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Bomb Marketing
アール・リサーチ News Letter 154 号
責任編集 柳本信一
150610
「ネット依存症社会」
三週間のご無沙汰でした。それにしても5月は暑かった
この太陽程とはいきませんが、
まだ梅雨も来ていないのに。今年の夏が思いやられます。ご自愛ください。
さて今回御代は「ネット依存症社会」。依存症と言っても様々なものがあります。WHO の定義
によれば「精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返
し行った結果、それらの刺激を求める抑えがたい欲求である渇望が生じ、その刺激を追い求める
行動が優位となり、その刺激がないと不快な精神的、身体的症状を生じる精神的、身体的、行動
的な状態のこと」(ウィキペディアより)。難しい表現をやめて具体的な例にすると
① ヘロイン、大麻、コカイン
、危険ドラッグなどの違法薬物に対する依存
② アルコール、ニコチンなど合法的ではあるが多量摂取が問題になる依存
③ パチンコ、競馬、競輪などのギャンブルに対する依存
④ DV などの人間関係への依存
⑤ テレビやラジオ、新聞などのメディアへの依存
⑥ ネット、ネットゲームなど従来なかったネット社会への依存
危険薬物や麻薬は論外ですが、②~⑥までは適度にとどめる分には問題がなく、過剰な摂取や
時間の配分が日常生活上の問題となり、社会に大きな迷惑をかけるものを依存症と呼ぶのでは
ないかと考えます。この稿では特にメディアと依存症を考察することとします。
アルコールとたばこについて考えてみると、これは世界中でほぼ合法なものとして販売をされて
います。近年では煙草について特に社会から厳しい目を向けられています。医者に聞くと
と断罪されます。アルコールについては、日本は特に寛容な文化です。テレビ
でお酒の CM を見ない日はありません。
ビール、焼酎、ワイン、ウィスキー、日本酒等
など。ついつい手を付けてしまうではないですか。偶然この原稿を書いている日は翌日に人間ド
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ックを控えており、年に一度の休肝日(爆)です。お酒は飲むこと自体が楽しいし、友人・知人
との語らいがより深くなる「一害あって百利あり」のものだと思っています。しかもタバコとア
ルコールに関しては多額の税金も支払っています。何が悪い?と開き直ってしまいます。当然で
すが健康被害が個人に留まればいいのですが、そのために費やされる時間や肝臓障害等に費やさ
れる医療費は社会に重い負担となる、と言われると「その通りです」としか答えることはできま
せん。しかし人生の楽しみの一つ、放っておいていてください(笑)。
さて、本題です(笑)。今までのは何だったのかと言われそうですが、気にせず続けます。④と
⑤はメディアへの依存度です。まずテレビを見ましょう。これの見すぎで死ぬ人はいませんし病
気にもならないでしょう。しかし、
「時間食い」
なのです。私は生まれた時には
家にテレビがあったそうですから、そのテレビの申し子のような存在です。家に帰るとまずテレ
ビのスイッチを入れ、この季節であれば愛するジャイアンツがどうしているのかケーブルテレビ
のチャンネルをつけます。そこそこ面白いバラエティはありますし、NHK の番組の一部には非常
に良質なものもあります。しかし、大半が見る価値を感じません。しかしだらだらと見てしまう
ことが多い。そこであるときに思い立ち「全録生活」を始めました。そして限られた番組し
か見ないようにしました。今ではニュースでさえ録画をしたものを見ます。21 時の番組開始に
合わせて自分の時間を合わせるのはばかばかしい行為だと考えたからです。例外は一つだけ。ス
ポーツです。これはナマで見なければほとんど意味がありません。問題はお酒を飲んだ時などに
ついついだらだらと見てしまう「無目的型視聴」です。これをやめるために先日八重山諸島の竹
富島
を 3 泊 4 日で旅行をしました。「すかぶら」がその旅館の名前で
す。こちらは一日一組のお客しかとりません。自宅の離れに一部屋があり、そこが客室になって
います。もう一つの大きな特徴はこの客室にはテレビがありません。竹富島に新聞があるかどう
かは知りませんが、およそマスメディアとの接触を断ってみたらどうだろう、と思い立ったわけ
です。最初はかなり戸惑いましたが、すぐに慣れ、読書や会話や散歩の時間になっていきました。
マスメディアに触れなくてもどうってことなく暮らせます。特に GW 中だったこともあり、大き
なニュースもなかったこともありますが、「テレビがいかに時間食い虫であるか」ということを
実感しました。普段の生活に関しては用のないときはテレビをつけないようにしています。長年
の癖でついついリモコンを持ち上げることはありますが、気が付いてその手を下すことが多くな
りました。ま、これが分かっていたからでしょうね。私のオフィスにはテレビがありません。ま
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た緻密なストーリーの本ばかりを読んでおりましたので、テレビの安っぽい演出・脚本に幻滅し
ました。一言で言えばくだらないコンテンツが多いのです。
しかし、しかしです。マスメディアとは手を切ったと申し上げましたが、ネットを完全に排除す
日に数回のメールチェックは
ることはできませんでした。
必ずしていました。GW 中ですから仕事のメールが来ることはほとんどありえません。しかし、
ヤフートップを見てちょこちょこニュースのチェックはしておりましたし。フェースブックには
その日に目にしたモノやコトをアップし続けておりました。そう私はネット依存者にかなり近い
のではないかと思っています。一日のネットへの接触時間はおそらく二時間を超えていると思い
ます。ただし、自分が知りたいと思うものだけに接触をしますしだらだらと見続けるという習慣
はありません。
と、よく考えたら私は自分がネットの虜になっていることに気づき愕然としました。かつて私は
このメルマガで若い人たちの「ケータイ」を彼らの新しい内臓器そのものだ、やや嘲笑的に書き
ました(2007 年 7 月)。今回の旅行で決定的に分かったのですが、私はスマホなしに過ごすこと
は不可能なくらいの依存状況にあります。自分が iPhone を使っていない時には、話をしている
友人がスマホをいじっている姿を見て「失礼な奴だ」
と内心よく思っていませんでした。
しかし、今は暇があるとメールチェックをしたりフェースブックにアクセスをしています。もち
ろん仕事の時にそんなことはしませんが、しかし、そのうちやりかねません。
もう一つ告白をしなくてはいけませんが、私はスマホのゲームに取りつかれています。私の
iPhone6 plus のゲームフォルダには「キャンディクラッシュ」
「ファーマーズヒ
ーロー」「キャンディクラッシュ・ソーダ」の三つが入っており、暇があればそれらを楽しんで
います。言わばテトリスのようなパズルゲームで RPG のような複雑なものではありません。しか
しそのステージは限りなくあり、先にあげたゲームは今のところそれぞれ「250 ステージ」
「350
ステージ」「130 ステージ」に達しています。ゲームのやりすぎに配慮したのでしょうか、各ゲ
ームとも連続してプレイできるのは 5 回程度です。ある程度時間がたってくると再びゲームを再
開することができます。そしてステージが上がるにつれてクリアをするのが難しくなってきます。
一つのステージをクリアするのに 100 回近くかかったこともあります。これらの難関ステージを
クリアするためには有効なアイテムが用意されているのですが、有料です。ここから先は皆さん
の方がお詳しいかもしれませんが、このアイテムを使わなければ無料です。一円もかかりません。
ところがステージクリアは難しくなるばかり。しかし、クリアした時のうれしさは麻薬的です。
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脳内麻薬ドーパミンが大量発生していると思います。非常によく考えられていて、いくつかのス
テージをクリアすると三日間足止めをくらいます。その三日間は友達に助けてもらうか 90 円を
支払わなければ次のステージには行けません。最初のうちは我慢をしていたのですが、
「たった
90 円じゃないか」と支払いをしてしまいました。ここで私は大きな罠
にはまったのです。90 円の支払いは iTunes 上でクレジットカード決済されます。その認証は
iPhone6 では指紋認証です。財布を取り出すまでもなく、クレジット番号を打ち込むのでもなく
親指でホームボタンを押すだけです。一度押してしまうと心理的な城壁が崩れてしまって、その
うちアイテムも購入するようになってしまいました。今のところは月に数千円くらいで済ませて
いますが、子供などの分別が分からない者たちにとっては悪魔のゲームです。ゲームの主催者側
は大量のデータ(ビッグデータ)と行動経済学に基づいた研究成果をふんだんに使っています。
素人が勝てるわけはないのですよ。
私は「RGP」
などのような複雑なゲームはしません。本当に暇つぶしの時間を過ご
しているだけです。まだ軽症でしょうか。しかし報道等にあるように「子供が何十万円も使って
しまう」というような事態が起きているのは確かです。しかし本当に深刻なのはネットの中だけ
に没頭してしまう「依存症」が増えていることではないかと思います。フェースブックや LINE
のような SNS は独自のコミュニケーション手段ですが、かつて流行した「セカンドライフ」よう
なバーチャルタウンや、見知らぬ同士が出会って協力して敵を倒す RPG はより中毒性が高いので
はないかと思います。自室に閉じこもってネットゲームを楽しむ人のことを「ネトゲ廃人」
と呼ぶそうですが、本人の自覚なくのめり込むケースが多いように思います。「依存症のすべて
「やめられない気持ちはどこからくる?」廣中直行著 講談社刊によれば「ネット依存症は現実
社会で疎外感を感じているものがかかりやすい病だ。リアルの場での人付き合いを煩わしく思い
ながらも現代人は「誰かとつながっていたい不安」に苛まれている。ネットを使うことで自分の
居場所ができたような気になり、その安心感から離れられなくなってしまう」と指摘しています。
あまり病理的にならない程度であれば人間は一時的に何かに「はまる」ことはあるのだと思いま
す。しかし何事も按配。過ぎたるは、という言葉がありますがその通りでしょう。ではまた次回。
株式会社アール・リサーチ
代表
mail: [email protected]
柳本信一 Tel 042-300-0533
site: http://r-research.co.jp/
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mobile 090-7428-8999
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