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全文PDF - 感染症学雑誌 ONLINE JOURNAL
227
総
説
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)の疫学
1)
北里大学北里生命科学研究所,2)グラクソ・スミスクライン株式会社開発本部疫学部,
3)
慶應義塾大学医学部感染制御センター
砂川
慶介1)
竹内百合子2)
岩田
敏3)
(平成 23 年 3 月 24 日受付)
(平成 23 年 3 月 31 日受理)
Key words : nontypeable Haemophilus influenzae, child, drug resistance, vaccine
要
旨
小児の敗血症・細菌性髄膜炎の多くはインフルエンザ菌 b 型(Hib)
株により引き起こされ,無莢膜型(Nontypeable Haemophilus influenzae:NTHi)のインフルエンザ菌は,肺炎,急性中耳炎などの小児の局所性感
染症において重要な原因菌であると考えられてきたが,広範な疫学データを総括すると,NTHi が全身感染
症をも引き起こす可能性のあることが明らかになってきた.小児感染症では,薬剤耐性インフルエンザ菌の
増加,Hib ワクチンや肺炎球菌ワクチン導入後の NTHi の顕在化の可能性があることを考えると,NTHi に
対する適切な治療・予防法を導入する必要性が強く感じられる.一方で,新たな抗菌薬やワクチンを導入す
るということは,人類に恩恵をもたらすと同時に,自然界の微生物のバランスを変えることでもあるため,
継続的な疫学データを収集し,その結果を検証する体制を整備することは不可欠である.本総説では,NTHi
が関与する疾患の病態疫学と,肺炎球菌ワクチンや Hib ワクチンの導入が原因菌の推移に与える影響を 1990
年代以降のエビデンスを基に概括し,小児期の細菌感染症を治療・予防する上で NTHi の感染予防が重要
なテーマであることを総括する.
〔感染症誌
85:227∼237,2011〕
割合が増えることが報告されている3).また,千葉県
下気道感染症と NTHi
下気道感染症として,肺炎は小児において疾病負担
における小児科受診者のうち 6,520 例の気管支肺感染
の極めて大きな病気である.わが国における小児の死
症例の洗浄喀痰による病原体疫学調査においても,約
因としての肺炎は 1∼4 歳で第 4 位で,様々な抗菌薬
30% が細菌性であることが報告されている4).原因細
が利用できる現在の医療現場においても依然深刻な疾
菌の検出頻度に関してはインフルエンザ菌>肺炎球
1)
患である .最近千葉県で行われたレトロスペクティ
菌>モラクセラ・カタラーリスの順に多く,その傾向
ブ研究でも,日本の 5 歳未満の小児市中肺炎の罹患率
は 2001 年度から変わっておらず,従って,インフル
(1,000 人あたり 19.7 人)が他の先進国の発症率より
エンザ菌は下気道感染症症例全体の 14∼16%,細菌
2)
も高いことが示唆されている .この報告は,小児市
性肺炎のうち 44%∼72% を占めていると考えられ4)5),
中肺炎の罹患率に関して不明な点が多い中,数少ない
原因菌の中でもインフルエンザ菌の治療・予防が極め
肺炎の罹患率調査のひとつとして重要である.諸外国
て重要であることを強く示唆している.
の成績と比較する上では,荻田らが考察しているよう
インフルエンザ菌は,小児細菌感染症(髄膜炎,下
に医療制度の違いに伴う病院へのアクセス制限や画像
気道感染症,中耳炎,副鼻腔炎など)の原因菌として
診断基準の違いを考慮する必要があるが,病気の予防
大きな割合を占めるグラム陰性桿菌である.インフル
という観点からは重要な基本情報である.
エンザ菌は,6 種の有莢膜型(a∼f までの型に分類)
小児市中肺炎のうち,0∼1 歳では細菌性が 4 割を
と無莢膜型(Nontypeable Haemophilus influenzae:
占め,ウイルス性はその半分程度である.年齢が学童
NTHi)に分類される.中でも,NTHi は国内外を問
期に移行するにつれて肺炎マイコプラズマ性の占める
わず下気道感染症の重要な原因菌であると言われ6)∼8)
別刷請求先:(〒108―8641)東京都港区白金 5―9―1
北里大学北里生命科学研究所
砂川
平成23年 5 月20日
原因菌に占める正確な割合については研究によりばら
慶介
つきがみられるが9),多くの地域で NTHi は肺炎の主
228
砂川 慶介 他
Table 1 NTHi role in pneumonia blood culture and bronchoalveolar lavage (BAL) sampling
Proportion of H. influenzae subtype : culture-positive N (%)
Total (100%)
Type b (%)
Type
a/c/d/e/f (%)
NTHi (%)
Children positive for
NTHi/All children
with pneumonia (%)
161
22
36 (22)
5 (23)
16 (10)
3 (14)
109 ( 68)
14 ( 64)
-
UK, Ireland
Philippines
50
40
6 (12)
23 (58)
23 (46)
3 ( 8)
21 ( 42)
14 ( 35)
-
14)
Papua New Guinea
92
57 (62)
14 (15)
21 ( 23)
21/1,024 ( 2)
15)
Pakistan
81
6 ( 7)
13 (16)
62 ( 77)
62/ 595 (10)
16)
Pakistan
143
97 (68)
0 ( 0)
46 ( 32)
46/1,492 ( 3)
17)
Finland
22
0 ( 0)
0 ( 0)
22 (100)
22/ 254 ( 9)
Belgium
164*
1 (0.6)
148 (90.2)
148/ 384 (39)
Blood culture
10)
11)
12)
13)
Europe (13 countries)
Germany
BAL
6)
*
2 (1.2) *
Total does not equal 100% because only type e result is presented in this study.
6)
10)
∼17)
要な原因菌となっている(Table 1)
.我が国の
因菌全国調査では,肺炎球菌とインフルエンザ菌が最
小児における割合は,インフルエンザ菌の 95.7%(一
多検出原因菌と報告されているが,調査年度毎に傾向
18)
19)
部成人検体と耳鼻科系疾患の検体含む) ,96.7%
は異なっていた25).通常このような検体は集めにくく
20)
89.7%(一部成人検体と耳鼻科系疾患の検体含む)
,
症例数も限られることから,下気道感染症の原因菌の
81.8%21),99.1%22)と,いずれの報告でも極めて高い割
中に占める NTHi の割合が,本邦でも正確に把握さ
合を示している(Table 2)
.NTHi は肺炎球菌と同時
れていない可能性がある.正確に下気道感染症の原因
に気道から検出されることも多いことから,NTHi 自
菌を調査するためには,上気道の常在菌により検体が
身単独では小児肺炎の原因菌に為りえないのではない
汚染されることを避ける必要があり,わが国では実際
か,NTHi は肺炎球菌性の肺炎を増悪させる役割であ
的な原因菌診断の方法として洗浄喀痰培養法を Geck-
るのではないか,との指摘も見られるが,本邦の小児
ler の喀痰分類と組み合わせた方法26)27)が同ガイドライ
呼吸器感染症診療ガイドラインでも,インフルエンザ
ンでも推奨されている.欧米では,小児から喀痰を採
菌を 4 カ月∼4 歳の肺炎の主な原因細菌として紹介し
取することは技術的に難しいと考えられており23),試
ていることから,下気道感染症をコントロールする上
みに washed sputum をキーワードに論文検索を実行
で NTHi の治療・予防が成否を握っていると考えら
しても,日本の小児科医のものが多く得られる一方海
23)
れる.このガイドラインが引用している原著 でも,
外での報告は少ない.従って,今後原因菌に関して論
インフルエンザ菌のうち NTHi を主な原因菌である
述する上でどのような検体採取手法を用いたかについ
としており,国内外問わず NTHi への対策が小児下
ては十分に注意を払う必要があるが,小児市中肺炎を
気道感染症の疾病負担を軽減するためには不可欠であ
はじめ,小児下気道感染症をコントロールする上では,
る点は,さらに強調されるべきである.
肺炎球菌と共にインフルエンザ菌,中でも NTHi の
一方,先に述べた千葉県におけるレトロスペクティ
ブ研究2)および他の報告5)では,肺炎症例のうち血液培
養陽性となる割合が極めて低いことが指摘されてい
感染防御・治療が重要であることには変わりないと考
えられる.
またインフルエンザ菌として検出されているものの
る.中村らの報告では,市中肺炎 290 例中 4 例(1.4%)
中に,系統発生的観点から近い28)位置にあるヘモフィ
のみで血液培養肺炎球菌陽性であり,荻田らの報告で
ルス・ヘモリティカス H. haemolyticus,特に非溶血性
も,血液培養陽性例で検出された肺炎球菌性肺炎の発
H. haemolyticus が,一定量含まれているという指摘が
症率は,100,000 人あたり 9.2 人でしかなく,インフ
ある29).この問題提起に対しては,その後両者の識別
ルエンザ菌性肺炎の発症率は述べられていないことか
方法が提案され検証されているので30),今後の病原体
ら,原因菌診断を血液培養に頼ることには限界がある
疫学研究ではこの分類にも十分に留意した上でより精
と考えられる.このような背景も考慮して,欧米では
密な成果が得られるものと期待される.
肺炎の原因菌を確定するためには,病巣分離菌の解析
24)
また NTHi は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪
31)
が必要であるとされているが ,わが国では患児への
や ,インフルエンザ罹患時の混合感染による肺炎合
負担がかかることもありその実施頻度は高くない.上
併症の重症化に関与することが知られている.COPD
原らが行った血液・胸水・肺組織由来検体を用いた原
は小児ではほとんど見られずここでは論じないが,イ
感染症学雑誌 第85巻 第 3 号
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)の疫学
229
Table 2 NTHi proportion among H. influenzae in pediatric respiratory infection in Japan.
Disease
NTHi among H. influenzae (%)
acute otitis media39)
96.9
82.4 (slide agglutination test)
acute otitis media40)
Number of
strains
Isolate source
191
25
middle ear fluid
nasopharyngeal
nasopharyngeal
72.2 (PCR)
acute otitis media41)
87.1*
178
acute otitis media42)
38.1*
42
upper respiratory tract infection (URTI)-acute otitis media, acute tonsillitis, acute sinusitis, etc.43)
76.2
281
acute otitis media, pneumonia, acute bronchitis, acute
URTI, etc., partially including adult specimens20)
89.7
1,408
influenza, URTI other than influenza32)
83.9 (flu+)
52
middle ear effusions
Not described
epipharynx 58.9%, ear discharge 13.3%, tympanotomy
exudate 8.9%, throat 8.2%
nasopharyngeal
95.2 (flu-URTI) **
RTI, −35% of isolates from adults18)
95.7
pneumonia, acute bronchitis, acute bronchiolitis19)
acute RTI-pneumonia, acute bronchitis etc., 36.6%, subacute/subchronic RTI-recurrent bronchitis, etc., 14.1%,
chronic RTI-chronic bronchitis, chronic bronchiectasis,
cystic fibrosis, diffuse bronchiolitis etc., 25.1%, asthma
24.3%21) ***
lower RTI22)
96.7
122
81.8
1,804
*
**
***
440
99.1 (acute bronchitis/pneumonia/chronic bronchitis)
100.0 (pneumonia)
100.0 (acute bronchitis)
138
bronchial lavage fluid, rhinorrhea, pharyngeal fluid, sputum
sputum
washed sputum 88.2%,nasopharyngeal 10.0%
sputum
19
61
Proportion of NTHi among all bacteria detected, but not among H. influenzae.
URTI with negative influenza.
Proportions indicate the % of disease which isolates were derived from.
ンフルエンザ患児の鼻咽腔サンプルから検出されたイ
から検出された肺炎球菌を含む全菌種のうち,87.1%41)
ンフルエンザ菌のうち 83.9% が NTHi であり,その
及び 38.1%42)が NTHi であった.また,急性中耳炎を
割合は同時期に採取された上気道感染症児では 95.2%
含む上気道感染症患児から抽出されたインフルエンザ
にのぼり,共にその 3 割弱がアンピシリン耐性であっ
菌ではそのうち NTHi が 76.2%43),89.7%(大人の検
32)
たとの報告がある .このように NTHi はインフルエ
20)
のように,インフルエンザ菌の中で
体を一部含む)
ンザの罹患初期においてすでに存在している.
も NTHi が大部分を占めると考えられている(Table
嚢胞性線維症(Cystic fibrosis)は白人乳児 2,500∼
2)
.小児中耳炎は,再発を繰り返すなど難治性の症例
3,500 人に 1 人の割合でみられる遺伝性疾患であるが,
が増加していることが知られているが,主要原因菌で
わが国では欧米に比し頻度はごく少ないものの診断
ある NTHi と肺炎球菌が難治にどのような役割を果
の進歩や認識の広まりにより,近年報告が増えつつあ
たしているのか,考えられているいくつかの要因につ
33)
34)
る
.乳幼児期に気道細胞が NTHi へ感染すること
いては次章「薬剤耐性」で考察した.原因菌の違いに
により気道の炎症を引き起こし,のちの緑膿菌やブド
基づき小児の中耳炎を比較すると,NTHi による中耳
ウ球菌感染の誘発因子になると考えられており35),気
炎では肺炎球菌性のものに比べ,発熱の程度や耳漏・
道上皮細胞における NTHi が関与するバイオフィル
鼓膜の所見が軽症であったり44),鼓膜所見(鼓膜の膨
ム形成(後半で詳述)がこれらの病態と関連のあるこ
隆)が少ない45)といった報告があるものの,肺炎球菌
36)
性中耳炎がより重篤であると結論することは難しく46)
とが示唆されている .
上気道感染症・局所感染症と NTHi
臨床症状および疾病の進行状況から分離菌を予測して
インフルエンザ菌は小児中耳炎の原因菌のおよそ
治療対策を立てることは困難とされている.逆に,イ
20∼40% を占めていると報告されているように37)38),
ンフルエンザ菌による中耳炎の特徴として,1)その
下気道感染症と同様に中耳炎・副鼻腔炎等の耳鼻咽喉
反復頻度が肺炎球菌やモラクセラ・カタラーリスを上
科系疾患においても,インフルエンザ菌は主要な原因
回ること47),2)治療困難例では NTHi が最も多く存
菌である.具体的には,急性中耳炎患児から検出され
在したこと48),3)両耳罹患例においては NTHi がよ
た イ ン フ ル エ ン ザ 菌 の う ち NTHi の 占 め る 割 合 は
り多く検出されること49),4)インフルエンザ菌によ
39)
40)
96.9% ,82.4%(スライド凝集法による測定) ,72.2%
40)
(PCR による測定) であった.また,急性中耳炎患児
平成23年 5 月20日
る中耳炎では結膜炎との合併が多く(OR=4.83)見
られる50)などの所見が国外では報告されている.
230
砂川 慶介 他
従って,中耳炎の予防という観点からは,肺炎球菌
両検体から同一の細菌株が検出された59).わが国にお
同様にインフルエンザ菌,特に NTHi による感染を
いてはこのような大規模な疫学調査はないが,細菌性
防ぐことが重要であると考えられる.
結膜炎と中耳炎の合併率が約 75% と高いことが経験
わが国では中耳炎が伝染する病気であるという認識
的に示唆されている53).
はそれほど強くないが,環境リスクファクターの変動
以上述べたように,中耳炎のみならず中耳炎と合併
(例えば,集団保育開始時期の低年齢化など)がその
しやすい細菌性感染症では,特に小児・乳児では分離
発症に一定の影響を与える可能性が指摘されてい
菌の中でインフルエンザ菌,中でも NTHi の占める
51)
る .実際,オーストラリア先住民において 18 世紀,
割合が高いことから,NTHi の感染予防を行うことが,
19 世紀まで中耳炎はほとんど認められなかったが,植
疾病負担の軽減のみならず医療費全般の抑制にもつな
民地化後,ライフスタイルの変化などの要因から急速
がると考えられる.
52)
に増加したということが報告されている .このよう
薬剤耐性
な背景を考慮すると,低年齢小児を対象とした集団防
全国 20 施設において実施された小児呼吸器感染症
御措置(ワクチン接種や罹患児童に対する対処の啓蒙
例を対象とした調査結果から,1998 年から 2000 年に
活動)を考える必要があると考えている.
かけて生方らが実施した調査に比べて,2002 年から
小児の中耳炎は,ほかの炎症性疾患(副鼻腔炎,結
2003 年 の 調 査 結 果 で は BLNAR(β―ラ ク タ マ ー ゼ
膜炎)と合併する形で認められるケースも多い.小児
非産生アンピシリン耐性株 β-lactamase negative am-
の副鼻腔炎のうち中耳炎の合併頻度は臨床医の間で
picillin resistant)が 3 倍(35%)に 急 増 し て い る こ
53)
は約 30% と考えられている .急性副鼻腔炎研究会
とが報告されている60).また世界各国で行われた PRO-
(ARhiS)のサーベイランスでは,小児の副鼻腔炎に
TEKT(Prospective Resistant Organism Tracking
おいて,ウイルスと細菌がとも に 検 出 さ れ た の は
and Epidemiology for the Ketolide Telithromycin)
12.2%,細菌のみが検出されたのは 85.4% であったこ
サーベイランスでは,わが国の小児の市中感染症検体
54)
とから ,小児の急性副鼻腔炎は主に細菌によると考
から検出されたインフルエンザ菌のうち,BLNAR と
えられている.第 4 回耳鼻咽喉科領域感染症分離菌全
BLNAI(β―ラクタマーゼ非産生アンピシリン中等度
国サーベイランスによれば,急性副鼻腔炎患児からの
耐性株 β-lactamase negative ampicillin intermediate)
分離菌の内訳は急性中耳炎と類似し,5 歳以下におい
が約 3 割を占めていた61).耳鼻咽喉科領域の全国サー
ては肺炎球菌とインフルエンザ菌で 66.7% を占めて
ベイランスにおいても,BLNAR と BLPAR(β―ラク
おり,2 歳以下では特に耐性菌の割合が多いことが報
タ マ ー ゼ 産 生 ア ン ピ シ リ ン 耐 性 株 β-lactamase-
告されている.また,第 3 回耳鼻咽喉科領域感染症分
producing ampicillin resistant)をあわせたインフル
55)
離菌全国サーベイランス によれば,これら 2 菌種の
エンザ菌耐性株は 5 歳以下で 60.9% を占め,依然増
分離頻度は,
2 歳以下の小児で 100%,
19 歳以下で 70%
加傾向にあると報告されている.従って,特に罹患率
と,低年齢になると共に分離頻度が高くなることを指
の高い急性中耳炎の治療は,これら耐性菌の蔓延とい
摘している.急性副鼻腔炎の原因菌は小児及び成人と
う背景を考えると,今後とも難渋する可能性が高いこ
もに肺炎球菌が約 30%,インフルエンザ菌(無莢膜
とが推察できる62).実際,難治性の中耳炎は,2 歳以
型)が約 40% であり,慢性化に伴ってインフルエン
下の小児の中耳炎の 40% を占めるという報告があ
56)
ザ菌の検出率が上昇するとの報告 からも明らかなよ
り63),診療ガイドラインにそった抗菌薬投与を行って
うに,NTHi がこの疾患の病態において重要な役割を
も薬剤耐性のインフルエンザ菌が残存する64)など臨床
担っているものと考えられる.
現場では問題となっている.このような原因菌の耐性
小児の結膜炎は主に細菌性で,特に NTHi は肺炎
化による小児中耳炎の難治化という近年の傾向は,通
球菌と並んで重要な原因菌であり57)58),Epling によれ
院の増加や治療期間の遷延を招き,医療費や親の負担
ば,中耳炎はインフルエンザ菌性結膜炎の 25% に合
の面でも深刻な問題となっている65).1999 年から 2008
併すると報告されている.フランスで行った大規模な
年にわたり 3 歳以下の健康な保育園児から採取された
疫学調査59)では,急性中耳炎と合併する化膿性結膜炎
鼻咽喉検体 178 検体の薬剤耐性遺伝子の出現頻度を調
の有病率は 16%(2,901 人のうち 465 人)であり,そ
査した Ito らの調査では,子供たち全体の 83.1% から
のような合併症例のうち約 8 割が 21 カ月未満の乳幼
肺炎球菌が,87.1% から NTHi が検出され,NTHi の
児であったと報告されている.また,インフルエンザ
うち特に β―ラクタマーゼ阻害剤が入った薬剤にも耐
菌は,中耳分泌液(Middle Ear Fluid)の 66% から,
性である gBLPACR(β―ラクタマーゼ陽性アモキシシ
結膜サンプル conjunctival exudate の 89% から検出
リン!
クラブラン酸 耐 性 株 genetically
され,そのほぼすべてが NTHi であり,多くの場合
positive amoxicillin!
clavulanic acid resistant)が 2005
β-lactamase-
感染症学雑誌 第85巻 第 3 号
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)の疫学
231
年までまったく検出されなかったのに 2007 年には
頭・耳での炎症)では,NTHi と Hib ではインフルエ
29.4%,2008 年には 82.8% の NTHi から検 出 さ れ た
ンザ菌の持つ接着因子やリポ多糖生合成遺伝子などが
40)
と報告している .薬剤耐性遺伝子の検出それ自体は
異なり,双方の細菌表層構造や毒性の違いを反映して
菌が薬剤耐性菌であることを即座に意味するわけでは
いる可能性が指摘されている77)79).また Shuel らは,侵
ないが,このような β―ラクタマーゼ阻害剤が入った
襲性疾患由来と上気道由来の NTHi を MLST(Multi
薬剤にも耐性である新たな薬剤耐性遺伝子の蓄積は強
Locus Sequence Typing)法で詳しくタイピングし,
力な薬剤耐性菌の出現を予告するものとして注目され
NTHi は有莢膜型が持つ莢膜多糖生合成遺伝子を欠
ている.
き,莢膜型インフルエンザ菌とは遺伝子レベルで同じ
近年,NTHi の薬剤耐性の増加とバイオフィルム形
系列ではなく単純に「莢膜を消失した莢膜型インフル
成による難治性疾患の増加が相関していることが,明
エンザ菌」とみなすことは出来ないと指摘した80).従
らかになってきた.小児の急性中耳炎由来の NTHi
来上皮細胞に付着するだけの表層感染菌と考えられて
を分析すると,アモキシシリンにより改善されなかっ
いた NTHi が,実際には細胞内に侵入する細胞内寄
た群より分離された NTHi は,改善群から分離され
生菌でもあること81)は薬剤耐性の蔓延と合わせて考え
た菌よりもバイオフィルム形成能が有意に高かっ
ても治療を難しくする重大な因子と考えられる.さら
た66).また,小児の急性中耳炎由来の NTHi のうち
に厄介な特徴として,莢膜を持つ菌が莢膜を保持しな
84.3% もの検体がバイオフィルム形成能を有してい
い菌に変化する可能性があること82)∼84)に十分に留意す
た.バイオフィルム内では宿主により異物と認識され
る必要がある.NTHi には莢膜をコードする遺伝子 cap
にくくなり細菌が感染防御機構からのがれやすくなっ
の近傍に IS(insertion sequence)1016 という反復配
たり,抗菌薬が届きにくくなることが難治化の原因と
列を有するタイプ(THi with IS1016 型)がある.こ
考えられる.このように,NTHi で抗菌薬耐性化が進
の反復配列が存在することで,cap が染色体内をトラ
むことで治療が長引く背景には,バイオフィルム形成
ンスポゾンのように移動することができることが示唆
能の上昇という現象が示唆されることを考えても,治
されている.IS1016 が移動する際に莢膜遺伝子 cap
療ガイドラインに即した抗菌薬による治療以外に,ワ
を持ち出すことで,莢膜を持つ菌から NTHi へ変化
クチンによる NTHi の感染制御は優れた選択肢のひ
するのではないかということは十分に考えられ,イン
とつであると考える.
フルエンザ菌が莢膜型から非莢膜型へ変化する上での
ワクチン導入前後の pathogen-shift と病原体疫学
ひとつの痕跡と考えられる82).また,IS1016 をもつ
Hib ワクチンは,世界的には約 20 年以上も前から
NTHi は莢膜を持つインフルエンザ菌と類似した病態
使用されているインフルエンザ菌 b 型ワクチンで,日
を呈するのではないかという所見も示唆されてい
本でも 2008 年 12 月から接種が可能となった.ところ
る83).
が,肺炎,中耳炎,副鼻腔炎,気管支炎などの気道感
このような NTHi が遺伝的多様性を獲得すること
染症から分離されるインフルエンザ菌の多くは NTHi
に一役買っているのではないかと考えられているのが
であり,これらの疾患に対する Hib ワクチンの予防
H. haemolyticus である.Mukundan らは,NTHi と共
効果は期待できないとされている.
に H. haemolyticus が呼吸器粘膜に共 存 す る こ と で,
Hib ワクチン導入前にも,まれではあるが NTHi に
67)
68)
よる敗血症などの全身感染症の報告はあった
.Hib
NTHi が宿主の免疫機能の標的となることを避けるよ
うな環境(antibody-laden milieu)を提供し,さらに
ワクチンが導入されると,Hib を原因菌とする侵襲性
遺伝子のゲノム内水平伝播(例えば,トランスポゾン)
疾患は減少する一方,現行のワクチンで予防し得ない
によって遺伝的多様性を NTHi に付与していると考
無莢膜型による全身感染症の例が報告されはじめ
えている85).Haemophilus 属のヘモフィラス・エジプ
69)
∼76)
.このような NTHi による全身感染症は,免疫
チウス Haemophilus influenzae biogroup aegyptius の無
機能の低下した小児のみが罹患すると以前は考えられ
莢膜型はもともと化膿性結膜炎の原因菌であることが
ていたが,健康な子供も NTHi による全身感染症に
知られていたが86),この無莢膜型ヘモフィラス・エジ
た
77)
罹患することが明らかとなってきていることから ,
プチウスが原因で発症したブラジル紫斑熱の流行期に
本邦でも,今後 NTHi の顕在化を注視すべきであろ
先立ち,同属の原因菌による化膿性結膜炎の流行して
う.
いたことが報告されている87).毒性の獲得が上記のよ
NTHi は Hib に比べ,塩基配列からみて毒性に関与
うな重感染による micromillieu の変化によりもたらさ
することが示唆されているような表現型においてもヘ
れるのかゲノムの変異によるのかは現在のところ明ら
テロジニアスな傾向があることが知られており78),全
かではないが,このような毒性の獲得が起こり得るこ
身性疾患(血液・髄液を介する)と局所性疾患(鼻咽
とはインフルエンザ菌の一つの特徴であるかもしれな
平成23年 5 月20日
232
砂川 慶介 他
い.事実,インフルエンザ菌は,H. intermedius という
ンの影響を判定するには,長期的な視点に立った疫学
概念が生まれるほど,現在でも表現型・遺伝子型から
的調査が不可欠である.
88)
分類が議論されている 段階で,今後の学問の進展を
注視していきたい.
*
【参 考】
H. influenzae と 系 統 的 に 近 い Haemophilus 属
の う ち,Haemophilus influenzae biogroup aegyptius と
7 価肺炎球菌結合型ワクチン PCV-7 は,7 つの血清
H. haemolyticus は,ヒト IgD 抗体との結合が確認さ
型の莢膜とジフテリア毒素の無毒変異蛋白 CRM197 を
れているが97),ワクチンの効果についてはデータがな
結合させた 7 価結合型肺炎球菌ワクチンで,米国では
い.
すでに 2000 年に,わが国でも 2009 年に承認されてい
結
語
る.韓国では 2003 年に肺炎球菌ワクチン PCV-7 導入
NTHi が急性中耳炎などの小児の局所性感染症で重
後,接種率が 60∼70% に達したにも関わらず,侵襲
要な原因菌であると考えられてきたが,広範な疫学
性の感染症は減少していることとは対照的に,一般外
データを分析すると全身感染症を引き起こす可能性が
来小児科における細菌感染症・患者数は減少していな
あることも明らかになってきた.小児感染症では,薬
89)
いと報告されている .この背景として,PCV-7 がカ
剤耐性インフルエンザ菌の増加,Hib ワクチンや肺炎
バーしない他の病原体(ワクチン株以外の血清型の肺
球菌ワクチン導入後の NTHi の顕在化の可能性があ
炎球菌やインフルエンザ菌等)がこれらの感染症に関
ることを考えると,NTHi に対しても適切な治療・予
与していることが考えられる.米国では PCV-7 導入
防法を導入する必要性が強く感じられる.一方で,新
後,インフルエンザ菌による急性中耳炎の割合が増加
たな抗菌薬やワクチンを導入するということは,人類
90)
∼93)
.また,PCV-7 が
に恩恵をもたらすと同時に,自然界の微生物のバラン
導入された国々では,pathogen-shift により NTHi や
スを変えることでもあるため,継続的な疫学データを
PCV-7 ではカバーされない肺炎球菌の serotype やモ
収集し,その効果を検証する体制を整備することは不
ラクセラ・カタラーリスが急性中耳炎から検出される
可欠である.
しているとの報告が多くある
頻度が高くなっていることが多く報告されてい
利益相反
る91)92)94)95).フィンランドで実施した大規模臨床試験で
本総説を作成した砂川・岩田は,感染症関連の研究
は,急性中耳炎全体に対する PCV-7 のワクチン効果
に対し企業(アステラス製薬株式会社,MSD 株式会
は 6%(95%CI:−4 to 16%)と 報 告 さ れ て い る95).
社,大塚製薬株式会社,株式会社ベネシス,GSK 社,
このように,小児感染症で主要な原因菌と考えられる
シスメックス株式会社,塩野義製薬株式会社,シーメ
肺炎球菌を予防するだけでは不十分であり,小児の疾
ンス・ジャパン株式会社,大正富山医薬品株式会社,
病負担をより効果的に軽減する上では,より広い肺炎
大日本住友株式会社,第一三共株式会社,中外製薬株
球菌株,あるいは肺炎球菌以外の原因菌の感染を予防
式会社,富山化学工業株式会社,ファイザー株式会社,
する必要がある.一方,インフルエンザ菌由来プロテ
マルホ株式会社,三菱化学メディエンス株式会社,明
イン D*をキャリアタンパク質とする肺炎球菌結合型
治製菓株式会社)より援助を受けている.竹内は GSK
ワクチン(11Pn-PD)の海外の臨床試験では,肺炎球
の社員である.
菌のみならず NTHi による感染症の予防効果につい
て検討がされ,小児の急性中耳炎全体の 33.6% の減
96)
少効果が確認されている .このワクチンでは,イン
フルエンザ菌に共通して認められる膜貫通型糖タンパ
ク質をキャリアータンパク質として用いていることか
ら,抗キャリアータンパク質免疫応答(抗プロテイン
D 免疫応答)によってこのような効果が得られている
と想定されている.
これまでに概括してきたように,近年小児感染症の
中で顕著に NTHi が病態に関与していること,薬剤
耐性菌の侵襲が疾病負担を増加させていること,海外
では pathogen-shift によりワクチン有効性が減少して
いることなどから,理論的には,小児感染症の主要な
原因菌である肺炎球菌および NTHi に対して効果を
もつワクチンを開発することが本邦の小児医療状況を
改善する方向につながると考えられるが,真のワクチ
謝辞
本総説の作成に当たっては,GSK の野呂信弘・小野真
両氏の協力を得た.
文
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感染症学雑誌 第85巻 第 3 号
無莢膜型インフルエンザ菌(NTHi)の疫学
237
Nontypeable Haemophilus influenzae(NTHi)Epidemiology
Keisuke SUNAKAWA1), Yuriko TAKEUCHI2) & Satoshi IWATA3)
1)
Kitasato Institute for Life Sciences, Kitasato University, 2)Department of Epidemiology, GlaxoSmithKline,
3)
Center for Infectious Diseases and Infection Control, Keio University School of Medicine
While most systemic pediatric Haemophilus influenzae infections are caused by the type b strain(Hib),
nontypeable H. influenzae:(NTHi)has been considered a respiratory tract pathogen common in local infection such as acute otitis media, acute pneumonia, secondary chronic respiratory disease and other otorhinolaryngologic infections. Recent findings show, however, that NTHi also causes invasive infections such as
meningitis, bacteremia, and lower respiratory tract infections such as pneumonia.
A review of NTHi epidemiology from the 1990s onward shows that NTHi causes significant morbidity
in pediatric acute otitis media, sinusitis, conjunctivitis and lower respiratory diseases such as pneumonia in
Japan. This summary also reviews the worldwide influence of Streptococcus pneumoniae and Hib vaccines
on causative pathogens, and several studies about increasing incidence of invasive infections due to NTHi.
This review also touches on the emergence of treatment- and drug-resistant H. influenzae, which are now
major public health challenges. As a cause of bacterial pediatric infection, NTHi is an important target for
prevention.
平成23年 5 月20日
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