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今後必要な対応(PDF:684KB)

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今後必要な対応(PDF:684KB)
(3)今後必要な対応
1)対応を必要とする背景
日本産果実に対する人気が高いことから、安定的な供給に対する期待が大きく、今後の
市場拡大の可能性は高い。ただ、これを実現するには解決すべき課題がある。
今後の拡大に向けた課題は、香港現地ではなく、日本の輸出産地側の意識と行動の面に
あると考えられる。すなわち、日本の輸出産地側に輸出を重視する姿勢が無いのではない
かと思われる点が、現地輸入業者の熱意をそぎ、拡大の大きな制約になっている。具体的
には、日本国内で処理しきれない商品が余り困った時にだけ買ってくれれば良いと思って
いるように見られていることである。そのため、定期的かつ安定的に優良品質の農産品の
供給を行い、サプライチェーンに関わる業者が安定的に利益を確保できる環境を形成する
必要がある。
現 在ま では、 安定 的に商 品が 流れな い、 プロモ ーシ ョンの 進め 方に問 題が あ る 、
Localization 不足、価格破壊の動きが見られた、情報提供不足、商品品質の劣った商品を送
りつける、クレームへの対応が十分ではない、など多様な問題が生じている。市場への目
配りと、相手の立場に多って考えるということが必要である。
○安定的な供給
・日本の産地の意識の中で輸出は(特に香港市場から見れば)、国内市場で処理できない
余り物を処理する市場と考えているようであり、安定的に商品を流し、流通チャネル
を活性化し続けるという意識が無いようである。例えば、一時台湾にりんごが大量に
輸出されようとしたときには香港にまったく商品が入ってこなくなった。しかも、そ
のりんごが売れないと、一転してその商品が香港に安値で流れ込み(しかも商品の劣
化が生じていた)、市場を混乱させたことがある。
○プロモーションの進め方
・日本では、長期的な戦略のもとでプロモーションをやるのではなく、商品が余ったか
らフェアをやるという短期的な取組を行っているように見られてきた。米国側の農業
団体は自分でやるのではなく、現地のマーケティング専門会社に任せ、実行する。こ
の方が効果的に行うことができる。
・日本ではプロモーション後のフォローが無く、やりっ放しの感がある。予算消化のた
めの取組でしかないのではないかと見られている。これに対して、韓国では事後のフ
ォローが積極的に行われており、輸入業者の招待・商談の拡大に取組んでいる。今回
の訪問先では、数日後に韓国政府の招待で釜山を訪問し、産地の視察等を行う予定と
のことである。
・この他、日本の産地は現地に進出している日本資本の小売店(そごう、西友、ジャス
コなど)に対するコンタクトは自ら行い、現地輸入業者に対してそのコンタクト情報
を流すことなく、関与することを嫌う傾向がある。しかも、事後のフォローを自らが
継続して行うわけでもなく、また、フェア後のサポートも無い。自分でやりたがる割
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には継続性が無い。これに対して、韓国も重要小売店に対しては、同様に自ら交渉・
調整を行うが、必ず現地輸入業者に対して情報提供を行い、関与させ、事後のフォロ
ーのコンタクトを現地輸入業者に任せていく。日本側産地のこのような扱いが、現地
の輸入業者の熱意をそぐことになっている。
○Localization 不足
・フェアで配るチラシなども日本語ばかりであり、英訳しても変な英語でしかなく、現
地の状況を反映したものになっていない。事例で掲げたチラシは、日本で使用してい
るチラシをそのまま持ち込んだものであり、奈良県の位置、地域特性を十分に理解し
ていないであろうと思われる香港人ではなく、現地居住の日本人のみを対象にしてい
るとしか考えられない。
・ある小売店では、社内の作業は英文しか使わないため、支払いに関して英文銀行口座
の書類をJAに請求したが、英文書類を提供してくれないということが指摘されてい
る。また、日本業者の営業登録証明書も日本語ばかりである。
・香港では 2007 年7月 Labeling Law が公示され、食品に対する成分と賞味期間などの
「安全性」説明(中文あるいは英文)を要求されている。日本産の加工食品やほかの
農水産物は日本語が書いてあるばかりで、何回も日本側に英文で作成することを要求
しているが、無視されている状態にある。同じ件で韓国側に相談した際には対応して
くれている。
・ある小売業では支払い条件として、サプライヤーに対して 40 日間の Credit Payment
を作成することが一般的であるが、日本側はなかなか受け入れない。
・
「輸出拡大をしようとしたら、海外の市場をよく調べてほしい。商習慣も含めて海外市
場のニーズに合わせて農産品を輸出する方針を立てて欲しい。一方的に日本の農産品
を高価品(内需価格=輸出価格)として海外に投げ出すことをやめてほしい」という
ような意見が出ている。
○価格破壊
・ある産地がプロモーションを行った際に大量(2コンテナ分といわれている)のかき
を無料で香港の業者に渡し、その業者が市場価格とかけ離れた安値で販売してしまい、
香港でのかきの価格を大混乱させた。併行してかきを輸入していた輸入業者が損害を
受けているはずとのことである。このような行動は、日本農産品全体の価値と市場の
プライスゾーンを維持することに対する大きな制約になっている。
○情報提供不測
・米国では品種ごとの協会(例えばサンキスト)が、年間の輸出プランを作って、旬(時
期)、輸出量、参考価格(データベース)を丁寧に情報提供する。これに対して、日本
産の場合は、何が、何時、どのような価格水準で、どの程度の量を輸出できるのかが
全く判らないため、販売計画を立てられない。
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○パッキングする商品の品質
・品質の良くない商品が送られてくることがあり、輸入業者によると「どのようなもの
が送られてくるか判らないので、パックを開けるまでが心配である」とのことである。
香港の最大規模の生鮮食品輸入取扱い業者である「浩新貿易公司(ホール)」によると、
「注文し送られてきたものの 9 割が品質劣化していたイチゴがある」
「日本のカボチャ
を 100 箱注文した際、90 箱に品質の良くないものが入っていた」という事例があると
のことである。この他の小売店の意見でも、産地でももの糖度をテストした物に対し
て輸出商品として送られてきた物の糖度が低くなっており、明らかに違うものが送ら
れてきているとの意見があった。他でも、日本産のキャベツが黄色く変色していたこ
とがあった。
・このうち、小売業で生じている問題は商品を輸入業者に返品することで対応されてお
り、その分輸入業者の負担・リスクが大きくなっている。
・現在では、現地の輸入業者にとっては、日本の果実は、品質リスクが大きいことと比
較して、あまり割りの良い商品ではなくなりつつあり、日本料理レストラン等からの
予約がある場合のみオーダーするようになっている。この場合も、10 の注文があれば
10 のオーダーしか出さなくなっているため、送られてきた商品の品質が劣化している
ような場合、輸入業者がリスクを負担するばかりでなく、顧客に対しても迷惑をかけ
ることになってしまうとのことである。特に、イチゴやぶどうのような賞味期間の短
い商品の場合リスクが大きい。しかし、他の商品のオーダーを受けている限りは断る
ことができない。
・しかも、商品の品質に対するこだわりは、韓国の場合、
“食べごろは何時か”という情
報を提供しながら商品を送ってくる。又は、いつごろが販売の主時期になるかを聞い
てきて、その時期に合わせた商品を送ってくるとのことである。日本の場合は、その
ような情報は一切提供されないことから、賞味期限に対する不安があるため、自社倉
庫に搬入することなく、直ぐに仲卸に送ってしまうことが多いとのことである。
○クレーム対応
・しかも、品質面で問題が生じた場合にもクレームを受け付けないという問題がある。
コミュニケーションが出来ない状況にある。ある場合には、反論どころか反応さえな
いということであった(上記カボチャの事例による)。韓国やオーストラリアの場合、
クレームに対しては十分な対応がなされているとのことである。
・上記のような産地側の対応が、香港側輸入業者の意欲を殺ぐ結果となっている。具体
的には、
「浩新貿易公司(ホール)」では数年前には日本品を主としてイチゴを 5t 扱っ
ていたが、現在ではその扱い量は 130t に及んでいる中で日本品は 2-3t に留まって、
その大半は韓国産のイチゴである。韓国産シフトが進んでいる。
・日本の産地は、当面は様々なリスクを香港の輸入業者に負担させているが、長期的に
は日本の産地が負担していることになる。
・以上のような商品の安定的な供給体制が敷かれていないことが、リスク分の価格への
上乗せという形で日本産品の高価格の一つの背景となっていると考えられる。
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図表
日本国内のものをそのまま持ち込んだチラシ
図表
(ユニー・APITA にて)
現地語に翻訳されたチラシ
(西友(沙田)有限公司にて)
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2)ターゲットとすべき市場
①高級日本料理レストラン
グレード維持を重視する高級日本料理レストランでは、高コストであるにもかかわらず
日本産食材活用にこだわりを有している(単に日本産ということばかりでなく、特定の産
地の本物を提供することを重視している)。このような高級日本料理レストランで使用して
もらうこと自体が、PR 効果を持ち、日本産果実のブランド価値を維持・向上させるために
有効と考えられる。また、こうした高級日本料理レストランで日本産果実が利用されるこ
とによって、富裕層を固定客化することに効果があると考えられる。
なお、この他にも、日本料理レストランにとどまらず、店舗のグレードをアピールする
ための食材として中華レストラン等も需要開拓の対象として位置づけることが考えられる。
しかも、高級日本レストラン等の市場は、香港の人口 700 万人弱の中の富裕層が対象と
なるばかりでなく、年間 2,600 万人の観光客が香港を訪れ、その半分が中国大陸からの富
裕層であることから、中国、ベトナムなどのエマージングマーケットに対するショーウイ
ンドー、シンガポールと並ぶ華僑ネットワーク拠点、情報発信拠点としての効果が期待で
きる。
②ステイタスを重視するクラブの会合
現地ヒアリングにおいて地元ヨットクラブなど富裕層が集まる会合などにおいて、クラ
ブのステイタスを示すものとして日本の果実が使われる頻度が高いとの指摘を受けている。
このような会合で日本産果実を活用することによって、現在の高いステイタスをより確実
にすることが望まれる。
マ カ オ
同様のことは、澳門においても、ホテルのオープンセレモニーにおいてホテルのグレー
ドの高さを象徴するものとして高級品である日本のイチゴが土産物として配られ好評を博
したとの指摘を得ている。
③富裕層から中流層への拡大
日本農産品が高価格戦略のもとで香港の富裕層をターゲットとし続ければ、香港での富
裕層の数が今後大きく増加するとは見られていない状況の下ではこれ以上の拡大は困難と
考えられる。
香港の概況で見たように、香港の 1 人当たりの所得は安定的に高まり 2005 年にはアジア
において日本に次いで第 2 位の水準にある。それだけに富豪といわれる層ばかりでなく、
若干の価格帯の拡大を伴うことによって、中流層においても十分に日本産果実を購入する
余地は大きいと考えられる。この一つの表れとして、百貨店や高級スーパー、日系スーパ
ーばかりでなく現地資本スーパーにおいても日本産果実の取り扱いが行われている。
例えば、「パークンショップ」では、日本産果実を取り扱う店舗が 220 店舗中 15 店舗に
上っている。これらの店舗は、同社の中では、他の一般的な店舗とは差別化された高級化
戦略を牽引する店舗であり、富裕層だけに焦点を当てた店舗ではないことからも、この可
能性が窺われる。
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④食の安全性を重視する層
ヒアリングにおいては、香港の消費者は食の安全に対してはあまり気にしないとの指摘
を受けた。しかし、一方で、最近では中国での農薬残留問題を配慮しており、そのために
日本の農産物はよく売れる状況にあるということがヒアリングにおいても指摘されている。
このような最近の傾向を反映して、消費者アンケートによると、
「最もよく購入する果実
の産地選定の理由」、「果実を購入するに際して重視する点」のいずれにおいても「安全で
安心だから」、「健康へのよさ」、「衛生・安全面」を指摘する人が少なくない。この食の安
全性を重視する層に対する訴求度を高めていくことによって、価格だけでは評価できない
付加価値を高めていくべきである。
3)具体的対策
(政府の取組)
果実の輸出に関しては、香港サイドの自由貿易主義によって、日本政府が主導的に関与
すべき制度上の制約は小さい。むしろ、日本の農業界の後述するような取組を支援するこ
とが必要である。
残留農薬の問題に関して香港は明確な独自の基準を持っておらず、アメリカの基準を適
用している。政府間交渉によって調整を図ることが必要である。
(民間による取組)
①輸出重視の姿勢と安定供給体制作り
現地輸入商社へのヒアリングにおいて、日本産果実の市場拡大のポテンシャルは高いが、
安定的な供給が行われないことが問題点として指摘された。現地商社からは、「国内市場に
供給することで十分であり、余りものを海外に売る」、また、「海外市場の重要性も台湾が
一番であり、香港は二の次という意識があるのではないか」との指摘を受けている。この
点は、国内でのヒアリングにおいても指摘されている。上であげたような、Localization 不
足、情報提供不足、クレームへの対応が十分ではないなどの問題も同じ意識から起因して
いると考えられる。
このような香港市場を重視しているとは考えられない行動が、現地業者に不信感を植え
付けることにより、仕入先国の競合国への切り替え、供給国としての日本の重要性を低め
る結果となっていることが窺われる。
(その具体的な結果として、10 年前に輸出の主力とな
っていたなし、りんご、かきの輸出量が大幅に減少している)
しかも、安定供給を図ることにより、流通チャネルの保持が可能となり、かつ、ある程
度の価格の引き下げが可能となり、富裕層に限定しない市場の開拓、市場規模の拡大が可
能となろう。
具体的な取組としては、輸出に積極的な姿勢を示す農家の啓発・開拓、現地輸入業者等
に対する情報提供拠点作り(国内産地の概況や果実種別に輸出可能な数量、時期、価格水
準などに関する年間計画を提供する。この取組は、上述したように、競合国では業界組合
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等が主導する形で実施しされている)、などが必要である。
②流通チャネルを担う企業との密な情報交流
海外市場での市場拡大のためには、現地市場に最も通暁している現地企業の要請に応え
ることが必要である。そのためには、情報交流の重要な機会であるクレームに対して積極
的な対応を行う必要がある。なお、このような対応を個々の産地で個別に行う体制が作れ
ない可能性があるため、何らかの相手先企業の要請を受け止める体制作りが必要である。
また、国内産地がフェアの形でプロモーションを行う際に、現地小売企業(日系が多い)
と直接コンタクトしたがり、現地企業(輸入商社)を排除しようとする傾向が少なくない
(むしろ現地企業が関与することを嫌う)と指摘を受けた。多くの場合、国内産地がフェ
ア後も継続的に現地小売業とのコンタクトをフォローするだけの能力は無いことから、徒
に流通経路の中抜きをすることなく、現地商社等を主導的に活用していくことが必要と考
えられる。
具体的な取組としては、流通チャネルの一環を担う企業の収益確保の取組を支援するこ
とであり、クレーム等の問題の投げかけに対して積極的に向かい合うことが必要である。
これに加えて、例えば、現地企業の行うプロモーション、フェアなどの販促活動に対して
の金銭的な支援を行う、出荷果実の食べ頃情報の表示を行うことより流通経路内で問題が
生じないようにする、などが必要である。
③流通チャネルの拡大
現在、日本産果実は、香港では百貨店の食品売り場(そごう 1 店舗)
、高級スーパー(シ
ティ・スーパー4 店舗)、ジャスコ(8 店舗を有し内 2 店舗で日本産果実を取り扱う)
、西友、
ユニーを中心に置かれており、廉価品を中心に扱い、小規模店舗を多店展開する地場スー
パーには特定の地域に立地する店舗にしか置かれていないなど、日本産の果実を取り扱っ
ている店舗は限定されている。ただ、最近の動きとしては、高級品を扱うスーパーのほか、
徐々に現地の果物を主に扱う一般のスーパーにも普通に日本の果物が並び始めている。ま
た、普通の市場の中の小売店でも日本の果物を買うことが出来るようになっており、富裕
層ばかりでなく、幅広い層に浸透し始めている。
そのため、将来のマーケットとして富裕層のみならず中流層に拡大していくためには、
一部の店舗でしか取り扱われていない「ウエルカム」や「パークンショップ」などの多店
舗展開型の地場スーパーでの取り扱いの拡大を図るべきである。具体的には、商品の供給
の安定化、高級品に限定しない中級品の供給の拡大、積極的なプロモーション、フェアの
実施、などを図ることを通して、このような傾向の拡大を促していくべきである。
マ カ オ
マ カ オ
今一つの方向としては澳門市場の確保である。澳門は人口 50 万人強に留まる特別市であ
るが、現在、カジノ・観光を軸に経済が活況を迎えており、高額所得者による価格を問わ
ない高級な日本農産物に対する需要が拡大している。しかも、都市の規模が小さいだけに、
市場のコントロールがし易く、日本産果実に対するブランド戦略を立てやすい地域である。
マ カ オ
マ カ オ
ただし、既に述べたように、澳門に関しては、澳門空港の機能が低く冷凍設備も貧弱、か
つ、就労者の品質保持意識が低い、など香港とは異なる流通システム上の問題点が指摘さ
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れている。このような点に対しては、具体的な取組として香港現地業者との協力体制の下
でその管理能力を活用することが必要と考えられる。
④農産物専門の現地営業拠点の設置
現地ヒアリングにおいては、国内輸出産地が現地市場の商習慣や動向に対する理解を高
めるために、現地輸入商社との密なコンタクトを行う情報交流・収集拠点として現地営業
拠点を設置し、現地経済や商習慣及び果実輸出に対するノウハウを有する人材を配置すべ
き点が指摘された。
現状は JETRO がこの機能を果たすことが期待されているが、同機関がカバーするべき
領域が広範であり、かつ、農産品市場が全体のカバーすべき領域の中で余り大きなウエイ
トを占めておらず、一般の工業製品と異なる性格を有する(品質が一定せず、消費期限が
短い)ものであることから、農産物を専門とする拠点の設置が望ましい。
これによって、現在の流通チャネルを担う現地企業との相互理解も高まると考えられる。
この拠点の具体的な役割のイメージは以下のようなものと考えられる。
・現地市場情報の国内へのフィードバック
・現地商習慣情報の収集提供
・現地輸入業者との共同のプロモーションとフォローの実施
・国内各産地の実施するプロモーション、フェアを統括して支援し、日本農産品の
シリーズプロモーションとしての性格を付与。
・現地輸入業者との情報交流(香港では企業の興廃が激しいため業界人の口コミベ
ースの現地輸入業者の信用情報などが重要である)
・プロモーション資料、各種申請書類のローカライゼーション支援
・各県の出先機関(香港では 6 県が開設)の支援
・価格のコントロール(市場を混乱させる洪水的輸出のチェックなど)
・クレームの仲介
⑤新たな品種の投入
最近 10 年間の輸出額の推移を見ると、なし、りんご、かきなどの既存主力品種の輸出は
減少している。最近の伸びは、ぶどうやももというような新しい品種の急増にあった。既
存主力産品は、中国、韓国等の競合国との関係から市場での重要性が低下しているものと
考えられる。
今後は、香港の消費者が果肉の柔らかい、甘味の強い果実を好むと言うことが指摘され
ていることから、従来の主力産品ばかりでなく新たに拡大の過程にあるぶどう、ももなど
の他、新品種――例えば、びわ、洋ナシ、マンゴなど――の投入によって品種の多様化を
図ることが望まれる。
このような日本の高品質な新アイテム果実に対する期待は小売業サイドでも大きく、ヒ
アリングにおいても小売業者主導で輸入開拓された商品が指摘されている。本来国内産地
の情報を多く有する国内業者が、プロモーションやフェアを気にサブアイテムとして試行
的に提案販売を進めていくべきである。
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