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1 生鮮・冷凍野菜 - 日本アセアンセンター
A-1. 生鮮・冷凍野菜 1 生鮮・冷凍野菜 1. 日本のマーケット事情 (1) 品目の定義 ここでは、食用に供される生鮮(冷蔵のものを含む)および冷凍した野菜を扱う。貿易統計上の分類及びHS番号は以 下のとおりである。 【生鮮野菜】 HS番号 0703.10-011~013 0703.90-010 0704.10、20、90 0706.10 0709.20 0709.90-091 0910.10-231 0701.90/0702.00/0703.10-020/0703.20、90-090 /0705.11、19、21、29/0706.90/0707.00/ 0708.10、20、90/0709.10、30、40、60、70、90-010、 -099/0714.90-210、-290 品目名 たまねぎ ねぎ キャベツ、ブロッコリー類 にんじん・かぶ アスパラガス かぼちゃ しょうが その他の生鮮野菜 【冷凍野菜】 HS番号 0710.10-000、2004.10-100、-210、-220 0710.29-010 0714.90-110 0710.40-000、2004.90-110、-230 0710.30-000 0710.21、22、29-090、80、90/2004.90-120、211、 212、220、240、291、299 品目名 ばれいしょ えだ豆 さといも スイートコーン ほうれん草 その他の冷凍野菜 (注1) ここでいう生鮮野菜には、まつたけ、しいたけ、その他きのこ類を含まない。 (注2) 冷凍野菜とは、前処理(冷凍前に行う皮剥ぎ、カッティング、ブランチング等)を施し、-18℃以下になる ように急速に冷凍したもので、調理していない野菜、蒸気または水煮による調理をした野菜、ならびに砂糖 や油脂等で調製した野菜を含む。 (2) 市場動向 日本の野菜の消費量は、1990年頃までは1人年間110kg程度で安定的に推移していたが、1990年代以降は、緑黄 色野菜は増加傾向にあるものの、野菜全体の消費量は減少傾向をたどっている。1990年度の1人当たり年間消費量は 107.8kgであったが、2005年度は96.2kgと、15年間で約1割減少している。その要因としては、①食の洋風化の一層の 進展により、白菜や大根など和食で使用されることの多い重量野菜の消費が減少していること、②食の簡便化の進展に より、野菜の調理機会が減少していること、③野菜の割合が少ない外食(家庭の外で食事をする)、中食(調理済食品を 利用する)等、食の外部化が進展していること、などがあげられる。また、消費量の減少割合と比較して、国内生産量の 減少割合の方が大きいことから、この差が輸入でまかなわれていることがわかる。 図表1 野菜の生産量・消費量の推移 1人当たり供給数量(kg) 国内生産量(千トン) 指数(2000年=100) 指数(2000年=100) 1990 107.8 15,740 106.2 115.1 1995 105.8 14,608 104.2 106.9 2000 101.5 13,670 100 100 2001 100.7 13,572 99.2 99.3 2002 96.7 13,269 95.3 97.0 2003 95.2 12,874 93.8 94.2 2004 92.9 12,286 91.5 89.9 2005 96.2 12,477 94.8 91.3 出所:食料需給表(数値は年度集計(4月~翌年3月)による。2005年は概算値。 ) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 1 A-1. 生鮮・冷凍野菜 【生鮮野菜】 野菜需要の減少傾向が続く中で、国内では野菜作農家の減少、高齢化の進行、輸入野菜との競合の強まりなどから、 作付面積及び生産量の減少に歯止めがかかっていない。国内生産量は、1980年代半ばまでは1,600万トンを超えるほ どの戦後のピーク水準にあったが、その後は長期的に低下傾向にあり、2005年は1,247.7万トンとなっている。 一方、輸入生鮮野菜は、低関税、輸送技術や冷凍技術の発達等を背景として輸入量を伸ばし、国内市場において浸 透・定着の度を強めている。生鮮野菜市場における輸入シェアの拡大は、国内産の不作時・端境期の輸入や、作付面 積の低下等によって減少した国内生産量の補充的な輸入によってもたらされていた。しかし今日では、低価格を強みと して、量販店等における品揃え要求や特売商品化等によるニーズ、周年で安定した供給が要求される業務用需要の高 まりによって、輸入生鮮野菜は国内市場において一定の地位を確保している。 輸入シェアが高位で安定し、輸入先が中国等の特定国に偏在している品目があること(⇒図表8)に対しては、国内生 産者への影響だけでなく、国内需給動向が一定の国の生産事情等に大きく左右され、供給の不確実性や大幅な価格 変動を招くおそれがあるとして、国内では懸念の声も上がっている。そこで政府は、安全で安心な国産の野菜を国民・ 消費者に安定的に供給することを、野菜政策の根幹として位置付け、自給率のアップとともに野菜消費の拡大を目指し ている。2005年3月に農林水産省が発表した新「食料・農業・農村基本計画」では、2015年度における野菜の望ましい 消費量は1人年間100kg(2003年度実績95kg)、生産努力目標は1,422万トン(2003年度実績1,286万トン)、自給率 目標は88%(2003年度実績82%)と設定されている。 生鮮野菜の消費傾向としては、近年、家計消費が減少する一方で、外食や中食を中心とした需要が増加している。こ うした業務用需要においては、一定の品質や規格等(下ごしらえを含む)に関するきめの細かい条件・ニーズを満たす 野菜を定時かつ定量に供給することが求められる。また、家庭の消費段階においても、調理の簡便化志向、個食化等 の進展に伴い、カット野菜や冷凍野菜等の消費が増加しており、こうした多様化する需要動向を感じとり、的確に対応し た生産を行うことが必要とされている。 このようなニーズに応え、新たな野菜生産技術として開発されたのが野菜工場である。野菜工場とは、室内で光量や 温度・湿度などをコンピュータで管理しながら、肥料を溶かした水で野菜を栽培する施設である。季節や天候などに左 右されず、形状など均一化された野菜を安定して出荷できるのが特徴で、栽培時に農薬を使用しない工場も多い。「価 格は割高だが、無農薬や低農薬で安心できるうえ、日持ちがする」といった工場栽培野菜のメリットが消費者の間にも広 がる一方、厳しい残留農薬規制を課すポジティブリスト制度の導入(⇒3.(1)2)食品衛生法)で、外食産業を中心に業 務需要も高まっている。経費的な面や野菜の水耕適性などから、現在はミツバ、サラダ菜、プチトマトなど比較的小型で 高値のものが対象となっているが、今後の市場規模の拡大が予想されている。 また、消費者の食に対する安全・安心志向を受け、生鮮野菜市場では商品のブランド化が進んでいる。伝統野菜の産 地がブランド化戦略に取組み始め、独自の販路を開拓しているほか、資金力のある外食産業が独自に有機栽培した作 物を自社の店舗で提供するなど、多彩な生鮮ブランド開発が行われている。 【冷凍野菜】 ユーザーにとって使いやすい形に加工された冷凍野菜のニーズは安定している上、外食産業向けはもとより、家庭で 利用される惣菜や加工食品の一次加工原料としての需要が増加しているため、冷凍野菜全体の市場は拡大している。 冷凍野菜は、生鮮野菜に比べて保存性が高いこと、調理が簡便なこと、小口使用が可能であることなどにより、一般家 庭での消費量も増加している。 (社)日本冷凍食品協会の調べによると、2005年の冷凍野菜の消費量は87万8,851トンであるが、その9割近くは輸入 に依存する体制となっている。国産の冷凍野菜では、北海道のばれいしょ、かぼちゃなどの生産量が多く、国産冷凍野 菜の8割以上を占めている。そのほか、最近は九州産のほうれん草やこまつ菜など葉物野菜も見られるようになり、品目 が多彩になっている。品目別生産量では、ほうれん草、かぼちゃなどの伸びが特に目立つ。家計消費においては、使 用頻度が高い冷凍野菜として、さといも、ほうれん草、ブロッコリー、えだ豆などがあり、下処理が面倒な野菜については 冷凍品を使うという消費者の傾向が伺える。 冷凍野菜の製造においては、収穫時の野菜の新鮮さをそのままに、栄養や風味をできるだけ損なうことなしに保存・ 凍結することが肝心である。従って、製品の品質を規定するのはその原料野菜の持つ特性そのものであるため、品質に ついて原料供給側へ期待するところが極めて大きい。国内では、農業生産法人となった企業が農家から農地の提供を 受け、耕起から播種までは農家に任せ、栽培管理と収穫を担当するという「共同委託作業」方式により労働力と原料の 確保を実現し、生産から製品化までを一貫して企業がコントロールする形態も出現している。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 2 A-1. 生鮮・冷凍野菜 冷凍野菜は、保存性の高さ及び調理の簡便性などから、多様化する現代人の食生活に欠かすことのできない重要な 食材であり、その需要は今後とも業務用及び家計消費用ともに安定して推移するものと予想されている。国内における 冷凍野菜の生産量は、国産志向のニーズに対応するため一定の需要はあるものの、価格面で輸入品との競争が厳し いことから、大幅な増加は困難と考えられている。そこで国内のメーカーは、中国のほかベトナムやタイなど近隣アジア 諸国にも生産拠点を設け、冷凍野菜の安定供給体制を構築している。 (3) 日本の流通・取引慣行 日本の消費者の食品の購買行動は、近年、買い物頻度が減少する傾向が見られるが、依然として「多頻度最寄買い」 の傾向が強い。また、少量多品目の消費に加え、価格も重視しつつ健康・安全志向が強いという傾向が見られ、安全・ 安心な農産物の入手方法として地産地消(地域で生産されたものを地域で消費すること)への期待も高まっている。 日本の食品小売業は、「多頻度最寄買い」という消費者行動等を反映し、野菜、食肉等の専門店など小規模な小売 店が多い。こうした全国の多数の食品小売業者に対して、多くの生産者の「大量単品目」の生産物を集荷して「少量多 品目」に円滑に分荷するために、生鮮食品の流通においては、卸売市場(卸売業者、仲卸業者)が流通の中核となって いる。卸売市場については、2004年6月に卸売市場法の改正が行われ、生産、消費の両サイドからの期待に応えられ る「安全・安心」で「効率的」な流通システムへの転換が図られている。 また、消費者の安全・安心志向に対応し、食品流通業者は食品の情報を提供する必要性を感じており、トレーサビリ ティ・システムの導入も進んでいる。農林水産省の調べでは、2006年1月現在で、取扱う全ての食品または一部の食品 にトレーサビリティ・システム 注) を導入している企業は、食品製造業で37.9%、食品卸売業で36.8%、食品小売業で 35.8%となっている。 注) トレーサビリティとは、生産、処理・加工、流通・販売等の各段階で食品の仕入先、販売先、生産・製造方法などを記録、 保管し、食品とその情報を追跡し、さかのぼることができることをいう。トレーサビリティ・システムとはトレーサビリティのため の「識別」、「データの作成」、「データの保管」、「データの照合」を行う一連の仕組みをいう。 【生鮮野菜】 生鮮野菜の流通は、卸売市場を経由して出荷されるのが一般的である。卸売市場での「セリ(競り)」取引は独特の取 引形態で、売り手と買い手(複数)が公開のもと互いに値段を競い合い、最も高い値をつけた買い手に販売していく方 法である。当日出荷された野菜は卸売業者(荷受人)によってセリにかけられ、仲卸業者または売買参加者(仲卸業者と 同じ立場で卸売業者から直接買い入れることが可)に取引きされた後、小売店へ販売される。しかし最近は、消費の多 様化や流通の迅速化の要求により、従来からのセリの他、「相対(あいたい)売り」によって取引きされることも多い。相対 売りとは、信頼の上、1人の売り手と1人の買い手が話し合いで取引きする方法で、今後さらに相対売りによる販売の割 合は増えるとみられている。 生鮮野菜においては、卸売市場が主要な流通経路となってはいるが、その割合は減少傾向にあり、2000年には80% を下回っている。残りの20%が卸売市場を通さない、いわゆる産直ルート(市場外取引)である。産直ルートでは、量販 店や生協、農協、商社、外食産業等が生産者から直接仕入れを行い、消費者に販売される。外食・中食産業などの業 務用野菜の調達では、周年安定供給が重要となるため、専門の業者が、品目・季節によって異なる産地を組み合わせ、 一定量を産地との契約取引、残りを卸売市場で調達するといった対応を行っている。 国産野菜では、小売業向けは卸売市場を経由する市場流通が大部分を占める一方、製造業向けは、産地からの直 接仕入が中心である。また、輸入野菜では、小売業向けは市場流通が、製造業向けは商社からの直接仕入が中心とな っている。 なお、2004年6月の卸売市場法の改正によって、2005年4月からは、卸が仲卸を経由せず直接小売や外食産業に 供給する「第三者販売」や、仲卸が産地から直接仕入れる「直荷引き」が、一定の条件のもとで認められている。また電 子商取引の場合は、卸売市場に現物を入荷することなく卸売りを行うことが認められ、産地から直接小売業者に出荷す ることも可能となった。さらに2009年4月からは、現在は全国一律に水準が定められている卸売業者の卸売手数料が弾 力化される。このような規制緩和により、卸売市場における卸と仲卸、各地の卸売市場間の競争が本格化し、流通の多 様化・効率化が進むものと期待されている。 【冷凍野菜】 冷凍野菜の場合は、卸売市場で取引きされることがほとんどない。商社等によって輸入され、国産冷凍野菜や他の 冷凍食品と同様、国内の冷凍食品メーカーから問屋を通じて、小売業者や業務用ユーザーに納められるのが基本的 な流通経路である。その他、冷凍食品メーカーが直接輸入する場合や、加工食品原料として量販店が直接輸入する ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 3 A-1. 生鮮・冷凍野菜 場合など中間流通段階を経由しない輸入・流通パターンがみられる。なお、国内でリパックする(エンドユーザー向け に再包装する)ことは現在ではあまり行われておらず、エンドユーザー向けに包装してから輸入されることが多い。 図表2 生鮮野菜の主な流通経路 図表3 冷凍野菜の主な流通経路 海外生産者 海外生産者 輸入業者 商 市場荷受け (卸売業者) 卸売 市場 社 国内冷凍食品メーカー (再包装) 市場仲卸業者 市場外流通業者 業務用 ユーザー スーパー等 量販店 消 費 者 問 小売店 屋 業務用 ユーザー スーパー等 量販店 消 費 者 2. 貿易動向 (1) 日本の輸入動向 【生鮮野菜】 2002年の中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題をきっかけとして、生鮮野菜の輸入は一旦減少したが、再び増加に 転じ、中国の安全性対策が整ってきた2004年には854.4億円、93万7,742トンに復調した。国内の生産・価格動向等に より、品目ごとの輸入動向は年毎に異なるものの、かぼちゃのように恒常的に輸入が一定割合を占め、定着する傾向が 見られる品目もある。 2005年の生鮮野菜の輸入は、838.9億円(前年比1.8%減)、104万5,356トン(前年比11.5%増)となり、数量では、過 去最高水準に達した。要因としては、国内産野菜の不作、発育遅れにより中国からの輸入が増加したこと(2004年秋口 の相次ぐ台風や長雨の影響から、特に前半はにんじん、キャベツ・はくさいの輸入が増加)に加え、輸入形態の変化も 絡むと考えられる。数量で輸入生鮮野菜の6割を占める中国産は、日本の商社等が生産指導する開発輸入が多かった が、現地の生産技術や物流網等が発達して、最近は中小商社がスポット輸入できるようになっている。売り先が決まって いる開発輸入とは異なり、スポット輸入は市場価格の下落に即座に結びつくという特徴がある。 品目別にみると、キャベツ・ブロッコリー類は、2004年は天候不良による国産品の供給不足等により輸入が増加してい たが、2005年は減少して118億円(前年比16.1%減)となった。国内では、春物と夏物の出荷時期が重なり供給過剰と なったことからキャベツやレタスの価格が暴落し、7~8月には緊急需給調整(産地廃棄)が行われるなど波乱含みであ ったが、そうした中でも外食・加工用としての輸入野菜のニーズは落ちていない。たまねぎは、米国産が豊作で安価で あったこと、業務用需要が高いことなどから輸入が増え、110.3億円(前年比17.6%増)、35万7,544トン(前年比30.5% 増)であった。アスパラガスはやや減少して87.3億円(前年比1%減)となったものの、かぼちゃは前年不作だったニュー ジーランドからの輸入が増加したことなどから、86億円(前年比3.7%増)と戻している。ねぎは、天候不良によって前年 比45%増となった2004年よりもさらに輸入量を伸ばし、57.8億円(前年比3.5%増)に達した。これらの上位5品目で、全 輸入金額の54.8%、全輸入量の66.7%を占めている。 また、近年は食の多様化に伴い、少量単位ではあるが、チコリやシャロット、にらなどのねぎ属やサラダ用ビートなど、 今まで馴染みの薄かった野菜が多品種輸入されるようになっている。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 4 A-1. 生鮮・冷凍野菜 図表4 生鮮野菜の輸入の推移 [輸入総額の推移] [品目別輸入金額の推移] (百万円) (百万円) 100,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 80,000 60,000 40,000 20,000 0 2001 2002 2003 2001 16,009 9,426 10,590 10,641 2,775 2,494 3,528 34,492 89,955 キャベツ、ブロッコリー類 たまねぎ アスパラガス かぼちゃ ねぎ にんじん・かぶ しょうが その他 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン 2004 2002 14,961 4,941 9,812 10,478 3,181 1,721 2,355 28,706 76,153 アスパラガス 2004 14,065 9,377 8,818 8,290 5,582 2,521 5,801 30,986 85,439 かぼちゃ たまねぎ ねぎ 2001 2005 金 額 2003 12,832 9,490 8,725 8,733 3,857 2,593 2,726 31,413 80,368 キャベツ、ブロッコリー 2005 11,796 11,025 8,729 8,600 5,776 4,382 3,785 29,794 83,887 2002 2001 136,973 260,896 22,055 140,652 30,332 47,140 49,994 241,171 929,214 2003 2002 106,562 154,183 19,363 128,474 37,386 37,000 40,939 213,008 736,915 2004 数 量 2003 103,825 243,063 17,850 139,822 45,174 54,532 46,435 205,327 856,028 2005 (年) 2004 2005 142,879 129,389 274,015 357,544 17,148 17,469 108,685 121,732 70,153 70,961 58,649 101,275 43,321 38,583 222,891 208,403 937,742 1,045,356 出所:財務省「貿易統計」 図表5 2005年における生鮮野菜の品目別輸入動向 キャベツ、ブロッコリー類 たまねぎ アスパラガス かぼちゃ ねぎ にんじん・かぶ しょうが その他 金 額 11,796 金額ベース 構成比 14.1% 前年比 83.9 数 量 129,389 数量ベース 構成比 12.4% 前年比 90.6 11,025 8,729 8,600 5,776 4,382 3,785 13.1% 10.4% 10.3% 6.9% 5.2% 4.5% 117.6 99.0 103.7 103.5 173.8 65.2 357,544 17,469 121,732 70,961 101,275 38,583 34.2% 1.7% 11.6% 6.8% 9.7% 3.7% 130.5 101.9 112.0 101.2 172.7 89.1 34 514 76 80 43 134 31 500 71 81 43 98 29,794 35.5% 96.2 208,403 1,045,356 19.9% 100.0% 93.5 111.5 139 91 143 80 83,887 100.0% 98.2 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン、前年比=%、平均単価=kgあたり円 平均単価 2004年 2005年 98 91 出所:財務省「貿易統計」 【冷凍野菜】 冷凍野菜は生鮮野菜より早く、1990年代前半から継続的な大量輸入が始まっている。冷凍野菜における輸入シェ アは極めて高く、ほぼ9割が輸入品によって占められている。「食の外部化」が進展し、ファーストフード、ファミリーレス トラン等の外食産業での需要に加えて、若年層・共働き世帯等の小口使用など一般家庭での需要も大きく増加したた め、2001年には1,106億円、77万トンを超える量が輸入されている。しかし、2002年春に中国産冷凍ほうれん草に基 準値を超える残留農薬が相次いで検出され、2回にわたる輸入自粛措置が行われた影響は、冷凍えだ豆など中国産 冷凍野菜全体、ひいては冷凍野菜全体のイメージ悪化にまで及び、輸入量の減少を招いた。本件はBSEの問題と共 に、日本国内での輸入食品全般の安全性についての関心を急速に高めるきっかけとなっている。 中国からの輸入が回復したこともあり、2005年の冷凍野菜の輸入は、1,069億円(前年比7.6%増)、78万3,613トン (前年比3.2%増)となり、ほぼ2001年の水準に戻している。品目別にみると、輸入が最も多いばれいしょは、2003年に やや減少したものの横ばいで安定した輸入量を確保しており、2005年は292.4億円(前年比6.7%増)、28万1,071ト ン(前年比4.7%増)となった。えだ豆は119.7億円(前年比0.8%増)、スイートコーンは63.7億円(前年比0.3%増)と僅 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 5 A-1. 生鮮・冷凍野菜 かに増加したが、さといもは48.3億円(前年比0.9%減)と減少傾向にある。なお、ほうれん草は、2003年5月以降行わ れていた中国へ2度目の輸入自粛措置について、2005年8月付けで中国政府に登録された18社に対しても自粛解除 されたこともあり、32.8億円(前年比43.8%増)と前年より大幅に増加している。 【中国産冷凍ほうれん草の輸入自粛に関連する経緯】 2002年3月16日 中国産冷凍ほうれん草に基準値を超えるクロルピリホスを検出 2002年7月10日 厚生労働省が輸入業者に対して輸入自粛要請(事実上、輸入停止) 2003年2月26日 輸入自粛解除 2003年5月20日 自粛解除後に輸入された製品から2件の違反事例発生。2回目の輸入自粛要請。 2004年6月17日 2003年11月以降に指定27加工工場が直接管理する圃場で収穫・加工された冷凍ほうれん草について輸 入自粛を解除。 2005年8月10日 2004年6月17日に一部解除された自粛措置につき、さらに福建省、浙江省、江蘇省、上海市などの加工 企業18社の製品に対しても自粛解除。 図表6 冷凍野菜の輸入の推移 [輸入総額の推移] [品目別輸入金額の推移] (百万円) (百万円) 120,000 35,000 100,000 30,000 ばれいしょ 25,000 80,000 20,000 60,000 えだ豆 15,000 40,000 10,000 20,000 5,000 0 0 2001 2002 2001 30,155 14,720 6,992 7,392 5,985 45,373 110,617 2003 2004 金 額 2003 25,092 11,205 6,873 5,072 1,197 43,769 93,208 2002 29,606 13,659 7,020 6,005 2,648 43,537 102,474 ばれいしょ えだ豆 スイートコーン さといも ほうれん草 その他 合 計 単位:金額=百万円、数量=トン 2005 29,235 11,966 6,374 4,833 3,275 51,184 106,867 スイートコーン ほうれん草 2001 2005(年) 2004 27,401 11,874 6,355 4,878 2,278 46,546 99,332 さといも 2002 2001 274,237 77,200 48,350 55,012 50,831 269,529 775,159 2002 266,984 69,510 46,279 49,103 22,979 260,375 715,230 2003 2004 数 量 2003 239,250 60,711 47,799 48,599 8,358 273,256 677,973 2005(年) 2004 268,443 69,816 48,126 51,320 14,961 306,416 759,081 2005 281,071 69,220 46,636 46,276 21,785 318,626 783,613 出所:財務省「貿易統計」 図表7 2005年における冷凍野菜の品目別輸入動向 金額ベース ばれいしょ えだ豆 スイートコーン さといも ほうれん草 その他 合 計 数量ベース 構成比 27.4% 11.2% 前年比 106.7 100.8 数 量 281,071 69,220 構成比 35.9% 8.8% 前年比 104.7 99.1 2004年 102 170 2005年 104 173 6,374 4,833 6.0% 4.5% 100.3 99.1 46,636 46,276 6.0% 5.9% 96.9 90.2 132 95 137 104 3,275 51,184 106,867 3.1% 47.9% 100.0% 143.8 110.0 107.6 21,785 318,626 783,613 2.8% 40.7% 100.0% 145.6 104.0 103.2 152 152 131 150 161 136 単位:金額=百万円、数量=トン、前年比=%、平均単価=kgあたり円 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 6 平均単価 金 額 29,235 11,966 出所:財務省「貿易統計」 A-1. 生鮮・冷凍野菜 (2) 対日輸出国別内訳及びASEANのポジショニング 【生鮮野菜】 生鮮野菜においては、中国が2000年に金額・数量ともに米国を抜いて以来、最大の対日輸出国となっている。 2005年の中国からの輸入は、344.8億円(シェア41.1%)、63万8,729トン(シェア61.1%)と、過去最高を記録している。 中国では日本市場向けに開発された様々な生鮮野菜が作られており、距離的な近さと価格の安さから、たまねぎ (2005年シェア:57.8%)、ねぎ(99.5%)、しょうが(97.9%)、にんじん・かぶ(81.8%)で首位を占めており、特にねぎ、 しょうがでは輸入品のほとんどが中国産である。(⇒図表9) 第2位の米国は、たまねぎ、ブロッコリー、アスパラガスを主要品目とするが、2001年以降5年連続の減少で131.9億 円(シェア15.7%)に終わり、中国との差が拡大している。第3位のニュージーランド(11.3%、94.5億円)は南半球にあ るため、端境期にかぼちゃ、にんじん、たまねぎなどが輸入されており、特にかぼちゃではシェアの6割強を占めている。 (⇒図表8~9) これら3ヵ国に韓国(9.5%、79.4億円)、タイ(4.8%、40.3億円)を加えた上位5ヵ国で、輸入総額の 82.4%、数量の91.8%を占める。 ASEANからの主な輸入品目は、アスパラガス、たまねぎ、しょうがである。2005年のASEANからの生鮮野菜の輸 入は、60.8億円(シェア7.2%)、2万2,662トン(2.2%)と、シェアはまだ小さく、そのほとんどはタイおよびフィリピンから の輸入が占めている(⇒図表10)。アスパラガスの輸入においては、タイがオーストラリアを抜いて第1位(シェア 25.4%)となり、第4位のフィリピン(シェア12.6%)との2ヵ国でシェアの38%を占めている。また、しょうがの輸入におい ては、中国のシェアが97.9%と圧倒的な強さを見せているが、第2位以下はタイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマーと、 ASEAN各国が占めており、今後の健闘が期待される。(⇒図表9~10) 図表8 生鮮野菜の主要対日輸出国・地域 [2005 年の輸入金額構成] [主要国からの輸入金額推移] (百万円) 40,000 ASEAN 7.2% 中国 EU 3.5% その他 32.4% 30,000 20,000 米国 中 国 41.1% ニュージーランド 10,000 米 国 15.7% 韓国 0 2001 2002 2003 2004 2005 (年) 2004 2005 2001 2002 2003 中 国 金 額 28,896 金 額 21,890 金 額 27,930 金 額 33,755 数 量 554,506 金 額 34,478 41.1% 数 量 平均単価 638,729 61.1% 54 米 国 20,198 18,542 16,433 15,532 137,767 13,192 15.7% 141,870 13.6% ニュージーランド 93 10,024 8,727 10,300 8,161 104,459 9,445 11.3% 129,708 12.4% 73 韓 国 8,106 6,065 6,814 7,716 36,050 7,940 9.5% 32,903 3.1% 241 タ イ 3,244 3,866 3,317 4,269 16,916 4,033 4.8% 16,575 1.6% 243 メキシコ 5,296 3,909 3,244 3,336 23,507 3,350 4.0% 24,628 2.4% 136 オーストラリア 3,837 3,863 3,099 3,448 13,847 3,010 3.6% 16,646 1.6% 181 オランダ 2,688 3,327 2,966 2,410 4,912 2,464 2.9% 5,402 0.5% 456 フィリピン 2,444 1,854 1,692 1,421 4,748 1,897 2.3% 5,571 0.5% 340 4.9% 33,322 3.2% 122 100.0% 1,045,356 100.0% 80 5,221 4,111 4,575 5,390 41,029 4,078 合 計 ( E U) 89,955 76,153 80,368 85,439 937,742 83,887 3,353 3,854 3,532 2,983 5,974 2,973 3.5% 6,369 0.6% 467 ( ASEAN) 5,794 5,789 5,084 5,799 22,412 6,080 7.2% 22,662 2.2% 268 その他 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 7 A-1. 生鮮・冷凍野菜 図表9 生鮮野菜の品目別主要対日輸出国・地域 (2005年、金額ベース) キャベツ、ブロッコリー類 国 名 第1位 米 国 金 額 7,310 シェア 62.0 第2位 中 国 3,933 33.3 第3位 韓 国 428 3.6 69 0.6 第4位 オーストラリア 第5位 タ イ (ASEAN全体) たまねぎ 前年比 平均単価 国 名 79.9 165 中 国 99.3 52 米 国 54.6 46 ニュージーランド 51.9 18 0.2 - 20 0.2 507.3 金 額 6,375 シェア 57.8 2,312 21.0 117.6 28 1,574 14.3 126.0 40 428 3.9 111.5 48 181 タ イ 715 オーストラリア 287 2.6 179.5 45 332 432 3.9 105.9 48 アスパラガス 国 名 かぼちゃ 金 額 2,219 シェア 25.4 第2位 オーストラリア 1,917 22.0 第3位 メキシコ 1,558 17.9 104.4 第4位 フィリピン 1,098 12.6 139.1 850 9.7 94.6 (ASEAN全体) 3,317 38.0 109.4 国 名 第1位 中 国 金 額 5,748 シェア 99.5 第2位 韓 国 26 0.5 第3位 米 国 1 0.0 第1位 タ イ 第5位 米 国 前年比 平均単価 国 名 99.0 566 ニュージーランド 77.2 501 メキシコ 金 額 5,710 シェア 66.4 1,777 20.7 97.2 84 818 9.5 65.3 65 440 トンガ 366 ニューカレドニア 95 1.1 59.0 50 93 1.1 89.7 79 - - - - 前年比 平均単価 国 名 104.3 81 中 国 37.5 325 オーストラリア 金 額 3,587 シェア 81.8 327 7.5 231 台 湾 165 米 国 にんじん・かぶ 202.9 79 ニュージーランド 第4位 第5位 - - - - 国 名 80 5.3 84.8 82 3.8 275.1 49 69 1.6 93.9 193 - - - - その他 金 額 3,704 シェア 97.9 第2位 タ イ 53 1.4 第3位 インドネシア 24 0.6 190.6 第4位 ベトナム 2 0.1 82.3 第5位 ミャンマー 1 0.0 - 81 2.1 47.1 (ASEAN全体) 前年比 平均単価 189.9 40 144.9 しょうが 第1位 中 国 前年比 平均単価 119.5 68 538 オーストラリア 479 ねぎ (ASEAN全体) 前年比 平均単価 116.4 29 前年比 平均単価 国 名 65.9 97 中 国 34.3 149 韓 国 金 額 11,006 シェア 36.9 前年比 平均単価 98.1 76 7,460 25.0 109.1 320 152 米 国 94 オランダ 2,580 8.7 77.6 201 2,444 8.2 102.3 454 104 ニュージーランド 146 1,534 5.1 106.1 438 2,231 7.5 102.2 367 単位:金額=百万円、前年比=%、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 図表10 ASEANからの生鮮野菜の国別/品目別輸入の推移 [金額推移] [数量推移] (百万円) (トン) 8,000 6,000 25,000 5,794 5,799 5,789 6,080 20,000 22,412 22,662 2004 2005 20,041 17,932 5,081 15,031 15,000 4,000 10,000 2,000 5,000 0 0 2001 2002 2003 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 8 2004 2005 (年) 2001 2002 2003 (年) A-1. 生鮮・冷凍野菜 金 額 2001 キャベツ、ブロッコリー類 たまねぎ アスパラガス かぼちゃ ASEAN ねぎ 合計 にんじん・かぶ しょうが 2005 2001 2002 2003 2004 平均単価 2005 2005 5 3 5 4 20 92 54 105 100 59 332 384 309 193 408 432 6,179 4,940 2,369 8,953 9,057 48 2,988 3,345 2,943 3,031 3,317 6,511 7,126 6,484 6,324 6,918 479 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 0 - - - - 7 - - - - - 249 64 167 172 81 1,532 635 1,405 972 552 146 2,068 1,774 2,183 2,231 5,720 5,178 4,669 6,063 6,077 367 5,794 5,789 5,081 5,799 6,080 20,041 17,932 15,031 22,412 22,662 268 全体でのシェア 6.4% 7.6% 6.3% 6.8% 7.2% 2.2% 2.4% 1.8% 2.4% 2.2% - 0 - - 18 - 0 - - 25 715 384 302 154 384 428 6,179 4,827 1,722 8,400 8,995 48 1,159 1,825 1,732 2,242 2,219 2,149 3,103 2,847 3,932 3,919 566 - - 3 - - - - 34 - - - しょうが 243 60 148 156 53 1,462 587 1,188 818 360 149 その他 1,458 1,679 1,280 1,487 1,315 3,636 4,015 3,123 3,766 3,276 401 合 計 3,244 3,866 3,317 4,269 4,033 13,426 12,532 8,914 16,916 16,575 243 全体でのシェア 3.6% 5.1% 4.1% 5.0% 4.8% 1.4% 1.7% 1.0% 1.8% 1.6% - 7 35 16 3 - 110 587 305 40 83 1,829 1,521 1,211 790 1,098 4,362 4,024 3,636 2,392 2,999 366 たまねぎ アスパラガス ねぎ たまねぎ アスパラガス フィリピン その他 615 326 446 615 795 1,755 903 1,409 2,051 2,532 314 合 計 2,444 1,854 1,692 1,421 1,897 6,117 5,037 5,632 4,748 5,571 340 全体でのシェア 2.7% 2.4% 2.1% 1.7% 2.3% 0.7% 0.7% 0.7% 0.5% 0.5% キャベツ、ブロッコリー類 - - 5 4 2 - - 105 100 34 47 たまねぎ - 0 3 8 1 - 3 59 247 22 32 ねぎ - - 0 - - - - 5 - - - - - - 3 2 - - - 44 26 94 84 50 29 50 69 297 207 104 183 181 384 84 50 37 65 74 297 209 273 573 263 282 0.1% 0.1% 0.0% 0.1% 0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.1% 0.0% ベトナム しょうが その他 合 計 全体でのシェア キャベツ、ブロッコリー類 0 - - - - 1 - - - - - その他 1 8 19 31 40 2 13 33 64 77 524 524 2 8 19 31 40 2 13 33 64 77 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 4 0 2 - - - - 91 7 54 - - - - しょうが 6 4 17 13 24 70 48 200 111 161 152 その他 10 5 - - 10 30 40 - - 9 1,070 202 合 計 全体でのシェア キャベツ、ブロッコリー類 にんじん・かぶ インド ネシア 2004 2,168 キャベツ、ブロッコリー類 マレーシア 数 量 2003 合 計 その他 タイ 2002 - 20 12 17 13 34 198 141 200 111 170 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% ミャンマー - - 2 - 1 - - 17 - 6 213 合 計 全体でのシェア ラオス - - 1 - 0 - - 1 - 0 1587 シンガポール - - - - - - - - - - - カンボジア - - - - - - - - - - - ブルネイ - - - - - - - - - - - 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 【冷凍野菜】 冷凍野菜の主要対日輸出国は中国(金額シェア46.6%)と米国(同27.6%)である。中国は、2000年から金額・数量 ともに米国を抜き、2005年は498.4億円(シェア46.6%)、34万3,737トン(シェア43.9%)となっており、さといも(シェア 99.4%)、えだ豆(同38.8%)、ほうれん草(同51.6%)など多彩な品目が輸入されている。減少傾向にあった米国から ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 9 A-1. 生鮮・冷凍野菜 の輸入は、2005年はやや増加したものの295億円(シェア27.6%)、26万7,419トン(シェア34.1%)と、中国との差は 開いてきている。品目はポテトフライ用のばれいしょ(226.7億円、シェア77.6%)、スイートコーン(同64.8%)などが中 心である。第3位以下のタイ、台湾、カナダのシェアは5%前後でここ数年拮抗しているが、タイからの輸入は順調な伸 びを見せている。(⇒図表11~12) ASEANからの輸入は、えだ豆が中心となっているが、スイートコーン、ほうれん草など輸入が急増した品目も見られ る。2005年のASEANからの冷凍野菜の輸入は、88.2億円(シェア8.3%)、4万6,663トン(同6.0%)とシェアは大きく ないが、順調に増加している。(⇒図表13)2003年に冷凍野菜全体の輸入量が減少した際にも、ASEANは中国の代 替役となった面もあり、輸入量は増加を見せた。えだ豆の輸入においては、タイ、インドネシア、ベトナムの3ヵ国で 21.8%のシェアを占めている。(⇒図表12)また、ほうれん草については、2002年の残留農薬問題による輸入自粛を 契機に、日本の冷凍食品メーカーが生産工場を中国からベトナムやタイにシフトする動きがあったため、2001年は100 万円であったベトナムからの輸入は、2005年は8億6,600万円へと急増した。(⇒図表13) なお、日本では、2006年5月29日から「食品中に残留する農薬等のポジティブリスト制度」が施行され、残留農薬の 規制が強化された。既に、一部の中国産野菜の輸入量が大幅に減少していることを受け、国内のスーパーではアジア からの調達を増やすなど、中国依存度を下げ、仕入れリスクを分散する動きが出ている。また、中国産を輸入する場合 でも、農薬管理方法を定めて生産指導を行うなど、独自の基準を設けて安全性を確保する動きが加速している。 図表11 冷凍野菜の主要対日輸出国・地域 [2005 年の輸入金額構成] [主要国からの輸入金額推移] (百万円) 60,000 中国 50,000 ASEAN 8.3% その他 16.0% 40,000 EU 1.5% 米国 30,000 20,000 米 国 27.6% タイ 10,000 中 国 46.6% 0 2001 2002 2003 2004 2005(年) 2004 2005 2001 2002 2003 中 国 金 額 52,805 金 額 45,166 金 額 38,442 金 額 43,954 数 量 325,693 金 額 49,840 46.6% 数 量 平均単価 343,737 43.9% 145 米 国 34,061 32,560 27,833 27,206 249,517 29,503 27.6% 267,419 34.1% 110 タ イ 4,880 5,039 5,599 5,532 30,439 6,112 5.7% 31,542 4.0% 194 台 湾 5,089 5,266 5,747 5,832 30,188 5,241 4.9% 26,379 3.4% 199 カナダ 4,328 5,209 4,370 5,560 52,467 5,084 4.8% 46,391 5.9% 110 ニュージーランド 132 3,722 3,800 4,276 4,090 31,534 3,822 3.6% 28,949 3.7% ベトナム 411 443 562 1,171 7,316 1,540 1.4% 9,023 1.2% 171 インドネシア 647 879 1,094 1,028 5,365 1,149 1.1% 5,961 0.8% 193 エクアドル その他 合 計 ( E U) ( ASEAN) 865 843 1,105 1,094 5,468 1,144 1.1% 5,652 0.7% 202 3,810 3,270 4,180 3,866 21,095 3,431 3.2% 18,560 2.4% 185 110,617 102,474 93,208 99,332 759,081 106,867 100.0% 783,613 100.0% 136 892 975 1,394 1,591 8,311 1,603 1.5% 9,178 1.2% 175 5,968 6,385 7,277 7,745 43,213 8,823 8.3% 46,663 6.0% 189 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 10 出所:財務省「貿易統計」 A-1. 生鮮・冷凍野菜 図表12 冷凍野菜の品目別主要対日輸出国・地域(2005年・金額ベース) ばれいしょ 国 名 えだ豆 第1位 米 国 金 額 22,674 シェア 77.6% 前年比 平均単価 国 名 111.9 104 台 湾 91.2 102 中 国 102.6 103 タ イ 第2位 カナダ 4,484 15.3% 第3位 中 国 824 2.8% 第4位 ドイツ 368 1.3% 125.5 第5位 ニュージーランド 345 1.2% 81.3 114 インドネシア 101 ベトナム (ASEAN全体) 22 0.1% 79.6 139 国 名 金 額 4,133 シェア 64.8% 金 額 4,712 第1位 米 国 4,648 38.8% 110.0 150 16.6% 100.4 182 503 4.2% 124.9 171 112 0.9% 1372.5 168 2,606 21.8% 108.9 179 さといも 前年比 平均単価 国 名 96.4 138 中 国 93.3 130 フィリピン 1,550 24.3% 第3位 タ イ 388 6.1% 168.9 第4位 中 国 233 3.7% 225.5 34 0.5% 77.0 100 420 6.6% 166.9 133 第5位 カナダ (ASEAN全体) 金 額 4,807 シェア 99.4% 23 0.5% 154.8 167 4 0.1% 291.3 245 27 0.6% 166.4 175 124 ベトナム 184 ほうれん草 国 名 金 額 1,690 シェア 51.6% 第2位 ベトナム 866 26.4% 第3位 台 湾 第1位 中 国 前年比 平均単価 99.1 104 その他 前年比 平均単価 国 名 250.4 142 中 国 112.0 タ イ 470 14.3% 90.1 第4位 インドネシア 93 2.8% 69.2 第5位 チ リ 90 2.7% 88.9 981 29.9% 106.3 (ASEAN全体) 前年比 平均単価 89.8 200 1,991 スイートコーン 第2位 ニュージーランド シェア 39.4% 金 額 37,639 シェア 73.5% 3,703 7.2% 112.7 214 182 米 国 149 ニュージーランド 212 エクアドル 2,696 5.3% 102.2 143 1,928 3.8% 96.2 141 1,141 2.2% 104.7 203 149 4,768 9.3% 115.3 216 単位:金額=百万円、前年比=%、平均単価=kgあたり円 前年比 平均単価 113.0 153 出所:財務省「貿易統計」 図表13 ASEANからの冷凍野菜の国別/品目別輸入の推移 [金額推移] [数量推移] (百万円) (トン) 10,000 8,823 8,000 6,000 7,277 5,968 7,745 46,663 50,000 43,213 40,000 36,647 6,385 30,000 4,000 20,000 2,000 10,000 0 27,873 29,451 2001 2002 0 2001 2002 2003 2004 2005 (年) 2003 2004 2005 (年) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 11 A-1. 生鮮・冷凍野菜 金 額 2001 2001 2002 2003 2004 平均単価 2005 2005 38 57 28 22 68 75 198 159 162 139 2,581 2,393 2,606 9,506 11,272 14,061 13,676 14,559 179 61 32 50 252 420 356 184 296 1,967 3,165 133 20 22 20 16 27 110 122 115 105 153 175 1 3 225 922 981 3 24 1,485 6,231 6,595 149 4,041 4,112 4,344 4,134 4,768 17,830 17,775 20,492 21,076 22,028 216 合 計 5,968 6,385 7,277 7,745 8,823 27,873 29,451 36,647 43,213 46,663 189 全体でのシェア 5.4% 6.2% 7.8% 7.8% 8.3% 3.6% 4.1% 5.4% 5.7% 6.0% 21 26 38 18 8 37 40 74 33 13 604 1,515 1,718 2,079 1,983 1,991 7,767 8,837 11,285 11,215 10,960 182 18 28 44 230 388 82 155 246 1,825 3,126 124 さといも - 0 - - - - 2 - - - - ほうれん草 - - 5 14 22 - - 20 69 114 190 3,327 3,267 3,432 3,287 3,703 15,051 14,699 16,491 17,298 17,330 214 合 計 4,880 5,039 5,599 5,532 6,112 22,937 23,733 28,117 30,439 31,542 194 全体でのシェア 4.4% 4.9% 6.0% 5.6% 5.7% 3.0% 3.3% 4.1% 4.0% 4.0% ばれいしょ 7 11 18 10 14 16 35 123 126 147 97 えだ豆 - 2 9 8 112 - 19 58 57 663 168 43 4 7 22 32 274 29 50 142 40 803 その他 ばれいしょ えだ豆 スイートコーン その他 スイートコーン さといも - - - 1 4 - - - 14 16 245 ほうれん草 1 2 164 773 866 3 18 1,069 5,193 5,858 148 360 423 364 356 512 1,326 1,451 1,863 1,784 2,299 223 411 443 562 1,171 1,540 1,619 1,552 3,163 7,316 9,023 171 0.4% 0.4% 0.6% 1.2% 1.4% 0.2% 0.2% 0.5% 1.0% 1.2% 2 - - - 0 15 - - - 2 137 302 458 493 402 503 1,738 2,416 2,718 2,404 2,936 171 その他 合 計 全体でのシェア ばれいしょ えだ豆 インド ネシア 2005 2,178 ASEAN さといも 合計 ほうれん草 ベトナム 2004 29 スイートコーン タイ 数 量 2003 1,817 ばれいしょ えだ豆 2002 - 1 56 135 93 - 6 396 969 624 149 343 420 545 491 553 1,425 1,618 2,134 1,992 2,399 230 647 879 1,094 1,028 1,149 3,178 4,040 5,248 5,365 5,961 193 0.6% 0.9% 1.2% 1.0% 1.1% 0.4% 0.6% 0.8% 0.7% 0.8% ほうれん草 その他 合 計 全体でのシェア ばれいしょ さといも フィリピン その他 - - 1 - - - - 1 - - - 20 22 20 15 23 110 120 115 91 136 167 - - 0 - - - - 0 - - 167 20 22 21 15 23 110 120 116 91 136 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% マレーシア 11 3 2 - 0 28 8 3 - 1 526 ミャンマー - - - 0 - - - - 2 - - シンガポール - - - - - - - - - - - 合 計 全体でのシェア ラオス - - - - - - - - - - - カンボジア - - - - - - - - - - - ブルネイ - - - - - - - - - - - 単位:金額=百万円、数量=トン、平均単価=kgあたり円 出所:財務省「貿易統計」 (3) 国内市場における輸入品のシェア 【生鮮野菜】 天候不順による不足を補い、簡便性・多様性・供給の安定性・低価格性などのニーズに応えるため、輸入生鮮野菜は 国内市場で18%前後のほぼ安定したシェアを獲得していたが、近年はシェアを伸ばしている。2005年度における生鮮 野菜需要量に占める輸入品のシェアは21.3%と初めて2割を超えた。農林水産省の調べでは、年毎に変動はあるもの の、にんにく、しょうが等輸入品のシェアが5割を超える品目も存在し、かぼちゃ、ブロッコリー、アスパラガス、さやえんど うでも4割前後を輸入品が占めている。(⇒図表15)主な国産野菜の出荷量をみると、各品目で軒並み前年を割り込ん でおり、2004年に国内で100万トン以上生産されている野菜は、ばれいしょ、だいこん、キャベツの3品目で、輸入量が 最も多いたまねぎは、近年では初めて100万トンを切った。(⇒図表16) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 12 A-1. 生鮮・冷凍野菜 【冷凍野菜】 (社)日本冷凍食品協会の調べによると、2005年における冷凍野菜の国内生産量は9万2千トンとなっている。ほうれ ん草は、2001年には3,536トンまで生産量を落としていたが、中国産の輸入自粛による代替需要などの影響もあり 7,689トンまで増加している。その他、にんじん(前年比35.7%増)、かぼちゃ(前年比7.3%増)、さといも(前年比3.9% 増)などが前年に比べ増加しているが、市場の大半を輸入品に依存するという構造は変わらず、2005年の輸入品の シェアは89.5%という高さにある。(⇒図表14、15) 図表14 日本市場における輸入野菜のシェア 生鮮野菜 冷凍野菜 2001 13,572 3,004 2 16,574 18.1% 83 777 860 90.3% 国内生産量 輸 入 量 輸 出 量 国内需給量 輸入品のシェア 国内生産量 輸 入 量 合 計 輸入品のシェア 2002 13,269 2,657 5 15,921 16.7% 90 717 807 88.8% 2003 12,874 2,827 8 15,693 18.0% 98 680 778 87.4% 2004 12,286 3,051 4 15,333 19.9% 90 761 851 89.4% 2005 12,477 3,367 10 15,834 21.3% 92 787 879 89.5% 単位: 千トン 出所: 生鮮野菜=食料需給表(数値は年度集計(4月~翌年3月)による。2005年は概算値。食料需給表で対象 とする野菜は、本稿とは一部異なる。) 冷凍野菜=(社) 日本冷凍食品協会、財務省「貿易統計」 図表15 輸入シェアが高い生鮮野菜(2003年産) 品目 年産 にんにく しょうが かぼちゃ ブロッコリー アスパラガス さやえんどう ごぼう 1~12月 4~3月 1~12月 4~3月 1~12月 9~8月 4~3月 国内出荷量 (トン) 輸入量 (トン) 11,400 22,600 172,100 91,200 24,400 18,400 138,800 27,639 49,428 139,822 68,009 17,850 12,225 57,166 輸入割合(%) 70.8% 68.6% 44.8% 42.7% 42.2% 39.9% 29.2% 出所:農林水産省「野菜政策に関する研究会」報告書(2005年3月) (国内出荷量=農林水産省「野菜生産出荷統計」、輸入量=財務省「貿易統計」による。) 図表16 主な国産野菜の出荷量 順位 品 目 生 鮮 野 菜 2004年出荷量 前年比 冷 凍 野 菜 品 目 2005年生産量 前年比 順位 1 ばれいしょ 2,357,000 98.2 1 ばれいしょ 18,945 99.6 2 だいこん 1,241,000 93.0 2 かぼちゃ 14,694 107.3 3 キャベツ 1,100,000 93.3 3 フレンチフライドポテト 8,687 103.7 4 たまねぎ 985,500 96.1 4 ほうれん草 7,689 108.3 5 はくさい 673,300 92.5 5 カーネルコーン 7,618 91.3 6 トマト 665,900 99.5 6 にんじん 5,700 135.7 7 きゅうり 566,100 98.9 7 軸付コーン 3,852 90.4 8 にんじん 532,600 92.4 8 さといも 1,586 103.9 9 レタス 473,200 93.1 9 その他の野菜 23,573 100.8 10 ねぎ 375,100 94.6 単位:トン 出所:生鮮野菜=農林水産省「野菜生産出荷統計」、冷凍野菜=(社) 日本冷凍食品協会 3. 対日輸出における留意点 (1) 日本における輸入時の規制・手続き 生鮮・冷凍野菜の輸入に際しては「植物防疫法」「食品衛生法」の規制を受ける。また、「種苗法」に基づき、登録され た品種について育成者権をもつ権利者に許可なく収穫物又は加工品を輸入することは、原則として禁止されているの で注意する。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 13 A-1. 生鮮・冷凍野菜 1) 植物防疫法 海外からの植物の病害虫の侵入を防止するため、生鮮・冷凍野菜を輸入する場合には植物検疫の手続きが必要と なる。十分な植物検疫が実施できる特定の海港・空港のみが輸入港として認められており、貨物到着後、輸出国政府 機関が発行する「植物検査証明書」等の必要書類を添付して「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を植物防疫所 へ提出しなければならない(申請書は輸入予定日の7日前より受付開始)。検査の結果、検疫病害虫が付着していな ければ合格となり、「合格証明書」が発行され輸入することができる。 図表17 植物防疫法に基づく輸入検査 (検疫) 手続き 輸 入 検 査 の 申 請 (輸出国の植物検査証明書の添付) 輸入検査 検疫病害虫が付着している場合 検疫病害虫が付着していない場合 消毒実施 積戻し・廃棄 合 格 証 明 書 食品衛生法に基づく手続き 植物防疫法では、土のついた植物、日本に未発生の病害虫(チチュウカイミバエ、コロラドハムシ、コドリンガ等)の 生息する地域から発送され、またはその地域を経由する植物(植物防疫法施行規則別表2に掲げるもの)の輸入が禁 止されている。禁止品目は病害虫の発生地域ごとに定められており、これに該当する野菜が日本に輸入された場合、 焼却処分などの措置がとられる。ただし、輸入禁止品であっても、試験研究や展示用など限られた目的を持って行う場 合は、農林水産大臣の許可を受けて、一定の条件のもとに輸入することができる。また、農林水産大臣が定める消毒 等の基準に適合していることを条件に、輸入が認められているものもある。 ばれいしょ・さつまいもについては、輸入禁止地域外であってもウイルス検査のため植物防疫所の圃場で一定期間 栽培して隔離検査を受ける必要がある。しょうが、おくらなどについては地域によって栽培地検査が必要であり、これを 実施したことが記載された輸出国政府機関の植物検査証明書が添付されていないと輸入することができない。詳細は、 農林水産省植物防疫所のホームページを参照のこと。 (⇒英文 http://www.pps.go.jp/english/faq/import/kinshi.html) なお、野菜は、生鮮・加工にかかわらず植物防疫法の対象になるが、生鮮・冷蔵としては輸入禁止であっても、完全 に凍結したもの、完全に乾燥したもの、漬物等に加工したものは輸入することができる。冷凍野菜については、- 17.8℃以下で凍結・保存されたことが確認できれば輸入が可能となり、その旨を記載した輸出国の植物防疫機関等が 発行する証明書が必要となる。輸入禁止品でない場合は、メーカーから-17.8℃以下で凍結されたことを証明する書 類を入手すればよい。いずれの場合も凍結が不十分な場合は、植物検疫検査で不合格となる。 2) 食品衛生法 販売または営業に使用する目的で食品を輸入する場合には、輸入者は「食品等輸入届出書」と必要書類(加工食 品の場合、製造工程表、原材料配合表など)を揃え、通関しようとする海空港を管轄する厚生労働省検疫所に届け出 なければならない。届出書の審査の結果、衛生検査が必要とされたものは保税地域内で検査が行われ、輸入の可否 が判定される。手続きの流れは以下のとおりである。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 14 A-1. 生鮮・冷凍野菜 図表18 食品衛生法に基づく輸入検査手続き 事 前 の 輸 入 相 談 事前の情報入手 (製造方法、添加物の使用等) 事前の検査 (輸出国公的検査機関、厚生労働大臣登録検査機関) 検 疫 所 へ の 届 出 (食品等輸入届出書の提出等) 審 検査を要する貨物 不合格 合 格 査 検査を要しない貨物 届出済証または 合格証の受取り 積戻し・廃棄・ 食用以外の用途 税 関 申 告 生鮮野菜、冷凍野菜ともに、残留農薬、添加物(着色料、漂白剤等)などの確認が行われる。冷凍野菜は、その製 法により、(1)生鮮野菜をそのまま、あるいは細切り後、容器包装に入れて冷凍したもの、(2)野菜をブランチング(注) または油で揚げるなどの加熱処理を行った後冷凍したもの、に分けられるが、(2)は「冷凍食品」として取扱われる。 食品衛生法では「冷凍食品」の規格基準として成分規格(細菌数、大腸菌群陰性など)、保存基準(-15℃以下の保 存、清潔で衛生的な合成樹脂、アルミニウム箔または耐水性の加工紙で包装し保存)、加工基準が定められている。 食品添加物については海外で使用されている食品添加物でも日本では使用が禁止されていたり、使用基準が定めら れているものがあるので確認しておく必要がある。 注) 野菜は冷凍した後も酵素の働きで品質が劣化してしまうため、ブランチングと呼ばれるごく短時間の加熱処理を行 い、酵素の活性化を抑えてから冷凍される。 2006年5月29日、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(以下、農薬等)が、一定量を超えて残 留する食品の輸入・販売を原則禁止するというポジティブリスト制度が施行された。この制度では、使用、残留等が認 められる農薬等について残留基準を設定し、それ以外のものについては一律基準(人の健康を損なうおそれのない量 として0.01ppmに設定)を適用することとしている。ポジティブリスト制度の対象は加工食品を含む全ての食品で、生鮮 野菜はもちろん、冷凍野菜も制度の対象となる。詳細は、厚生労働省ホームページを参照のこと。 (⇒http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html) また、海外で認可されている遺伝子組換え食品であっても、未審査のものについては食品衛生法に基づき、輸入・ 販売等が禁止されている。遺伝子組換え食品及びその加工品については、輸入届出が義務付けられている。 輸入時には当該食品が食品衛生法の規格基準等に適合するかどうか、食品の原材料配合表、製造工程表等の入 手や検疫所の輸入相談を利用するなど十分な情報収集が必要である。また、事前に厚生労働大臣登録検査機関あ るいは輸出国の公的検査機関で自主検査を行い、その検査成績書を添付すると、その項目についての衛生検査が 省略され、輸入手続きが迅速に行われる。 な お 、 コ ン ピ ュー タ に よ る 届 出 を 希 望 す る 場 合 は 、 輸 入 手 続 き を 電 子 化 し た 「 輸 入 食 品 監 視 支 援 シ ス テ ム (FAINS)」を利用することができる。所要のハード、ソフトを備えて厚生労働大臣に申込み、暗証番号を取得すること が必要である。 (2) 日本における販売時の規制・手続き 生鮮・冷凍野菜の販売に際しては「食品衛生法」「JAS法」「計量法」「健康増進法」「不当景品類及び不当表示防止 法」の規制を受ける。容器包装については「容器包装リサイクル法」および「資源有効利用促進法」の規制を受ける場合 があり、対象となる容器包装、特定事業者の範囲、表示方法など、詳細は所轄官公庁(⇒(6)所轄官公庁)に問い合わ せのこと。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 15 A-1. 生鮮・冷凍野菜 1) 食品衛生法 食品衛生法により、有害・有毒な物質を含有する食品や不衛生な食品を販売することが禁止されている。冷凍野菜 を販売する場合には、食品衛生法に基づく表示(使用した添加物、アレルギー物質を含む旨、遺伝子組換えに関する 表示など)が義務づけられている。(⇒(3) 表示規制) 2) JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律) JAS法では一般消費者向けに販売するすべての飲食料品が品質表示基準の対象となっている。生鮮野菜につい ては「生鮮食品品質表示基準」、冷凍野菜については「加工食品品質表示基準」に基づく表示が義務づけられる。ま た、遺伝子組換え食品に関する表示基準も定められている。(⇒(3) 表示規制) 3) 計量法 冷凍野菜を容器包装に入れて販売する場合には、計量法に基づく適正な計量と表示が義務づけられている。 (⇒(3) 表示規制) 4) 健康増進法 一般消費者向けに販売しようとする加工食品の容器包装や添付文書に栄養表示をしようとする場合には、同法に 基づく「栄養表示基準」に従って表示(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量、他に表示しようとする 栄養成分の含有量の順に表示)することが義務づけられている。 5) 不当景品類及び不当表示防止法 販売する商品等の内容について、一般消費者に優良と誤認させる誇大広告や虚位表示などは不当表示として禁 止されている。また、商品の原産国を判別することが困難な紛らわしい表示も不当表示として禁止されている。 (3) 日本における販売時の表示規制 1) 法律に基づく義務表示 ① 食品衛生法、JAS 法、計量法 【生鮮野菜】 JAS法の「生鮮食品品質表示基準」によって、生鮮野菜は容器や包装の見やすい箇所や、立て札などの消費者の 見やすい場所に日本語で下記の表示をすることが義務づけられている。 ① 名称 ② 原産国名(一般に知られている地名でも可) なお、単品の野菜を単に切断したもの(カット野菜)は生鮮食品に含まれるが、複数の野菜を切断した上で混ぜ合わ せたもの(サラダミックス、炒め物ミックス)は加工食品となるので、「加工食品品質表示基準」に従って名称、原材料名 等を表示する。なお、加工食品の場合は、店内処理したものを店内で販売する限りにおいては、表示は不要である。 【冷凍野菜】 冷凍野菜を販売する場合には「食品衛生法」、JAS法の「加工食品品質表示基準」「野菜冷凍食品品質表示基準」 並びに「計量法」に基づき、下記の事項を順に日本語で一括表示することが義務づけられている。また、食品衛生法 では、別途冷凍食品である旨を表示することが義務づけられている。 ① 名 称 ② 原材料名、添加物(含む場合) ③ 原料原産地名(輸入品以外) ④ 内容量 ⑤ 賞味期限 ⑥ 保存方法 ⑦ 凍結前加熱の有無(加熱調理が必要な場合) ⑨ 原産国名 ⑧加熱調理の必要性 ⑩ 輸入販売業者の名称、所在地 「野菜冷凍食品品質表示基準」に基づき、国内で製造・加工された冷凍野菜については、主な原材料(原材料の重 量に占める割合の高い野菜の上位3位までのもので、かつその割合が5%以上のもの)の原産地を記載することが義 務づけられている。原材料に占める重量の割合の多い原産地の順に、国産品にあっては国産の旨(もしくは都道府県 名、市町村名その他一般に知られている地名)を、輸入品にあっては原産国名を記載し、カッコ内に主な原材料名を 重量の割合の多い順に記載しなければならない。ただし、容器包装の面積が30cm2以下のものは表示が免除される。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 16 A-1. 生鮮・冷凍野菜 <アレルギー物質を含む食品の表示> 食品衛生法では、特にアレルギーを起こしやすい食品(特定原材料)について表示を義務づけている。発症数、重 篤度から考えて表示が義務化された5品目と、可能な限り表示することが推奨された20品目が定められている。容器 包装に入れられた加工食品(消費者に直接販売されることのない業務用の食品や食品添加物も含む。)で特定原材 料等が含まれる場合は、原則として原材料欄にその旨を表示しなければならない。 特定原材料 (表示が義務化されたもの) (5品目) 特定原材料に準ずるもの (表示が奨励されたもの) (20品目) 小麦、そば、卵、乳、落花生 あわび、いか、いくら、えび、かに、さけ、さば、オレン ジ、キウイフルーツ、桃、やまいも、りんご、くるみ、ま つたけ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、ゼラチン、バナナ <遺伝子組換え食品に関する表示> 食品衛生法及びJAS法では、大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実及びアルファ ルファの6作物とその加工食品(大豆、とうもろこし、ばれいしょ、アルファルファ)について、遺伝子組換えに関する表 示を義務づけている。 ① 遺伝子組換え農産物が不分別である農産物及びこれを原材料とする場合、「遺伝子組換え不分別」等を表示しなけ ればならない。(義務表示) ② 遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする場合、「遺伝子組換えのものを分別」、「遺伝子組換え」等を表示しな ければならない。(義務表示) ③ 分別して生産流通管理された非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする場合、表示は不要である。ただし、 「遺伝子組換えでないものを分別」、「遺伝子組換えでない」等を任意で表示することができる。 ② 資源有効利用促進法 同法に基づき、一定の容器包装については分別回収促進のための識別 表示をすることが義務づけられている。紙やプラスチック製包装材を使用し た場合、容器包装の1ヵ所以上に決められた様式で識別マークを表示する 必要がある。 2) 法律に基づく任意表示 ① JAS 法 <有機農産物及び有機農産物加工食品の検査認証制度> 有機農産物及びその加工食品に関しては「特定JAS規格」が定められており、その規格に適合するかどうかについ て格付けを受け、有機JASマークを貼付したものでなければ、「有機○○」「オーガニック○○」と表示することができな い。外国 (JAS制度と同等の認証制度を有すると認められる国に限る)で生産された有機農産物等を輸入する場合、 「有機○○」などの表示をするためには、次のいずれかの方法により格付けを行い、有機JASマークを貼付しなければ ならない。(⇒図表19) ① 外国の製造業者等が登録外国認定機関から認定を受けて、自ら有機JASマークを貼付したものを輸入販売するこ とができる。 ② 輸入業者が国内の登録認定機関から認定を受ければ、外国の公的機関が発行する証明書又はその写しが添付さ れているものに自ら格付けを行い、有機JASマークを貼付して販売することができる。 ③ 日本の登録認定機関から認定を受けた外国の製造業者等が製造した有機食品に有機JASマークを貼付したもの を輸入販売する。 有機JASマーク [認定機関名] ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 17 A-1. 生鮮・冷凍野菜 図表19 輸入有機農産物及び有機農産物加工食品の検査・認証制度 農林水産大臣 登録 登録申請 登録 外 登録国内認定機関 認定 登録申請 国 登録外国認定機関 認定 認定 認定外国製造業者、 認定外国小分け業者等 外国一般製造業者 自らJASマークを貼付 一般輸入業者 (公的機関の証明書) 認定輸入業者 自らJASマークを貼付 問い合わせ先: 農林水産消費技術センター 本部 交流技術課 TEL:048-600-2366 http://www.cfqlcs.go.jp <生産情報公表 JAS マーク> 食品の生産情報を正確に記録・保管・公表していることを、登録認定機関が認定したものは 生産情報公表JASマークを任意表示できる。生鮮野菜については、「生産情報公表農産物の JAS規格」の適用を受ける。この制度により、生産履歴が第三者の認定の下で明らかな食品で あることを消費者が容易に識別でき、また生産者等も商品の付加価値をアピールできるメリット がある。 生産情報公表 JASマーク JAS ク [認定機関名] 問い合わせ先: 農林水産消費技術センター 本部 交流技術課 TEL:048-600-2366 http://www.cfqlcs.go.jp 3) 農林水産省のガイドラインに基づく任意表示 <特別栽培農産物に係る表示ガイドライン> 化学合成農薬や肥料の使用を低減して生産された野菜(特別栽培農産物)の表示に係る農林水産省のガイドライ ンが制定されている。不特定多数の消費者に販売される生鮮野菜に適用される。 輸入された特別栽培農産物の表示例 農林水産省新ガイドラインによる表示 特別栽培アスパラガス 化学合成農薬:○○地域比 7 割減(使用回数) 化学肥料:栽培期間中不使用 栽培責任者 ○○○○ 輸出国の住所、連絡先 (電話番号) 確認責任者 ○○○○ 輸出国の住所、連絡先 (電話番号) 輸入業者: 会社名、住所、製品に関する問合せ先の電話番号 (農薬等使用状況) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 18 http://www.xxx ・「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」 の表示は禁止。 ・化学合成農薬(性フェロモン剤等誘引剤を除く) の使用回数、化学肥料の窒素成分量が、いずれも 当該地域の慣行レベルに比べて50%以下で栽培さ れたものは「特別栽培農産物」と表示する。 ・慣行のレベルは地方公共団体(輸入品の場合は、 米国の州、中国の省など)が策定または確認した ものを節減割合の算定の比較基準とする。 ・ラベルや店頭の表示の他、消費者が農薬等の使用 状況をインターネットで確認することができる。 A-1. 生鮮・冷凍野菜 4) 業界自主表示 <日本冷凍食品協会による認定> 日本冷凍食品協会の (社)日本冷凍食品協会では自主的に品質指導基準を設け、確認工場の認定を行 っている。品質基準には、品目ごとに品位、異物、包装、内容量、表示、形態、色択 (乾燥による変色度合)、香味、肉質又は組織(歯ざわり)等の条件がある。輸入冷凍 野菜の場合、海外の確認工場で製造した製品で、検査を受け指導基準に適合した ものには認定証マークが添付できる。また、輸入後、国内の確認工場でリパックし、協 会の検査を受けて指導基準に適合したものにも認定証マークが添付できる。 問い合わせ先:(社) 日本冷凍食品協会 TEL:03-3667-6671 認定証マーク http://www.reishokukyo.or.jp (4) 新規参入時の留意点 【生鮮野菜】 生鮮野菜市場に参入しようとする場合、卸売市場の理解と、流通コストに注意が必要である。卸売市場を通す場合 は、販売手続きが委託のため相手先を探す必要がない、当日でさばけるため売り残りがないなどの利点がある。このた めスポット的な輸入野菜は卸市場を通す方が輸入・販売しやすいといわれている。 また流通コストとして、生鮮野菜の特性からくる品傷みロス、保冷コスト、選別・包装等の必要経費を見込まなければ ならない。鮮度、品質を保持して国内価格より価格メリットがあるかどうかが問題点となろう。農林水産省の調べでは、 野菜の流通コストが総コストに占める割合は、青果物(野菜+果物)平均では約6割、キャベツでは約5割となっている。 内訳を見ると、食品流通業の労働集約的な産業特性から人件費が多くの部分を占めるとともに、賃借料や支払運賃、 包装材料費等も相当部分を占めている。 成功事例としては、大手量販店などが大口消費者(外食産業等)と契約したものを安定的に輸入しているケースや、 中国産野菜やニュージーランド産かぼちゃのように、現地サイドで商品を日本人好みに開発し、対日輸出に成功した ケースなどが見られる。珍しい新野菜や洋野菜を新規に輸入しようとする時は、特に国内需要の開発と、食べ方や取り 扱い方法などのPRが必要であろう。 ところで、現在最も留意しなければならないのが、残留農薬基準の問題である。前述のように2006年5月末にポジ ティブリスト制度が施行され、残留農薬の規制が強化された。新制度では、基準値を設定した化学物質を283品目から 799品目に増やすとともに、基準値を設定していない物質については残留基準を一律0.01ppm以下に規制している。 生産者は、適正な農薬等の使用に努めるとともに、隣接する農作物への飛散(ドリフト)をできるだけ少なくするよう心が けなければならない。また関連事業者は、農薬使用履歴、防除基準、防除歴等に基づき、自らが取扱う野菜に使用さ れた農薬の把握、管理に努め、効果的な衛生確保体制を構築することが求められる。 <参考> 主要都市における輸入野菜の卸売数量・価額・価格 品目 輸入野菜 計 卸売価格 (円/kg) 対前年比 卸売数量 (千t) 卸売価額 (億円) 436 840 193 113 99 104 103 99 111 数量(%) 価額(%) アスパラガス 9 59 688 ブロッコリー 32 83 263 86 96 価格(%) 88 かぼちゃ 106 121 114 114 90 79 さやえんどう 11 33 302 87 98 114 たまねぎ 98 63 65 158 153 97 にんにく 17 22 132 99 92 93 しょうが 15 39 251 93 83 89 生しいたけ 15 46 319 84 97 116 374 278 109 100 92 その他の輸入野菜 135 資料:農林水産省「平成17年青果物卸売市場調査」 (注:輸入野菜については、主要都市の市場計のみであり、全国値の推定は行なわれていない) ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 19 A-1. 生鮮・冷凍野菜 【冷凍野菜】 冷凍野菜の輸入は通常予定された数量をコンテナ単位で発注することが多い。また冷凍の持つ特性から、流通過 程上、冷凍コスト、保冷コスト、選別、包装などの必要経費がかかる。日本の市場は品質と規格に対しかなり厳格であ る。鮮度、傷、サイズ、色等の品質に十分注意しなければならない。また輸出国の製造段階から輸入・輸送の段階まで 衛生面での取扱いが特に要求される。 残留農薬のポジティブリスト制度への移行に伴い、国内の冷凍食品メーカーは安全な原料の確保や製品の様々な 検査等を行うことにより、残留基準値を超える食品を製造することがないよう最大限の努力を払っている。参入にあたっ ては、このようなニーズに応じた出荷体制を構築できることが必要である。例えば中国産冷凍野菜では、日中両国政 府の取決めにより、厳格な管理・基準をクリアした製品だけが輸出可能であり、さらに輸出時に中国政府の検査による 証明書の発行、輸入時には厚生労働省の検査が行われ、すべてクリアして初めて国内に搬入されている。また、ある 冷凍食品メーカーでは、日本人スタッフによる現地の生産管理者を養成したり、加工工場内に残留農薬センターを設 け事前検査の徹底を図る等により、取引先の輸出企業の安全性管理を強化している。 (5) 関連品目の留意点 ① きのこ きのこを輸入する際には、用途・種類に応じて植物防疫法、食品衛生法の規制を受ける。きのこの中には、ブクリョウや チョレイ等の漢方薬の原料として利用されるものがあるが、医薬品として輸入する場合は、薬事法の規制を受ける。 ② 調整野菜 きゅうり、しょうが、わらび、小ナス、らっきょう等の野菜類は、塩蔵、酢調整、瓶詰めなどの加工調整品として輸入される ことが多い。これらを輸入する際には食品衛生法の適用を受ける。 (6) 関連法規制の所轄官公庁 植物防疫法 農林水産省 消費・安全局 植物防疫課 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3502-3386 (直通) http://www. maff.go.jp 食品衛生法 厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 監視安全課 輸入食品安全対策室 TEL:03-5253-1111 (代) FAX:03-3503-7964 (直通) http://www.mhlw.go.jp JAS 法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律) 農林水産省 消費・安全局 表示・規格課 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3502-0594 (直通) http://www.maff.go.jp 種苗法 農林水産省 生産局 種苗課 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3502-5301 (直通) http://www. maff.go.jp 計量法 経済産業省 産業技術環境局 知的基盤課 計量行政室 TEL:03-3501-1511 (代) http://www.meti.go.jp 健康増進法 厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 基準審査課 新開発食品保健対策室 TEL:03-5253-1111 (代) FAX:03-3501-4867 (直通) http://www.mhlw.go.jp 不当景品類及び不当表示防止法 公正取引委員会 経済取引局 取引部 消費者取引課 TEL:03-3581-5471 (代) FAX:03-3581-1754 (直通) http://www.jftc.go.jp 資源有効利用促進法/容器包装リサイクル法 経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 TEL:03-3501-1511 (代) http://www.meti.go.jp 環境省 廃棄物・リサイクル対策部 企画課 リサイクル推進室 TEL:03-3581-3351 (代) FAX:03-3593-8262 (直通) http://www.env.go.jp 農林水産省 総合食料局 食品産業企画課 食品環境対策室 TEL:03-3502-8111 (代) FAX:03-3508-2417 (直通) http://www.maff.go.jp ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 20 A-1. 生鮮・冷凍野菜 4. 日本の関税・消費税 (1) 関 税 生鮮・冷凍野菜の関税率は次頁の図表20~21のとおりである。なお、事前に関税分類や関税率等を確認する場合、 税関に対して口頭・文書・Eメールで照会を行い、回答を受けることができる「事前教示制度」を利用すると便利である。 問い合わせ先:税関ホームページ http://www.customs.go.jp 【特恵関税制度】 特恵受益国から生鮮・冷凍野菜を輸入し、特恵関税の適用を受けようとする場合には、原則として特恵受益国の税関など が発給する「特恵原産地証明書」(Form A)を添付する必要がある(総価額が20万円以下の場合は不要)。なお、生鮮野菜 については、特恵原産地証明書の提出を省略可能なものもある。詳細は財務省 関税局へ確認のこと。 図表20 生鮮野菜の関税率 税 HS番号 品 名 率 日星 協定 日馬 協定 5% 5% WTO 協定 4.3% 3% 10% 8.5% 課税価格が1キログラムにつき67円を超え73円 70銭以下のもの 10% 8.5% (73.70円- 課税価格) /kg 課税価格が1キログラムにつき73円70銭を超え るもの シャロット -020 にんにく 0703.20, 10% 8.5% 無税 5% 5% 3% 3% 5% 5% 5% 3% 3% 3% 5% 5% 3% 3% 5% 3% 5% 5% 5% 5% 2.5% 3% 3% 3% 無税 *無税 *無税 無税 無税 無税 無税 5% 3% 無税 5% 3% 1.5% *無税 *無税 5% 3% 10% 5% 5% 15% 5% 6% 3% 3% 9% 2.5% 0701.90 0702 0703.10 -011 -012 ばれいしょ トマト たまねぎ 課税価格が1キログラムにつき67円以下のもの -013 90 -010 -090 0704.10, 20, 90 0705.11, 19, 21, 29 0706.10 0706.90 -010 -090 0707 0708.10, 20, 90 0709.10、 20、40、70 30、60 0709.90 -010 -091 -099 0714.90-210 0910.10-231 リーキその他のねぎ属のもの ねぎ その他のもの キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、ブロッコリー、そ の他のもの 結球レタス、レタス ウイットルーフチコリー、その他のもの にんじん及びかぶ その他のもの ごぼう その他のもの きゅうり及びガーキン えんどう、ささげ属又はいんげんまめ属の豆、その 他の豆 アーティチョーク、 アスパラ、セルリー、ほうれん草、つるな及びやまほ うれん草 なす、とうがらし属又はピメンタ属の果実 その他の野菜 スイートコーン かぼちゃ その他のもの さといも (生鮮のもの) しょうが (生鮮のもの) 基本 特恵 暫 定 2.5% 8.0%又は((73.70 円-課税価格)x 15/16)kgのうちい ずれか低い税率 8.0%又は((73.70 円-課税価格)x 15/16)kgのうちい ずれか低い税率 無税 無税 *無税 2.5% 2.5% 無税 その他のもの以外は 無税 無税 無税 *無税 *無税 *無税 1.5% *無税 *無税 無税 無税 2.5% 5.0% 無税 無税 7.9% 無税 *無税 無税 注1) 特恵欄の「*」は後発開発途上国(Least Developed Countries)にのみ適用されることを示す。 注2) 税率は原則として、特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して採用される。ただし、特恵税率は法令で 定める要件を満たす場合に限られ、WTO協定税率はそれが暫定税率又は基本税率より低い場合にのみ適用される。 ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 21 A-1. 生鮮・冷凍野菜 【EPA (経済連携協定)】 日本とASEAN諸国との間ではEPA(経済連携協定)交渉が推進されており、農林水産分野においても関税の撤廃・削減 が進められている。日本・シンガポール新時代経済連携協定(2002年11月30日発効)、日本・マレーシア経済連携協定 (2006年7月13日発効)によって、シンガポール及びマレーシアを原産国とする対象品目については、EPAによる協定税率 が適用される。 ASEAN諸国の関税率適用状況は以下のとおりである。 適用税率 LDC特恵税率 一般特恵税率 日星協定税率 日馬協定税率 WTO協定税率 国 名 ミャンマー、カンボジア、ラオス タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム シンガポール(注) マレーシア(注) ブルネイ 注) EPAの対象品目に含まれない場合は、シンガポールを原産地とする物品にはWTO協定税率が、マレーシアを原産地とする 物品には一般特恵税率が適用される。 図表21 冷凍野菜の関税率 税 品 HS番号 0710.10、21、22 0710.29 -010 -090 0710.30 0710.40 0710.80 -030 -010、-090 0710.90 -100 -200 0714.90 -110 2004.10 -100 -210 -220 2004.90 -110 -120 -211 -212 -220 -230 -240 -291 -299 名 率 日星 協定 日馬 協定 7.4% 10% WTO 協定 8.5% 10% 10% 10% 12.5% 6% 8.5% 6% 10.6% 5.0% 7.4% 5.0% 9.3% 20% 12% 10.9% 10% 6% 5.0% 野菜を混合したもの 1. スイートコーンを主成分とするもの 2. その他のもの さといも 単に加熱による調理をしたばれいしょ マッシュポテト その他のばれいしょ 調理スイートコーン (加糖) その他の野菜 (加糖) アスパラガス(無糖) 豆(無糖) たけのこ (無糖) 調理スイートコーン (無糖) ヤングコーン (無糖・気密容器入り) 12.5% 10% 10% 10% 16% 9.6% 17.5% 28% 20% 20% 16% 12.5% 25% 10.6% 6% (10%) 8.5% 13.6% 9% 10.5% 23.8% 17% 17% 13.6% 7.5% 15% 9.3% 5.0% 8.8% 8.0% 12.4% 8.4% 9.2% 22.3% 15.9% ヤングコーン (無糖・気密容器以外) その他野菜 (無糖) 25% 9.6% 15% 9% 基 本 ばれいしょ、えんどう、ささげ属またはいんげんまめ属の豆 その他のもの 枝豆 その他のもの ほうれん草、つるな及びやまほうれん草 スイートコーン その他の野菜 ごぼう ブロッコリー、その他のもの 特 恵 暫定 9% *無税 12.4% 6.6% 8.2% 13.6% 7.9% 注1) 特恵欄の「*」は後発開発途上国(Least Developed Countries)にのみ適用されることを示す。 注2) 税率は原則として、特恵税率、WTO協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して採用される。ただし、特恵税率は法令で 定める要件を満たす場合に限られ、WTO協定税率はそれが暫定税率又は基本税率より低い場合にのみ適用される。 (2) 消費税 (CIF+関税)×5% 5. 関連業界団体 ・(社)日本冷凍食品協会 TEL:03-3667-6671 FAX:03-3669-2117 http://www.reishokukyo.or.jp ・(財)日本冷凍食品検査協会 TEL:03-3438-1411 FAX:03-3438-1980 http://www.jffic.or.jp ・独立行政法人農畜産業振興機構 TEL:03-3583-8196 FAX:03-3582-3397 htp://www.alic.lin.go.jp ASEAN 輸出業者のためのマーケティングガイド 22