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玄そばのタンパク質含量とそばの製麺適性及び食味評価
玄そばのタンパク質含量とそばの製麺適性及び食味評価 [要約] タンパク質含量の高いそば粉で作ったそばは、県内外そば店によるそば打ち評価 と食味評価を加味した総合評価が高いことから、そばの品質評価にはタンパク質含 量を目安にできる。 農業総合センター農業研究所 平 成 26 年 度 成果 区分 技術情報 1.背景・ねらい 本県は古くから全国有数のそば産地であり、県育成品種の「常陸秋そば」は、実 需 者 か ら 高 い 評 価 を 受 け て い る 。 一 方 、「 そ ば 」 に は 米 麦 の よ う な 明 確 な 品 質 評 価 基準がないため、品質向上のための目標値の設定が急務である。そのため、タンパ ク質含量の高いそば粉を用いた食味と製麺適性について、そば店を含めた評価を明 らかにし、タンパク質含量によるそばの品質評価法を検討する。 2.成果の内容・特徴 1)ハイブリッドミキサー(T社)と手動製麺機を用いて作成したそばの食味との 関 係 は 、タ ン パ ク 質 含 量 の 高 い そ ば 粉 の 方 が 、そ ば の 生 地 玉 生 成 時 間 が 短 く 、生 地 が ま と ま り や す く ( デ ー タ 略 )、 色 ( 見 た 目 ) が 優 れ 、 麺 の 食 感 は 硬 め と い う 傾 向 で あ る ( 評 価 は 研 究 所 職 員 に よ る )( 表 1 )。 2 ) 県 内 外 延 べ 12 店 舗 の そ ば 店 を 対 象 に し た そ ば 打 ち 評 価 で は 、 タ ン パ ク 質 含 量 の 高 い そ ば は ね ば り が あ り 、半 数 以 上 で 生 地 が ま と ま り や す く 、茹 で あ が り( 色 合 い)が良い。 ま た 、 12 店 舗 中 10 店 舗 で タ ン パ ク 質 含 量 の 高 い そ ば が 食 味 評 価 を 加 味 し た 総 合 評 価 で も 良 い ( 図 1 )。 3)これらのことから、タンパク質含量の高いそばは、生地がまとまりやすく、そ ば 打 ち 評 価( 製 麺 適 性 )及 び 食 味 評 価 を 加 味 し た 総 合 評 価 が 高 く 、品 質 評 価 の 目 安になる。 3.成果の活用面・留意点 1 )高 品 質 そ ば 粉 の 販 売 と 良 質 な「 常 陸 秋 そ ば 」P R の た め の 資 料 と し て 活 用 す る 。 2 ) 県 内 産 「 常 陸 秋 そ ば 」 で 各 年 15% 程 度 及 び 17% 程 度 の 玄 そ ば を そ れ ぞ れ 低 タ ンパク、高タンパクのそばとし、低温製粉機で微粉砕したそば粉を供試した。 3 ) 県 内 外 そ ば 店 に よ る 評 価 は 、 H24 年 県 内 産 「 常 陸 秋 そ ば 」 5 店 舗 、 H25 年 県 内 産「 常 陸 秋 そ ば 」7 店 舗 の 2 回 実 施 し ア ン ケ ー ト 形 式 で 調 査 し た 。そ ば 打 ち 評 価 は手打ちによる。つなぎ使用の有無は、各そば店の慣行による。 4.具体的データ 表1 タンパク質含量の違いによるそばの食味評価(H23~25年) 試験年 評価項目 タンパク質 含量 色 香り 硬さ 味 16.6% 3.3 3.0 3.3 3.3 3.2 15.3% 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 17.1% 3.6 3.1 3.3 2.9 3.1 15.0% 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 17.0% 3.5 3.0 3.4 2.9 3.1 15.2% 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 H23年 H24年 H25年 総合評価 注1)各試験年のタンパク質含量の低いサンプルを基準(3.0)として、1(悪い)~3(同 じ)~5(良い)、硬さは1(軟らかい)~3(同じ)~5(硬い)の5段階評価 注2)パネラー数:H23年16名、H24年14名、H25年29名 (パネラーは農業研究所・生物工学研究所職員) そば打ち( 製麺性) 色 香り 水回し ねばり 伸ばしやすや 切りやすさ 茹であがり 食味 香り コシ 味 総合 総合評価 0 1 2 3 4 タンパク質17%が良い 5 6 同じ 7 8 9 10 11 12 タンパク質15%が良い 図1 県内外そば店による評価(H25年度) 5.試験課題・試験期間・担当研究室 「 常 陸 秋 そ ば 」 の コ シ ・ 食 味 評 価 法 開 発 に 関 す る 試 験 研 究 事 業 ・ 平 成 23~ 25 年 度・作物研究室