-24p-CTP
新聞CTP
40
8p-CTP:8ページサイズ対応
PT-Rxxxx:型式名
20
0
a=1時間当たりの処理版数
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
(年度)
製品詳細は当社Webから
ご覧いただけます。
※ 1時間当たりに露光できる面積
半導体製造装置における省エネルギーロードマップ
半導体製造工場における省エネルギー化は重要なテーマであ
(kWh)
に換算し、
エネルギー使用総量を算出します。
ユーティ
り、製造装置への要求もますます高まっています。SEMIでは、
リティーごとに優先順位を付け、エネルギー使用総量削減を
半導体製造装置の省エネルギー化に関するガイドライン
図ります。2007年度は、
当社主力製品のバッチ式および枚葉
を作成し、業界への普及に努めています。
「SEMI S23※1」
式洗浄装置のエネルギーを測定し、
「SEMI S23」
に対応する
「SEMI S23」
の基本的な手法は、
装置が年間に使用する電力・
純水・排気などのユーティリティーの使用量を等価エネルギー
新たな省エネルギーロードマップを作成しました。今後は、他
モデルにも適用していきます。
洗浄装置
(300mm)
省エネルギーロードマップ(2007年再設定:ITRS
※2
量産開始年
DRAMハーフピッチ
(nm)
MPU/ASICゲート長(nm)
、SEMI S23対応)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
80
90
70
78
65
68
57
59
50
52
45
45
40
40
36
36
32
32
消費エネルギー
ウエハー1パス当たりの2005年を1とする相対値
(ユーティリティーを等価エネルギーとして考慮)
( )
内はウエハー1パス当たりの1999年
(200mm)
を1とする電力の相対値
バッチ式洗浄装置
枚葉式洗浄装置
1
(0.6)
1
(0.39)
0.99
0.95
0.98
0.86
0.82
0.97
0.90
ユーティリティー消費エネルギー
2005年の消費エネルギーを1とする相対値
(SEMI S23に基づいた等価エネルギー換算)
バッチ式洗浄装置
枚葉式洗浄装置
電力
超純水
冷却水
ドライエア
窒素ガス
排気
電力
超純水
冷却水
ドライエア
窒素ガス
排気
0.23
0.33
0.22
0.32
0.26
0.05
0.16
0.17
0.01
0.10
0.15
0.09
0.10
0.19
0.18
0.17
0.10
0.03
0.29
0.27
0.27
0.28
0.21
0.26
0.10
0.09
※1 SEMI S23:半導体製造装置で使用されるエネルギー、
ユーティリティー、
および材料の保全のためのガイド。
※2 ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors):世界五極
(米国、
日本、
欧州、
韓国、
台湾)
の専門家が議論して半導体技術ロードマップをまとめたもの。
36
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
製品含有化学物質への対応
特定の有害物質の使用を禁止・制限する環境規制が、
欧州を
今後の対応
はじめ米国やアジア
(中国、韓国)
に拡大しています。
2007年6月1日、新たな化学物質規制として、欧州でREACH
この動きに対応するために、環境適合設計やグリーン調達の
当社の印刷製版機器用のインキは、
規則※が施行されました。
推進などの対策を行っています。
REACH規則に伴う予備登録や、
そのほか世界各国での届け
出制度に対応していきます。
製品の有害物質対応の取り組み
2003年度
2004年度
2005年度
グリーン調達基準
(第1版)
2007年度
有害物質管理システム構築
2008年度
グリーン調達基準
(第3版)
購入先説明会と調査・代替
企業活動報告
購入品の有害物質調査
2006年度
グリーン調達基準
(第2版)
ホームページ公開
実装基板などの鉛はんだフリー化
新規採用部品での有害物質全面禁止
印刷製版機器のRoHS指令対応について
中国版RoHS対応
一部の製品を除いて欧州RoHS指令の適用対象範囲外ですが、市
REACH規則対応
場占有率も高く、社会的責任も大きいことなどから、指令への対応を
カンパニー方針としています。
当社グループのグリーン調達基準改定
に際しては、実施期限を前倒しで導入し、実装基板製造先各社さま
社会性報告
と連携して信頼性評価を進めてきました。
その結果、現在は大半の製
品において指令への対応を完了しています。
省資源への取り組み
製品のアップグレード対応
従来工程のCTP化による環境負荷削減
印刷工程では、大量にフィルムや材料が消費されます。
フィル
適な環境を提供するために、PT-R8800E/S/Z各モデルに専
ムは石油資源を原料とすることからも、使用量の削減が求めら
用部品を組み込むことで、世界最高レベルの生産性を有する
れます。従来のフィルム工程に代わるCTP工程は、環境負荷を
PT-R8800ZXへのアップグレードを可能としました。装置の
大幅に軽減するものとして評価されますが、当社のCTP製品
陳腐化による無駄な資源廃棄を抑えるとともに、各モデルのラ
群シェアは、約3割(OEM供給製品含む)
で世界No.1です。環
インアップにより、CTP化へのスムーズな移行を促します。
境負荷低減に大きく貢献しています。
製品廃棄時の
取り組み
中間棚
ねじ固定 4クランプ
電装ユニット外周
10クランプ
電装ユニット下部
奥下 12クランプ
端子台周辺
11クランプ
環境経営報告
将来的な生産性の拡大など、
お客さまのニーズに合わせた最
製品廃棄時の分解性向上
製品廃棄の際にも容易に資源がリ
サイクルできるように、素材ごとの分
別回収効率の向上にも取り組んで
います。印刷製版機器では、鉄など
の機械フレームから、銅や樹脂など
の複合部材であるケーブルハーネス
類の取り外しを容易にするため、固
改善前
改善後
PT-R4100電装ユニット
37クランプの取り外し
9分35秒 3分9秒
定用部品を変更し、分解性の向上が
リリースボタン
67%削減
確認できました。今後は品質評価や
導入試験を行い、製品への展開を
工具不要
図っていきます。
※ REACH規則:
「化学品の登録、
評価、
認可及び制限に関する等の欧州議会及び理事会規則」
。2007年6月施行。
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
37
製品の環境安全対策
物流におけるCO₂排出量削減目標を達成しました
2007年度は「当社製品輸送に係るCO₂売上高原単位を、
鉄道輸送へのモーダルシフト
2005年度比2%以上削減する」
という目標に対して23%削減
関東方面への輸送では、
鉄道輸送を継続実施しています。
し、
目標を達成しました。
物流におけるCO₂排出量
海上輸送へのモーダルシフト
大型機器の輸送において、
九州方面へは大阪南港と新門司港
を結ぶフェリーを利用した海上輸送体制を構築しました。
ト
ラック輸送でのCO₂排出量を削減するとともに、交通規制など
陸上輸送における大型機器輸送の課題を解消し、時間効率に
も優れ安定した輸送を実現しています。将来は九州方面以外
の地域への導入も視野に入れ、
モーダルシフトのさらなる推進
CO₂排出量(トン)
原単位
(トン/億円)
0.586
0.592
0.580
1,250
0.600
0.574
1,200
1,214
0.550
1,150
1,195 原単位
(実績) 原単位
(目標)
1,100
0.500
1,050
0.481
0.448
1,000
0.450
CO₂排出量
950
1,009
900
0.400
2005
2006
2007
2008(年度)
※ 算出方法は、
貨物重量
(トン) 輸送距離
(キロメートル)
を図る予定です。
モーダルシフトによるCO₂排出削減量
モーダルフロー
下関港
博多港
140km
新門司港
大阪南港
大日本スクリーン
彦根地区事業所
CO₂ 55%削減
20km
458km
75km
削減量
(トン)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2002
海上輸送
鉄道輸送
2003
2004
2005
2006
2007(年度)
こんぽう
製品の梱包材重量の削減に取り組んでいます
簡易梱包技術を採用した新強化ダンボール方式へ
大型製品の梱包において、
(株)
トランザップ ジャパンが発明し
はめ込み式構造により、
くぎやボルトなどの補材と専用工具が
た世界初の輸送用簡易梱包技術を2008年4月から採用して
不要となり、梱包・開梱にかかる作業時間の大幅な短縮が図
います。梱包箱部材のうち、
スキッドを除くすべての部材におい
れます。廃棄処理していた木材や合板の使用量を最大約70%
て、木材と合板から強化ダンボールおよびアルミ材に変更しま
削減、開梱後の部材の再利用により、廃棄物の発生を抑制し
す。
これにより、軽量化と種々の梱包サイズへの対応が可能に
ます。
なります。
梱包方式の展開
100%
構造図
天(強化ダンボール)
柱(アルミ)
リサイクル可能
妻(強化ダンボール)
側(強化ダンボール)
スキッド
(木材・合板)
0%
従来
38
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
2008年6月現在
将来
第三者意見
大日本スクリーン
「社会環境報告書2008∼思考展開レポート∼」
を読んで
経営者の強い意志
に移行したとのことですが、環境に配慮した生産プロセスの
大日本スクリーンの「思考展開レポート」の第一の特徴は、経
革新は、製品の環境貢献に勝るとも劣らない、重要な事業を
営トップの詳細なメッセージです。
トップメッセージはともす
通じた環境貢献領域ですので、
この面での発展も大いに期
ればお飾り的になりがちな中、本レポートでは、大日本スク
待しています。
リーンが置かれている現状・課題が的確に示されているだけ
ステイクホルダー重視の社会性報告
が明確に示されています。特に、
「 企業ブランド」
というキー
大日本スクリーンの社会性報告はステイクホルダーを中心に
ワードの中で、環境保全や社会的責任の取り組みを位置付
編集されており、一つ一つの事項について丁寧で詳細な情報
けている点は重要です。
開示がなされています。今後は、社会活動面についても、何ら
本業を通じた環境貢献
も良いと思います。最初から厳密なシステムは必要ありませ
その意味で、今年度の報告書は本業を通じた環境貢献が強
んが、定性的でも良いので大枠の目標を設定し、事後的な
調される編集となっていることは、
「 企業ブランド」の向上を
評価を取り入れられると、会社における課題と今後の進め
目指したものとしてトップメッセージと整合的です。特集記事
方が明確になると考えます。
企業活動報告
でなく、企業経営における環境保全やCSR活動の位置付け
かの目標を設定し、PDCAサイクルを回すことを考慮されて
にある
「彦根地区事業所の整備」
や
「中国現地法人MTMCの
神戸大学 大学院 経営学研究科 教授
環境対策」は、同社の活動の中心部分において、環境や安全
國部 克彦
をどのようにとらえて活動しているかを、
よく伝えています。環
社会性報告
境パフォーマンスについても、今年度は製品を中心に情報開
示を行い、事業を通じた環境貢献が強調されています。
この
ような開示姿勢は、大日本スクリーンという企業を社会に広
く理解してもらうには、大変有効であろうと思います。
環境戦略の拡充を
環境を通じて
「企業ブランド」
を向上させるには、環境戦略が
環境経営報告
必 要です。大日本スクリーンの環 境 保 全 活 動は「エコ・バ
リュー21 PhaseⅡ」
を見る限り順調に推移していますが、
こ
のような環境中期計画が、企業戦略の中でどのように位置付
けられるのかを明示することも重要でしょう。製品の環境性
【プロフィール】
大阪市立大学大学院経営学研究科修了。
2001年より現職。博士(経営学)。
環境経営・会計、CSR経営を専攻。環境省
「環
境報告書ガイドライン改訂検討会」委員、経済
産業省委託
「マテリアルフローコスト会計開発・
普及事業委員会」委員長などを歴任。
著書に
『環境経営・会計』
(有斐閣)
などがある。
能の向上に力点を置く以上、環境を通じた事業業績の拡張
を目指す方向性が重要で、グリーンプロダクツの売上高占有
率という目標は、
そのためにも活用されるべきであろうと考え
ます。
また、今年度の報告書では、資源保全面の情報はWeb
第三者意見に応えて
当社は、
「 経営指針」
( 6ページ)を実践し具現化することが、
的に報告しています。
企業の社会的責任につながるものと考えています。昨年か
ご指摘いただきました「環境に配慮した生産プロセスの革
ら、経営理念の「思考展開」を本レポートのサブタイトルにし
新」
や
「社会活動面についての目標設定」は、現在の大きな課
ていることも、そのような考え方に基づいています。
トップメッ
題です。今後は、
ご指摘の内容を踏まえ、
ステークホルダーの
セージでは、経営指針の実践を基盤に、ステークホルダーの
皆さまに、
より一層分かりやすく情報を開示する努力を継続
期待に応えるための、
当社の課題を示しています。
してまいります。
今回の報告書では、特に経営指針や事業を広く理解していた
大日本スクリーン製造株式会社
常務取締役
だけるよう、重要な課題についての経済的影響も含め、重点
野栗 和哉
大日本スクリーングループ 社会環境報告書 2008
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社会環境報告書 2008 ∼思考展開レポート∼
思考展開
社会環境報告書
2 0 0 8
思考展開レポート
〒602-8585 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1-1
発行:総務・環境戦略室/広報室
本報告書に関するご意見、
お問い合わせ:総務・環境戦略室
Tel:075-414-7044 Fax:075-414-7043
FSC認証用紙の使用
環境保護印刷の採用
適切に管理された森林からの木材(認証
材)
を原料とした紙として、FSCから認証を
受けた用紙を使用しています。
環境保護印刷推進協議会が提唱するゴー
ルド認証基準に適合した、地球環境に優し
い印刷方法で制作されています。
大豆油インキの使用
カラーユニバーサルデザインの採用
アメリカ大豆協会が認定する生分解性や
脱墨性に優れ、印刷物のリサイクルが容易
な大豆インキを使用しています。
色覚の個人差を問わず、多くの方に見やす
いよう配慮して作成し、NPO法人カラーユ
ニバーサルデザイン機構の認証を取得して
います。
インターネットでのお問い合わせは、
当社ホームページよりお願いいたします。
URL http://www.screen.co.jp/top/contact.htm
本誌は、
当社の千都フォントを使用しています。
GAE-009 2008年6月発行
6000 TSM(R0-0)
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