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岩坪谷第5号砂防堰堤工事における安全対策について

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岩坪谷第5号砂防堰堤工事における安全対策について
6 岩坪谷第5号砂防堰堤工事における安全対策について
宝興建設 (株) 岩坪谷第5号砂防堰堤工事
(工期 : 平成23年7月 6日∼平成24年11月30日)
たにもと ひでゆき
現場代理人
谷 本 秀 之
かやはた まさはる
監理技術者
萱 畑 正 治
1)はじめに
本工事は、活火山 ”焼岳” を背後にひかえる平湯川支流岩坪谷上流部に砂防堰堤を施
工する工事です。
当現場は、中部山岳国立公園内に位置し対象となる流域面積 1.03㎞²、上流域 200mの平
均渓床勾配は 1/2.8と急峻であり、土砂の流化形態は土石流となる。そのため、降雨時や降
雨後の土石流対策が不可欠である。
また、施工するダムサイトの右岸側は、巨石塊が積石状に推移する急勾配斜面であり掘削
により積石状の巨礫が崩壊する恐れがある。左岸側は崩れやすい凝炭灰岩質の地層からな
り、施工中の法面崩壊が危惧されることから上流域からの土石流対策とあわせダムサイト両
岸への法面対策が重要課題と考えられる。
そのなかで、当現場で実施してきた安全対策について紹介します。
岩坪谷第5号堰堤
2)工事概要
砂防土工
掘削工
法面整形工
残土処理工
5,940 m3
3,110 ㎡
1 式
法面工
植生工
法面吹付工
高強度ネット
アンカー工 L=2m
アンカー工 L=3m
落石防止工
250
253
415
2
175
コンクリート堰堤工 コンクリート
一般型枠
残存型枠
㎡
㎡
㎡
本
本
落石雪害防止工落石防止網工
276 m2
構造物撤去工 吹付法面取壊し
310 ㎡
仮設工
工事用道路工
1 式
仮設水路工
仮設鉄筋挿入L=2.0m
仮設鉄筋挿入L=2.5m
仮設鉄筋挿入L=3.0m
仮設鉄筋挿入L=3.5m
仮設モルタル吹付
1 式
復旧工
1,107 m3
1 式
160 m2
1 式
1
268
223
360
182
2,765
式
m
m
m
m
㎡
平面図 ☛
施工範囲
堰堤工構造一般図(1)
S=1:100
L w1( 溶 岩 : ブ ロ ッ ク 状 硬 質 岩 )
正 面 図
NO .4+ 7.1 ( 下 流側 地 盤 線 )
NO .4 +10 .00 0
G H= 15 78. 21
3000
植 生 マ ッ ト ・ 高強 度 ネ ッ ト
※ 上 段 ( 1段 目 )
30
00
1:0.
6
モ ル タ ル 吹 付 ( t= 5c m、 繊 維 フ ァ イ バ ー )
高強 度 ネ ット
※ 上 段 ( 2段 目 )
30
00
48500
8000
13000
1600
1600
30
00
8500
8000
3400
施工目地
施工目地
施工目地
9400
8000
本設 鉄 筋 挿 入工
※ 上 段 (1 ・ 2段 目 )
30
1:
0.6
12000
施工目地
7000
間 詰 コ ンク リ ー ト
( 袖 端部 処 理 )
L w2( 溶 岩 お よ び 凝 灰 角 礫 岩 )
20 00
1477
15 9 4.10
1/4
1/4.0
0
3000
5000
岩盤 表 層 部 ゆ る み域
1:0.
6
1:0.
0 .5
現況地盤線
30
00
20
00
1:
H. W. L
2100
5
3200
1:0.
1100
5200
5
159 3.1 0
2000
15 8 9.40
30
00
地質境界線
5000
1:
0.
6
1:0.
5
6000
富 配 合 コン ク リ ー ト t= 20 0
崩積 土
仮設 鉄 筋 挿 入工
中 段 (3段 目 )
グ ラ ノ リシ ッ ク コ ン ク リ ー ト t= 2 00
.0
1:1
13700
200
間 詰 コ ン ク リー ト
500
158 8. 90 0
3 00
1 58 8. 900
5200
2000
1000
1:0.3
CL
3657
00
3000
159 4.1 0
30
00
20
00
間詰コンクリート
仮 設 モ ルタ ル 吹 付 ( ラ ス 有 り )
t =5 cm
20
00
0
00
φ1
15 8 4.40
仮 設 鉄筋 挿 入 工
1:0.
( 埋 戻) ソ イ ル セメ ン ト
目 標 強 度 0.5 mm 2以 上
20
00
E P( 礫 混 り 凝 灰 質 砂 )
20 00
15 7 9.40
仮 設鉄 筋 挿 入 工
下 段 ( 5段 目 )
00
2950
30
1:
1:0.
5
0.
6
3000
5000
4700
2000
157 6.4 0
8
0.
1:
1:0.3
3000
3000
20
00
100 0
20
00
15 7 4.40
仮設鉄筋挿入工
下 段( 6段 目)
護 床 ブ ロッ ク
側壁護岸工
Lw2( 溶 岩 お よ び 凝 灰 角 礫 岩 )
2400
DL=1570.00
90 1410
13700
10001500
1900
2800
13600
16400
4700
15 79 .4 0
157 4.4 0
30
00
5000
6
5
1:0.
00
φ10
中 段 ( 4段 目 )
5000
上 流 堤体 形 状
φ1
00
0
3500
14500
ヒ ュー ム管
00
2820
180
3000
1400
3000
1500
3000
1180
2820
14500
30
5000
構造図 ☛
3)掘削作業中における法面の一部崩壊と安全対策について
(1)砂防土工
切取法面の地山形状が、火山灰で覆われた砂礫土であり、1サイクルの作業高さをH=5.0mで掘削を行い
上部での掘削地山は安定していたが、3段目の掘削中に表層が礫質土に変化し、H=5.0mの掘削を終えた
後、表面の一部が崩壊しました。
3段目崩壊 ☛
2段目崩壊 ☛
(H24.06.21)
(H24.06.25)
2段目崩壊 ☛
2段目崩壊 ☛
(H24.07.06)
(H24.07.13)
左岸掘削法面崩落時系列図
S=FREE
①H24.06.11崩落箇所
⑤H24.07.13崩落箇所
②H24.06.21崩 落箇所
1
③ H24.06.25崩落箇所
5
6
4
7
8
10
9
④H24.07.06崩落箇所
11
仮設法面
永久法面
20
12
13
21
14
22
23
15
16
18
17
25
19
26
27
28
(2)法面工(モルタル吹付・アンカー工)
2段目の法面保護を植生マットに施工していましたが、崩壊の後モルタル吹付に変更し、鉄筋挿入も
予定配置 縦=4.0m×横=2.0mの千鳥配置を 縦=1.5m×横=1.5mの千鳥配置に増設した。
Z-22
32
No.8
2000
Z-21
Z-33
Z-34
4000
4000
M-29
M-15
No.20
Z-36
No.28
M-14
M-42
No.19
M-57
M-41
No.29
No.32
縦=4.0m×横=2.0mの千鳥配置
縦=1.5m×横=1.5mの千鳥配置
M-5
M-30
M-43
2000
Z-35
N0.5
M-4
M-16
No.31
Z-19
No.9
No.4
No.17
Z-20
M-58
(3)仮設工(仮設モルタル吹付・仮設鉄筋挿入)
2、3段目の施工を踏まえて、4∼6段の施工方法(掘削高さ)を変更し、1回の掘削高さを半分以下とする
逆巻き方法を段階的に行い、モルタル吹付(t=5cm)実施後、鉄筋挿入(当初予定間隔3.0m)を1.5m配置に
変更し、作業を進めました。
H=2.5m
H=2.5m
4段目
H=2.5m
H=5.0m
H=2.5
4段目
(4)掘削作業中の安全対策
今後の掘削作業上の留意点として、崩落箇所の二次災害防止対策が必要となり、施工法面上部に
地盤伸縮計(L=5.0m程度×3測線)を設置し、作業前及び作業中監視員を配置し法面の二次災害
防止に努めています。
地盤伸縮計
ワイヤーセンサー
地盤伸縮計
ワイヤーセンサー
地盤伸縮計
2 ∼ 3段 目 施 工 時 監 視 位 置
ワイヤーセンサー
④ H 2 4 . 0 7 . 0 6 崩 落箇 所
①H 2 4 . 0 6 . 1 1 崩落 箇所
2∼3段目全ての作業時配置
上段(1段目)
③ H 2 4 . 0 6 . 2 5 崩 落箇 所
⑤H 2 4 . 0 7 . 1 2 崩落箇 所
上段(2段目 )
②H 2 4 . 0 6 . 2 1 崩 落箇 所
中 段 ( 3段 目 )
掘削、モルタル 吹付 作業時に配置
中段(4段 目)
掘削、モ ルタ ル吹付作 業時に 配置
下段(5段目)
掘 削、モ ルタ ル吹 付作業時に配置
下段(6段目)
法面監視員
3)土石流に対する安全対策について
(1)上流域への登山
現場着手に先立ち、現場上流域の状況把握と土石流への安全意識向上のため作業員数名と
簡易的な登山を行った。同行した作業員からは「こりゃ∼アブねー」、「やっぱ雨降ったら逃げな
らんな―」などと、危険性を実感できたようであった。
(現場より1000m上流)
(現場より2000m上流)
不安定な巨石
不安定な巨石群
洗堀された堆積土
(2)土石流センサー
土石流センサーの設置には避難時間と上流域の状況を考慮し現場より600m上流に設置し、
電線の切断等による不具合を防ぐため無線による伝達方法を採用した。
回転灯とサイレンは現場より見通しのよい左岸法面上部に設置し土石流の発生に備えた。
(600m上流 ワイヤー式土石流センサー)
(600m上流 無線送信器)
無線送信器
土石流センサー
回転灯及びサイレン
現場内左岸法面☛
☚現場内避難通路
右岸側
間伐材を利用し
た避難通路
上流
(3)法面対策
ダムサイト両岸は、巨石塊が積石状に推移する急勾配斜面や崩れやすい凝炭灰岩質の地層か
からなり施工中の法面崩壊が危惧された。そのため、工事に先立ち「3次元(3Dスキャナー)測量」
を実施し、複雑な地形を3次元で表し危険箇所やポイントとなる所を作業員に周知すると共に適宜
モニタリングを行うことで変位が現れた場合の調査や対策の立案等に活用できるようにした。
左岸側
3次元(3D)測量による点群データー☛
現場状況写真
左岸側
右岸側
下流 第4号砂防堰堤
下流
3次元(3D)測量による点群と
モデルデーターの合成☛
下流
左岸側
右岸側
3次元測量実施中
右岸側
下流
HDS3000
(レーザースキャナー)
4)おわりに
今回紹介した安全対策は着手時に自分達で「見て・感じた」事を話し合い実施したものであり、
その積み重ねが「無事故・無災害」へ繋がるものであると考えている。
これから本格的に工事が進むなか、作業員一丸となって日々の安全意識の高揚を図りながら
危険に対する安全対策を実施し、無事故・無災害で工事が完了できるようがんばります。
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