...

特定健診・特定保健指導の概要 - 広島県国民健康保険団体連合会

by user

on
Category: Documents
8

views

Report

Comments

Transcript

特定健診・特定保健指導の概要 - 広島県国民健康保険団体連合会
平成27年度 特定健診・特定保健指導に関する人材育成研修会
特定健診・特定保健指導の概要
平成27年4月24日
厚生労働省 保険局 医療介護連携政策課
医療費適正化対策推進室
保健事業推進専門官 佐藤 かがり
特定健診・特定保健指導の概要
Ⅰ.制度の考え方と仕組み及び実施上のルールと留意点
1.健診・保健指導の理念
2.特定保健指導対象者の選定と階層化判定
3.保健指導(概論)
4.保健指導(各論)
5.ポピュレーションアプローチとの連動
Ⅱ.特定健診・特定保健指導の実施状況と効果の検証
1.実施状況と課題
2.効果の検証
Ⅲ.データヘルス計画と保険者協議会
1
Ⅰ-1.健診・保健指導の理念
2
我が国における疾病構造
生活習慣病は死亡割合の約6割を占めている。
我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化。
我が国における死亡率の推移
(主な死因別) (主な死因と平成24年の死亡率)
死因別死亡割合(平成24年)
生活習慣病・・・57.2%
(人口10万対)
悪性新生物
(がん)
350
その他
44%
28.7%
0.6%
糖尿病
1.2%
COPD
1.3%
脳血管疾患
心疾患
(心臓病)
157.9
250
死
亡
率
高血圧疾患
286.6
300
悪性新生物
心疾患
15.8%
200
肺炎 98.4
150
100
脳血管疾患
(脳卒中)
96.5
50
9.7%
結核 1.7
0
(出所) 「平成24年度人口動態統計」
1947
1952
1957
1962
1967
1972
1977
1982
1987
1992
1997
2002
2007
2012
(出所) 「平成24年度人口動態統計」
※ 生活習慣病関連疾患に係る医療費は、医科診療医療費(28.3兆円)の約3割(8.9兆円)を占める。
(出所) 「平成24年度国民医療費」
内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)を
標的とした対策が有効と考えられる3つの根拠
第1の根拠
第2の根拠
第3の根拠
肥満者の多くが複数の危険因
子を併せ持っている
危険因子が重なるほど脳
卒中、心疾患を発症する
危険が増大する
生活習慣を変え、内臓脂肪を
減らすことで危険因子のすべ
てが改善
肥満のみ
高血糖
糖尿病
高脂血症
高血圧症
肥満のみ
約20%
いずれか1疾患有病
約47%
いずれか2疾患有病
約28%
3疾患すべて有病
約 5%
平成14年度糖尿病実態調査を再集計
40
35.8
心
疾 30
患
の
発 20
症
危
5.1 5.8
険 10
1.0
度
0
0
1
2 3〜4
危険因子の保有数
労働省作業関連疾患総合対策研究班調査
Nakamura et al. jpn Cric J, 65: 11, 2001
高血圧
高脂血
内臓脂肪型肥満
運動習慣の徹底
食生活の改善
禁煙
個々のクスリで、1つの山だ
け削っても、他の疾患は改
善されていない。
内臓脂肪の減少
高血糖、高血圧
高脂血がともに
改善
4
『保険者による健診・保健指導等に関する検討会』の構成員
井伊 久美子
飯山 幸雄
伊奈川 秀和
今村 聡
岩村 明夫
岡崎 誠也
金子 正
河合 雅司
齋藤 正寧
佐藤 徹
下浦 佳之
白川 修二
日本看護協会 専務理事
国民健康保険中央会 理事
全国健康保険協会 理事
日本医師会副会長
産業医科大学 作業関連疾患予防学研究室
全国市長会 国民健康保険対策特別委員長
日本私立学校振興・共済事業団 理事
産経新聞社 論説委員
全国町村会 財政委員会委員
日本歯科医師会 常務理事
日本栄養士会 常務理事
健康保険組合連合会 副会長
鈴木 茂明
地方公務員共済組合協議会 事務局長
◎多田羅 浩三 一般財団法人日本公衆衛生協会 会長
津下 一代
あいち健康の森健康科学総合センターセンター長
中村 嘉昭
全国国民健康保険組合協会 常務理事
平川 則男
日本労働組合総連合会生活福祉局 局長
山門 實
日本人間ドック学会 理事
横尾 俊彦
全国後期高齢者医療広域連合協議会 会長
吉岡 清八郎 共済組合連盟 常務理事
吉田 勝美
日本総合健診医学会副理事長
◎座長
※構成員は、平成26年11月21日現在
『健診・保健指導の在り方に関する検討会』の構成員
荒木田 美香子
大井田 隆
大江 和彦
門脇 孝
迫 和子
佐藤 保
島本 和明
竹村 克二
津下 一代
鳥羽 研二
中板 育美
◎永井 良三
国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻
看護学分野地域看護学領域教授
日本大学医学部教授
東京大学大学院医学系研究科医療情報経済学分野教授
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
公益社団法人日本栄養士会専務理事
社団法人日本歯科医師会常務理事
札幌医科大学長
医療法人寿慶会竹村クリニック院長
あいち健康の森健康科学総合センター長
国立長寿医療研究センター病院長
公益社団法人日本看護協会常任理事
自治医科大学学長
野口 緑
林 謙治
松岡 幸代
尼崎市市民協働局市民サービス部課長
国立保健医療科学院名誉院長
国立病院機構京都医療センター・
臨床研究センター予防医学研究室研究員
三浦 宏子
国立保健医療科学院
地域医療システム研究分野統括研究官
道永 麻里
社団法人日本医師会常任理事
宮﨑 美砂子 千葉大学大学院
看護学研究科地域看護学教育研究分野教授
宮澤 幸久
帝京大学 医療技術学部教授
宮地 元彦
独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進研究部長
山門 實
三井記念病院総合健診センター特任顧問
吉池 信男
青森県立保健大学 健康科学部栄養学科教授
◎座長
※構成員は、平成25年1月21日現在
特定健診・特定保健指導 の 基本的な流れ
階層化
(保健指導対象者の選定)
40
予定(実施
量・内容・
委託先等)
の設定
特定健康
診査等実
施計画(5
年計画)の
毎年度の
点検・補正
ー
年間実施
特定保健指導
特定健康診査
年次計画
の設定
74
歳
の
全
加
入
者
(
被
扶
養
者
含
む
)
健診結果
(内臓脂肪
症候群に係
るリスクの
数)
質問票(治
療歴、喫煙
その他生活
習慣など)
生活習慣上
の課題の有
無とその内
容 等
段リ
階ス
ク
が
重
な
り
だ
し
た
たリ
段ス
階ク
が
出
現
し
始
め
出リ
現ス
のク
段が
階未
情報提供
評価
支援計画
治療 (特定保健指導の枠外)
積極的支援
生活習慣病
の特性や生
活習慣の改
善に関する基
本的な理解を
支援
健診結果の
提供に合わ
せて、全員に
個別のニー
ズ、生活習慣
に即した情報
を提供
対象者
毎での
作成
健診結
果と詳
細な質
問票で
行動変
容の準
備状態
を把握
準備段階にあわせて
個別の目標を設定し、
具体的で実現可能な
行動の継続を支援
動機付け支援
生活習慣の改善に対
する個別の目標を設
定し、自助努力による
行動変容が可能とな
るような動機づけを支
援
対
象
者
毎
の
評
価
(
6
ヵ
月
後
の
終
了
時
評
価
)
○アウトプット(事
業実施量)評価
⇒実施回数や参加
人数等
○アウトカム(結
果)評価
⇒糖尿病等の有病
者・予備群の減少
率、保健指導効果
○プロセス(過程)
評価
○健康度の改善効
果と医療費適正化
効果 等
医療費適正化計画の概要について
国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療費適正化を総合的かつ計画的に推進するため、
国・都道府県は、医療費適正化計画を定めている。
根拠法
:高齢者の医療の確保に関する法律
作成主体
:国、都道府県
計画期間
:5年(第1期:平成20~24年度、第2期:平成25~29年度)
主な記載事項:・医療費の見通し
・健康の保持の推進に関する目標・具体的な取組
・医療の効率的な提供の推進に関する目標・具体的な取組
<都道府県医療費適正化計画において定める目標>
・ 住民の健康の保持の推進に関する目標
(1)
(2)
(3)
(4)
特定健康診査の実施率に関する目標(数値)
特定保健指導の実施率に関する目標(数値)
メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率に関する目標(数値)
たばこ対策に関する目標
・医療の効率的な提供の推進に関する目標
(1) 医療機能の強化・連携等を通じた平均在院日数の短縮に関する目標
(2) 後発医薬品の使用促進に関する目標
特定健康診査・特定保健指導の概要
基本的な考え方
○ 内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)に着目した健診及び保健指導を医療保険者に行わせることに
より、生活習慣病の予防及び医療費の適正化を目指す。
主な内容
○ 医療保険者は、40歳以上74歳以下の被保険者・被扶養者に対して特定健診を実施。
○ 健診の結果、一定の基準に当てはまる者に対して特定保健指導を実施。
【一定の基準】:腹囲が基準以上(男性85㎝、女性90㎝)でかつ、血糖・血圧・脂質の検査値が基
準に当てはまる者(リスクの程度によって指導内容が変化(喫煙者は指導レベル上昇))
○ 平成25~29年度における全国目標
・特定健康診査の実施率 70% 【29年度の目標値】
・特定保健指導の実施率 45% 【29年度の目標値】
・メタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率 25%(20年度比) 【29年度の目標値】
(参考)特定健診・保健指導の実績
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
特定健診の実施率
38.9%
41.3%
43.2%
44.7%
46.2%
特定保健指導実施率
7.7%
12.3%
13.1%
15.0%
16.4%
特定健診の検査項目
○ 質問票(服薬歴、喫煙歴 等) ○ 身体計測(身長、体重、BMI、腹囲) ○ 理学的検査(身体診察)
○ 血圧測定
○ 血液検査(脂質検査、血糖検査、肝機能検査) ○ 検尿(尿糖、尿蛋白)
注)一定の基準の下、医師が必要と認めた場合には、心電図検査等を実施
40-74歳の特定健康診査対象者数=約5,300万人
特定健康診査
対象者
実施年度中に40-75歳に達する加入者(被保険者・被扶養者)
実施年度を通じて加入している(年度途中に加入・脱退がない)者
除外規定(妊産婦・刑務所服役中・長期入院・海外在住等)に該当しな
い者
※年度途中に75歳に達する加入者は、75歳に到達するまでの間が対象
基本的な健
診の項目
詳細な
健診の項目
○
○
○
○
○
質問票(服薬歴、喫煙歴 等)
身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)
理学的検査(身体診察)
血圧測定
血液検査
・ 脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
・ 血糖検査(空腹時血糖又はHbA1c) 注)摂食時はHbA1c
・ 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
○ 検尿(尿糖、尿蛋白)
○ 心電図検査
○ 眼底検査
○ 貧血検査(赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値)
注)一定の基準の下、医師が必要と認めた場合に実施
詳細な健診項目について
(1)12誘導心電図
○前年の健診結果等において、①血糖高値、②脂質異常、③血圧高値、④肥満
の全ての項目について、以下の基準に該当した者
(2)眼底検査
○前年の健診結果等において、①血糖高値、②脂質異常、③血圧高値、④肥満
の全ての項目について、以下の基準に該当した者
(3)貧血検査
○貧血の既往歴を有する者又は視診等で貧血が疑われる者
【判定基準】
①血糖高値
a 空腹時血糖
b HbA1c(NGSP)
②脂質異常
a 中性脂肪
③血圧高値
又は
5.6%以上
150㎎/dl以上
又は
b HDLコレステロール
40㎎/dl未満
a 収縮期血圧
130㎜Hg以上 又は
b 拡張期血圧
④肥満
100㎎/dl以上
85㎜Hg以上
a 腹囲 男性85㎝以上、女性90㎝以上 又は
b BMI≧25㎏/㎡
健診・検診の全体像
(
乳
幼
児
等
)
母子保健法
【対象者】1歳6か月児、3歳児
【実施主体】市町村
(
妊
娠
・
4
歳
学校保健安全法
【対象者】在学中の児童、生徒、学校及び幼児
【実施主体】学校(幼稚園から大学までを含む。)
)
5児
~童
15 生
歳徒
/ その他の乳幼児、妊産婦
うち、雇用労働者
被保険者・被扶養者
16
~
39
歳
医療保険各法
(健康保険法、国民健康保険法等)
【対象者】被保険者・被扶養者
【実施主体】保険者
40
~
74
歳
高齢者医療確保法
【対象者】被保険者・被扶養者
【実施主体】保険者
75
歳
~
高齢者医療確保法
【対象者】 被保険者
【実施主体】後期高齢者医療広域連合
労働安全衛生法
【対象者】常時使用する労働者
【実施主体】事業者
その他(医療保険未加入者)
がん検診(健康増進法)
【対象者】住民
【実施主体】市町村
特定健診
※労働安全衛生法に基づく事業主健診の結果を、特定健診の結果
として利用可能
健康増進法
【対象者】生活保護受給者等
【実施主体】市町村
医療保険者や事業主が任意でがん検診を実施・助成
労働安全衛生法の事業主健診結果の情報提供の促進について
○ 質問票における服薬歴と喫煙歴については、特定健診では必須項目となっている一方、事業主健診では
義務付けまではされていないため、過去、通知により事業者へ協力要請を発出。
○ 平成24年5月、事業主健診の項目のうち医療保険者への情報提供に際し労働者の同意を要するものを明
示(業務歴、視力等)して、保険者への情報提供の義務の周知徹底を図る通知を労働部局と連名で発出。
【事業主健診の項目と保険者が事業者等に対して提供を求めることができる項目との関係】
貧血検査
肝機能検査
血中脂質検査
血糖検査
尿検査
労働安全衛生法
(定期健康診断)
○
※
※
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
●
高齢者医療確保法
(実施基準第2条)
□
□
□
随時血糖#
●
□
尿糖
尿蛋白
心電図検査
○
○
○
□
□
□
既往歴
(うち服薬歴)
(うち喫煙歴)
業務歴
自覚症状
他覚症状
身長
体重
BMI
腹囲
視力
聴力
胸部エックス線検査
喀痰検査
血圧
血色素量
赤血球数
AST(GOT)
ALT(GPT)
γ-GT(γ-GTP)
LDLコレステロール
HDLコレステロール
血清トリグリセライド
空腹時血糖
HbA1C
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
□
○・・・労働安全衛生法の定期健康診断の必須項
目
●・・・労働安全衛生法の定期健康診断の選択実
施項目
□・・・高齢者医療確保法で保険者が事業者等に
対して提供を求めることができる項目
※・・・必須ではないが、聴取の実施について協
力依頼済
注)「標準的な健診・保健指導プログラム(確定
版)」に定められている質問項目中の以下の
項目の聴取は必須ではないが、事業者が情報
を入手していた場合には、保険者は事業者に
提供を求めることができる。
貧血、20歳からの体重変化、30分以上の運
動習慣、歩行又は身体活動、歩行速度、1年
間の体重変化、食べ方、食習慣、飲酒、飲酒
量、睡眠、生活習慣の改善、保健指導の希望
12
特定健康診査・特定保健指導に関する法律及び政令について
○ 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律80号)(抄)
(特定健康診査等基本指針)
第十八条 厚生労働大臣は、特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査をいう。以下同じ。)及び特定保健指導(特定
健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者として厚生労働省令で定めるものに対し、保健指導に関する専門的知識及び技術を有す
る者として厚生労働省令で定めるものが行う保健指導をいう。以下同じ。)の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(以下「特定健康診査等
基本指針」という。)を定めるものとする。
2 特定健康診査等基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健康診査等」という。)の実施方法に関する基本的な事項
二 特定健康診査等の実施及びその成果に係る目標に関する基本的な事項
三 前二号に掲げるもののほか、次条第一項に規定する特定健康診査等実施計画の作成に関する重要事項
3~5 (略)
(特定健康診査等実施計画)
第十九条 保険者は、特定健康診査等基本指針に即して、五年ごとに、五年を一期として、特定健康診査等の実施に関する計画(以下「特定健康診査
等実施計画」という。)を定めるものとする。
2 特定健康診査等実施計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 特定健康診査等の具体的な実施方法に関する事項
二 特定健康診査等の実施及びその成果に関する具体的な目標
三 前二号に掲げるもののほか、特定健康診査等の適切かつ有効な実施のために必要な事項
3 保険者は、特定健康診査等実施計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(特定健康診査)
第二十条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、四十歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うもの
とする。ただし、加入者が特定健康診査に相当する健康診査を受け、その結果を証明する書面の提出を受けたとき、又は第二十六条第二項の規定に
より特定健康診査に関する記録の送付を受けたときは、この限りでない。
(特定保健指導)
第二十四条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、特定保健指導を行うものとする。
○高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号)(抄)
(法第十八条第一項に規定する政令で定める生活習慣病)
第一条 高齢者の医療の確保に関する法律第十八条第一項 に規定する政令で定める生活習慣病は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習
慣病であって、内臓脂肪(腹腔内の腸間膜、大網等に存在する脂肪細胞内に貯蔵された脂肪をいう。)の蓄積に起因するものとする。
特定健康診査の項目に関連する省令及び告示について
○ 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号)(抄)
(特定健康診査の項目)
第一条 保険者は、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「法」という。)第二十条の規定により、毎年度、当該年度の
四月一日における加入者であって、当該年度において四十歳以上七十四歳以下の年齢に達するもの(妊産婦その他の厚生労働大臣が定める者を除
く。)に対し、特定健康診査等実施計画(法第十九条第一項に規定する特定健康診査等実施計画をいう。以下同じ。)に基づき、次の項目について、特
定健康診査(法第十八条第一項に規定する特定健康診査をいう。以下同じ。)を行うものとする
一 既往歴の調査(服薬歴及び喫煙習慣の状況に係る調査を含む。)
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重及び腹囲の検査
四 BMI(次の算式により算出した値をいう。以下同じ。)の測定
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
五 血圧の測定
六 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトラン
スペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(以下「肝機能検査」という。)
七 血清トリグリセライド(中性脂肪)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)
の量の検査(以下「血中脂質検査」という。)
八 血糖検査
九 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(以下「尿検査」という。)
十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める項目について厚生労働大臣が定める基準に基づき医師が必要と認めるときに行うもの
○ 特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準第1条第1項第10号の規定に基づき厚生労働大臣が定める項目及び基準
(平成20年厚生労働省告示第4号)改正文(平成25年厚生労働省告示第89号)(抄)
一 貧血検査(ヘマトクリット値、血色素量及び赤血球数の測定) 貧血の既往歴を有する者又は視診等で貧血が疑われる者
二 心電図検査及び眼底検査 前年度の特定健康診査(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第18条第1項に規定する特定健康
診査をいう。)の結果等において、次のアからエまでに掲げるすべての項目について、それぞれ当該アからエまでに掲げる基準に該当した者
ア 血糖 空腹時血糖値が100mg/dl以上又はヘモグロビンA1c(NGSP)が5.6%以上
イ 脂質 血清トリグリセライド(中性脂肪)の量が150mg/dl以上又は高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)の量が40mg/dl未満
ウ 血圧 収縮期血圧が130mmHg以上又は拡張期血圧が85mmHg以上
エ 腹囲等 腹囲が男性にあっては85cm以上、女性にあっては90cm以上(内臓脂肪(腹腔内の腸間膜、大網等に存在する脂肪細胞内に貯蔵された
脂肪をいう。以下同じ。)の面積の測定ができる場合には、内臓脂肪の面積が100c㎡以上)又はBMI(実施基準第1条第1項第4号に規定
するBMIをいう。)が25以上
実施運営上のルールは、オールジャパンのルール
<実施基準(委託基準)により、各種のルールが定まっている>
○計画の作成・公表のルール
○特定健康診査:対象者、年度管理、項目、検査方法、判定基準、健診結果通知表、階層化判定・・・
○特定保健指導:動機づけ支援・積極的支援、実施者職種と役割、実施方法・・・
○データ:データの形式・仕様、流れ、ルール、項目・・・
実施機関⇒保険者、保険者⇒国への実績報告
○委託契約:集合契約A・Bにおけるルール、個別契約でのルール
<特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準>
①人員に関する基準
②施設、設備等に関する基準
③特定保健指導の内容に関する基準
④特定保健指導の記録等の情報の取扱いに関する基準
⑤運営等に関する基準
<担当者・実施者の必携3点>
★「標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】」(平成25年4月・厚生労働省健康局)
★「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」Ver.2.0(平成25年4月・厚生労働省保険局)
★「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」(平成27年1月更新・保険局)
<システム上のルール>
★電子的な標準様式の仕様
★健診・保健指導実施機関⇒保険者へ、保険者⇒国への実績報告の際のルール
15
特定健診・特定保健指導の実施の流れ(委託により実施する場合)
医 療 保 険 者
(全国健康保険協会、健康保険組合、市町村(特別区を含む)、国民健康保険組合、共済組合等)
⑧対象者の決定、利用券の発券
①受診券の送付
受診
案内
⑨利用券の送付
(要保健指導者に対して)
⑦結果・請
求データの
送付
受診券
利用
案内
(病院、診療所、集団健診など)
(病院、診療所、民間機関など)
実施機関
実施機関
(特定健康診査)
(特定保健指導)
④窓口にて自己
負担分を支払
領収書
②案内等に従い、受診
場所を選択(予約)
⑬保健指導
の実施
 基本健診項
目、問診
 (医師の判断
に基づく)詳細
健診項目
⑥結果通知
表の作成、
送付
被保険者証
③受診券と
被保険者証
を提示
⑫窓口にて自己
負担分を支払
⑤健診の
実施
受診券
※被用者保険の
本人など事業者
健診等他の健診
を受けている場合
は、その結果を
もって特定健診の
結果とみなされ
る。(2度受診する
必要はない。)
⑭結果・請求
データの送付
利用券
利用券
結果
通知
表
対 象 者
【動機付け支援】
初回面接・指導→6ヶ月後
の実績評価
被保険者証
⑪利用券と被
保険者証を提
示
(健診結果通知
表も持参)
領収書
【継続的支援】
初回面接・指導→3ヶ月以
上の継続的支援→6ヶ月
後の実績評価
⑩案内等に従い、実施
場所を選択(予約)
(40~74歳の医療保険加入者)
16
Ⅰ-2.特定保健指導対象者の
選定と階層化判定
17
特定保健指導とメタボリックシンドロームの基準について
<特定保健指導の基準>
追加リスク
①血糖 ②脂質 ③血圧
2つ以上該当
腹囲
≧85cm(男性)
≧90cm(女性)
対象
④喫煙歴
40-64歳
積極的
支援
あり
なし
1つ該当
3つ該当
上記以外でBMI≧25
積極的
支援
あり
なし
2つ該当
65-74歳
動機付け
支援
動機付け
支援
1つ該当
(*)①血糖:空腹時血糖100mg/dl以上、またはHbA1c(JDS値・平成24年度まで)5.2%以上(NGSP値・平成25年度から)5.6%以上、
②脂質:中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満、③血圧:収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上
<メタボリックシンドロームの判定基準>
腹囲
≧85cm(男性)
≧90cm(女性)
追加リスク
①血糖 ②脂質 ③血圧
2つ以上該当
1つ該当
メタボリックシンドローム基準該当者
メタボリックシンドローム予備群該当者
(*)①血糖:空腹時血糖110mg/dl以上、②脂質:中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満、
③血圧:収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上
<メタボリックシンドローム基準該当者及び予備群と特定保健指導対象者の関係>
特定健康診査受診者
薬剤服薬者
特定保健指導対象者
メタボリックシンドロームの判定基準
メタボリックシンドローム基準該当者及び予備群
(*)メタボリックシンドロームには、薬剤服薬者が含まれるほか、血糖値の基準が若干異なる。
Ⅰ-3.保健指導(概論)
19
標準的な健診・保健指導プログラムの改訂について
(厚生労働省健康局)
健康日本21(第2次)や第2期医療費適正化計画の着実な推進に向けて、
検討会から提言された非肥満者への対応を含め、生活習慣病対策としての健診・保健指導を推進するため、
現場の健診・保健指導実施者を一層支援する方向で見直しを行い、とりまとめ、平成25年4月に公開された。
年度
19
20
21
22
23
24
健康日本21(H12~24年度)
第1期医療費適正化計画
標準的な
健診・
保健指導
プログラム
(確定版)
H19.4
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
健康日本21(第2次)
第2期医療費適正化計画
第3期医療費適正化計画
標準的な健診・保健指導プログラム(改訂版)
改
訂
の
基
本
的
考
え
方
改
訂
の
ポイ
ン
ト
①健康局の検討会及び保険局の検討会における提言事項を踏まえた見直しを行った。
②提言以外の事項で医療保険者のシステム改修が必須の事項(階層化基準等)は変更しなかった。
③健康日本21(第二次)の着実な推進に、特定健診等の実施及びデータ分析が重要であることを明記。
④主たる利用者である現場の健診・保健指導実施者(医師、保健師、管理栄養士等)の視点で見直した。
⑤非肥満者への対応を含めた生活習慣病対策を推進する方向で見直した。
○保健事業のPDCAサイクルの考え方を記載
○「健診・保健指導」と「特定健診・特定保健指導」との書き分け
○健診結果の情報提供・受診勧奨に関する具体的記載の充実
○標準的な質問票の関する科学的知見や活用方法の紹介
○栄養及び身体活動・運動:基準改定等に伴う記載の見直し
○たばこ・アルコール対策:具体的な保健指導ツールを紹介
○特定保健指導におけるポイント制の見直し
○保健指導での情報提供の定義や2回目以降の対応を記載
○HbA1cの表記をJDS値からNGSP値に変換
20
特定保健指導の流れ
動機づけ支援
積極的支援
初回面接
保健師等の面接支援(個別・グループ)により、対象者が自らの生活習慣を振り返り、
行動目標を立てる。
3ヵ月以上の
継続的支援
「動機づけ支援」に加えて、
対象者が自らの生活習慣を振り返り、行動目標を設定し、
保健師等の支援の下、目標達成へ向けた実践(行動)に取り組む。
<取組の例>
【習慣づけ】体重・腹囲等測定の習慣づけと記録
【食生活】食事記録、栄養教室への参加
【運動】運動記録、ストレッチ体操やウォーキング等の実施
保健師等による6ヵ月後評価
次年度健診結果による評価
(注)積極的支援における6ヶ月後評価は、他の継続支援と一体的に行ってもよいこととなっている。
特定保健指導(動機付け支援)
支援
形態
〈面接による支援〉次のいずれか
●1人20分以上の個別支援 ●1グループ80分以上のグループ支援
〈6か月後の評価〉次のいずれか
●個別支援 ●グループ支援 ●電話 ●e-mail 等
支援
内容
〈個別支援〉
●生活習慣と健診結果の関係の理解や生活習慣の振り返り、メタボリックシンドローム
や生活習慣病に関する知識と対象者本人の生活が及ぼす影響、生活習慣の振り返り
等から生活習慣改善の必要性を説明する。
●生活習慣を改善するメリットと現在の生活を続けるデメリットについて説明する。
●栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
●対象者の行動目標や評価時期の設定を支援する。必要な社会資源を紹介し、有効に
活用できるように支援する。
●体重・腹囲の計測方法について説明する。
●生活習慣の振り返り、行動目標や評価時期について対象者と話し合う。
●対象者とともに行動目標・行動計画を作成する。
〈6か月後の評価〉
●身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。
22
特定保健指導(積極的支援)
○初回時の面接による支援
動機づけ支援における面接による支援と同様。
○3ヶ月以上の継続的な支援
支援
形態
●個別支援 ●グループ支援 ●電話 ●e-mail
※継続的な支援に要する時間は、ポイント数の合計が180ポイント以上とする。
支援
内容
支援A(積極的関与タイプ)
● 生活習慣の振り返りを行い、行動計画の実施状況の確認や必要に応じた支援をする。
● 栄養・運動等の生活習慣の改善に必要な実践的な指導をする。
〈中間評価〉
● 取り組んでいる実践と結果についての評価と再アセスメント、必要時、行動目標・計画の設定を行
う。
支援B(励ましタイプ)
● 行動計画の実施状況の確認と確立された行動を維持するために賞賛や励ましを行う。
支援
ポイント
合計180ポイント以上とする
内訳;
支援A(積極的関与タイプ):個別支援A、グループ支援、電話A、e-mail Aで160ポイント以上
支援B(励ましタイプ):個別支援B、電話B、e-mail Bで20ポイント以上
○6ヶ月後の評価
支援
形態
支援
内容
●個別支援
●グループ支援
●電話
●e-mail 等
●身体状況や生活習慣に変化が見られたかについて確認する。
23
積極的支援における継続的支援のポイント制(第2期ルール)
○ より特定保健指導を実施する現場の創意工夫を重視する観点から、積極的支援について、
現行の180ポイントのポイント制は維持することとした上で、支援A(計画の進捗状況の確認
等)と支援B(励ましや賞賛)に分かれているプログラムについて、支援Aのみで180ポイントを
達成してもよいこととする。
現行の積極的支援 (支援例)
特
定
健
診
受
診
初回面接
2週間後
1ヶ月後
2ヶ月後
8
0 2
分 0
の 分
グまの
ルた個
ーは別
プ 支
支 援
援
メ
ー電
ル話支
(ま援
1
往たA
復は
)
メ
ー
ル
(
1
往
復
40P
支援A:計画の進捗状況の評価など
支援B:励ましや賞賛など
電
話支
ま援
たA
は
)
40P
支援A
160P
+
3ヶ月後
6ヶ月後
支
援
B
の
電
話
5
分
3
ヶ個
月
後別
の面
中接
間 20
評分
価
6支
ヶ援
月B
後の
の電
評話
価5
分
10P
80P
10P
支援B
20P
=
次
年
度
健
診
結
果
で
の
評
価
合計
180P
(注)積極的支援における6ヶ月後評価は、他の継続支援と一体的に行っても良いこととなっている。
24
特定保健指導の実施者職種
動機づけ支援
積極的支援
初回面接・6ヵ月後評価、継続的支援のすべてを実施できる職種は、
医師・保健師・管理栄養士、一定の要件を満たす看護師*
初回面接
保健指導事業の統括者は、常勤の医師・保健師・管理栄養士
3ヵ月以上
の
継続的支援
3ヵ月以上の継続的支援の実施者職種は、
医師・保健師・管理栄養士、一定の要件を満たす看護師*
+
1.栄養指導に関する専門的知識及び技術を有する者
①看護師、栄養士、歯科医師、薬剤師、助産師、准看護師、歯科衛生士
であって、告示に定める内容の食習慣改善指導担当者研修を受講した者
②事業場における労働者の健康保持増進のための指針に基づく
産業栄養指導担当者であって追加研修を受講した者 等
6ヵ月後評価
2.運動指導に関する専門的知識及び技術を有する者
①看護師、栄養士、歯科医師、薬剤師、助産師、准看護師、理学療法士
であって、告示に定める内容の運動指導担当者研修を受講した者
②財団法人健康・体力づくり事業財団が認定する健康運動指導士 等
次年度健診結果による評価
*看護師は、平成29年度までの経過措置として、平成20年4月1日現在において1年以上保健指導に関する一定の実務経験を有する者が可。
健康情報の取扱い
•
•
•
•
•
•
•
•
•
保健師助産師看護師法
個人情報の保護に関する法律
匿名データの作成・提供に係るガイドライン
健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのための
ガイドライン
健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのための
ガイドラインを補完する事例集
雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン
雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当
たっての留意事項
雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン:
事例集
その他、関連するガイドライン等
26
Ⅰ-4.保健指導(各論)
27
保健指導のいろいろ
強制被保険者
◆労働安全衛生法に基づく保健指導(努力義務)
被
用
者
保
険
の
加
入
者
◆健康保険法に基づく各種保健指導
(努力義務)
◆高齢者医療確保法に基づく
特定保健指導(実施義務)
★受診勧奨の保健指導
★後発医薬品への切り替え促進
★重症化予防対策
★前期高齢者の保健指導
(介護予防対策含む)
★重複・頻回・時間外受診対策
★リスク別健康管理
等
★動機付け支援
★積極的支援
強制被扶養者
任意継続被保険者・被扶養者
特例退職被保険者・被扶養者
28
糖尿病等生活習慣病予防のための健診・保健指導
健診から保健指導実施へのフローチャート(抜粋)
対象となる生活習慣病の病名と治療
厚生労働省健康局「標準的な健診・保健指導プログラム」様式6-10
平成19年確定版:178ページ、平成25年度改訂版:228ページより
他の健診等の
結果の提出者
40歳~74歳の加入者
A人
C人
①糖尿病
②インスリン療法
③高血圧症
④高尿酸血症
⑤肝障害
⑦糖尿病性神経障害
⑧糖尿病性網膜症
⑨糖尿病性腎症
⑩痛風腎
⑪高血圧性腎臓障害
メタボ該当者
Q人
メタボ予備群
健
診
結
果
B人
健診対象者
⑫脳血管疾患
⑬脳出血
⑭脳梗塞
⑮その他の脳
血管疾患
⑯虚血性心疾患
⑰動脈梗塞
⑱大動脈疾患
⑲人工透析
R人
特定健診の実施
治療なし
健診未受診者
D人
健診受診者
J人
E人
健診結果の判定
保
健
指
導
対
象
者
の
明
確
化
健診受診情報(問診等)とレセプトを突合
情報提供
(受診の必要性を含む)
治療なし
G人
生活習慣病治療中
H人
生活習慣病のコントロール
良
生活習慣病治療中
I人
分析
受診必要
M人
受診
不必要
N人
特定保健指導対象者
動機づけ支援
O人
積極的支援
P人
保健指導実施者
O’人
P’人
不良
保健指導完了者
K人
L人
Y人
29
Z人
個別的な保健指導の考え方
•
•
•
•
特定保健指導の実施と併行して、以下の対応をとる。
但し、この表は、保健師等専門職が保険者(健保組合等)にいる場合を想定している。
保健師等専門職が保険者に存在しない場合は、必ず顧問医師・事業所産業医と連携の上、意向・意見を尊重して協力してもらうこと。
「健保組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(平成16年度)等を遵守すること。
1
2
分析方法
手順
通院治療・内服中だが、
健診結果が悪い(bad
control)者
レセ(医科入院外
+調剤)と健診結
果の突合
高血圧症・糖尿病・脂質
異常症の3疾患の保有
状況を把握
健診の結果「情報提供」
だが、受診が必要な者
健診結果
非肥満でリスク保有者
なので、受診勧奨の保
健指導を実施
健診未受診だが、通院
治療・内服している者
レセ(医科入院外
+調剤)
5
優先グループ順
留意事項
健診未受診で、通院治
療・内服をしていない者
過去の健診受診
歴や、レセの有無
を探す
まずは健診を受診する
勧奨対策をとる
過去の健診受診歴やレセがあれば、そ
れらの内容により対応策が異なる
健診受診を勧奨する
健診を受診しない
理由も併せて調
査する
通院治療・内服中で、健
診結果が良い(good
control)者
レセ(医科入院外
+調剤)と健診結
果の突合
今後も良い状態を維持
できるよう保健指導で
支援する
保健指導による現状確認と支援を、現
病歴・既往歴や勤務状態、他疾患の有
無等から、個別に優先を判断していくこ
ととなる
生活習慣改善が困難な
事例から保健指導を開
始する
本人のコンプライ
アンス状態の確
認と、主治医の様
子を聴取する
本人を介して主治
医と連携をとる
(医師を介在させ
る)
①3疾患を有する
②2疾患を有する
③1疾患のみ
※①から③の順に行うも、
検査結果値の状態も併せてみながら、
総合的な優先順位を付ける
高血圧症・糖尿病・脂質
※他の健診項目における所見や、他疾
異常症の3疾患の保有
状況を把握するとともに、 患がある場合は、更に慎重な取扱いを
要する
健診を受診する勧奨対
策をとる
3
4
優先者の
選出方法
対象
受診勧奨後、受
診したか否かの
追跡を要する
検査結果値を高い順から
ランキングして、上位者
から保健指導を開始する
本人を介して主治
医の元での検査
結果を得る。
健診を必ず受診し
てもらう対策が必
要
30
関連学会の診断基準
生活習慣病
要因
グループ
検査結果値
健診検査名
第一優先
(重症)
第二優先
(中等症)
収縮期血圧
(Ⅱ度以上)
180mm/Hg以上
160~179mm/Hg
拡張期血圧
(Ⅱ度以上)
110mm/Hg以上
100~109mm/Hg
130/85mm/Hg
※治療開始値は、
160/90mm/Hg以上
※年齢や他疾患の有無
により異なる。
LDLコレステロール
160mg/dl以上
140mg/dl以上
150mg/dl未満
血圧
脂質
治療目標
HDLコレステロール
中性脂肪
空腹時血糖
血糖
HbA1c
(JDS値/2012年度まで、
NGSP値/2013年度から)
40mg/dl未満
300mg/dl以上
150mg/dl
①空腹時126mg/dl以上
②随時200mg/dl
③OGTT2H200mg/dl
①から④のいずれか
④JDS=6.1、NGSP=6.5%以上
(さらに、8.4=NGSP以上を第一優先とする場合もある)
40mg/dl以上
150mg/dl未満
※早朝空腹時
空腹時130mg/dl未満
2H180mg/dl未満
NGSP=6.5%未満
(注)血圧、脂質異常、血糖で、各関連学会の診断基準に基づき、優先的に保健指導等の対応をするべき目安。(ただし集団により異なることもある)
この他、現病歴、既往歴、自覚症状の有無、尿蛋白の有無、心電図検査結果、眼底検査結果等も併せて、医師が総合的に判断する。
31
受診勧奨レベルの取扱と取組
受診勧奨レベルには、様々な人たちが混在
医療保険者による適切な判断と振分け、対応が必要
•
※ 医学的判断を要するので、健保組合顧問
医師・産業医・健診機関側医師が判断する
いきなり薬物治療を開始するより、
まずは生活習慣を改善することが
必要と判断する場合には、
特定保健指導を実施する
(積極的支援・動機づけ支援)
すぐに治療へ結びつけるべき人
過去に通院治療を受けたが、
中断している人
<中断の理由>
本人都合の場合
受診先医療機関側の場合
受診科が違った
説明不十分・・・
メタボ以外の疾患の有無や状態
職場や家庭・生活環境の調整が
必要な人
地域的な理由がある
その他
•
•
•
•
•
•
医療機関への受診を勧奨する
<さまざまな方法>
• 当該本人への案内
• 当該本人への保健指導(面談)
• 必要時、医療機関医師への紹介状の発行
医療機関を受診
医療機関を受診した結果の確認
主治医の意見や指示の有無の確認
通院治療継続などの確認
※受診勧奨の取組は、経年的であり、根気強さが求められる。~PCDAをどう回すかが重要。
33
治療中の人への保健指導(重症化予防事業等)①
<今までのやり方をさらに活かす>
•
•
•
•
•
従来の保健指導や健康相談等の方法を活かして追跡する
治療中の人の追跡を適切に行うことで、治療の継続を支援
後発医薬品の使用促進により、医療費を抑制する
治療中の人は、特定保健指導の対象者からは外れるが、
特定健診の対象からは外れない
レセプトは、あくまでも参考程度。事実は本人から聴く
<保健指導実施者の役割と責任>
◎本人同意を前提に、主治医からの意見や指示を必ず確認する
◎安易な外部委託で対応できるのか否かの判断も重要
◎外部委託の際は、委託先機関の選定・管理・監督・質の評価を実施
34
治療中の人への保健指導(重症化予防事業等)②
<保健指導時の10のポイント>~本人はどう認識して・行動しているのか
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
治療(通院・内服等)が継続されているかどうか
主治医のもとで、適切な治療と説明・指導を受けているのかどうか
本人と主治医とのコミュニケーションはどうか
本人の治療の受け入れ状態はどうか
本人は主治医からの説明や指導を理解し、納得して、行動しているか
主治医からの処方薬をきちんと内服しているか
実際に本人の生活習慣や検査結果等が改善しているかどうか
健診結果を、主治医へ情報提供しているか
主治医の「指導管理料」の中身は、実際にはどうなっているのか
健康食品やサプリメントなどの使用はどうか
<糖尿病性腎症患者の重症化予防事業について>
考え方、実施の流れ、実施上の留意事項については、
「平成26年度高齢者医療制度円滑運営事業実施要綱における糖尿病性腎症患者の
重症化予防事業の取扱いについて」保発0508第5号 平成26年5月8日 厚生労働省局長通知の別添
「保険者による糖尿病性腎症患者の重症化予防事業 事業実施手順書」を参照。
35
○糖尿病性腎症患者重症化予防の取組への支援
(背景) 日本再興戦略において、「糖尿病性腎症患者の人工透析導入を予防する重症化予防 事業等の
好事例について、来年度内に横展開を開始できるよう、概算要求等に反映させる。」、「保険者におい
て、ICTを活用してレセプト等データを分析し、加入者の健康づくりの推進や医療費の適正化等に取り
組む好事例の全国展開を図る。」と示されており、本事業により、 重症化予防事業の全国展開を図る
必要がある。
(事業内容)
○ 糖尿病性腎症の患者であって、生活習慣の改善により重症化の予防が期待される者に対して、
保険者が医療機関と連携して保健指導を実施するなどの好事例の全国展開を進める。
○ 対象者は、糖尿病性腎症の患者であって人工透析導入前段階の者を想定。
<実施例>
保険者
主治医
・健診データとレセプトデータ
から選定した対象者の事業参加に
ついて主治医に確認
・治療
・重症化予防事業への参加勧奨
被保険者
・主治医から了解の得られた被保険者に対して、
重症化予防事業を案内
・レセプトデータ
・特定健診データ
・重症化予防事業への参加
36
主治医との連携について
健診結果データとレセプトデータ等を分析した結果を活用した、重症化予防をはじめとする保健事業の対象者では、治療(通院・ 服薬)を
していれば、必ず主治医(当該対象者の治療をしている医師)がいるため、主治医と連携した上で、保健事業を実施する。
具体的には、保険者の顧問医師や、対象者が被保険者(強制本人)の場合では、勤務先の事業所産業医から、当該対象者の主治医へ、
保健事業の趣旨・内容等と、当該対象者を参加させたい旨を伝え、これに対する主治医からの意見や、治療(投薬)状況、生活習慣等に
関する指示事項等を、主に書面でのやりとりにて確認する。
<当該対象者の同意を得た連携方法>
○当該対象者の同意を得ることを前提に考えると、顧問医師や産業医から当該対象者へ説明し、通院時に書面
(回答書も同封)を 持参してもらい、主治医からの意見や指示を書いてもらった回答書を、当該対象者から、
顧問医師 あるいは事業所産業医へ返してもらうことが適切。
<外部委託の場合>
○保健事業を外部へ委託している場合、顧問医師・産業医ではなく、委託先機関の医師が行う場合も想定されるが、
この際は、保健事業の実施主体である保険者と、委託先との関係性等を、主治医にわかりやすく説明する必要が
ある。
<書面・書面以外の指示の扱い>
○主治医は、多忙な日常診療の合間に、書面を確認して回答書を記載するので、用件は簡潔に整理しておき、
必要最低限の事項と し、できるだけ主治医の負担にならないよう工夫しておく。
○保険者の施設(直営診療所等)や、地区医師会等との間で、あらかじめ主治医とのルートとルールが確立 している
場合等では、口頭(直接・電話)等の指示もあり得るが、内容の誤りを避けるため、必ず記録を残す。
○主に書面でのやりとりであることから、文書料が発生する場合があることを想定した事業とする。
当該対象者とのトラブルを避ける ためにも、文書料の支払いや、保険者との手続き方法等を、あらかじめ説明しておく。
37
保健指導の評価について
<主観的評価>
特定保健指導利用者・保健事業参加者
満足度調査(事前/事後アンケートなど)
<専門的な評価とは>
具体的な保健指導内容
=保健師等保健指導実施者が行う評価
⇒自前・直営での実施、委託での実施、の両者を
評価する
<客観的評価>:数値目標⇒評価指標
実施率、完了率、受診(療)率、喫煙率・・・
=アウトプット評価
事後追跡確認、翌年度健診等結果での
改善状況、行動変容等の確認と評価・・・
=アウトカム評価
⇒データヘルス計画につながってくる
~PDCAサイクルを回すために必要
<委託先の評価>
各種保健事業の委託先実施機関/実施
職種/実施者/メニューごとの評価
⇒より適切な委託先を選定することに
つながってくる
※ さらに、保健師等医療職は、
右欄の専門的な評価も可能である
①具体的な保健指導内容
=保健指導・面談記録等からの検証と評価
②行動計画、行動目標の立て方
食事、運動(活動)、その他(たばこ、飲酒、睡眠・・・)
1. なにを
2. いつ
3. どのくらい
4. 頻度
5. そして、上記1~4をどう確認したのか
③保健指導スキル
=カンファレンスの実施、外部スーパーバイザー活用、
事業所産業医・産業保健スタッフとのコラボ
=各種関連研修会等への参加状況~情報収集の実態
※評価の具体的な詳細は、「標準的な健診・保健指導プログラム」(改定版)第3篇第4章及び表6を参照のこと。
38
健康日本21(第二次)
特定健診・特定保健指導に関する目標
項目
現状
目標
①脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整
死亡率の減少(10万人当たり)
脳血管疾患:男性49.5 、女性26.9
虚血性心疾患:男性36.9、女性15.3
(平成22年)
脳血管疾患:男性41.6、女性24.7
虚血性心疾患:男性31.8、女性13.7
(平成34年度)
②高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の
低下)
男性138㎜/Hg
女性133㎜/Hg
男性134㎜/Hg
女性129㎜/Hg
③脂質異常症の減少
総Chol 240㎎/dl以上の者の割合
男性13.8%、女性22.0%
LDL-Chol 160㎎/dl以上の者の割合
男性8.3%、女性11.7%
(平成22年)
④糖尿病腎症による年間新規透析導入患
者数の減少
16,247人
⑤糖尿病治療継続者の割合の増加
63.7%
(平成22年)
75%
(平成34年度)
⑥血糖コントロール不良者の割合の減少
(HbA1cがNGSP値8.4%以上の者の割合の
減少)
1.2%
(平成21年度)
1.0%
(平成34年度)
⑦糖尿病有病者の増加の抑制
890万人
⑧メタボリックシンドロームの該当者及び予
備群の減少
1,400万人
⑨特定健康診査・特定保健指導の実施率
の向上
(平成23年度確報値)
特定健康診査の実施率:
単一健保71.3%、総合健保65.0%
特定保健指導の実施率:
単一健保20.5%、総合健保8.9%
(平成22年)
(平成22年)
(平成19年)
(平成20年度)
(平成34年度)
総Chol 240㎎/dl以上の者の割合
男性10%、女性17%
LDL-Chol 160㎎dl以上の者の割合
男性6.2%、女性8.8%
(平成34年度)
(平成34年度)
15,000人
1,000万人
(平成34年度)
平成20年度と比べて25%減少
(平成27年度)
第2期目標(平成29年度)
特定健康診査の実施率:
単一健保90%、総合健保85%
特定保健指導の実施率:
単一健保60%、総合健保30%
39
Ⅰ-5.ポピュレーションアプローチとの
連動
39
地域・職域の特性に応じたポピュレーションアプローチの展開
<ポピュレーションアプローチのねらい>
• 健康についての関心を持ってもらう~「他人事」から「自分事」へ~健康への関心が高められる風土づくり
• 健康的な生活習慣の実現と継続が可能な環境づくり
• ハイリスクアプローチと一体的に展開することで、初めて効果が出て来る
<ポピュレーションアプローチの切り口>
○さまざまな連携・協働による保健事業の効果的な実施展開~コラボヘルス
地方公共団体、保険者間、中央団体・組織間、都道府県保険者協議会
職能団体、業界団体、地域の関連団体
学術機関・団体、教育機関・団体、健診・保健指導実施機関・団体、健康関連産業・団体
事業主、事業所、産業医、産業保健スタッフ・・・
○生活習慣の改善ができる環境の整備
健康的な食生活が送れる
身体活動(運動)を安全にできる
喫煙(受動も含)対策が可能
生活習慣改善に関する相談が気軽にできる
○有用な情報提供や普及啓発を発信
質の高い、生活習慣の改善に有用、根拠に基づいた各種の情報が、手軽に得られる
気づきや動機づけに役立つ情報やきっかけが得られる
健康づくりや健康的な生活習慣に役立つ商品やサービスを受けられる
○職域では事業主・事業所との協働が欠かせない
従業員の健康を職場として考える~従業員が元気に働けるための投資を行っている
○家族ぐるみ、地域ぐるみで楽しめる
家族で、ご近所や地域の人たちで、皆で楽しめる話題提供や健康づくりに関するイベントなど・・・
40
職域・産業保健師と自治体(市町村・都道府県)保健師との連携
<取り組み方の例>
• 保健師の勤務地を所管する地域自治体の情報(ホームページ等)を得る
• 加入者の多くが勤務・居住する地域自治体の情報(ホームページ等)を得る
• 「保険者協議会」への参画による情報共有
• 保険者団体の都道府県支部組織との連携により、地域とのつながりを持つ
• 職域(健保組合・加入事業所、協会けんぽ)保健師と、自治体保健師の直接連携
<メリット>
• 地域の特性や事情に応じた情報や各種サービスが得られる
• 加入者は地域住民として、地元での情報や各種サービスが得られる
• 地域のことは、地域に任せることができる
• 被扶養者の特定健診・特定保健指導受診率向上策につながる
<課題>
• 加入者(とくに被扶養者)が全国に散在している場合や、都道府県を跨っての
転居が頻繁でも、住所把握・管理ができていることが前提となる
• 地域(都道府県・区市町村)により、情報の出し方や各種サービスの内容・範囲が
異なる
41
※お互いに「待ち」の姿勢では何も進まない⇒「攻め」の姿勢を!
Ⅱ.特定健診・保健指導の実施状況と
効果の検証
42
Ⅱ-1.実施状況と課題
43
特定健診・特定保健指導の実施状況
○特定健診・特定保健指導の実施状況について、保険者から社会保険診療報酬支払基金への申告値を
とりまとめたもの。
●特定健康診査の実施率
対象者数
受診者数
特定健康診査実施率
平成24年度
52,806,123
24,396,035
46.2%
平成23年度
52,534,157
23,465,995
44.7%
平成22年度
52,192,070
22,546,778
43.2%
平成21年度
52,211,735
21,588,883
41.3%
平成20年度
51,919,920
20,192,502
38.9%
●特定保健指導の対象者の割合及び特定保健指導実施率
特定保健指導の対象者
特定保健指導の終了者
対象者数
対象者割合
終了者数
終了率
平成24年度
4,317,834
17.7%
707,558
16.4%
平成23年度
4,271,235
18.2%
642,819
15.0%
平成22年度
4,125,690
18.3%
540,942
13.1%
平成21年度
4,086,952
18.9%
503,712
12.3%
平成20年度
4,010,717
19.9%
308,222
7.7%
特定健診・特定保健指導の実施状況(保険者別年次推移)
●特定健康診査の保険者種類別の実施率
全 体
市町村
国保
国保組合
全国健康
保険協会
船員保険
組合健保
共済組合
平成24年度
46.2%
33.7%
42.6%
39.9%
38.9%
70.1%
72.7%
平成23年度
44.7%
32.7%
40.6%
36.9%
35.3%
69.2%
72.4%
平成22年度
43.2%
32.0%
38.6%
34.5%
34.7%
67.3%
70.9%
平成21年度
41.3%
31.4%
36.1%
31.3%
32.1%
65.0%
68.1%
平成20年度
38.9%
30.9%
31.8%
30.1%
22.8%
59.5%
59.9%
●特定保健指導の保険者種類別の実施率
全 体
市町村
国保
国保組合
全国健康
保険協会
船員保険
組合健保
共済組合
平成24年度
16.4%
19.9%
9.5%
12.8%
6.3%
18.1%
13.7%
平成23年度
15.0%
19.4%
8.3%
11.5%
6.5%
16.7%
10.6%
平成22年度
13.1%
19.3%
7.7%
7.4%
6.3%
14.5%
8.7%
平成21年度
12.3%
19.5%
5.5%
7.3%
5.8%
12.2%
7.9%
平成20年度
7.7%
14.1%
2.4%
3.1%
6.6%
6.8%
4.2%
被用者保険の特定健診の実施状況
○ 被用者保険の各保険者の特定健康診査実施率を被保険者・被扶養者別にみると、
特に協会けんぽの被保険者及び被扶養者の実施率は、他の被用者保険の保険者と
比較して共に低い状況となっている。
○ どの保険者においても、被扶養者の実施率は総じて低い状況にある。
被用者保険の各保険者の特定健康診査実施率(平成23年度)
保険者の種類別
全体
被保険者
被扶養者
協会けんぽ
36.6%
44.9%
13.8%
組合健保
69.6%
84.7%
36.8%
国共済
63.8%
82.4%
24.4%
地共済
75.3%
87.5%
40.7%
私学共済
59.9%
74.8%
27.9%
注: 平成25年度に保険者に対して実施した「特定健康診査・特定保健指導に関するアンケート調査結果」より集計したものである。
なお、協会けんぽの実施率については、「平成23年度事業報告書」より抜粋したものであり、国への実績報告の数字とは集計方法が異なるため、
国が公表している数字とは整合しない。
第1期における特定健診・保健指導の目標(保険者別の参酌標準)
○ 各保険者は、実施計画における平成24年度の目標値を、国の基本指針が示す参酌標準に即し
て設定。
○ 毎年度の目標値は、各保険者がそれぞれの実情を踏まえて、円滑に平成24年の目標値に至る
よう、設定。
全国
項目
参酌標準
設定理由等
目標
被扶養者比率が
80%
単一健保 25%未満※
当該保険者の実際の 被保険者分については、保険
被扶養者比率が
共済
被保険者数・被扶養者 者の種別で3区分し(被扶養者
25%以上※
数で算出
①特定健康診査
は分けない)、それぞれの目標
70% 総合健保
の実施率
実施率を各保険者における対
協会けんぽ
70%
象者数(推計値)に乗じて(加重
国保組合
平均値を基礎に)算定
市町村国保
65%
健診の場合の事業主健診のよ
②特定保健指導
45%
45%
うな実施率に影響する明確な要
の実施率
因はない
保健指導実施率の目標を一律
③メタボリックシ
とすることとあわせ、保健指導
ンドロームの該
10%
10%
の成果である該当者及び予備
当者及び予備
群の減少率も一律とするのが
群の減少率
合理的
※単一健保・共済の中でも、被保険者・被扶養者の構成が平均的な割合と大きく異なる保険者(被扶養者比率の高い保険者)は、その比率
に即した参酌標準とする。
第2期の全国目標
○ 現在の特定健診・保健指導の実績を踏まえ、25年度からの29年度の次期計画期間の実施
率の目標は特定健診・保健指導の実施率をそれぞれ70%、45%に維持する。
○ この実施率の目標とこれまでの実績を踏まえ、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群
の減少率を再計算する。
<目標の考え方>
第1期の目標
第2期の目標
24年度
目標(※※)
29年度までの全国
目標
①特定健診実施率
70%
70%
②特定保健指導実施率
45%
45%
10%
(20年度対比)
(27年度に25%減少)
25%
(20年度対比)
項目
実
施
に
関
す
る
目
標
す成
る果
目に
標関
③メタボリックシンドロームの
該当者及び予備群の減少
率(※)
※ 第1期計画期間の「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率」は、特定保健指導対象者の減少率を指していたが、29年
度までの目標は、いわゆる内科系8学会の基準によるメタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率とする。
※※ 24年度の目標は、27年度に特定健診受診率80%、特定保健指導60%を達成する前提で計算したもの。
第二期における保険者の目標について
全国目標
特定健診
実施率の目標
※()内は24年度実施率
特定保健指導
実施率の目標
※()内は24年度実施率
市町村
国保
国保組合
全国健康
保険協会
単一健保
総合健保
共済組合
70%
60%
70%
65%
90%
85%
90%
(46.2%)
(33.7%)
(42.6%)
(39.9%)
(72.6%)
(65.2%)
(72.7%)
45%
60%
30%
30%
60%
30%
40%
(16.4%)
(19.9%)
(9.5%)
(12.8%)
(22.5%)
(9.6%)
(13.7%)
(参考)特定健診・保健指導実施率の目標の設定方法
【特定健診実施率の目標】
○保険者種別毎に実績に応じて、特定健診実施率を全国目標に向けて同程度に引き上げることとして計算。
○特定健診の実施率については、90%を上限として、残余を他の保険者へ振り分け。ただし、この方法を単純に
とる場合、90%上限となっていることから単一健保と総合健保が同様の目標値となるが、現状の実施状況の違
いを考慮し、総合健保は85%を上限とする。
90%
70%
90%を上限
1.6倍
43.3%
全国平均
全国目標
70%
1.6倍+α
32%
市町村国保
目標
60%
1.6倍+α
38%
国保組合
目標
70%
1.6倍+α
35%
協会けんぽ
目標
65%
85%を上限
70%
単一健保
目標
90%
90%を上限
63%
総合健保
目標
85%
70%
共済組合
目標
90%
【特定保健指導実施率の目標】
○特定保健指導実施率についても、保険者種別毎に実績に応じて全国目標に向けて同程度に引き上げることと
して計算。
○ただし、特定保健指導の実施率については、60%を上限として、残余を他の保険者へ振り分け。
60%
45%
60%を上限
60%を上限
3.29倍
13.7%
全国平均
全国目標
45%
20.9%
市町村国保
目標
60%
3.29倍+α
3.29倍+α
7.7%
国保組合
目標
30%
7.3%
協会けんぽ
目標
30%
17.8%
単一健保
目標
60%
8.5%
総合健保
目標
30%
10.4%
共済組合
目標
40%
後期高齢者支援金の加算・減算の仕組み
医療給付費等総額
13.8兆円
各保険者の特定健診等の実施及びその
成果に関する具体的な目標の達成状況
等により、当該保険者の後期高齢者支
援金の額について一定程度加算又は減
算を行う
(平成25年度予算ベース)
(
加
算
)
保険者A
〈加算・減算の方法〉
①
○
拠出
目標の達成状況
特定健診・保健指導の実施率
(
加
算
)
②
保険者の実績を比較
○ 実績を上げている保険者
⇒支援金の減算
○ 実績の上がっていない保険者⇒支援金の加算
◆ 加算率は0.23%に設定。
◆ 減算率については、加算額と減算額の総額
が同じになるように、設定。
(
減
算
)
保険者B
保険者C
(後
若期
年高
約者齢
4の
割保者
険支
料援
)金
〔
国
:
都
道
府
県
:
市
町
村
=
4
:
1
:
1
〕
公
費
(
約
5
割
)
高齢者の
保険料
(1割)
後期高齢者医療制度
51
後期高齢者支援金の加算・減算の実施について
○ 後期高齢者支援金の加算・減算は、75歳以上の高齢者の医療費の適正化に資する、保険者による生活習慣病予防のた
めの取組み(特定健診及び保健指導)の状況を評価するためのもの。
○ 後期高齢者制度見直し時に改めて検討することを前提に、現行法の加算・減算制度を平成25年度から実施。
・ 保険者種別ごとの事情を考慮(実施率を調整)
・ 加算額を基に減算、保健指導実施率が実質的に0%の保険者に対し加算
・ 第1期は、特定健診・保健指導の目標(参酌標準)を両方達成した保険者に対し減算
健診・保健指導
・ 第2期は、上位1~2%程度の保険者に対し減算
実施率
・ 実施は平成25年度支援金の精算時(平成27年度)から
減算の基準を達成
した保険者
減算の基準
減 算
○減算の基準
第1期(平成24年度実績に基づき、25年度支援金
特定健診又は保健指導の
実施率が
実質的に0%の保険者
に反映)
加算・減算なし
・・・健診・保健指導の目標を両方達成
第2期(平成25年度から各年度の実績を、
平成26年度から各年度の支援金に反映)
加算率0.23%
・・・上位保険者1~2%(平成23年度の実績に基づき
調整済実施係数を決定予定)
※調整済実施係数=
(調整後特定健診実施率)×(調整後特定保健指導実施率)
加 算
←加算率
0
減算率→
52
加算・減算の実施時期(イメージ図)
25年度
24年度
後
期
の高
支齢
払者
い支
援
金
特
定
健
診
・
保
健
指
導
26年度
25年4月~
25年度概算後期高齢
者支援金の支払い
27年4月~
25年度確定後期高齢
者支援金の精算
※実際には23年度確定後
期高齢者支援金(精算
額)と併せて支払い
24年度の特定健診・
保健指導の実施
11/1
国への実
績報告
27年度
※実際には27年度概算後
期高齢者支援金と併せ
て支払い
26年秋頃
24年度
実績確定
24年度特定健
診・保健指導の
実績を反映
(注1)特定保健指導には6ヶ月を要するため、24年度の特定健診の結果に基づく特定保健指導が24年度を越えて実
施される場合も多い。
(注2)毎年11月1日に前年度の特定健診・保健指導の実績報告が国に対してなされるが、データの整理などの必要
性から確定までには数ヶ月を要する。
53
第二期特定健康診査等実施計画期間に向けての特定健診・特定保健指導の実施について(とりまとめ)抜粋
(平成24年7月13日 保険者による健診・保健指導等に関する検討会)
○ この後期高齢者支援金の加算・減算制度については、
・ 既に加算・減算制度が実施されることを前提に特定健診・保健指導に積極的に取り組んだ保険者もいることから、こうした取組みの実
績を残した保険者には、支援金を減算することで利益を還元すべき
・ 実施率の向上の観点からは、何らかのインセンティブ(誘引策)が必要、
といった意見があった。一方で、
・ 実施にあたっては医療費への効果に関するエビデンスを明示すべき
・ 保険者が制度毎に公平に実施できる状態でない中で、実績を単純に比較することは不適切
・ 医療費の適正化に資する取組みは、この他にもあることから、特定健診・保健指導の取組みのみを以て保険者を評価することは不適
切
といったことから制度そのものに賛同しない、あるいは制度を廃止すべきとの強い意見もあった。
こうしたことを踏まえ、高齢者医療制度の見直しの際には、この加算・減算制度の在り方について改めて検討することを前提に、現行の法
律で規定されている加算・減算制度を平成25年度から施行するほかないとすれば、その実施方法としては、以下の方法が考えられる。
○ 平成25年度以降の後期高齢者支援金の加算・減算制度の実施については、以下の方針とする。
(2) 保険者に負担を求めるのであれば明確な根拠が必要との観点から、加算・減算制度の施行にあたっては、まず加算する保険者と加
算率を決定し、同額を減算する保険者の支援金から減算する。
(3) 加算率は、平均的な保険者が特定健診・保健指導に要する費用を勘案して0.23%に設定する。
参考 <加算率(0.23%)の設定の考え方>
特定健診・保健指導への取組みが進んでいない保険者については、その分の事業に要する費用が少ないと考えられることから、全保険者
の支出する特定健診・保健指導の総事業費が、全保険者が支払う後期高齢者支援金の総額に占める割合の半分(0.23%)を加算率とす
る。この値は24年度の実績を用いて再計算する考え方もあるが、予見可能性の観点から、現時点で0.23%に確定する。
【算出式】
平成22年度確定後期高齢者支援金:約4兆9,713億円
平成22年度の特定健診・保健指導の総事業費(国庫補助・負担金、都道府県負担除く):約225億円(※)
※ 全保険者の特定健診・保健指導に要した費用(受診者負担も含む)。広報等に要した費用は含まれない。また、労働安全衛生法に基
づく事業主健診及び共済組合における特定健診・保健指導等の費用も含まれていない。
225億円 ÷ 4兆9,713億円 ÷ 2 = 0.23%
54
特定健診に係る項目の見直しの流れ
知見や実績の蓄積
健診・保健指導の在り方に関する検討会
制度の運営状況やその他の蓄積された知見を踏まえ、特定健診・保健指導の実施内容や
実施方法についての科学的な知見からの検討
検
討
※ 特定健診については、加入者が事業者健診を受けた場合は、事業者健診の結果を特定
健診の結果に変えることができるとされており、事業者健診との関係の調整も必要
保険者による健診・保健指導等に関する検討会
実績等を踏まえ、特定健診・保健指導の提供方法等の今後の在り方について医療保険者な
どによる費用対効果などの観点からの検討
見
直
し
特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準等の改正
検討会で合意を得られたものについて、省令等の改正を実施し、項目の見直しを実施
保険者によるシステム改修を経て、実施
保険者による健診・保健指導等に関する検討会とりまとめ(平成24年7月)の概要
1.特定健診・保健指導の枠組み
○内臓脂肪型肥満に着目した
現行の特定保健指導対象者
の選定基準を維持
○非肥満でリスクがある者に対
する保健指導の標準的方法、
医療機関への受診勧奨等を周
知
○血清クレアチニン検査を特定
健診の項目に加えるか否かに
ついては、内臓脂肪型肥満と
の関連や事業主健診での対応
状況等を踏まえ、平成30年度
に向けて改めて検討
4.特定保健指導の実施方法
○ポイント制の要件緩和
○初回面接者と6か月後評価者
について、同一人要件を同一
機関内では緩和
○直営では、2年目の特定保健
指導を柔軟化
○集合契約において健診受診
日の保健指導開始を可能に
○労働安全衛生法の保健指導
との一体的実施
2.第2期における目標(平成29年度)
協会
市町
保険者 全国
国保
単一 総合 共済
村
けん
種別 目標
組合
健保 健保 組合
国保
ぽ
特定健診 70% 60% 70% 65% 90% 85% 90%
特定保健
45% 60% 30% 30% 60% 30% 40%
指導
○メタボリックシンドローム該当者・予備群の
減少率(全国目標) 平成20年度比25%
5.後期高齢者支援金の加算・減算
○高齢者医療制度見直し時に改めて検討
することを前提に、現行法の加算・減算
制度を平成25年度から施行する場合の
実施方法
・保険者種別ごとに実施率を調整
・加算額を基に減算、保健指導実施率が
実質的に0%の保険者に加算(災害等
の適用除外あり)、加算率は0.23%
・第1期は、特定健診と特定保健指導の
参酌標準(目標)を両方達成した保険者
を減算
・第2期は、調整後で上位数%程度の保
険者を減算
・実施は平成25年度支援金の精算時(平
成27年度)から
3.特定健診・保健指導の実施率向上
○より一層の啓発普及
○健診未受診者に対する受診勧奨の
徹底
○被扶養者対策を市町村国保に委託
する場合の円滑な費用決済・データ授
受方法等について検討
○保険者間のデータ受け渡し、診療情
報の活用、事業主健診の受託機関か
ら医療保険者への情報提供の促進に
ついて具体的方法を検討
○がん検診等との同時実施など自治体
との連携推進策の検討、保険者協議
会の機能の一層の発揮
○継続受診促進と情報提供の充実、医
療機関への適切な受診勧奨
6.その他
○治療中の者の保健指導の好事例を周
知
○HbA1cの表記見直しに対応
○特定保健指導を担う人材の育成
○看護師が特定保健指導を行うことが
できる暫定期間を29年度末まで延長
○生活習慣病予防効果、医療費への効
果についてエビデンス蓄積、検証成果
の定期的・継続的公表
56
平成25年度以降のHbA1c検査結果の結果通知・実績報告
① 平成25年4月1日以降に実施される特定健診におけるヘモグロビンA1c検査
について、国への実績報告は、NGSP値で行う。
受診者への結果通知及び保険者への結果報告については、NGSP値で行う
とともに、NGSP値である旨を明示する。
② 保険者から特定健診等の委託を受けた者(受託者)がヘモグロビンA1c検査
を登録衛生検査所等に再委託した場合、登録衛生検査所等から受託者への
結果の報告は、原則として、NGSP値で行うとともに、NGSP値である旨を必ず
明示する。
③ 平成25年3月31日以前に実施される特定健診の受診者への結果通知、保
険者への結果報告及び国への実績報告並びに事業主健診の事業主への結
果報告及び保険者への結果報告等を平成25年4月1日以降に行う場合、従来
と同様、JDS値のみで行う。
※詳細は、平成24年10月31日付けで事務連絡を発出
57
平成25年度以降の特定保健指導レベル判定値等の取扱い
平成25年度以降実施の特定健康診査等において、NGSP値を用いることに伴い、
①特定保健指導レベル判定値 → 変更
②受診勧奨判定値 → 変更
③メタボリックシンドローム判定値
→ メタボリックシンドロームの診断基準(いわゆる8学会合同基準)を原則とした上
で、日常臨床等における取扱いを踏まえ、HbA1cによる値を見直す。
①特定保健指導レベル判定値
→ 空腹時血糖 100mg/dl以上 又は HbA1c(NGSP値)5.6%以上
②受診勧奨判定値
→ 空腹時血糖 126mg/dl以上 又は HbA1c(NGSP値)6.5%以上
③メタボリックシンドローム判定値
→ 空腹時血糖 110mg/dl以上
ただし、空腹時血糖の値が適切に得られない場合は、HbA1c(NGSP値)6.0%※以上
※空腹時血糖110mg/dlに相当する値
58
第2期・システム改修関連事項①
(1)受診者・利用者情報の取得
①特定健診受診者・保健指導利用者についての被用者保険の被保険者本人と被扶
養者の別、及び②その制度属性(強制・任意継続・特例退職)を区分。
(2)High-Low表記と実測値
特定健診情報ファイル上で、各検査項目の実測値がHL表記に係る入力限界を超え
た場合も、HL表記と実測値を併せて入力。
(3)HbA1c検査について平成25年度以降のNGSP値への切り替え
平成25年度以降に実施される特定健診を含む各種健診において、HbA1c検査の受
診者への結果通知・保険者への報告については、すべてNGSP値。
(4)特定健診情報ファイルと特定保健指導情報ファイルとの紐付け
利用券整理番号の必須化により、特定健診情報ファイルとその健診結果に基づく特
定保健指導情報ファイルとを紐付け。
(5)血清クレアチニンの検査(任意項目)結果について表示桁数の拡大
血清クレアチニンの検査結果について、特定健診情報ファイル上、小数点以下2桁
まで入力が可能。
59
第2期・システム改修関連事項②
(6)特定健診・保健指導の実施契約形態情報の取得【継続して検討】
特定健診・保健指導の契約形態(個別・集合A・集合B)別の実績把握の要否について、第三期
以降に実現できるかを継続して検討。
(7)積極的支援における支援Bの必須の解除
積極的支援のうち、支援A(計画の進捗状況の確認等)と支援B(励ましや賞賛)に分かれてい
るプログラムについて、支援Aでのみ180ポイントを計上することを認める。
(8)特定健診の実施形態情報(事業主健診かその他の健診か等の別)の取得
健診種別(健診プログラムサービスコード)により、健診データが、事業主健診によるものか、
他の健診によるものか等を区分。
(9)初回面接者・進捗状況評価者・6ヶ月後評価者の同一要件の緩和
特定保健指導の初回面接者、進捗状況評価者及び6ヶ月後評価者を同一でなくともよいことと
する場合としては、特定保健指導が同一の機関内若しくは保険者直営において行われ、かつ、組
織として統一的な実施計画書及び実施報告書を用いて情報共有を図っていると認められる場合
とする。
(10)特定保健指導における2年目の特例【継続して検討】
特定保健指導を保険者が直営で行っている場合での2年目における初回面接の実施の特例に
ついては、その要件等をワーキンググループにおいて継続して検討する。
(11)服薬者を特定保健指導の対象者から除外できる機会の拡大【任意事項】
健診時の質問票の服薬状況に誤って回答し、その結果、階層化判定にて特定保健指導の対象
となった場合、保険者の専門職が再確認をして対象から除外することを可能とする。
60
初回面接の実施者と6ヶ月後評価者が異なる場合の
情報共有の在り方について
<健診・保健指導の在り方に関する検討会 中間とりまとめ>
② 初回面接と6ヶ月後に評価を行う者との同一性について
○ 対象者との信頼関係の形成や保健指導のプロセス評価等の観点から、初回面接と6ヶ月後
の評価は同一者とすることを原則とする考えを示した上で、保健指導実施者間で十分に情報共
有ができ、チーム・組織としての統一的な評価方法が構築されているなどの環境が整備されてい
る場合には、初回面接を行った者以外の者が評価を行ってもよいこととする。
<平成25年度~29年度(第2期特定健診等実施計画の期間)における対応>
○ 上記の議論を踏まえ、チーム・組織としての統一的な評価方法が構築されている環境として、
基本的には同一機関内において、十分な情報共有が行われているなどの一定の要件の下に、
初回面接と6ヶ月後の評価は同一者でなくてもよいこととする。
○ 情報共有の方法等については、今後、実務担当者によるワーキンググループで検討を行うこ
ととする。
【一定の要件】
○同一機関内 : 同一保健指導機関、保険者直営 とする。
○十分な情報共有 : 組織として統一的な実施計画書及び実施報告書を用いる。
61
ICT(情報通信技術)を活用した遠隔面談
「特定保健指導における情報通信技術を活用した面接による指導の実施について」
【H25.8.1通知】
○ 特定保健指導における初回面接は、対象者を生活習慣改善に向けた行動に向か
わせるための重要な機会であり、直接会って対面で行うことが原則
○ しかしながら、対象者の利便と保険者による事業実施方法の多様性を図る観点か
ら、情報通信技術を活用した初回面接を行うことを認め、その上で、遠隔保健指導の
効果検証に資するため、その結果について報告を徴収、蓄積し、分析を実施
【情報通信技術を活用した初回面接の対象となる支援の内容等について】
・ 個別支援の場合のみ可能とすること。(グループ支援は対象としない)
・ 意思疎通に一定の時間を要すること等を勘案し、30分以上行うこと。(従来の個別支援では20分以上)
・ 対象者が遠隔保健指導について十分に理解した上で、利用を希望していることを確認すること。
【情報通信技術を活用した初回面接の報告等について】
・ 年度ごとに、実施計画書を厚生労働省あてにあらかじめ提出すること。
・ 終了後、実績報告書を厚生労働省あてに提出すること。
62
Ⅱ-2.効果の検証
63
特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のための
ワーキンググループ 中間取りまとめ 概要
特定健診・保健指導の効果検証の概要
○
特定健診・保健指導による検査値の改善状況や行動変容への影響、医療費適正化効果等を検証するため、「保険者
による健診・保健指導等に関する検討会」の下に、有識者により構成されるワーキンググループを設置し、レセプト
情報・特定健康診査等情報データベース(NDB)を活用しつつ、これまで検討を行ってきた(平成25年3月から計
6回開催)。
<ワーキンググループ構成員>(50音順・敬称略)
北村 明彦
大阪大学大学院医学系研究科准教授
津下 一代
あいち健康の森健康科学総合センター長
三浦 克之
滋賀医科大学教授
○
多田羅 浩三
福田
敬
一般財団法人日本公衆衛生協会会長
国立保健医療科学院統括研究官
今回、平成20年度から23年度の特定健診等の4年間分のデータを用いて、特定健診・保健指導による検査値の改善
状況及び喫煙行動の影響について、当該ワーキンググループで中間的な結果として取りまとめた。
なお、特定健診・保健指導による医療費適正化効果については、平成26年度中に検討を行い、その結果を取りまと
める予定である。
【参考】
○特定健診・・・ 医療保険者(国民健康保険、被用者保険)が40歳から74歳の加入者(被保険者・被扶養者)を対象
として、毎年度、計画的に実施する、メタボリックシンドロームに着目した検査項目での健康診査
のこと。
○特定保健指導・・・医療保険者が特定健診の結果により健康の保持に努める必要がある者に対し、毎年度、計画的に
実施する保健指導のこと。特定健診の結果に基づき、腹囲以外の追加リスクの多少と喫煙歴の有
無により、積極的支援の対象者と動機付け支援の対象者に階層化される。
64
中間取りまとめ概要
1.特定健診・保健指導による評価指標等の推移
<分析内容>
○ 特定健診の結果、特定保健指導の対象と判断された者のうち、特定保健指導終了者とそれ以外の者について、翌
年度の検査データの差を、それぞれの年度ごとに、性・年齢階級別に比較
○ 分析対象者数 約200万人(各年とも)
<分析結果>
○ 特定保健指導終了者はそれ以外の者と比較すると、各年度、全ての性・年齢階級別において、腹囲、BMI、体重
が大きく減少しており、血糖、血圧、脂質等も改善
○ 特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移は以下のとおり
特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移について(平成20-21年度推移)
【腹囲】
男性では約2.2cm(平成20-21年度)
____________約1.7cm(平成21-22年度)
____________約1.2cm(平成22-23年度)
女性では約3.1cm(平成20-21年度)
____________約2.2cm(平成21-22年度)
____________約1.7cm(平成22-23年度)
の減少
総数
【体重】
男性では約1.9kg(平成20-21年度)
____________約1.3kg(平成21-22年度)
____________約1.0kg(平成22-23年度)
女性では約2.2kg(平成20-21年度)
____________約1.6kg(平成21-22年度)
____________約1.2kg(平成22-23年度)
の減少
総数
65
中間取りまとめ概要
血糖、血圧、脂質についても改善
特定保健指導(積極的支援)による評価指標等の推移について(平成20-21年度推移)
【血糖(HbA1c)】
男性では約0.04%(平成20-21年度)
約0.02%(平成21-22年度)
約0.02%(平成22-23年度)
女性では約0.05%(平成20-21年度)
の減少
総数
約0.004%(平成21-22年度)
約0.03%4(平成22-23年度)
【血圧(収縮期血圧)】
男性では約2.0mmHg(平成20-21年度)
約1.3mmHg(平成21-22年度)
約1.0mmHg(平成22-23年度)
女性では約3.4mmHg(平成20-21年度)
の減少
総数
約2.8mmHg(平成21-22年度)
約2.2mmHg(平成22-23年度)
【脂質(中性脂肪)】
男性では約27.2mg/dl(平成20-21年度)
約23.3mg/dl(平成21-22年度)
約17.2mg/dl(平成22-23年度)
女性では約26.4mg/dl(平成20-21年度)
の減少
総数
約22.9mg/dl(平成21-22年度)
約18.8mg/dl(平成22-23年度)
66
中間取りまとめ概要
2.保健指導レベルの改善状況
<分析内容>
○ 前年度の特定保健指導終了者について、翌年度の健診結果から、性・年齢階級別に、特定保健指導を受ける前後の保健指導
・積極的支援
レベル(※)を分析
※ 積極的支援、動機付け支援、特定保健指導対象外等
○ 分析対象者数 約20~30万人(各年とも)
<分析結果>
特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、追加リスク(血糖・
血圧・脂質)が2つ以上該当か、1つ該当かつ喫煙歴がある、64歳以下の
者への支援
・動機付け支援
特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、追加リスクが1つ
該当かつ喫煙歴がない者への支援
※ 血糖・血圧・脂質の服薬者は含まない
○ 積極的支援終了者
・保健指導レベルが全般的に改善傾向にあり、改善効果は年齢階層別では大きな違いはないものの、性別でみると女性の方
が男性より強い傾向
○ 動機付け支援終了者
・保健指導レベルが改善した者が一定程度みられた
【男性(総数)】
服薬あり
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
特定保健指導(積極的支援)による保健指導レベルの改善状況について(平成20-21年度推移)
【女性(総数)】
積極的支援
動機付け支援
服薬あり
特定保健指導対象外 あ
29.2
42.5%
が改善
13.3
参考)
*38.2%が改善
100.0
51.2
(平成21-22年度)
*35.9%が改善
(平成22-23年度)
6.0
平成20年度
平成21年度
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
積極的支援
動機付け支援
特定保健指導対象外 あ
28.0
56.2%
が改善
100.0
28.2
32.4
参考)
*48.8%が改善
(平成21-22年度)
*45.7%が改善
10.9
平成20年度
(平成22-23年度)
平成21年度
積極的支援により、男性では42.5%、女性では56.2%が保健指導レベルが改善
67
中間取りまとめ概要
3.メタボリックシンドロームの改善状況
<分析内容>
○ 前年度の特定保健指導終了者について、積極的・動機付け支援別、性・年齢階級別に、翌年度の健診結果から、
クシンドロームの改善状況を分析
・メタボリックシンドローム基準該当
メタボリッ
腹囲が一定数値以上で、追加リスク(血糖・血圧・脂質)が2つ以上該当
・メタボリックシンドローム予備群該当
腹囲が一定数値以上で、追加リスクが1つ該当
※ 血糖・血圧・脂質の服薬者も含む
○ 分析対象者数 約20~30万人(各年とも)
<分析結果>
○ 積極的支援終了者
・メタボリックシンドローム基準該当又は予備群該当のうち、男性では約2~3割、女性では約3~4割が改善
○ 動機付け支援終了者
・メタボリックシンドローム基準該当又は予備群該当のうち、男性では約2~3割、女性では約1~2割が改善
特定保健指導(積極的支援)によるメタボリックシンドロームの改善状況について(平成20-21年度推移)
【男性(総数)】
【女性(総数)】
基準該当
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
予備群該当
基準該当
非該当
100%
約3割が 90%
メタボ
80%
脱出
70%
60%
参考)
50%
*約3割が
40%
メタボ脱出
(平成21-22年度) 30%
*約2割強が
20%
メタボ脱出
10%
(平成22-23年度)
0%
6.0
37.7
41.8
32.0
51.0
29.8
平成20年度
予備群該当
非該当
9.4
49.1
35.3
25.5
54.8
25.1
平成20年度
平成21年度
約4割が
メタボ
脱出
参考)
*約3割が
メタボ脱出
(平成21-22年度、
平成22-23年度)
平成21年度
積極的支援により、男性では約3割、女性では約4割が
メタボリックシンドローム脱出
68
(参考)特定保健指導(積極的支援)の実施前後の比較(50-54歳男性の例)
(平成20-21年度推移)
評価指標等の推移
・
【実施前】
【実施後】
腹囲:91.2cm
体重:75.1kg
血糖(HbA1c):5.31%.
血圧:130.5/83.3mmHg
脂質(中性脂肪):191.3mg/dl
腹囲:88.9cm(▲2.3cm)
体重:73.2kg(▲1.8kg)
血糖(HbA1c):5.27%
血圧:128.6/81.9mmHg
脂質(中性脂肪):164.0mg/dl
保健指導レベルの改善状況
・
100%
29.1
80%
60%
40%
特定保健指導対象外 あ
11.6
動機付け支援
約3割が特定保健指導の対象外に
53.0
積極的支援
約4割が保健指導レベルが改善
100.0
20%
6.1
0%
平成20年度
・
服薬あり
平成21年度
メタボリックシンドロームの改善状況
100%
80%
60%
6.4
41.8
40%
20%
50.5
38.0
非該当
31.0
予備群該当
30.4
基準該当
約3割が
メタボリックシンドロームから脱出
0%
平成20年度
平成21年度
69
特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のための
ワーキンググループ 第二次中間取りまとめ 概要
特定健診・保健指導の効果検証の概要
○
特定健診・保健指導による検査値の改善状況や行動変容への影響、医療費適正化効果等を検証するため、「保険者
による健診・保健指導等に関する検討会」の下に、有識者により構成されるワーキンググループを設置し、レセプト
情報・特定健康診査等情報データベース(NDB)を活用しつつ、これまで検討を行ってきた(平成25年3月から計14
回開催)。
<ワーキンググループ構成員>(50音順・敬称略)
伊藤
由希子 東京学芸大学准教授
多田羅 浩三
一般財団法人日本公衆衛生協会会長
福田
敬
国立保健医療科学院統括研究官
北村 明彦
津下 一代
三浦 克之
大阪大学大学院准教授
あいち健康の森健康科学総合センター
滋賀医科大学教授
○
当該ワーキンググループでは特定健診・保健指導の実施による検査値への影響を分析し、本年4月に中間的な取り
まとめを行った。
○ 今回は、平成20年度から23年度の特定健診等のデータ及び平成21年度から平成24年度のレセプトのデータを用い
て、特定健診・保健指導による医療費適正化効果について、第二次の中間的な結果としてとりまとめたものである。
【参考】
○特定健診・・・・医療保険者(国民健康保険、被用者保険)が40歳から74歳の加入者(被保険者・
被扶養者)を対象として、毎年度、計画的に実施する、メタボリックシンドローム
に着目した検査項目での健康診査のこと。
○特定保健指導・・医療保険者が特定健診の結果により健康の保持に努める必要がある者に対し、毎年度、
計画的に実施する保健指導のこと。特定健診の結果に基づき、腹囲以外の追加リス
クの多少と喫煙歴の有無により、積極的支援の対象者と動機付け支援の対象者に階
層化される。
特定保健指導のコスト:動機付け支援 約6千円、積極的支援 約1万8千円※国庫補助の基準単価
70
第二次中間とりまとめ概要
1.分析対象
○
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に格納されている平成20年度~平成23年度の
特定健診・保健指導データのうち、全ての年度※についてレセプトデータとの突合率が80%以上で
あった保険者のデータ
※平成21年度~平成24年度の特定健診・保健指導データとレセプトデータで突合率を確認した。
○
分析対象者数:365 保険者(国保 321、健保組合 2、共済組合 42) 約20~23万人(年度で異なる)
2.分析方法
○
分析対象者を参加者と不参加者に分け、主なメタボリックシンドローム関連疾患である
高血圧症、脂質異常症、糖尿病(3疾患)について、入院外の一人当たり医療費※を比較した。
・参加者・・・各年度の特定保健指導の対象となった者のうち、当該年度に初めて特定保健指導
を受け、6ヶ月後の評価を終了した者
・不参加者・・各年度の特定保健指導の対象となった者のうち、当該年度も含めて過去に一度も
特定保健指導を受けていない者(不参加者のみを対象とし、中断者は含めていない)
・一人当たり医療費・・・(当該年度の3疾患関連の医療費の合計)/(分析対象者数)
※3疾患関連の医療費の算出方法:
3疾患関連の「傷病名コード」及び「医薬品コード」をもつレセプトデータのみを対象。
ただし、3疾患以外の医療費を除外しきれないため、上記に加えて、特に医療費に大きな影響を
与えると考えられる「がん」に関連するレセプトデータは分析から除外した。
71
第二次中間とりまとめ概要
※積極的支援・・・特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、
追加リスク(血糖・血圧・脂質)が2つ以上該当か、1つ該当かつ
喫煙歴がある、40~64歳の者が対象。
3.分析結果①(積極的支援)
○
積極的支援参加者と不参加者を比較すると、翌年度には全体で、男性で7,030~5,020円、女性で7,550~2,590
円の概ね有意な差異が見られた。
平成20年度特定保健指導積極的支援参加者と不参加者の
翌年度の年間1人当たり入院外医療費の比較(40~64歳)
(円)
5000
50000
4000
40000
男性
3000
30000
積極的支援
参加者
20000
2000
男性:5,340円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の34.8%
積極的支援
不参加者
10000
1000
の差異
00
40-44
(円)
5000
50000
4000
40000
45-49
50-54
55-59
女性
40-64
(歳)
女性:7,550円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の34.0%
積極的支援
不参加者
積極的支援
参加者
3000
30000
60-64
2000
20000
1000
10000
の差異
00
40-44
45-49
50-54
55-59
7,030円(平成21年度指導)*
5,320円(平成22年度指導)*
5,020円(平成23年度指導)*
60-64
(歳)
40-64
4,380円(平成21年度指導)*
4,790円(平成22年度指導)
2,590円(平成23年度指導)
*・・・統計学的に有意な差
積極的支援不参加者
積極的支援不参加者
積極的支援参加者
積極的支援終了者
72
第二次中間とりまとめ概要
※動機付け支援・・・ 特定保健指導対象者のうち、腹囲が一定数値以上で、
追加リスクが1つ該当かつ喫煙歴がない者への支援。40~74歳が対象。
(65歳以上では、積極的支援の基準に該当する場合でも動機付け支援を実施)
3.分析結果②(動機付け支援)
○
動機付け支援参加者と不参加者を比較すると、翌年度には全体で、40~64歳では男性で3,860~810円、女性で
2,640~-1,140円、65~73歳では男性で6,340~3,630円、女性で7,680~5,930円の差異が見られた。
(円)
5000
50000
4000
40000
3000
30000
2000
20000
1000
10000
00
(点)
(円)
5000
50000
4000
40000
3000
30000
2000
20000
1000
10000
00
(円)
50000
5000
40000
4000
30000
3000
20000
2000
10000
1000
00
男性
40-44
45-49
動機付け支援
参加者
40-44
45-49
50-54
55-59
50-54
55-59
70-73
動機付け支援
参加者
65-69
積極的支援参加者
動機付け支援終了者
40-64
(歳)
3,100円(平成21年度指導)*
810円(平成22年度指導)
1,360円(平成23年度指導) の差異
女性:2,640円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の20.0%
60-64
40-64
(歳)
動機付け支援
不参加者
動機付け支援
参加者
65-69
女性
60-64
動機付け支援
不参加者
65~73歳
男性
男性:3,860円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の34.1%
動機付け支援
不参加者
動機付け支援
参加者
女性
(円)
5000
50000
4000
40000
3000
30000
2000
20000
1000
10000
00
平成20年度特定保健指導動機付け支援参加者と不参加者の
翌年度の年間1人当たり入院外医療費の比較
40~64歳
-140円(平成21年度指導)
1,450円(平成22年度指導)
-1,140円(平成23年度指導)
の差異
男性:6,340円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の23.7%
65-73
(歳)
動機付け支援
不参加者
70-73
65-73
動機付け支援不参加者
動機付け支援不参加者
5,840円(平成21年度指導)*
4,840円(平成22年度指導)*
3,630円(平成23年度指導)* の差異
女性:7,300円(平成20年度指導)*
=不参加者の保険診療費の23.1%
(歳)
7,680円(平成21年度指導)*
6,440円(平成22年度指導)*
5,930円(平成23年度指導)* の差異
*・・・統計学的に有意な差
73
第二次中間とりまとめ概要
4.分析結果のまとめ
○ 特定保健指導の➀40~64歳の参加者に対する積極的支援、➁65歳以上の参加者に対する動機付け支援
について、メタボリックシンドローム関連疾患の医療費への一定の効果が示唆された。
※4月に公表した特定保健指導による検査値の改善効果においても、積極的支援及び65歳以上の
動機付け支援において効果が高く、年度を経るにつれ効果が低減する点など今回の結果と概ね
一致した傾向が示されている。
○ ただし、特定保健指導を実施した当該年度で既に参加者・不参加者に医療費の差が見られており、もと
もとの健康意識の違いが特定保健指導への参加の有無に現れ、医療費にも影響を及ぼしている可能性に留
意が必要。
<個別的事項>
(積極的支援)
○ 男女とも参加者が不参加者よりも一人当たり医療費が有意に低く、積極的支援に参加することにより
メタボリックシンドローム関連疾患の医療費への一定の効果が示唆された。
(動機付け支援①(40~64歳))
○ 積極的支援と比較すると、参加者と不参加者の差が小さく、有意な差を認めない年齢階級、年度も少なからず
存在した。
(動機付け支援②(65歳以上))
○ 男女とも参加者が不参加者よりも一人当たり医療費が有意に低く、動機付け支援に参加することにより
メタボリックシンドローム関連疾患の医療費への一定の効果が示唆された。
(留意点)
○ 特定保健指導を実施した当該年度の医療費について参加者と不参加者とを比較したところ、不参加者と比べて
参加者の医療費が有意に低い傾向が見られ、両群間にあるもともとの健康意識の差異等がその一因である
ことが示唆された。
74
第二次中間とりまとめ概要
5.今後の方向性
○ データの制約や様々な仮定をおいた分析であったが、特定保健指導の医療費適正化効果を初めて
大規模に評価できた意義は大きい。今回の結果に併せ、本年4月の中間取りまとめで示された検査
値の改善効果を踏まえて、今後、各保険者における特定保健指導の更なる実施率の向上が進むこと
が期待される。
○ 本WGでは、NDBに蓄積されるデータの状況等も踏まえつつ、今後とも、以下のような分析・
検証作業を実施し、その成果を順次公表していくことを通じて、保険者の取組を支援していく。
①特定健診・保健指導のメタボリックシンドローム関連3疾患の合併症への医療費適正化効果
の分析
今回の短期的な分析では対象とならなかった、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病合併症に係る医療費
に及ぼす影響について推計モデルを活用した分析結果を取りまとめ、今年度中を目途に公表
する。
②保険者における医療費適正化効果の検証を進めるための推計ツールの作成
今回の分析や①のモデル推計結果も踏まえつつ、データヘルス(レセプト・健診情報等に基づく
保健事業)を支援する観点から、各保険者が医療費適正化効果を検証するための一定の推計
ツールの作成を検討する。
③特定健診・保健指導の検査値データや医療費適正化効果の経年分析
本年4月及び今回の単年度の効果についての分析を発展させ、検査値や医療費に対して、
特定健診・保健指導が経年的に与える効果について検証する。
○ また、効果検証の作業に併せ、特定健診・保健指導の仕組みがスタートして5年が経過したこと
も踏まえ、今後は、特定保健指導の質の向上に向けた実施方法の検証等を実施していきたい。
75
Ⅲ.データヘルス計画と
保険者協議会
76
データヘルスの発想
レセプト情報
電子データ
保険者
電子データ
特定健診結果
これらの情報をID付きで持っている
のは、保険者だけ!
加入者の健康・医療情報を電子的に保有
加入者の健康課題の分析
→ データ分析に基づく保健事業 (データヘルス) が可能に
レセプトと健診のデータがあれば最大限どういう健康支援ができるか
その答えを費用対効果の測定と検証により、見出していく
77
健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針の一部を改正する件(告示)及び
国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針の一部を改正する件(告示)の概要
1.改正の内容
保険者は、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るため、
保健事業の実施計画(データヘルス計画)を策定し、実施する。 具体的には、以下の取組を進める。
P(計画):健康・医療情報を分析し、加入者の健康課題を明確にした上で、事業を企画する
D(実施):費用対効果の観点も考慮しつつ、次のような取組を実施する
・加入者に自らの生活習慣等の問題点を発見しその改善を促すための一次予防の取組
・生活習慣病の発症を予防するための特定保健指導等の取組
・生活習慣病の症状の進展及び合併症の発症を抑えるための重症化予防の取組
・その他、健康・医療情報を活用した取組
C(評価):客観的な指標を用いて保健事業の評価を行う
(例:生活習慣の状況(食生活、歩数等)、特定健診の受診率・結果、医療費)
A(改善):評価結果に基づき事業内容等を見直す
2.適用期日
平成26年4月1日
※高齢者医療確保法に基づく後期高齢者広域連合については、実施指針を策定。
78
データヘルスの推進
○保険者は、平成21年度以降、レセプトデータ及び特定健診等データを電子的に保有し、レセプト・健診情報等を活用したデータ
ヘルス(保険者によるデータ分析に基づく保健事業)を推進できる環境が整備
○今後、保険者ごとにデータヘルス計画を策定し、PDCAサイクルに沿って保健事業を展開
保険者におけるデータヘルス計画に基づく取組の例
①現状の把握
これまでの保健事業の振り返りと特定健診・レセプトデータ分析による現状把握に基づき、加入者の健康課題を明確に
した上で事業を計画。
②健康課題に対応した保健事業の実施(費用対効果の観点も考慮しつつ、次のような取組を実施)
○加入者に自らの生活習慣等の問題点を発見しその改善を促すための取組
(健診結果・生活習慣等の自己管理ができるツールの提供、個人へのインセンティブ付与に関する取組)
○生活習慣病の発症を予防するための特定健診・保健指導の実施率向上に向けた取組
○生活習慣病の進行及び合併症の発症を抑えるための重症化予防の取組(糖尿病の重症化予防事業等)
○その他の健診・レセプト情報を活用した取組
(後発医薬品の利用促事業、訪問指導による残薬管理、歯科健診・保健指導の実施等)
③客観的な指標(例:生活習慣の状況、特定健診の実施率、健診結果、医療費等)を用いた保健事業の評価
④評価結果に基づく事業内容等の見直し
⑤コラボヘルス(関係機関との協働)
企業(事業主等)、地方公共団体(一般衛生部門等)、学術機関(大学等)・専門機関等
と連携した効果的な保健事業の推進
保険者によるデータ分析に基づく保健事業(データヘルス)の実施
○ 平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、全ての健康保険組合等に対して、データヘルス計画
の作成と事業実施等を求めることとされ、平成26年4月には保健事業の実施等に関する指針の改正等を実施。
日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定) 抄
健康保険法等に基づく厚生労働大臣指針(告示)を今年度中に改正し、全ての健康保険組合に対し、レセプト等のデータの分析、それに基づく
加入者の健康保持増進のための事業計画として「データヘルス計画(仮称)」の作成・公表、事業実施、評価等の取組を求めるとともに、市町村
国保が同様の取組を行うことを推進する。
○ 医療保険者が、平成26年度以降、順次、レセプト・健診情報等を活用した「データヘルス計画」の作成・公表を行い、
平成27年度までにレセプト・健診情報等のデータ分析に基づく保健事業を実施することを推進。
・現在、一部の健保組合等において、こうした取組のモデルとなる計画の策定等を先行的に進めているところ。
・市町村国保等においては、中央・都道府県レベルで有識者等からなる支援体制を整備し、データヘルスへの取組の支援を進
めていく。
○ 今後、全ての医療保険者が保険者機能をより一層発揮し、加入者の健康の保持増進に資する取組が円滑に
進むよう、国としても支援していく。
<データヘルス計画の実施スケジュール>
平成25年度
被
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
モデル計画の策定等
用
者
保
普及・支援事業
険
計画の実施
全ての組合・協会支部でデータ
ヘルス計画の作成に着手
計画の実施(3年間)
計画の策定
市
町
村
国
保
・
広
域
連
合
データ分析に基づく保健事業
計画に必要に応じ修正
市町村国保及び後期高齢者医療広域連合でデータヘルス計画を作成
計画の実施
計画の実施
有識者等による支援の実施
保険者によるデータ分析のための基盤整備
○ レセプトのオンライン提出の原則義務化が始まった平成20年度以降、保険者は順次レセプトデータ及び特定健診等
データを電子的に保有する状況となっている。
○ 保険者による医療費分析及び保健事業の計画の作成・実施等を支援するため、各分析システムが順次稼働を開始。
○ 健康・医療情報等を活用したデータ分析に基づく保健事業(データヘルス)の実施に当たり、保険者への各種支援を
推進し、保険者への説明・研修・アドバイス等や、各システムの有効活用を促進している。
<各データベースシステムの概要>
レセプト管理・分析システム
協会けんぽシステム
国保データベース(KDB)システム
保有者
健康保険組合、健康保険組合連合会
全国健康保険協会(本部)
国民健康保険中央会、国保連合会
活用者
健康保険組合
全国健康保険協会(本部+各支部)
市町村国保、国保組合、
後期高齢者医療広域連合等
・特定健診・保健指導情報
・特定健診・保健指導情報
・医療レセプト情報※歯科を含む
・がん検診情報
等
・特定健診・保健指導情報
・医療レセプト情報 ※後期高齢者医療含む
・介護レセプト情報
システムが
・医療レセプト情報
保有する情報
※歯科を含む
※歯科レセは今年度中収載予定
システムの
活用方策
現状の把握
健保組合内の健康状況を確認するととも
に、他の健保の形態・業態・規模別等での
比較や健保内の事業所別での分析を行う
ことにより、自らの特徴を把握
現状の把握
都道府県の支部ごとの健康状態を確認
するとともに、支部別や、支部内の事業
所別・事業所規模・業態別に比較するこ
とにより、支部の特徴や支部内の事業
所の特徴を把握
現状の把握
その地域の健康状況(特定健診・特定保健指導
の実施状況、疾病別医療費、一人当たり医療費
等)を確認するとともに、他の地域の健康状況と
比較することにより、自らの地域の特徴を把握し、
優先すべき課題(健診受診率向上、生活習慣病
予防、重症化予防等)を明確化
保健指導への活用
適正受診が望まれる者や、優先的に保健指導の対象とすべき者を抽出し、個人に対する効率的・効果的な保健事業を実施
稼働時期
平成26年4月~
平成20年10月~
平成25年10月~順次稼働
第1章 データヘルス計画の背景とねらい
第4章 委託事業者の活用時の留意点
1 データヘルス計画の背景
1 外部委託の考え方と課題
2 データヘルス計画のねらい
3 他の施策・計画との関係
2 外部委託の留意事項
第5章 データヘルス計画における健康情報(個人情報)の取扱い
4 計画の期間および公表・周知
1 個人情報を取り巻く社会環境
5 提出物
2 遵守すべき法令、ガイドライン等
第2章 データヘルス計画の構造
3 健康課題を共有する場合の健康情報(個人情報)の取扱い
1 事業の構造
4 事業主との協働(コラボヘルス)で保健事業を実施する場合の
2 関係機関との協働
健康情報(個人情報)の取扱い
第3章 データヘルス計画の策定
STEP1:現状を把握する
STEP2:健康課題を抽出する
STEP3:課題に対応した事業を選定し、目標・評価指標を設定する
STEP4:事業の運営を通じて計画の見直しを図る
第1章 医療保険者の健康づくり
第3章 データヘルス計画の取組事例
1 医療保険者の保健事業の構造
case1 事業主の協力を得るため「キックオフセミナー」で意識づけ
2 生活習慣病の特徴と対策
case2 健康リスクを4つに分類しカテゴリに応じた介入
3 年度計画に応じた取組の重要性
case3 レセプト管理・分析システムを活用し生活習慣病の重症化予防対策を強化
4 事業の導入は手順を踏んで段階的に
case4 地元の大学や事業主と連携し地域密着で「健康の街」づくり目指す
5 適切な評価指標の設定と評価
case5 歯科保健医療費対策や事業主・労組・健保が三位一体で検討
第2章 事例でよくわかるデータヘルス計画
case6 従来の連携を活かし事業主・労組・健保が三位一体で検討
1 特徴に応じた取組
case7 レセプト管理・分析システムを活用し健康意識向上を図る
2 これまで実施してきた事業の振り返りと課題設定
case8 新たなコラボヘルスにより重症化予防に重点を置いた活動に取り組む
3 保健事業の基盤となる仕組み
case9 事業主と健保組合が加入者の健康に向け協働
4 個別保健事業の展開
case10 事業所とともに肥満と禁煙でポピュレーションアプローチ
case11 計画策定から事業評価も含めて事業主と連携
case12 直営健診施設を活用し、既存の会議体をデータヘルスの企画・評価機関に
国保におけるデータヘルスの取組
○ 市町村国保等におけるデータヘルス計画作成等を支援するため、平成26年度に都道府県国保連合会に「保健事業支
援・評価委員会」を立ち上げた。 (全都道府県で設置済み)
○ 今後、継続的に都道府県内の保険者等のデータヘルスの実施を支援するとともに、国保中央会において全国の実施状
況をとりまとめて情報提供することとしている。
国保・後期高齢者ヘルスサポート事業
保険者等
データ分析にもとづく保健事業の
計画・実施・評価(PDCAサイクル)の
取組
国保連合会
国保中央会
【保健事業支援・評価委員会】
公衆衛生学・公衆衛生看護学に造詣が深い者、大
学等研究機関・地域の関係機関等の有識者及び都
道府県職員、地域の関係者等
【国保・後期高齢者ヘルスサポート事
業運営委員会】
公衆衛生学・公衆衛生看護学に造詣が深い者及び大
学等研究機関の有識者等
【 保健事業 】
(保険者等が実施する保健事業)
①実態調査
<支援>
※【国保ヘルスアップ事業等】
レセプト・健診情報等を活用した保健事
業計画策定によりPDCAサイクルで保
健事業に取り組んだ保険者等に対する
厚生労働省の助成事業
○国保ヘルスアップ事業
○後期高齢者医療広域連合が
実施する保健事業
○国保ヘルスアップ事業については、
保健事業支援・評価委員会から評価
を受けることが必須要件
<報告>
<評価>
①KDBシステム等を活用した
保険者等への情報提供
②保健事業の手順に沿った評
価基準を活用し実施計画策
定への助言
③評価基準等を活用した保健
事業の評価
④保険者等職員に対する研修
の実施
②ガイドラインの策定
<支援>
<情報提供> ③事業の分析・評価・調査・
<報告>
研究
④事業実施報告会の開催
⑤事業実施報告書の作成・
公表
⑥連合会職員等に対する研
修の実施
○データヘルスの効果的な実施推進事業
平成26年度より全ての医療保険者においてレセプト・特定健診等データを活用した効果的・効率的な保
健事業実施のための計画(データヘルス計画)を策定し、平成27年度から当該計画に基づいた保健事業が
実施されることとなる。
国においては、平成26年度までに、基盤となるデータ分析システムの整備、保健事業の指針の改正、
データヘルスモデル計画の策定・普及の支援を行っているところである。
今後もデータヘルスが円滑に実施され定着するために、データヘルス事業評価検討会を設置し、被用者
保険の保険者におけるデータヘルスの実施状況を把握、実施結果を保険者規模・種別等に応じて総合評価
する仕組みを導入し、PDCAサイクルによる事業の確実な実施を図る。
また、データヘルスにかかる保険者の努力を反映した指標については、新たな加算減算制度指標の活用
にもつなげる。
【事業内容】
○ 事業の評価方法を検討し、評価基準を策定する。
○ データヘルス計画及び事業実施状況をとりまとめ、好事例集の作成等。
【事業内容のイメージ図】
平成26年度
平成27年度
デ 【モデル事業実施保険者】
データヘルスモデ
ー
ル計画の策定
タ
ヘ
データヘルス計画
【その他の保険者】
ル
の策定
ス
※
推
進
事
業
平成28年度・平成29年度
データヘルス(データヘルス計画に基づく保健事業)の実施
データヘルス(データヘルス計画に基づく保健事業)の実施
・事業評価検討会の設置
→評価基準(案)の作成
・26年度事業結果のとりまとめ
→好事例集の作成、仮評価の実施
・事業評価検討会
→被用者保険に共通する評価
基準の策定
・毎年度事業結果のとりまとめ
→実施結果の評価等
保険者の果たすべき機能
※平成24年度厚生労働省委託事業(平成25年3月みずほ情報総研株式会社)「保険者機能のあり方と評価に関する調査研究報告書」による。
①被保険者の適用(資格管理)
・適正に被保険者の適用・資格管理を行うこと。
②保険料の設定・徴収
・加入者のニーズを把握し、保険給付費等に見合った保険料率の合意・決定を自律的に行い、確実に保険
料を徴収することにより安定的な財政運営を行うこと。
③保険給付(付加給付も含む)
・必要な法定給付を行うほか、加入者のニーズを踏まえ付加給付を行うこと。
④審査・支払
・レセプト点検の実施や療養費の点検・審査強化などを通じて、適正な審査・支払を行うこと。
⑤保健事業等を通じた加入者の健康管理
・レセプトデータ・健診データを活用し、加入者のニーズや特徴を踏まえた保健事業等を実施し、加入者の
健康の保持増進を図ること。
・加入者に対し、保険制度や疾病予防・健康情報、医療機関の選択に役立つ情報について啓発や情報提
供を行うこと。
・医療機関等との連携を密にし、加入者に適切な医療を提供すること。
⑥医療の質や効率性向上のための医療提供側への働きかけ
・医療費通知や後発医薬品の使用促進などにより医療費の適正化を図り、加入者の負担を減らすこと。
・レセプトデータ等の活用による医療費等の分析、医療関連計画の策定への参画、診療報酬の交渉などに
より良質な医療を効率的に 提供するよう医療提供側へ働きかけること。
85
現在の保険者協議会の取組
○ 都道府県ごとに健康水準や医療費水準に格差がある中で、都道府県単位で保険者が共通認識を持ち、行政等の協力を得な
がら、健康づくりの推進等について対応を行うことが求められている。また、生活習慣病対策のうち、特に被用者保険の被扶養
者等に対する対策については、職域保健・地域保健が連携して取り組む必要。
○ このため、保険者の連携協力を円滑に行うため、都道府県内の保険者を構成員(※)として、都道府県毎に保険者協議会を設
置。
※構成員:市町村国保、国保組合、健保組合、共済組合、協会けんぽ、後期高齢者医療広域連合、都道府県
オブザーバー:医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、栄養士会、学識経験者等
保険者協議会が行う業務
◇医療費分析事業
保健事業の企画、実施結果の評価に結びつけるために行う医療費分析の実施や、保険者が特定健診等の保健事業の評価
を行うために健診・レセプト等を有効活用するための支援の実施
◇特定健康診査等に係る受診率向上のための普及啓発及び円滑な実施の支援
特定健診等の受診率向上のため、保険者が共同で実施する積極的な普及・啓発や、保険者への情報提供を迅速かつ効率
的に実施するためのHPの作成等
◇特定保健指導のプログラム研修等の実施
特定保健指導を行う医師、保健師及び管理栄養士等に対するプログラム習得のための研修の実施や、医療費適正化計画
の実施にあたり、必要な研修の実施
◇その他、特定健康診査・特定保健指導等に関する事業
特定健診・保健指導等事例評価検討会の設置、特定保健指導実施機関の評価及び特定健康診査と各種健診の同時実施
86
の促進
保険者協議会に関する法律改正事項
改正の趣旨
○ 社会保障審議会医療部会では、平成25年12月27日に医療法等改正に関する意見をとりまとめ、
その中において、地域医療ビジョンを実現するために必要な措置として、都道府県が医療計画を
策定する際には医療保険者(保険者協議会)の意見を聴くこととされた。
○ 上記に伴い、医療法等改正の中で、現在実行上都道府県ごとに設けられている保険者協議会
及び当該業務内容を、法律(高齢者の医療の確保に関する法律)に新たに明記することとする。
改正後の条文
○ 医療法(昭和二十三年七月三十日法律第二百五号)(抄)
第二節 医療計画
第三十条の四
14 都道府県は、医療計画を定め、又は第三十条の六の規定により医療計画を変更しようとするときは、あらかじめ、
都道府県医療審議会、市町村(救急業務を処理する地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条
第一項の一部事務組合及び広域連合を含む。)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十
号)第百五十七条の二第一項の保険者協議会の意見を聴かなければならない。
○ 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年八月十七日法律第八十号)(抄)
(保険者協議会)
第百五十七条の二 保険者及び後期高齢者医療広域連合は、共同して、加入者の高齢期における健康の保持のため
に必要な事業の推進並びに高齢者医療制度の円滑な運営及び当該運営への協力のため、都道府県ごとに、保険者
協議会を組織するよう努めなければならない。
2 前項の保険者協議会は、次に掲げる業務を行う。
一 特定健康診査等の実施、高齢者医療制度の運営その他の事項に関する保険者その他の関係者間の連絡調整
二 保険者に対する必要な助言又は援助
三 医療に要する費用その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報についての調査及び分析
施行日
平成27年4月1日施行
保険者協議会に期待する今後の役割について①
特に期待する取組
○ 医療法第30条の14に基づく医療計画への意見提出
保険者協議会としての検討の場の設置及び意見のとりまとめ(別添資料参照)
○ データヘルスの推進等に係る事業
平成27年度から各保険者においてデータヘルス事業が実施されていく中で、各保険者でのデータヘルス
事業の底上げに資する取組の実施(従来の医療費分析事業等の見直し)
● 生涯を通じた加入者の健康管理を進めるという観点から、制度(保険者種別)の枠を超えて、加入者の健康課題を
明確にした上で、保険者等の間で問題意識の共有化を図ることや、そのために必要となるデータ分析の実施
<取組例>
① 近年うつ病等の気分障害の患者数は増加傾向にあるが、具体的な問題意識を持ちづらく、取組状況にばらつきが
あるため、保険者協議会において、メンタルヘルスに係る医療費分析を実施し、分析結果と問題意識の共有を図る。
また、必要に応じて市町村国保は自治体の、被用者保険は事業主の取組を促すための情報提供を行う。
② 特定健診結果データから血糖値、血圧等のリスク保有者の性・年齢階級別割合と、脳血管疾患、心疾患の医療費
や、新規透析導入者数を保険者が持ち寄り、全国と比較し、問題意識の共有を図る。
● 都道府県内の保険者によるデータヘルスの取組事例の収集や分析の実施や、保険者間での情報の共有化など、
データヘルスの効果的な事例を都道府県内の保険者で広げるための取組の実施
<取組例>
国保・後期高齢者ヘルスサポート事業で設置した「国保連合会保健事業支援・評価委員会」の委員や活動状況、
協会けんぽ都道府県支部や健康保険組合の策定したデータヘルス計画の概要や取組状況など、相互の情報共有。
88
保険者協議会に期待する今後の役割について②
従来からの取組の見直し
○ 次の事業については、引き続き実施していただく事業とする予定。
・
・
・
・
特定健診等に係る受診率向上のための普及啓発及び円滑な実施の支援
特定保健指導のプログラム研修等の実施
特定保健指導実施機関の評価
特定健康診査と各種検診の同時実施の促進
○ これまで実施されてきた事業についても、可能なものについては、各保険者でデータヘルス事業が
進められる中で、健診・レセプト情報を活用してより効果的に実施するという観点から見直ししつつ実施
されることを期待
【実施例】
・ 特定健診等に係る受診率向上のための普及啓発
ターゲットを絞り、当該対象者に対してより説得力のある内容とするなど、より効果的な取組となるよう工夫を行う。
<取組例>
・特定の対象者が自身の課題としてより認識しやすいよう、特定健診のデータを活用し、例えば以下のようなメッセージ
を発する広報の実施等
「20歳からの体重が10㎏以上増加し、運動をしていない50歳代の者の○割以上がメタボである」、「女性では腹囲
が基準以下の者が多いが、血圧、脂質、血中脂質の数値が高いため要治療の者が○%存在する」等
○ 実施要綱の見直し⇒平成27年3月26日に発出済。
89
おわりに
○特定健康診査・特定保健指導に関する厚生労働省からの情報は、こちらから。
・「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」Ver.2.0(平成25年4月・保険局)
・「標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】」(平成25年4月・健康局)
・「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」(平成27年1月9日更新・保険局)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02a.html
○医療保険者によるデータ分析に基づく保健事業(データヘルス)について。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/index.html
○特定健康診査・特定保健指導の制度関連やシステム、契約などについては、皆様が所属する各団体・とりまとめ団体
が支援していますので、それぞれご相談ください。
・保険者の各中央組織:国保中央会・協会けんぽ(本部)・健保連(本部)
・健診等実施機関・施設の団体:日本医師会/都道府県医師会/地区医師会、
日本人間ドック学会/日本病院会、財団法人結核予防会、
社団法人全国労働衛生団体連合会、財団法人予防医学事業中央会等
90
Fly UP