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(概要) −その 1 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

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(概要) −その 1 - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDO海外レポート
NO.988,
2006.11.1
< 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ >
海外レポート988号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/988/
【個別特集】NEDO 海外事務所報告
国家ナノテクノロジー・イニシアティブの 3 年毎レビュー(概要)
−その 1−
NEDO ワシントン事務所
松山貴代子
2003 年 12 月に成立した「21 世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century
Nanotechnology Research and Development Act:以下「ナノテク法」という)」 注 1
に は 、 全 米 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 調 整 局 ( National
Nanotechnology Coordination
Office :NNCO ) の 局 長 に 対 し て 、 全 米 科 学 ア カ デ ミ ー ( National Academies of
Science : NAS)の全米研究委員会(National Research Council: NRC)と締結し、3
年毎に国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative :
NNI)の査定評価を実施するよう義務付ける条項が盛り込まれている。2006 年 9 月
25 日に NRC が発表した 『大きさの問題:国家ナノテクノロジー・イニシアティブの
3 年毎レビュー(A Matter of Size: Triennial Review of the National Nanotechnology
Initiative ※:以下「レビュー」という)』は、ナノテク法のこの規定に基づいて策定さ
れた第一回目の報告書で、NNI の予算レベルや省庁間調整といった 3 年毎レビューの
対象事項を査定しているほかに、今回一回限りの調査として、①レスポンシブルなナ
ノテクノロジー開発を保証する基準・ガイドライン・戦略の必要性を査定し;②分子
自己組織形成(molecular self-assembly)の技術的可能性も検討している。
NRC は「レビュー」の作成にあたり、オハイオ州立大学の物質科学教授で NAS の
全米工学アカデミー(National Academy of Engineering : NAE)理事長である James
C. Williams 博士を始めとする 23 名 注 2 構成の NNI レビュー委員会(Committee to
同法令の概要は、NEDO 海外レポート 923 号で紹介。
http://www.nap.edu/catalog/11752.html
注2
NNI レビュー委員会のメンバーは、James C. Williams 理事長;エネルギー省(DOE)傘下ローレ
ンス・リバモア国立研究所の科学技術担当副所長で NAE 副理事長の Cherry A. Murray 博士;L-3
Communications 社の A. Michael Andrew II 副社長;Camille and Henry Dreyfus 財団の Mark J.
Cardillo 専 務 理 事 ; ReVision Optics 社 の Crystal Cunanan 副 社長 ; X Prize 財 団 の Peter H.
Diamandis 理事長;エール大学の工学部長で NAE メンバーの Paul A. Fleury 博士;Intellectual
Assets 社の Paul B. Germeraad 社長;アルフレッド大学バイオ医療材料エンジニアリングプログラム
のディレクターである Alan H. Goldstein 博士;アーカンソー大学のドナヒュー情報科学・システム工
学部長で NAE メンバーの Mary L. Good 博士;ヒューズエアクラフトや TRW の総括経営者を務めた
Thomas S. Hartwick 博士(退任);Evolution Robotics 社の Maynard A. Holliday 理事;カリフォ
ルニア州のコミュニティーで司教活動に 20 年以上携わっている Richard L. Irving 牧師;シカゴ大学
ジェームズ・フランク研究所の物理学教授で NAS メンバーの Donald H. Levy 博士;テキサス大学厚
生科学センター生物科学部の Bettie Sue Siler Masters 化学教授;ニューヨーク州とコロンビア特別
区の弁護士資格を有する Sonia E. Miller 弁護士;Deloitte & Touche’s Technology 社 Tri-State
Product Innovation Practice のディレクターである Edward K. Moran 氏;カリフォルニア大学バー
クレー校のウォルター・ハース・ビジネススクールで新事業開発を教える David C. Mowery 博士;憂
慮 す る 科 学 者 同 盟 ( Union of Concerned Scientists ) の Kathleen M. Rest 専 務 理 事 ; Agilent
注1
※
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Review the National Nanotechnology Initiative)を設置した。委員会メンバーの専
門は、ナノスケール科学工学から産業研究開発に至り、分野横断的(interdisciplinary)
研究からビジネスマネジメント、バイオ医療や保健、環境保護や国家安全保障、国際
的ベンチマーク、商用化に向けた技術移転、知的財産問題やナノテクノロジーの社会
的・倫理的影響まで網羅している。
NNI レビュー委員会では、NNI に関連する省庁間協力と広範な研究開発(R&D)
プログラムに関して情報を収集し、洞察力を得るため、4 回のワークショップ 注 3 を開
催したほか、一連の非公開会合や電話会合を行って調査結果を討議し、委員会の結論
および提言を策定したという。NNI レビュー委員会の結論と提言を下記の五部構成で
まとめられている。
第一章
国家ナノテクノロジー・イニシアティブの見直し ― NNI の現状と業績の
正確な描写、および、将来改善の余地がある機会の確認
第二章
トラッキングとベンチマークの進捗状況 ― 他諸国と比較した、米国ナノ
テクノロジーR&D の相対的地位の査定評価
第三章
経済的影響 … ナノテクノロジーが米国経済にもたらす影響の考察
第四章
レスポンシブルなナノテクノロジー開発
第五章
分子自己組織形成
ここでは、第一章の国家ナノテクノロジー・イニシアティブの見直しについて概説
する。
I.
国家ナノテクノロジー・イニシアティブの見直し
国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)は比較的若い活動であり、NNI の
この早期段階において、NNI 投資によって達成された技術上の実績や目標を査定評
価することは時期早尚である。このため、NNI レビュー委員会では、今回の「レビ
ュー」に NNI の包括的な技術アセスメントを盛り込んでいない。また、NNI 参加
各機関の予算レベルがプログラム目標遵守に十分か否かの査定評価は、委員会の資
源を遙かに超えた各省庁のプログラム別分析を必要とするため、今回の「レビュー」
ではこのアセスメントも試みていない。一方で、NNI レビュー委員会は、NNI 活
動に関するデータ収集が十分とは言えないながらも、多分野にまたがる貴重な成果
Technologies 社 の Thomas A. Saponas 元 上 級 副 社 長 ; Science Applications International
Corporation の R. Paul Schaudies 生物・化学兵器防衛部長;台湾産業技術研究所(ITRI)の Tsung-Tsan
Su ナノテクノロジー研究センター所長;IBM 社トーマス・J・ワトソン研究センターの Thomas N.
Theis 物理科学部長の 23 名。
注3
2005 年 2 月 9∼11 日に開催された、材料やデバイスの分子スケール製造のための分子自己組織形成
に関するワークショプ;2005 年 3 月 23 日に行われた、NNI レビュー委員会への説明会;2005 年 3
月 24∼25 日に開催された、レスポンシブルなナノテクノロジー開発に関するワークショップ;2005
年 8 月 25∼26 日に開催された、プログラムマネジメントと科学的業績に関するワークショップ。
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の事例があがっており、NNI の下で構築された R&D インフラストラクチャーが技
術上の実績をあげる上で有用であることを確信しているという。NNI レビュー委員
会の評価結果と提言は下記の通り。
1. 連邦政府の NNI 研究開発支援
NNI に参加している連邦政府の内、11 機関 注
4
―農務省(USDA)、国防省
(DOD)、エネルギー省(DOE)、国土安全保障省(DHS)、司法省(DOJ)、環
境保護庁(EPA)、米航空宇宙局(NASA)、厚生省(HHS)の国立労働安全衛
生研究所(NIOSH)、商務省(DOC)の国立標準規格技術研究所(NIST)、HHS
の国立衛生研究所(NIH)、全米科学財団(NSF)―が現在、ナノテクノロジー
への投資を報告している。米国によるこれまでのナノテクノロジー投資が、今後
10 年間に米国の科学者やエンジニアによって達成されるであろうナノスケール
の貴重な進歩の発端になることは明白であり、NNI で確立した R&D プログラ
ムは、各省庁の単独投資によるよりも遙かに大きな影響力を持っていることも明
ら か で あ る 。 ま た 、 NNI の 学 際 的 共 同 ア プ ロ ー チ が 、 根 本 的 な ナ レ ッ ジ
(knowledge)の創造に必要な基礎研究を前進させ、分野横断的プログラムの継
続的成長に必要な新インフラストラクチャーの確立を可能にしたほか、連邦政府
機関による優先事項の確立、プログラムの調整、資源への梃入れも、NNI 活動
への参加が契機になったといえる。
緊縮予算の折には R&D プログラム予算にも優先順位が付けられるが、短期の
応用研究を優遇するあまり、長期のナノスケール基礎研究支援を犠牲にしてはな
らない。基礎研究と応用研究は同等に重要であり、NNI でこれらのバランスを
確立するためには、省庁間調整メカニズムの継続的運営、および、ナノスケール
科学技術の専門知識を持つ R&D 界の助言へのアクセスが必要である。
《提言》
· 連邦政府は、短期目標の遂行と長期的 R&D 支援のバランスを保ち、堅固な
支援インフラストラクチャーを確保するような方法で NNI への支援を維持
すべきである。長期リサーチの効果的支援には、物理科学や工学研究に必須
な現行投資を犠牲にすることなく、新たな予算を用意する必要がある。
2. 諮問委員会
ナノテク法では、ナノテクノロジーの研究開発・実証や教育、技術移転や商用
国家科学技術会議(National Science and Technology Council)が 2006 年 7 月 17 日に発表した、
大統領予算への補足資料 『国家ナノテクノロジー・イニシアティブ:テクノロジーおよび産業界の革
命に繋がる研究開発(The National Nanotechnology Initiative: Research and Development Leading
to a Revolution in Technology and Industry)』 では、ナノテクノロジー投資を行っている連邦政府
機関は、2006 年に運輸省(DOT)と USDA の林野部が加わって 13 機関になったと報告している。同
報告書の概要は NEDO 海外レポートの 986 号と 987 号で紹介。
注4
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化、および、社会・倫理面の問題について助言や情報提供を行うナノ科学・ナノ
技術の専門家から成る諮問委員会 注
5
を設置または指定するよう大統領に義務付
けている。ブッシュ大統領が 2004 年 7 月に大統領の科学技術政策諮問委員会
( President’s Committee of Advisors on Science and Technology Policy :
PCAST ) を 国 家 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 諮 問 委 員 会 ( National Nanotechnology
Advisory Panel : NNAP)に指定 注 6 したことは、NNI の重要性を示す証しとし
て喜ばしいことではあるものの、米国はやはり、ナノテクノロジーやナノ科学の
専門知識を有する科学技術アドバイザーの独立委員会を必要としている。こうし
た諮問委員会はナノスケール科学工学に焦点をあてた研究機会や投資戦略、レス
ポンシブルな開発アプローチやプログラム優先順位付けで PCAST やナノスケ
ール科学工学技術小委員会(Subcommittee on Nanoscale Science Engineering
and Technology :NSET 小委員会)、および、NNCO に提言することが可能であ
る。
PCAST は NNAP としての役割を遂行するため、ナノテクノロジーに関する
専門情報の提供源として、連邦政府や民間部門のナノテクノロジー有識者約 50
名から成るナノテクノロジー技術諮問グループ(technical advisory group =
TAG)を設置したが、TAG は効果的メカニズムであるとはいえない。NNI には、
[TAG よりも]体系的でナノテクノロジーに専心する小規模かつ効果的な諮問
委員会が必要である。
《提言》
· 連邦政府は、①ナノスケール科学工学;②研究センター・研究施設・研究パ
ートナーシップの管理;③ナノテクノロジーに関する最先端研究・ナノテク
ノロジーの効率的かつレスポンブルな開発について特別な専門知識をもつ
独立諮問委員会を設置すべきである。
3. 作業部会、その他の調整・連絡・アウトリーチメカニズムの設置
NSET 小 委 員 会 は 、 NNI の 目 標 注
注5
7
や プ ロ グ ラ ム 構 成 分 野 ( Program
ナノテク法の定める諮問委員会の主要義務は、①ナノテクノロジー科学工学の進展と動向の評価;②
NNI 実施の進捗状況の査定評価;③NNI 改定ニーズの査定;④NNI 構成要素間バランスの評価;⑤
NSET 策定のプログラム構成要素(program component area)や優先事項や技術目標が、ナノテクノ
ロジー分野での米国リーダーシップ維持に有用か否かの査定;⑥NNI の管理・調整・実施状況・活動
の査定評価;⑦社会・倫理・法律・環境・労働力面での問題に十分対応しているか否かの評価。
注6
NRC は 2002 年 6 月に発表した”Small Wonders, Endless Frontiers: A Review of the National
Nanotechnology Initiative"という報告書で、学界や産業界のリーダーから成るナノ科学・ナノテクノ
ロジー諮問委員会(Nanoscience and Nanotechnology Advisory Board)をホワイトハウスの科学技
術政策局(OSTP)の下に創設することを提言した。上院と下院が当初可決した法案ではこの NRC 提
言を受け入れ、連邦政府高官や職員を含まない、学界と産業界のりーダーから成る諮問委員会の創設
を提案していたが、ブッシュ大統領が PCAST を諮問委員会に指定することを希望したため、諮問委
員会のメンバーに連邦政府高官を含めることが可能なように条文を変更した「ナノテク法」が最終的
に成立した。
注7
①ナノテクノロジーの秘める可能性をフルに実現させるため、世界一流の R&D 計画の維持;②経済
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Component Area : PCA) 注 8 に照らして、具体的な省庁間問題に対応するため、
①ナノテクノロジー環境・衛生影響(Nanotechnology Environmental & Health
Implications : NEHI);②業界連絡(Industry Liaison);③ナノマニュファク
チ ャ リ ン グ ; ④ ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 社 会 参 画 ( Nanotechnology Public
Interaction)という 4 つの省庁間作業部会を設置した。
NSET 小委員会ではまた、経済成長や雇用創出等の公益を生み出すために新
技術の製品化を推進するという NNI 第二目標の達成を目指し、ナノテクノロジ
ー 推 進 諮 問 委 員 会 ( Consultative Board for Advancing Nanotechnology :
CBAN)も設置している。
アウトリーチを更に広めるための別個の努力が、国務省が中心となって形成し
たナノテクノロジーの国際問題(Global Issues in Nanotechnology)に関する
作業部会である。これは、ナノテクノロジーに関する米国国際活動へのアドバイ
ス提供や活動調整、および、国際プログラムのモニター等を行う作業部会で、国
際問題に関心を持つ米通商代表部(USTR)や商務省の産業安全保障局(Bureau
of Industry and Security)等が参加している。
上記の努力がこれまでにもたらした肯定的な影響からして、NNI に刺激され
て設置された作業部会やその他のアウトリーチおよび調整努力が、ナノテクノロ
ジーの秘める可能性をフルに実現することを目指す R&D 努力の調整に大きく
貢献していることは明らかである。
4. 学際的ナノスケール R&D のセンターおよびネットワークへの投資
NNI のもたらした非常に重大な影響の一つが、NNI 参加省庁による、ナノ科学・
ナノテクノロジーに専心する学際的研究・教育センターの創設や整備への集中的
投資である。こうして設立したセンターの大半は、大学や民間部門のユーザーや
国立研究所の科学者等に、物理的な施設や装置や計測機器、および、技術的専門
知識や必要な運用要員(オペレーター)を提供するユーザー施設であって、NNI
参加省庁の科学的・技術的資源へのアクセスを広げる有力かつ有効な媒体となっ
ている。主要なセンターの例は下記の通り:
· NSF の国家ナノテクノロジー基盤ネットワーク(National Nanotechnology
Infrastructure Network)―全国各地の大学 13 キャンパス 注 9 にあるユーザ
成長や雇用創出等の公益を生み出すため、新技術の製品化推進;③ナノテクノロジーの進展を目指し、
教育資源・支援基盤・ツールの整備、および、熟練労働者の育成;④リスポンシブルなナノテクノロ
ジー開発の支援、という 4 目標で、国家科学技術会議(National Science and Technology Council =
NSTC)が 2004 年 12 月 7 日に発表した 『国家ナノテクノロジー・イニシアティブ 戦略プラン
(National Nanotechnology Initiative Strategic Plan)』で説明されている。同戦略プランの概要は、
NEDO 海外レポート 948 号で紹介。
注 8
ナノスケールで生じる現象とプロセスの根本的理解;ナノ材料;ナノスケールのデバイスとシステ
ム;ナノテクノロジーのための研究機器、計測基準と標準規格;ナノマニュファクチャリング;主要
研究施設の建設と大型研究機器の調達;社会的局面の 7 つ。
注9
コーネル大学;ハワード大学;ペンシルバニア州立大学;スタンフォード大学;カリフォルニア大学
サンタバーバラ校;ジョージア工科大学;ハーバード大学;ノースカロライナ州立大学;ミシガン大
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ー施設の統合パートナーシップで、ナノテクノロジーの飛躍的進歩を実現さ
せることを使命とし、ファブリケーション・合成・特性化(characterization)
施設への簡易なアクセスを提供している。
· NSF の計算ナノテクノロジー・ネットワーク(Network for Computational
Nanotechnology)―7 つの大学 注 10 を結ぶネットワークで、計算によるリサ
ーチ支援のほか、ウェブ上でアクセス可能な教育ツールやモデリング・シミ
ュレーションツールの支援を目的とする。
· DOE 傘 下 の 国 立 研 究 所 に 新 設 さ れ る ナ ノ ス ケ ー ル 科 学 研 究 セ ン タ ー
(Nanoscale Science Research Center)5 ヵ所 注 11 のネットワーク ― ナノ
合成・ナノ加工・ナノファブリケーション・ナノ分析の支援を目的とする。
· NIST の 国 立 ナ ノ マ ニ ュ フ ァ ク チ ャ リ ン グ ・ ナ ノ 測 定 施 設 ( National
Nanomanufacturing and Nanometrology Facility)― NIST 固有のナノ計
測・ナノファブリケーション資源(先進計量研究所(Advanced Measurement
Laboratory)の設備や研究所のナノ測定専門家、等)へのアクセスを通して、
米国のナノテクノロジー活動の為の新しい基礎的計測基準(infrastructural
metrology)と標準規格の整備を支援する。
· 海軍研究所(Naval Research Laboratory)のナノ科学研究所(Institute for
Nanoscience)― ナノ材料・ナノエレクトロニクス・ナノバイオロジーの
融合分野において学際的研究を実施する同研究所は、海軍と DOD にこの複
雑な新興分野でのリーダーシップを授けること、および、未来防衛技術の進
歩のチャンスを確認することを目的としている。
2005 年 5 月 26∼27 日にドイツで開催された第 3 回世界ナノテクノロジー・
ネットワーク構築国際ワークショップ(3rd International Workshop to Develop
a Global Nanotechnology Network)でアジア・ナノフォーラム(Asia Nano
Forum)が発表したアンケート調査の結果は、ナノテクノロジーの進展に必要不
可欠な研究機器や装置や施設の基盤構築という点では、米国が世界トップクラス
にあることを指摘している。NNI 参加省庁が、ナノスケールでのイノベーショ
ンを支援する国家 R&D インフラストラクチャー構築に向けてかなり進展したこ
とは明らかであり、NNI レビュー委員会は、学際的ナノスケール R&D センター
およびネットワーク構築における NNI のこれまでの進歩を申し分なしと評価し
ている。
学;ミネソタ大学;ニューメキシコ大学;テキサス大学オースチン校;ワシントン大学。
パーデュー大学;イリノイ大学;スタンフォード大学;フロリダ大学;テキサス大学エルパソ校;
ノースウェスタン大学;モーガン州立大学。
11 オークリッジ国立研究所のナノフェーズ物質科学センター;ブルックヘイブン国立研究所の機能的
ナノマテリアル・センター;サンディア国立研究所の統合ナノテクノロジー・センター;アルゴンヌ
国立研究所のナノスケール材料センター;ローレンスバークレー国立研究所の分子ファウンドリー。
注 10
注
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5. 教育、労働力、および、国民の理解
米国の科学技術進歩力を今後も維持していくためには、NNI R&D の財政支援
だけでなく、人材面での堅固なインフラストラクチャーの確保も必要となる。
NNI は現在、国内の大学院生に世界トップクラスの教育や研究トレーニングの
機会を提供し、21 世紀の有能労働者育成に貢献しているが、ナノテクノロジー
R&D に携わる企業が必要とする、分野横断的な技能と専門知識を有する労働者
を供給するためには、科学技術の教育や訓練の新たなアプローチが必要である。
既存の 4 つの NNI 省庁間作業部会が多大な成果を上げている一方、教育資源や
熟練労働者育成の問題に対応する NNI 省庁間の調整は十分とはいえず、NNI レ
ビュー委員会の行ったワークショップでも、教育・労働力開発の助長努力を勘案
してナノスケール R&D を調整する必要性が取り沙汰された。NNI 新参者の教
育省(DOEd)と労働省(DOL)は、ナノスケール R&D にゆかりのある K-12
教育や国家労働力の主要問題をまとめ・優先づけることを支援することが出来る
ため、これらを中心とした教育作業グループを NSET 小委員会の中に新設する
ことを検討すべきである。
米国留学中または米国定住の外国生まれの研究員や学生が全ての理工系分野
に重要な貢献をしているということが広く認識されている。ナノテクノロジーに
関心を持つ世界最高水準の学生や研究者が引き続き米国を選ぶか否かは、移民法
や輸出管理法といった法的枠組みにかかっている。NNI 参加省庁やその他の適
切な連邦行政機関および米国議会に対して、米国 R&D 事業の開放性(openness)
の維持、および、国籍に拘らない、質の高い科学技術労働力の構築の重要性を明
確に示すことも、NNI の重要な役割であろう。
《提言》
· NSET 小委員会は、教育省と労働省をアクティブな参加者とする教育・労働
力に関する作業部会を設置して、①21 世紀労働者の育成を支援するイニシ
アティブ;②米国人学生が大学院でナノスケール科学技術課程を学び、米国
の科学研究所に勤務するよう奨励するイニシアティブ;③学士レベルでの分
野横断型の教育、および、現行教育課程へのナノテクノロジー統合に関する
対話を促進するイニシアティブ;④国民のナノテクノロジーへの関心に梃入
れし、一般市民の理解を深めるイニシアティブ;⑤一般市民や政策策定者と
の対話を奨励するイニシアティブ、等を検討すべきである。
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