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厚生労働省説明資料
資料3-1 厚生労働省説明資料 食品衛生法に基づく乳幼児がん具の安全性確保について 1.制度の概要 食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止を目的とするものであるが、乳幼児 がん具には、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃが存在すること、及び一定年 齢の乳幼児には、身の周りにあるものを口に入れるという性質があること等の理由から、同法に 基づき、乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣が 指定する玩具(以下「指定おもちゃ」という。 )が規定され(注1)、また、同法(注2)に基づ き、必要な規格及び製造基準が設定されている(注3)。これら規格及び製造基準に適合しない ものは、その販売、製造、輸入等が禁止されている(注4) 。 (注1)食品衛生法(昭和22年法律第233号)第62条、食品衛生法施行規則(昭和23年厚 生省令第23号)第78条 (注2)食品衛生法第62条で準用する同法第18条第1項 (注3)食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号) (注4)食品衛生法第18条第2項 2.施策の概要 がん具の塗装からの鉛の溶出規格については、国際的に通用しているISOの規格の採用可能 性等につき、平成14年度より厚生労働科学研究において検討を行ってきた。一方、本年6月以 降、米国で、おもちゃの塗料の鉛が自主規格に合わないことから自主回収が行われたことを受け て、我が国においても当該がん具の輸入者が同様の措置をとった事例が相次いだ。このことをき っかけに乳幼児がん具の安全性について消費者・生活者の不安が増大したことを受けて、早期に 指定がん具の範囲の拡大、規格基準の改正を行うこととした。 (1)指定おもちゃの範囲の改正 現行の指定おもちゃの範囲では、近年の多様化したがん具を網羅できなくなってきていること から、これまでの材質による指定おもちゃの限定を廃止するとともに、がん具アクセサリー、知 育がん具(口に接触する可能性のないものを除く。)及び組み合わせて遊ぶおもちゃを指定おも ちゃの範囲に含めることとした。 (下線部は追加される指定おもちゃ) 改正案概要 指定おもちゃ 1 現行規制 乳幼児が口に接触することをそ 1 の本質とするおもちゃ 紙、木、竹、ゴム、革、セルロ イド、合成樹脂、金属又は陶製の もので、乳幼児が口に接触するこ とをその本質とするおもちゃ 2 次に掲げるおもちゃ 2 ほおずき 3 うつし絵、折り紙、つみき 4 次に掲げるおもちゃであって、 うつし絵、起き上がり、おめん、 ゴム、合成樹脂又は金属製のもの 折り紙、がらがら、がん具アクセ 起き上がり、おめん、がらがら、 サリー、知育がん具(口に接触す 電話がん具、動物がん具、人形、 る可能性のないものを除く。)、つ 粘土、乗物がん具(ぜんまい式及 1 みき、電話がん具、動物がん具、 び電動式のものを除く。)、風船、 人形、粘土、乗物がん具、風船、 ブロックがん具、ボール、ままご ブロックがん具、ボール、ままご と用具 と用具、以上のおもちゃと組み合 わせて遊ぶおもちゃ (2)おもちゃの規格基準の改正 おもちゃの塗料の規格を強化し、国際的に通用している規格との整合化を図る必要があること から、(1)塗料については、従来、塩化ビニル樹脂塗料のみに鉛の溶出規格が定められていた ものを、全ての塗装に拡大すること、(2)鉛、カドミウム、ヒ素の溶出規格を唾液中に溶出す ることを想定したものから、ISOを採用して胃液中で溶出することを想定したものに改正する こと、(3)乳幼児が飲み込む可能性のある大きさの金属製がん具アクセサリーにつき鉛の溶出 規格をISOに基づき新たに設定すること、(4)ポリ塩化ビニルを主体とする材料及びポリエ チレンを主体とする材料については、これら材料を用いて製造される基材に対象を変更すること とした。 改正案概要 現行規制概要 個別規格 ① うつし絵 ① うつし絵 設定対象 ② 折り紙 ② 折り紙 ③ ゴム製おしゃぶり ③ ゴム製おしゃぶり 改④ 塗装 ④ 塩化ビニル樹脂塗料 改⑤ ポリ塩化ビニルを主体とする材料 ⑤ ポリ塩化ビニルを主体とする材料 を用いて製造された基材 改⑥ ポリエチレンを主体とする材料を ⑥ ポリエチレンを主体とする材料 用いて製造された基材 新⑦ 金属製がん具アクセサリー(乳幼 児が飲み込む可能性のある大き さのものに限る。) 改正案概要 規格 現行規制概要 【溶出試験】 【溶出試験】 Pb:90 mg/kg (改④、新⑦) 重金属:鉛として 1μg/ml 以下 Cd:75 mg/kg (改④) (注)試験溶液 1ml(塗料4mg に相当)中の溶出量の上 As:25 mg/kg (改④) 限。 (注)玩具の塗装及び金属 1kg 当たりからの金属等溶出量 Cd:0.5μg/ml 以下(④、⑤) As:As2O3 として 0.1μg/ml 以下(①、 の上限。 ①、②及び③の規格は変更なし。改⑤、改⑥の規格はそ れぞれ⑤、⑥の規格と同じ。 ②、④、⑤、⑥) 改④の蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量の規格 は塩ビ樹脂塗装以外のものについては設定しない。 参考:③についてはZn の溶出規格及び Pb、Cd の材 質試験あり。 試験溶液の調 改④(粉砕した試料)の Pb、Cd、As は ①、②、④、⑤、⑥の重金属、ヒ素及 2 製 0.07mol/L 塩酸を用い 37℃で振とう 1 時 び④、⑤のカドミウムは 40℃水 30 間、静置1時間 分放置 新⑦の Pb は、0.07mol/L 塩酸を用い 37℃ ③の重金属は 40℃4%酢酸 24 時間 で静置2時間 (注)①、②及び③の溶出条件は変更なし。改⑤及び改⑥ の溶出条件は、それぞれ⑤、⑥の溶出条件と同じ。改 ⑤及び改⑥の試験溶液の調製は②の方法を準用する。 試験法 原子吸光光度法又は誘導結合プラズマ発 重金属試験及びヒ素の溶出試験は比 光強度測定法(改④、新⑦) 色法 (注)①、②及び③は変更なし。改⑤及び改⑥の試験法は それぞれ⑤、⑥の試験法と同じ。 カドミウム及び亜鉛の溶出試験は原 子吸光光度法又は誘導結合プラズ マ発光強度測定法 3.今後の予定 本年10月4日及び17日に開催された薬事・食品衛生審議会の器具・容器包装部会を経て、 現在、パブリックコメント募集及びWTO通報中であり、来年1月開催の食品衛生分科会にて審 議され、来年3月末に告示、6ヶ月の経過措置期間の後適用開始する予定。 3 (参考) 食 品 衛 生 法 (抜 粋 ) (昭 和 二 十 二 年 十 二 月 二 十 四 日 ) (法 律 第 二 百 三 十 三 号 ) 第六十二条 第 六 条 、第 八 条 、第 十 条 、第 十 一 条 第 一 項 及 び第 二 項 、第 十 六 条 から第 二 十 条 まで、第 二 十 五 条 から第 五 十 六 条 まで並 びに第 五 十 八 条 から第 六 十 条 までの規 定 は、乳 幼 児 が接 触 することによりその健 康 を損 なうおそれがあるものとして厚 生 労 働 大 臣 の指 定 するおもちやについて、これを準 用 する。この場 合 において、第 十 条 中 「添 加 物 (天 然 香 料 及 び一 般 に食 品 として飲 食 に供 されている物 であつて添 加 物 として使 用 されるものを除 く。)」とあるのは、「おもちやの添 加 物 として用 いることを目 的 とする化 学 的 合 成 品 (化 学 的 手 段 により元 素 又 は化 合 物 に分 解 反 応 以 外 の化 学 的 反 応 を起 こ させて得 られた物 質 をいう。)」と読 み替 えるものとする。 第十六条 有 毒 な、若 しくは有 害 な物 質 が含 まれ、若 しくは付 着 して人 の健 康 を損 なうおそれ がある器 具 若 しくは容 器 包 装 又 は食 品 若 しくは添 加 物 に接 触 してこれらに有 害 な影 響 を与 えることにより人 の健 康 を損 なうおそれがある器 具 若 しくは容 器 包 装 は、これを 販 売 し、販 売 の用 に供 するために製 造 し、若 しくは輸 入 し、又 は営 業 上 使 用 してはな らない。 第十八条 厚 生 労 働 大 臣 は、公 衆 衛 生 の見 地 から、薬 事 ・食 品 衛 生 審 議 会 の意 見 を聴 いて、 販 売 の用 に供 し、若 しくは営 業 上 使 用 する器 具 若 しくは容 器 包 装 若 しくはこれらの原 材 料 につき規 格 を定 め、又 はこれらの製 造 方 法 につき基 準 を定 めることができる。 ② 前 項 の規 定 により規 格 又 は基 準 が定 められたときは、その規 格 に合 わない器 具 若 しくは容 器 包 装 を販 売 し、販 売 の用 に供 するために製 造 し、若 しくは輸 入 し、若 しく は営 業 上 使 用 し、その規 格 に合 わない原 材 料 を使 用 し、又 はその基 準 に合 わない方 法 により器 具 若 しくは容 器 包 装 を製 造 してはならない。 食 品 衛 生 法 施 行 規 則 (抜 粋 ) (昭 和 二 十 三 年 七 月 十 三 日 ) (厚 生 省 令 第 二 十 三 号 ) 第七十八条 法 第 六 十 二 条 第 一 項 に規 定 するおもちやは、次 のとおりとする。 一 紙 、木 、竹 、ゴム、革 、セルロイド、合 成 樹 脂 、金 属 又 は陶 製 のもので、乳 幼 児 が 口 に接 触 することをその本 質 とするおもちや 二 ほおずき 三 うつし絵 、折 り紙 、つみき 四 次 に掲 げるおもちやであつて、ゴム、合 成 樹 脂 又 は金 属 製 のもの 起 き上 がり、おめん、がらがら、電 話 がん具 、動 物 がん具 、人 形 、粘 土 、乗 物 がん具 (ぜんまい式 及 び電 動 式 のものを除 く。)、風 船 、ブロツクがん具 、ボール、ままごと用 具 4