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Interview 技術生産本部 - 株式会社医学生物学研究所|MBL

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Interview 技術生産本部 - 株式会社医学生物学研究所|MBL
MBL キャラクター
AZ(アズ)
No.28
2016 年 冬号
特集
Interview 技術生産本部
株式会社 医学生物学研究所 技術生産本部 本部長 久原 基樹
Topics
皮膚筋炎の診断補助 体外診断用医薬品 3 品目が新規保険適用されました
「車山霧氷」 撮影:安田 健二
Interview 技術生産本部
株式会社 医学生物学研究所 技術生産本部 本部長 久原 基樹(くはら もとき)
【略歴】
1997 年 当社入社 医薬開発室に配属、アレルギー関連の抗体開発に従事
2003 年 技術開発部 グループリーダー 抗体技術開発・受託抗体作製業務に従事
2008 年 東京農工大学 工学府生命工学専攻にて博士(工学)の学位取得 2009 年 技術開発部 部長
2014 年 生産技術部 部長
2015 年 執行役員 技術生産本部 本部長
当社では病院の検査などで使われる臨床検
査試薬を多品種少量生産しています
治療経過の予測などをする際に用いられます。当社のス
メブルックス
メサカップ
テ イ シ ア MEBLuxTM シ リ ー ズ、MESACUPTM シ リ ー ズ
━━ 当社の製品はどのような場で使われていますか?
は、このような検査で用いられます。最近では、同じ病
皆さんも一度は病院の検査で採血された経験をお持ち
気の患者様に同じ薬を投与しても治療効果の有り無しが
かと思います。当社は病院などで集められた血液に含ま
あり、その違いが、特定の遺伝子配列の違いに起因して
れる成分を検査することで疾患の判定を行う “ 臨床検査
いる場合があることがわかってきています。当社では診
薬 ” を開発・製造・販売しています。検査方法の例とし
断に有用な遺伝子配列の違いを判別する臨床検査薬も開
ては、ある病気で血液中に増加することがわかっている
発・製造・販売しています。例えば、当社の MEBGENTM
抗体(抗原)をそれと特異的に結合する抗原(抗体)を
RASKET キットは大腸癌の組織中のある遺伝子配列の違
利用して測定するというものです。所謂、鍵と鍵穴の関
いを判別し、効果が期待される患者様だけに投薬を行うた
係とお考え頂くと分かり易いと思います。一定量以上の
めの指標として用いられています。この遺伝子診断により、
抗体(抗原)が検出されたら特定の病気に罹患している
不必要な治療行為の回避、膨張を続ける医療費の抑制にも
可能性があるなど、医師が病気の診断、治療方針の決定、
貢献しています。
採血
MESACUP™ シリーズ
院内または検査センターにて測定
ELISA法を用いた臨床検査薬。
機械がなくても、人の手のみで検査を行うことが可能です。
メブジェン
ラスケット
医師が測定結果やその他の症状、検査結果を用い
病気の診断、治療方針の決定、治療効果の予測
ステイシアMEBLux™ シリーズ
CLEIA法を原理とする全自動臨床検査システムSTACIA®
搭載臨床検査薬。大量検体の全自動処理が可能です。
ELISA 法:抗原抗体反応を用いた測定法のうち、酵素反応を利用した発色により測定する方法。
MBL製品ではプラスチック製プレートの穴(ウェル)内で行う。
CLEIA 法:抗原抗体反応を用いた測定法のうち、化学発光により測定する方法。MBL製品では磁性粒子を用いて行う。
原料の製造・購入
抗原or抗体
原料受入検査
抗原結合粒子製造
分注
抗体
原料受入検査
酵素標識抗体製造
分注
反応用緩衝液製造
分注
抗体
原料受入検査
標準血清製造
分注
抗体
原料受入検査
コントロール製造
分注
部内検査
品質管理部による検定
分注作業
出荷可否判定
出荷
基本的な臨床検査薬(ステイシア試薬)
の生産フロー
キット組作業
━━ 臨床検査薬はどのように製造していますか?
床検査薬のトップメーカーとして認識されていると感じ
まずは最初に原料を調達します。調達の仕方には 2 パ
ています。
ターンあり、自社で作製する方法と購入する方法があり
当社は 1969 年に日本初の抗体メーカーとして設立さ
ます。他には ELISA 用のプレート、試薬を詰めるボトル、
れ、経験と知識を蓄積しています。それを強みとして、
包装用の外箱などの資材を購入しています。当社で作製
ユニークな製品を継続的に世に送り出しています。保有
しているものは抗原・抗体などの特殊原料が主ですが、
している抗原・抗体の技術は大学や公的機関及び企業の
これらは製品性能を左右するものであり、最も重要なも
研究機関での研究開発の一助となる研究用試薬の開発・
のです。
製造にも有効活用されています。
▲
に対して一つ一つ試験を実施し、
受け入れ検査にクリア
1975 年、臨床検査薬分野への進出以降、開発された数多く
の検査薬を継続的に生産している実績
した原料で、キットを製造していきます。ELISA キットの
▲
次に原料・資材の受け入れ検査を行います。個々の原料
日本初の抗体メーカーとして原料生産でも確固たる技術基盤
場合は、プレートに抗体・抗原を感作します(貼付けます)
。
を蓄積・保有
ステイシア試薬などの粒子の場合でも同様に感作します。
貼付ける方法は物理吸着や化学結合です。その他は標識抗
体やバッファーなど様々な液体の試薬を調整します。キッ
トに必要な試薬が全て揃ったら、試薬を組み合わせて管理
用のサンプルを測定し、規定の測定値が出るかどうか、部
生体内の反応やバイオ原料を用いて品質を
一定に保つことの難しさ
内検査を行います。次に品質管理部での検定を行い、これに
━━ 臨床検査薬の生産において、難しいと感じる部分は
ありますか?
合格したのち、
包装、
製品として世に出せるようになります。
臨床検査薬はヒト由来のサンプルを測定しますが、サ
これら全ての工程を1製品につき、2 〜3ヶ月程度で行
ンプルによって性質が異なるケースが多々あります。市
います。多品種少量生産なので、営業計画に則った年間の
販後は開発時とは比べ物にならないほど多数のサンプル
生産計画を立て各製品の生産スケジュールをパズルのよう
を測定していくわけですから、新発売時は想定していな
に組み合わせて、
月に約 150 品目を効率良く生産しています。
かった事象も発生します。そういった情報をキャッチし
て、想定外のことも含めて正しく判定できるよう既存の
臨床検査薬の国内トップメーカーとして数
多くの検査薬を継続的に世に出しています
検査試薬を改良し、それに合わせて新たな生産体制も整
━━ 検査薬メーカーとしての当社の強みはどこにあるで
しょうか?
した細胞など ‘ バイオ原料 ’ を利用して大量生産している
開発・製造・薬事申請など、臨床検査薬に対してのノ
せん。前に作ったものと性質が違うとなると微調整が必
ウハウは国内ではトップだと自負しています。国内の他
要になってきます。場合によっては原料を造り出す細胞
メーカーから臨床検査薬を作製するにあたって、アドバ
や微生物の再作製を余儀なくされることもあり、大変な
イスを求められることがあることからも、他社からも臨
作業となります。
えなければなりません。ただ、その対応には労力がかか
ります。また、原料となる抗体や抗原も、微生物や培養
場合が多く、その生産量や質は必ずしも一定ではありま
━━ 近年、臨床検査の自動化が進み、ハイスループット
な検査 *1 が主流になってきていますね。当社ではこれに
対応したステイシア MEBLuxTM シリーズを販売していま
すが、これまでの試薬と製造面で異なる点はありますか?
これまで検査の主流だった ELISA 法を用いた製品より
も、高感度でハイスループットなステイシア試薬に用いる
小さな粒子の製造のほうが難しく、これまでは問題になら
なかった僅かな抗原量の差でも検査結果に影響してしまい
ます。そのため ELISA 製品では貼付け方法は物理吸着が主
でしたが、ステイシア試薬では化学結合で均一に抗原を感
作させるようにしています。物理吸着よりも手間がかかり
ますが、化学結合で感作させる事によって安定した品質を
保てるようにしています。その他、品質を一定に保つため
に製造の際の容器も工夫しました。プラスチックの容器中
で抗原と粒子を混ぜて感作するのですが、この工程で問題
が生じていることが分かり、容器の素材を検討することで
安定的に生産できるようになりました。
*1 ハイスループットな検査:同時に多数のサンプルを反応させ、処理できる検査。
━━ 海外向けの臨床検査薬はどこで生産していますか?
現在、当社の製造拠点は長野県伊那市の一か所です。
国内のみならず米国、欧州、韓国、中国向け製品の製造
も一手に担っています。
2015 年 10 月 31 日、既存の製造所と道を隔てた隣接
地に、念願の新しい製造所「第2生産棟」が竣工しました。
この「第 2 生産棟」は生産能力の増強を図ったのと同時
に、耐震性の向上、作業環境の改善、生産動線が改良され、
生産の効率化も実現しています。第2生産棟増設にあたっ
ては、海外の医薬品当局(米国 FDA 等)の査察にも十分
対応しうる生産設備、システムの導入を行いました。
▲
▲
▲
詳しくは BIOTOVO No.27 をご覧ください。
製品1つ1つが患者様の病気の診断や治療
方針の判断に使われているとても大事なも
のであるということを社員全員が意識して
います
━━ 生産現場で最も大切にしていることは何ですか?
生産とは単純作業の繰り返しで、簡単だと思うかもし
れません。しかし、単純な作業をミス無く繰り返してい
くというのは大変ですし、とても大事なことなんです。
当社は創業以来、診断薬を作り続けていますが、致命的
な問題が発生したことはありません。これは生産現場の
社員一人一人が長年、責任を持ってしっかりやってきた
からだと思います。
ラベルを貼り、蓋を閉めて、といった単純作業を毎日
繰り返していると惰性的になってしまいがちですが、最
終的に私たちの製品1つ1つが病院で患者様の病気の診
断や治療方針の判断に使われているとても大事なもので
あり、作業の1つ1つがそれらの製品を作るために全て
必要なものであるということを社員全員に意識してもら
うようにしています。また、ベテラン社員が新しく入っ
てきた社員にそういった意識を共有しています。この姿
勢はこれからも引き継いでいかなければなりません。
それから、一人が同じ仕事をずっと続けるのではなく、
ジョブローテションを行い、新たな気持ちで取り組める
環境づくりにも取り組んでいます。当社は多品種少量の
製品群を取り扱っており、同様の製品群でも、微妙に異
なるものが数多く存在します。そのような微妙な違いを
取り違えないよう、システムの整備も行っています。製
造できて当たり前、ではなく、ソフト面・ハード面で、
製造の仕事の大切さを意識して、それを継続できるよう
な環境を整えていく必要があります。社内で他部署に生
産部署の仕事内容を共有して、お互いの仕事を理解しあ
━━ 生産の効率化やコスト削減のために取り組んでいる
ことはありますか?
うことも重要です。
生産というと大量生産のイメージが強いと思いますが、
当社は多品種少量生産でスケールが大きくありませんの
で、原料のコストカットよりも少ない人手でどう効率よ
く生産できるかというところが重要です。そのため、生
産効率を上げるための組織的な活動を推進しています。
機械による自動化へのハードルは高いですが、まずは包
装規格を統一するなどして自動化によるコスト削減を実
現したいですね。
伊那研究所 第二生産棟 食堂
異なる製品を少量ずつ作ることは、大きな利益を生み出
文書の改訂などの作業を進めているところです。また、
し難いですが、その様な製品(試薬)を必要としている患
システムが適切な状態かどうか、定期的に査察を受ける
者様がいることには変わりません。患者数の多い少ないに
ことが義務づけられており、その準備・対応も大変な作
かかわらず、医療に役立つ、新しい検査薬を創出すること
業となります。当社でも年間通じて複数の査察を受けて
が当社の理念でもあります。患者様の治療の一助となる検
いますが、これまでの継続的な取り組みが功を奏して、
査試薬を生産し、社会的な責任を果たしていることを忘れ
いずれも良い評価を頂いています。
ず、安定した品質の製品を安定して提供できるよう必要な
ことを常日頃から意識して活動しています。
過去は製造部分にフォーカスがあてられ、医薬品の製
造と品質管理に関する国際基準(Good Manufacturing
Practice : GMP)が主でしたが、現在は品質を維持する
━━ 社員の安全、
健康面、
労働環境について教えて下さい。
ためのシステムとして、製造・品質管理だけでなく、原
大規模な製造設備・機器は使用しておらず、危険な化
料を調達する購買、製造の前段階の設計開発、出荷後の
学反応を伴う製造工程もありませんが、設備やプロセス
輸送の厳密な管理、さらには、会社として品質を維持す
面と安全を配慮した製造現場の設計や職場での安全配慮
るために監督する立場として経営者の関わりが要求され
も行っていて、大きな労働災害は発生していません。ヒ
ており、今後は、さらに規制が強化される方向に進むこ
ト由来のサンプルや毒劇物の取り扱い等、日常的に発生
とが想定されます。世の中の要求事項を満たす生産活動
する作業については、規制や社内ルールの順守を徹底し、
を維持するためには、QMS の継続的な改善が必須となっ
社員には安全を第一に活動していただいています。周辺
ており、またそのことが、市場での競争力とお客様・マー
は自然に囲まれ、食堂からの眺望は素晴らしく、一歩建
ケットの信頼を得ることに繋がるので、重要課題として
物の外にでればマイナスイオンを浴びてリフレッシュで
取り組んでいます。
きるといったような恵まれた環境だと感じています。
*2 品質マネジメントシステム:略して QMS(Quality Management System)とも
いう。品質に関して組織を指揮し、管理するためのマネジメントシステム。
*3 ISO13485:各国の法規制における要求事項を満たし、安全で有用な製品の継続的な
製造・供給を行うための医療機器産業向けの品質マネジメントシステム規格。
*4 新 QMS 省令:ISO13485 をベースに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全
性の確保等に関する法律」
(薬機法)に合わせて作られた日本の規格。
*5 FDA: アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)。米国で薬品
を販売するには FDA に適切な通知・登録、または FDA からの許可取得が必要です。
*6 QSR:Quality System Regulation の略で、米国 FDA の医療機器 GMP であり、米
国に医療機器を輸出する場合、製造業者が準拠しなければならない品質システム規制
国内外の規制に耐えうる品質マネジメント
システムを維持しており、FDA 査察でも
高評価を得ています
━━ 品質マネジメントシステム *2 にどのように取り組ん
でいますか?
当社はお客様に安全・安心な製品をご提供するために、
品質に関して組織を運用・管理するためのマネジメント
構築しています。一定の品質を確保した製品を作るため
に各種取り決めをすべて手順化し、記録を残すことが求
る ISO13485/2003*3 や日本国内の規格である新 QMS 省
令 *4 に準拠しています。また、米国に一部製品を出荷し
ていることから、最も要求事項が厳しいとされる FDA*5
の査察に対応するため QSR*6 の規制も取り込み、2 度の
品質向上と安定生産
多品種少量生産の最適化・効率を高め、効率的な生産形
態を模索し原価低減と廃棄損削減を図る。
▲
められています。このシステムは医療機器の QMS であ
社会的使命・価値を自覚し、正確に診断できる高品質な
検査薬を提供し続ける。
▲
システムである、品質マネジメントシステム(QMS)を
2020 年に向けての目標
生産管理システム、生産計画の最適化をすすめ会社経
営に貢献する。
新しい基軸となる新製品を速やかに量産化できる体制を
構築する。
▲
新製品上市の効率化(仕組み)と先取り対応
査察を経験し、高評価を得ています。欧州、中国をはじ
め各国で独自の規制があるため、製品を出荷している国々
バックアップ体制の構築
は、一律のフォーマットがあるわけではなく、自分たち
の製品の品質を保証するために必要なシステムを自分た
ちで構築していくというものです。ですから、日々、各
国の規制・薬事情勢を把握して、必要に応じてブラッシュ
アップしていかなければなりません。ISO13485 も 2016
年版が発行されましたので、3 年以内に準拠すべく品質
▲
の規制にも対応しています。品質マネジメントシステム
多能工推進、高齢化対策も含めた技術伝承を推進する。
改善・課題解決を行う中で人を育成し、安心・安全なや
りがいのある働きやすい職場を目指す。
皮膚筋炎の診断補助 体外診断用医薬品
3 品目が新規保険適用されました
Topics
2016 年 10 月 1 日より、当社製品の「MESACUPTM anti-MDA5 テスト」、「MESACUPTM
ガンマ
anti-TIF1- γ テスト」、「MESACUPTM anti-Mi-2 テスト」が保険適用されました。
この 3 製品は自己免疫疾患の一つである皮膚筋炎の診断補助に用いられる体外診断用医薬品
(臨床検査薬)です。
体外診断用医薬品とは?
外来において、臨床医は患者様の強く訴える症状や身体所見、既往歴より診断につながる情報を得ます。
しかし、体の中で何が起きているか、どのような状態にあるか、ということは外見だけではわかりません。
そこで体外診断用医薬品を使い、血液や尿を調べて、数値などのデータで確認し、診察時に得られた情報
と照合することで診断をくだします。そして、診断することで、その後の治療手段を決定することができ
ます。
自己免疫疾患とは?
通常、免疫系は体内に入ってきた
異物を認識し、排除するための役
正常な状態
割を担っています。自己免疫疾患
自己免疫疾患の状態
とはこの免疫系が何らかの異常に
より、自分自身の細胞や組織に対
してまで過剰に反応し攻撃を加え
敵だ!
ウイルスなど
敵だ!
自己の細胞
てしまうことで臓器障害等を引き
起こす疾患の総称で、代表的な疾
抗体
抗体
患に、関節リウマチがあります。
関節リウマチの診断と治療は 、この
数年で著しい進歩をとげました。治療に関しては、薬物療法の進歩によるところが大きいと考えられます
が、治療の起点となる診断を早期に行うことの有効性が見出されたことも重要なポイントです。
この傾向は関節リウマチに限らず、他の自己免疫疾患についてもその重要性が報告されており、当社の体
外診断用医薬品は、臨床現場において診断、予後(病状についての医学的な見通し)予測の一助として活
用されることが期待されております。
多発性筋炎 / 皮膚筋炎とは?
多発性筋炎は四肢近位筋の筋力低下を主症状と
する慢性炎症性筋疾患です。難病に指定されて
いる膠原病の一つで全国に約 20,000 人の患者
様がおり、うち女性が約 7 割を占め、小児及
び 50 歳代に多く見られます。筋肉の炎症によ
り、力が入りにくく、腕が上げづらい、階段を
上るのが困難、疲れやすい、食べ物が飲み込み
づらい、関節痛などの症状があらわれ、進行す
ると日常生活に支障をきたします。これに紅
斑やむくみなど、皮膚症状を伴う場合に皮膚筋
炎とされています。筋、皮膚以外にも多彩な全
身の臓器病変を合併することが多い疾患です。
その病態は多様であり、いくつかの病型に分類
され、病型によって有効な治療方法が異なり
ます。筋炎特異的自己抗体(抗 ARS 抗体、抗
MDA-5 抗体 , 抗 Mi-2 抗体 , 抗 TIF1-γ 抗体など)
を測定する体外診断用医薬品により、これらの抗体の血液中濃度などのデータを得ることで、診断だけで
なく、病型分類や予後予測にも有用であることが示されており、この重要性が注目されています。
当社が 2014 年 1 月 1 日付で保険適用を受けて販売しております「MESACUPTM anti-ARS テスト」が
検出する抗 ARS 抗体も筋炎特異的自己抗体の1つですが、多発性筋炎 / 皮膚筋炎における陽性率は 3 割
程度でした。 今回、新たに 3 種類の筋炎特異的自己抗体の検査が加わり、自己抗体によりカバーできる
範囲が拡大しました。特に皮膚筋炎においては、上記 4 項目により陽性率が 7 割程度にまで向上すること
が報告されております。
保険適用について
体外診断用医薬品として保険適用され、
広く一般の病院でも、
保険診療の中で検査できるようになりました。
その結果、皮膚筋炎の早期診断や早期治療につながることが期待されます。特に抗 MDA5 抗体は、陽性
となる皮膚筋炎で急速に進行する間質性肺炎を高率に合併し、予後が非常に不良であると知られています。
今までは、一部の大学の研究室でしか検査ができず、検査の結果がでるまでに時間がかかり、その結果不
幸な転帰を迎える場合が多くありました。保険適用によって、より早期の診断と予後予測ができるように
なり、患者様の予後の改善が期待されています。
自己免疫疾患の分野は解明されていないことが多く残されておりますが、医療に携わる企業として、これ
まで培った経験と多くの臨床医・研究者のご助言により、今後も医療・基礎研究のニーズに応えられるよ
う研究開発に取り組んでまいります。
長野の小窓から
表紙、裏表紙の風景は当社社員が撮影した写真です。
研究所、生産棟のある長野県の澄んだ空気、冬の美しい自然がよく表されています。
「富士山遠望」 撮影:安田 健二
「南信の雪景色」 撮影:福島 義之
“BIOTOVO:バイオトーブ ” は宮沢賢治のイーハトーブにならい
Biotechnology とエスペラント語の ovo(卵)をあわせてつくりました.
http://www.mbl.co.jp/
〒460-0008 名古屋市中区栄4丁目5番3号 KDX名古屋栄ビル10階
TEL (
: 052)238-1901 FAX (
: 052)238-1440
E-mail : [email protected]
発行日: 2016 年 12 月 13 日
部 数: 4,400 部
編集 / 発行: 株式会社 医学生物学研究所 営業企画グループ
548168-16121044N
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