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「ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会」最終報告書

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「ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会」最終報告書
ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会
最終報告書のポイント
◆ベンチャー企業は、日本経済全体のイノベーションの重要な源泉の一つ。
◆革新的な技術や独創的なビジネスモデルを生み出し、新産業の創出や経済の活性化、雇用の拡大
に大きく寄与。
◆ベンチャー創業は、起業家自身の夢の達成、志の実行、社会への貢献にもつながる。
日本のベンチャー企業 ∼6つの課題と対応策∼
課題1.起業スキルの不足
対応策1
日本人で起業スキルのあると考えている人は15.2%。
42ヶ国中、ロシアに次ぎ下から2番目。
(1)大学・大学院での起業家教育の拡充
①大学・大学院における起業家教育科目の受講機会がMBA,MOTに限
られている現状を変え、学部学生、社会人等、幅広い学生が受講
できる環境を整備する。
18-64歳人口に占める起業スキルがあると考えている人の割合
60%
48.3%
50%
②講師としてベンチャー創業経験者等の実務家を積極的に採用し、
ベンチャー創業に役立つ実践的な教育内容を充実する。
48.7%
(2006年)
38.9%
40%
(2002年)
31.1%
(2002年)
31.4%
39.0%
③起業家教育の質を高めるため、全国の関係者による情報交換・
ティーチングスキルの共有等を行う仕組みを充実する。
33.5%
32.2%
30%
(2)ベンチャー創業にフォーカスした起業支援の充実
20%
15.2%
一般的な新規開業とベンチャー企業創業とでは、必要とする知
識やスキル、マネジメント能力が異なる。ベンチャー企業創業に
フォーカスした起業支援策を充実する。
8.7%
10%
0%
ロシア
日本
台湾
韓国
香港
フランス
中国
ドイツ
アメリカ
イギリス
資料:Global Entrepreneurship Monitor 2007(GEM)
課題2.グローバル級ベンチャー企業の不在
対応策2
大企業もベンチャー企業も、世界第二位の経済力と1億
2千万人の市場に安住。日本のベンチャー企業で海外展
開している企業は1/3。
(1)ベンチャー企業の意識改革
グローバル・ニッチ市場の拡大や、情報通信の発達による海
外展開コストの低減という環境変化を踏まえ、ベンチャー企業
は海外展開に積極的に取り組むべき。
日本のベンチャー企業の海外への展開状況
n=448
(2)ベンチャー企業海外展開への国の積極支援
33.5%
0%
20%
31.0%
40%
4.9%
30.6%
60%
80%
JETRO、中小機構等の施策を活用して、ベンチャー企業の海
外展開に対する支援を一層強化する。
(3)外国人人材の活用
100%
人材面でも、高い能力と起業家精神を有する外国人人材を積
極的に活用すべき。外国人労働者や外国人留学生に係る政策検
討の際にも、ベンチャー企業への影響も考慮するべき。
展開している
展開していないが、将来的に考えている
展開していないが、過去に展開したことがある
展開していないし、将来的にも考えていない・わからない
資料:経済産業省「平成19年度ベンチャー企業の創出・成長に関する調査」
(2007年12月)
対応策3
課題3.起業家を育てる文化の欠如
(1)エンジェル税制の抜本強化と利用促進
起業家の「ヒヨコ」を育てるエンジェル投資家がいない。
数十億円
数億円
エクイティ調達額
平成20年度税制改正で1,000万円上限の投資額所得控除方
式を導入予定。積極的な広報等により、エンジェル税制の
利用拡大を図る。
ベンチャー企業の成長段階別の資金調達
株式公開
数千万円
ベンチャーキャピタル
(2)エンジェルネットワークの組織化・活性化
外部資本
数百万円
エンジェル投資活動の拡大を図るため、米国等先進国のエ
ンジェルネットワーク運営手法を導入するとともに、エン
ジェルネットワークの組織化・活性化を促進する。
自己資本
ビジネス・エンジェル
創業者一族
知人等
ベンチャー企業の成長ステージ
VC投資社数(のべ):
VC投資社数(のべ):
約2,500社
約2,500社
(2006年)
(2006年)
上場へ
拡大期
アーリー期
創業 ・
シード期
開業数:
開業数:
約16万社
約16万社
(2001∼
(2001∼
2004年の平均)
2004年の平均)
(3)エンジェル投資家ファンドの造成
新興株式市場(※)
新興株式市場(※)
新規公開社数:
新規公開社数:
155社
155社
(2006年)
(2006年)
ベンチャーキャピタルの仕組みを活用したエンジェル投資活
動を活性化するため、中小機構のファンド出資事業等を活用し、
エンジェル投資家ファンドを造成する。
※新興株式市場とは東証マザーズ、ヘラクレス、J
ASDAQ、セントレックス、アンビシャス、Q−Board
1
課題4.資金力に乏しいベンチャーキャピタル
対応策4
日本のベンチャーキャピタル業界の投資規模は、欧米の
5分の1以下。投資先一件あたりの投資額も小さく、世界級
ベンチャーの不在や小型上場の原因にもなっている。
(1)年金基金からの出資の拡大
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の管理運用
方針を変更し、未公開株式投資(ベンチャーキャピタル投資を
含む)を解禁するべき。
日米欧のVC投資額と出資者構成
米国
欧州
日本
事業法人
2%
個人
10 %
そ の他(他の
V C、海外 等)
22 %
年金基 金
26%
大学基金・ 財
団
21%
1.3
米国
兆円
2003年末
政府系 機関
8%
年金基金
42%
2006年末
16.3
欧州
兆円
個人
9%
$10.96
Billion
金融機関・ 保
険
25%
資料:NVCA Yearbook 2004
GP
18%
金融 機関・ 保
険
24%
2,305億円
個人
4%
事業 法人
19%
資料:EVCA Yearbook 2007
一件あたり投資額
=10.4億円
機関投資家からの出資拡大のため、ベンチャーキャピタルの
投資収益率の実績や投資状況に関するデータベースを構築する。
金 融機 関( 銀
行 ・ 証券)
31%
( 金 額ベー ス)
€112.3
Billion
フ ァン
ァ ン ド オブ
オブ
ァン ズ
フ ァン
1 7%
2,305
日本
億円
2005年度末
(金額ベース)
( 金額ベー ス)
(2)ベンチャーキャピタル投資の情報提供
年金 基金
5%
そ の他
16%
基金・ 財 団
1%
資料:(財)ベンチャーエンタープライズセ
ンター「平成18年度ベンチャーキャピ
タル等投資動向調査」(2006年12月)
一件あたり投資額
=4.5億円
一件あたり投資額
=8,300万円
対応策5
課題5.機関投資家不在の新興株式市場
(1)プロ向け市場の整備
機関投資家不在の新興株式市場は、流動性が低く株価
も不安定。
新興株式市場で、合理的な価格形成に基づく適正な規
模の取引が行われないと、新興株式市場を「出口」とする
ベンチャーキャピタルも、ベンチャー投資ができなくなる。
主体別売買シェア比較(金額ベース:2007年)
東証1部
7.9
2.6
2.1
0.4
0.7
27.6
58.7
100.0
金融機関
投資信託
事業法人
その他法人
証券会社
個人
外国人
合計
東証2部
3.7
2.3
3.4
0.9
4.0
64.0
21.7
100.0
マザーズ
1.4
0.7
2.2
0.2
4.4
76.3
14.8
100.0
JASDAQ
3.1
1.9
2.2
0.5
0.8
79.0
12.6
100.0
①プロ向け市場のための金融商品取引法の改正が国会で審議中。
②東証は2008年中にロンドン証券取引所とともにプロ向け市場の
創設を計画中。
(2)アナリスト紹介制度、ベンチマーク指標等の整備
単位:%
ヘラクレス
1.3
0.8
1.7
0.2
4.9
78.6
12.6
100.0
①機関投資家が投資決定をするためのアナリストレポートのカ
バー銘柄の拡大を図るべき。
②機関投資家が運用会社の成績を評価するための新興株式市場
用ベンチマークを整備するべき。
(3)機関投資家への情報提供
新興株式市場に上場するベンチャー企業は、機関投資家など
株主との対話や情報開示を十分行っていくべき。
資料:各証券取引所HPより
注:シェアは委託取引の買い代金のみで算出。
対応策6
課題6.IPO至上主義からの脱却
(1)コーポレートベンチャリングの推進
日本ではベンチャー企業はIPOを目指すものという常識
がある。ベンチャーキャピタルもIPOを前提に投資。
このため、新興株式市場のIPOが困難になると、未上場
ベンチャー企業の資金調達も困難になる。
大企業を中心とする既存企業も、ベンチャー企業を活用した
戦略的新事業・新技術開発(コーポレートベンチャリング)に
積極的に取り組むことにより、ベンチャー企業の育成に寄与す
るとともに、自社の技術開発の選択と集中を図り、既存企業の
人材流動化を促進すべき。
ベンチャーキャピタルファンドによる投資回収手段(「出口」)の状況
損益
(百万円)
全体に占める
割合
※社数
(2)ベンチャーキャピタル・ベンチャー企業間の投資契約の
改善
一社当たり損益(百万円)
株式公開
61,688
345
(
44.9%
)
178.8
倒産・解散・償却
-4,411
179
(
23.3%
)
-24.6
会社経営者等への売戻し
-1,004
101
(
13.2%
)
-9.9
0
3
(
0.4%
)
0.0
1,173
125
(
16.3%
)
9.4
83
15
(
2.0%
)
5.5
セカンダリーファンド等への売却
その他第三者への売却
その他
我が国の投資契約では、一定期間内にIPOできない場合に
創業者がベンチャーキャピタルからベンチャー企業株式を一定
額以上で買い戻すことを約する買戻条項がある。他企業への売
却価格が買戻条項に定める価格よりは低額となることが一般的
であるため、他企業への売却が行なわれにくくなっていること
から、買戻条項の内容を変更するべき。
注:社数には、重複計上がある。
資料:(財)ベンチャーエンタープライズセンター「ベンチャーキャピタル等投資動向
調査」(2007年12月)
2006年
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
年間合計
株式公開
社数
平均金額
10
54.1
19
105.8
8
116.8
20
81.6
57
89.8
M&A
社数
平均金額
105
111.2
104
100.9
93
92.7
61
154.7
363
110.6
(金額単位:百万ドル)
2007年
株式公開
M&A
社数
平均金額
社数
平均金額
18
121.7
82
156.6
25
165.9
82
114.0
12
78.8
95
206.0
31
98.2
46
290.2
86
120.1
305
186.7
注:M&Aでは売買額を非公開としている案件も多く、平均金額は売買額公開案
件の総額を社数で除した数値。
資料:NVCA,THOMSON Venture Economics
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