Comments
Description
Transcript
授業資料(修正版)
インターネット時代のセキュリティ管理 第7回 知的所有権(3) 慶應義塾大学 村井 純 奈良先端科学技術大学院大学 山口英 はじめに n なぜインターネットの授業で知的財産権? l 先生方の意見をお聞かせください 2 WIPO World Intellectual Property Organization (WIPO) n WIPOとは l 特許・ 商標などの工業所有権の保護に関するパリ条約、及び文学・美術作品 の保護に関するベルヌ条約の事務局を前身とし、1970年に発効した条約に より設立、1974年に国連第14番目の専門機関となる。2005年1月3日現在で 、182ヶ国が加入している。 n 活動内容 l ( 1)知的財産権保護の国際的な促進 各国制度の調和等を目的とする条約の 策定、技術協力を通じた途上国における保護水準の引き上げ、情報化の推進 l ( 2)知的財産権に関する条約、国際登録業務の管理・運営 n URL l http://www.wipo.int/ 4 ベルヌ条約 n ベルヌ条約とは l 著作権に関する基本条約で、1886年にスイスのベルンで締結 l 日本は1899年( 明治32年)加盟 l 「 千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベ ルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千 九百二十八年六月二 日 にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッ セルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一 年七月二十四日にパリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び 美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」(国内での条約の公布名) n ベルヌ条約における著作権の考え方 ( ≒ 著作権に対する国際標準の考 え方) l 内国民待遇:条約加盟国は、他の加盟国の著作物に国内の著作物と同等以上 l l l l の権利保護を与える。 無方式主義:著作権は創作時に発生するもので、登録、著作権表示などを必 要としない。 遡及効果:条約締結時以前に作成された著作物にも、遡って保護を与える。 保護国法の原則:著作物に与えられる著作権保護は、条約以外に、保護を与 える国の法令によって決まる。 著作権の保護期間: 著作者の生存時と死後50年までとする。 5 1996年のベルヌ条約改定 n ベルヌ条約改定への取り組み l インターネットにおける著作権保護のための改定 l 既にインターネット上の著作権保護について審議してい る先進国と発展途上国間の紛争回避のための国際統一ル ール制定を図るための議論が始まった l 25年ぶりの改定へと乗り出している 6 ベルヌ条約改定の概要 n ベルヌ条約改定の概要 1. インターネットなど、コンピュータ・ ネットワークを通 じた公衆への情報通信を著作権保護の対象に追加する。 2. データベースとコンピュータ・ プログラムを著作権保護 の対象にする。 3. 著作物の販売・ 配布に関する著作者の権利を導入する。 4. レンタル業者などへの貸代権を導入する。 5. レコード製作者と演奏者などに与えられる著作隣接権 を保護する。 6. 複製や無許可受信の防止機能を解除する装置の生産・ 販 売を禁止する。 7. 著作権のあるデータベースの改ざんを禁止する。 7 特許情報ネットワークの構築 n WIPOによる世界の特許管理網整備 l 国際特許出願の電子化 l 1998∼1999年の予算発表(WIPO MEMBER STATES APPROVED PROGRAM AND BUDGET FOR 19981999)の中で発表 l 167カ国の加盟国をコンピュータ・ ネットワークで接続し た大規模な特許情報ネットワークの構築 l 英・ 仏・独・スペイン・露・中・日本語による電子出願 8 WIPOによるドメイン名紛争統一処理方針 n ドメイン占有 l 他人の商標やブランド名、商品名を用いたドメイン名を登録し、本来の保持 者に対して高値で売りつけようとするなどの占有行為 l インターネットにおける問題となっていた n 処理方針 l WIPOによる、インターネットドメイン名の悪意ある登録や利用をめぐる、 ドメイン名登録者と第三者との紛争解決に関する法的枠組の規定 l ICANNの認証を受けた登録機関や、国別トップレベルドメインは、この方針 に沿ってドメイン紛争の解決を図ることになる l Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy (UDRP) と呼ばれる n 利点 l 裁判に比べて、インターネットドメイン名の登録と使用に関する紛争をよ り迅速かつ安価に解決する方法を提供する l 訴訟よりも略式で、裁定者は、国際商標法、ドメイン名問題、電子商取引、イ ンターネットと紛争解決等の分野に精通している l 登録者またはドメイン名保有者や申立人の所在地がどこであろうと関係な く、単一のドメイン名紛争処理の仕組みを提供する 9 UDRP紛争処理手続 n 手順 l (1) ICANNが認定した紛争処理機関( WIPOセンター等)の中で申立人 l l l l が選択した機関に対して、申立書を提出 (2) 申立の対象となった個人または団体による、答弁書の提出 (3) 申立人が選択した紛争処理機関による、紛争処理パネルの指名。 紛争処理パネルは、1名または3名から構成され、紛争の裁定を下す。 (4) 紛争処理パネルによる裁定の言渡しおよび関係当事者全員への 通知 (5) 問題となるドメイン名の取消または移転という裁定を紛争処理 パネルが下した場合、関連する登録機関による裁定の実施 n 費用・ 期間 l l l l 費用負担は基本的に申立人 1∼5ドメインを1人のパネルによって裁定してもらう場合、$1500 1∼5ドメインを3人のパネルによって裁定してもらう場合、$4000 申し立ての受理日より45日∼50日 10 著作権管理事業者 主な著作権管理事業者 n 著作権を管理する団体 n 指定著作権等管理事業団体 l 社団法人 日本音楽著作権協会 (JASRAC) l ほぼ100%に近いシェアを占める n 2001年10月に著作権等管理事業法が施行 n 主な著作権管理事業者 l ダイキサウンド株式会社 l 株式会社イーライセンス l 株式会社ジャパン・ ライツ・クリアランス (コピナビ) l 株式会社アジア著作協会 l ジャパン・ デジタル・コンテンツ信託株式会社 l など 12 著作権管理事業者 音楽 利用者 (演奏、カラオケ、放送、 インタラクティブ配信など) 利用申し込み 使用量支払い 利用楽曲報告 利用許諾 著作権 管理事業者 使用料分配 信託契約 音楽 権利者 (作詞家・作曲家など) n 委託契約及び作品登録が必要 n “Proxy”としての機能 l 著作権管理事業者は、会員の作詞家や作曲家が創作した楽曲と、 会員の音楽出版社の楽曲のみ管理する l 著作権管理事業者に登録している楽曲を使用する場合は、 著作権管理事業者を通じて許諾を求める l 著作権管理事業者に登録していない楽曲を使用する場合は、 権利者に直接許諾を求める 13 Proxyとしての著作権管理事業者 n 著作権管理事業者は権利者(作詞家・ 作曲家・音楽出 版社など)の代理 n JASRAC l 調査員が喫茶店、カラオケ店等を訪問し、費用を請求 l 本来は利用者が権利者に許諾を求める必要がある 14 音楽著作権の支分権 演奏権等 録音権等 貸与権 出版権等 CD/DVD ゲームソフト 映画への録音 放送・有線放送 インタラクティブ配信 (ダウンロード配信、ストリーム配信、着メロ配信など) 業務用通信カラオケ n 著作権者がそれぞれの権利について管理団体を選択できる n また、放送・ 有線放送、インタラクティブ配信、業務用通信カ ラオケは、支分権の考え方から独立したひとつの利用形態 として管理団体を選択できる 15 着うた n 市場規模: 201億円 (前年比718%) l モバイル・ コンテンツ・フォーラム調 n CDの音源を利用 l レコードレーベルの所有する原盤権の利用許諾と 対価支払いが必要 l 誰でも参入できるわけではない n レコード会社が共同出資した「 レーベル・モバイル」 にのみ原盤権を利用許諾 n 着うた参入妨害で公取委が排除勧告(2005/03) l 各レコード会社とも勧告に応じず、独占禁止法に基づく 審判手続きが開始 16 オークションと知的財産権 Yahoo!オークションの例 n 知的財産権を侵害した出品が横行 n 海賊版販売が相次ぐ l 大阪府警、企業を装いWebサイトで海賊版を販売していた男性を逮 捕(2005/10) l 他人名義で海賊版ソフトをオークション販売、北海道の男性逮捕 (2005/10) l Microsoft Officeなどの海賊版をヤフオクで販売、和歌山市の男性を 逮捕 (2005/9) l 「 機動戦士ガンダム」など海賊版DVDをヤフオクで販売、福岡県の兄 弟を逮捕 (2005/09) n 2005/1月~6月の不正出品削除率: 1.7∼3.3% » http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/11/14/027.html l ほとんどが海賊版と模倣品 l うち、3分の2がブランド模倣品などの商標権侵害物 3分の1がソフトの不正コピーによる著作権侵害物 » http://japan.cnet.com/column/auction/story/0,2000051142,20070132,00.htm 18 最近の動き n ディー・ エヌ・エー(DeNA)、ヤフー、楽天が「インターネット オークション自主ガイドライン」を策定 l 「 知的財産推進計画2005」の「事業者による自主規制ルールの整備や 取り組み強化を促す」に基づく動き n インターネットオークションから知的財産権侵害品を排除 する目的 n インターネットオークション事業者による自主規制ルール l l l l l l 「知的財産権侵害品売買防止のための啓蒙活動」 「出品者の把握と要請があった場合の権利者への情報提供」 「出品の削除」 「知的財産権侵害品の出品者の排除」 「特定商取引法上の事業者表示義務の執行強化への協力」 「苦情窓口の明示」 » 出典: http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20085185,00.htm » http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20084432,00.htm 19 不正出品検出の効率化 n 人力で不正出品の検出・ 削除を実施 l Yahoo! オークションの不正利用対策にデータマイニング 技術を採用 » http://pcweb.mycom.co.jp/news/2005/11/14/027.html » 不正利用者の行動パターンをデータマイニング手法で分析、 モデル化 » 特定の単語を含む出品者や、高価な商品を一度に大量出品する 利用者を検知 l 現在は150名のパトロールチームを12月までに 170名体制に 20 Yahoo!オークションのプロセス 不正ID 登録防止 パトロール 強化 登録 出品 当事者間取引が原則だが、 発展型エスクローサービス 個人間代引きサービス Yahoo!の金融サービスとの 連携を強化 落札 違法出品、不正アクセス、 詐欺行為等の犯罪行為に 関する警察への捜査協力 犯罪被害者への保証 取引 n 出典: Yahoo!資料より 21 インターネットオークションの課題 n 2003年ごろより、不正出品が急増 n ある権利者「 『確認します』という返事が来ただで、 相変わらず海賊版の出品は続いていた」 n オークションサイト「 本当に権利侵害なのかを確認 する必要があるため、第三者でもわかる程度の情報 を」 l http://japan.cnet.com/column/auction/story/0,200005114 2,20070428,00.htm 22 問題解決のプロセス n ヤフーの「 知的財産権保護プログラム」 l http://auctions.yahoo.co.jp/phtml/auc/jp/propertyprotectio n/guide/program/ n 「 プログラムA」 l 一般向けプログラム l 権利侵害品の掲載URLや特許・ 商標などの登録証、ライセンス契約の 写しなどを郵送で送付 l その都度侵害に当たるかどうかを判断する n 「 プログラムB」 l 契約団体向けのプログラム l あらかじめ登録し、メールで削除依頼を送付 l バンダイ、MTV JAPAN、ソースネクスト、肖像パブリシティ権擁護 監視機構などが参加 23 権利者団体とヤフー n ACCS「 ヤフーの責任に対する免責条項に賛同できない」 n しかし、知的財産権の保護のため協調へ n 違法品削除に関する双方の取り決めを決定 l 詳細な削除基準とその対応方法を共通で取り決め、発見・ 削除の連絡 体制を強化すること l 著作権侵害の実態を調査・ 協議し状況に応じて随時削除基準に反映 していく努力を継続して行うこと l 両者が共同で著作権保護を呼びかけ違法出品の排除・ 防止に努める こと l 参考:http://japan.cnet.com/column/auction/story/0,2000051142,20071230,00.htm n ACCS以外にも、日本音楽事業者協会( JAME)、日本動画協会(AJA)、日 本雑誌協会(JMPA)が協力 n 偽ブランド品の対策は遅れる l ユニオン・ デ・ファブリカン(ブランド企業の業界団体) 模倣品と思われる商 品を落札 l ブランド品の売上減少とコスト増加に対し不満 24 Google Printという事例 n Google Print l 2004年10月7日から正式運用 l Googleへ登録された出版社が、本をGoogleに送付することで、 Googleが本をスキャンし本文データの検索と、ページ画像の表示を 行うサービス l 検索結果データには出版社情報とオンライン書店へのリンクが付与 される l http://print.google.com/ n Googleの野望 l 地球上の全ての情報を検索可能にすること l オンラインコンテンツからオフラインコンテンツへ l そこで物理媒体の本をインデックス化 25 Google Print Library Project問題 n 図書館の蔵書も対象に加えたことが問題に l オックスフォード大学やハーバード大学、スタンフォード大学、ミシ ガン大学、ニューヨーク公立図書館の蔵書を、著作権保護の有無に関 わらずインデックス化を始めた( 2004年12月より) l パブリックドメインの書籍は全文書が閲覧可能になった( 2005年11 月3日より) l そうでないものは販売、図書館へと誘導 n 反響 l 教育・ 学術関係からの賞賛 l 作家団体や出版社協会などからの非難と訴訟 26 Ex. of Google Print (books in copyright) 27 Ex. of Google Print (Public domain books) 28 Ex. of Google Print (Books submitted by a publisher) 29 Googleの主張 n Googleの主張 l 本という情報媒体の流通を促進したいだけ l 書評目的での抜粋を許可する版権物のフェアユースであ る l 物理的な本の販売に貢献し、ビジネスチャンスを拡大す る l WWWにおけるインデックス化と同じ n この先どうなる??? 30 WIPOへの提言 n この提言は l 2003年7月7日、The Consumer Project on Technologyの会長James LoveがWIPOの事務局長宛てに送った公開書簡 l オープンなコラボレーティブプロジェクトが、知的所有権が保護さ れていない領域において高度な技術革新が実現されている証拠と して取り上げている l オープンなコラボレーティブ開発プロジェクトについて討議する 会議をWIPO主催で開催するよう求めるもの n 公共の利益を生み出すオープンなコラボレーティブプロジ ェクト例 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. IETFおよびオープンネットワークプロトコル フリー/オープンソフトウェアの開発 World Wide Web ヒトゲノムプロジェクト SNPコンソーシアム オープンな学術誌 全地球測位システム(GPS) 31 オープンと産業振興 n 1. IETFおよびオープンネットワークプロトコル l Internet Engineering Task Force( IETF)はパブリックプロトコルの開発を何年間も行 ってきた組織 l IETFの運営のしくみを他の分野へと応用することを指摘 l オープンスタンダードの確立において、スタンダードの確立後に特許保有を主張され る問題がある l その問題を回避するためのスタンダード確立手段を考える必要がある n 2. フリー/オープンソフトウェアの開発 l 広範囲への分散、自由競争、起業家精神、異種混合といった特徴を持つ運動で、無料で オープンに配布されるソフトウェアを開発することを目的としている l 共有するものは、自由に公開されることで、全体の利益となる l オープンソフトウェアを利用したビジネス活動も盛んに行われている n 7. 全地球測位システム( GPS) l 無料での情報公開が新しいアプリケーション開発を奨励するという事例 l 灯台が公共の利益の典型例だとするならば、衛星を通じて非常に正確な位置データと 時間データを全世界に提供する全地球測位システム(Global Positioning System:GPS )もまた公共の利益に寄与する l のみならず、GPS信号を使用料無料として提供することで、技術の発展と産業の成長 を促進し、新規雇用の創出、サービスの安全性と効率性の向上などのメリットを産ん だ l これらのメリットは、課金によって得られる金額をはるかにしのいでいる GPSアプリケーション/サービスの市場が全世界で年間80億ドルを超えている 32 情報基盤の革命 n 3. World Wide Web l WWW技術の特徴 » 世の中を変えた出版革命 » パブリックプロトコルと技術によって構築されたドキュメント の公開基盤 l WWW技術が引き起こした変化 » WWW上にて様々な情報の共有が行われるようになった » ハイパーリンクや、検索インデックスの素材利用、フェアユース など、著作権の概念を再考させている 33 パブリックデータベース n 4. ヒトゲノムプロジェクト l 2003年4月14日、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、中国の首脳 より、「6か国の科学者が、ヒトの全遺伝情報であるヒトゲノムのDNAを構成 する約30億の塩基対の配列の解読を完了した。この情報はWorld Wide Web 上の公有データベースに保管され、一切の制約なしに無償で利用できる。」 との声明が出された l ヒトゲノムを知的所有権を主張しないパブリックデータとして取り扱うこ とを宣言 l 国家間の連携として知的所有権をもたないデータが成立しうる事例 n 5.一塩基多型( SNP)コンソーシアム l 1999年、SNPについての公有データを提供する非営利組織としてSNPコン ソーシアムが設立された。 l SNPコンソーシアムは、医療技術への財団Wellcome Trustと10数社の製薬/ 技術会社から成る。 l SNPコンソーシアムの使命は、ヒトゲノム全体に均等に分散している 300,000のSNPを明らかにし、これらのSNPに関する情報を知的所有権の制 限なしに公開すること。 l 2001年までに、当初の予想を越えて150万のSNPが発見され、その情報が全 世界の研究者に向けて公開された。 34 知の共有 n 6. オープンな学術誌 l インターネットにてWWWなどを利用することで、知の 共有における情報格差を是正しようという試み l オンライン上でのピアレビューされた研究論文への迅速 かつ無料のアクセスを提供することを目的としたものや 、発展途上国などへの学術情報の伝播させることを目的 としたものなどがある » The Public Library of Science, BioMed Central、Budapest Open Access Initiative » eIFL Network, Creative Commons 35 技術者/研究者の幸不幸 n 特許への誘惑 l 生活がかかっている l 努力の結果が権利になる l 名誉も名声ももらえていない現状 l どうやって報われたらいい? l 技術者だけの問題か?社会は?市民は? 36 学生からの質問 n 奈良先端・ 秋山君からの質問 l インターネットは公開技術ばかりで構成されているよう にみえる、なぜ? l 長期的にうまくいく仕組みを有しているのだろうか? l それはどういうモデル? l 他分野へと応用できる? l 今後もうまくいきつづける? 37 インセンティブは? n 公開と非公開のメリットデメリット n 特許をとることが即問題? l 例えば、QUALCOMは特許技術会社 l コンソーシアム方式だっていい? 38 国益のためのプロパテント政策 n ヤングレポート ( 米国) l 1980年代前半のアメリカは貿易不振から、産業競争力の向上を図っ た。レーガン大統領は、米HP社のジョン・ ヤング社長を委員長に迎え 、学界、業界の代表者からなる「 産業競争力についての大統領委員会 」を組織 l 1985年1月25日に提出されたのが、「 地球規模の競争−新たな現実」 と題されたレポートで、競争力回復のために、プロパテント政策を 推進することを提言 l 大統領通商政策アクションプラン( 1985年9月)や、米国通商代表 (USTR) の知的財産政策(1986年4月) へ影響 n 科学技術基本法案 ( 日本) l l l l 1995年10月に国会で、科学技術基本法案が採択 科学技術創造立国を目指すことを提言 2002年3月に内閣は、小泉総理主催の「 知的財産戦略会議」を設置 2002年12月に「知的財産基本法」が成立。それに伴い、知的財産戦略 本部、および知的財産戦略推進事務局を設置 39 国益 n 国益をかなえるためにはプロパテント戦略? l 産業構造の変化 l 先進国は基本的に同方針 l 発展途上国はどうする? » パテント無視? 40 変わるインターネット n 登場人物の変更 l 研究者の天国から、商売のため、利用者のためのインターネットへ n 特許技術が集積しつつある l Windowsが最大多数のクライアント l IPSecは特許でいっぱい l Skype, Messenger, オンラインゲーム、全部プロプライエタリ » 応用に近づくに従って、特許化? » 楽しいことは必ずしもオープンからくるとは限らない? n 保護技術なども登場 l トレーサビリティ、匿名性の保証と排除 l DRM 41 まとめ n 知的財産権というテーマとの関連 l オープン技術で構築されたインターネット l 情報の共有基盤としてのインターネット l インターネット技術が変える知財権 42 まとめ(1) n インターネットが変えた/変えるものは? l パンドラの箱 l 問題と可能性 l 技術的変化が社会的変化へと波及 43 まとめ(2) n インターネットはどう変わる?( どう変える?) l 背景の変化 l インターネットへの要求の変化 l 技術的、社会的にどう変える? 44