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キーサイト・テクノロジー PCI Express の概要と評価、測定

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キーサイト・テクノロジー PCI Express の概要と評価、測定
アプリケーション・ノート
er’s Manual
Version 2009.7.28.
Keysight
Insert the
キーサイト・テクノロジー
TitleExpress
in this の概要と
PCI
評価、測定
Space
02 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
内容
1.PCI Express の概要 ................................................................................................................................................ 3
2.PCI Express の測定と評価 ..................................................................................................................................... 4
2-1. 物理層の測定と評価....................................................................................................................................................................... 4
2-2. リンク・トランザクション層の測定と評価 .......................................................................................................................................... 6
2-3. PCI Express Gen2 の測定と評価 .................................................................................................................................................. 10
3.コンプライアンス・テスト ........................................................................................................................................ 17
3-1.
3-2.
3-3.
3-4.
3-5.
電気特性テスト.............................................................................................................................................................................. 17
コンフィグレーション・テスト ........................................................................................................................................................... 18
リンク・プロトコル・テスト ................................................................................................................................................................ 19
トランザクション・プロトコル・テスト ................................................................................................................................................ 19
プラットフォーム BIOS テスト ......................................................................................................................................................... 20
4.Keysight の PCI Express ソリューション ................................................................................................................ 21
4-1. 電気特性の評価とデバッグ .......................................................................................................................................................... 21
4-2. リンク/トランザクションの評価とデバッグ ...................................................................................................................................... 22
4-3. Rx 評価 ......................................................................................................................................................................................... 25
5.Tips/お役立ちリンク ............................................................................................................................................. 26
5-1. PCI Express アプリケーション Tips ................................................................................................................................................ 26
5-2. お役立ちリンク集........................................................................................................................................................................... 33
03 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
1.PCI Express の概要
PCI Express は、ISA/EISA、PCI/PCI-X に続く第三世代の高性能 I/O バスとして開発されました。今や PC やサーバー用マザーボードへ
の搭載は標準的となり、さらに産業用途や民生機器の内部バスとしても PCI Express が幅広く普及しています。
PCI Express の主な特徴は
 ソフトウェア・レベルでの PCI 互換性
 高いデータ帯域幅
 高い拡張性と柔軟性
 高度な電力管理
などが挙げられます。
また、技術的な特徴として
 2.5Gbps の高速差動シリアル伝送
 プロトコルによるデータ伝送
 明確な階層構造アーキテクチャ
などがあります。
PCI Express の階層構造を図 1 に示します。
図 1. PCI Express の階層構造
 ソフトウェア層は PCI 互換性を持ち、既存のドライバ・ソフトやアプリケーション・ソフトが変更なしで動作します。既存のソフトウェア資
産を有効活用しながら、通信データ帯域幅を向上できるのが大きな魅力になっています。
 トランザクション層は PCI の各種トランザクションをパケット化します。CRC エラーのチェック機能も備えています。トランザクション層が
生成するパケットは TLP(Transaction Layer Packet)と呼ばれます。
 データ・リンク層はデータ通信のフロー制御や電力管理を行います。データ・リンク層が生成するパケットは DLLP(Data Link Layer
Packet)と呼ばれます。
 物理層は TLP や DLLP を実際に電気信号として送受信する役割りを担っています。2.5Gbps の高速差動シリアル信号として伝送す
るための準備を行ないます。
 メカニカル層はボードやコネクタなど、PCI Express を実装する上での条件を示します。
PCI Express の基本仕様(Base Spec)ではトランザクション層から物理層までを規定し、メカニカル層はフォームファクタに応じた各種の
派生仕様で規定されています。
2. 以上の説明では物理的な信号伝送速度を 2.5Gbps として説明しましたが、Revision 2.0 仕様によって 5Gbps が実用化されており、
今後公開される Revision 3.0 仕様では 8Gbps が予定されています。
04 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
2.PCI Express の測定と評価
2-1. 物理層の測定と評価
物理層、特に電気特性の評価では、アイ・ダイヤグラムによる波形評価が中心になります。アイ・ダイヤグラムは波形のすべての遷移状
態を重ねて表示したもので、その形が人間の目(eye)のように見えることから名づけられました。現在、シリアル伝送規格の多くでアイ・ダ
イヤグラムによる評価が利用されています。
PCI Express では仕様書の中で2種類のアイ・ダイヤグラムが示されています。ひとつは遷移ビット(Transition Bit)に対応するもの、もう
ひとつは非遷移ビット(Non-Transition Bit または De-emphasis Bit)に相当するものです。PCI Express の測定ではこれら2種類のアイ・
ダイヤグラムを分離して、それぞれ評価する必要があります。この様子を図 2-1-1 に示します。
トランジション・ビット
ノン・トランジション・ビット
図 2-1-1. PCI Express 信号のアイ・ダイヤグラム評価
アイ・ダイヤグラムで信号を評価する際には次の2つの点に注意を払う必要があります。
 信号の測定点とアイの関係
 アイ評価のためのクロック・リカバリ方式
PCI Express 信号では De-emphasis と呼ばれる技術が採用されています。一般的に pre-emphasis と呼ばれる技術と同じ発想で、伝送
路の損失によって信号の高域成分が減衰する分を見込んで、送信側であらかじめ信号振幅を相対的に大きく送出するものです。信号
に同じ符号が続いて信号遷移がない部分の振幅は相対的に小さくなります。PCI Express の De-emphasis 技術は信号遷移がない部分
の振幅を下げる操作を意味していて、遷移ビットに対して非遷移ビットの振幅を 3.5dB 低く送出します。
高速の信号は伝送路損失によって信号波形が変化するため、信号の「あるべき姿」、すなわち評価の基準も測定点によって異なります。
PCI Express では基本仕様が LSI ピン位置での信号仕様を、CEM (Card Electromechanical)仕様等の各種フォームファクタ仕様が接続
点での信号仕様をアイ・マスクとして示していますので、測定点に応じたアイ・マスクを適切に選択することが重要です。
PCI Express ではエンベデッド・クロック方式が採用されています。この方式では 8b/10b 符号化(8 ビット・データを 10 ビットに変換して
伝送する)によりデータ信号にクロック情報を重畳し、受信側でクロック信号を再生できるようにしてあります。測定の場合にもシリアル・
データ信号の中からクロックを取り出してアイ・ダイヤグラムを描く必要がありますが、実はクロックを取り出す操作(クロック・リカバリ)の
特性によって測定結果(アイ・ダイヤグラムやジッタ測定値)が左右されてしまいます。このため、PCI Express では「測定に使用するクロ
ック・リカバリ方式」が仕様で規定されています。
05 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
PCI Express 仕様 Revision 1.1 では、測定の際にジッタの無いリファレンス・クロック(基準クロック)を使用し、1.5MHz のコーナー周波数
を持った 1 次ハイパス特性によってクロック・リカバリをおこなうように規定されています。しかし、マザーボードのように、既にリファレン
ス・クロックが搭載されている場合にはリファレンス・クロック源を交換することは現実的ではありません。そこで、このような場合にはリフ
ァレンス・クロック源はそのままに、クロック・リカバリ方式として Revision 1.0a 仕様での評価方式と同じ 3,500UI/250UI 方式を使うよう
に指示されています。これらのクロック・リカバリ方式はオシロスコープの機能として実装されていて、手軽に利用することができます(図
2-1-2)。
図 2-1-2. PCI Express に対応したクロック・リカバリ方式
この他の重要な評価項目としては以下のようなものがあります。
 差動信号のコモン・モード成分
 ユニット・インターバル
 リファレンス・クロック
さらに、仕様 Revision 1.1 ではジッタ関連の項目が強化され、リファレンス・クロックの仕様項目が追加されている他、Tx PLL の帯域特
性も規定されており、注意が必要です。
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2-2. リンク・トランザクション層の測定と評価
リンク・トランザクション層の評価項目は多岐にわたるため、開発する製品の種類や開発の形態によっても評価すべき項目が異なってき
ます。たとえば IP を設計する場合では、データのコーディングといった物理層部分の評価から始める必要があります。既存のチップや
ボードをベースに開発する場合だと、プロトコルの基本的な部分は問題ないと想定されるので、主にはソフトウェアを絡めたトランザクシ
ョン層の評価になってきます。このため、PCI Express のリンク・トランザクション層の評価に関しては、各開発者が状況にあわせて、どの
フェーズでどのようなプロトコル・テスト・ツールを仕様するかを検討する必要があります(図 2-2-1)。
図 2-2-1.プロトコル・テスト・ツールの適用範囲
プロトコル・アナライザは、PCI Express のリンク上を双方向に流れるパケットのやりとりをモニタするための最も基本的なプロトコル・テス
ト・ツールで、開発フェーズすべてにわたって使用されます。また、エクセサイザやジャマーと組み合わせて、能動的な試験やエラー試験
におけるプロトコルの詳細を確認するためにも使用されます。
エクセサイザはエンドポイントやルート・コンプレックスなどの PCI Express デバイスをエミュレーションするツールで、デバイスの単体評
価やトラフィック負荷をかけたりする場合に使用されます。また、LTSSM のテスト機能を持ったものもあり、特に Gen2 で複雑化した
LTSSM 動作の検証が可能です。
エクセサイザではデバイスの完全なエミュレーションはできないため、導入にあたっては目的の試験ができるかどうかを細かく確認する
必要があります。
ジャマーは実際の PCI Express システムに組み込むことにより、様々なエラーを挿入できるツールです。ジャマーは PCI Express リンク
上では透過的で、OS やドライバ、ファームウェアに依存せず使用できます。通常では発生しない、発生させることが困難なエラーを容易
に生成でき、エラーハンドリングなどの検証が可能です。
プロトコル・テスト・カード(PTC)は、PCI-SIG の公式試験であるワークショップで使用されているテスト・ツールです。公式試験を受ける前
に、自社内で同等の試験を実施することが可能となります。製品によっては、基本的な試験に加えて PCI-SIG のチェック・リスト相当の
試験が可能なものもあります。
プロトコル・テスト・ツールの重要な選択ポイントとして、その基本性能があります。たとえばプロトコル・アナライザでは、2.5Gbps という
高速な PCI Express 信号を電気的に確実に捕捉、取りこぼすことなく記録するということは当然のことですが非常に重要です。トリガにも
高度な機能が要求されます。従来の PCI/PCI-X は信号線のハンドシェークでデータ伝送を行いましたが、PCI Express はパケットベース
のポイント・ツー・ポイント通信プロトコルです。リンク上を双方向に流れるパケットから目的の現象をピンポイントで捕まえる、複数のリン
クを同時測定してシステム解析を行うといったことが、効率的なデバッグでは不可欠となります(図 2-2-2)。
07 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
図 2-2-2.プロトコル・アナライザによるパケットレベルとトランザクションレベルの解析
プロトコル・アナライザのもうひとつの重要なポイントとして、プロービング方法があります。評価をしたい、問題が発生して解析したい、と
いう場合に簡単にプロトコル・アナライザを接続できるよう、設計段階からプロービング方法について考えておく必要があります。
現在、PCI Express プロトコル解析のためのプロービング手法としては、3 つの方法があります。いずれの方法も、非常に高速の信号を
測定するため、電気的に検証されて信頼性が高く、かつ扱いやすいプローブを選択することが重要となります。
(1) CEM インタポーザ
PCI Express を標準の CEM 形状で実装している場合に使用します。通常の PC やサーバー、PC ベースの組み込み機器では CEM 形
状が使用されるケースが多く、比較的簡単にプロトコル・アナライザを接続することが可能です。測定したい部分のカードとスロットの間
にインタポーザ(プローブ)を挟み込むことによって、リンク上のデータを測定します。注意点しては、インタポーザを装着した際の機械的
干渉があります。インタポーザを装着した際に、アドイン・カードやインタポーザに接続されるコネクタやケーブルがシャーシと干渉しない
ように事前に検討しておく必要があります。CEM インタポーザの例を図 2-2-3 に示します。
08 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
図 2-2-3.Keysight N5315A PCI Express x16
CEM インタポーザ
(2) ミッドバス・プローブ(Midbus Probe)
Keysight 社が提唱して事実上の業界標準となった、あらかじめプローブを接続するためのフットプリントを設計段階で組み込む方法です。
DUT 側のデザインは標準となっていますが、プロトコル・アナライザ側のプローブは固定方法やパッドへのコンタクト方法、電気的特性な
ど各計測器ベンダが独自の方式をとっています。x8 まで測定可能な標準のものと、x4 まで測定可能な約半分の大きさのものがありま
す。ミッドバス・プローブの例を図 2-2-4 に、フットプリントの実装例を図 2-2-5 に示します。
図 2-2-3.Keysight N4241A
ミッドバス・プローブ (先端部分)
図 2-2-4.ミッドバス・フットプリントの
実装例(x16 を表裏でプロービング)
09 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
(3) フライングリード・プローブ(Flying-lead Probe)
設計段階でミッドバス・フットプリントを組み込まなかった場合や、組み込むスペースがなかった場合に有用な方法です。PCI Express の
差動レーンに個別接続を行います。オシロスコープ測定用に設けておいたパッド程度のものがあれば、小さな抵抗のリードを半田付けし
て接続が可能です。場合によっては、差動レーンのトレースに接続することも不可能ではありません。
差動レーンごとに接続を行うため、x1 の場合はプローブ 2 本(アップ/ダウンストリーム)、半田付けする抵抗は 4 本となります。x4 や
x8 の場合はプローブや抵抗の本数が多くなるため、可能であればミッドバス・プローブを使用する方が簡単です。(実際には x4 や x8 で
この方法を使用しているケースも多数あります) フライングリード・プローブの例を図 2-2-6 に、先端の接続部分を図 2-2-7 に示します。
図 2-2-6.Keysight N4241F
フライングリード・プローブ
図 2-2-7.フライングリード・プローブの接続部分
(1 差動レーン)
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2-3. PCI Express Gen2 の測定と評価
Gen2 仕様の概要
2007 年 1 月に公開された仕様 PCI Express Base Specification Revision 2.0 の主要な仕様としては以下があります。
 PCI Express Base Specification Revision 2.0 (基本仕様)
 PCI Express Card Electromechanical Specification Revision 2.0 (CEM 仕様)
これら Revision 2.0 仕様の特徴は、電気的な信号伝送速度として従来の 2.5Gbps に加え、5Gbps の速度が追加された点です。Gen2
と呼ぶ場合にはこの 5Gbps での動作を指すのが一般的です。ただし、各仕様は 5Gbps だけでなく、2.5Gbps での仕様も含む形で記述
されています。2.5Gbps に対する内容は基本的には Revision 1.1 と同じですが、5Gbps の実現に伴って一部変更されている点もありま
す(LTSSM や従来 reserved となっていたビットの利用など)。
図 2-3-1.PCI Express 2.0 仕様の概要
Revision 2.0 仕様(以下 2.0 仕様)での主要な変更点は以下のとおりです。詳しくは各仕様を参照してください。
 基本仕様
5Gbps での伝送モードの追加
5Gbps 伝送に対する仕様で、従来の Tx, Rx だけでなく、伝送路およびリファレンス・クロックに対する仕様も基本仕様で明確化した。
速度調停方式の変更
 CEM 仕様
伝送路インピーダンスが 85Ωに変更
システム・ボードのジッタ評価が 2 ポート法に変更
Up-plugging※が必須となった(x2, x12 のサポートはオプショナル)
※ up-plugging とは、システム・ボードが実際のコネクタ幅よりも狭い幅のアドイン・カードを動作させることです。例えば、x16 幅のスロ
ット(コネクタ)が x4 幅のアドイン・カードを動作させることを up-plugging と呼びます。従来はスロット幅と同じ幅のカードと x1 幅のカ
ードだけが必須サポートでした。
11 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
図 2-3-2.実際の PCI Express 5Gbps 信号の例
(市販 Gen2 カードを CBB2 を使用して測定)
5Gbps での伝送モードの追加は 2.0 仕様の中心です。伝送速度の他、De-emphasis レベルが従来の-3.5dB の他に、-6dB が追加さ
れています。他の仕様変更のほとんどは 5Gbps を達成するための変更となっています。
速度調停方式の変更とは LTSSM の変更を意味しています。また従来トレーニング・シーケンス中で reserved とされていたビットも利用
するため、従来の設計(Rev1.0a/1/.1 も含む)で reserved bit を利用していた場合には注意が必要です。
伝送路インピーダンスは従来差動 100Ωが基本でしたが、2.0 仕様では差動 85Ωに変更されています。これは基板材料として安価な
FR4 を想定した時に、必要な伝送距離を確保するための条件として決定されました。主な理由としては、5Gbps ではコネクタ部でのイン
ピーダンス低下が激しく、コネクタ前後の伝送路インピーダンスを 85Ωに下げることでインピーダンス不連続を小さくすることができ、一
定の品質で伝送距離を確保できるとシミュレートされたためです。
2 ポート法によるジッタ評価では、データ信号とリファレンス・クロックを同時に捕獲し、その情報からレシーバが見る最悪のアイを推定し
ます。データ信号とリファレンス・クロックの 2 つを同時に測定することから 2 ポート法と呼ばれます。データ信号だけで評価する方法に
比べ、リファレンス・クロックの影響(ジッタ)も含めて評価することができます。
12 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
2.0 仕様での測定と評価(電気特性)
2.0 仕様では、Tx だけでなく、Rx やリファレンス・クロック、伝送路の特性も規定されており、それぞれに適切な測定が求められます。
2.0 基本仕様では Tx 信号の電気特性評価に必要なオシロスコープの性能として、12.5GHz 以上の周波数帯域が求められています。ま
た、PCI-SIG の技術セミナでは、コンプライアンス・テストに必要な性能として、40G サンプル/秒以上のサンプリング速度と差動 2 チャ
ンネル測定(システム・ボードのテスト時)または差動1チャンネル測定(アドイン・カードのテスト時)が必要と説明されています。また、評
価時のデータ量として 1M UI が明示されましたが、これは 10E-6 のエラー率を意識したものであり、必ずしも連続した 1M UI である必
要はありません。
 Tx のジッタ特性評価
5Gbps での信号評価では 1.5MHz 以上のジッタ周波数成分が評価されます。このため、ステップ状の特性をもった HPF フィルタを
周波数領域で適用して評価します。(2.5Gbps の評価では一次 HPF が使われています)。2.0 仕様での Tx ジッタ特性は従来の
median-to-peak での評価ではなく、Tj(total jitter)および Dj(deterministic jitter)での評価に変更になっています。
 2 ポート法
2.5Gbps での評価では Tx 信号だけを評価していましたが、5Gbps での評価ではリファレンス・クロックに内在するジッタの影響も
無視できなくなりました。そこで、Tx 信号とリファレンス・クロックを同時に測定し、その情報からレシーバが見る最悪のアイを推定す
る手法が導入されました。具体的にはシステム・ボード(マザー・ボード)の評価でこの手法が使われます(アドイン・カードの評価で
はジッタの非常に少ないリファレンス・クロックを使用するため、従来と同じ 1 ポート法で評価します)。データ信号だけで評価する
方法に比べ、リファレンス・クロックの影響(ジッタ)も含めて評価することができます。
 CBB2/CLB2
コンプライアンス・テストの測定で利用される 2 種類のフィクスチャ・ボード(CBB, CLB)が 2.0 仕様用に新しく開発され、それぞれ
CBB2、CLB2 との名称で PCI-SIG から頒布されています。1.0a/1.1 仕様用と比べ、接続コネクタが SMP に変更されています。
図 2-3-3.CBB2 の外観
13 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
2.0 仕様での測定と評価(プロトコル)
基本的には 1.x 仕様と同じ考え方になりますが、以下の点に注意が必要です。
 2.0 仕様に対応した測定器
速度が 2.5Gbps のみの場合でも、1.x 仕様と比較するとパケットフォーマットなどが変更されているため、1.x 仕様の測定器を使用し
た場合はエラーが発生するなどしてうまく動作しない可能性があります。
たとえば、アナライザでトレーニング・シーケンスを測定する場合、1.x では未使用で 2.0 では使用されている TS1/2 のフィールドは、
正常にデコードできずエラー表示となります。
5Gbps を使用する場合は、その速度に対応した測定器を使用する必要があります。一般的には、同じ製品でライセンスにより
2.5Gbps 対応と 5Gbps 対応を選択できたり、後で 5Gbps 対応にアップグレードしたりすることが可能です。
 アナライザにおける 5Gbps PCI Express 信号のプロービング
2.5Gbps よりもさらに高速な信号なので、プローブ・アクセサリの選択には 2.5Gbps の場合よりも十分な検討が必要です。プローブの
電気的仕様がベンダにより検証されて定義されているか、扱いやすいものであるか、といったことが選択のポイントになります。
また、被測定側での注意点として、PCI Express リンクのプローブ接続点における信号品質が良好であるかどうかがあります。事前に
シミュレーションやオシロスコープの実測で検証しておくと確実です。
14 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
2.0 仕様のコンプライアンス・テスト
5Gbps に対する公式コンプライアンス・テストは 2008 年 9 月から開始されました。それに先立ち、参考試験(FYI テスト)が 2008 年 2 月
に開始、その後 6 ヶ月の周知期間を経て正式な試験として運用が開始されました。
コンプライアンス・テストの領域(電気特性テスト、プロトコル・テスト、等)は Gen1 と同じですが、使用ツールは Gen2 に対応したものとな
ります。参考試験で使用されるツールも PCI-SIG のウェブ・サイトで公開されています。:
http://www.pcisig.com/specifications/pciexpress/compliance/compliance_library
キーサイトの Gen2 評価ソリューション
Gen2 では基本的に物理層の変更が中心ですが、伝送速度のネゴシエーションを行なうための LTSSM の変更など、電気特性以外の部
分も変更になっているため、伝送速度が 5Gbps になっていることも含め、プロトコル・レベルでの動作確認も引き続き重要です。
キーサイトでは信号品質およびプロトコル両面から評価ソリューションをご提供しています。詳細は以下の各項目をご参照ください。また、
将来的に Gen2 に移行する可能性がある場合には、当面は Gen1 対応の性能で導入いただき、後日最少の追加投資で Gen2 対応の
ソリューションに移行できる”Gen2 Ready“のソリューションもご提供しています。
PCI Express Gen2 Ready ソリューションについては以下をご参照ください。:
http://jp.tm.keysight.com/tmo/mibu/adf/applications/gen2ready/index.shtml
 信号品質評価
Gen2 信号に対応するオシロスコープとしては Keysight DSO/DSA91304A および DSO/DSA81304A/B が利用できます。各オシロ
スコープは 13GHz の周波数帯域と最高 40G サンプル/秒のサンプリング性能を備えています。
図 2-3-4.Keysight DSO/DSA 91304A オシロスコープ
15 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
PCI Express Gen2 対応の自動測定ツールとしては Keysight N5393B があります。使いやすい GUI に従って操作するだけで、Gen2 信
号の評価が簡単に行なえます。アイ評価は PCI-SIG 提供の Sigtest 3.x 用 DLL を搭載しているため、公式コンプライアンス・テスト・ツー
ルである Sigtest 3.x との測定結果の整合性も良好です。
図 2-3-5.Keysight N5393B の設定画面(左)と測定結果例(右)
回路へのプロービングが必要な場合にも Keysight InfiniiMax II シリーズの各種プローブにより、測定点の状況に応じた 13GHz 帯域で
の安定したプロービングが可能です。
図 2-3-6.InfiniiMax II によるプロービング例
 プロトコル評価
E2960B シリーズは Gen2(2.0)に対応した製品です。製品に関する詳細は「4-2 リンク/トランザクションの評価とデバッグ」を参照し
てください。
E2960B シリーズを「Gen2 Ready (Gen1)」ライセンスで使用している場合は、本体をソフトウェア・ライセンスにより 5Gbps に対応し
た Gen2 仕様にアップグレード可能です。
プローブ・アクセサリについては、Gen1 対応製品(E2960A シリーズ)を使用している場合は、E2960B シリーズの Gen2 対応製品を
追加する必要があります。
 コンプライアンス・テストへの対応
キーサイトは参考試験およびその準備の段階から PCI-SIG に協力しており、各テストに以下のように対応しています。
Electrical Testing
キーサイトのオシロスコープを使用した手順書が公開されています。評価ツール Sigtest 3.x は PCI-SIG のウェブ・サイトで入手できます
(PCI-SIG 会員のみ)。:
http://www.pcisig.com/specifications/pciexpress/compliance/compliance_library#electrical20
16 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
対応オシロスコープ:
 Keysight DSA 91304A
 Keysight DSO 91304A
 Keysight DSA 81304A, 81304B
 Keysight DSO 81304A, 81304B
図 2-3-7.Sigtest 3.x での評価結果(例)
Protocol Testing
テスト仕様書が PCI-SIG から公開されていて、PTC2(Gen2 用 PTC)を用いて 1.1/1.0a と同等のテストが実施されています。PTC2 として
はキーサイトと LeCroy 社の製品が認められています。なお、5Gbps の速度に対応した製品の試験は、2.5Gbps と 5Gbps の両方の速
度で同じ試験が実施されます。
対応プロトコル・テスト・カード:
Keysight E2969B
BIOS Testing
公式な試験としては、1.1 の試験が実施されています。
FYI 試験としては、PTC2 を用いた試験が実施されています。PCI-SIG からテスト手順書が公開されています。
対応プロトコル・テスト・カード:
Keysight E2969A
Keysight E2969B
Configuration Testing
PCI-SIG からテスト仕様書や手順書が公開されています。Gen1 と同様に PCIeCV によるテストが実施されています。PCIeCV は Gen1
試験とは異なるバージョンが使用され、2009 年 8 月時点では v.1.4.6 です。
Reserved Bit Testing
トレーニング・シーケンスで使用される TS1/TS2 オーダードセットのリザーブドビットがセットされている場合でも、リンクが正常に確立す
ることを確認するテストです。
試験には PTC2 が使用され、TS オーダードセットのリザーブドビットをクリアした場合、セットした場合のどちらでも正常にリンクが確立す
ることを確認します。
Gen1 では合否判定には関係しない FYI 試験として実施されています。
Link Width Testing
PCI Express Spec 2.0 では、デバイスの中間リンク幅(x16 の場合だと x8 や x4)でもリンクが確立できることと仕様が変更されました。こ
のテストは、中間リンク幅(および x1)で正常にリンクが確立するかどうかを確認するものです。
具体的には、アドインカードに物理的なリンク幅(カードエッジ幅)変換アダプタを装着してリンクが確立するかを確認します。
17 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
3.コンプライアンス・テスト
コンプライアンス・テストとは仕様適合性を確認するための測定を指すのが一般的ですが、PCI Express の場合には事情が異なります。
PCI-SIG が制定したコンプライアンス・プログラム(図 10)の中で、コンプライアンス・ワークショップで実施されるテストを「コンプライアン
ス・テスト」と呼びます。
図 3.PCI-SIG のコンプライアンス・プログラムの構成
PCI-SIG のコンプライアンス・プログラムの最終到達点は、開発製品が PCI-SIG のインテグレーターズ・リストという、いわば「お墨付き」
のリストに掲載され、市場で認知されることです。このための条件は2つあり、ひとつは PCI-SIG が定期的に開催する「コンプライアンス・
ワークショップ」に参加し、相互接続性と PCI-SIG による機能確認テストに合格すること、およびテストに合格後にインテグレーターズ・リ
ストへの掲載依頼を PCI-SIG に提出することです。この PCI-SIG による機能確認テストが「コンプライアンス・テスト」と呼ばれ、以下の
種類があります。





電気特性テスト
コンフィグレーション・テスト
リンク・プロトコル・テスト
トランザクション・プロトコル・テスト
プラットフォーム BIOS テスト
これらのテストはその内容や手順、使用機材が規定されており、その内容は PCI-SIG のウェブで公開されています。また、コンプライア
ンス・ワークショップでの試験対象は CEM 仕様のフォームファクタに限られています。
3-1. 電気特性テスト
電気特性テストは差動信号波形をリアルタイム・オシロスコープで捕捉し、その波形データを SigTest という解析ツールで解析して
Pass/Fail が判定されます。アドイン・カードのテストには CBB と呼ばれる治具が使用され、システム・ボードの場合には CLB という治具
が使用されます。Gen1 の場合、リアルタイム・オシロスコープは 6GHz 以上の周波数帯域、20G サンプル/秒以上のサンプリング速度
(2 チャンネル同時)の性能を備えたものが必要です。SigTest での解析結果の例を図 3-1-1 に示します。
18 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
図 3-1-1.SigTest での解析結果例
3-2. コンフィグレーション・テスト
コンフィグレーション・テストはテスト・プログラムによりコンフィグレーション空間の実装状況やその動作をチェックし、仕様に準拠している
かどうかをテストします。このテストを実行するためには特別な装置は必要ありません。テスト・プログラムである PCIECV(PCI Express
Configuration Verifier)は PCI-SIG の Web からダウンロードできます。PCIECV は Windows XP 上で動作し、システムをテストする場合
は被試験システムに、アドイン・カードをテストする場合はカードを装着するリファレンス・プラットフォーム(PC)に PCIECV をインストールし
ます。
PCIECV を実行し、仕様のレビジョン(1.0a/1.1)、デバイスの種類、試験項目を選択してテストを実行します。テストはだいたい 15~20 分
程度で終了し、実行のログファイルが記録されます。PCIECV の実行結果の例を図 3-2-1 に示します。
図 3-2-1.PCIECV の実行例
PCIECV はテスト項目も多く細かな点までテストされるので注意が必要です。具体的にどのようなテストを実行しているのか確認できるよ
う、PCIECV のソース・コードが PCI-SIG の Web で公開されています。
19 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
3-3. リンク・プロトコル・テスト
リンク・プロトコル・テストはアドイン・カードにおけるリンク層の基本的な動作をテストします。テストには Keysight 社の PTC(Protocol
Test Card、製品型番は E2969A)と、Windows XP 上で動作する PTC ソフトウェアが使用されます。リファレンス・プラットフォーム(PC)に
PTC ソフトウェアをインストールし、PTC を装着、PTC の上にテストするアドイン・カードを装着します。
PTC ソフトウェアを実行し、テストするアドイン・カードのデバイスと試験項目を選択してテストを実行します。テストは通常 10 秒程度で終
了します。テストのハードウェア構成例を図 3-3-1 に、プロトコル・テストの実行例を図 3-3-2 に示します。
図 3-3-1.PTC を使用したテストのハードウェア構成例
図 3-3-2.プロトコル・テストの実行例
3-4. トランザクション・プロトコル・テスト
トランザクション・プロトコル・テストではトランザクション層の基本的な動作をテストします。テストはリンク・プロトコル・テストと同じ環境で
同様に実行されます。
20 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
3-5. プラットフォーム BIOS テスト
プラットフォーム BIOS テストはシステムおよびその BIOS のためのテストで、BIOS がシステムに接続されているデバイスを適切に検出
し、初期化およびリソースの割り当てを行うことができるかどうかを確認します。実際に様々なデバイスをシステムに接続することは困難
なので、テスト・カードで様々な PCI Express トポロジをエミュレートしてテストを行います(図 x)。テスト・カードには Keysight 社の PTC、も
しくは Nital 社のテスト・カードを使用します。
Keysight 社の PTC を使用する場合は、被試験システムに PTC を装着し、自動的にシステム j をリセットするためのフロッピー・ディスク
をセットします。被試験システム上には OS(Windows XP など)は必要ありません。被試験システムとは別の Windows XP が動作する
PC に PTC ソフトウェアをインストールし、PTC と USB ケーブルで接続します。
PTC ソフトウェアを実行し、試験項目を選択してテストを実行します。テストを実行するためには、通常数 10 分かかります。プラットフォ
ーム BIOS テストの実行例を図 3-5-1 に示します。
図 3-5-1.プラットフォーム BIOS テストの実行例
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4.Keysight の PCI Express ソリューション
4-1. 電気特性の評価とデバッグ
Keysight DSA 90604A は 6GHz の周波数帯域を備え、20G サンプル/秒で 4 チャンネル同時の波形捕獲が可能です。PCI Express 仕
様に準じたクロック・リカバリ・メニュー、デバッグ時に威力を発揮するジッタ解析機能や 8b/10b デコード表示機能など、PCI Express 機
器の開発に威力を発揮します。また将来より高いデータ・レートへの対応が必要になった場合にも、最高 13GHz 帯域までのアップグレ
ードが可能です。DSA90000A シリーズは PCI-SIG の公式コンプライアンス・テストにも採用されている安心のモデルです。
図 4-1-1.Keysight DSA 90000A シリーズ・オシロスコープ
PCI Express 信号へのプロービングも充分な配慮が必要です。プロービングはエンベデッド・システムだけでなく、デバッグの際には必要
になります。Keysight InfiniiMax/InfiniiMax II シリーズ・プローブ・システムは最高 13GHz までの周波数帯域を備え、PCI Express 信号
へのプロービングに充分な性能をご提供します。プロービングで重要なのはプローブ本体のカタログ性能ではありません。実際の使用
状態におけるアクセサリまでも含めた性能が重要になります。Keysight InfiniiMax/InfiniiMax II シリーズでは実際の使用状況に合わせ
た豊富なプロービング・アクセサリをご用意し、それぞれの性能特性も公表していますので、安心してご利用いただけます。
図 4-1-2.Keysight InfiniiMax シリーズ・プローブ・システムの使用例
22 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
4-2. リンク/トランザクションの評価とデバッグ
E2960B シリーズは PCI Express に特化した測定ソリューションで、 プロトコル・アナライザ、エクセサイザ、ジャマーおよび PTC(プロトコ
ル・テスト・カード)から構成されています。Gen1 および Gen2、x1~x16(ジャマーは x8)に対応していて、アナライザは各種プローブ・アク
セサリをご選択いただけます。また、現在 Gen1 対応を必要とされるお客様向けには、コストを抑えて導入し将来 Gen2 にアップグレード
可能な「Gen2 Ready」構成もご用意しております。また、アナライザは対応リンク幅を拡張することも可能です。
図 4-2-1.Keysight E2960B シリーズ N5306A プロトコル・アナライザ
図 4-2-2.Keysight E2960B シリーズ N5309A エクセサイザ
23 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
図 4-2-3.Keysight E2960B シリーズ N5323A ジャマー
PCI-SIG が主催するコンプライアンス・ワークショップでは、リンク/トランザクション・プロトコル・テストおよびプラットフォーム BIOS 試験
に Keysight E2969 シリーズ プロトコル・テスト・カードが使用されています。Keysight E2969A/E2969B を使用すれば、コンプライアンス・
ワークショップに参加する前に自社内で事前テストを実施することが可能です。
図 4-2-4.Keysight E2969A プロトコル・テスト・カード(PTC)
24 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
FuturePlus 社 FS4400 PCI Express 解析プローブは、Keysight 16800/16900 シリーズ ロジック・アナライザで PCI Express プロトコルを
解析するためのアダプタです。16800 シリーズにも対応するため、安価な測定ソリューションを構築することが可能です。基本的な性能
は Keysight N4220B と同等で、FS4400 では 1 ユニットで 1 系統の x4 リンク、2 ユニットで 1 系統の x8 リンクまで対応可能です。プロ
ーブ・アクセサリは ExpressCard インタポーザを含め、各種サポートされています。
また、PIPE の測定や FPGA 内部・周辺ロジックの解析やデバッグには Keysight 16800 シリーズや 16900 シリーズ ロジック・アナライザ
が対応しています。
図 4-2-5.FuturePlus FS4400
PCI Express パケット解析プローブ
図 4-2-6.Keysight 16800 シリーズ
ポータブル・ロジック・アナライザ
図 4-2-7.Keysight 16900 シリーズ
ロジック・アナライザ
25 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
4-3. Rx 評価
PCI Express の評価のうち、Rx(受信側)の評価には信号源が必要です。仕様で規定された劣化信号、すなわち規定量のジッタが印加さ
れ振幅も低減された信号を発生し、その信号に対しても Rx が正しく動作するかを検証します(Rx sensitivity test)。また、DUT のループ
バック機能を利用してビット・エラー率で評価することも可能です。Rx 評価には Keysight N4093A J-BERT が最適です。
図 4-3-1.Keysight N4093A 高性能シリアル BERT
26 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
5.Tips/お役立ちリンク
5-1. PCI Express アプリケーション Tips
Q1. PCI Express 全般について
Q1-1. PCI Express の仕様書はどこで入手できますか?
A. PCI-SIG 会員企業の従業員は PCI-SIG のウェブ・サイトから無償でダウンロードできます(事前にメンバー登録が必要です)。PCISIG 会 員 企 業 で な い 場 合 に は 、 仕 様 書 の ハ ー ド コ ピ ー を PCI-SIG か ら 購 入 で き ま す 。 以 下 を 参 照 し て く だ さ い 。
http://www.pcisig.com/specifications/ordering_information
Q1-2. CEM 以外のフォームファクタには何がありますか?
A .多数の派生仕様があります。代表的なものとしては、Mini PCI カードに相当する PCI Express Mini Card(制定母体は PCI-SIG)、
PCMCIA カードに相当する ExpressCard(制定母体は PCMCIA)、CompactPCI に相当する CompactPCI Express(制定母体は PICMG)
などがあります。
Q1-3. PCI Express では SSC は必須ですか?
A. PCI Express 仕様としては SSC(spread spectrum clocking スペクトラム拡散クロック)の使用は任意(optional)です。ただし、市販さ
れているマザーボードでは SSC を利用しているものが多数あるため、相互接続性が重要な場合には、アドイン・カードも SSC 対応で設
計する必要があります。
Q1-4. ケーブルで伝送する規格はありますか?
A. External Cabling Specification Revision 1.0 が 2007 年 1 月に PCI-SIG からリリースされました。この仕様では PCI Express 信号を
伝送するためのケーブルとコネクタを規定しています。信号線としてデータと基準クロック、いくつかの補助信号線が含まれています。詳
細は仕様をご参照ください。
Q1-5. PIPE とは何ですか?
A. PIPE はインテル社が制定した規格で、主に PHY チップとその上位層を接続するのに利用されます。主な信号線は 8 ビットまたは 16
ビットのデータとクロック、コマンド線などがあります。詳細は”PHY Interface for the PCI Express Architecture”に記載されています。この
資料はインテル社のウェブ・サイトで公開されています(利用にはメンバー登録が必要です)。
http://www.intel.com/technology/pciexpress/devnet/
Q1-6. PCI Express 技術を理解するための参考書はありますか?
A. 英語ですが、以下の書籍が良くまとまっています。
Ravi Budruk 他著 “PCI Express Sytem Architecture”, 2003, Addison-Wesley, ISBN: 0-321-15630-7
また、日本語では以下の書籍があります。
荒井・里見・田中(弊社エンジニア共著), 「改訂新版 PCI Express 入門講座」, 2008, 電波新聞社, ISBN978-4-88554-963-2
27 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q1-7. 基板設計の参考になる参考書はありますか?
A. 英語ですが、以下の書籍が詳しく説明しています。
Dave Coleman “PCI Express Electrical Interconnect Design”, 2004, Intel Press, ISBN: 0-9743649-9-1
以下の書籍では PCI-SIG の設計ガイドラインに沿った解説が含まれています。
荒井・里見・田中(弊社エンジニア共著), 「改訂新版 PCI Express 入門講座」, 2008, 電波新聞社, ISBN978-4-88554-963-2
Q2 電気特性の評価について
Q2-1. 3,500UI/250UI 方式とはどんなクロック・リカバリ方式ですか?
A. 差動電圧波形の 3,500UI (Unit Interval)の平均データ・レートを求めてクロック周波数とし、同じ 3,500UI の中央の 250UI の波形デ
ータを使ってアイ・ダイヤグラムを描く方式。3 次の傾きを持ったハイパス特性に近いとされています。
Q2-2. クロック・リカバリの特性が測定値に影響を与えるのはなぜですか?
A. クロック・リカバリ回路(測定器内部でソフトウェアにより実現する場合も同じ)はジッタに追従できる範囲が限られています。追従でき
る範囲のジッタに対しては、再生されたクロック信号は入力データ信号のジッタに追従し、データとクロックの間の相対的なジッタは非常
に少なく観測されます。ところが、追従できる範囲を超えるようなジッタに対しては、クロックがデータの変動に追従せず、相対的なジッタ
が増加します。クロック・リカバリ回路が追従できるジッタの範囲はクロック・リカバリ回路の帯域特性におおむね依存します。
Q2-3. DUT と測定器はどのように接続すればよいですか?
A. 測定点が CEM コネクタの場合、アドイン・カードでは CBB が、システム・ボードでは CLB が信号を取り出すプローブ・ボードとして利
用できます。これはコンプライアンス・テストで利用されるプロービング方式です。測定点が CEM コネクタでない場合には、広帯域アクテ
ィブ・プローブを使用します。例えば 2.5Gbps の信号では 6GHz 以上の周波数帯域を備えたプローブを使用します。前掲の図 7 も参照
してください。
Q2-4. コンプライアンス・パターンとは何ですか?
A. 基本仕様第 4 章で規定されているパターンで、コンプライアンス・テストで使用されます。Tx 差動出力のそれぞれを 50Ωでグランドに
接続すると、Tx LSI は特定の 40 ビット・パターンを繰り返し出力します。これがコンプライアンス・パターンで、8b/10b 符号化で使用され
るデータの中で信号品質的に最も厳しいパターンの組み合わせとなっています。具体的には K28.5-, D21.5, K28.5+, D10.2 の 4 シンボ
ルが順に繰り返し出力されます。マルチレーン構成の場合には、Delay キャラクタが追加されます。詳細は基本仕様を参照してくださ
い。
Q2-5. CLB を使用したマザーボードの測定でコンプライアンス・パターンが出力されません。
A. CLB (Compliance Load Board)のカード・プレゼンス・ピンの設定を確認します。BIOS 設定でコンプライアンス・パターンの出力を停止
している場合もあります。
28 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q2-6. CBB を Revision 1.1 の測定に使用することはできますか?
Q2-7. CBB1 とは何ですか?
A. Gen1 用の CBB (Compliance Base Board)には 2 種類あり、現在販売されているバージョンは CBB1 と呼ばれています。過去に販売
されたバージョンは単に CBB と呼ばれますが、搭載されているリファレンス・クロック源が異なるため、CBB で Revision 1.1 仕様のテス
ト、特にコンプライアンス・テストを実施することはできません。CBB1 は Revision 1.1 の測定にも Revision 1.0a の測定にも使用できま
す。
Revision 1.0a の測定に使用するには基準クロック源を切り替える必要があります(デフォルトは Revision 1.1 測定用になっています)。
CBB1 には Tx PLL の帯域特性を測定するための端子も設けられています。CBB1 には電源スイッチが搭載されており、ソケットは x16
用だけが搭載されていますので、旧型の CBB とは簡単に見分けられます。
Q2-8. PCI Express の次世代規格(Gen 2)で必要な測定器は何ですか?
A. PCI Express Gen2 の測定と評価の項を参照してください。
Q3 リンク/トランザクション・プロトコルの評価について
Q3-1.ロジック・アナライザによるプロトコル・アナライザと、専用機のプロトコル・アナライザではどのような違いがありますか? どのよう
に使い分ければいいですか?
A.プロトコルを見ることができる、ということでは同じですが、それぞれ以下のような特徴があります。
ロジック・アナライザによるプロトコル解析
 物理層の下位に近い部分の動作を測定できる、具体的にはレーンごとの動作やレーンを流れている 10b データの測定など
 電気的にロバストで、通常のプロトコル・アナライザでは測定不可能な、PCI Express の仕様を満たしていない信号品質でも測定可能
 同時にシステム内の他の部分を測定可能
 ロジック・アナライザは汎用なので、DDR や FPGA などの測定にも流用可能
専用機のプロトコル・アナライザによる解析
 電気的な部分は安定動作していることを想定
 専用の GUI で簡単操作が可能
 目的のパケットを補足するためのトリガ機能が強力
 リアルタイムの性能測定が可能
 P2L(Protocol to Logic)機能により、ロジック・アナライザと連係動作が可能
 プロトコル・エクセサイザ機能も同じハードウェアで使用可能(要ライセンス)
 相対的にロジック・アナライザによるソリューションよりも安価
一般的には、ASIC や IP など物理層に関連する部分も開発する必要があればロジック・アナライザをベースにした製品、既存のチップや
ボードを購入されるような場合は専用機のプロトコル・アナライザが適していると考えられます。
Q3-2.Midbus Probe のフットプリントはどこにデザインして置けばいいですか?
A. フットプリントの部分で電気的な品質がアナライザの仕様を満たしていれば、どこに置いても大丈夫です。通常はアップ・ストリーム側
とダウン・ストリーム側を同じフットプリントで測定するので、Midbus Probe という名前の通りリンクの中間点に置くことが多いです。実際
は PCB のデザインにより、フットプリントをデザインしやすい部分に置くことが多いようです。
29 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q3-3.Flying-lead Probe を装着するための抵抗はどこに半田付けすればいいですか?
A. 測定のための抵抗は、オシロスコープの測定に使用できる程度の大きさのパッドがあれば、容易に接続可能です。理想としては信号
の反射による影響が少ない、受信端に近いところでプロービングすることが望ましいですが、実際は以下のようなところに半田付けする
ケースが多いです。
 オシロスコープの測定用に設けたパッド
 カップリング・コンデンサの部分
 貫通ビアのパッド(BGA チップの反対側)
 独自コネクタの足
 PCB ボード上のトレース・ライン(トレースは通常細いため、やや困難です)
Gen2 速度では、プロービング点における信号品質に注意する必要があります。
Q3-4.リファレンス・クロックはアナライザに接続する必要がありますか?
A. E2960B シリーズのプロトコル・アナライザでは、マニュアル上は「SSC を使用している場合や、データ・レートがアナライザの入力仕様
から外れている場合は、リファレンス・クロックを接続する必要があります」となっていますが、実力的には SSC を使用している場合でも
リファレンス・クロックなしで動作する場合がほとんどです。
CEM インタポーザの場合は、ほぼすべてのケースでリファレンス・クロックが存在し、CEM インタポーザもリファレンス・クロックがアナラ
イザ側に接続されていますので、基本的にはアナライザを外部クロック設定にして使用することをお勧めします。Midbus Probe や
Flying-lead Probe の場合は、外部クロック設定にする場合は別ケーブルでリファレンス・クロックをアナライザに接続する必要がありま
す。
基本的には、リファレンス・クロックを取り出せるように DUT をデザインしておく、可能であればリファレンス・クロックを接続して測定を行
うことをお勧めします。
Q3-5.プロトコル・エクセサイザではどのようなことができるのですか?また使用する上での注意点は?
A. プロトコル・エクセサイザはパケットを送受信する機能をもった測定器で、テストするデバイスとポイント・ツー・ポイントで接続して使用
します。そのため接続方法としてはスロットのみになります(Midbus や Flying-lead はアナライザ用のプロービング方法です)。エクセサ
イザを組み込み機器や独自フォームファクタの開発に使用されている場合に、独自コネクタからスロットへの変換フィクスチャを作成され
ている実例があります。
Keysight 社のプロトコル・エクセサイザは高機能でコンフィグレーション空間を実装するなど、実デバイスに近い状態を再現できるように
なっています。しかしながら、実システムの機能までを再現することはできない、主に TLP(トランザクション層パケット)生成を意図したも
のである、といったことがあるので、テスト項目についてはエクセサイザの機能を考慮しながら検討する必要があります。
Q3-6.PIPE の測定は可能ですか?
A. PIPE は 8 ビットまたは 16 ビット、速度は 500MHz、250MHz または 125MHz なので、一般的なロジック・アナライザで測定することが
可能です。Keysight の現行ロジック・アナライザでは、さらにパケット・デコードし、パケット・ビューワで表示することが標準で可能です
(パケットデコードするためには、スクランブルをオフにする必要があります)。
30 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q4 コンプライアンス・テストについて
Q4-1. コンプライアンス・テストに合格すると PCI Express のロゴが使えるのですか?
A. PCI-SIG のコンプライアンス・プログラムはロゴ認証プログラムではありません。また、PCI-SIG はインテグレーターズ・リストへの掲載
製品についても仕様適合性の保証はしていません。なお、PCI Express ロゴは PCI-SIG 会員であれば使用することができます。ただし、
製品の仕様準拠をうたうためには、当該製品がインテグレーターズ・リストに掲載されていることが必要です。
詳細は最新の PCI-SIG Trademark and Logo Usage Guidelines を参照してください。
Q4-2. コンプライアンス・テストはどのフォームファクタでも受験できますか?
A. PCI-SIG のコンプライアンス・ワークショップに参加するには、CEM フォームファクタに準拠する必要があります。PCI-SIG 以外の規格
については、各規格化団体で確認してください。
Q4-2. Mini CEM カードでコンプライアンス・テストを受験できますか?
A. Mini CEM カード(PCI Express Mini Card)はアダプタにより CEM カードの形状に変換すれば受験できます。ただし、試験はアダプタも
含めた CEM アドイン・カードとして実施され、インテグレーターズ・リストもアドイン・カードの欄に掲載されます。アダプタは特定のものは
指定されておらず、受験者の責任で用意する必要があります。なお、Mini CEM カード特有の機能については試験されません。
Q4-3. SigTest を入手したいのですが?
A. PCI-SIG のウェブ・サイトからダウンロードできます(PCI-SIG 会員のみ)。
Q4-4. CBB や CLB を入手したいのですが?
A. PCI-SIG のウェブ・サイトで購入できます。PCI-SIG 会員以外でも購入できますが、価格が異なります。
Q4-5. コンプライアンス・テストの手順を知るには?
A. PCI-SIG のウェブ・サイトにコンプライアンス・テストの手順やツールが掲載されています。ダウンロードは PCI-SIG 会員のみです。
Q4-6. コンプライアンス・テストを代行してくれるような仕組みはありますか?
A. 現在は、PCI-SIG のコンプライアンス・テストを代行してくれるような仕組み(サード・パーティ・テスト)はありません。しかしながら、
キーサイト・テクノロジーではその豊富な経験を元に、予行演習として「プリ・コンプライアンス・テスト」を有償にてご提供し皆様のコンプラ
イアンス・テスト受験をサポートさせていただいています。このサービスの詳細はお問い合わせください。
な お 、PCMCIA に よ る ExpressCard 規 格 に つ い て は サ ー ド ・ パ ー テ ィ ・ テ ス ト が 認 め ら れ て お り 、Allion が 認 定 さ れ て い ま す
(www.allion.co.jp)。
31 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q4-7 CBB2 と CBB1 の違いは何ですか?
Q4-8 Gen2 の試験に CBB1 は使えますか?
Q4-9 Gen1 の試験に CBB2 は使えますか?
A. CBB2 は Gen2 対応のアドイン・カードを試験(信号品質)するためのコンプライアンス・ベース・ボードです。Gen2 アドイン・カードでは
2.5GT/s および 5GT/s の信号品質が試験されます。2.5GT/s と 5GT/s の切り替えは CBB2 上のプッシュ・スイッチを押すことで行ない、
2.5GT/s → 5GT/s (-3.5dB) → 5GT/s (-6dB)と動作モードを推移させ、それぞれのモードで信号品質を評価します。CBB1 にはこのモー
ド遷移の機能がないため、CBB1 を Gen2 アドイン・カードの試験に使うことはできません。また、CBB2 搭載のリファレンス・クロック源は
CBB1 搭載のものよりもジッタが少ないものが使用されています。従って、Gen1 の試験に CBB2 を使った場合、ジッタ特性が CBB1 の
場合よりも若干良くなる可能性がります。現在実施中の公式コンプライアンス・テストでは Gen1 用には CBB1、Gen2 用には CBB2 が使
用されており、CBB2 が Gen1 試験で使用された実績はありません。
Q4-10. Gen2 製品は 5GT/s だけで評価すればよいのですか?
A. いいえ、Gen2 製品であっても 2.5GT/s モードでの評価も必要です。通信相手は Gen1 製品である可能性があり、また Gen2 同士で
の通信でも初期動作は 2.5GT/s で行なわれるため、Gen2 製品には 5GT/s だけでなく 2.5GT/s での動作も求められています。仕様項
目についても 5GT/s に対する仕様だけでなく、2.5GT/s に対する仕様も満足することが求められます。
Q4-10. Gen2 仕様では必ず 5GT/s をサポートする必要がありますか?
A. いいえ、Gen2 仕様(PCI Express Base Specification Revision 2.0 以後)では 5GT/s 動作が可能なもの(5GT/s capable と呼ばれる)
以外に、2.5GT/s 動作のみのものも認められています(2.5GT/s only と呼ばれる)。コンプライアンス・ワークショップにもこのカテゴリが
あり、Rev 2.0 仕様に準拠した 2.5GT/s のみの製品も受験できます。
Q4-11. CBB2 や CLB2 のコネクタが SMP に変更された理由は?
A. Gen1 用の CBB/CBB1 や CLB では信号コネクタとして SMA が使用されていましたが、CBB2 や CLB2 では SMP コネクタに変更され
ており、測定用のアクセサリ類も SMP で準備する必要があります。SMP の方が小型であることから CBB2/CLB2 では SMP が採用され
ました。
Q4-12. CBB2 でジッタ印加端子が 2 個に増えている理由は?
A. CBB1 ではリファレンス・クロックにジッタ信号を重畳させてジッタを印加していましたが、CBB2 ではジッタを含んだリファレンス・クロッ
クを外部から入力する方式に変更されました。この入力が差動信号であることから、端子も 2 個に増やしました。なお、リファレンス・クロ
ック源の切り替えは CBB2 上のチップ抵抗の移動により行ないます。
Q4-13. CBB2 や CLB2 を使う上での注意点は?
A.測定に使用しないレーンはすべて 50ΩSMP 終端(メス)により終端しておきます。例えば、x4 のアドイン・カードを評価する場合には、
測定対象のレーン以外(レーン 0 からレーン 3)を CBB2 上で終端して測定します。信号が存在しないレーン(レーン 4 からレーン 15)は
終端する必要はありません(終端しても問題ありません)。なお、SMP コネクタが装備されていないレーンは CBB2 上で既に終端されて
います。
32 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
Q4-14. CBB2 や CLB2 はどこで入手できますか?
Q4-15. CBB2 や CLB2 はキーサイトから購入できますか?
A. CBB2 や CLB2 は PCI-SIG から購入できます。以下を参照してください。
http://www.pcisig.com/specifications/order_form
CBB2 や CLB2 の転売は PCI-SIG により禁止されているため、PCI-SIG から直接購入してください。PCI-SIG 会員向けと非会員向けで
は価格が異なるので、注意が必要です。
Q4-16. コンプライアンス・チェック・リストとは何ですか?
PCI Express 仕様書に基づいて満足すべき性能要件をまとめたリストで、自己採点方式のチェック・リストのことです。PCI-SIG のインテ
グレーターズ・リストへの掲載条件としてコンプライアンス・チェック・リストの提出が必要な時期がありましたが、2007 年 6 月からはコン
プライアンス・チェック・リストの提出が不要となりました。既存のコンプライアンス・チェック・リストは設計時に有用な参考資料として現在
も PCI-SIG のウェブ・サイトに掲載されていますが、PCI-SIG では今後新しいチェック・リストは作成せず、また現在のチェック・リストもア
ップデートしないとしています。チェック・リストは以下の Compliance Collateral 欄に掲載されています。
http://www.pcisig.com/specifications/pciexpress/technical_library/
33 | Keysight | キーサイト・テクノロジーPCI Express の概要と評価、測定
5-2. お役立ちリンク集
 PCI-SIG (Peripheral Component Interconnect - Special Interest Group)
http://www.pcisig.com/home
 PCI-SIG の PCI Express 関連ページ
http://www.pcisig.com/specifications/pciexpress/
 PCMCIA (Personal Computer Memory Card International Association)
http://www.pcmcia.org/
 PCIMG (PCI Industrial Computer Manufacturers Group)
http://www.picmg.org/
 ASI-SIG (Advanced Switching Interconnect SIG)
http://www.asi-sig.org/home
キーサイト・テクノロジー合同会社
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記載事項は変更になる場合があります。
ご発注の際はご確認ください。
©Keysight Technologies. 2015
Published in Japan, January 26,2015
5990-5705JAJP
0000-08A
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