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災害時における母乳育児支援 - ラ・レーチェ・リーグ日本

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災害時における母乳育児支援 - ラ・レーチェ・リーグ日本
Tomo Miura
災害時の母乳育児支援
本 郷 寛 子
なぜ災害時の乳幼児栄養法が重要なのか?
災害が起こると:
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

人口移動;人口密度が増える。
食糧の供給が不安定;安全な水が手に入りに
くくなり、衛生状態が悪くなる。
保健医療ケアのシステムが追いつかない。
乳幼児の疾病率や死亡率が上がる可能性が増
える。特に下痢が原因となったリスクが高く
なる。
母乳だけで育てることで:



Tomo Miura
安全で安定した食が乳幼児に供給できる。
汚染した水の中の細菌や寄生虫による病気か
ら乳幼児を守る。
母乳で育てる期間が終わってからも、(母乳
で育ったことで)抗体が力を発揮して、病気
を予防したり闘ったりする。
1994年1月17日 ロサンゼルス大地震
マグニチュード6.7 死者33~57人
1995年1月17日 阪神淡路大震災
マグニチュード7.3 死者 6,434人
著作権保護のため掲載せず
地元紙「神戸新聞」の記事(2005年1月16日)
WHO/UNICEF
『乳幼児の栄養に関する世界的な運動戦略』(2002)
乳幼児:自然・人為的に引き起こされた災
害の最も脆弱な犠牲者
母乳育児の中断や不適切な補完食→栄養
不良、疾病、死亡率のリスクを増加
無差別に母乳代用品を配布→早期かつ不
必要な母乳育児の中止
ほとんどの乳幼児:母乳育児の保護・推進・
支援、および適切な時期に安全で適切な補
完食が与えられるという保証に重点
母乳代用品で育てなければならない少数の
乳児:適切な代用品を安全に
2004年10月23日 新潟中越地震
マグにチュード 6.8 死者 68人
著作権保護のため掲載せず
http:///www.museum.city.nagaoka.niigata.jp
新潟中越地震のときのメディアへのお願い
(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会作成)
LLL サイトでのアクセス
メディア向け 2843
お母さん向け4791
現地支援者向け3192
(2004~2011年)
援助者のためのガイド(Q&Aつき)
災害時の母と子の育児支援
共同特別委員会
災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会
(ラ・レーチェ・リーグ日本, 日本ラクテーション・コンサルタント協会、母乳
育児支援ネットワーク)を紹介するメディア
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新潟中越地震
讀賣新聞
2004年11月4日付
2004年12月26日 スマトラ沖地震
マグニチュード 9.1 死者 22万人
著作権保護のため掲載せず
http://www.ja.wikipedia.org/wiki/スマトラ島沖地震_(2004年)
さまざまな国での援助方針による明暗
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


東南アジアの津波による人道支援
インドネシア – 混沌状態 – 以下についての方針を実施する
ための政府のメカニズムが欠如していた:
 乳幼児の栄養法
 「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」
の法制化
スリランカ – 乳幼児栄養法についての方針がしっかり定義
されていたので、「母乳代用品」の配布を防ぐことができた。
パキスタン 地震 –「災害時の乳幼児栄養についてのガイド
ライン」が、承認され、行き渡っていたので、「母乳代用品」
の配布を最小限に抑えることができた。(ただし、プライバ
シーに配慮した授乳場所の設置が欠如していた)
2006年5月27日ジャワ島中部地震
マグニチュード6.3 死者5000人
-「母乳代用品」粉ミルクやベビー
フード食品の大量配布
 2歳未満の5人に4人は乳児用人
工乳の寄付を受け取った。
 母乳育児の大キャンペーンをした
にも関わらず、災害時に乳児用人
工乳の消費量が2倍に増えた。
 震災後の下痢症が、4倍に増加し
た。(7%→29%)
 「母乳代用品」の寄付を受け取っ
た人々の間で、下痢症の有病率
が2倍。 (25% vs 12%)
 震災後の非衛生な状況での人工
栄養法が、事態を悪化させた。
Photo by USAID
IFE “Operational Guidance on Infant and Young Child Feeding in
Emergency Version2.1 ”(2007年)
災害時における乳幼児の栄
養:災害救援スタッフと管
理者のための活動の手引き
(日本語版、2008年)
http://jalc-net.jp/
2007年7月16日
中越沖地震
マグニチュード 6.8 死者15人
柏崎のコミュニティ放送
ピッカラは、
『災害時の母と子の育児支
援 共同特別委員会』のメッ
セージを放送 2007年8月
写真提供: 奥起久子
2009年 WABA(世界母乳育児
行動連盟) パンフレット
2011年2月 クイストチャーチ地震
マグニチュード6.8 死者180人
著作権保護のため掲載せず
http://en.wikipedia.org/wiki/Earthquakes_in_New_Zealand
2011年3月11日
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3月11日 大地震と津波発生
3月12日 LLL災害相談窓口業務開始、災害時の共同特
別委員会のMLを再開、ツイッター開始
3月13日・14日 福島原発1号機・3号機爆発
3月14日より 計画停電開始
3月17日 ユニセフ東京事務所より連絡
3月17日 JALC 「母乳育児と放射線被曝」「先進国災害
と乳児栄養」をサイトに掲載
3月20日 JALC カップ授乳動画
3月22日 東京都の水道水より放射能
3月22日 LLL電話相談のためのML始動
3月23日 ユニセフより正式にホットライン依頼
3月24日 他団体との協議開始(ML)
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3月28日 災害共同委員会Facebook公開
3月31日 ユニセフ東京事務所で他団体と会合
4月1日 JALC 「母乳育児と放射線被曝Q&A」
4月5日 災害共同委員会ウエブ公開
4月6日 他団体・ユニセフと共同声明発表
4月12日 ユニセフ赤ちゃんホットライン開始
4月13日 日本ユニセフ協会のサイトで公開
4月20日 母乳調査の呼びかけと発表
4月20日 LLL 「災害時の乳児の栄養法」翻訳公開
5月17日 LLL 情報入りウエットティッシュ配布
5月21日JALC「母乳中の放射性物質測定と報道に関する提言」
6月7日 JALC 「緊急用物資としての調整液状乳と使い捨て哺乳
びんの取り扱いについての提言」
6月15日 「災害時の母乳育児相談手引き 改訂版」
ユニセフ赤ちゃん栄養ホットライン
ポスター(3,000部)リーフレット(10,000部)
ウエブサイトへのアクセス数
LLL(ユニー
ク)
BSN(セッション
数) (FB表示数)
JALC(ページ
数)
日本ユニセフ協会
3月11日
68
208
-
3月12日
609
301
-
-
3月13日
5,050
702
-
-
3月14日
6,243
767
-
-
3月合計
16,712
10,981(FB8,742)
記録なし
-
4月6日
91
318
-
4月7日
142
359
-
4月13日
119
339
-
4月21日
141
447
-
4月合計
3,500
10,357(FB1,023)
記録なし
5月合計
2,351
8,994 (FB1,399)
5/26-: 11,450 5/13-6/12: 325
6月合計
2,053
17,533(FB1,843)
48,747 6/13-7/12: 223
地震発生
共同声明
-
ホットライン発表
278
-
4/13-5/12 :2,378
繰り返し不安をあおる報道
ストレスで母乳が出なくなる?
 充分な食べ物がないとよい母乳が出ない?
 母乳育ちの赤ちゃんにも粉ミルクが必要?
 とにかく赤ちゃんにミルクを送って?
 哺乳瓶で飲めないなんてかわいそう?
 水や牛乳が危険ということは母乳も危険?

すべての赤ちゃんに安全で適切な栄養を
直接授乳できない
場合はコップで授乳
粉ミルクの調乳は清
潔な水と容器で70
度以上で
Tomo Miura
なぜ母乳育児の大切さが
マスコミや一般の人に伝わらないのか
 災害時には粉ミルクを、海外から液体ミルクを、使い
捨て哺乳びんを?
 海外からの情報、コップ授乳や母乳育児支援は非現
実的?
 こんな非常時に母乳を押し付けるな、人工乳による
感染のリスクを伝えて母親を苦しめるなという声
 水や牛乳や食べ物が放射線汚染?母乳が危ないの
で検査を?
 どのように情報を伝えるか、考えの違う人たちとどう
連帯していくか?
同じ目線で耳を傾ける
ピアサポートの大切さ
災害時の育児支援:想像と現地の
ニーズのギャップ
阪神淡路大震災での経験、母親の声
ニーズの理解・一人ひとりの気持ちへ
の共感
東日本大震災でのホットライン・電話
相談
ユニセフ赤ちゃんホットライン
0120-888-xxx(やっぱり母と子)報告
沢潟裕子(ラ・レーチェ・リーグ日本)2011年6月15日作成より
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2011年4月12日(火)~5月31日 全8週 月-土 10:0022:00(日曜・祝日は休み)
相談電話総呼数:109件
 相談・問い合わせ等
53件
 迷惑・間違い電話
12件
 すぐ切れた電話等
13件
 時間外で受電対応不能 31件
相談者のお住まい:宮城・福島・千葉・東京・埼玉・大分
どこで番号を知ったか:携帯サイト・新聞・インターネット・地元
ラジオ・テレビ・NHKニュース
電話対応リーダー数:43人(内ボイスワープ4回線 18人)
その他協力しているリーダー:8人
全51人
ホットラインでの主な相談内容
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
生後5日目「混合から母乳だけに」(宮城)
放射線関連のニュースを聞いて「母乳をあげていても
大丈夫か」(福島・栃木・宮城・千葉のお母さん、東京の
お父さん)
災害と避難生活のストレスで母乳育児をあきらめざる
を得ない 被災地は戦争のよう(宮城)
消毒のため道路に撒いている石灰:母乳をあげても大
丈夫か(宮城)
2ヵ月の赤ちゃんの体重が増えない心配(大分)
9ヵ月の赤ちゃん。家で母乳、保育所で人工乳(大分)
ボランティアと
自分の家族のニーズとの両立
躁状態と無力感
自分の子どものニーズ
震災時の自然な反応である自分
自身や他人の中の怒りにどう対処
するか
怒り
政府、不適切発言をした人、メディア、仲間
や家族に対しての怒り
 ストレス、無力感から生じる怒り
 怒りは怒りを生み、負の連鎖につながる
 今、我々に必要なのは、怒りのつながりでは
なく、サポートのつながり

(三羽理一郎「心理学者からの、震災から心を守る
メッセージ」 ブログより)

「怒りは、痛み。痛いということは、どこかに
傷ができているということ」(Jody Nathsanson)
(Osofsky, 2011「災害精神保健の主な概念」 より)
FOUR WINDS特別セミナー 6/30/2011

親も支援者も被災者
身代わりのトラウマ
 被災者についうっかり無神経になる
 自他のけじめや境界の喪失
 自分の能力に不安をもつ
 現場から長い間姿を消す
 精神的な問題
 アルコールや薬物により自己流の治療
共感疲れ
Compassion fatigue
世界中から~サポートのつながり
英語で紹介
そして、未来へ・・・
世界中のラ・レーチェ・リーグ リーダーたち
ラ・レーチェ・リーグ リーダーを支えた家族たち
三浦友萌(イラスト)
ラ・レーチェ・リーグ 医学賛助会員
NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)
母乳育児支援ネットワーク(BSN)
一般社団法人 日本母乳の会
日本母乳哺育学会一般社団法人
日本ユニセフ協会
ユニセフ東京事務所
サポートの輪に感謝します
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