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ポルトガル語再帰代名詞の反使役化機能 椎名 めぐみ

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ポルトガル語再帰代名詞の反使役化機能 椎名 めぐみ
東京外国語大学
2008年度卒業論文
ポルトガル語再帰代名詞の反使役化機能
東京外国語大学外国語学部
欧米第二課程ポルトガル語専攻
6605201
椎名 めぐみ
1.
2.
はじめに
3
再帰代名詞はいかに解説されてきたか
5
2.1 再帰代名詞の6つの用法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2.2 反使役化機能はいかにして解説されてきたか ・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.2.1 「他動詞が自動詞的な意味になる」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.2.2 「動作が自分自身に帰ってくる」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.2.3 「英語の ourselves に相当」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.3 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
3.
再帰代名詞による反使役化の構造
9
3.1 自動詞の2分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.1.1 項構造による分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.1.2 主語による分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
3.1.3 自他対応による分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3.2 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
4.
問題提起と用例収集
13
4.1 問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
4.2 調査方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
5.
問題① 「se 付き自動詞」と2つの自動詞の対応関係
15
5.1 用例分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.1 人間を主語としているもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5.1.2 無生物名詞を主語としているもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
5.2 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
6.
問題② 「非能格自動詞」に対応する他動詞
24
6.1 非能格自動詞に対応する他動詞―日本語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
6.2 「非能格再帰動詞」に対応する他動詞―ポルトガル語 ・・・・・・・・・・・・25
6.2.1 対応する他動詞の概念的特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
6.2.2 対応する他動詞の形態的特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
6.3 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
7.反使役化を理解するために――結論にかえて
30
文献一覧
32
附録:ポルトガル語・英語・日本語
3言語対訳用例集
33
Ⅰ.人間を主語にとる再帰動詞① 非能格自動詞との対応 1.~43. ・・・・・・・33
Ⅱ.人間を主語にとる再帰動詞② 非対格自動詞との対応 1.~38. ・・・・・・・56
Ⅲ.無生物名詞を主語にとる再帰動詞 1.~26.
Ⅳ.両方の主語と共起した例 1.~10.
・・・・・・・・・・・・・・・76
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
2
1.はじめに
我々日本語を母語とする者がポルトガルを学習する際に特に困難を伴うのは、動詞の習
得である。日本語の動詞は自動詞を基本としているのに対し、ポルトガル語の動詞は他動
詞が中心だからである。たとえば日本語母語話者が次のような文に違和感を覚えたり、「翻
訳調」だと感じたりするのは、通常日本語では自動詞で表現すべき事象、さらに言えば自他
対応のない自動詞に使役表現を加えることによって他動詞的な表現をしているからであろ
う。
(1) それは少年に、あの年老いた王様のことを思い出させた。(コエーリョ 1994: 75)
(1)は英文からの翻訳であり、そのもととなったのは次のようなポルトガル語である。
(2)
O rapaz então se lembrou do velho rei,...(Coelho1988: 97)
直訳すれば「少年はその時、自分で自分にあの年老いた王様のことを思い出させた」と
いったほどの意味であるが、問題は下線部の se である。この se は再帰代名詞と呼ばれ、こ
こでは他動詞 lembrar(思い出させる)に「自分で自分にはたらきかける」という意味を加
えている。日本語では自動詞「思い出す」を用いる事象に対しポルトガル語では、他動詞
「思い出させる」+再帰代名詞 se という構造をとるというのは興味深い。一般に無標識の
形態が「無標」(unmarked)の状態を表し、有標識の方が比較的に「有標」(marked)な事態
を表す(ヤコブセン 1989)ということから考えても、日本語は自動詞中心(使役化の方が
有標識)、ポルトガル語は他動詞中心(反使役化の方が有標識)であることがうかがえる。
では、この再帰代名詞を含めたポルトガル語の動詞の体系はどうなっているのだろうか。
池上(2002)は、ポルトガル語の動詞を自動詞と他動詞の2つに分け、さらに自動詞は「裸
の自動詞」と「se 付き自動詞」とに分かれるとしている(動詞に再帰代名詞を付加したも
のを、一般には単に「再帰動詞」と呼ぶ)。この se は前述のとおり再帰代名詞と呼ばれ、他
動詞に付くと、主語が自分自身に動作を加えるという意味を表す。簡単に用法を説明して
おこう。
(3)
a. Maria vê-se no espelho.
b. マリアは鏡の中に(=鏡で)自分自身を見る。
またこの再帰代名詞が、何らかのエネルギーを加えるといった意味の他動詞に付けば、
「自分が~する」という自動詞構文にもなり得る。
3
(4)
a. Pedro levantou-se.
b. ペドロは自分自身を起こした(ペドロは起き上がった)。
この例を見る限り、他動詞+se の形で登場する再帰代名詞に、自動詞化接辞としての機
能があることはほぼ間違いないように思われる。
ところが、従来日本で広く使われている初級文法書を見ると、この再帰代名詞の自動詞
化接辞としての機能に言及しているものは意外にも少ない。筆者自身ポルトガル語の文章
を読解する際、再帰代名詞の解釈を誤ったために文全体の解釈を誤ってしまったという経
験が幾度となくある。もしより多くの用例で、ポルトガル語の他動詞+se 構文と日本語の
自動詞構文との対応関係が認められれば、ポルトガル語教育や、より「日本語らしい(自
動詞を中心とした)翻訳」に活かすことができるのではないだろうか。
そこで本稿ではまず、初学者向け文法書における再帰代名詞の解説をいくつか概観し、
その問題点について論じる。続いてポルトガル語の他動詞+再帰代名詞 se を使った構文が
どのような日本語と対応しているのか、日本語の小説とそのポルトガル語版からのデータ
を分析する。その上で、日本語母語話者のポルトガル語の学習や、両言語間の翻訳に寄与
できるような何らかの結論を導くことができれば幸いである。
4
2.再帰代名詞はいかに解説されてきたか
2.1 再帰代名詞の6つの用法
田所・伊藤(2004)では、ポルトガル語の再帰代名詞 se の用法を大きく以下の6つに分
けて解説している。
①再帰的な用法→「自分自身を~する」
(5)
Pedro consolou-se.(ペドロはペドロ自身を慰めた→ペドロは我が身を慰めた)
(田所・伊藤 2004: 224)
②他動詞の自動詞化→「自分を~する」を「自分が~する」に変換
(6)
Maria sentou-se na cadeira.
(マリアはマリア自身を椅子に座らせた→マリアは椅子に腰掛けた)
(田所・伊藤 2004: 224)
③相互的な用法(相互動詞)→「互いに~し合う」
(7)
José e Maria amam-se.(ジョゼーとマリアは愛し合っている)
(田所・伊藤 2004: 225)
④受動的な用法→「~される」
(8)
Vendem-se casas.(売り家あり)(田所・伊藤 2004: 225)
⑤虚辞的な用法:本来は不必要な再帰代名詞 se を自動詞に付加することで強調を表す
(9)
Vou-me embora no Brasil.(私はブラジルに帰る)(田所・伊藤 2004: 225)
⑥非人称的な用法→「人は誰でも~」「我々は~」「世間一般は~」
(10)Vive-se bem aqui.(ここは暮らし向きがよい)(田所・伊藤 2004: 226)
6つとも、主語の動作主性、あるいは他動詞文における主語の他動性を抑制させる機能
であることがおわかり頂けただろうか。このうち動詞の態に直接関わり、かつ共起する動
詞が他動詞だけという制限があるのは①と②である。鷲尾(1997)では他動詞→自動詞と
いう派生について、ある出来事(状態変化)を動作主が引き起こすという「使役」の意味
を基本として、使役の動作主が削除(あるいは抑制)されたものを「反使役化」
(Anti-Causativization)あるいは「自動詞化」
(Intransitivization)と呼ぶとしている。
ポルトガル語の場合には再帰代名詞を付加した際の意味が、必ずしも日本語の自動詞では
表せるとは限らない。そこで、以降本稿で考察するポルトガル語の再帰代名詞の機能につ
いては「自動詞化」という呼称を避け、広い意味で他動詞の他動性を抑える機能を指す「反
使役化」を用いることにする。
5
さて、この反使役化機能について、日本におけるポルトガル語初級学習者を対象とする
文法書では、どう解説しているのだろうか。次項からは実際に3つの文法書を取り上げて
見ていこう。
2.2 反使役化機能はいかにして解説されてきたか
2.2.1 「他動詞が自動詞的な意味になる」
再帰代名詞の反使役化機能について、この用語こそ使ってはいないものの「再帰代名詞
がつくことで他動詞が自動詞的な意味に」なると比較的明確に言及しているのは、黒澤
(1996)である。ただし動詞と再帰代名詞をセットにした「再帰動詞」の意味を覚えさせ
るという形式をとっており、「(主語が)自分で自分に(他動詞で表される)動作を加える」
という原理で反使役化が起こっているということについては(12)の例を挙げるにとどめ
ている。以下、挙げられている例を引用する。
(11)levantar
・・・
(を)起こす
(12)lavar ・・・ (を)洗う →
→
levantar-se
・・・ 起きる
lavar-se ・・・ (自分を)洗う (黒澤(1996: 47)
2.2.2 「動作が自分自身に帰ってくる」
これに対し深沢(1994)では再帰代名詞を「動詞の目的語または前置詞の目的語が主語
と同じものを指す場合」に用いるものと定義し、動詞の自他交替について詳しく解説する
ことはしていない。ただし黒沢(1996)で「(を)起こす」→「起きる」とだけ解説されて
いた levantar(-se)の例について、こちらでは「levantar(起こす)を再帰動詞として使い
levantar-se とすると「自分自身を起こす」つまり「起きる」という意味に」
(深沢 1994: 148)
なると、反使役化の構造に言及している。例文中の再帰動詞の意味には「deitar-se:床に
付く」
「sentar-se:座る」
(深沢 1994: 149)のような注釈しかついていないが、この解説に
より「自分自身を座らせる」「自分自身を床に横たえる」という構造をとっていることが容
易に推測できるようになっている。
2.2.3 「英語の ourselves に相当」
林田(1987)では次の例文を挙げ、文中の再帰代名詞 nos を「英語の ourselves に相当」
(林田 1987: 93)するものとしている。
(13)Nós nos conhecemos há anos.(私たちは何年も前からの知り合いです)
(林田 1987: 92)
これは田所・伊藤(2004)でいう「③相互的な用法」の例である。conhecer は「(人物
などを)知る」という意味であるから、再帰代名詞が加わることによって「お互いがお互
いを知る(→知り合う)
」という事象が表現されている。
6
また使役起動交替に関しては「「座る」には再帰代名詞が不可欠」
(林田 1987: 117)とい
う課を設け、次の例を挙げている。
(14)Sylvia, sente-se aqui.(シルヴィアさん、ここに腰かけてください。)
(林田 1987: 117)
しかし直後の解説には「se は再帰代名詞」
(林田 1987: 119)とあるだけで、他動詞 sentar
はもともと「腰かけさせる」という意味であること、また再帰代名詞 se は「自分を腰かけ
させる(→腰かける)」ともとの他動詞を変化させるものとして機能していることについて
は一切触れられていない。他動詞 sentar の存在とは関係なく、sentar-se を一つの動詞とし
て扱っているのである。本格的にポルトガル語を習得したいという学習者にとってはいさ
さか疑問の残る内容となっているが、例文を丸暗記して簡単な会話をしてみたいというよ
うな学習者にとっては無駄のない説明である。
さて、英語の再帰代名詞の話が出たところで、最後にポルトガル語と英語それぞれの再
帰代名詞を比較してみることにしよう。ポルトガル語の se も英語の oneself も、自分(主
語)自身を表すという点では全く同じである。たとえば(14)の sentar と sentar-se の関
係は、そのまま英語の seat と seat oneself の関係に対応する。
(15)He seated himself.(彼は席に着いた)(稲見ほか編 1992: 1063)
ところが英語の再帰代名詞において、
(13)に挙げたような相互的な用法はあまり一般的
ではない。「知り合う」という事象も「私たちが私たち自身を知る」と解釈すれば再帰代名
詞で表現することも可能かもしれないが、通常は(16)のように言う。
(16)We have each other for years.(我々は何年も前から懇意だ)
(稲見ほか編 1992: 836)
2.3 まとめ
ここまで、ポルトガル語再帰代名詞の6つの用法と、その中でも特に他動詞の反使役化
機能について解説された文法書を振り返ってきた。
興味深いのは、2.2 以下に挙げた3つの解説すべてが、動詞+再帰代名詞で一つの動詞(再
帰動詞)として習得させようとしている点である。池上(2002)でも動詞を「裸の自動詞」
と「se付き自動詞」、そして他動詞の3つに分類し、再帰動詞を一つの動詞としてとらえて
いることはすでに述べた。再帰代名詞seに反使役化機能を認めているという点はもちろんの
こと、この3分類により、田所・伊藤(2004)では「虚辞的」とされた、自動詞につくseに
も論理的な説明を加えようとしているのである。そもそも池上(2002)がこのような分類
をした背景には、他動詞のすべての意味が反使役化されているわけではなく、逆にVt-seの
意味に必ずしも対応する他動詞Vtがあるとは限らないという事実がある。たとえば他動詞
7
matarには9つ(池上他編(1996))の意味があるが、matar-seにはそれぞれに対応する自
動詞的な意味があるわけではなく、池上ほか編(1996)には3つの用例しか掲載されてい
ない 1 。また、comportar-seには「振舞う」という意味があり、これに対応する他動詞を
comportarとするとこの動詞には「振舞わせる」という意味がなければならないのだが、そ
うした意味はcomportarにはない。ゆえにVt-seを単に他動詞にseをつけたものと分類する
のではなく、Vt-seという形の独立した自動詞としてとらえたのである。自動詞にseがつく
ケースについても、Vi-seという一語の動詞である、と説明している。
しかし一つ注意しなくてはならないのは、池上(2002)が初級向けの文法書ではなく、
言語学やポルトガル語学を専門に研究している読者を想定して書かれているという点であ
る。したがって学説的に「正しい」説明がなされている可能性は高いと思われるが、一方
でポルトガル語に触れたばかりの学習者や、短期間で一通りの文法をマスターしたいと考
える学習者には理解しがたいということも十分に考えられる。このような学習者にとって
効果的なのは、再帰代名詞の用法をすべて理解することではなく、一つ一つの用例が自ら
の母語ではどのように表現されているのか、その大まかな傾向をつかむということである。
中には再帰代名詞を伴うことによって、もとの動詞の意味からは想像もつかないような意
味を持つ動詞もあるが、大方の再帰動詞にはもとの動詞の意味が生きている。特に反使役
化接辞としての再帰代名詞には、他動詞の動作主性を弱めるという機能しかないのである
から、ある他動詞 Vt と Vt-se を別個の動詞として認識するのは効率的ではない。「Vt-se=
Vi(あるいは自動詞的表現)」という構図が成立すると立証することができれば、学習者の
負担はかなり軽減されるであろう。
学習者が反使役化された他動詞を解釈する際、手がかりとなるのは何なのだろうか。次
章では、反使役化の原理について掘り下げた上で、それを一般の学習者に生かす方法を探
っていく。
1 matar:殺す、しぼます、消滅させる、満足させる、苦しめる、害する、あわてて雑にする、解く、さぼる
matar-se:自殺する、くたくたに疲れる、犠牲になる
※対応しているのは下線の意味のみ。
8
3.再帰代名詞による反使役化の構造
3.1 自動詞の2分類
前章までに、再帰代名詞 se は「自分に~する」という意味の他動詞に付与されることに
よって反使役化をもたらしていることを述べた。反使役化された他動詞は日本語の自動詞
(あるいは自動詞的な表現)と対応すると予想される。
ここで問題となるのは、日本語の自動詞には「非能格自動詞」と「非対格自動詞」の2
つが存在するということだ。一般に前者は動作主を主語とする行為動詞、後者は主語に動
作主性がなく、状態変化や移動、存在などを表す動詞である。ポルトガル語文法では通常
このような分類がされることはないが、それぞれに対応するポルトガル語の再帰動詞に何
らかの特徴を見出すことができれば、学習者にとって理解の一助となることは間違いない。
本章ではまず項構造や主語の動作主性という観点から、反使役化されたポルトガル語他動
詞の特徴を見ていくことにしよう。
なお予めことわっておくが、ここで学習者が項構造を理解している必要はもちろんない。
重要なのは、冒頭(1)に挙げた「自分を~させる」というような耳慣れない日本語に対
応するポルトガル語の再帰動詞とはどのようなものなのかをつかむことである。
「非能格自
動詞」「非対格自動詞」といった分類も、あくまでまず日本語の動詞を理解するための道具
にすぎないということを強調しておく。
日本語の「非能格自動詞」「非対格自動詞」にそれぞれ対応する再帰動詞に、何か共通点
はあるのだろうか。
3.1.1 項構造による分類
影山(1996: 21)では、英語の他動詞と自動詞の項構造を次のように表現している。
外項
(17)
a.
内項
他動詞:(x <y>)
b. 非能格自動詞:(x < >)
c. 非対格自動詞:(
<y>)
また、(17)をもとに文の構造を再現すると、(18)のようになる。
(18)a.
x Vt y He wrote a letter.
b.
x Vi
She talked.
c.
y Vi
An accident occurred. (例文は影山(1996 :19)より、一部改変)
ポルトガル語も英語と同じ SVO の語順をとるから、同様の項構造をとると考えられる。
9
(17)をもとにポルトガル語動詞の項構造を考えると、再帰代名詞 se が他動詞を反使役化
する際の項構造は、(18a)において内項が y=x(無論逆の x=y も成立)になったものと
考えられる。他動詞+se を便宜上 Vi として図式化すると、(19)の2つの場合に分けられ
る。
(19)a.
b.
x Vt x →
x Vt-se
→
x Vi
y Vt y
y Vt-se
→
y Vi
→
項構造から言えば(19a)に該当すれば非能格自動詞、
(19b)に該当すれば非対格自動詞
として機能していることになる。しかし再帰代名詞 se によって反使役化された他動詞文に
おいては、動作主と他動詞の対象が同一であるから、いずれの自動詞として機能している
のかは形の上では判断がつかない。
x Vt y
A luz acendeu a luz.(明かり自身が明かりをつけた)
b.
x Vi
A luz acendeu-se.(明かりがついた)
c.
y Vi
A luz acendeu-se.(明かりがついた)
(20)a.
となるとこの場合には、項構造という形式の面よりも語彙の意味からその機能を推察す
るのが有効であろう。次節では、各項の意味の解釈を加えた項構造による動詞分類をさら
に展開する。
3.1.2 主語による分類
影山(1997 :82)では、非能格自動詞は「意図的な行為」、非対格自動詞は「人間がコン
トロールしにくい自然現象ないし生理現象」をそれぞれ述べる動詞だと分類しているが、
これは項構造による分類だけでなく、各項が、人間がコントロールできるものかどうかと
いう問いとの関連をも示唆しているのではないだろうか。
以下に、aproximar(近づける)が再帰代名詞によって反使役化され「近づく」という自
動詞的なはたらきをしている2つの例を挙げる。まず(21)は人間の行為を表す例である。
(21)a. Yumi se aproximava da porta.
b. 由美がドアに向かって歩いて来た。
問題部分の深層構造を、再帰代名詞を使わずに示すと、
(21)a’. Yumi aproximava Yumi da porta.
b’. 由美が由美をドアに向かって歩いて来させた。
10
となる。一方次の(22)は、自然現象を主語とする例である。
(22)a. A hora se aproxima.
b. 時間が切迫している。
(池上ほか編 1996: 102)
問題部分の項構造は、
(22a’)の通りである。
(22)a’. A hora aproxima a hora.
b’. 時間が時間を(ある出来事に)近づける。
両者の外項および内項(Yumi、A hora)が、人間が動かし得るものかどうかを検討する
ため、それぞれの文の外項(主語)を「太郎」に変えた文を示す。
(21)a”. Taro aproximava Yumi da porta.
b”. 太郎が由美をドアに向かって歩いて来させた。
(22)a”. *Taro aproximava a hora.
b”. *太郎が時間を(ある出来事に)近づけた。
(21a”)および(21b”)が成立するのに対し、(22a”)(22b”)の状況は現実的には不可
能である。内項が y=x になるという反使役化の構造では、
(21a’)や(22a’)から考えて、
外項(主語)x が人間かどうかで、非能格・非対格のいずれの自動詞として機能するのかが
決定されるのではないだろうか。
3.1.3 自他対応による分類
次に、項構造ではなく自他対応の形式から自動詞を2つに分類した研究を紹介する。
鷲尾(1997)によれば、英語の自他動詞は(ⅰ)日本語では純粋自動詞にしか対応しな
いタイプと(ⅱ)日本語でも自動詞と他動詞が対をなすタイプの2つに分けられる。(ⅰ)
には march(「行進する」、使役化する際には「行進させる」と生産的な使役構文を用いな
ければならない)のような「行為」を表す動詞、(ⅱ)の例としては break(「壊す」「壊れ
る」という自他対応がある)のような「変化」を表す動詞が該当する。興味深いことにこ
の分類は、影山(1997)で言う「非能格自動詞」(ⅰが該当)と「非対格自動詞」(ⅱが該
当)の分類とも大方一致する。非能格自動詞が使役化に生産的な使役構文を要求するとい
うことは、自発的に行為をはたらく主体を主語に要求するということである。言い換えれ
ばこれは 3.2 で述べた、主語が人間かどうかという問題と関係するのである。
11
3.2 まとめ
本章ではここまで、日本語の「非能格自動詞」と「非対格自動詞」がそれぞれどんなポ
ルトガル語再帰動詞に対応するのかを知る手がかりとなる事項を掲げた。最後に
Langacker(1991)の action chain というモデルを使って、2つの自動詞について整理し
ておこう。
(23)
a. S-thematic relation の action chain(谷口(2005: 123)、一部改変)
b. E-thematic relation の action chain(谷口(2005: 123)一部改変)
(23a)の Self-induced thematic relation(以下 S-thematic relation)とは、
「参与者自
身がエネルギーを起こして変化を起こしている場合」(谷口 2005: 122)、(23b)の
Externally-driven thematic
relation(以下 E-thematic relation)は「外部の参与者から
エネルギーを受けている場合」(谷口 2005: 122)の action chain である。前者は非能格自
動詞、後者は非対格自動詞にそれぞれ相当している。
この概念に基づいて考えると、再帰代名詞 se を使った構文においては、主語が自らエネ
ルギーを発することのできる人間ならば(23a)の非能格自動詞のはたらきを、外部からエ
ネルギーを受けなければならないような名詞ならば(23b)の非対格自動詞のはたらきを持
っているということになる。
次章からはいよいよ、実際にポルトガル語と日本語の用例をあたり、再帰動詞と自動詞
の対応関係を考察していくことにする。
12
4.問題提起と用例収集
4.1 問題提起
前章から、再帰代名詞 se によって反使役化されたポルトガル語の他動詞(「se 付き自動
詞」)は、主語が人間であれば非能格自動詞と、そうでなければ非対格自動詞と対応すると
予想される。それを踏まえ、本稿では次の2点を明らかにしていきたい。
影山(1997 :82)では、非能格自動詞は「意図的な行為」、非対格自動詞は「人間がコ
①
ントロールしにくい自然現象ないし生理現象」をそれぞれ述べる動詞だと分類している。
前章で挙げた、主語による分類とこの分類とは一致するか。
②
非能格自動詞には通常対応する他動詞を持たないものが多いが、同様のはたらきをす
る Vt-se には対応する他動詞 Vt が存在する。この Vt の本来の意味と Vt-se の間にはどん
な関係があるか。また、この Vt 群には何らかの共通性が見られるか。
繰り返しになるが、本稿の試みはこの2点を解明するためではなく、この2点を踏まえ、
筆者自身も含めたポルトガル語学習者の次のような疑問を解くためのものである。
③
再帰代名詞をどのように解釈すれば、原文の意味を生かしたまま自然な日本語に訳す
ことができるのか。
④
どのような日本語に再帰動詞をあてると、より自然なポルトガル語作文ができるのか。
これらを解決するには、日葡両言語の対訳を一定量収集し、おおよその対応関係をつか
む必要がある。調査方法については、次節で詳しく述べることとする。
4.2 調査方法
ポルトガル語の再帰代名詞を使った他動詞構文は、どのような日本語と対応しているの
だろうか。本稿では、吉本ばなな(1988)
『キッチン』に収録されている3篇の小説「キッ
チン」「満月――キッチン2」「ムーンライト・シャドウ」のポルトガル語版から、再帰代
名詞を含む文を抽出・検証することとする。
用例収集にあたっては以下の2つの条件を設け、他動詞の反使役化接辞として用いられ
ているもののみを抽出する。
(24)a. 他動詞に付加されていること
b. 動詞の人称および数が主語と一致すること(他動詞の目的語が主語であること)
13
他動詞の結果性を含意するなど、
(24b)の条件に当てはまらない以下の動詞は除外した。
abraçar-se(抱きしめる→しがみつく)、agarrar-se(つかむ→つかまる)
、
aperceber-se(気づく→気づく)、comportar-se(許す、耐える→ふるまう)、
descair-se(垂れ下げる、降ろす→口がすべる)、entender-se(理解する→わかる)、
entrever-se(かいま見る→かいま見える)、ouvir-se(聞く→聞こえる)
、
referir-se(述べる→言及する)、ver-se(見る→見える)
さらに参考のために、同英語版の該当部分も抽出し、Vt-se が英語でどのような表現に相
当するものなのかも示しておく(附録参照)。
なお、前節の問題を検証する上で日英葡3言語の対照、および日-英、日-葡、葡-英
の2言語間の対照を試みるため、上記の条件に合致するもののうち、次のような用例は考
察対象から除外する。
(25)c. 日本語版・英語版に該当する表現がないもの
d. 日本語版において、意訳など動詞以外の表現が使われているもの
また対応する日本語の動詞には、一部「厚着をする」「首を振る」といった、「O+Vt」の
構造をとる動詞句を含む場合がある。これは Vt-se が「自分(主語)を Vt する」→「自分
(主語)が Vt-se(≒Vi)する」という原理で他動詞の反使役化を行っているため、「自分
(主語)の身体(の一部)に Vt する」という構造をとる動詞句は、主語による主語の自発
的な行為や変化とみなして差し支えないと判断したためである。
14
5.問題①
「se 付き自動詞」と2つの自動詞の対応関係
(24)に挙げた条件で用例を収集した結果、全部で 117 の「se 付き自動詞」およびそれ
に対応する日本語・英語の表現のデータが得られた(附録)。ここからはこの動詞を分析し、
前章で提起した問題に迫っていく。
人間を主語とする再帰動詞は「行為」を表す非能格自動詞、それ以外の名詞を主語とす
る再帰動詞は「自然現象」や「生理現象」を表す非対格自動詞とそれぞれ対応するのでは
ないか、というのがここまでに立てた仮説である。実際にそのような形式的な特徴と意味
的な特徴に相関関係は見られるのだろうか。
5.1 用例分析
5.1.1 人間を主語としているもの
全用例のうち、人間を表す名詞や代名詞を主語とする動詞は 81 に上った。表1-1は非
能格自動詞と、表1-2は非対格自動詞とそれぞれ対応したものの一覧である。なお表中
「動詞の種類」の欄には「対応する日本語」の種類を記した。すなわち、行為(action)を
表す動詞は A で、物事の状態(states)やその変化を表す動詞は S で、心理述語(psychological
predicates)は PS で、生理的現象(physiological phenomenon)を表す述語は PH でそれ
ぞれ示した。
なおこの分類の基準は筆者の母語話者としての直観によるものであるが、判断がつきか
ねる場合には鷲尾(1997)を参考にして対応する他動詞の有無を基準としたものもある。
表1-1
人間を主語にとる再帰動詞 2 ①
ポルトガル語再帰動詞
非能格自動詞と対応したもの
対応する日本語 3
動詞の種類
1
acocorar-se
かがむ
A
2
agasalhar-se
厚着をする
A
3
apear-se
降りる
A
4
apoiar-se
もたれかかる
A
5
arranjar-se
仕度する
A
6
arrastar-se
はう
A
7
arriscar-se
体をはる
A
8
atirar-se
寝る
A
9
calar-se
だまる
A
10
chamar-se
申す
A
11
dedicar-se
(仕事に)つく
A
12
deitar-se
横たわる
A
2 以下、表中では動詞はすべて辞書形で表記する。
3 同様の意味の動詞が複数挙がった場合には、うち一つのみを掲載。
15
備考
13
descontrair-se
手を休める
A
14
despedir-se
別れる
A
15
dirigir-se
向かう
A
16
distrair-se
気をまぎらわせる
A
17
divertir-se
遊ぶ
A
18
encarrapitar-se
登る
A
19
endireitar-se
体をおこす
A
20
enfiar-se
入る
A
21
enrodilhar-se
もぐりこむ
A
22
entrecruzer-se
間をぬう
A
23
equipar-se
入門する
A
24
escusar-se
のがれる
A
25
esforçar-se
無理をする
A
26
habituar-se
なじむ
A
27
inclinar-se
身を乗りだす
A
28
inteiriçar-se
すくむ
A
29
juntar-se
そろう
A
30
levantar-se
おきあがる
A
31
libertar-se
抜ける
A
32
mexer-se
体を動かす
A
33
misturar-se
まぎれる
A
34
movimentar-se
立つ
A
35
mudar-se
引っ越す
A
36
permitir-se
自分に許す
A
37
pôr-se
スタートする
A
38
retirar-se
解散する
A
39
reunir-se
待ち合わせをする
A
40
sentar-se
すわる
A
41
vestir-se
着がえる
A
42
virar-se
ふりかえる
A
43
voltar-se
ふりむく
A
16
表1-2
人間を主語にとる再帰動詞②
ポルトガル語再帰動詞
非対格自動詞と対応したもの
対応する日本語 4
動詞の種類
備考
1
aborrecer-se
怒る
PS
2
acalmar-se
落ちつく
PS
3
aclarar-se
冴える
PS
4
agradar-se
いいなと思う
PS
5
aliviar-se
(心が)ゆるむ
PS
6
alterar-se
動じる
PS
7
animar-se
元気を出す
PS
8
apaixonar-se
愛する
PS
9
assustar-se
おどろく
PS
10
atormentar-se
悩む
PS
11
cansar-se
~たくなくなる
PS
12
convencer-se
納得する
PS
13
dar-se
思える
PS
14
desorientar-se
迷う
PS
15
dissolver-se
とける
PH
16
embebedar-se
酔う
PH
17
emocionar-se
感動する
PH
18
encontrar-se
(元気で)ある
PS
19
enfurecer-se
怒り狂う
PS
20
enganar-se
まちがえる
PS
21
ensombrar-se
くらい顔をする
PS
22
entristecer-se
悲しくなる
PS
23
equilibrar-se
伯仲する 5
S
※
24
esfumar-se
消える
S
※
25
fartar-se
いやになる
PS
26
impacientar-se
あせる
PS
27
interessar-se
興味ある
PS
28
lembrar-se
思い出す
PS
29
preocupar-se
心配する
PS
30
ruborizar-se
(顔が)真赤になる
PS
31
sentir-se
思う
PS
4 同様の意味の動詞が複数挙がった場合には、うち一つのみを掲載。
5 よく似ていて、まさりおとりのないこと(
『新選国語辞典 第七版』小学館)。
17
※
32
sobressaltar-se
びっくりする
PS
33
surpreender-se
驚く
PS
34
tornar-se
なる
S
35
tranquilizar-se
安心する
36
transformar-se
なる
S
※
37
unir-se
ひとつに戻る
S
※
38
verter-se
(涙が)出る
PH
※
PS
全 81 の動詞のうち、非能格自動詞との対応が 43、非対格自動詞との対応が 38 と、非能
格自動詞との対応が非対格自動詞との対応をやや上回る結果となった。当初筆者は、人間
を主語にとる再帰動詞は、行為を表す非能格自動詞と対応するのではないかとの予測を立
てた。しかしこの数字を見る限り、それとほぼ同数が非対格自動詞(または非対格事象 6 を
描写した表現)とも対応しているのである。もちろん3篇の小説という非常に限られた範
囲内での調査のため、この数字については参考程度にとどめるが、問題はこの両者の動詞
の意味内容である。
表1-1には、人間(動作主)の意志によって制御可能な動作を表すものを分類した。
問題は、表1-2に示した非対格自動詞である。※を付した例外を除けば、ほとんどが「怒
る」「驚く」などの心理的変化や、「酔う」といった生理的現象を表す動詞なのである。日
本語ではこうした事象は自動詞で表されるのが普通であるから、この結果からも他動詞+se
と日本語の自動詞の間に対応関係が見てとれる。逆に言えば、再帰代名詞がついていると
は言えポルトガル語では他動詞でこのような作用を表すという現象は興味深い。次の例を
ご覧頂きたい。
(26)a. Surpreendi-me do que via.
(a. b. 池上ほか編 1996: 1155)
b. 私は目の前の光景に驚いた。
下線部 surpreendi-me(原型は surpreender-se)と「驚いた」が対応しているというこ
とは容易に想像がつくが、筆者がここで強調したいのは、ポルトガル語はあくまで他動詞
surpreender(「驚かせる」)を用いているということである。すなわち再帰代名詞を付けた
(26a)は直訳すれば「私は目の前の光景を見て、自分で自分を驚かせた」ということにな
る。これが英語ならば「目の前の光景」を主語として次のように表現するのではないだろ
うか。
(26)c. What I saw surprised me.
(筆者作例)
6 非対格事象については次節で詳述する。
18
同じ事象を表していながら、発話者「私」が日本語では経験主に、英語では他動詞の目
的語になっているのに対し、ポルトガル語では「目の前の光景」という原因があったとは
言え動作主として登場するという三者三様の振る舞いは特筆すべき点であろう。そう考え
れば、意志性のある主語と心理作用を表す再帰動詞が多く共起するという結果についても
説明がつく。
5.1.2 無生物名詞を主語としているもの
ここで言う「無生物名詞」とは、「人間でないもの」として便宜上用いた名称であり、
一部動物や植物も含む。また次に挙げるような、無生物ながらもエネルギーを内包してい
る可能性のあるものも多数存在する。
(27)a. (...)a minha consciência aclarou-se de chofre de uma forma estimulante.
b. 意識だけが“覚醒”というようなはっきりした感じでふいに冴えた。 (吉本 1988)
(27)では、この「意識」の持ち主がまさに意識的に「意識」にはたらきかけた訳ではな
い。「意識」が自ら意志性を持って「冴えた」ように叙述されている。こうした外的エネル
ギーによって制御することができない現象は一般に非対格事象と呼ばれる。
(28)に挙げる
ような、生物(特に人間)の一部分を主語にとる動詞は、あたかも非能格自動詞の振る舞
いをしているように思われるが、全体として見ると非対格構文だと言える。
(28)a sensibilidade(感覚)、uma tristeza(悲しみ)、o meu corção(心)、o funcionamento
do meu corpo(自分の機能)、a cara(顔)、as suas capacidades(実力)、os meus
pequenos músculos destreinados(運動神経)、a minha mão(手)、a minha cabeça
(頭)、o meu corpo e a minha alma(体と心)、lágrimas(涙)
また次の時空間や自然現象などを表す主語とする文も、非対格構文と呼ばれる。
(29)a. (...)a neve, branca e ligeira, começava a acumular-se em cima dos carros,
as árvores agitavam-se espalhando folhas secas.
b. 白くうっすらと車の屋根につもりはじめる雪、右に左に、木々は首を振って 7 、
枯れた木の葉を散らし続ける。(吉本 1988)
(30)a. (…)ouviam-se o seu trautear e o martelar dos seus saltos, que se aproximavam
b. 鼻歌とヒールの音が近づいてきて(……)(吉本 1988)
7 ここでは「木々」が揺れている様を表しているが、実際に揺らしているのは風などの自然のエネルギーであると推測
される。
19
(31)as plantas e as flores(庭木や花)、as árvores(木々)、o bramido do rio(川音)、
a manhã(朝)、o amanhecer(夜明け)、este momento(このひととき)、a dimensão,
o espaço, e o tempo(次元や空間や時間)、umas estrelas(星)
、o tempo(時間)、a
luz(光)、umas nubens(雲)、o céu(空/天空)、o ar frio(冷気)、o vento(風)、
os dias(日々)
こうした名詞も含め、人間でない名詞を主語としていた再帰動詞は表2に示した 26 例で
ある。これらは日本語の非対格自動詞(あるいは非対格構文)と対応しているのではない
かと予測される。
なお表中の「動詞の種類」の欄には、表1同様「対応する日本語」が行為動詞であれば A
を、状態やその変化を表す動詞であれば S を付す。判別のつきかねるものに関しては岸本
(2000)による非対格性のテストを適宜利用した。
このテストは、非対格性の決定には「意図性」と「完結性」という2つの要因を満たす
ことが必要であるとし、次のように動詞にアスペクト接辞「かけ」を付加するものである。
(32)非対格性のテスト(岸本(2000)による)
完結性
非対格自動詞としてはたらく達成動詞や到達動詞は、「かけ」構文に現れやすい。
a. 達成動詞
e.g. 死にかけの虫、枯れかけの花(松岡 2002: 355)
b. 到達動詞
e.g. 作りかけのプラモデル、書きかけの手紙(松岡 2002: 355)
意志性
「他動詞や非能格自動詞のように、動作主が意志をもって行う動詞の場合、「かけ」表現
が主語を修飾することができない。
」(松岡 2002: 355)
a. 他動詞
e.g. 読みかけの本/*読みかけの正夫
b. 意志性をもった自動詞
e.g. *吠えかけの犬
叫びかけの観客
c. 意志性をもたない自動詞
e.g. 腐りかけの野菜
枯れかけの花
このテストを、動作主性のない主語と共起した 26 の動詞に適用した結果が表2である。
20
表2
無生物名詞を主語にとる再帰動詞
ポルトガル語再帰動詞
対応する日本語
動詞の種類
1
abrir-se
開く
S
2
acender-se
(明かりが)つく
S
3
acumular-se
つもる
S
4
agitar-se
ゆれる
S
5
agudizar-se
冴える
S
6
aliar-se
ともなう
S
7
aligeirar-se
軽くなる
S
8
alinhar-se
並ぶ
S
9
apagar-se
消える
S
10
apresentar-se
目に入る
S
11
avariar-se
こわれる
S
12
compor-se
直る
S
13
deslocar-se
移動する
A
14
desprender-se
ずり落ちる
S
15
diluir-se
とける
S
16
embaciar-se
くもる
S
17
encher-se
こむ
S
18
erguer-se
そびえ立つ
S
19
esconder-se
かくれる
S
20
fechar-se
閉まる
S
21
filtrar-se
しみとおる
S
22
infiltrar-se
しみる
S
23
murchar-se
枯れる
S
24
repercutir-se
なる
S
25
repetir-se
くり返す
A
26
submergir-se
沈む
S
備考
※
※
表が示すとおり、deslocar-se、repetir-se の2つを除く圧倒的多数の再帰動詞が、状態変
化表す非対格自動詞と対応しているということがわかった。例外的に非能格自動詞と対応
した2つの動詞は、どのような構文の中で用いられているのだろうか。
(33)
a. Deslocava-se devagar, contra o vento.
21
b. Propelled by the wind, it slowly moved along.
c. 風を押して、ゆっくりと移動してゆく。(吉本 1988)
(34)
a. <O caminho está sempre marcado, mas não num sentido fatalista: a cada instante,
com a respiração, com o olhar, e com os dias que se repetem, um após outro, vai-se
decidindo espontaneamente>.
b. But I don’t mean this in the fatalistic sense; we’re constantly making choices. With
the breaths we take every day, with the expression in our eyes, with the daily
actions we do over and over, we decide as though by instinct.
c. 決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざし
が、くり返す日々が自然と決めてしまうのだ。
(吉本 1988)
(33)の文中には表れていないが、「移動」している主体は飛行船である。「移動する」
という動詞だけを見ると意志性があるように感じられるが、それはあくまで飛行船を操縦
し「移動させる」人間の意志である。例文の状況は、主人公が飛行船の「移動する」さま
を眺めている様子であり、そこに意志性は感じられない。つまり構文全体としては非対格
構文だということになる。
(34)についても、主語が「日々」であることからもわかる通り、
人間の意志ではコントロールできない非対格事象である。余談だが、
(34b)の英語訳では、
「くり返す日々」が「私たちが日々くり返す行動」と意訳されているのは面白い。
こうして見てみると、動作主性のない主語と共起する他動詞+se は、ほとんどが日本語
の非対格自動詞(または非対格構文)と対応していると考えることができる。
5.2 まとめ
最後にまとめとして、複数の用例が抽出され、人間を表す名詞、そうでない名詞の両方
と共起した再帰動詞を表3に示す。
「対応する日本語」には、人間を主語とする構文でのも
のを[+HUMAN]、無生物主語と共起したものを[-HUMAN]の欄に示した。
表3
両方の主語と共起した例
ポルトガル語再帰動詞
[+HUMAN]
動詞の種類
[-HUMAN]
動詞の種類
1
afastar-se
離れる
S
遠ざかる
E
2
aproximar-se
近づく
E
近づく
E
3
converter-se
なる
E
なる
E
4
cruzar-se
すれちがう
S
交差する
S
5
desvanecer-se
消える
E
消える
E
6
deter-se
立ち止まる
S
止まる
E
22
7
estender-se
寝ころがる
S
広がる
E
8
mover-se
動く
E
動く
S
9
reflectir-se
うつる
E
すける
E
10
separar-se
別れる
S
別れる
S
今回の調査ではわずか 10 例にとどまったが、実際にはすべての再帰動詞がどちらの種類
の主語とも共起する可能性がある。表3は同じ再帰動詞に対して主語の名詞の種類がどの
ように影響するかを示したものである。やはり本章での結果を象徴するように、[+HUMAN]
の主語に対しては非能格自動詞と非対格自動詞が半数ずつ対応しているが、[-HUMAN]の
主語と共起した場合には非対格自動詞と対応するケースが多いということがわかる。
次章ではこの結果を踏まえ、再帰動詞のもととなる他動詞の特徴を探り、他動詞+再帰
代名詞を使った構文に遭遇した際の学習ストラテジーの提案へとつなげていきたい。
23
6.問題②
「非能格自動詞」に対応する他動詞
ここまでは、他動詞に再帰代名詞が付加された「再帰動詞」を一まとまりとして扱って
きたが、そもそもこの「他動詞」はどんな動詞なのだろうか。特に日本語の非能格自動詞
には対応する他動詞が存在しないことが多いのに対し、前章で見た「非能格自動詞的」な
はたらきをする再帰動詞 Vt-se には対応する他動詞 Vt が必ず存在するというのは面白い現
象である。本章ではこの他動詞は本来のどんな意味を持った動詞なのか、またその意味に
何らかの共通性は見られるのかという2つの問題に迫っていきたい。
6.1 非能格自動詞に対応する他動詞―日本語
鷲尾(1997)にある通り、動作主の意志によって起こる行為を示す自動詞は、日本語で
は対応する他動詞を持たないものが多く、あえて使役化しようとすれば生産的な使役構文
を用いなければならない。
(35)a. 歩く―歩かせる
b. 立つ―立てる
食べる―食べさせる
座る―座らせる
起きる―起こす
(35a)と(35b)はともに我々の日常動作を表す自動詞である。(35a)から、これらの
自動詞を使役化するには-(sa)se-という特別な接辞を使わなければならないことがわかる。
一方の(35b)はどうだろう。一見自他対応があるように思われるが、前者については人間
には「立たせる」という使役形を用いるのが普通であるし、後者に関しても本人の意志で
「起きる」場合にはこの自他対応は無効である(「目を覚ます」という意味での「起きる」
という現象は本人の意志とは関係なしに行われているために他人や目覚まし時計が「起こ
す」ことが可能なのである)。
(36)a. 屋上に{旗を/??明子を}立てる。
b. 屋上に{??旗を/明子を}立たせる。
(37)a. 寝た子{が起きる/を起こす}。(
「子」が自らの意志で目を覚ますことは不可能)
b. ベッドから{起きる/??起こす}。
(重病人など、意志はあっても自力で起き上がれないという場合には「起こす」も可)
c. 強風で倒れた自転車{*が起きる/を起こす}
。
このように、動作主が意志性を伴って行う動作に対しては外的エネルギーを必要としな
いことから、対応する他動詞が存在しないのが普通である。
翻って、ポルトガル語ではどうだろうか。5.1.1 でも述べたが、ポルトガル語は心理作用
にすらも他動詞を用いる他動詞中心の言語である。前章までに見てきた、日本語の非能格
24
自動詞に対応するポルトガル語の再帰動詞は、一体どんな他動詞がもとになっているのだ
ろうか。
6.2 「非能格再帰動詞」に対応する他動詞―ポルトガル語
6.2.1 対応する他動詞の概念的特徴
前節で、日本語の非能格自動詞には対応する他動詞がないということを確認した。とこ
ろがポルトガル語の再帰動詞 Vt-se には、たとえ動作主自身の意志によって行われる動作を
表すものであっても、必ずもととなる他動詞 Vt が存在するわけである。この、「非能格再
帰動詞」とでも呼ぶべき動詞は、どのような他動詞をもとに生まれているのだろうか。収
集された用例をもとに分析していこう。
表4は、用例調査で人間を主語にとっていた再帰動詞(表1-1、1-2参照)と、も
ととなった他動詞の一覧である。他動詞の「対応する日本語」は池上ほか(1996)の解釈
によった。基本的にはこの「対応する日本語」の前に「自分を(に)
」をつければ再帰動詞
の意味と重なるはずである。
表4
「非能格再帰動詞」と対応する他動詞
se 付き自動詞
非能格自動詞
他動詞
対応する日本語
備考
1
aborrecer-se
怒る
aborrecer
いらいらさせる
○
2
acalmar-se
落ちつく
acalmar
落ち着かせる
○
3
aclarar-se
冴える
aclarar
澄ませる
○
4
acocorar-se
かがむ
acocorar
しゃがませる
○
5
agasalhar-se
厚着をする
agasalhar
温かい服を着せる
6
agradar-se
いいなと思う
agradar
満足させる
○
7
aliviar-se
ゆるむ
aliviar
軽減させる
○
8
alterar-se
動じる
alterar
動揺させる
○
9
animar-se
元気を出す
animar
元気づける
Vt
10
apaixonar-se
愛する
apaixonar
熱中させる
○
11
apear-se
降りる
apear
下ろす
Vt
12
apoiar-se
もたれる
apoiar
もたせかける
Vt
13
arranjar-se
仕度する
arranjar
飾る
Vt
14
arrastar-se
はう
arrastar
引きずる
Vt
15
arriscar-se
体をはる
arriscar
危険にさらす
Vt
16
assustar-se
おどろく
assustar
驚かす
Vt
17
atirar-se
寝る
atirar
伸ばす
Vt
18
atormentar-se
悩む
atormentar
悩ます
Vt
25
19
calar-se
だまる
calar
黙らせる
○
20
cansar-se
~たくなくなる
cansar
うんざりさせる
○
21
chamar-se
申す
chamar
呼ぶ
Vt
22
convencer-se
納得する
convencer
納得させる
○
23
dar-se
思える
dar
思う
24
dedicar-se
(仕事に)つく
dedicar
捧げる
Vt
25
deitar-se
横たわる
deitar
横たえる
Vt
26
descontrair-se
手を休める
descontrair
※注1
27
desorientar-se
迷う
desorientar
道に迷わせる
28
despedir-se
別れる
despedir
別れる
29
dirigir-se
向かう
dirigir
向ける
Vt
30
dissolver-se
とける
dissolver
溶かす
Vt
31
distrair-se
気をまぎらわせる
distrair
紛らす
Vt
32
divertir-se
遊ぶ
divertir
楽しませる
○
33
embebedar-se
酔う
embebedar
酔わせる
○
34
emocionar-se
感動する
emocionar
感動させる
○
35
encarrapitar-se
登る
encarrapitar
※注2
36
encontrar-se
ある
encontrar
見つける
Vt
37
endireitar-se
体をおこす
endireitar
まっすぐにする
○
38
enfiar-se
もぐり込む
enfiar
差し込む
Vt
39
enfurecer-se
怒り狂う
enfurecer
激怒させる
○
40
enganar-se
まちがえる
enganar
誤らせる
○
41
enrodilhar-se
もぐりこむ
enrodilhar
巻く
Vt
42
ensombrar-se
くらい顔をする
ensombrar
暗くする
○
43
entrecruzer-se
すれちがう
(entrecruzer は必ず se を伴って使う)
44
entristecer-se
悲しくなる
entristecer
悲しませる
○
45
equilibrar
伯仲する
equilibrar
釣り合わせる
○
46
equipar-se
入門する
equipar
装備する
Vt
47
escusar-se
のがれる
escusar-se
免除する
Vt
48
esforçar-se
無理をする
esforçar
力づける
Vt
49
esfumar-se
消える
esfumar
徐々に姿を消す
50
fartar-se
いやになる
fartar
うんざりさせる
○
51
habituar-se
なじむ
habituar
慣らす
Vt
52
impacientar-se
あせる
impacientar
じらす
Vt
53
inclinar-se
身を乗りだす
inclinar
傾ける
Vt
26
○
54
inteiriçar-se
すくむ
inteiriçar
硬直させる
55
interessar-se
興味ある
interessar
興味を引く
56
juntar-se
そろう
juntar
集める
Vt
57
lembrar-se
思い出す
lembrar
思い出させる
○
58
levantar-se
おきる
levantar
起こす
Vt
59
libertar-se
抜ける
libertar
解放する
Vt
60
mexer-se
体を動かす
mexer
動かす
Vt
61
misturar-se
まぎれる
misturar
混ぜる
Vt
62
mover-se
動く
mover
動かす
Vt
63
movimentar-se
立つ
movimentar
動き出させる
○
64
mudar-se
引っ越す
mudar
移す
Vt
65
permitir-se
自分に許す
permitir
許す
Vt
66
pôr-se
スタートする
pôr
創設する
Vt
67
preocupar-se
心配する
preocupar
心配させる
○
68
retirar-se
解散する
retirar
引っこめる
Vt
69
reunir-se
待ち合わせをする
reunir
呼び集める
Vt
70
ruborizar-se
赤くなる
ruborizar
赤面させる
○
71
sentar-se
すわる
sentar
座らせる
○
72
sentir-se
感じる
sentir
感じる
73
sobressaltar-se
びっくりする
sobressaltar
驚かせる
○
74
surpreender-se
驚く
surpreender
驚かせる
○
75
tornar-se
なる
tornar
~にする
○
76
tranquilizar-se
安心する
tranquilizar
安心させる
○
77
transformar-se
なる
transformar
変える
Vt
78
unir-se
ひとつに戻る
unir
一つにする
○
79
verter-se
(涙が)出る
verter
流す
Vt
80
vestir-se
着がえる
vestir
服を着せる
Vt
81
virar-se
ふりかえる
virar
向ける
Vt
82
voltar-se
ふりむく
voltar
向ける
Vt
※ 注1
○
葡和辞典には掲載なし。Costa, Melo(1994)には fazer cessar a contracção de
(収縮を止める、ゆるめる)との説明あり。
※ 注2
注1同様、葡和辞典には掲載なし。Costa, Melo(1994)には pôr no carrapito ou
em lugar lugar alto(子ヤギの角、または高いところに置く)との説明あり。
27
備考欄に○で示したとおり、Vt-se の原型である他動詞 Vt の多くは、日本語では他動詞
一語では表せない、すなわち「~させる」「~にする」という使役表現を使わなければ表せ
ない概念であることがわかった。
また Vt で示した他動詞に関しても、6.1 に例示したよ
うな意志を持った動作主に対しては用いることのできないものであったり、対応する自動
詞を持たない(結果を含意しない)ものが大半であった。
日本語を母語とする学習者は、つい自動詞を多用した「日本語らしい」ポルトガル語作
文をしがちである。より「ポルトガル語らしい」作文を書くためには、こうした日本語の
動詞にはない概念を含む動詞をつとめて取り入れるというのも一案であろう。
このように、他動詞の意味概念は予測どおりポルトガル語特有のものであることがわか
ったが、動詞の形態からも何らかの特徴を見出すことができれば、さらに習得が容易にな
る。次節では、表4に挙がったポルトガル語他動詞の形態的な特徴を見ていこう。
6.2.2 対応する他動詞の形態的特徴
ポルトガル語の文章を目にした際、動詞の形態から何らかの特徴をつかむことができれ
ば、読解の大きなヒントとなる。ここからは、表4に挙がったポルトガル語の他動詞の形
に着目していく。
まず目につくのは、en-(em-の形を含む)、des-、re-といった接頭辞を伴う動詞である。
中でも en-(em-)は「中への動き」
(田所・伊藤 2004: 377)を意味し、
「
(何かの)中に入
れる」という意味の動詞を作る接頭辞であるが、この「中に入れる」という他動性の高い
動詞はまぎれもない他動詞であり、他動詞を作る接頭辞であるとも言えるのである。ラテ
ン語の接頭辞がそのままポルトガル語したもので、興味深いことに英語にも形態、意味と
もに同じ接頭辞 en-(em-)が存在する。また逆に e-は「外への運動」
(田所・伊藤 2004: 379)
を表す接頭辞で、これも何らかの名詞や形容詞を外に出すという意味の他動詞を作ること
ができる。
表5に、表4に挙がった en-で始まる動詞と、関連する単語を示す。
表5
接頭辞 en-(em-)を伴う他動詞
他動詞
意味
関連する単語
意味
embebedar
酔わせる
bêbedo
酔っ払った
encarrapitar
※注
carrapito
子ヤギの角
endireitar
まっすぐにする
direito
まっすぐな
enfiar
糸を通す
fio
糸
enrodilhar
(頭にのせて運ぶため
rodilha
(頭に荷を載せて運ぶ
に頭を保護する布など
時の)頭当て
を)ねじって輪にする
ensombrar
sombra
陰にする
28
陰
entristecer
triste
悲しませる
悲しい
※ 葡和辞典には掲載なし。Costa, Melo(1994)には pôr no carrapito ou em lugar lugar
alto(子ヤギの角、または高いところに置く)との説明あり。
こうした動詞は、もとの名詞や形容詞を知っていれば意味が類推できる上、接頭辞から
他動詞である可能性が高いということがわかる。en-(em-)や e-で始まる動詞に再帰代名
詞が付加されている場合には、他動詞+反使役化接辞だと解釈してよいだろう。
6.3 まとめ
ポルトガル語の再帰動詞 Vt-se の原型となる他動詞 Vt は、日本語の「~させる」「~に
する」という表現と対応しており、他動詞一語では表すことのできない概念である。特に
6.1 で触れた意志性という問題においては、日本語とポルトガル語の言語文化の違いが如実
に表れている。
日本語では、動作主の意志にもとづく行為である非能格自動詞を基本とし、命令などに
よって本人の意志とは関係なく動作を行わせる場合には使役表現を用いる。つまり、自動
詞が無標識、使役表現が有標識という構図になっている。これに対しポルトガル語は、「~
させる」「~にする」という意味の他動詞が基本であり、それを動作主が自ら行ったとする
場合には、再帰代名詞を付加する。もちろん再帰代名詞を伴わない純粋な自動詞も存在す
る。だが基本的にポルトガル語の自他動詞は、すべての事象にははたらきかけ他動詞があ
り、その結果を表すものとして自動詞ないしは再帰動詞が存在するという関係性となって
いるのである。
また 6.2.2 では、接頭辞から一目見て他動詞だと判別できるものがあるということを見た。
2.1 で見たとおり再帰代名詞の用法は多岐に渡っており、とっさにどの用法で使われている
のかを学習者が判断するのは難しい。そこで主語や動詞の意味、形態をヒントに再帰動詞
を解釈することはできるだろうか、というポルトガル語学習者の一人である筆者自身の疑
問から行った試みである。動詞が他動詞であることがわかれば、再帰代名詞を付けること
によって受身形や自動詞など、他動性が抑えられた表現になっているというおおよその見
当をつけることができる。
言うまでもなく、「他動性」や「反使役化」などという用語を学習者が暗記する必要はな
いが、自他動詞および再帰動詞というポルトガル語の複雑な動詞体系を理解するには、
Langacher(1991)の action chain のような図を使うなどして視覚に訴えれば、概念その
ものを理解するのはさほど困難なことではないだろう。
次章ではこうしたことも含め、学習者が反使役化接辞としての再帰代名詞を理解する上
で参考になるような学習者ストラテジーを提案していく。
29
7.反使役化を理解するために――結論にかえて
ここまでポルトガル語再帰代名詞の、特に反使役化機能に着目して論を進めてきた。1.
ではまず、動作主性のないモノを主語として「~させる」という動詞を立てるのは日本語
の文として不自然である、というところから日本語とポルトガル語の動詞体系の違いが学
習者を苦しめているということに触れた。2.ではそれを踏まえ、学習者が最初に手にす
るであろう文法書では、反使役化接辞としての再帰代名詞はどのように解説されているの
かを見た。その結果、他動詞 Vt と再帰代名詞の付いた Vt-se を別個に扱っており、学習者
にとって非効率的な解説になっているものが多いことがわかった。そのため3.では、反
使役化の構造が「言語学的」にはどのように説明されるのかを概観し、文の主語から再帰
動詞を解釈することができるのではないか、という4.の問題提起に至った。
5.と6.では、主語やもととなる他動詞の意味をもとに再帰代名詞の反使役化を理解
しようという試みを行った。これをもとに本章では、日本語母語話者のための反使役化の
学習ストラテジーを提案し、結論にかえる。
まず、学習者が(38)のような再帰動詞に出会ったとしよう。
(38)Apaixonei-me só de a ver. (Yoshomoto1993)
まず、動詞の形に注目しよう。apaixonar は「情熱」
「恋心」といった意味を表す名詞 paixão
に接頭辞 a と接尾辞 ar を付加してできた他動詞である。
次に着目するのは主語である。この場合は省略されているが、動詞の活用から主語は1
人称単数、つまり eu(私)であると推測できる。
さてここで田所・伊藤(2004)の6つの用法を思い出してみよう。
(39)再帰代名詞の6つの用法
①再帰的な用法→「自分自身を~する」
②他動詞の自動詞化→「自分を~する」を「自分が~する」に変換
③相互的な用法(相互動詞)→「互いに~し合う」
④受動的な用法→「~される」
⑤虚辞的な用法:本来は不必要な再帰代名詞 se を自動詞に付加することで強調を表す
⑥非人称的な用法→「人は誰でも~」「我々は~」「世間一般は~」
1人称単数の人間を表す代名詞と他動詞が共起しているとわかれば、このうち②の用法
で使われていると考えられる。主語が人間であることから、apaixonar-se は日本語の非能
格自動詞(行為を表す自動詞で、対応する他動詞がない)と対応する概念である可能性が
高い。同時に他動詞 apaixonar は日本語の「~させる」という表現に相当する概念である
30
という推測が立つ。
ここまでの分析で、以下のような解釈を一度も辞書を引かずに導き出すことができる。
(40)a. 接辞による分析
apaixonar は「情熱」や「恋心」に関連する他動詞である。
b. 主語の動作主性による分析
apaixonar は日本語の「~させる」に、apaixonar-se は自動詞に対応する概念
である。
念のために辞書を引くと、予想どおり apaixonar は「熱中させる」という意味の他動詞
であることが確認できる。同時に再帰動詞 apaixonar-se はそれを反使役化した「熱中する」
という自動詞であることが判明するのである。ちなみに原文では次のような表現が使われ
ていた。
(41)私は、この台所をひとめでとても愛した。(吉本 1988)
もちろん実際には、これほど簡単に解釈できる文ばかりではない。それは自らもポルト
ガル語を学んできた一人である筆者が一番よく理解しているつもりである。また初級学習
者を想定したストラテジーとしては接頭辞などやや高度な知識を要求しており、さらなる
検討の余地を残すものとなってしまった。それでも、本格的な言語学の知識がない人が、
ポルトガル語文法の中でも理解の難しい再帰代名詞を学ぶ上でほんの少しでも参考にして
頂けたら幸いである。
31
文献一覧
【辞書】
池上岑夫・金七紀男・高橋都彦・富野幹雄編(1996)『現代ポルトガル語辞典』白水社
稲美芳勝・北山克彦・斎藤次郎・樽田眞・堀内克明編(1992)
『ニューサンライズ英和辞典
[改定新版]』旺文社
J. Almeida Costa, A. Sampaio e Melo(1994)DICIONÁRIO DA LÍNGUA PORTUGUESA
PORTO EDITORA
【引用文献】
Paulo Coelho(1989)O Alquimista
パウロ・コエーリョ著
Editora Rocco Ltda.
山川紘矢・亜希子訳(1994)『アルケミスト――夢を旅した少年』
地湧社
吉本ばなな(1988)『キッチン』福武書店
吉本ばなな著
Megan Backus 訳(1993)Kitchen 福武書店
Banana Yoshimoto 著 J.Teixeira de Aguilar 訳(1993)Kitchen EDIÇÕES ASA
【参考文献】
深沢暁(1994)『初級ブラジルポルトガル語』東洋書店
林田雅至(1987)『入門やさしいポルトガル語』南雲堂
早津恵美子(1989)
「有対他動詞と無対他動詞の違いについて――意味的な特徴を中心に―
―須賀一好・早津恵美子編(1995)『動詞の自他』ひつじ書房
池上岑夫(2002)『SE考――ポルトガル語のSEの正体を探る』大学書林
影山太郎(1996)『動詞意味論』くろしお出版
影山太郎(1997)
「形態論とレキシコン」西光義弘編『日英語対照による英語学概論』くろ
しお出版
岸本秀樹(2000)「非対格性再考」『日英語の自他の交替』ひつじ書房
黒澤直俊(1996)『キックオフ!
ブラジルポルトガル語』大修館書店
松岡知津子(2002)
「非対格性・非能格性の概念に基づいた自動詞の分類に関する研究の動
向」『広島大学大学院教育学研究科紀要
第二部
第 51 号』
田所清克・伊藤奈希砂(2004)『現代ポルトガル語文法』白水社
谷口一美(2005)『事態概念の記号化に関する認知言語学的研究』ひつじ書房
鷲尾龍一(1997)「他動性とヴォイスの体系」中右実編『ヴォイスとアスペクト』研究社
ウェスリー・M・ヤコブセン(1989)
「他動性とプロトタイプ論」須賀一好・早津恵美子編
(1995)『動詞の自他』ひつじ書房
Langacker, Ronald W. (1991)Concept, Image, and Symbol: The cognitive Basis of
Grammar. Berlin and New York: Mouton de Gruyter.
32
附録:ポルトガル語・英語・日本語
3言語対訳用例集
以下は、本文 4.2 で述べた調査に用いた用例である。各用例の構成と出典は次のとおり。
【用例の見方】
動詞番号.再帰動詞 Vt-se
(用例番号)
a. ポルトガル語
出典:Banana Yoshimoto 著 J.Teixeira de Aguilar 訳(1993)Kitchen
EDIÇÕES ASA
b. 英語
c. 日本語
出典:吉本ばなな著
Megan Backus 訳(1993)Kitchen 福武書店
出典:吉本ばなな(1988)『キッチン』福武書店
Ⅰ.人間を主語にとる再帰動詞①非能格自動詞との対応(動詞番号は本文表1-1と対応)
1.acocorar-se
(1)
a. Acocorei-me entre os meus embrulhos na escuridão e chorei.
b. Jammed between my own bags, stopped over, I sobbed.
c. そして、自分の荷物にはさまれて、暗がりでかがんで、もうわんわん泣いた。
2.agasalhar-se
(2)
a. Agasalhei-me e montei a bicicleta.
b. I bundled up in warm clothing and got on my bike.
c. 厚着をして自転車に乗っていった。
3.apear-se
(3)
a. E apeei-me precipitamente do autocarro.
b. (…)and got off the bus.
c. あわてて私はバスを降りた。
33
(4)
a. Apeei-me do carro e agitei a mão.
b. I nodded, got out of the car, and waved good-bye.
c. 車を降りて手を振る。
4.apoiar-se
(5)
a. Se nela se erguer um frigorífico, cheio de comida que chegue para passar um Inverno,
gosto de me apoiar na sua porta prateada.
b. I lean up against the silver door of a towering, giant refrigerator stocked with enough
food to get through a winter.
c. ひと冬軽くこせるような食料が並ぶ冷蔵庫がそびえ立ち、その銀の扉に私はもたれかか
る。
(6)
a. Dois meses depois da morte de Hitoshi, todas as manhãs me apoiava na balaustrada
da ponte que se suspendia sobre o rio e bebia chá quente.
b. For two months after Hitoshi died, every morning found me leaning over the railing
of the bridge on the river, drinking hot tea.
c. 等が死んでから2ヶ月、私は毎朝その川にかかる橋の欄干にもたれて熱いお茶を飲んだ。
(7)
a. Quando atingia a ponte, apoiava-me sempre na balaustrada e fitava a fiada de casas
pálidas que se submergiam vagamente no fundo celeste.
b. I was leaning over the railing the was I always did upon reaching the bridge, absently
looking at the rows of buildings on the street, which hung in a faint mist, as if
submerged in an ocean of blue air.
c. 私は橋にたどりつくといつものように欄干にもたれて、ぼんやりと青い空気の底に沈む
淡くかすんだ街並を見ていた。
34
5.arranjar-se
(8)
a. Pensei: <Que lhe havemos de fazer?>, arranjei-me, saí sem fazer barulho e fui para o
trabalho.
b. So much the better, I thought. I got dressed, slipped out of the apartment, and headed
for work.
c. まあいいか、と思い仕度してそっと部屋を出て、仕事に向かった。
6.arrastar-se
(9)
a. Mas desejava atravessar a noite, mesmo que fosse arrastando-me.
b. But still...more than anything, I wanted to evade those thoughts, even if I had to do it
on me hands and knees.
c. それでも――たとえはってでもくぐりぬけたい。
7.arriscar-se
(10)
a. Eu arrisco-me e vivo com alegria.
b. But I have cheerfully chosen to make my body my fortune.
c. だって私、体をはって明るく生きてきたんだもん。
8.atirar-se
(11)
a. Ao chegar a casa, atiro-me para cima da cama e sonho que a Mikage chora, aborrecida
comigo.
b. Then I’d go home and collapse into bed and have these horrible dreams where I’d call
you and you’d be crying and angry with me.”
c. (……)帰ってばたんと寝るとみかげが電話で泣いて怒る夢を見るんだ。」
9.calar-se
(12)
a. Ela assustou-se e calou-se.
b. She shut up, startled.
c. 彼女はびくっとしてだまった。
35
(13)
a. Queria dizer-lhe que, se podia fazer alguma coisa por ele, mo pedisse, mas calei-me.
b. I wanted to say, “If there’s anything I can do, just say so,” but I stopped myself.
c. できることがあったら言ってね、と言うのをやめた。
10.chamar-se
(14)
a. Chamo-me Eriko.
b. My name is Eriko.
c. えり子と申します。
(15)
a. ――Chamo-me Okuno.
b. “My name is Okuno. (…)”
c. 「奥野と申します。(……)」
(16)
a. Chama-se Shu.
b. His name was Hiiragi.
c. 名を、柊という。
(17)
a. Ela chamava-se Yumiko, tinha a mesma idade que ele, e era uma rapariga muito
bonita, baixinha, que jogava ténis muito bem.
b. His girlfriend, Yumiko, had been a small, pretty girl his own age, and a tennis ace.
c. 彼の恋人はゆみこさんと言って、彼と同い年の、テニスが上手な、背の小さい美人だっ
た。
(18)
a. Chama-se Shu.
b. “(…)His name is Hiiragi.”
c. 「(……)柊っていうんだ。」
36
11.dedicar-se
(19)
a. Dizem que no futuro quer dedicar-se a um trabalho relacionado com a botânica.
b. He was planning to do some kind of work with plants.
c. 彼は将来、植物関係の仕事につきたいそうだ。
12.deitar-se
(20)
a. Era um sofá forrado a bege, como que para um anúncio publicitário, como que para
diante dele se deitasse um cão demasiado grande para uma casa japonesa.
b. Covered in beige fabric, it looked like something out of a commercial. An entire family
could watch TV on it. A dog too big to keep in Japan could stretch out across
it――sideways.
c. ベージュの布ばりで、CMに出てきそうな、家族みんなですわってTVを見そうな、横
に日本で飼えないくらい大きな犬がいそうな、
(21)
a. Deitei-me no sofá, a minha cama quando vivia nesta casa, e evocou-me umas
recordações tão gratas que me encheram o peito.
b. I stretched out on the sofa that had been my bed when I lived there, feeling a
nostalgia so sharp it was painful.
c. この部屋にいた頃、私がベッドにしていたなつかしさで苦しいソファーに横たわる。
(22)
a. Ao poisar o auscultador, pensei que, numa situação normal, teria voltado a deitar-me
sem que me passasse sequer pela cabeça a ideia de sair à rua.
b. Normally there would be no way I’d go out now---the way I feel with this cold, I should
stay in bed, I thought after she had hung up.
c. 普通なら絶対に外へは出ないで寝ている、というくらいに体調は悪かった。切ってから
しまった、と私は思った。
37
13.descontrair-se
(23)
a. Quando estava prestes a rebentar de nervos, respirava fundo e descontraía-me.
b. (…)and when I began to make myself crazy with irritation I would stop what I was
doing and take a few deep breaths.
c. イライラして気が狂いそうな時は手を休めて深く呼吸をした。
14.despedir-se
(24)
a. Despedimo-nos com um sorriso?
b. Had we parted laughing?
c. 笑って別れただろうか。
(25)
a. Despedimo-nos com um sorriso.
b. We parted smiling.
c. 笑顔で別れた。
(26)
a. Despedi-me de Urara, tomando-o meio de brincadeira e, ao mesmo tempo, sentindo
entusiasmo por essa <coisa> que talvez visse no rio.
b. When I parted with Urara, that “something” I might be able to see at the river was,
for me, half joke, half hope.
c. その、川で見えるかもしれない何かを半分冗談にして、半分期待して、うららと別れた。
(27)
a. Pelo menos, teria querido despedir-me dele.
b. At the very least, I wanted to say a proper good-bye.
c. せめて、ちゃんとお別れを言いたかった。
(28)
a. ――Por isso penso que foi bom as pessoas terem podido despedir-se.
b. “So I think it’s for the best that we were able to say a proper, final good-bye today,”
(…).
c. 「だから、今日ちゃんとお別れできて、よかったと思う。」
38
15.dirigir-se
(29)
a. Sinceramente, dirigia-me a casa dos Tanabe só me tinham convidado.
b. To be frank, I was only going because they’d asked me.
c. 私は、正直言って、呼ばれたから田辺家に向かっていただけだった。
(30)
a. Era a hora em que toda a gente, embrulhada na camisola ou no casacão, se dirigia a
algum local cálido através do céu silencioso e frio da noite.
b. Enveloped in the silent cold, bundled in sweaters and coats――it was the hour when
everyone was headed for someplace warm.
c. 静かに冷たい夜のとばりの中を、セーターやコートに包まれて、みなどこかしらあたた
かいところを目指してゆく時刻だ。
(31)
a. Depois, sosseguei um pouco e dirigi-me à estação a pé.
b. When I calmed down somewhat, after walking as far as the station(…)
c. まあ少し落ち着いて、駅まで歩いちゃったから、(……)
(32)
a. De roupão, dirigi-me ao quarto da professora e disse-lhe: (…)
b. That evening I went to Sensei’s room in my bathrobe.
c. 私は浴衣姿で先生の部屋へ行って、言った。
(33)
a. E dirigi-me à porta.
b. With that I headed for the door.
c. 私は言って、ドアに向かった。
16.distrair-se
(34)
a. Distrairmo-nos para ganhar tempo.
b. It was a way to divert our minds, to kill time.
c. 気をまぎらわせて時間をかせいでいるのだ。
39
17.divertir-se
(35)
a. Caminhávamos fazendo algazarra, um pouco embriagados, depois de termos estado
juntos, a divertirmo-nos, durante todo o dia.
b. We had done nothing but have fun that whole day and, a little tipsy, we walked along
laughing and joking.
c. 1日中遊びほうけて、ほろ酔いで、私たちは全くはしゃいで歩いていた。
(36)
a. ――Satsuki, havemos de nos divertir sempre juntos, de acordo?
b. “Satsuki, let’s the four of us always hang out together, (…)
(……)
c. さつきさんいつまでもいっしょに遊ぼうね、
(37)
a. Iremos divertir-nos, apesar de cada vez que te vejo estares mais macilenta.
b. We’ll get together, go do something. Every time I see you look more frail,
c. 遊びに行こう。会うごとに、どんどんやつれていくのに(・・・・・・)
18.encarrapitar-se
(38)
a. Sem pensar no que fazia, tentei encarrapitar-me nas pedras amontoadas do jardim.
b. I began to climb up a pile of garden stones against the wall.
c. 私は何となく、つんである庭石にちょっと登ってみた。
19.endireitar-se
(39)
a. Quando me endireitei no interior escuro do carro e me sentei recostada contra a
janela, o taxista disse: (…)
b. When I sat up to look out the window in the darkened cab, the rest of my body came
to life. The driver said, (…)
c. 暗い車内で窓に向かって体をおこしてすわり直すと、運転手が、(……)
40
20.enfiar-se
(40)
a. ――Estou cair de sono――disse a Yuichi assim que cheguei a casa dos Tanabe, e
enfiei-me na cama.
b. “I’m sleepy,” I announced to Yuichi, and went straight to bed.
c. 眠くて。と雄一に告げて、私は田辺家に戻ってすぐ寝床に入ってしまった。
(41)
a. Voltei a enfiar-me na cama e fiquei a contemplar a ameaça vigorosa e gelada da neve.
b. I crawled back under the covers, still staring at that cold-looking, powerful
snowstorm outside.
c. 再びふとんにもぐり込み、私はずっと、その凍えそうに力強い雪もようを見つめていた。
21.enrodilhar-se
(42)
a. Quando cheguei ao hotel, enrodilhei-me no futon e, como fazia muito frio, adormeci,
esgotada, com o aquecimento ligado.
b. Back at the inn, the heat in my room still on, I burrowed under the covers and fell
asleep, dead to the world.
c. 宿についてふとんにもぐりこみ、あまりの寒さに暖房をつけっ放しで私はぐったりと眠
りこんだ。
(43)
a. E eu, que me tinha enrodilhado tanto sobre mim mesma para me proteger, disse,
sorrindo:(…)
b. Just now, when I’m so weak, with no strength to defend myself…
c. 今の、こんなに縮こまって、自分を守ることで精いっぱいの――
22.entrecruzer-se
(44)
a. Quando se apercebeu de que eu me aproximava dele, entrecruzando-me com as
empregadas de mesa que iam e vinham, sorriu.
b. I made my way over to him, snaking around the comings and goings of the waitresses.
He smiled when he saw me.
c. 行きかうウェイトレスの間をぬって彼に近づいてゆくと、彼は気づいて笑った。
41
(45)
a. Toda a gente se ia entrecruzando, feliz, com a luz no cabelo.
b. Everyone out on the streets was coming and going, looking happy, the light shining
through their hair.
c. 人々はみな髪を光にすかして幸福そうにすれちがってゆく。
23.equipar-se
(46)
a. Parece-me triste a pessoa equipar-se com tanta premeditação, mas pensei que me
ajudaria.
b. I thought, ironically, that beginners always over-equip――but still, it was best to look
ahead.
c. 物から入門するところが情けない気もするが、前向きなのはいいと思った。
24.escusar-se
(47)
a. ――Mas tu escusas-te a todas as responsabilidades.
b. “You don’t accept the responsibilities of a relationship. (…)”
c. でも、みかげさんは恋人としての責任を全部のがれてる。
25.esforçar-se
(48)
a. Yuichi mostrou-me, esforçando-se, a cara sorridente de sempre e disse: ―― Sim.
b. Yuichi said, “Right,” trying to show me his old grin.
c. 雄一は少し無理をしていつものような笑顔を見せて、うんと言った。
(49)
a. Esforcei-me, mas torna-se-me estranho.
b. (…)and I’ve really tried. But it’s funny――
c. かなり努力したんだけど、おっかしいの。
42
26.habituar-se
(50)
a. Ao princípio não estava acostumada a dormir num sítio de vida tão liberal, mas decidi
arrumar as minhas coisas pouco a pouco, e depressa me habituei, apesar de ser muito
incómodo ir e vir de casa dos Tanabe ao meu antigo lar.
b. At first I would get tired. I wasn’t used to sleeping in the living room, and I was
constantly coming and going between the Tanabe’s and the old apartment to get
things in order, but I soon got used to it.
c. 私は初めのうち、そのオープンな生活場所に眠るのに慣れなかったり、少しずつ荷物を
片づけようと、元の部屋と田辺家を行ったり来たりするのに疲れたけど、すぐなじんだ。
(51)
a. Já me tinha habituado à ideia de que, mesmo que te aborrecesses e não quisesses
voltar a dirigir-me a palavra, compreendê-lo-ia muito bem.
b. I thought you’d be angry with me and never want to see me again. It was something I
was prepared for, if that was how it had to be.
c. もし怒って縁を切られたなら、これはもうしかたないことだと覚悟していた。
27.inclinar-se
(52)
a. ――E que importa o emprego?――disse Chika-chan inclinando-se para mim.
b. “What’s this about work?” Chika leaned toward me.
c. 「仕事なんて何さ。」ちかちゃんは身を乗りだして言った。
28.inteiriçar-se
(53)
a. De repente, a parede aproximou-se perpendicularmente de mim, e notei como os meus
pequenos músculos destreinados se inteiriçavam.
b. Suddenly, as I hung there, pressed vertically against the side of the building, what
few athletic skills I had seemed to leave me with an audible sssshhhhh.
c. 突然、建物の壁面が垂直にせまり、私のみがかれていない小さな運動神経がひゅう、と
音をたててすくむのがわかった。
43
29.juntar-se
(54)
a. Yuichi: as aulas e o emprego, Eriko: o bar de noite, por isso quase nunca
nos
juntávamos todos.
b. What with Yuichi’s school and job, and Eriko’s working at night, the three of us were
almost never home at the same time.
c. 雄一は学校とバイト、えり子さんは夜仕事なので、この家に全員がそろうことはほとん
どなかった。
30.levantar-se
(55)
a. Era tão amplo e fofo que, uma vez que a pessoa se sentavam nele, já não se conseguia
levantar.
b. It was so big, so soft, so deep, I felt that once I surrendered to it I’d never get up again.
c. 1度かけると、もう2度と立ちあがれないくらいに柔かくて深くて広かった。
(56)
a. Quando me levantei meio a dormir, a <senhora Eriko> estava ali, na cozinha, de
costas.
b. I arose drowsily and went into the kitchen. There was “Eriko-san”, her back turned to
me.
c. ぼんやりおきあがると、台所に“えり子さん”の後ろ姿があった。
(57)
a. Levantei-me.
b. I stood up.
c. 私は立ちあがって(……)
(58)
a. Se eu lá morasse, levantar-me-ia às cinco da manhã e iria passear.
b. If I lived there I’d get up every morning at five and take a walk.
c. 俺だったら朝5時におきて散歩しちゃうな。
44
(59)
a. E levantei-me, sacudi a saia, decidi reatar o regresso a casa dos Tanabe e comecei a
andar.
b. I stood up, smoothed down my skirt, and started back for the Tanabes’.
c. そして立ちあがり、スカートをはらい、今日は戻る予定でいた田辺家へと歩き出した。
(60)
a. Era sempre Yuichi que se levantava, e eu ouvia-o a retirar a corrente.
b. Yuichi would get out of bed and come to the door, and the sound of the chain would
echo in the silent hallway the way it did now.
c. いつも雄一が起きて来て、チェーンをはずす音がひびいた。
(61)
a. E levantei-me.
b. So I got up.
c. 私はおきあがった。
(62)
a. Ao ouvir o meu nome levantei-me, surpreendida.
b. I stood up quickly, surprised to hear my name.
c. 私は急に呼ばれてびっくりして立ちあがった。
(63)
a. O futon conservava a cova do corpo de Yuichi, tal como o tinha deixado ao levantar-se.
b. The covers on the futon from which Yuichi had just risen still bore the shape of his
body.
c. ふとんは、今雄一が出てきた形のままストップしていた。
(64)
a. ――Bom, vou-me embora. Levantei-me.
b. I stood up. “Well, I’ll be going back now.”
c. 「じゃあ、帰るわ。」私は立ちあがった。
45
(65)
a. Levantei-me aturdida e acendi a luz.
b. I stood up sleepily and turned on the lights.
c. ぼんやりと立ちあがって明かりをつけた。
(66)
a. ――Menina Sakurai, já se levantou?
b. “Mikage! Are you awake? (…)”
c. 「桜井さーん、おきてる?(……)」
(67)
a. E levantei-me.
b. I called out, standing up.
c. (……)と言って立ちあがった。
(68)
a. A campainha soou muitas vezes dentro da minha cabeça um pouco febril e
levantei-me atordoada.
b. The ring of the telephone jabbed into my slightly feverish brain again and again.
Sleepily I got out of bed.
c. 少し熱っぽい頭の中にベルの音が何度も何度も割りこんできて私はぼんやりと起きあが
った。
(69)
a. Era a hora a que normalmente me levantava e me vestia.
b. (…)time to get up and get dressed.
c. いつもなら起き出して着がえる頃だった。
(70)
a. Levantei-me devagar e fui à cozinha com a intenção de beber chá.
b. I sluggishly got up and went to the kitchen for some tea.
c. 私はのろのろと起きあがり、お茶を飲もうと台所へ歩いた。
46
(71)
a. Levantei-me, tomei um duche, vesti-me e comecei a secar o cabelo.
b. I got out of bed, took a shower, put on a fresh change of clothes, started drying my
hair.
c. 私は起きあがって、シャワーをあび、すっかり着がえると、ドライヤーをかけた。
31.libertar-se
(72)
a. <(…)Há-de chegar um dia em que conseguirei libertar-me disto.>
b. (…)the day will come when you’ll pull out of this.
c. いつかはここを抜ける日がやって来る。
32.mexer-se
(73)
a. Mas tinha vontade de me mexer.
b. I felt an urge to get moving.
c. 体を動かしたかった。
33.misturar-se
(74)
a. E afastou-se misturando-se com a multudão.
b. With that, she melted into the wave of people crowding the morning streets.
c. そして、朝の街の、人の波にまぎれて去っていった。
34.movimentar-se
(75)
a. A vista ia-se-me aclarando com a alegria de me movimentar por aquela cozinha que
tanto me agradava e, de repente, lembrei-me que ela era um homen.
b. In the joy of being in the kitchen I liked so well, my head cleared, and suddenly I
remembered she was a man.
c. お気に入りの台所に立てたうれしさで目が見えてくると、ふいに、彼女が男だというの
を思い出してしまった。
47
35.mudar-se
(76)
a. De qualquer maneira tinha que me mudar.
b. (…)wondering how I was going to move.
c. どうせ引っ越すならと(……)
(77)
a. ――É que, quando voltar a mudar-me, é uma maçada ter que informar outra vez――
disse eu.
b. “But it seems like a lot of trouble, considering I’m going to move and I’d have to do it
all again.”
c. 「だって、また引っこす時、また通知するかと思うと面倒で。」
(78)
a. Mudei-me para a seguinte direcção: (…)
b. I have recently moved.
c. 「私はこの度、下記にひっこしました。(……)」
36.permitir-se
(79)
a. Permiti-me estar sem fazer nada até chegar maio.
b. I gave myself permission to be lazy until May.
c. 私は5月が来るまでだらだらすることを、自分に許した。
37.pôr-se
(80)
a. Tinha que me pôr em acção de novo num dia real.
b. (…)to begin another day.
c. また現実の1日へスタートするのだ。
48
38.retirar-se
(81)
a. De maneira que, depois de todos se terem retirado para os respectivos quartos, fui
passear sozinha pela praia que ficava defronte do hotel.
b. After they all dispersed to their rooms, I went for a walk on the beach outside the
hotel.
c. みんなが寝に部屋へ解散した後にひとりで目の前の浜へ散歩へ行った。
39.reunir-se
(82)
a. Antigamente, reunia-me sempre lá com Hitoshi, que vivia do outro lado do rio, e
mesmo depois da morte dele continuou a agradar-me.
b. (…)it was there that I used to meet Hitoshi, who had lived on the other side of the
river. Even after he died I still loved the place.
c. 川向こうに住む等といつも待ち合わせをしたのもそこだったし、彼が死んでからも私は
そこが好きだった。
40.sentar-se
(83)
a. Quando voltei a sentar-me no sofá, trouxe-me um chá quente.
b. I went back and sat on the sofa, and out came hot tea.
c. ソファーに戻ってすわると、熱いお茶が出た。
(84)
a. Yuichi aproximou-se a sorrir e sentou-se no chão à minha frente.
b. Smiling, he sat down on the floor right in front of me.
c. 雄一が笑いながらあがってきて、目の前の床に腰をおろして言った。
(85)
a. Era tão amplo e fofo que, uma vez que a pessoa se sentavam nele, já não se conseguia
levantar.
b. It was so big, so soft, so deep, I felt that once I surrendered to it I’d never get up again.
c. 1度かけると、もう2度と立ちあがれないくらいに柔かくて深くて広かった。
49
(86)
a. ――Não será que a tua mãe――começei a dizer――viu o sofá na secção de móveis,
sentou-se, tomou-se de amores por ele e acabou por comprá-lo?
b. “Your mother,” I said after a while. “I bet the first time she sat on the sofa in the
furniture store, she just had to have it and bought it right then and there,” (…)
c. 「あなたのお母さんさ」さっき私は言った。
「家具のところでこれにちょっとすわってみ
たら、どうしてもほしくなって買っちゃったんじゃない?」
(87)
a. Sentei-me em frente dele.――Parece-me que vai chover――disse.
b. I sat down across him and said, “I wonder if it’s going to rain.”
c. 向かいの席にすわって、「雨が降るかな。」私が言うと、(……)
(88)
a. Yuichi sentou-se num coxim que havia no chão e, enquanto tomava o chá que eu lhe
tinha servido num copo porque já tinha embalado as chávenas, disse: (…)
b. Yuichi said, sitting on a cushion on the floor and drinking the tea I brought him from
a glass (the teacups were all gone).
c. 床にひいたざぶとんにすわって、私の運んだお茶を――もう、湯のみはしまってしまっ
たので、カップに入れたのを――飲みながら雄一が言った。
(89)
a. ――Vou fazer-te qualquer coisa, senta-te. No meu sofá, (…)disse.
b. “I’ll make it for you,” I said. “Have a seat on my sofa.”
c. 「作ってあげるから、すわってな。私のソファーに。」
(90)
a. E, dizendo isto, dirigiu-se cambaleante ao sofá e sentou-se.
b. He stumbled over to it and sat down.
c. そう言ってふらふらと彼はソファーに腰かけた。
(91)
a. Lavou a cara e sentou-se ao meu lado: (…)
b. After washing his face, he sat down beside me(…)
(……)
c. 顔を洗ってから私の横にすわり、
50
(92)
a. Fomos até ao fundo e sentámo-nos defronte um do outro.
b. We sat down across from each other as the innermost table.
c. 2人でいちばん奥の席に向かいあってすわった。
(93)
a. Depois de eu entrar, sentava-se no banco do condutor.
b. (…)and get me seated before he climbed in the driver’s side.
c. 私を乗せてから運転席に乗り込む。
(94)
a. Quando me endireitei no interior escuro do carro e me sentei recostada contra a
janela, o taxista disse: (…)
b. When I sat up to look out the window in the darkened cab, the rest of my body came
to life. The driver said, (…)
c. 暗い車内で窓に向かって体をおこしてすわり直すと、運転手が、(……)
(95)
a. Sentou-se diante de mim e disse, depois de um suspiro: ――Fiz-te esperar muito?
b. Sitting across from me, he asked, breathless, “Were you waiting long?”
c. 私の向かいにすわると、「待った?」と息をついて言い、
(……)
(96)
a. Puxei uns almofadões e sentámo-nos como sempre.
b. So, just like old times, he grabbed a cushion and flopped down.
c. だから、まるでいつものようにクッションを引っぱり出してよいしょとすわった。
(97)
a. Disse-o mal se sentou ao meu lado.
b. He sat down next to me.
c. となりにすわるなりそう言った。
51
41.vestir-se
(98)
a. Voltei ao meu quarto a pé pelo comprido corredor, vesti-me e saí do hotel.
b. I went back down the long corridor to my room, got dressed, and left the inn.
c. 私は長い廊下をてくてく歩いていったん自分のひとり部屋に戻り、着がえて宿を出た。
(99)
a. Vesti-me.
b. I got dressed(…)
(……)
c. 着替えて、
(100)
a. No amanhecer de um dia que prometia ser desanuviado, eu, como sempre, vesti-me,
saí de casa e comecei a correr.
b. In the dawn of what promised to be a clear day I dressed and went out as usual.
c. 晴れそうな夜明けに私はいつものように着がえて外へ走り出した。
(101)
a. Era a hora a que normalmente me levantava e me vestia.
b. (…)time to get up and get dressed.
c. いつもなら起き出して着がえる頃だった。
(102)
a. Levantei-me, tomei um duche, vesti-me e comecei a secar o cabelo.
b. I got out of bed, took a shower, put on a fresh change of clothes, started drying my
hair.
c. 私は起きあがって、シャワーをあび、すっかり着がえると、ドライヤーをかけた。
(103)
a. O meu corpo ainda não estava completamente bem, mas vesti-me e pus-me a correr.
b. Although my health was not quite back to normal, I got dressed and went running.
c. まだ体が本調子ではなかったが、着がえて私は走った。
52
42.virar-se
(104)
a. Disse-o com ironia, mas, quando entrámos no vestíbulo, virei-me para olhá-la com
uma certa pena.
b. I said sarcastically (his diversionary tactics were so obvious), but as I stepped into the
building I turned to glance at it.
c. (……)と私は皮肉で言ったが玄関に入る時、名残りの月をちらりとふりかえった。
43.voltar-se
(105)
a. ――Ficas, não ficas? ――disse carinhosamente, e depois,voltando-se para Yuichi:
(…)
b. “We’re so pleased to have you here,” she said to me warmly, and then, turning to
Yuichi, (…)
c. 「明日からよろしくね。」と彼女は私にやさしく言うと雄一に向きなおり、(……)
(106)
a. ――Olá.
Ao voltar-se, o seu rosto era ainda mais deslumbrante e acordei de chofre.
b. (…)as she turned to me with a cherry “Good morning!” her face, even more
brilliantly animated, brought me to my senses.
c. 「おはよう。」とふりむいたその顔の派手さがいっそうひきたち、私はぱっと目がさめた。
(107)
a. ――Como é que...? E o bar? ――perguntou Yuichi, que se tinha voltado a fim de
olhar para ela.
b. “What’s going on? What’s happening at the club?” said Yuichi, turning around to face
her.
c. 「どうしたの?店は?」ふりむいた雄一が言った。
(108)
a. Yuki-chan volta-se a fim de olhar para a mãe que dorme no assento de trás e sorri, por
fim.
b. Turning around to look at her sleeping mother in the back of the bus, Yuki finally
smiled.
c. はるか後ろの席で眠る母親をふりむいて、やっとゆきちゃんが笑う。
53
(109)
a. Yuichi parecia acreditar naquilo ainda mais do que eu e a mão que estava a lavar o
chão deteve-se por completo. Voltou-se e olhou-me com surpresa.
b. Yuichi seemed to feel it, too. He abruptly stopped scrubbing and turned to face me, his
eyes troubled.
c. 雄一はもっとそう思ったらしく、後ろ姿で床をみがく手が完全に止まった。そして、ふ
りむいてちょっと困った目をした。
(110)
a. Pensei que ele tinha adormecido e, ao voltar-me, vi que Yuichi me fitava com olhar
atónito.
b. Wondering if he had fallen back asleep, I looked over, and there was Yuichi, gaping at
me.
c. 寝てんのかなと思った私がふりむくと、雄一はすごくびっくりした目できょとんと私を
見つめていた。
(111)
a. Pensei: <Este verde é um pouco artificial>, voltei-me e olhei de novo para a fiada de
janelas escuras.
b. Thinking, what a fake-looking green, I turned around and once more gazed up at the
row of darkened windows.
c. うそのみどり色だ……と想いながら私はふりむいて、もういちどいちめんに並ぶ暗い窓
をながめた。
(112)
a. E, ao voltar-me: (…)
b. I turned around.
c. 私がふりむくと、(……)
(113)
a. Quando me voltei, perguntando a mim mesma quem poderia ser, vi uma mulher que
sorria.
b. Imagining god knows what, I turned around, and there stood a young woman with a
smile on her face.
c. いろいろなことを思いながらふりむくと、笑顔の女性が立っていた。
54
(114)
a. A cada passo que dava, as dúvidas tornavam-se cada vez mais profundas, e, quando
me voltei com uma certa inquietação, Urara continuava ainda na ponte.
b. With each step I took I grew more uneasy, and I couldn’t help but turn and look back.
Urara was still on the bridge.
c. 走る足を進めるごとに疑問が深まって、何だか不安になりふりむくと、うららはまだ橋
のところにいた。
(115)
a. Recordo como o casaco preto de Hitoshi, que ainda se voltou para mim uma vez mais,
se ia diluindo na escuridão, como o sabor desse dia em que tudo tinha sido tão belo e
terno no ar límpido de Inverno.
b. Of that day in which everything was just too beautiful in the transparent winter air,
what I remember most is the sight, when I turned back to look, of Hitoshi’s black
jacket melting into the darkness.
c. 冬の美しく澄んだ大気の中の、すべてがあまりにも美しくやさしい1日のその余韻のよ
うに、ふりむいた等の黒いジャケットが闇にとけてゆくさまをおぼえている。
(116)
a. Era um rapaz atraente, e quase toda a gente se voltava para o olhar quando vestia
roupa normal.
b. In his own clothes, he was good-looking enough to turn people’s heads.
c. 私服だと、彼はちょっと人が振り向くようなかっこいい男の子だった。
55
Ⅱ.人間を主語にとる再帰動詞②非対格自動詞との対応(動詞番号は本文表1-2と対応)
1.aborrecer-se
(1)
a. Ela nunca se aborrecia se lhe dizia que dormiria fora nem por nenhuma outra razão.
b. (…)never gave me a hard time if I told her I was going to sleep over somewhere or
whatever.
c. 外泊でも何でも、言えば怒らない大らかな祖母だった。
(2)
a. Uma das muitas vezes em que me aborreci, ao olhar para fora, vi que no céu, longe,
flutuava um dirigível.
b. I would look outside and watch a dirigible drifting across the far-off sky.
c. 何度もムッとしながらもふと外を見ると、遠くの空に飛行船が浮かんでいた。
(3)
a. ――Eu―disse―não me aborreço por essas coisas. Bem sabes.
b. “How could I be mad? You should know me better than that.”
c. 「私は」私は言った。
「こういうことでは怒らない。知ってるくせに。」
(4)
a. Já me tinha habituado à ideia de que, mesmo que te aborrecesses e não quisesses
voltar a dirigir-me a palavra, compreendê-lo-ia muito bem.
b. I thought you’d be angry with me and never want to see me again. It was something I
was prepared for, if that was how it had to be.
c. もし怒って縁を切られたなら、これはもうしかたないことだと覚悟していた。
(5)
a. Ela falava com tanta naturalidade que não pude aborrecer-me; além disso, até eu
própria acabei por pensar que não tinha importância.
b. She spoke so calmly that I was not afraid of her, and she wasn’t attempting
familiarities.
c. あまり平然と彼女が言うので、私は恐れなかったし、自分まで何ていうことのないこと
だと思えてしまった。
56
2.acalmar-se
(6)
a. Não fiz mais que coisas incorrentes: abrir e fechar as gavetas e a porta da casa de
banho, virar um jarrão e secar o chão, dar voltas pelo quarto...e, ao aperceber-me de
que não tinha nada nas mãos, ri-me um pouco, com toda a razão, e disse para comigo
mesma fechado os olhos: <Acalma-te>.
b. I was running around like a chicken with its head cut off. Opening and closing
drawers, checking in the bathroom, breaking a vase, mopping it up. I covered the
entire apartment several times over in total confusion. I smiled a little at how typical
it was that I should still be empty-handed after all that frenzied activity. You have to
calm down, I thought, and closed my eyes.
c. 私は支離滅裂だった。引き出しを開けたり閉めたり、トイレのドアを開けてみたり、花
びんを倒して床をふいたりをくりかえして部屋中をうろうろ歩き回り、結局何も手に持
っていないのに気づいた時には、さすがに少し笑って、落ちつかなくちゃ、と目を閉じ
た。
3.aclarar-se
(7)
a. Ainda tinha as mãos e os pés adormecidos e quentes, mas a minha consciência
aclarou-se de chofre de uma forma estimulante.
b. I had a clear impression that only my consciousness was awake, while my arms and
legs still slept, all nice and warm.
c. 手も足もまだ眠りの中にあってあたたかかったが、意識だけが“覚醒”というようなは
っきりした感じでふいに冴えた。
4.agradar-se
(8)
a. Acho que me agradaria que fosse na cozinha.
b. If it’s a kitchen, I’ll think, “How good.”
c. 台所なら、いいなと思う。
5.aliviar-se
(9)
a. O meu corção começou a aliviar-se pouco a pouco.
b. My heart was slowly beginning to relax.
c. 心が、ゆっくりとゆるみはじめる。
57
6.alterar-se
(10)
a. ――Talvez não――respondeu a avó sorrindo, sem se alterar.
b. Maybe you’re right, said the grandmother, smiling brightly, not at all annoyed.
c. 「そうだったかねえ。
」おばあさんは全然動じずに、にこにこして答えた。
7.animar-se
(11)
a. Anima-te, Mikage.
b. “(…)Cheer up, Mikage.”
c. 「(……)みかげちゃん、元気出してね。」
(12)
a. Ao vê-lo animei-me.
b. My spirits began to lift;
c. それを見たとたん、私の気持ちは軽くなった。
8.apaixonar-se
(13)
a. Apaixonei-me só de a ver.
b. I fell in love with it at first sight.
c. 私は、この台所をひとめでとても愛した。
(14)
a. A minha maneira de agir, ao apaixonar-me, foi sempre a mesma: atravessar um sítio a
correr muito depressa. Mas, tal como as estrelas que se entrevêem através do céu
nublado, a cada conversa parecida com a de agora, talvez vá gostando dele pouco a
pouco.
b. When I’ve fallen in love before, I’ve always tried to run it down and tackled it, but
with him it would be different. The conversation we just had was like a glimpse of
stars through a chink in a cloudy sky――perhaps, over time, talks like this would
lead
to love.
c. 恋をすると、いつもダッシュでかけぬけてゆくのが私のやり方だったが、曇った空から
かいま見える星のように、今みたいな会話のたびに、少しずつ好きになるかもしれない。
58
(15)
a. Sorrirão como uma flor som o avental vestido, aprenderão a cozinhar, apaixonar-se-ão
atormentando-se ou desorientando-se, e casarão.
b. Dressed in their aprons, their smiling faces like flowers, learning to cook, absorbed in
their little troubles and perplexities, they fall in love and marry.
c. エプロンをして花のように笑い、料理を習い、精いっぱい悩んだり迷ったりしながら恋
をして嫁いでゆく。
9.assustar-se
(16)
a. Assustei-me.
b. I was taken by surprise.
c. びっくりした。
(17)
a. Assustei-me.
b. Yuichi made me jump.
c. おどろいた。
(18)
a. Ela assustou-se e calou-se.
b. She shut up, startled.
c. 彼女はびくっとしてだまった。
(19)
a. Eu assustei-me imenso e disse-lhe: <Deixa-a cá, se murchar não faz mal.>
b. I was surprised and said, “Why? I can see that it’s withering, but wouldn’t you rather
have it?”
c. あたしはびっくりして、枯れたって何だって、ここに置いときなよって言ったのね。
(20)
a. Abria os olhos sobressaltada e assustava-me com a profunda escuridão antes de
compreender onde estava na realidade.
b. I dreaded the deep gloom that would fall when I remembered he was gone.
c. はっと目覚めて自分の本当にいる所がわかる時の深い闇におびえた。
59
10.atormentar-se
(21)
a. Sorrirão como uma flor som o avental vestido, aprenderão a cozinhar,
apaixonar-se-ão, atormentando-se ou desorientando-se, e casarão.
b. Dressed in their aprons, their smiling faces like flowers, learning to cook, absorbed in
their little troubles and perplexities, they fall in love and marry.
c. エプロンをして花のように笑い、料理を習い、精いっぱい悩んだり迷ったりしながら恋
をして嫁いでゆく。
(22)
a. ――Não deves emegrecer tanto, nem atormentar-te sozinha até ao extermo de ter
febre.
b. “You’ve got to torturing yourself, all alone, getting thinner and thinner――you even
got(…)”
a fever from it.
(……)」
c. 「ひとりで、そんなにどんどんやせて、熱が出るまで頭を悩ませてはいけない。
11.cansar-se
(23)
a. Gostaria de continuar a escrever, seja como for, até me cansar de repeti-la.
b. (…)and I wanted, no matter what it took, to continue writing until I got the saying
of it out of my system.
c. そのことをもう言いたくなくなるまでは何が何でも書き続けたい。
12.convencer-se
(24)
a. A mim pareceu-me chocante, mas depois convenci-me:
b. That was strange. I nodded and said, (…)
c. 私はおかしくて、そして納得して、
60
(25)
a. Pensei que tinha tido uma sorte extraordinária, em ter podido entrar num lugar
asssim, tendo estudado só um Verão e com tão pouco experiência, e estava
contentíssima, mas bastou-me olhar para as mulheres que iam aprender cozinha à
escola para me convencer.
b. Why was it that I――a novice with only one summer of study under my belt――got
hired? When I saw the woman who attend the classes, it made sense.
c. 私は、かけ出しの自分が、ひと夏の勉強でそんな場所に入れたことをひどく幸運と思い、
ほのかに喜んでいたけれど、スクールにお料理を習いに来る女の人たちを見ていたら納
得がいった。
(26)
a. Então, sem motivo algum, convenci-me:(…)
b. Just then, somehow, I knew.
c. とたん、なぜか私は確信した。
(27)
a. <Sim, sim>, convenci-me e, ranhosa, voltei ao quarto do hotel.
b. Nodding to myself, my nose dripping, I returned to my room.
c. うん、うんと納得して、私は鼻水をたらしながらホテルの部屋へ戻った。
13.dar-se
(28)
a. Quando se riam com o avental branco, sob a luz, sentia-me tão feliz que quase me
dava vontade de chorar.
b. The sight of them giggling, their white aprons brilliant in the light, made me happy.
c. 2人が白いエプロンで光の中、くすくす笑っている様子は、涙が出るほど幸福なながめ
に思える。
61
14.desorientar-se
(29)
a. Sorrirão como uma flor som o avental vestido, aprenderão a cozinhar, apaixonar-se-ão,
atormentando-se ou desorientando-se, e casarão.
b. Dressed in their aprons, their smiling faces like flowers, learning to cook, absorbed in
their little troubles and perplexities, they fall in love and marry.
c. エプロンをして花のように笑い、料理を習い、精いっぱい悩んだり迷ったりしながら恋
をして嫁いでゆく。
15.dissolver-se
(30)
a. ――É tão azul que parece que o corpo vai dissolver-se nele, não é?――disse Urara
pondo uma mão em pala para que a luz não a ofuscasse.
b. “So blue it feels like it could melt right into your body,” said Urara, gesturing at the
sky.
c. 「体まで青にとけそうに青いね。
」手を空にかざして、うららが言った。
16.embebedar-se
(31)
a. Assim, pois, era natural que se embebedado. Perguntei-lhe, surpreendida: (…)
b. (…)no wonder he was three sheets to the wind. I asked him, amazed, (…)
c. 酔うはずだ、とあきれてたずねた。
17.emocionar-se
(32)
a. Emocionei-me e disse: (…)
b. I said, moved.
c. (…)感動して私が言うと、
18.encontrar-se
(33)
a. Quanto melhor a minha avó se encontrava, mais incerto era.
b. (…)the healthier he or she is, the more one worries.
c. 元気であればあるほどそうだった。
62
(34)
a. A febre tinha baixado e, com excepção da frouxidão que sentia, encontrava-me bem.
b. My fever was down and I felt quite well, except for the sensation of my body having
been through the mill.
c. 熱は下がり、体がだるい以外は元気になっていた。
19.enfurecer-se
(36)
a. <Apesar das minhas esperanças, se a Mikage se enfurecesse, mergulharia até ao
fundo.>
b. If I did let myself hope for that, and you became angry with me, I’d be pushed even
further toward the depth of despair.
c. 期待しておいて、もしみかげが怒り狂ったら、それこそ真夜中の底にひとりでつきおと
される。
20.enganar-se
(37)
a. Quando me engano, digo: <Desculpe>, e desligo, rindo-me.
b. When I’m wrong I just apologize, laugh, and hang up.
c. まちがってた時は、すいませんって笑って切る。
21.ensombrar-se
(38)
a. ――Não sei――e a cara ensombrou-se-lhe um pouco.
b. His face darkened a little. “I don’t know.”
c. 「わかんない。」と言って、少しくらい顔をした。
22.entristecer-se
(39)
a. Mas não podia impacientar-me ou entristecer-me.
b. (…)but for which I lacked the energy to suffer, much less fight.
c. 少しもあせったり悲しくなったりできない。
63
23.equilibrar-se
(40)
a. As suas capacidades equilibravam-se.
b. In real strength, she was his match.
c. 実力が伯仲していた。
24.esfumar-se
(41)
a. Quanto mais tempo lá estivesse, mais passaria a fazer parte do sonho mau e acabaria
por esfumar-me na escuridão.
b. (…)and that if I stayed here too long I, too, would become part of it, destined to be
snuffed out in the gloom.
c. ここに長くいればいるほど、私もこうして雄一の悪い夢の部分となって、闇に消えてし
まいそうだ。
25.fartar-se
(42)
a. <A noiva do Tanabe>, disse, <apesar de ter andado com ele um ano, não o
compreendia nem pouco mais ou menos e acabou por se fartar.(…)>
b. Sotaro had said that even though she’d been seeing him for a year, Yuichi’s girlfriend
didn’t understand the slightest thing about him, and it made her angry.
c. さっき、宗太郎は言っていた。田辺の彼女は一年間つきあっても田辺のことがさっぱり
わかんなくていやになったんだって。
26.impacientar-se
(43)
a. Mas não podia impacientar-me ou entristecer-me.
b. (…)but for which I lacked the energy to suffer, much less fight.
c. 少しもあせったり悲しくなったりできない。
27.interessar-se
(44)
a. ――Ah, interessa-te?
b. “Oh, right, taking a professional interest, are you? (…)”
c. 「ああ、君は興味あるか。(……)」
64
28.lembrar-se
(45)
a. A família, esta família que realmente tive, foi-se reduzindo pouco a pouco ao longo dos
anos, e agora, quando me lembro de que estou aqui, sozinha, tudo o que tenho diante
dos olhos me parece irreal.
b. My family had steadily decreased one by one as years went by, but when it suddenly
dawned on me that I was all alone, everything before eyes seemed false.
c. 家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとり
ここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる。
(46)
a. Lembro-me de que dizia frequentemente: (…)
b. I remembered hearing her say, any number of times, things like, (…)
c. (……)というようなことを何度も耳にした記憶があった。
(47)
a. ――Nem eu próprio me lembro.
b. “I don’t remember her myself. (…)”
c. 「ぼくもおぼえてないんだ。(……)」
(48)
a. A vista ia-se-me aclarando com a alegria de me movimentar por aquela cozinha que
tanto me agradava e, de repente, lembrei-me que ela era um homem.
b. In the joy of being in the kitchen I liked so well, my head cleared, and suddenly I
remembered she was a man.
c. お気に入りの台所に立てたうれしさで目が見えてくると、ふいに、彼女が男だというの
を思い出してしまった。
(49)
a. E, enquanto vertia lágrimas quentes e incessantes, lembrei-me de que não tinha
chorado desde que a minha avó morrera.
b. As the hot tears poured out, I remembered that I had never had a proper cry over my
grandmother’s death.
c. とめどない熱い涙をこぼしながら、私は祖母が死んでからあんまりちゃんと泣いてなか
ったことを思い出した。
65
(50)
a. Porque me lembrava de que uma noite ma fizera provar e dissera: (…)
b. I recalled the evening when I had tried it on, and she had said, (…)
c. (……)とある夜私に着せてみてえり子さんが言った思い出があったからだ。
(51)
a. Lembro-me de que, graças a essas práticas, comemos frequentemente os três juntos.
b. When I think about it now, it was because my cooking that three of us ate together as
often as we did; (…)
c. 今思えば、そのせいで3人がよくいっしょに食事をした。
(52)
a. A sala, com as suas grandes janelas pelas quais entrava a luz, com as suas mesas,
fornos e fogões a gás, lembrava-me a sala das aulas de Trabalhos Domésticos.
b. This sunny, large-windowed room, those big tables lines up in front of the ovens, the
broilers and burners, reminded me of the home-ec rooms at school.
c. 陽ざしがたくさん入る窓の大きなその部屋には、オーブンとレンジとガス台のついた大
型のテーブルがずらりと並んでいて、家庭科室を思い出させる。
(53)
a. Bebia Earl Grey, que a mim me desagradava pelo mau cheiro. Lembrei-me de que à
noite em casa dele se dintinguia frequentemente aquele cheiro, parecido com o sabão.
b. He was drinking smelly Earl Grey whose soapy odor reminded me of many a late
night at the Tanabe’s.
c. 彼は私のきらいなアールグレイというくさいお茶を飲んでいた。よく、田辺家の夜更け
にこの石けんのような香りがあったのを思い出す。
(54)
a. Agora lembro-me muito bem.
b. I remember it well.
c. 今になると、よく思い出せるんだ。
(55)
a. <(…)Já não consigo lembrar-me bem da minha cara de então.>
b. “(…)Even I can’t remember what I looked like anymore.”
c. あの頃のあたしの顔を、あたしはもう思い出せない。
66
(56)
a. Lembro-me de que pensei simplesmente: (…)
b. I remember thinking, (…)
c. (……)と思ったのを覚えている。
(57)
a. Nessa altura lembrei-me de que trazia no bolso da farda um guizo que tinha caído ao
meu gato, e ofereci-lho dizendo:――É um presente de despedida.
b. I suddenly remembered that I had, in the pocket of my school uniform, a little bell
that had fallen off the cat. “Here,” I said, “a farewell gift”, and handed it to him.
c. 私はその時家の猫から落ちた鈴が制服のポケットに入っていたことをふと思い出して、
せんべつ、と言って渡した。
(58)
a. Ele, de cada vez que tocava, lembrava-se de mim e do tempo que tínhamos passado
juntos; eu, sob um céu distante, pensava no tilintar do guizo e em quem o tinha.
b. Whenever he heard it ring, he would remember me and the time we had spent
together; I passed the trip imagining I could hear the bell across the vast sky,
imagining the person who had it in his possession.
c. 彼は鈴が鳴るたび私と、私がいた旅行前の日々を何となく思い出し、私は遠い空の下で
鳴る鈴のことと、鈴といる人のことを想って過ごした。
(59)
a. Surpreendeu-me muito, é por isso que acabo de me lembrar.
b. “(…)I just now thought of it, his reaction was so out of proportion.”
」
c. 「(……)あんまり意外だったから、今、思い出してた。
(60)
a. Lembro-me da bainha da saia da minha farda, das meias compridas e dos sapatos
pretos, que pisavam um degrau após outro.
b. I remember climbing step by step in my black shoes and knee socks; the swish of the
skirt of my school uniform.
c. 1段1段をふんでゆく黒いくつとハイソックス、自分の制服のスカートのすそをおぼえ
ている。
67
(61)
a. É que me tinha lembrado de Urara, a mulher que vira na ponte.
b. (…)remembering the encounter with Urara.
c. 橋のところで会った、うららという人のことを思い出したのだ。
(62)
a. Tinha-me simplesmente lembrado disso.
b. “(…)I was just remembering that.”
c. 「(……)そのことを思い出してただけよ。」
(63)
a. Lembrou-se de mim, mesmo que fosse só por um instante?
b. Did he think of me, if even for a flickering instant?
c. ちらっとでも私を思い出しただろうか。
(64)
a. Não me lembro bem desde quando consigo fazer este tipo de coisas...
b. I don’t remember exactly when that started, but…
c. いつごろから、そういうことができるようになったのかはよく覚えてないけど。
(65)
a. Achei graça a Hitoshi dizer aquilo, como se se lembrasse de alguma coisa de repente.
b. (…)he said, as if suddenly remembering something.
c. 思い出したように等がそう言ったのがおかしく、(……)
29.preocupar-se
(66)
a. ――Claro, não deves preocupar-te de maneira nenhuma.
b. “Of course, of course, think nothing of it. (…)”
」
c. 「いいのよ、気なんか使わないで。(……)
68
(67)
a. Por mais apaixoanda que eu estivesse, ou mesmo que tivesse bebido sake e estivesse
bêbida, no fundo do meu coração preocupava-me sempre com ela, a minha única
famiília.
b. No matter how dreamlike a love I have found myself in, no matter how delightfully
drunk I have been, in my heart I was always aware that my family consisted of only
one other person.
c. どんなに夢中な恋をしていても、どんなに多くお酒を飲んで楽しく酔っぱらっていても
私は心の中でいつも、たったひとりの家族を気にかけていた。
(68)
a. E, se fosse agora a época em que estávamos realmente unidos, creio que me estaria a
preocupar só por causa do varniz das unhas da minha mão direita que teria saltado ao
limpar o friforífico.
b. Then I thought, if we were still together I would be worrying about how I’ve just
chipped the nail polish on my right hand scrubbing refrigerator.
c. そして、彼と本当に親しくしていた頃だったら、今ごろ私は冷蔵庫みがきでずいぶんは
げた右手のマニキュアが気になっちゃって話にならないと思う。
(69)
a. A tua avó preocupava-se sempre contigo, mas talvez seja eu quem melhor compreenda
como te sentes.
b. Your grandmother was always so concerned about you, and probably the person who
can best understand how you feel in this world is me.
c. おばあちゃんはいつも、君の心配をしてたし、君の気持ちがいちばんわかるのは多分、
ぼくだろう。
(70)
a. Quando estava constipada, preocupavam-se comigo e perguntavam-me logo: <Como é
que te sentes?>.
b. If I had a cold, they would immediately be all concern.
c. 私がかぜをひいていたりすると、すぐに大丈夫?と心配してくれる。
69
30.ruborizar-se
(71)
a. A seguir ruborizei-me de vergonha.
b. I felt myself turning bright red with embarrassment(…).
c. 次に私は恥ずかしさで真赤になっていった。
(72)
a. Falava com muita paixão e fiquei tão contente que até eu própria notei como me
ruborizava.
b. Her enthusiasm as she said all this made me so happy, even I could feel myself
turning bright red.
c. あんまり熱心にそう言うので、私はうれしくて自分でもわかるくらい本当に赤くなって
しまった。
(73)
a. Nessa altura, sozinha, ruborizo-me.
b. “(…)Still it makes me ashamed of myself.”
c. 「(……)それでひとり、照れるの。」
31.sentir-se
(74)
a. Sentia-me irremediavelmente triste, e também alegre, levei as mãos à cabeça e sorri
debilmente.
b. I was puzzled, smiling about how I had just gone from the darkest despair to feeling
wonderful.
c. 私はどうしようもなく暗く、そして明るい気持ちになってしまって、頭を抱えて少し笑
った。
(75)
a. Reinava uma atmosfera imóvel que me fazia sentir culpada de só eu viver e me mover.
b. I felt it was the only person alive and moving in a world brought to a stop.
c. 私だけが生きて活動していることを申しわけなく思うような静止した雰囲気をかもし出
していた。
70
(76)
a. Sentia-me esmagada. Não podia respirar.
b. I couldn’t bear it. It oppressed me, and I felt like I couldn’t breathe.
c. 押されて息ができない。そう思った。
(77)
a. Agora sinto-me feliz.
b. “(…)Suddenly I feel happy.”
c. 突然、幸福になった。
(78)
a. Meio adormecia, pensei que se calhar era alguma rapariga que tinha telefonado e
senti-me mal.
b. Aha, I thought――a girl.
c. あ、女の子かなあ……と眠い頭で申しわけなく思い(……)
(79)
a. Se tivesse tido uma família a qual voltar, ter-me-ia sentido romântica, mas, como
estava sozinha, senti-me terrivelmente só, e não se trata de um jogo de palavras.
b. If I had a family to go home to perhaps I might have felt adventurous, but as it was I
would be horribly lonely.
c. 帰る家族があればロマンチックな気分なのだろうけれど、私は本当のひとり身なのでシ
ャレにならないくらい強く孤独も感じる。
(80)
a. Shu e eu sentimo-nos um pouco perturbados na grande encruzilhada que atravessava
a cidade.
b. We came to a large intersection. Both Hiiragi and I felt a little ill at ease; (…)
c. 街を抜ける大きな交差点の所で、私も柊もほんの少し気づまりを感じる。
71
32.sobressaltar-se
(81)
a. Sobressaltei-me tanto que inclinei a chávena que tinha na mão e acabei por entornar
muito chá no pires.
b. I was so surprised I let my cup tilt sideways and spilled my tea into the saucer.
c. あんまりびっくりして、手に持っていた紅茶のカップをかたむけて、お皿にじょろじょ
ろこぼしてしまったぐらいだ。
33.surpreender-se
(82)
a. Surpreendeu-me e abri os olhos.
b. I was so stunned, I gaped.
c. 私はびっくりして目を見開いてしまった。
(83)
a. Surpreendi-me.
b. I was startled.
c. 私はびっくりした。
(84)
a. Disse: <Entra>, julgando que era a minha mãe, e surpreendi-me quando a porta se
abriu e apareceu Shu.
b. I thought it was my mother and said, “Come in.” When the door opened, I was amazed
to see Hiiragi.
c. 母かと思いはいはいと言うと、ドアが開いて柊が入ってきたので驚いた。
34.tornar-se
(85)
a. ――Óla! Há tanto tempo que não nos víamos! Que feminina te tornaste, sinto-me
complexada――disse em voz alta quando me aproximei.
b. I walked over to her. “Aaaah!” she screamed. It’s been so long! You’ve grown so
beautiful, I can hardly look at you(…)
c. 私が近づくと、
「ひゃーあ、お久しぶり!すっかり女っぽくなっちゃって、近よりがたい
ったらないわ。」大声で言った。
72
35.tranquilizar-se
(86)
a. Ouvia os barulhos do chuveiro, das chinelas, do esquentador..., tranquilizava-me e a
voltava a adormecer.
b. When I heard the sound of the shower, the sound of her slippers, the sound of water
boiling, I would go back to sleep, feeling at peace.
c. シャワーの音、スリッパの音、お湯をわかす音、私はとても安心してまた眠りにおちて
ゆく。
(87)
a. Tranquilizei-me, e entrei.
b. I opened the door with a sense of relief and went in.
c. 私は安心して引き戸を開けて入った。
(88)
a. O vestido à marinheiro de Shu ficava oculto pela gabardina e eu tranquilizei-me um
pouco.
b. Hiiragi’s sailor-style uniform was hidden under his coat, which was a relief to me.
c. 柊のセーラー服がコートでかくれたので、私は少しほっとした。
36.transformar-se
(89)
a. Tinha-me a mim e eu ainda era pequena. Andou a interrogar-se sobre o que devia
fazer na sua situação. Foi então que decidiu transformar-se em mulher.
b. (…)gathered me up, asked herself, ‘What do I want to do now?’ What she decided
was, ‘Become a woman.’
c. まだ小さなぼくを抱えて何をしようか考えて、女になることに決めたんだって。
(90)
a. ――A pessoa transformar-se em mulher também é tremendo, sabes?――disse Eriko
um anoitecer.
b. “It’s not easy being a woman,“ said Eriko one evening of the blue.
c. 「女になるのも大変よね。」ある夕方、唐突にえり子さんが言った。
73
(91)
a. Quando casei com a tua mãe, eles romperam os vínculos familiares e, ao
transformar-me em mulher, segundo me disseram, amaldiçoaram-me.
b. When I married your mother, her parents cut off relations entirely. And then, when I
became a woman, they cursed me.
c. あんたのお母さんと結婚した時に縁切られて、私が女になった時にはもう、人づてに聞
いたところでは呪ってたそうだから、(……)
(92)
a. Há pouco tempo que me transformei em mulher, mas estava convencida de que, em
algun lugar dentro de mim, existia um eu masculino, o meu verdadeiro eu, e de que
estava desempenhar simplesmente o papel de mulher.
b. I guess I thought that even though I’ve lived all these years as a woman, somewhere
inside me was my male self, that I’ve been playing a role all these years.
c. 私、こんなに長く女でいても、まだどこかに男の自分が、本当の自分がある、これは役
割よって思ってたのに。
(93)
a. Desde que me apercebi disso, transformei-me numa adulta repugnante capaz de
compaginar as coisas mais absurdas com as de todos os dias.
b. Was that what it means to be an adult, to live with ugly ambiguities?
c. それに気づいてからは、ろくでもないことと、普通の生活を同時進行できるくらいに私
はいやらしく大人になったが、(……)
(94)
a. Depois, como vês, transformei-me em mulher.
b. So I became a woman, and here I am.
c. ……それで女になって、今はこの通りよ。
(95)
a. E após ultrapassar esse ponto, transformar-nos-íamos os dois em amigos eternos.
b. In that case we would forever remain just friends.
c. 今、ここを過ぎてしまえば、2人は今度こそ永遠のフレンドになる。
74
37.unir-se
(96)
a. O quarto temperado parecia outro mundo e deu-me a sensação de que, por fim, o meu
corpo e a minha alma se uniam.
b. The room was so warm it was like another world. In bits and pieces, my scattered
mind and body seemed to become one again.
c. 部屋の中は別世界のようにあたたかく、バラバラだった体と心がやっとひとつに戻るよ
うな気がした。
38.verter-se
(97)
a. Arrastava suavemente um sonho tranquilo que se aliava a uma tristeza imensa que
por pouco não me fazia verter lágrimas, e estendi o futon na cozinha, que brilhava em
silêncio.
b. Steeped in a sadness so great I could barely cry, shuffling softly in gentle drowsiness,
I pulled my futon into the deathly silent, gleaming kitchen.
c. 涙があんまりでない飽和した悲しみにともなう、やわらかな眠けをそっとひきずって、
しんと光る台所にふとんをひいた。
75
Ⅲ.無生物名詞を主語にとる再帰動詞
(動詞番号は本文表2と対応)
1.abrir-se
(1)
a. Naquela noite estava a ver um filme de vídeo quando a porta da rua se abriu e entrou
Yuichi com uma grande caixa nos braços.
b. That evening, as I was watching a video, the door opened and there was Yuichi, a
large box in his arms.
c. その夜、私がビデオを見ていたら、玄関のドアが開いて、大きい箱を抱えた雄一が外か
ら帰ってきた。
(2)
a. Nessa altura, a porta abriu-se com uma chiadeira e entrou Eriko com um grande saco
de papel nos braços.
b. Just then, the door opened with a squeal of hinges, and in came Eriko holding a large
paper bag.
c. その時、ぎいっと音をたててドアが開いて大きな紙袋を抱えたえり子さんが入ってきた
(3)
a. Também este aroma desaparecerá um dia, e deixará de cheirar por mais que se abra a
carta.
b. This, too, will disappear after the letter is opened a few more times, I thought.
c. この香りも、やがて、いくらこの手紙を開いてもしなくなってしまう。
(4)
a. Ao abrir-se a porta, ouviu-se uma voz feminina.
b. The door opened, and we heard a girl’s voice say, (…).
c. ドアが開くと同時に、女の人の声がした。
(5)
a. Disse: <Entra>, julgando que era a minha mãe, e surpreendi-me quando a porta se
abriu e apareceu Shu.
b. I thought it was my mother and said, “Come in.” When the door opened, I was amazed
to see Hiiragi.
c. 母かと思いはいはいと言うと、ドアが開いて柊が入ってきたので驚いた。
76
(6)
a. Estava meio adormecido e, de repente, abriu-se a porta e entrou Yumiko.
b. I was sort of half-asleep when suddenly the door opened and Yumiko walked in.
c. うとうと眠ってたら急にドアが開いて、ゆみこが入ってきたんだよ。
2.acender-se
(7)
a. Quando o vento se infiltrava já nos meus pés molhados, acendeu-se a luz e apareceu
Yuichi, com expressão assustada, do fundo do quarto.
b. The cold was beginning to penetrate through my wet pants when the light popped on
in the room and Yuichi appeared, looking scared to death.
c. ぬれた足に風がじんじんしみた頃、部屋の明かりが突然ぱっとついて、おびえきった表
情の雄一が部屋の奥から登場した。
3.acumular-se
(8)
a. As pessoas andavam com frio ao longo do rio, a neve, branca e ligeira, começava a
acumular-se em cima dos carros, as árvores agitavam-se espalhando folhas secas.
b. Chilled-looking people walking along the riverside, the snow beginning, faintly, to pile
up on the roofs of cars, the bare trees shaking their heads left and right, dry leaves
tossing in the wind.
c. 寒そうに歩いてゆく川べりの人々、白くうっすらと車の屋根につもりはじめる雪、右に
左に、木々は首を振って、枯れた木の葉を散らし続ける。
4.agitar-se
(9)
a. As pessoas andavam com frio ao longo do rio, a neve, branca e ligeira, começava a
acumular-se em cima dos carros, as árvores agitavam-se espalhando folhas secas.
b. Chilled-looking people walking along the riverside, the snow beginning, faintly, to pile
up on the roofs of cars, the bare trees shaking their heads left and right, dry leaves
tossing in the wind.
c. 寒そうに歩いてゆく川べりの人々、白くうっすらと車の屋根につもりはじめる雪、右に
左に、木々は首を振って、枯れた木の葉を散らし続ける。
77
(10)
a. As plantas e as flores agitavam-se no ar azul e estendiam-se, com as cores planas,
como um panorama.
b. The trees and flowers rustled, trembling in the blue morning air――they seemed
painted in flat colors, like a diorama in a museum.
c. 庭木や花が青い空気の中でさわさわゆれて、パノラマのように平たい色彩で広がって見
えた。
(11)
a. Via-se vagamente a silhueta das árvores que se agitavam ao vento.
b. The faint outline of the rustling trees trembled in the wind;(…).
c. 木々が、風にざわざわとゆれるシルエットが淡く映る。
5.agudizar-se
(12)
a. Vivendo sozinha a vaguear de um lado para outro, parece que, por qualquer razão, a
sensibilidade se me agudizou.
b. For a long time I’ve been on my own, moving around from place to place, and I
developed this ability to just…sense things, calmly, like a wild animal.
c. 長いこと、いろんな所を転々としてひとりで暮らしていると、感覚のどこかがけものみ
たいに冴えてくるのよ。
6.aliar-se
(13)
a. Arrastava suavemente um sonho tranquilo que se aliava a uma tristeza imensa que
por pouco não me fazia verter lágrimas, e estendi o futon na cozinha, que brilhava em
silêncio.
b. Steeped in a sadness so great I could barely cry, shuffling softly in gentle drowsiness,
I pulled my futon into the deathly silent, gleaming kitchen.
c. 涙があんまりでない飽和した悲しみにともなう、やわらかな眠けをそっとひきずって、
しんと光る台所にふとんをひいた。
78
7.aligeirar-se
(14)
a. Indo até à cozinha, de repente, o meu corção aligeirou-se.
b. As I walked toward the cooking class, I suddenly realized that a weight had been
lifted from me.
c. 調理室の方へ歩きながら、私は突然心が軽くなったことに気づいた。
8.alinhar-se
(15)
a. Desci por uma rua onde, de ambos os lados, se alinhava, os hotéis.
b. I walked for a while along a street thick with inns.
c. 宿が立ち並ぶ街道をずっと下っていった。
(16)
a. Naquele entardecer, tudo parecia feliz dentro dos armazéns, onde se alinhavam os
trajos de Primavera iluminados.
b. The whole department store that evening was jovial, and gaily illuminated spring
clothes were on display.
c. 春の服が明るく照らされて並ぶ夕方のデパートはすべてが幸福そうだ。
9.apagar-se
(17)
a. E, quando essa luz se apaga, projecta uma sombra pesada, irremediável.
b. When that light has been put out, a heavy shadow of despair descends.
c. そして、消えた時にどうしようもなく重い影を落とす。
(18)
a. E ao comê-la, apaga-se, não é?
b. So I wondered if eating would put out the light, (…).
c. それで食べると消えちゃうだろう?
79
10.apresentar-se
(19)
a. Não conseguia ver com clareza nem os postes de electricidade nem os candeeiros nem
os carros estacionados nem o céu negro que se apresentava sempre diante dos meus
olhos.
b. Things that my eyes normally take in――telephone poles, street light, parked cars,
the black sky――I could now barely make out.
c. いつも普通に目に入ってくる電柱や街頭や止めてある車が、黒い空が、うまく見えなか
った。
11.avariar-se
(20)
a. Pensei que o funcionamento do meu corpo se tinha avariado.
b. Am I losing my mind? I wondered.
c. 自分の機能がこわれたかと思った。
12.compor-se
(21)
a. <Parece que tudo se compôs, inclusivamente o meu caráter...>
b. (…)it was truly as if I had somehow reformed my own slapdash character.
c. まるで自分の性格まで直っちゃったみたいよ!
13.deslocar-se
(22)
a. Deslocava-se devagar, contra o vento.
b. Propelled by the wind, it slowly moved along.
c. 風を押して、ゆっくりと移動してゆく。
(23)
a. A partir deste momento, a dimensão, o espaço, e o tempo deste lugar oscilarão e
deslocar-se-ão.
b. What’s going to happen next is, the dimension we’re in――time, space, all that stuff
――-is going to move, shift a little.
c. 「今から少し、ここの次元や空間や時間や、そういったものがゆれたり、ずれたりする。
(……)」
80
14.desprender-se
(24)
a. Tinha os braços intumescidos por causa do frio e, o que era pior, a mochila foi
deslizando e desprendeu-se-me do ombro.
b. My arms were numb with cold, and my backpack was working itself off one shoulder
and down my arm.
c. 腕が寒さでじんとしびれ、悪いことにはリュックの肩の片方がずり落ちた。
15.diluir-se
(25)
a. A luz dilui-se no azul do céu e um débil fulgor ilumina de branco a camada do ar.
b. The rays of the rising sun spread over the blue sky, illuminating the faintly sparkling
layers of air with white light.
c. 光が空の青にとけて、かすかな輝きが空気の層を白く照らす。
(26)
a. Recordo como o casaco preto de Hitoshi, que ainda se voltou para mim uma vez mais,
se ia diluindo na escuridão, como o sabor desse dia em que tudo tinha sido tão belo e
terno no ar límpido de Inverno.
b. Of that day in which everything was just too beautiful in the transparent winter air,
what I remember most is the sight, when I turned back to look, of Hitoshi’s black
jacket melting into the darkness.
c. 冬の美しく澄んだ大気の中の、すべてがあまりにも美しくやさしい1日のその余韻のよ
うに、ふりむいた等の黒いジャケットが闇にとけてゆくさまをおぼえている。
16.embaciar-se
(27)
a. Dentro do carro fazia calor e os vidros embaciaram-se.
b. In the hot car, I fogged the window with my breath.
c. 車の中は熱く、息でガラスがくもった。
17.encher-se
(28)
a. Não esperava que o bar se enchesse precisamente hoje.
b. Who ever would have thought the club would be so busy tonight?
c. まさかこんなにお店がこむなんて思ってなかったのよ。
81
18.erguer-se
(29)
a. Se nela se erguer um frigorífico, cheio de comida que chegue para passar um Inverno,
gosto de me apoiar na sua porta prateada.
b. I lean up against the silver door of a towering, giant refrigerator stocked with enough
food to get through a winter.
c. ひと冬軽くこせるような食料が並ぶ冷蔵庫がそびえ立ち、その銀の扉に私はもたれかか
る。
19.esconder-se
(30)
a. Escondia-se e voltava a aparecer.
b. I watched it go behind a cloud, completely hidden, and reemerge.
c. 雲にかくれ、さらりとまた姿をあらわす。
20.fechar-se
(31)
a. Assim que a porta se fechou e fiquei sozinha, apercebi-me de que estava muito
cansada.
b. I heard the door close, and when I was alone I realized I was dead tired.
c. 扉の閉まる音と共に、やっとひとりになったらぐったりと疲れているのに気づいた。
21.filtrar-se
(32)
a. Pensei que não podia suportar o ar frio e pesado do Inverno que se filtrava como uma
névoa por parques e ruas, por toda a parte daquele pequeno bairro.
b. The heavy, cold air of winter permeated every part of this little neighborhood――the
park, the walkways――like a fog.
c. この小さな街のすべての部分に、公園に、路に、霧のようにしみとおる冬の重い冷気を
支えきれない。
82
22.infiltrar-se
(33)
a. Quando o vento se infiltrava já nos meus pés molhados, acendeu-se a luz e apareceu
Yuichi, com expressão assustada, do fundo do quarto.
b. The cold was beginning to penetrate through my wet pants when the light popped on
in the room and Yuichi appeared, looking scared to death.
c. ぬれた足に風がじんじんしみた頃、部屋の明かりが突然ぱっとついて、おびえきった表
情の雄一が部屋の奥から登場した。
23.murchar-se
(34)
a. Eu assustei-me imenso e disse-lhe: <Deixa-a cá, se murchar não faz mal.>
b. I was surprised and said, “Why? I can see that it’s withering, but wouldn’t you rather
have it?”
c. あたしはびっくりして、枯れたって何だって、ここに置いときなよって言ったのね。
24.repercutir-se
(35)
a. Os pontos fracos do meu caráter são a impaciência e o descuido, mas nunca tinha
imaginado que isso se repercutisse de tal maneira na cozinha.
b. Because my biggest flaw is lack of precision, it didn’t occur to me that dishes turn out
badly or well in proportion to one’s attention to detail.
c. 私のネックは性格のがさつさにあって、ちゃんとした料理にそのことがあれほどマイナ
スになるとは考えてもみなかった事だった。
25.repetir-se
(36)
a. <O caminho está sempre marcado, mas não num sentido fatalista: a cada instante,
com a respiração, com o olhar, e com os dias que se repetem, um após outro, vai-se
decidindo espontaneamente>.
b. But I don’t mean this in the fatalistic sense; we’re constantly making choices. With
the breaths we take every day, with the expression in our eyes, with the daily actions
we do over and over, we decide as though by instinct.
c. 決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざし
が、くり返す日々が自然と決めてしまうのだ。
83
26.submergir-se
(37)
a. A minha cabeça flutuava e submergia-se insegura, e sentia-a turva, pesada e sem
sossego.
b. My brain ebbed and flowed, unstable, and I passed the days in a relentless state of
dull oppression.
c. 頭が不安定に浮き沈みして、落ちつかずにぼんやりいつも重苦しい。
(38)
a. Quando atingia a ponte, apoiava-me sempre na balaustrada e fitava a fiada de casas
pálidas que se submergiam vagamente no fundo celeste.
b. I was leaning over the railing the was I always did upon reaching the bridge, absently
looking at the rows of buildings on the street, which hung in a faint mist, as if
submerged in an ocean of blue air.
c. 私は橋にたどりつくといつものように欄干にもたれて、ぼんやりと青い空気の底に沈む
淡くかすんだ街並を見ていた。
84
Ⅳ.両方の主語と共起した例
(動詞番号は本文表3と対応)
※例文番号の後の+と-はそれぞれ主語の[+HUMAN]と[-HUMAN]の略である。
1.afastar-se
(1-)
a. Segui com o olhar o autocarro que se afastava e, sem pensar, entrei correndo numa
viela escura.
b. I watched drive away, and then without thinking I ducked into a poorly lit alley.
c. 行くバスの後ろ姿を見送って、私は思わずうす暗い路地へかけこんだ。
(2-)
a. As minhas pupilas ficaram imóveis e o auscultador do telefone afastou-se um
instante.
b. I stared into space. For a moment the receiver seemed miles away.
c. 私の瞳は凍りつき、受話器が瞬間、ぐんと遠ざかった。
(3+)
a. ――Quatro dias――disse afastando-me suavemente dele.
b. “Four days and three nights.” I gently pulled myself away.
c. 「3泊4日。」私はそっと彼から離れて言った。
(4-)
a. A luz olhava para aqui, afastava-se, e abria um caminho brilhante varrendo as ondas.
b. It turned to me, then it turned away, forming a pathway of light on the waves.
c. くるりとこちらを向き、また遠ざかり、波の上に光る道を作る。
(5-)
a. Hitoshi e eu sentíamo-nos cheios de afecto, e o tilintar do guizo foi-se afastando na
noite.
b. The tinkle of the bell disappeared into the night. Hitoshi and I both cherished that
sound.
c. 夜の中を、ちりちりと鈴の音が遠ざかっていった。私も等もやさしかった。
85
(6+)
a. Sinto que ele está infinitamente longe de mim e que se vai afastando ainda mais.
b. I felt he had gone somewhere endlessly far from me, and my stoicism only made the
feeling worse.
c. 果てしなく遠い彼が、ますます遠くへ行ってしまうように思える。
(7+)
a. Hitoshi ia-se afastando diante dos meus olhos.
b. Before my eyes, Hitoshi grew faint.
c. 見ている目の前で、等は遠ざかってゆく。
(8+)
a. E afastou-se misturando-se com a multudão.
b. With that, she melted into the wave of people crowding the morning streets.
c. そして、朝の街の、人の波にまぎれて去っていった。
2.aproximar-se
(9+)
a. Quando se apercebeu de que eu me aproximava dele, entrecruzando-me com as
empregadas de mesa que iam e vinham, sorriu.
b. I made my way over to him, snaking around the comings and goings of the waitresses.
He smiled when he saw me.
c. 行きかうウェイトレスの間をぬって彼に近づいてゆくと、彼は気づいて笑った。
(10-)
a. Tudo brilhava irrealmente, bonito e deformado, como uma ilusão, e aproximava-se dos
meus olhos com rapidez.
b. There was a strange beauty to their distortion. Everything came zooming in at me.
c. すべてが熱気の向こうにあるようにシュールに美しくゆがんで光り、目の前にぐんとせ
まってくる。
(11+)
a. Ouvi que Yuichi se aproximava da porta com um som inesquecível dos seus passos.
b. I listened to the familiar rhythm of footsteps approaching the door.
c. 雄一がなつかしいテンポでドアに向かって歩いて来るのが聞こえた。
86
(12―)
a. Quando se aproximava o amanhecer, ouviam-se o seu trautear e o martelar dos seus
saltos, que se aproximavam, e abria a porta com a chave.
b. Just before dawn: the sound of humming and the high-heeled shoes drawing nearer,
the key in the door.
c. 夜明け近く、鼻歌とヒールの音が近づいてきて、カギを開ける。
(13―)
a. Era uma verdade triste que se iria aproximando pouco a pouco desde além do choque.
b. Faced with a tempest of shock, I could only approach the dark fact if her death little
by little.
c. ショックの嵐の向こうから、少しずつ近づいてくる暗い事実だった。
(14―)
a. Subi duas ou três pedras mais, experimentando a estabilidade daquelas pedras
empilhadas de forma pouco natural, e a borda do telhado aproximou-se ainda mais de
mim.
b. Carefully gauging the stability of the haphazardly stacked pile of stones, I took a
second step, then a third, and I got even nearer.
c. 不自然な形につまれた庭石の安定を確かめながら、2段、3段と登ると、いっそう近づ
く。
(15―)
a. De repente, a parede aproximou-se perpendicularmente de mim, e notei como os meus
pequenos músculos destreinados se inteiriçavam.
b. Suddenly, as I hung there, pressed vertically against the side of the building, what
few athletic skills I had seemed to leave me with an audible sssshhhhh.
c. 突然、建物の壁面が垂直にせまり、私のみがかれていない小さな運動神経がひゅう、と
音をたててすくむのがわかった。
(16―)
a. O bramido do rio aproximava-se e o ar mudava por segundos.
b. The sound of the current grew louder as I approached the river; the colors in the sky
were changing moment by moment.
c. 川音が近づき、空が刻々と変化してゆく。
87
(17―)
a. Os sinais de que a manhã se aproximava enchiam o mundo inteiro.
b. The mood of approaching morning seemed to fill the whole world.
c. 朝が近づいてくる気配が世界中を満たす。
(18+)
a. ――Óla――disse ao aproximar-me.
b. “Hi,” I called. When I came nearer(…)
c. 「こんにちはー。」と私が近づいてゆくと、(……)
(19+)
a. Podia aproximar-me dele correndo sem vacilar, mas tudo me parecia incómodo por
causa da febre e aproximei-me sem acelerar o passo.
b. It wasn’t that I was hesitant to run up to him and call his name――it was just that
because of my fever I couldn’t muster the energy, so all I did was walk toward him
without changing my pace.
c. 走りよって声をかけるのは何のためらいもなくできることだったが、私は熱のせいで何
もかもが面倒くさかったため、歩いていたそのままのテンポで彼の方へ歩いていった。
(20+)
a. Enquanto observava a cena, vi uma pessoa que se aproximava pelo passeio defronte
da casa.
b. As I sat there peering out the window, I saw the shadow of a person coming up the
sidewalk in front of my house.
c. そうして外をながめていて、私は家の前の歩道をこちらへ歩いてくる人影を見つけた。
(21+)
a. Trazia um vestido azul e aproximava-se, olhando-me sorridente.
b. Dressed in blue, grinning broadly, she looked at me and came toward me.
c. 青い服を着て、にこにこ笑いながら私を見てこちらにやってくる。
(22―)
a. Pouco a pouco, aproximava-se o amanhecer.
b. Dawn crept up little by little.
c. 少しずつ、夜明けが近づいてくる。
88
3.converter-se
(23+)
a. E o filho que Eriko tinha criado com carinho converteu-se, de repente, num príncipe.
b. The son that Eriko had brought up so gently was suddenly revealed to be a prince.
c. えり子さんがやさしく育てたその息子は、こういう時、とっさに王子になる。
(24―)
a. Nas noites e manhãs que se irão sucedendo, um dia, talvez este momento se converta
num sonho.
b. In the endless repetition of other night, other mornings, this moment, too, might
become a dream.
c. くりかえしくりかえしやってくる夜や朝の中では、いつかまたこのひとときも、夢にな
ってゆくかもしれないのだから。
(25+)
a. Na realidade, converter-me em ajudante da professora de cozinha, som a quel agora
estou, pareceu-me incrível.
b. Getting the job I have now, as an assistant to a cooking teacher, was incredible.
c. 今、私が働いている料理の先生のアシスタントになれたことは、実は大変なことらしか
った。
4.cruzar-se
(26―)
a. As cores dos faróis cruzam-se, e o rio de luzes gira.
b. The signal changed, and the river of light formed by cars continued on its way.
c. ライトの色が交差し、光の河が曲がってくる。
(27+)
a. As que se vão sem que eu o saiba, as que simplesmente se cruzam comigo.
b. People who are gone before you know it, people who are just passing through.
c. いつの間にか去る人、すれちがうだけの人。
89
5.desvanecer-se
(28+)
a. Não sei porquê, mas deu-me a sensação de que não se sentia bem, como se fosse
desvanecer-se no ar.
b. The poor dear looked so unhappy, I was afraid he might just waste away.
c. 何だか雄ちゃん、そのまま消えちゃいそうに元気がなかった。
(29―)
a. No céu cor de anil, umas estrelas tremulavam pélida e debilmente como se foseem
desvanecer-se.
b. The last few stars in the blue porcelain sky winked, a dim white, as if about to go out.
c. 星が1つ2つ、消えそうにほの白く、ちらちらと青磁の空にまたたいていた。
(30―)
a. <Oxalá que o tempo se detenha>...Mas tudo começou a desvanecer-se lentamente
quando chegou a primeira luz do alvorecer.
b. I wished time could stop――but with the first rays of the rising sun everything slowly
began to fade away.
c. 時間が止まればいいと思い――しかし、夜明けの最初の光が射した時にすべてはゆっく
りとうすれはじめた。
(31+)
a. Apesar disso, ia-se desvanecendo e finalmente desapareceu.
b. His form was slowly growing fainter, disappearing.
c. それでも彼はゆっくりとうすれ、消えていった。
6.deter-se
(32―)
a. Yuichi parecia acreditar naquilo ainda mais do que eu e a mão que estava a lavar o
chão deteve-se por completo. Voltou-se e olhou-me com surpresa.
b. Yuichi seemed to feel it, too. He abruptly stopped scrubbing and turned to face me, his
eyes troubled.
c. 雄一はもっとそう思ったらしく、後ろ姿で床をみがく手が完全に止まった。そして、ふ
りむいてちょっと困った目をした。
90
(33―)
a. O tempo detém-se para a eternidade no lugar onde morreu aquele que se ama.
b. In places where a loved one has died, time stops for eternity.
c. 愛する者の死んだ場所は未来永劫時間が止まる。
(34+)
a. Naquele momento, Shu deteve-se e eu fi-lo também.
b. Then Hiiragi suddenly stopped, and I automatically stopped, too.
c. その時、柊がふと立ち止まったので、私もつい立ち止まってしまった。
(35―)
a. <Oxalá que o tempo se detenha>...Mas tudo começou a desvanecer-se lentamente
quando chegou a primeira luz do alvorecer.
b. I wished time could stop---but with the first rays of the rising sun everything slowly
began to fade away.
c. 時間が止まればいいと思い――しかし、夜明けの最初の光が射した時にすべてはゆっく
りとうすれはじめた。
7.estender-se
(36+)
a. Ao estender-me no sofá, recordei languidamente que o tecto branco me tinha salvo.
b. I flopped down on my back and looked up at the dear, familiar ceiling.
c. ごろんと寝ころがると、白い天井が私を救った思い出がけだるく押しよせてくる。
(37―)
a. Começaram a estender-se umas nubens sombrias que se tingiam ligeiramente de
laranja.
b. I watched the gloomy clouds and the orange of the sunset spreading across them in
the western sky.
c. うっすらとオレンジ色に染まるほの暗い雲が西の空に広がりはじめる。
91
(38―)
a. A brisa do entardecer entrava pela janela de tela metálica e, contemplando o céu que
se estendia azul com os últimos restos de calor, comíamos carne de porco cozida,
massa chinesa frita, salada de melancia...
b. Looking out the window as the evening wind came through the screen door, a
remnant of pale blue stretching over the hot sky, we ate boiled pork, cold Chinese
noodles, cucumber salad.
c. あみどごしの夕風、うす青く広がる暑い空の名残を窓の外に見ながら、ゆで豚や冷し中
華やすいかサラダを食べた。
(39―)
a. O céu azul pálido, ligeiramente brumoso, estendia-se até muito mais além da cidade.
b. A thin veil of mist hung distantly in the pale blue sky far beyond the city.
c. 空の淡いブルーがうっすらとかすんで、はるか街の向こうへと続いていた。
(40―)
a. As plantas e as flores agitavam-se no ar azul e estendiam-se, com as cores planas,
como um panorama.
b. The trees and flowers rustled, trembling in the blue morning air――they seemed
painted in flat colors, like a diorama in a museum.
c. 庭木や花が青い空気の中でさわさわゆれて、パノラマのように平たい色彩で広がって見
えた。
8.mover-se
(41+)
a. Sempre assim foi: nunca me movi até chegar ao limite.
b. I’ve always been like that――if I’m not pushed to the drink, I won’t move.
c. いっつも、そうだ。私はいつもギリギリにならないと動けない。
(42+)
a. As pessoas que se moviam lá dentro, e os ascensores que subiam e desciam,
brilhavam em silêncio e afigurava-se que se iam diluindo na penumbra.
b. The people moving behind those windows, the elevators going up and down, all of it,
sparkling silently, seemed to melt into the half-darkness.
c. その中で動いている人々も、上下するエレベーターも、みんなしんと輝いてうす闇にと
けてゆきそうだった。
92
(43―)
a. As nuvens moviam-se devagar, dividindo a cidade entre a luz e a sombra.
b. Clouds moved slowly, dividing the city below into patches of light and shadow.
c. 雲の影が街を光と影にわけてゆっくりと動く。
(44+)
a. <Qual é o número da Satsuki?>, e a minha mão move-se espontaneamente ao marcar
o número, e a maioria das vezes acerto.
b. “(…)So I thought to myself, Satsuki’s phone number is...? And when I dialed, I just
let my fingers move naturally. I usually get it right.”
c. 「(……)……えーと、さつきさんの番号は?と思うとね、ダイヤルを回す時にはもう自
然と手が動いて、おおかたあってるのよ。」
(45―)
a. A figura do patinho que está convencido de que o que se move pela primeira vez
diante dos seus olhos é a mãe comove quem o olha.
b. I thought, like a baby duck trailing after some moving object, taking for its mother.
Though the baby duck is unaware of it, it’s very touching for the observer.
c. 子アヒルがはじめて動いたものを母と思いこんでついて歩く姿は、子アヒルにとっては
何でもなくても見る者の胸を打つ。
(46―)
a. O céu movia-se devagar.
b. (…)the heavens began to move.
c. ゆっくりと、天空は動く。
9.reflectir-se
(47―)
a. O sol atravessava o copo, e a cor verde do chá japonês frio tremia, reflectindo-se no
chão.
b. The sunlight shone through our cups, and our cold green tea reflected prettily against
the floor.
c. コップが陽にすけて、冷たい日本茶のみどりが床にきれいにゆれた。
93
(48―)
a. Supreendeu-me que essas coisas tão triviais se reflectissem, sem falhar, na
apresentação da comida.
b. (…)that sort of triviality or so I thought was precisely reflected in the color and
shape of the final product. Which surprised me.
c. そんなささいな、と思うことが結果の色や形にきちんと反映して、びっくりした。
(49―)
a. Só se reflectia na superfície como uma bola de sabão.
b. It was merely reflected on the surface, like on a soap bubble.
c. シャボン玉のようにくるくると表面にうつるだけだ。
(50+)
a. As sombras profundas da cara que se reflectia no espelho fizeram-me pressentir que
viria de novo, como o segundo tremor de um terramoto, uma noite cruel.
b. My face in the mirror had a touch of dark shadow on it, making me wonder――was
this a harbinger of other terrible night to come, like the aftershocks following an
earthquake?
b. 例えば鏡にうつる自分の顔にほんの少し深い影が落ちていることが、また本当につらい
夜がゆりかえしのようにやって来ることを予感させた。
(51―)
a. A linha que os seus braços desenhavam formava uma silhueta que se reflectiu um
momento no céu.
b. The arching lines described by his arm remained, like an afterimage, suspended in
the air.
c. 彼の腕が描くラインが残像になって空にうつる。
10.separar-se
(52+)
a. Separáramo-nos na época em que a minha avó piorara.
b. We broke up about the time my grandmother’s illness got bad.
c. 祖母の病気が悪くなるころ、別れた。
94
(53+)
a. ――Tentarei――respondi, e dizendo adeus um ao outro com a mão, separámo-nos.
b. “Okay,” I said, waving, we parted.
c. 「はい、心がけます。
」私は答え、手を振って別れた。
(54+)
a. Quando vivia lá detestava-o, mas ao separar-me dele comecei a sentir saudades com
toda a minha alma.
b. ...When I lived there I had hated that color, but now that I was to leave it I loved it
with all my heart.
c. ……住んでいるときは大キライだったその色が離れてみたらものすごく愛しかった。
(55+)
a. Parecia-me boa ideia estar uns dias fora de Tóquio e separar-me de Yuichi.
b. Right now, getting away from Tokyo, away from Yuichi, to put some distance between
us for a little while, struck me as a very good thing.
c. 今、東京を離れ、雄一を離れて、少しだけの期間遠くへ行くのは、いいことのように思
えた。
(56―)
a. Mas, depois de passar a curva, os nossos caminhos acabariam por se separar.
b. If we bypassed it, we would split off into different directions.
c. しかし、ここを越したら別々の道に別れはじめてしまう。
(57+)
a. Quando íamos a algum lado, separávamo-nos sempre ali, ele ia para um lado, e eu
para o outro.
b. When we said good-bye, it was there that we parted, he going to one side of the river,
me to the other.
c. 出かけた帰りもいつも、2人はそこで川向こうとこっちに別れた。
(58+)
a. Não se separem de nós.
b. “(…)don’t you two ever break up.”
c. 絶対別れちゃだめだよ、(……)
95
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