...

知的画像処理 - 像情報工学研究所

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

知的画像処理 - 像情報工学研究所
知的画像処理(1) 1
知的画像処理
主な講義内容
• 知的画像処理とは
•画像からの三次元像構成
• 画像の早期処理
•最適化のための基礎
• 画像の特徴抽出(I)
•MAP-MRFに基づく画像表現
• 画像の特徴抽出(II)
•MAP-MRFに基づく画像処理
• 特徴選択と特徴空間
•MAP-MRFに基づく最適化(I)
• 特徴の照合とその効率化
•MAP-MRFに基づく最適化(II)
• 三次元画像計測
知的画像処理(1) 2
知的画像処理とは
知的画像処理(1) 3
知能と知識
• 知能と知識
知識
を使って行動を引き起こす能力
• 人工知能
知能
人間の知的情報処理(非数値)を計算機で代行
• 背景
*論理学
---
記号論理学,推論
*計算機
---
フォン・ノイマン型
(EDVAC,ILLIACなど)
*言語
--- LISP,PROLOGなど
知的画像処理(1) 4
初期AI研究の流れ
• 知的行動能力のメカニズムに関する研究
⎧ゲームやパズルの解法
⎪
例えば, ⎨プログラム自動生成
⎪定理証明や解析的数式処理 など
⎩
各種探索法および推論 法の確立
• 知的活動の本質としての知識の表現・利用の研究
知識工学の確立
知能に関する研究
知能活動表現に関する研究
知的画像処理(1) 5
知識の表現
• 目的に応じた知識の形式化(表現)
⎧対象とその属性に関する知識
⎪
例えば, ⎨対象間の関係に関する知識
⎪事象,行為,状態に関する知識
⎩
• 形式化された知識の集合
知識ベース化
• 知識の表現法
⎧宣言的
⎨
⎩手続的
⎧決定論的
⎨
⎩統計論的
L
• 知識表現法の要件
十分なる表現力,適応力,推論力
知的画像処理(1) 6
知識と推論
• 推論とは
既知情報
新判断・知識を導出
• 目的
対象世界における問題の解決
• 推論の分類
演繹的推論、帰納的推論、
類推による推論、メタ推論
など
• 推論システムの構築
各種エキスパートシステムの実現
知的画像処理(1) 7
エキスパートシステム
• 特定分野の知識表現
user interface
• 非専門家の意思決定
支援
controller
• 各種分野でシステム
が開発されている
data base
consistency check
• エキスパートシスム
構築用ツールの提供
interpreter
knowledge
base
Outline of Knowledge Data Base
知的画像処理(1) 8
エキスパートシステムの事例
カテゴリー
内
容
事
例
観測データから、その状況 音声・信号・画像の解析、
解釈・予測・診 や確からしさ、あるいは異 天気予報、交通予測、医
断システム 常などを予測・推論する
療診断支援、回路診断
対象物の構成や行動の手
設計・計画立
順・動作内容などの設計を
案システム
行う
システム動作の観測と解
監視・制御
釈、予測・修復・記録など
システム
を行う
ロボットナビゲーション、
回路設計、建築設計,
予算の計画立案など
航空管制、原子力発電
制御,ビジネス管理など
知的CAI、ビジネスやシ
教育・コンサル 教育支援や各種指針の提 ステムのコンサルテー
タントシステム 供を行う
ションなど
知的画像処理(1) 9
1950年代から現在まで
1955
ニューロンモデル
Perceptron,1957
(F.Rosenblatt)
generative grammar(Chomsky,N)
記憶のモデル
1960
第一世代
ニューラル
ネットワーク
symbolic processing
Lisp 1960
(STM-LTM model)
“Perceptron”,(1969)
M.Minsky&S.Papert
1970
情報処理
production system:
(1967)
semantic network:
case grammar:
(1968)
(1968)
自然言語処理
conceptual dependency theory:
(1972)
expert system
(MYCIN project)
知識表現
active semantic network:
( 1973)
frame theory: M.Minsky(1974)
SCRIPT
KRL: 1977
1977
1980
知的情報処理
知識工学
Feigenbaum,E.
(1977)
ニューロンモデル
相互結合型神経回路網
(J.Hopfield),1982
1985
知的画像処理(1)10
統計学
(PCA,LDA)
Bayesianネットワーク
多層パーセプトロン
誤差逆伝播法
Probabilistic Reasoning
in AI systems
HMM
(J.Pearl),1988
(Rumelhart and McClelland)
1990
神経回路網と並
列分散処理
情報理論・計算機科学
最適化理論
カーネルSVM
音声&パターン認識
1995
2000
現 在
AI+確率
事例学習
ニューラルネットとAI
技術の統合
知的画像処理(1)11
メディアとインフラ
1985
メディア情報処理
テキスト,音声,画像 …
1990
マルチモーダル処理
コンピュータ:ダウンサイジング
Workstation, PCの普及
ネットワークの普及
聴覚,視覚,触覚,…
1995
2000
メディア理解・認識
超並列コンピューティング
ユビキタスコンピューティング
ウエアラブルコンピューティング
2005
メディア処理とネットワークの融合
2010
?????
知的画像処理(1)12
非言語コミュニケーション
非言語メッセージ交信による伝達プロセス
•ジェスチャ(身体言語,姿勢など)
•顔表情
•アイコンタクト
•意思表現物(服装,髪型など)
•発話中のパラ言語(声質,感情,発話スタイル等)
•発話中の韻律的特徴(調子,リズム,抑揚など)
メディア情報処理と感性情報処理の必要性
知的画像処理(1)13
感覚・知覚・認識(認知)
感覚:
光の有無や明暗・色などに対する反応で,外部刺激に
よって直接的に生じる単純な意識内容
知覚:
感覚として受けた刺激を,時間・空間の関数として捉
える反応.
認識:
知覚した刺激の持つ意味を捉える高度な精神活動.心
理学の分野では,実際上知覚と認識とを分けることは
困難な場合が多く,認知という語が用いられることが
多い。
知的画像処理(1)14
人間の図形知覚について
人間の図形知覚
人間は,図形を構成する部分的要素を取り出すような
見方ではなく,全体,あるいはまとまりを捉えること
によって,図形各部の相互関係を把握していると考え
られる。
ゲシュタルト心理学では
人間は,図形の捉え方に関する何らかのまとまりと統
一性を持っており,意味に基づいた自然の法則性を生
まれながらに備えてるという説を説く。
知的画像処理(1)15
画像と画像処理
• 画像の物理的特性
配列状に並ぶ数値データ構造体
• 画像の意味・概念
画像中に陽に表現されてはおらず,画像自身が表現物
• 画像処理の広義解釈
銀塩・電子写真,感熱材,光学レンズ,コンピュータ,
撮像・表示デバイス等に関わる処理
• 画像処理の狭義解釈
コンピュータによるディジタル画像の処理
本講義における画像処理の目的
「画像の持つ意味・概念へのアプローチおよび表現」
知的画像処理(1)16
画像処理と知識
• 画像とその特性に関する知識
観測方法,照明,画像の物理的特性,画質等
• 処理手続き,処理概念に関する知識
処理概念伝達のための知識
処理手続き選択のための知識
処理手続き実行のための知識
• 視覚に関する知識
• 対象に関する知識
これらの知識の獲得と形式化(表現)が必要
知的画像処理(1)17
画像処理に関する知識の体系化
処理の手続および概念に関する知識を表現するためには,
• 画像の体系化と処理の体系化
• 個別的処理の特徴の体系化
• 処理の目的と処理手法の体系化
• 処理結果の評価基準の体系化
• 画像と概念の体系化
など
が必要.
更に、これらの体系化には,画像全般に関わるメタ知識の
集約が必要.
個別処理の理解と特徴把握
知的画像処理(1)18
視覚に関する知識
人間の視覚系:解剖学的,生理学的,心理学的研究
対象物
カメラ
(画像化)
目(視覚)
機械による
⎧時空間標本化
⎪
⎨眼球運動
⎪眼球での結像
⎩
脳での概念化
画像認識・理解
物理空間での表現
心理空間での表現
?
知的画像処理(1)19
視覚的諸現象
• マッハ現象
明暗の境界部でコントラストが強調されて知覚される現象
• 形,大きさの恒常性
距離によって知覚上の形や大きさがあまり変化しない現象
• 空間対比現象
背景と前景図形の間に明暗や色の違いがあるとき、その違いが強調
されて知覚される現象
• 明暗,色の恒常性
物体の照明条件に関わらず、明暗、色の知覚が不変に保たれる現象
• 奥行き知覚現象
2次元画像から3次元的な奥行きを知覚する現象
視覚系の諸性質や現象と,画像の物理
的要因との対応づけが必要
知的画像処理(1)20
心理空間での事象概念化の例
• 錯視現象
(a) Muller-Lyerの錯視現象
(b) Poggendrofの錯視現象
(c) Heringの錯視現象
(d) Zöllnerの錯視現象
(a )
(b)
(c)
(d)
知的画像処理(1)21
画像処理の現状
手続き指向・経験指向
処理概念を手続き的・経験的に記述
対象物指向
処理対象、目的毎に処理手法を開発
課題
• 問題および目標記述の可読性が低い
• 問題の定式化という視点が曖昧
• 経験依存性が高過ぎる
• 経験と成果の継承が十分に行われていない
知的画像処理(1)22
知的画像処理
• これからの画像処理とは
枠にとらわれない,広い分野の知識活用とその体系化
基盤的処理技術の更なる洗練と概念化
画像以外のメディアとの適応化
• 処理の方向性
個別的基盤技術の見直しと改良
関連する分野間での連携と互換な処理技術開発
経験的設計から学習(事例)による自動構築
heuristic
theoretical approach(機械学習法の利用)
これらの手法・技術に基づいた
「画像の持つ意味・概念へのアプローチおよび表現」
知的画像処理(1)23
参考資料
知的画像処理(1)24
機械学習
知識獲得・自動化において学習は不可欠
• 機械学習(Machine learning)の用途
検索エンジン,医療診断システム,金融市場予測,
パターン認識等,幅広く利用。
• 様々な学習法の提案.大きく3つに分類
教師あり学習(Supervised learning)
教師なし学習(Unsupervised learning)
強化学習(Reinforcement learning)
知的画像処理(1)25
教師あり学習
• 学習者は先生に質問し、先生は答えを教えてくれる。
• 質問とその答えの組を「訓練データ」という。
• 訓練データから、先生の持っている一般的な知識を学び
取る。
知識
質問
生徒
先生
答え
• 画像処理の分野で用いられる主なSL法
多層パーセプトロン(Perceptron)
サポートベクタマシン(Support Vector Machine)
隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)
線形判別分析(Linear Discriminant Analysis)
アンサンブル学習(Ensemble Learning)など
知的画像処理(1)26
教師なし学習
• 先生はおらず,答えのわからない問題が与えられる。
• そこから、その問題の傾向や意味のある構造を学び
取る。
• 画像処理の分野で用いられる主なUL法
主成分分析法(Principal Component Analysis)
ベクトル量子化法(Vector Quantization)
自己組織化マップ(Self-organizing Map)
各種の競合学習法(Competitive Learning)
知的画像処理(1)27
強化学習
• 教師あり学習と同じく背後に潜んでいる一般的な知
識を学び取る。
• 教師付き学習とは異なり、先生がいない。
• 質問に対する答えは得られないが、予想した答えに
対する評価(報酬)が得られる。
• 画像処理の分野で用いられる主な強化学習法
TD学習(Temporal Difference Learning)
Q学習(Q-Learning)
Actor-Critic Learningなど
Profit Sharing Learning,
知的画像処理(1)28
参考図書
・A.Barr and E.A.Feigenbaum (Eds.): The handbook of artificial intelligence,
William Kaufmann, Inc. (1981)
田中幸吉、淵一博 監訳:人工知能ハンドブック,共立出版 ((1983)
・P.H.Winston Ed. : The psychology of computer vision, McGraw-Hill, (1975)
白井良明,杉原厚吉 訳:コンピュータビジョンの心理,産業図書(1979)
・小林重信:知識工学,昭晃堂(1986)
・F.Hayes-Roth, D.A.Waterman and D.B.Lenat: Building expert systems,
Addison-Wesley Publishing Company, Inc.(1983)
AIUEO訳:エキスパートシステム,産業図書(1985)
・S.J.Russell and P.Norvig: Artificial Intelligence – A Modern Approach,
Pearson Education, Inc (2003)
・安居院猛,長橋宏:知的画像処理,昭晃堂(1994)
Fly UP