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第5回 ソーラーエネルギー利用推進フォーラム

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第5回 ソーラーエネルギー利用推進フォーラム
九都県市再生可能エネルギー活用セミナー
今知りたい!太陽熱の可能性
~太陽熱利用のメリットや普及策の紹介~
2014年10月
本日の発表内容
1.太陽熱利用の意義
2.ソーラーエネルギー利用推進フォーラムについて
3.太陽熱利用の方式
4.太陽熱利用のメリット
5.普及に向けた課題
6.普及策
7.住宅への普及
8.導入事例
9.太陽熱の利用拡大に向けて
1
1.太陽熱利用の意義
2
太陽エネルギーの特徴と利用拡大の意義
■ 無尽蔵の再生可能エネルギー ⇒ 枯渇の心配なし
■ 地球温暖化防止に寄与するCO2を排出しないエネルギー
⇒ 大きなCO2削減効果
■ 世界のどこでも利用可能なエネルギー
⇒ 地産地消に適する。
エネルギー自給率向上に寄与(現自給率4%)
■ 自立・防災性に優れるエネルギー
東日本大震災の被災地でも太陽熱温水器が活躍
地球温暖化防止、自立・防災性向上の観点からも
太陽熱利用拡大は有効
3
ドイツと日本の太陽熱利用の推移
ドイツは、国の普
及政策により太陽
熱の導入を加速
・世界の太陽熱市場で規模が大きい地域は
中国、米国、欧州
・日本の太陽熱導入量は世界7位
・欧州の中では特にドイツでの普及が加速
4
国家政策との関係
「エネルギー基本計画」 (2010年6月閣議決定)
・ 2020年までに、一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合10%
・ 太陽熱やバイオマス熱利用等の拡大に向けた取組を行う
・ グリーン熱証書のさらなる利用拡大に向けた証書対象範囲拡大、認証基準作成等
「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ」 (2010年12月28日中環審発表)
・ 太陽熱利用機器 2020年 最大1,000万台(5世帯に1世帯)と約3倍に
東日本大震災後、再生可能エネルギー導入ニーズのさらなる高まり
新成長戦略「日本再興戦略」 (2013年6月14日閣議決定)
・ 2030年に目指す社会 ① クリーンで経済的なエネルギー供給、② 競争を通じてエネルギーが効率
的に流通、③ エネルギーを賢く消費
・ 陸上及び洋上風力、太陽光、小水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギーの徹底活用を図る。
・ 再生可能エネルギー投資が日本経済のコストではなく強みとなるよう、日本が得意とする分野の一層
の強化を図る。
新たな「エネルギー基本計画」 (2014年4月11日閣議決定)
・ 熱利用:コージェネレーションや再生可能エネルギー熱等の利用促進
太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱をより効果
的に活用していくことも、エネルギー需給構造をより効率化する上で効果的な取組となる。
・ 再生可能エネルギーの導入加速 ~中長期的な自立化を目指して~
2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく。
太陽熱、地中熱、・・・、下水熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図る。5
導入ポテンシャル
■住宅への導入ポテンシャル
・ 太陽熱温水システムは比較的小さな住宅にも設置可能で、太陽電池よりも設置
ポテンシャルが大きい。特にバルコニーは設置面積が3m2程度で太陽熱向き
・ 戸建住宅への最大導入ポテンシャルは、1,300万戸から太陽電池の導入目標
530万戸を除いた770万戸
・ 集合住宅への最大導入ポテンシャルは、23万戸/年 → ストック1,000万戸へ!
◇集合住宅
◇戸建住宅
太陽熱温水
システム
太陽電池
フロー
45万戸/年
ストック
2,600万戸
総戸数
最大導入 フロー 40万戸/年 30万戸/年
ポテンシャル ストック 1,300万戸 1,000万戸
新築住戸数
51万戸/年*
バルコニー
設置型
16万戸/年
屋上設置の
セントラル型
7万戸/年
*ストック
2,000万戸
太陽電池の2020年導入目標530万戸
[長期エネルギー需給見通し(再計算),2009年8月]
6
2.ソーラーエネルギー利用推進
フォーラムについて
7
ソーラーエネルギー利用推進フォーラム
低炭素社会の実現に向けて、ソーラーエネルギーと調和する環境性
に優れた住宅・建築物の普及を目指す。
関係団体
日本ガス体
エネルギー普及促進
協議会
設立 (2009年6月11日)
研究機関
連 携
有識者
行政
事業者
フォーラムの基本的な考え方
ソーラーエネルギー利用推進のための政策面・技術面等の課題解決
ソーラーエネルギー利用システムの普及
地球温暖化防止・エネルギーセキュリティ確保
8
フォーラムの活動、体制
フォーラムの具体的活動
・
・
・
・
ソーラーエネルギー利用推進のための普及政策の提言
新たなソーラーエネルギー利用技術の調査・検討
デザイン性・設置性に優れたソーラーシステムの検討
太陽熱利用機器の標準化の検討 など
フォーラムの体制
会長: 中上英俊(住環境計画研究所 代表取締役会長)
主催: 日本ガス体エネルギー普及促進協議会(コラボ)
共催: (一社)ソーラーシステム振興協会
(株)住環境計画研究所
(一財)ベターリビング
(一社)日本ガス石油機器工業会
コージェネ財団
東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス
会員: ソーラーシステムメーカーなど22社、団体(平成26年9月現在)
事務局:コラボ(日本ガス協会他)、コージェネ財団
9
フォーラムの取り組み
■第1フェーズ:2009~2011
Step1
太陽熱利用に関する課題の整理
Step2
産・学・官連携による太陽熱利用普及に向けた普及策の整備
製品開発
標準化
普及策
各専門部会にて、各課題の解決方策を検討
普及政策部会 (主査:芝浦工業大学 秋元教授)、住宅用技術部会(主査:東京都市大学 坊垣教授)
標準化部会
(主査:工学院大学 宇田川教授)、デザイン部会 (主査:神戸芸術工科大学 小玉教授)
業務用技術部会(主査:東京大学 飛原教授)
■第2フェーズ:2012~2014
Step3
太陽熱利用機器の普及を促進
消費者が安心・信頼して導入できる仕組みの確立
魅力ある製品の開発推進
情報発信・イメージアップ戦略
10
(参考)第1フェーズ:2009~2011の主な成果
部会名
普及政策
部会
住宅用
技術部会
標準化部会
主 査
芝浦工業大学
秋元教授
○低炭素化・自立化へ向けた外部環境動向、市場動向分析
○導入ポテンシャルやコストの分析
○統一名称SOLAMOの導入
○熱証書制度の検討
○太陽熱の簡易計量・みなし計量の課題検討
○国・自治体の導入補助の獲得
東京都市大学
坊垣教授
○実証試験によるシステム性能等の評価
○実証試験による環境価値の評価
○太陽熱利用システムの導入効果試算
○太陽熱の簡易計量・みなし計量の実証開始
○みなし計量へ向けたシミュレーション手法検討
工学院大学
宇田川教授
○施工方法の標準化(給湯器との接続方法、部材の標準化、施工要領書)
○施工士認定制度の立上げ
○新たな補助制度に対する認証制度の検討
○最適システム選定ガイドの作成
神戸芸術工科
デザイン部会 大学
小玉教授
業務用
技術部会
主な成果
東京大学
飛原教授
○デザインに関する国内外調査
○モデル事業(戸建、集合)
○戸建・集合住宅向けデザイン検討
○コミュニティ向けデザイン検討
○ソーラークーリングシステムの検討
○ソーラークーリングシステムの実証試験
○導入補助制度の獲得
○開発ロードマップの作成
11
(参考)第2フェーズ:2012~2014の主な取り組み
部会名
主 査
第2フェーズの主な課題
普及政策
部会
芝浦工業大学
秋元教授
 適正規模の国の導入補助の獲得
 簡易計量・みなし計量に基づく熱証書制度の試行
 初期市場形成のためのマーケティング戦略策定
 環境価値、信頼性の発信
住宅用
技術部会
東京都市大学
坊垣教授
環境価値の熱証書化のためのみなし計量法の確立
 ユーザの投資回収を可能とするための更なるコストダウン
 実証データに基づく改良開発推進
工学院大学
宇田川教授
 新たな補助制度に対する認証制度や公的試験機関立上
 システム、施工両面における更なるコストダウンのための
標準化
 (部材共通化、屋根材一体型 等)
標準化部会
神戸芸術工科
デザイン部会 大学
小玉教授
業務用
技術部会
東京大学
飛原教授
 街並みや建築と調和の取れたデザインの創出・発信
 ハウスメーカや工務店等と連携した新デザイン・新コンセプト
の実証・商品化
集熱器設置方法の標準化などのコストダウンの推進
簡易な熱量計測の手法または機器の開発
国内外企画や認証制度の整合化への働きかけ
12
3.太陽熱利用の方式
13
太陽熱利用システムの種類
A:太陽熱利用温水システム
C:ソーラークーリングシステム
D:太陽熱温水器
吸収式冷温水機
(ソーラークーリング)
温水
太陽熱集熱パネル
B:空気式ソーラーシステム
熱交換器
冷水
温水
冷房
暖房
14
A:太陽熱利用温水システムのしくみ
熱媒(不凍液など)をポンプ
で循環させ、蓄熱槽にお湯
を蓄える。
15
B:空気式ソーラーシステムのしくみ
16
C:ソーラークーリングシステムのしくみ
ソーラークーリングシステム 大阪ガスHPより
17
参考:吸収式冷凍機の原理
パナソニック ES産機システム(株) HPより
18
D:太陽熱温水器のしくみ
19
太陽集熱器の種類
A,C,D
C
B
20
住宅用最新太陽熱利用温水システムの紹介
■ 戸建住宅用
長府製作所
パーパス
ノーリツ
ノーリツ
ガスター
長州産業
4m2
200L
太陽熱給湯
補助熱源機
一体形
4m2
180L
2~4m2
90L
4~6m2
200L
4m2
100L
2m2
100L
太陽熱給湯
PVと組合せ
形
太陽熱給湯&暖房
補助熱源機一体形
太陽熱給湯
補助熱源機別置形
21
集合住宅用太陽熱利用ガス温水システム
3m2
標準価格:約130万円(材工込み)
22
集合住宅用太陽熱利用システム
集合住宅へ再生可能エネルギーを大量導入可能な希少な方策
<導入形態例>
SOLAMO(バルコニー)
SOLAMO(マイルーフ)
専用
専用
SOLAMO(シェアルーフ)
集熱パネル:屋上設置
各戸の日照
条件が良い
場合等
共用
蓄
熱
槽
M
M
集熱パネル:
バルコニー
設置
M
メーター
給湯器
貯湯槽 +
補助熱源機
配管ルートが
短い場合等
給湯用水
予熱
23
4.太陽熱利用のメリット
24
家庭における用途別エネルギーの使用割合
家庭で使うエネルギー半分以上は熱(給湯と暖房)
暖房
24.0%
動力・照明
他
37.3%
冷房
2.3%
太陽熱
利用可能
厨房
8.3%
給湯
28.0%
出典:資源エネルギー庁 エネルギー白書2014
25
太陽熱の実力
太陽熱利用システム
0.4kW/m2
太陽エネルギー
1kW/m2
太陽エネルギーの
約40%を
お湯として活用
40
10
~15
太陽光発電システム
0.1~0.15kW/m2
太陽エネルギーの
約10~15%を
電気として活用
26
住宅用太陽熱利用システムの特徴
・面積当たり一次エネルギー削減量で太陽電池を上回る
・設置スペースが少ないので、日当たり面積が小さい屋根・壁にも設置可能
・現時点では機器コストが高いレベルにあり、国や行政による「普及支援策」
が必要
■ 家庭用太陽エネルギー利用システムの比較(都市ガスエリア、戸建住宅向)
利用機器
太陽熱利用温水システム
屋根上
設置スペース
4m2程度
年間出力
一次エネルギー削減量
1.7 GJ/m2
太陽光発電システム
16m2 程度
(太陽熱4 ㎡ の出力に相当する
太陽電池面積)
※1
1.9 GJ/m2
0.55GJ/m2
※2
1.5 GJ/m2
戸建住宅の場合、
太陽熱で給湯の約30%~50%を賄える
※集熱パネル面積4㎡の場合
(地域や設置条件、集熱パネル面積等により異なります。)
(太陽電池、太陽集熱器は、南面で水平に対し30°傾斜で設置、影はないものとした)
※1.太陽熱給湯システムの年間出力は、4m2タイプの住宅建築主基準より想定。
※2.シャープ製ND-166AAの公表値(定格効率14.4%)より想定。
27
光熱費の年間削減量
世 12
帯
当 10
た
り 8
の
年
間 6
光
熱 4
費
2
(
万
円 0
)
削減費
4.0
削減費
2.4
削減費
1.1
現状
11.2
現状
7.4
現状
4.0
灯 油
都市ガス
LPガス
※設置方位:真南、設置角度:30度、熱利用量:給湯負荷Lモード500L/日、集熱面積:4㎡、貯湯槽:200L、東京地区
灯油1.98円/MJ、都市ガス3.67円/MJ、LPG5.56円/MJ、ポンプ動力電気25円/kWh
<ソーラーエネルギー利用推進フォーラム試算>
(家庭用エネルギー統計年報:2010年全国平均値)
28
住宅用太陽熱利用温水システムの環境性
①集合用システムの実証試験結果例
(H21国土交通省「住宅・建築物省CO2推進モデル事業」採択)
太陽熱集熱パネル3m2、貯湯槽100L
世帯構成:大人2、子供1
太陽熱依存率
27%
CO2削減率*1
27%
(太陽熱分)
*1 太陽熱分のCO2削減率は従来型ガス給湯器からの削減率
(集熱ポンプは太陽電池駆動のためCO2排出量はゼロ)
②模擬負荷による戸建用システムの実証試験結果例
(独)建築研究所との共同研究
太陽熱集熱パネル4m2、貯湯槽200L
パネル設置条件:傾斜角30度、方位角 南0度(真南)、4人家族負荷
太陽熱依存率
52%
CO2削減率
37%
(太陽熱分)
29
月別の太陽熱利用パターン例
太陽熱利用量
70,000
太陽熱利用量[kJ/日]
60,000
補助熱源機出力熱量
2012年5月~2013年4月
太陽熱依存率 48%
50,000
40,000
補助熱源機(ガス給湯器)
出力熱量
30,000
20,000
10,000
太陽熱利用量
0
5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月
模擬負荷による戸建用システムの実証試験結果 (独)建築研究所との共同研究
集熱器4m2、 貯湯量200L、 4人家族負荷(修正M1モード)
30
1日の太陽熱利用パターン例
2月12日
(2012年)
熱量(kJ/min)
太陽熱利用量
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
洗 台
面 所
所
太陽熱依存率 39%
補助熱源機出力熱量
台 台
所 所
洗
面
所
台
所
台湯
所張
・
浴
室
浴
室
・
洗
面
所
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
時刻
模擬負荷による戸建用システムの実証試験結果 (独)建築研究所との共同研究
集熱器4m2、 貯湯量200L、 4人家族負荷(修正M1モード)
31
エネルギーモニター(台所リモコン)
32
5.普及に向けた課題
33
太陽熱利用機器に対する満足度
一般社団法人ソーラーシステム振興協会 平成16年度調査(回答数1000)
非常に満足
全 体
全体
どちらかといえば
満足
15
どちらかといえば
不満
非常に不満
63.9
14.4 2.2
4.5
よくわからない
太陽熱利用
ソーラーシステム
温水システム
太陽熱温水器
太陽熱温水器
その他(空気集
その他
熱等)
(空気集熱式等)
0%
17.2
57.9
14.2
17.2
66.1
19.2
40%
4.5
13.4 2.1 4.1
50
20%
2.7
19.2
60%
80%
0 11.5
100%
割 合
34
太陽熱利用機器に関する評価
一般社団法人ソーラーシステム振興協会 平成16年度調査(回答数1000)
価格
アフターサービス
外観
使い易さ
利便性
光熱費節約
故障事故少
1.5
価格
アフターサービス
外観
使い易さ
利便性
光熱費節約
故障事故少
7.8
9.3
6.5
5.7
6.0
0
10
32.0
33.5
高
い
評
価
40.6
55.3
63.0
23.9
21.7
低
い
評
価
15.0
20
割
30
合
40
50
60
70
(%)
35
課題1 経済性の向上
太陽熱利用システムのコスト
設備費
工事費
投資 *
回収
年数
太陽熱温水器
太陽熱利用温水
システム
ソーラークーリング
システム
約30万円
(4m2, 200L)
約90万円
(4m2, 200L)
25万円/m2
現状
7~13年
現状
約16~26年
現状
約35年
*LPガス・都市ガスエリア、従来システム
との差額により試算、補助金は考慮せず
太陽熱利用システムも、太陽光発電と同様、
10年程度で投資回収可能になるような普及制度が必要
36
コスト分析
(都市ガスエリア、戸建住宅向)
補助熱源機価格
現状のコスト
28
90万円
10倍普及時
72万円
16
32
△30%
12
6万台/年
普及・開発によるコストダウン
28
従来給湯器分
28
0
46
28
100倍普及時
60万円
ユーザの
投資回収
工事価格
集熱機・貯湯槽価格
10
10
22
28
20
都市ガス節約分(13年間分)
2532
30
40
50
60万台/年
△50%
30
18
60
70
80
90万円
普及拡大に必要なインセンティブ
導入期 約30万円/台
☆コストダウン先進企業の見通し例 (矢崎エナジーシステム)
2012年比 2014年 △33% → 2016年 △50%
(中国の合弁企業での大量生産による製造コスト削減などによる)
37
公的支援策
■国・自治体の主な支援策
対
象
事
業
者
個
人
戸建住宅
集合住宅
業務産業用建物
再生可能エネルギー熱利用加速化支援対
策事業(1/3補助,集熱面積10m2以上)
[東京都] 集合住宅等太陽熱導入
事業(1/2補助,戸建群可)
自治体によって
条件が異なる
①集合住宅バルコニー設置型、業務産業用建物ソーラークーリ
ングシステムは新技術のため、導入者の投資回収(15年)を
確保すべく、導入期は補助率1/2以上が望まれる。
②戸建住宅、集合住宅の個人向けとして、補助率1/3以上
(バルコニー設置型は1/2以上)の支援策が望まれる。
38
経済性向上支援策例
■英国の家庭用向け「再生可能熱インセンティブ(RHI)制度」
2013年7月提案骨子
①適用開始
②適用対象
③支払期間
④支払金額
2014年春~
一定要件を満たす以下の技術
・太陽熱
・バイオマスボイラー、バイオマス・ペレット・ストーブ
・ヒートポンプ(冷温水給湯空調、地中熱源、水熱源)
7年間(四半期ごと)
「単価」×「利用熱量(太陽熱は見なし計量)」
・太陽熱単価:19.2ペンス/kWh(=約31円/kWh)
(160円/GBP換算)
(参考)7年間の総支払金額: 2,347ポンド(=約38万円)(160円/GBP換算)
(注) 英国ソーラー事業協会(Solar Trade Association)試算値
(4人家族、パネル4m2、貯湯槽250ℓの場合)
①英国は、見なし計量に基づくランニング補助金制度を導入予定
②高い支援水準により投資回収年数が大きく短縮し、太陽熱の導入加速に向
け、かなりのインパクトが期待される
39
課題2 新たな機器認証・環境価値活用制度確立
■必要となる新たな機器認証・環境価値活用制度のイメージ
関 係 省 庁
審査
委員会
・審査
審査結果
【規則】
環境価値認証機関
あるいは交付機関
・受付
・審査
・認証
・公表
審査依頼
認
証
・
交
付
機器認証機関
審査結果
・認証受付
・審査
ISOガイド65
・認証
・公表
【認証
規則】
認
認証審査
委員会
認証審査
審査依頼
認
証
【認証規格】 申
請
申 認
請 証 証
機
器 申請者:メーカー
販
申請者:ユーザー
売 ・システム
事業者
・構成機器
・対象機器
・利用条件
【規則】
信頼できる機器の
普及支援
公的試験機関
JIS認証
(JIS認証機関)
交付
・試験の受付
・試験の実施
JIS認証 ・JIS認証
申請
40
公的試験機関立上げに向けた評価方法確立
経済産業省 『新エネルギー等共通基盤整備事業』 2012~2014年度
ソーラーシステム振興協会、名古屋大学、建材試験センターが受託
1.目 的
◇ 自然太陽光による性能評価の限界を払拭すべく、同一の照射条件下
での迅速かつ公正な評価を可能とする人工光照射装置を用いた性能評
価手法の確立
◇ 耐久性、デザイン性改良等新たな技術開発加速による普及拡大
2.事業概要
人工光照射ユニット
均一な照射を実現すべく
24個のランプを装備
◇性能評価技術の整備
・ 人工光照射装置、標準熱需要負荷に
よるシステム性能試験方法の標準化
・ 太陽熱利用システム性能評価技術指
針の確立
◇耐久性評価試験方法等の開発
・ 製品の加速耐久評価試験方法の開発
集熱器
(試験体)
日射計
蓄
熱
槽
送風
ユニット
冷温水
供 給
装 置
質量流量計
41
新たな環境価値活用制度
太陽熱の環境価値を活用した制度として、①環境価値の買取、
②最終需要家への削減義務づけの制度設計(枠組み)を検討
目的・概要
①環境価値の買取
②最終需要家への削減義務づけ
(ランニング補助金)
(キャップ&トレード等)
・国や自治体が再生可能エネル
・国や自治体がCO2排出量や一次
ギー熱の利用促進のため、インセ エネルギー量の削減のため、大規
ンティブを付与
模需要家に削減を義務づけ
(英国のRHI制度と類似)
・対象需要家は自らの対策や他者
・実際の利用段階に着目したラン
対策による環境価値を取得(東京
ニング補助金
都等のキャップ&トレードと類似)
環境価値指標 ・熱利用量(MJ)
(注)補機動力使用は控除しない
・CO2排出削減量(t-CO2) or
一次エネルギー削減量(ℓ)
(注)補機動力使用を控除
太陽熱の環境 ・小規模:見なし or 簡易計量
価値の算定
・大規模:簡易計量 or 計量
・左記の熱利用量を換算(換算係
数は省エネ法、温対法に準拠)
(注)小規模は包括システム認証、大規模は個別
システム認証のもの
価格/取引
・追加費用を補填する単価設定
・環境価値の取引なし
・環境価値は市場価格で取引
・取引単価は固定 or 変動
42
新たな環境価値活用制度
①「環境価値の買取」制度
→英国の家庭用RHI制度の買取単価以内で
一定の単純投資回収年数(10年間程度)の実現も可
◇ 住宅用太陽熱の買取単価の試算例
住宅用太陽熱の買取単価
(試算例)
導入補助金の併用
買取期間(=単純投
資回収年数)
必要な買取単価
1/3補助あり
補助なし
10年間
4.0円/MJ
7.7円/MJ
(参考)英国家庭用
RHI制度
補助なし
7年間
8.5円/MJ
(主な前提)
・東京地区で給湯需要(390ℓ/日)の都市ガスシステム利用者が太陽熱システム(追加コスト:62万円)に切り替わる場合
②「最終需要家への削減義務づけ」制度
→現行の市場価ベースでは、単純投資回収年数の大幅な
短縮は困難
◇住宅用太陽熱システムの試算例では現行市場価格で回収年数を1~3年程度短縮
43
課題3 施工技能の標準化
施工士認定制度
太陽熱利用機器(太陽熱温水器、ソーラーシステム等)の
施工品質の維持・向上を目的に、2011年7月にスタート
(一社)ソーラーシステム振興協会
登録
申請
登録
申請
講
習
登録審査
運営委員会
指導員
142名
認定登録
協会会員会社
ソーラー施工士指導員(太陽熱)
研
修
(1)指導員
システムを施工する者等に
講習を実施し、終了したもの
を『指導員』と認定、登録。
(2)施工士
施工士
342名
認定登録
指導員による研修、講習を
修了したものを『施工士』と
認定、登録。
(3)認定証
ソーラー施工士(太陽熱)
ソ振協は、『ソーラー施工士
認定証』を交付。
平成25年12月現在
※H25.4 住宅用ソーラー施工技術の基礎知識:住宅用太陽熱利用システム 設計・施工指針を発行
44
課題4 意匠性の向上
従来の取付例
固定線方式(ワイヤー緊結型)
最近の取付例
屋根直付形
45
「デザインコンペティション」の取り組み
■ソーラーエネルギー住宅デザインコンペティション2010
・「SOLAMO」を組み込んだ住宅デザインを募集(2010年度実施)。
⇒応募作品数:74作品
■ソーラータウンデザインコンペティション2011
・太陽熱を活用した、実在する街の10~20年後の街づくり提案を
募集(2011年度実施) 。
⇒応募作品数:66作品
■ソーラータウンデザインコンペティション2013
・太陽熱を活用した、九都県市エリアの実在する街の街づくり提案を
募集。
⇒応募作品数:15作品
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ソーラータウンコンペティション2013概要
審査委員長: 小玉
審査委員: 秋元
五十音順
小泉
下田
祐一郎 (建築家・神戸芸術工科大学教授)
孝之 (芝浦工業大学教授)
雅生 (建築家・首都大学東京教授)
吉之 (大阪大学教授)
設計条件および応募規定等抜粋
・ 太陽熱等を活用し環境性が高く地域の特性を活かした住みやすい
ソーラータウンのデザインを募集。3月初旬に最終審査予定。
・ 九都県市のエリア内に現存する街区を対象とし、地域の特性を生か
し、街並みや景観にも配慮。
・ モデルとする街区の広さは5~20ha程度。
・ 街の構成要素として、戸建住宅および集合住宅を必ず含むこと。また、
学校、商業施設、病院、高齢者福祉施設等の公共的施設を少なくとも
一つ含むこと。
・ 太陽熱を利用した給湯や冷暖房のシステムを必ず含むこと。(太陽光
発電のみは不可。)
・評価項目:街並みおよび建物(設備含む)のデザイン,太陽熱の活用方
法,環境への配慮,地域特性を活かすアイデア,実現可能性,災害時
の対応力等
47
ソーラータウンデザインコンペ2013最優秀作品
『太陽熱巡る坂道のある丘』 岩倉巧、水野貴之(フリーランス)
横浜の急峻な斜面住宅地に
「スイッチバック」のようなジグ
ザク歩行路を配し、変化に富
んだ楽しい生活空間を創ると
ともに、要所要所に配置され
た公共施設でつくられた熱を
地域で効率よく使うエネルギー
システムも提案した。
地形の利点を空間的にもエネ
ルギー的にも巧みに引き出し、
バリアフリーや防災にも配慮し
て最優秀案に選ばれた。
48
課題5 認知度の向上
統一名称を作成
快適な生活
両立
低炭素社会
(快適な給湯=いつでも、どこでも、適温で)
天候に左右されることもなく、湯切れの心配もなく、
給湯・暖房をガス給湯器がバックアップ
強制循環型
太陽熱利用ガス温水システム
戸建住宅用ソラモ
=
集合住宅用ソラモ
49
空の熱エネルギーも、家庭のエネルギーに。
太陽熱を活かすことで、一次エネルギーだけに頼らない低炭素な暮らしを実現します。
未来の空も、変わらずきれいでありますように。
SOLAMOから、自然と共生するライフスタイルと未来が始まっていきます。
空のエネルギーも、ガスがもっと活かしていく。
ガスのサポートによってこそ、太陽熱を暮らしのなかでフルに活かすことができます。
空の熱エネルギーが、暮らしも暖かく。
太陽熱エネルギーの活用によって、持続可能かつ豊かで快適な暮らしを享受できます。
さまざまな願いを込めて
50
PR動画共同制作
・ 九都県市*の「熱は熱で 太陽熱で」キャンペーンに協力し
太陽熱PR動画を共同制作
*:埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市
・ 街頭ビジョンやWEBなどで配信し、「熱は熱で」というキャッチコピー
の浸透を図り、太陽熱利用についての認知度向上を図る
51
課題6 冷房用途への利用拡大
ソーラークーリングシステム
再生可能エネルギーである太陽熱を利用して冷暖房するシステム
・ 冷房時は、ソーラークーリング対応吸収冷温水機が太陽熱温水を冷熱に変換。
・ 暖房時は、太陽熱温水と室内へ送る温水とで熱交換。
・ 冷房時及び暖房時ともに、太陽熱が不足する場合はガスでバックアップ。
冷房時
温水:室内へ(暖房)
ガス焚き冷房のCOP 1.3
太陽熱パネル
暖房時
暖房COP(ボイラ運転) 0.85
冷水:室内へ(冷房)
太陽熱パネル
52
ソーラークーリングシステムのコストダウンロードマップ
○施工費の削減や大量導入等により、2020年にコスト比率を30%(2010年度比)
とすることが当面の目標である。
125
コスト比率 (2010年度:100)
ソーラーナチュラルチラー商品化
施工費等の更なる削減
国産平板パネル等の採用
コスト 25万円/㎡
メリット 6000円/㎡
100
太陽熱給湯用パネルの高効率化により
ソーラークーリング用に採用
75
コスト 15万円/㎡
メリット 6000円/㎡
施工費等削減
50
コスト 13万円/㎡
メリット 6000円/㎡
構成機器(太陽熱パネル、架台他)や
施工方法の簡素化・標準化
(太陽熱給湯システムの施工方法の活用等)
大量導入によるコストダウン
25
2010
太陽熱給湯、ソーラークーリングシステムの
大量導入によるコストダウン
2012
2014
2016
コスト 8万円/㎡
メリット 6000円/㎡
2018
2020年目標
2020
年 度
53
6.導入事例
54
集合住宅への導入事例
SOLAMO(バルコニー)
SOLAMO(マイルーフ)
SOLAMO(シェアルーフ)
屋上に共用のSOLAMO
(約240㎡の集熱器と
貯湯タンク)を設置
総戸数:524戸
アルファステイツ国領
施主:穴吹興産
全戸のバルコニーに
SOLAMO(床暖房にも
利用可)を設置
総戸数:58戸
戸別パネル屋上設置型
SOLAMOを設置
総戸数:36戸
55
55
海外の導入事例(ドイツ)
ゲルゼンキルヘン市
72戸の種々の住宅に合計
470m2の太陽熱集熱器
太陽電池
0.5kW
太陽熱集熱器5m2
(290Lタンク)
ビーレフェルト市
太陽熱、太陽電池、雨水、天然ガ
ス、高断熱を条件に66戸の土地販
売 太陽熱集熱器
太陽電池
住民通路
56
海外の導入事例(ドイツ)
カールスルーエ市 「ゲロルズエッカー団地」
5棟38戸の集合住宅に、合計160m2の太陽熱集熱器を設置
南向き二重ガラス大窓、ひさしに太陽熱集熱器、屋根に太陽電池
太陽電池
太陽熱集熱器
太陽熱集熱器
住民通路
果樹有り
57
国内実証例
(経済産業省エネマネハウス2014)
日本初のソーラーデカスロン開催
58
58
国内実証例
(経済産業省エネマネハウス2014)
来場者アンケート№1
芝浦工業大学グループ
最優秀賞
呼吸する屋根・環境シェルター 母の家2030
<SOLAMO+床暖房・天井暖房>
慶應義塾大学グループ
共進化住宅 Keio Co-Evolving House
<OMソーラー+EF+床暖房・給湯>
東京大学グループ
都市型集合住宅 CITY ECOX
<SOLAMO+EF+床暖房・給湯>
早稲田大学グループ
千葉大学グループ
重ね着するすまい Nobi-Nobi House
<SOLAMO+ハイブリッドパネル+床暖房>
プラスエネルギー住宅 ルネ・ハウス
<ソーラーヒート+EF+床暖房>
59
7.太陽熱利用の拡大に向けて
60
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)
経済産業省・国土交通省
「住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業費補助金」説明資料より
61
太陽熱利用システムの進化
スタイ
リッシュ
駆動用発電パネル
内蔵の自立タイプ
まさか
の備え
SOLA
MO-S
カラーバリエーション
太陽の
恵みが
見える
HEMSへの接続
快 適
ランニングコストを
抑え床暖房を満喫
62
最新技術例1 家庭用太陽熱空調システム
例1:Rotartica(Spain)製
太陽熱吸収式冷温水供給システム 4.5Kw (1.28 tons)
例2: Commonwealth Scientific
and Industrial Research
Organisation (CSIRO)製
太陽熱利用
デシカント空調システム
63
最新技術例2 太陽光発電&太陽熱一体型システム
例1:Scienza Industria Tecnologia 製
例2: The Boston Solar Company製
64
戸建住宅への普及シナリオ
(都市ガスエリア)
I.導入期 3年間程度
従来給湯器との差額の1/3 (工事費込)のイニシャル補助等
によるユーザの投資回収確保
→メーカのコストダウン努力、出荷台数増によるコスト低減
II.普及期 3~5年間程度
集熱器の単位面積当たり 3→1万円/m2のイニシャル補助
によるユーザの投資回収確保
→メーカのコストダウン努力、出荷台数増によるコスト低減
III.本格普及期
環境価値ペイバックによるユーザの投資回収確保
→メーカのコストダウン努力、大量生産による大幅コスト低減
65
集合住宅への普及課題
◇バルコニー設置型
①新技術なのでイニシャルコストが高額
3m2タイプの標準価格:約130万円(材・工共、手すり除く)
→ 更なるコストダウンを推進
当面は、導入者のコスト回収を可能にする支援策が必要
・再生可能エネルギー熱利用加速化支援補助金等の継続、
補助率1/2以上が望ましい
・自治体による支援との連携
◇ルーフ設置型・バルコニー設置型共通
②事業者(法人)向けの補助のみ
→ 非法人の管理組合や個人が活用できる補助金
66
住宅用太陽熱温水システムの普及ロードマップ
■ 産官学の連携のもと、国や自治体のご支援をいただきながら
太陽熱温水システム普及のV字回復を目指す
2030
導入義務
↑
年
V字回復!
震災後のエネルギー
政策の見直し
強制循環型
自然循環型(2011以前のみ表示)
度
第2次オイルショック
80万台/年
0
10
20
30
40
50
60
住宅用太陽熱温水システム 年間出荷台数(万台/年)
67
ご清聴ありがとうございました。
68
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