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機会費用による中心商業地河川の価値の 計測の試み

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機会費用による中心商業地河川の価値の 計測の試み
機会費用による中心商業地河川の価値の
計測の試み
北九州市都心紫川への消費者回遊行動アプローチの応用
斎藤 参郎 ,石橋
一
,熊田 禎宣
1 ねらいと目的
近年, 共事業の評価に関心が集まっている。
共事業費の膨張をおさえ,適切な事業の取捨選択と
計画の見直しへの要請,また,環境に配慮した事業計画の評価への要請からである。このような背景の
もとで,環境の経済的評価や事業の経済評価に関する様々な手法,CVM (
Cont
i
nge
nt Val
uat
i
on
,旅行費用法,ヘドニックアプローチ等々の検討がなされている。
Met
hod:仮想市場評価法)
一方,最近では,中心市街地の空洞化の問題を契機に,大店法の廃止,都市計画法の改正,中心市街
地活性化法,大店立地法の施行など,中心商業地の整備施策への関心が再び高まっている。中心市街地
の衰退は都市の存続に関わる問題であるとの認識から,ソフトとハードの政策を融合し,にぎわいのあ
る中心商業地の
出を図ろうとするものである。しかし,にぎわいといっても,これを計測評価する明
確な枠組みがあるわけではなく,中心商業地の整備には明確な評価枠組みを欠いているといってよい。
このような問題意識に立って,筆者らはこれまで,回遊性にすぐれた都心商業環境の整備という視点
から,消費者回遊行動モデルにもとづく,中心商業地整備計画の評価枠組みの提案を行ってきた(斎藤
[1
,
[12
],
[13
],
[1
],Sai
[1
],斎藤・熊田・石橋[20
]
,Sai
1]
4],斎藤・石橋[15
t
o and I
s
hi
bas
hi
6
t
o,
[2
,斎藤・中嶋・栫井[2
,
[2
]
,斎藤・栫井・中嶋[1
,
[1
]
,石橋[4
]
)
。
Kumat
aandI
s
hi
bas
hi
1]
2]
3
8]
9
本研究のねらいは,都心商業環境での種々の開発計画が,消費者の回遊行動にどのような変化をもた
らし,結果として各商業施設の販売額にどのような変化をもたらすのか,を予測する金額ベースの非集
計回遊マルコフモデル(石橋[4
],石橋・斎藤・熊田[5
]
,I
[6
]
)を,中
s
hi
bas
hi
,Sai
t
o and Kumat
a
心商業地内の河川という自然環境の経済評価へと拡張し,中心商業地の整備といった 共事業の評価へ
の一つの視点を提供しようとすることにある。
さて,本研究で取り上げる北九州市の都心である小倉には,中心商業地を東西に 断する紫川が流れ
ている。このように,整備対象となる中心商業地は必ずしも
一な条件を備えているわけではなく,道
路や鉄道などの人工物や,河川といった自然環境によって地区が
断されている場合がある。明らかに,
紫川の存在によって,消費者の東西の流れは制限を受けているはずである(斎藤・熊田・石橋[20
]
,Sai
t
o,
[21
])
。東西の商業地では,紫川がなかったとしたときには,消費者の東西間の
Kumat
aandI
s
hi
bas
hi
本稿は,日本地域学会第 36回(19
99年)年次大会(於 :熊本大学)において発表したものを加筆修正し
たものである。座長を務めていただいた九州大学の細江守紀先生,討論者の労をとっていただいた豊橋技
術科学大学の廣畠康裕先生,専修大学の伊東洋三先生から貴重なコメントを頂いた。また,京都大学の青
山吉隆先生をはじめ多数の方から有益なコメントを頂戴した。さらに 2名の匿名のレフェリーから頂い
たご意見によって,本論文は大幅に改善された。ここに記して厚く感謝の意を表します。
福岡大学経済学部 教授・福岡大学都市空間情報行動研究所 所長
慶應義塾大学 合政策学部 講師
千葉商科大学政策情報学部 教授
3
23
324
斎
藤・石
橋・熊
田
回遊はより大きいはずであるから,より大きな販売額を実現できたはずである。
本研究は,上に述べた金額ベースの非集計回遊マルコフモデルを用いて,紫川の存在による,消費者
の東西への回遊の
断から生ずる,東西商業地の販売額の減少
をまず推計し,これを小倉都心商業環
境が紫川に支払っているコスト,
(機会)費用であると捉える。しかし,後述するように ,よく えてみ
ると,このコストは,紫川を都心商業環境に残しておくために,商業者が支払っている価値と見ること
もできるし,また,最終的には消費者が紫川を残すために支払っている価値と見ることもできる。この
ように
えるならば,年間販売額の減少
を紫川の存続のために毎年支払ってもよいと
えるキャッ
シュフローだと捉え,これを割引率で割り引けば,それは紫川の価値である,ということになる。これ
が本論文の基本的発想である。
北九州市では,
合計画の「北九州ルネッサンス構想」
において,小倉都心整備を重点プロジェクトに
すえ,紫川による
断の克服を目的とした「紫川マイタウン・マイリバー計画」を実施している。紫川
の河岸に遊歩道を整備したり,また,ポケット
園を備えたカラー舗装の新しい歩行者専用の橋などが
敷設されつつある。上述の紫川の価値はこれらの投資額の上限,あるいは適正かどうかの判断に活用でき
るとともに,
紫川が最低限市民に提供しなければならないアメニティーの価値 額ということもできる。
中心市街地整備に
園や河川といった自然環境の整備をともなった例も多いものと思われる。
しかし,
本研究のように,商業販売額への影響といった機会費用の観点から,都市の自然環境の経済評価を行っ
た例は皆無と思われる。それは, 用価値・非
用価値の違いはあるが,CVM や利用者
価値を直接計測しようとし,また,ヘドニックアプローチは地価への帰着を
益法は環境の
えるからである。
以上のように,本研究の目的は,消費者回遊行動という行動ベースにあらわれた効果をもとに,都心
商業環境を 断する河川の価値を,川の存在による商業販売額への影響という機会費用の観点から計測
する方法を提案し,実際に,これを北九州市の紫川に適用し,その価値を計測することである。
2 中心商業地河川の価値の計測方法
2.
1 回遊行動からみた中心商業地河川の価値
中心商業地とは商業施設が近接・集積立地している一定の区域を指している。しかし,中心商業地は
常に
質な土地に広がっているというわけではない。本研究で取り上げる,北九州市小倉北区小倉駅前
地区は,中心商業地を東西に
断するように紫川が南北に流れている。これまでの 析によると,東西
両地区の地区内の回遊率と比較して,紫川の東西両岸をまたいだ回遊率は明らかに低く,紫川によって,
消費者回遊行動が
断されていることが明らかとなっている。
(斎藤・熊田・石橋[2
]
,Sai
0
t
o,
Kumat
a
[21
]
)(表 4参照)
andI
s
hi
bas
hi
この結果は,回遊する消費者の数による比較であるが,これを金額ベースで測れば,その帰結は,紫
川がなかったとすれば,得られたはずである,東西間の回遊消費者による購買額 の,販売額の減少と
なって現われるはずである。この紫川の存在による,商業販売額の減少 は,紫川に対する機会費用で
ある,と捉えることができるし, には,紫川を存続させるために,商業者が支払っている価値である,
あるいは,消費者が最終的に支払った価値であると,みることができる。
この点をもう少し機会費用の定義に戻って説明しよう。機会費用とは,単なる貨幣費用のことではな
く,
「いま問題にしている生産物の生産に充当されたため断念せざるをえなかった, 代的な諸生産物の
価値のうち,最も値の大きいもの」
(大石[9]
),あるいは,
「与えられた諸条件のもとで最善のものを選
2.
1および 4
.
1の議論参照
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
3
25
択した場合に,残された選択物の中の最善のものの価値」
(下線筆者,荒[2
]
)とされる。
この機会費用の概念に従って,河川の存在による商業者への機会費用を計測するには,河川が存在す
る状態と,これが存在しない状態とを比較する必要がある。そこで状態の定義を明確にしておこう。
いま河川の存在を暗渠ではなく,水面がオープンな明渠の状態であると えよう。状態としては,全
く橋のかかっていない自然河川の状態 (
,河川に現状の橋のみ架かっている状態 (
o)
a),河川の両岸の
全ての道路を結ぶように橋を架け, 回せずに東西両岸を自由に行き来できるようにした,河川が存在
しない仮想的な状態 (n),
(
,が
x)
に,すべて河川を暗渠とし,河川の存在自体を物理的に消滅させる状態
えられる。状態 (x)が実現できれば,新たな土地が生み出され,その上で商業地開発も可能に
なる。しかし,そのためには,紫川の川幅の拡幅といったことも,
慮しなければならない,とのこと
であり ,本論文では,状態 (x)は選択肢の対象から外すことにする。
結局,本論文で比較する状態は,状態 a,n,oの 3つである。
状態 (a):現状
状態 (n):河川が存在しない仮想的な状態(東西両岸に自由に行き来できる状態)
状態 (o):自然河川の状態(橋がかかっていない)
これらを,表 1にまとめておく。
状態 (o)は河川が存在する状態に対応し,状態 (
n)は河川が存在しない状態を表している。ここで注意
表 1 比較する状態(a),
(n),
(o)
橋あり
橋なし
回あり
河川明渠
河川暗渠
a
−
回なし
n
−
o
x
状態(a):現状
状態(n):河川の存在しない仮想的状態
状態(o):河川が存在する状態
すべきは,
「橋」は,河川が存在しない状態(n)を,わかりやすく表現するために導入したものであっ
て,要は,川が存在しない状態を, 回せずに自由に東西両岸を行き来できる状態として,モデルに表
現できる手段であれば,渡
など,何であってもよいことである。
さて,橋のかかっていない状態 (o)を,商業者の最善の選択だと仮定しよう。すると,橋をかければ
(状態 (
a)とすれば),得られたはずである販売額の増 は,橋がかかっていない状態 (
o)を存続させる
ための機会費用であり,そのために商業者が放棄した価値である。橋のかかっていない状態 (
o)が最善
の選択であるためには,状態 (
o)を存続させる価値が,放棄した価値を上回っていなければならない。こ
のときには,河川の価値は,少なくとも,機会費用の価値を上回っているはずであり,販売額の増
を
年間収益の増 に換算し,これを割引率で割り引いてもとめた価値は河川の価値の下限ということにな
る。逆に,現状の橋のかかっている状態 (
a)で得られる販売額と,橋を取り払っている状態 (
o)にした
ときの販売額との差は,橋の寄与であり,ここでの機会費用は橋が持つ価値ともいえる。
また,何故商業者の販売額に表れる機会費用を,消費者が最終的に支払った価値とみることができる
北九州市
築都市局都心開発課への対するヒアリングによる。
326
斎
かの論拠は次のように
藤・石
橋・熊
田
えられる。全く橋のかかってない状態 (
o)と,橋がかかっている状態 (a)とを
比較すると,対岸への移動コストは橋があった状態 (
a)では減少し,対岸の商品の相対価格が低下する
こととなる。このような価格変化を通した効用の増 が消費者にとっての機会費用であり,状態 (
o)を
存続させるために放棄した効用である。
以上が,紫川の存在によって東西間の消費者の回遊行動が減ることに起因する,東西両岸の年間販売
額の減少 を割引率で割り引いて,紫川の価値を求めようという,本研究の基本的発想の論拠である。実
際に,小倉地区を対象に開発した,金額ベースの非集計回遊マルコフモデルをもちいて,これを推計し
てみようというのが本研究の課題である。
2.
2 回遊マルコフモデルによる中心商業地河川の価値の計測方法
本研究で提案する紫川の価値の計測方法は,
共事業の評価に関連している。これまで,様々な評価
手法が提案されているが,紫川といった都心という中心市街地内の自然環境の経済評価に関する既存研
究は皆無といってよい。
林山・大野[3
]によれば,社会資本整備(特に
通施設整備)の経済効果計測手法はその対象が市場
財か非市場財によって計測手法が異なるとされる。市場財の場合には,プロジェクトによる直接・間接
の効果を計測しこれらを積み上げる個別計測法,計量経済モデルや産業連関表ならびにシステムダイナ
ミクスを用いた
合モデル法, 合モデル法に含まれる厚生経済学的アプローチをあげている。
(金本・
長尾[7
]など参照)一方,非市場財の場合は,市場が存在しない財・サービスをプロジェクトの対象と
する場合であり,これらを利用の観点から利用価値ならびに非利用価値の 2つに区 し,前者のうち直
接利用価値の計測が消費者余剰
析で行なわれてきた。また近年,環境に対する重要性が増すなか,非
利用価値の計測法として,仮想的市場評価法(CVM)が注目されている。その他,非市場財に対する経
済評価の方法として,旅行費用法,ヘドニックアプローチ,防止支出法,再生費用法などがある。
また,青山[1
]は,都市開発の 益を防災機能,オプション機能やリダンダンシー機能,また地域の
自立性といった様々な側面からの 益測定の興味深い提案を行っている。
さて,本研究で用いた,消費者の回遊行動からみた,中心商業地河川の価値の計測方法について述べ
よう。ここで,既存の方法との比較から,本研究の特徴を述べれば,次の 2点となる。まず,(
)本研
1
究における河川の価値の計測はあくまで,消費者の行動にもとづいていること,また,(
2)河川の直接
の 益を計測するのではなく,販売額の減少といった,間接的な機会費用にもとづいていること,であ
る。(1
)の行動ベースの立場は,竹内[24
]の指摘のように,CVM 等々にみられる,消費者の表明選好
(St
at
e
d Pr
e
f
er
ence)を用いたアプローチではなく,消費者の実際の行動に現れた選好を重視する,顕
示選好(Reve
)アプローチによる
al
e
dPr
ef
er
ence
析ともいえよう。また,(2
)の機会費用という点に
ついては,開発効果を地価に帰着させる,ヘドニックアプローチに近いともいえるが,もしも,年間販
売額の減少 を年間収益の減少
に換算し,利子率で割り引けば,地価の減額 を算定できるはずであ
る。ヘドニックアプローチに比べて,川の存在による回遊の
断という,より限定された効果の地価へ
の帰着を計測できる点が特徴といえよう。
さて,
「来街頻度に基づく販売額予測非集計回遊マルコフモデル」(石橋・斎藤・熊田[5
]
,I
s
hi
bas
hi
,
[6]
)を説明しよう。ここでは,これを用いて紫川がなかったとしたときの消費者回
Sai
t
oandKumat
a
遊行動の予測を行なう。このモデルでは,中心商業地への来街者数を地域別・年齢別・性別に予測可能
とした「来街者調査ベースポアソン回帰集客数予測モデル(斎藤・熊田・石橋[2
]
,Sai
0
t
o,
Kumat
aand
[21
])
」
によって推定された各属性別の来街者数を用い,非集計入口選択モデル,非集計回遊選
I
s
hi
bas
hi
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
3
27
択モデル,販売額予測モデルに連動させて,消費者の行動別(入口行動・回遊行動)に商業地ノード毎
の期待来街頻度,期待購買額を推定する。ここで,期待入口購買額
(
期待
購買額(
)
,期待回遊購買額
(
)は (
)として表される。
1)∼(3
=∑
(
)
1
=∑
+
=∑
は自宅ノード,
街頻度[(
×1)スカラー]
,
1
率 [( × )行列]
,
字の
+…
(
)
2
−
=
ただし,
)
,
+
(
)
3
は入口ノード, は商業地ノード(ノード数 )
,
は属性別入口選択確率[(
,
1× )ベクトル]
[( × )対角行列]
は属性別 1来街頻度あたりの平
は属性別入口来
は属性別回遊選択確
購買額を表す。また,添
は性別, は年齢グループ, は地域を表す。
今回の 析の対象となった中心商業地小倉地区には全部で,2
8の商業施設ノードを設定しているが,
(
)∼(
)は 2
)
1
3
8次元行ベクトル,すなわち,商業施設ノード数に対応する次元の行ベクトルである。(
1
∼(3
)のそれぞれの要素は,対応する各商業施設の,入口来街頻度の寄与による販売額
街頻度の寄与による販売額
,およびそれらの和である
販売額
,回遊来
である。さて,紫川がな
かったとしたときの予測値と現状との差が,紫川の商業販売額への効果である。これは以下のように表
すことができる。
=
=
=
ただし,添字の
は配置パタンの変化後,
+
(
)
4
+
(
)
5
+
(
)
6
は変化前
(現状)
, は効果を表す。この販売額の差の
が,小倉都心商業地区に対する紫川の販売額減少効果である。この
計
計を年間収益の減少 に換算し割
引率で割り引くことによって,紫川の価値を求める。
3 小倉駅前地区における商業販売額予測回遊マルコフモデル
3.
1 データ
本研究で用いるデータは,1
99
4年 11月 1
9,
20
,2
3日北九州市小倉北区において実施した消費者購買行
動調査データである(石橋・斎藤・熊田[5
],I
[6
]参照)。本調査は,小
s
hi
bas
hi
,Sai
t
oandKumat
a
倉駅前地区を調査範囲とし(図 1参照),調査日に当該地区を訪れた来街者を対象とした,約 1
5 間の
インタビュー調査である。調査項目は,回答者の属性,小倉駅前地区への出向頻度(目的別ならびに主要
商業施設別)並びに,回遊行動履歴である。回遊行動履歴は,回答者の小倉駅前地区における当日の回
遊行動について,立寄り場所,そこでの目的を,生起順に聞き,そこで買物をした場合には,購買品目,
購買額,購買による満足度を答えてもらうとともに,調査地点以後の予定行動についても聞いている。
3.
2 小倉地区における金額ベース非集計消費者回遊マルコフモデル
ここで用いる,紫川による回遊 断に起因する販売額の減少を予測する金額ベース非集計回遊マルコ
の行和は 1以下である。マルコフ型消費者回遊行動モデルの詳細については,斎藤[11]
,斎藤・石橋
[1
[1
5],Sai
t
oandI
s
hi
bas
hi
6]を参照されたい。
328
斎
藤・石
橋・熊
田
1玉屋
2ダイエー
3井筒屋
5京町 2丁目
6魚町 1丁目
7電車通り 1
9サンロード
10 頭町
11魚町銀天街北
13魚町銀天街北通路 14電車通り 2
15ちゅうぎん通り
17京町 1丁目
18 場町
19室町
21小倉城
22小倉市民会館 23JR小倉駅
25旦過市場
26京町 3丁目
27鍛冶町 1丁目
図 1:小倉駅前地区調査範囲と商業地ノード
4東映会館
8魚町 2丁目
12魚町銀天街南
16みかげ通り
20小倉北区役所
24馬借 1丁目
2
8そごう
フモデルは,石橋・斎藤・熊田[5
],I
[6]で開発された,小倉地区におけ
s
hi
bas
hi
,
Sai
t
oandKumat
a
る来街頻度ベースの商業販売額予測非集計回遊マルコフモデルである。来街頻度ベース販売額予測非集
計回遊マルコフモデルは,(
)非集計
a)消費者の購買額予測モデル,(b)非集計入口選択モデル,(
c
回遊選択モデルの 3つから構成されている。(a),
(
b)の 2つのモデルは,先のモデルを踏襲しているが,
(
)の非集計回遊選択モデルについては,若干の改訂を行い,商業地ノード間の距離を再計測してモデル
c
のパラメータを再度,推定した。ここでは,(a)の購買額予測モデルの推定結果を表 2に,また回遊選択
モデルの定式化を (7
)式に,またその推定結果を表 3に示す。購買額予測モデルでは,被説明変数を 1来
街頻度あたりの購買額とし,表 2にある変数を説明変数として最小 2乗法で推定を行なっている。決定
係数が低くなっているのは,商品を購入しなかったために支出金額が 0となるデータが多く含まれてい
るためである。今回は手法を示すということが目的であり,そのまま 用する 。
(7
)式から
かるように,回遊選択モデルは,各消費者の商業地ノード間選択確率と帰宅確率を同時に
説明することをねらったモデルである。
今回は予測モデルといっても,現状と距離が異なる場合の比較であり,売場面積等の変化をともなった予測
ではないので,来街頻度あたりの平 購買額という意味に近い位置づけで用いている。
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
3
29
表 2 購買額予測モデル推定結果
変数
自由度
係数
標準偏差
t値
定数
1
−4,
11
9.
4
2
3,
77
2.
7
5
−1.
0
92
女性ダミー
1
24
1.
7
1
1,
26
1.
9
4
0.
1
92
1
0代年齢ダミー
2
0代年齢ダミー
1
2,
06
4.
4
3
3,
73
5.
6
7
0.
5
53
1
1,
60
9.
9
2
3,
73
2.
2
7
0.
4
31
3
0代年齢ダミー
4
0代年齢ダミー
1
2,
58
1.
8
5
3,
78
1.
2
5
0.
6
83
1
1
0,
58
1.
0
0
3,
89
8.
8
3
2.
7
14
5
0代年齢ダミー
6
0代年齢ダミー
1
2,
32
6.
9
3
3,
94
0.
1
2
0.
5
91
1
1,
92
2.
1
7
3,
88
8.
2
4
0.
4
94
1
7
3.
8
5
2
5.
3
0
2.
9
19
1
0.
051
5
0.
030
1
1.
7
08
自宅からの時間距離(
)
売場面積(平米)
R =0.
1
019
修正済み R =0.
0
82
1
e
xpδ +∑ α
=1
,
…,
28(
回遊選択確率)
=
+∑
e
xpδ +∑ α
+∑
e
xpδ +∑ α
(
)
7
=2
9(帰宅碓率)
ただし,
は 商業地ノードから 商業地ノードへの距離,
は女性のダミー変数,
は行き先商業地ノードの売場面積,
=1,
…,
6 は年齢階層のダミー変数,
は帰宅する際に発地となる商業地
ノードの売場面積を表す。これを非集計多項ロジットモデルで推定した推定結果が表 3である。
表 3 回遊選択モデル推定結果
変数
パラメータ
推定値
標準偏差
og
1 l
og
2 l
μ
0
.
35
67
−0
.
78
49
0
.
04
50
λ
og
1 l
3 女性ダミー
γ
−0
.
04
17
0
.
02
08
δ
−0
.
11
50
0
.
21
06
4 1
0代年齢ダミー
5 2
0代年齢ダミー
α
1
.
10
25
0
.
26
80
α
0
.
88
50
0
.
28
08
6 3
0代年齢ダミー
7 4
0代年齢ダミー
α
0
.
56
42
0
.
26
94
α
−0
.
09
30
0
.
29
98
8 5
0代年齢ダミー
9 6
0代年齢ダミー
α
−0
.
49
67
0
.
31
29
0=−1
,
98
7.
44
c=−2
8,
4
41.
8
5
β =−1,
7
46.
91
α
0
.
06
18
0
.
28
00
0
.
31
29
ρ=4
81.
06
ρ=0
.
121
0
ρ =0.
11
60
0 :全ての係数が 0の時の対数尤度
ρ=−2 0− β
ρ=1
− β
0
:選択固有ダミーを用いた時の対数尤度
β :選択された係数を用いた時の対数尤度 ρ =1−
β−
0
K:パラメータ数
5% 有意水準
330
斎
3.
3 紫川による中心商業地
藤・石
橋・熊
田
断の現状
ここで,斎藤・熊田・石橋[2
,Sai
[21
]によって推定された 1
0]
t
o,Kumat
aandI
s
hi
bas
hi
9
9
4年時
点における紫川による商業地
断の現状を表 4に示しておこう。表 4から紫川東岸では西岸地区へ回遊
する人が圧倒的に少なく,紫川東岸地区の来街者は,東岸地区内で回遊していることがわかる。また,紫
川西岸地区への来街者は,約 2/
/
3が,西岸地区内で回遊を行なっている一方,約 1
3が東岸地区へ回遊
していることがわかる。
表 4 紫川両岸における回遊比率(1
994年)
現状
東
西
回遊度数
東
0.
9
27
0
.
07
3
12
3,
6
37
西
0.
3
40
0
.
66
0
2
4,
7
66
4 紫川の価値の計測
4.
1 計測方法
先にも述べたように,本研究は,紫川の価値の計測を,紫川によって東西間の回遊行動が 断される
ことによる,販売額の減少額を推計することによって行う。そのためには,現状の販売額推計値と紫川
がなかった場合等のいくつかのケースでの販売額の予測値が必要である。
まず,2
.
1で述べた状態を再度確認しおこう。状態 (
o):紫川に全く橋がかかっていない状態,状態
(
a):これは現状である。現存の橋が紫川にかかっている状態,状態 (
n):歩行者にとって紫川がないと
想定できる状態(表 1参照)
。実際に,金額ベースの回遊マルコフモデルによって,紫川の東西両岸の販
売額を推定・予測するケースは現状の状態 (a)と状態 (
n)である。
歩行者にとって紫川がないと想定した状態 (n)での予測ケースの設定は以下のように行った。
歩行者にとって紫川がないと想定できる状態 (n)とは,東西を行き来する際に,橋があるところまで
回せずに直接東西を行き来できる,ということを意味する。そこで,歩行者にとって紫川がないと想
定した状態 (n)は,紫川を横断するために
けた状態であると
回する必要がないだけの橋を既存の橋に加えて,紫川にか
える。従って,商業地ノード間の距離は,現状に比べて, 回せず両岸を直接行き
来するできる だけ短くなる。このように,短くなった,新しい商業地ノード間の距離で状態 (
n)を表
現する。
また,ここでは現状の状態 (a)と紫川がないとした状態 (
n)の両方のケースでの東西両岸の販売額の
推定・予測に際し,各商業地ノードの入口来街頻度は変わらないと想定して,計算を行っている。
さて,東西両岸の販売額の比較は,歩行者にとって紫川がないとした状態 (
n)をベースに次の 3つの
方法で行っている。
(1
)
回路がない状態 (
n)と現状の状態 (a)との比較
(2
)
回路がない状態 (
n)と橋が全くない状態 (o)との比較
(3
) (2
)から,現状 (
a)での東西間の回遊による販売額の寄与 を
に差し引いた比較
次節で,詳しく議論するが,(
1)は,既存の橋に加え,新たに橋を架けて,東西の横断に 回を必要と
しないようにした場合と現状との比較であり,新しい橋の架設からみた紫川の価値評価である。(
)は,
2
状態 (n)と橋が全くない状態 (o)との比較である。状態 (
o)での販売額予測は,ここでは,東西間の渡
り歩きが,状態 (n)のもとで,全く起こらなかったケースとして予測する。これは,既存の橋を含めて,
新たに橋を架設するとしたときの紫川の資産評価に対応する。(
)は,現状での既存の橋を用いた東西
3
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
間の回遊による寄与
を
3
31
慮し,既存の橋がある場合での,新しい橋の架設からみた紫川のネットの価
値を求めようとするものである。
4.
2 紫川の価値の計測結果
回路がない状態 (n)と現状の状態 (
a)との比較
4.
2
.
1
表 5にその推計結果を示す。金額ベースの回遊購買効果(回遊購買額/
入口)をみると, 回を行なわ
ずに紫川を横断した場合の増加
は 0.
01ポイントの増加を示しており,人数ベースと同様の傾向が認め
表 5 現状と
回なしの状態での販売額の推計結果
現
状
回なし
入口
購買
回遊
購買
購買
(1
)
購買
(2)
入口
購買
回遊
購買
購買
(1)
購買
(
2)
28
,
74
4
3
3,
6
18
62
,
36
2
68,
7
70
28
,
744
34
,
37
0
63,
114
6
9,
4
48
14
,
32
3
3
0,
1
10
44
,
43
3
44,
4
33
14
,
323
31
,
16
7
45,
490
4
5,
4
90
3 小倉井筒屋
4 東映会館
103
,
76
6
8
2,
4
49
186
,
21
5
2
08,
6
58 1
03
,
766
83
,
98
8
1
87,
754
20
9,
8
93
7
,
09
3
4
0,
0
09
47
,
10
2
47,
7
57
7
,
093
40
,
10
4
47,
197
4
7,
8
51
5 京町二丁目
6 魚町一丁目
2
,
47
6
2
9,
7
97
32
,
27
4
32,
2
74
2
,
476
29
,
79
5
32,
271
3
2,
2
71
4
,
83
6
3
7,
0
48
41
,
88
4
41,
8
84
4
,
836
37
,
04
5
41,
881
4
1,
8
81
7 電車通り 1
8 魚町二丁目
42
5
1
8,
3
32
18
,
75
7
18,
7
57
425
18
,
33
0
18,
754
1
8,
7
54
3
,
47
4
3
2,
0
36
35
,
51
0
35,
5
10
3
,
474
31
,
99
9
35,
473
3
5,
4
73
9 サンロード魚町
頭町
10
5
,
83
1
3
1,
0
48
36
,
87
9
36,
8
79
5
,
831
31
,
06
8
36,
899
3
6,
8
99
7
,
16
2
3
8,
1
91
45
,
35
3
45,
3
53
7
,
162
38
,
18
8
45,
350
4
5,
3
50
11 魚町銀天街北
12 魚町銀天街南
2
,
64
5
3
2,
2
53
34
,
89
7
34,
8
97
2
,
645
32
,
24
9
34,
894
3
4,
8
94
10
,
51
0
4
6,
0
33
56
,
54
3
56,
5
43
10
,
510
46
,
22
4
56,
734
5
6,
7
34
1
,
29
6
2
6,
6
72
27
,
96
8
27,
9
68
1
,
296
26
,
66
6
27,
963
2
7,
9
63
5
4
1
1,
8
22
11
,
87
6
11,
8
76
54
11
,
82
0
11,
874
1
1,
8
74
54
3
1
9,
7
02
20
,
24
6
20,
2
46
543
19
,
69
8
20,
241
2
0,
2
41
3
,
71
8
3
1,
9
63
35
,
68
1
35,
6
81
3
,
718
32
,
05
1
35,
769
3
5,
7
69
4
,
40
1
3
4,
4
52
38
,
85
3
38,
8
53
4
,
401
34
,
44
5
38,
846
3
8,
8
46
3
,
85
7
2
9,
5
46
33
,
40
4
33,
4
04
3
,
857
29
,
54
5
33,
402
3
3,
4
02
19 室町
20 小倉北区役所
0
5
55
55
5
5
55
0
56
6
566
5
66
0
1,
7
67
1
,
76
7
1,
7
67
0
1
,
82
4
1,
824
1,
8
24
21 小倉城
22 小倉市民会館
0
1,
3
41
1
,
34
1
1,
3
41
0
1
,
35
8
1,
358
1,
3
58
0
9
53
95
3
9
53
0
96
7
967
9
67
2
,
10
4
2
1,
6
20
23
,
72
4
23,
7
24
2
,
104
21
,
61
8
23,
722
2
3,
7
22
11
,
47
9
3
0,
3
78
41
,
85
7
41,
8
57
11
,
479
30
,
38
8
41,
866
4
1,
8
66
5
,
00
4
2
7,
0
20
32
,
02
4
32,
0
24
5
,
004
27
,
01
5
32,
019
3
2,
0
19
10
,
35
8
3
7,
7
23
48
,
08
1
48,
0
81
10
,
358
37
,
71
8
48,
076
4
8,
0
76
2
,
68
8
2
3,
2
16
25
,
90
4
25,
9
04
2
,
688
23
,
21
3
25,
901
2
5,
9
01
132
,
31
3
9
1,
8
69
224
,
18
3
2
54,
1
17 1
32
,
313
91
,
86
3
2
24,
176
25
4,
1
09
1 小倉玉屋
2 ダイエー小倉店
13 魚町銀天街北通路
14 電車通り 1
15 ちゅうぎん通り
16 みかげ通り
17 京町 1丁目
場町
18
23 JR小倉駅
24 馬借 1丁目
25 旦過市場
26 京町 3丁目
27 鍛冶町 1丁目
28 そごう
計
比
率
369
,
10
2 84
1,
4
98 1,
210
,
59
9 1,
2
70,
0
40 3
69
,
102 845
,
28
2 1,
2
14,
384 1
,
27
3,
4
43
1.
0
0
2.
28
単位 :1,
0
00円/
1日
購買(1):滞留を含めない 購買額
購買(2):滞留を含めた 購買額
3.
2
8
3
.
44
1.
00
2.
2
9
3
.
29
3.
45
332
斎
表6
藤・石
橋・熊
田
回なしの状態 nと現状との販売額の差
滞留を除いた
購買
滞留
購買
滞留を含めた
購買
3
,
784
,
02
2
−38
1,
0
08
3
,
40
3,
0
13
現状で橋を新設したときの効果
単位 :円/1日
られる。特に,紫川を挟んで東西に立地する,東岸側の小倉井筒屋・東映会館と西側の小倉玉屋・ダイ
エー小倉店での販売額の増加
さて,表 6には
が,全体の増加のほとんどを占めてめていることが かる。
回路がない状態 (
n)の場合と現状の状態 (
a)との販売額の差を示してある。これに
よると歩行者にとって紫川がないと想定できる状態 (
n)からの販売額の減少額の推計値は,年平
で1
日あたり 34
0万円であり,年間販売額の減少額は 1
2
.
4億円となる。これを 5
% の割引率で割り引くと,紫
川の価値は約 24
8億円であるとの計測結果になった。
4.
2
.
2
回路がない状態 (n)と紫川のみ存在する状態 (
o)との比較
前項の方法では,紫川の価値の計測としては,過小評価となっていると えられる。それは,現状で
の販売額の推定は,状態 (
a)での回遊選択確率を用いているが,この中には,紫川がなければ,すなわ
ち,歩行者にとって紫川がないと想定できる状態 (
n)ならば,本来東西間の回遊に流れたはずのものが,
仕方なく東西の各自地域内での回遊にまわっているという,自地域内回遊が含まれており,これを差し
引いていないからである。いわば,CV(補償変
)と EV(等価変 )の評価時点の違いのごとく,こ
こでは,状態 (n)での回遊選択確率をもちいて評価すべきだ,ということになる。
このような え方は,状態 (n)を基準にした,橋が全くない状態 (
o)と状態 (
n)との比較の視点に結
びつく。その方法は以下である。
回遊選択確率を
で表し,
で状態 (n)での回遊選択確率,
を表そう。また,商業地を東西の 2つの集合に
で現状の状態 (a)での回遊選択確率
割し,これに対応して, , は 2
×2の 割行列で表
現する。また,入口選択確率は状態 (n)と状態 (a)で変化しないとの先の仮定より,販売額の違いは回
遊選択確率のみに依存する。そこで,以下の定式化では回遊購買の部 だけを示すことにしよう。
まず, 回がない状態 (n)の場合の回遊選択確率
は (9
)式となり,これを
1とする。ここで,
を(
8)としよう。このとき状態 (
n)の回遊購買
の要素となっている行列の添字は
:紫川東岸,
:
紫川西岸を表している。
=
(
)
8
1= ∑
−
(
)
9
次に,状態 (
n)を基準としてみたとき,橋が全くない状態 (
o)は,状態 (
n)の回遊選択確率
て,東西間の回遊確率を 0とおいて得られる (
)式の回遊選択確率
1
0
回遊購買は (1
1)式であり,これを
として表現される。この場合の
2とする。
=
2
=∑
におい
0
0
−
(
)
1
0
(
)
1
1
1
- 2は,紫川に全く橋を架けない状態 (
o)が最善だとしたとき,既存,新設を含めて, 回路が
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
生じないように橋を架けたとしたときに,得られたはずである,販売額の増
3
33
である。これは,紫川に
全く橋を架けない状態 (
o)を存続させるための機会費用であり,そのために商業者が放棄する価値であ
る。この年間販売額の増
を,年間収益の増
に換算し,割引率で割り引けば,紫川の価値が得られる。
実際は,現に橋がかかっていることからすると,紫川に全く橋を架けない状態 (
o)を存続させる価値よ
りも,機会費用の方が大きかったことになる。その意味から,
1
-
2を年間収益に換算し,割引率で
割り引いた値は,紫川の価値の上限を示しているということができよう。
表 7に
1および
2の推定結果を示す。これによると紫川に橋が全くかかっていない状態 (
o)と
歩行者にとって紫川がないと想定できる状態 (n)との 1日あたりの平
販売額の差は約 2
.
6億円とな
り,年間販売額では約 93
4億円となる。これを 5
% の割引率で割り引くと,紫川の価値は約 1
.
9兆円であ
るとの計測結果になった(表 8参照)
。先の解釈によれば,この値は紫川の価値の上限ということができ
表 7 RS1
,RS2,RS3の推定結果
回遊購買
(1)
RS1
回遊購買
)
RS2(2
回遊購買
RS3(
3)
(
−(
1)
2)
4
0,
70
4
8,
7
54
7
,
801
3
1,
95
0
24,
1
49
3
1,
16
7
3,
1
98
6
,
688
2
7,
69
6
21,
2
82
3 小倉井筒屋
4 東映会館
10
6,
12
7
81,
3
65
4
,
562
2
4,
76
2
20,
2
00
4
0,
75
8
30,
9
34
4
,
484
9,
82
4
8,
3
40
5 京町二丁目
6 魚町一丁目
2
9,
79
5
23,
1
60
784
6,
63
5
5,
8
51
3
7,
04
5
28,
6
18
1
,
025
8,
42
7
7,
4
02
7 電車通り 1
8 魚町二丁目
1
8,
33
0
14,
0
81
529
4,
24
9
3,
7
20
3
1,
99
9
24,
3
96
1
,
031
7,
60
3
6,
5
72
9 サンロード魚町
頭町
10
3
1,
06
8
23,
4
83
1
,
085
7,
58
5
6,
4
99
3
8,
18
8
28,
9
98
1
,
242
9,
19
0
7,
9
48
11 魚町銀天街北
12 魚町銀天街南
3
2,
24
9
24,
8
03
900
7,
44
6
6,
5
46
4
6,
22
4
34,
8
71
1
,
485
1
1,
35
3
9,
8
68
13 魚町銀天街北通路
14 電車通り 1
2
6,
66
6
20,
4
23
785
6,
24
4
5,
4
58
1
1,
82
0
9,
0
36
344
2,
78
4
2,
4
40
15 ちゅうぎん通り
16 みかげ通り
1
9,
69
8
15,
0
23
607
4,
67
5
4,
0
69
3
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2
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4
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1 小倉玉屋
2 ダイエー小倉店
19 室町
20 小倉北区役所
21 小倉城
22 小倉市民会館
計
単位 :1
,
00
0円/1日
回遊購買には滞留を含む
ネットの効果
NET
334
斎
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橋・熊
田
る。
4.
2
.
3 紫川のネットの価値の計測
さて,前項の計測結果は,既存,新設を含めて, 回路が生じないように橋を架けたとしたときの紫
川の価値であった。その中には,既存の橋の価値が含まれていると
えられる。これを取り除き,現状
で追加的に 回路を生じさせないように橋を架けたとしたときの,紫川のネットの価値を求めたい。そ
のために,現状の状態 (
a)のもとで,東西間の回遊のみを 慮した回遊選択確率
で表そう。このときの回遊購買は (1
3)であり,これを
=
−
=
=
1−
(
)
1
2
0
3は,既存の橋による東西間の回遊への寄与
本論文では,この
3とする。
0
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のネットの効果であると
を え,これを (
)
1
2
2−
1
−
(
)
1
3
であり,次式で
2
−
を定義しよう。
3
(
)
1
4
3をもって,紫川を現状のままで存続させようとしたとき
え,これを年間収益に換算して,割り引いたものを,紫川のネットの価値と
捉えている。
表 7には,
1
,
2に加え,
3,
の推定結果を示してある。表 9は,表 7にもとづいて求め
た紫川のネットの価値の推定結果を示したものである。これによると 1日あたりの平 販売額の減少額
は約 2.
1億円となり,年間販売額の減少は約 7
67億円となる。これを 5
% の割引率で割り引いたネットの
紫川の価値は約 1.
5兆円との計測結果になった。
表 8 橋が全くないときの紫川の価値
表 9 橋を新設したときの紫川のネットの価値
1,
86
8,
0
49,
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1,
5
51
,
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,
48
0
単位 :1
,
00
0円
単位 :1,
0
00円
5 結論と今後の課題
これまで,都心商業地区内にある自然環境を実際に金額タームで価値評価した例はなかった。本研究
は,消費者の回遊行動の観点から,北九州市の都心商業地区である小倉地区を東西に 2 する紫川の価
値の計測を行なったものである。
その方法は,金額ベースの非集計回遊マルコフモデルを用い,紫川がなかったとしたときの消費者の
回遊行動予測から,紫川がなかったとすれば,得られたであろう東西両地区の商業販売額を予測し,紫
川の存在によって生ずる商業販売額の減少額を,割引率で割り引き,その価値を求める方法であり,い
わば,価値の,機会費用による新しい計測方法となっている。
今回提案した方法は,1)これまでの CVM 等の St
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者の行動変化にもとづいた計測方法であること,また,2
)自然環境の価値を商業販売額の変化といった
機会費用の観点から計測しようとした点, には,3
)紫川があることによって,本来,東西の回遊に回
るべきものが,東西の各地区内の回遊にまわっている を 慮し,これを差し引いたネットの効果を定
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
3
35
義し,これにもとづいた価値の計測を行っているなど,これまでにはなかった全く新しい方法となって
おり,都心商業環境の整備といった 共事業の経済評価に一つの視点を与えたものであると える。
今回提案した方法を都心商業環境の経済評価に拡張していくことが,今後の課題である。
参
[ 1] 青山吉隆, 都市開発
文
献
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[16] Sai
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999
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[18] 斎藤参郎・栫井昌邦・中嶋貴昭, 来街地ベースサンプリングによる都心商業地への入込者数予測モデ
ルの構築と評価 ,日本地域学会第 35回年次大会論稿集,1
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,pp1
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29
,pp55
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[20] 斎藤参郎・熊田禎宣・石橋
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―小倉都心再開発に伴う入込客数および消費者回遊パタンの変化予測と評価― ,都市計画学会論文
集,19
95,Vol
.
30
,pp52
3-5
28.
[21] Sai
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6.
[22] 斎藤参郎・中嶋貴昭・栫井昌邦, 消費者回遊行動からみた大規模再開発による都心構造変化に関する
実証研究 ,日本地域学会第 35回年次大会論稿集,19
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,pp15
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64
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[23] 斎藤参郎・中嶋貴昭・栫井昌邦, 消費者回遊行動から見た大規模再開発による都心構造変化に関する
実証研究 ,地域学研究,199
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30.
[24] 竹内憲司,
『環境評価の政策利用』,勁草書房,199
9.
機会費用による中心商業地河川の価値の計測の試み
3
37
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