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食品の検査って何をしているの?
平成28年度ゼロから学ぶ 食品安全セミナー 【講座 Ⅲ】 食品の検査って何をしているの? 埼玉県衛生研究所 水・食品担当 埼玉県の花<サクラソウ> Saitama Institute of Public Health 埼玉県衛生研究所 ~県民の健康と生命をしっかり守ることを目指して~ 平成26年4月 移転により機能強化した衛生研究所 旧深谷支所 ①検体搬送アクセス短縮 ・県中央部にある 旧県立吉見高校跡地を活用 新 衛生研究所 ②広域災害時のリスク回避 ・さいたま市健康科学研究センター との同時被災を避ける ・非常用発電機などの設置で災害 時も検査継続 旧衛生研究所 さいたま市健康 科学研究センター 衛生研究所が取組む4つの柱 調査研究 研修指導 試験検査 公衆衛生情報等の 収集・解析・提供 埼玉県衛生研究所の組織( 76名) 総務担当 副所長 (事) 所長 副所長 (技) 室長 企画・産学連携担当 地域保健・支援担当 室長 精度管理担当(1)(H26年度より設置) 室長 感染症疫学情報担当 臨床微生物担当 ウイルス担当 (7) 食品微生物担当 (1+1+8(収去検査担当:4)) 副所長 (技) 生体影響担当 室長 (1+4(食品検査担当:4)) 薬品担当 水・食品担当 (1+11(食品検査担当:8)) ウイルス検査(ウイルス担当) 緊急 検査 対象感染症:MERS、デング熱、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザ、 麻しん、風しん ノロ等 検査法 使用する機器 必要時間 培養検査 培養装置 1ケ月以上 遺伝子 検査 自動核酸精製装置 リアルタイム PCR装置 8時間 遺伝子 詳細解析 PCR装置 マイクロチップ 電気泳動装置 濃縮遠心機 シークエンサー 3日 速く 詳しく 感染源 調査 より速く、より詳しく 細菌検査(食品微生物担当) 1.食中毒等の発生時における原因究明検査 患者便、食品残品、施設フキトリ、従事者便について、食中毒細菌や、寄生虫検査 リアルタイムPCR装置 培養装置 カンピロバクター アップルパイの白色異物(カビ) 2.苦情食品の検査 食品に異物がある、異臭がするなど、保健所へ相談があった食品や、 他県の行政機関から通報のあった食品について、カビを含む微生物検査 3.計画収去検査 埼玉県食品監視指導計画に基づき、食品衛生法で定められた基準等 に適合しているかの細菌検査 放射能検査 (生体影響担当) 食品などの放射能検査 食の安全を確保するため、県内流通食品や県内産農作物 の検査を行い、基準値に適合しているか判断しています。 環境モニタリング調査(環境放射能水準調査) 放射能検査で使用するゲ ルマニウム半導体検出器 北朝鮮核実験や原子力発電所事故による影響を調べる ため、各種環境試料(雨水、降下物、水(原水、蛇口水)、 緑茶など)の調査を行っています。 1.20 所沢市 0.80 加須市 幸手市 熊谷市 0.60 戸田市 さいたま市 0.40 飯能市 東秩父村 0.20 空間放射線量 年 度 20 13 20 12 20 11 20 10 20 09 20 08 20 07 20 06 20 05 0.00 20 04 環境モニタリング調査の一環として、 県内各地に線量計を設置し、空間放 射線量を測定しています。 空間放射線量( mGy/ 年) 空間放射線量調査 1.00 異物(衛生害虫等)検査(生体影響担当) • • • • 虫類の混入疑い ネズミ、コウモリ、昆虫等の糞の疑い 毛(ヒト、ネズミ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ等)の疑い その他、生物系の異物(上皮細胞、植物の繊維等) ソーセージに、 細い3cm程度の毛が 入っていた! 人毛は表面に キューティクル、 細めの髄質有り 異物 <クサカゲロウ> チーズケーキに混入 *生物顕微鏡で形態観 察して同定できるように 食品から取り出し、標本 化し、データを記録 結論 ウィンナーの皮 材料の一部 表面は特徴無い 髄質が無い 太さが不均一 食品理化学検査 (水・食品担当) 1.計画収去検査(規格基準適合検査) • • • • • • 野菜・果物中の農薬の検査★ 肉・魚中の動物用医薬品の検査 加工食品中の食品添加物の検査★ 遺伝子組換え食品の検査 アレルギー物質の検査 汚染物質(重金属・カビ毒等)の検査 2.保健所等へ相談があった事例の原因究明 3.調査研究を目的とした検査 (厚生労働省委託研究や科研費補助金事業) ・残留農薬等一日摂取量調査など 県政サポーターアンケート 第78回簡易アンケート 「食の安全・安心への取組について」(平成27年8月20日~26日) <質問>あなたが、食生活に関連して、健康に特に悪い影響を与えると思うものは どれですか。(最もあてはまると思うものから順に3つまで) 残留農薬等のポジティブリスト制度 施行前の規制 導入 :平成18年 5月29日 農薬等全体 農薬等全体 規制対象外 250農薬 33動物薬 原則:一律基準 799農薬等 (H18.5.29) →784農薬(H27.10.28) 暫定基準見直し状況 規制対象 残留基準(本基準) 暫定基準 不検出基準 ○残留基準が適応される食品種 生鮮食品 加工食品を含む全ての食品 未諮問:159 評価中:222 部会審議:76 見直し済:301 多種類の食品,多種類の農薬等に適用できる一斉分析法の開発が必要 残留農薬・動物薬の分析には高感度、高性能の分析機器が必須! Matrix(肉,野菜) Target Compounds 一律基準:0.01ppm→1g/100ton (0.000001%) 不検出: 0.001ppm→1g/1,000ton (0.0000001%) 10×10m(水深1m)のプールに1gの農薬等を入れて,均一 にしたものの混入薬剤名とその濃度を正確に検出できなけ ればならない.(一律基準:0.01ppm) 高感度,高精度な分析機器は必須 <ガスクロマトグラフータンデム質量分析計> <高速液体クロマトグラフータンデム質量分析計> ガスクロマトグラフ-タンデム型質量分析計 <注入口> <分離部> <検出部> MS1 <解析部> MS2 データ処理装置 Heガス <m/z 180の物質> ガスクロマトグラフ 質量分析装置 <m/z180→100> <m/z180→50> <m/z180→100> <m/z180→50> 機器室 <ガスクロマトグラフ(GC)装置> <液体クロマトグラフ装置> 食品中残留農薬検査結果(全国) 農薬の検査状況 350 検 査 数 300 ポジティブリスト制度施行 250 輸入農産物 200 (万件) 150 無登録農薬の使用 中国産冷凍ホウレンソウ から基準超農薬の検出 国産農産物 100 50 0 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 年度 厚生労働省「食品中の残留農薬検査結果」より 食品中残留農薬検査結果(全国) 0.05 残留基準超過の状況 0.04 頻 度 輸入農産物 0.03 ポジティブリスト制度施行 (%) 国産農産物 0.02 違反率;1/10,000 0.01 違反率;1/30,000 0 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 年度 厚生労働省「食品中の残留農薬検査結果」より 農作物中の残留農薬検査方法(150農薬一斉分析) 試験溶液 分析機器へ ガスクロマトグラフ質量分析計による農薬標準品 のクロマトグラム 全国初!残留農薬スクリーニング検査 平成23年産 全国に ・検体採取量 1kg→100g(幅広い野菜を対象) おける産出額の順位 ・基準値超過→食品衛生法違反ではない. 生産者及び直売所に出荷・販売 の自粛を要請 主な県内 産出額 生産現場の調査を行い,原因の究明及び適切は農薬使用を指導 産農産物 全国順位 生産者や関係団体に注意喚起 ねぎ 第1位 ほうれん そう 第1位 さといも 第1位 こまつな 第1位 きゅうり 第2位 ブロッコ リー 第2位 えだまめ 第2位 かぶ 第2位 みずな 第4位 県政サポーターアンケート「埼玉県産農産物について」 (平成26年11月20日~12月1日) <質問> あなたは、農産物直売所を利用したことがありますか。 平成26年度スクリーニング検査実績 65種類303検体 アイスプラント あおしそ あおとうがらし いちご いんげん 空心菜 枝豆 おかひじき オクラ かき かきな かぶ かぶの葉 かぼちゃ キャベツ きゅうり きょういも きょうな ゴーヤ ごぼう こまつな さつまいも 里芋 サニーレタス さやいんげん さやえんどう サンチュ ししとう じゃがいも しゅんぎく ズッキーニ スティックブロッコリー スナップエンドウ せり たあさい 大根 大根の葉 ちぢみほうれんそう チンゲン菜 つるむらさき とうがん トマト なす 菜の花 にら にんじん ねぎ のらぼうな はくさい 葉しょうが 葉大根 ピーマン ふき ブロッコリー べかな ほうれんそう みずな ミニトマト モロヘイヤ やまといも ラディッシュ ルッコラ レタス ロメインレタス わさびな 表1 農薬取締法に基づく適用外使用の疑い、 かつ、食品衛生法で規定する農薬の残留基準を超えた5検体 品目 1 しゅんぎく 2 チンゲン菜 検出した農薬・濃度 フェニトロチオン 0.44ppm(0.2ppm) エトフェンプロックス 6ppm(2ppm) クレソキシムメチル 3 こまつな 0.02ppm(0.01ppm) 4 しゅんぎく フェニトロチオン 0.5ppm(0.2ppm) ダイアジノン 5 こまつな 原因 (基準値) 0.2ppm (0.1ppm) 隣接する畑からのドリフト 当該農産物への対応 全量自主廃棄 農薬の使用方法を確認せず使用した。 全量自主廃棄 自家畑内の作物間のドリフト 全量自主廃棄 自家畑内の作物間のドリフト 全量自主廃棄 農薬散布にむらがあった. 全量自主廃棄 表2 農薬取締法に基づく適用外使用の疑いがあった7検体 品目 農薬 原因 当該農産物への対応 1 ほうれんそう EPN ドリフト(推定) (出荷終了済み) 2 ふき フェニトロチオン ドリフト(推定) (出荷終了済み) 3 こまつな ピリダベン 農薬散布機の洗浄不足 (出荷終了済み) 4 ししとう エトフェンプロックス 使用対象農産物の誤認 全量自主廃棄 5 ピーマン テブフェンピラド 農薬散布機の洗浄不足 全量自主廃棄 6 しゅんぎく フェニトロチオン ドリフト(推定) 全量自主廃棄 7 ラディッシュ フェニトロチオン 原因不明 全量自主廃棄 <平成26年度検査実績: 65種類303検体> 食品添加物検査 食品添加物の定義(食品衛生法第4条) 食品の製造過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品 に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの。 食品添加物 指定添加物 449品目 既存添加物 365品目 天然香料基原物質 約600品目 一般飲食物添加物 約100品目 (添加物の品目は平成27年5月19日現在) 指定添加物 安全性と有効性か確認され、国が使 用を認めた品目 平成7年の法改正の時に、我が国にお いて既に使用され、長い食経験があ 既存添加物 るものについて、例外的に使用が認 められているもの 植物、動物を基原とし、着香の目的 天然香料 で使用されるもの 通常、食品として用いられるが、添 一般飲食物添加物 加物として使用されるもの ソルビン酸、 キシリトール など クチナシ色 素、柿タンニ ンなど 安全性に問題のあ るもの、使用実態 のないものは削除 バニラ香料、 カニ香料など 寒天、イチゴ ジュースなど 指定制度の対象外 食品添加物検査 検査項目 指定添加物 着色料(酸性タール色素12種) 保存料(安息香酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル類) 酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン) 漂白剤(二酸化硫黄及び亜硫酸塩類) 発色剤(亜硝酸ナトリウム) 防かび剤(オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、ジフェニル、イマザリル 等) 甘味料(サッカリン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム)など ★使用基準のあるものを優先 指定外添加物 着色料(ローダミンB、スーダンⅠ~Ⅳ、キノリンイエロー) 酸化防止剤(tert-ブチルヒドロキノン;TBHQ) 甘味料(サイクラミン酸) 保存料(パラオキシ安息香酸メチル)など 食品添加物検査の標準作業書 No. 検査項目 試験品の種類 施行(改訂)年月日 1 合成保存料 食品全般(乳酸菌飲料(殺菌したものを除く)を除く 2 合成保存料 食品全般(乳酸菌飲料(殺菌したものを除く)を除く H27. 7.27 H27. 7.30 3 酸化防止剤 植物油、バター,魚介乾製品、魚介冷凍品 H27.12.10 4 防かび剤 かんきつ類、バナナ H21. 7. 8 5 防かび剤 割りばし及び爪楊枝 H21. 7. 8 6 防かび剤 かんきつ類、バナナ H21. 7. 8 7 シアン化合物 生あん H27.7.31 8 防かび剤(イマザリル) かんきつ類、バナナ H.21. 7. 6 9 合成着色料 食品全般 H27.12.10 10 合成着色料(指定外添加物含む) 食品全般 H27.12.10 11 合成着色料(R-3及びR-106) 魚肉練り製品(かまぼこ,なると) H21. 7. 8 12 合成着色料(酸性タール色素12種) 食品全般 H27.12.10 13 合成甘味料(サッカリン) 食品全般(チューイングガムを除く) H27. 7.27 14 合成保存料(パラオキシ安息香酸エステル類) 食品全般 H27. 7.27 15 合成保存料(パラオキシ安息香酸エステル類)(水蒸気蒸留法) 食品全般 H27. 7.27 16 パラオキシ安息香酸メチル 食品全般 H27. 7.28 17 漂白剤 野菜を除く食品全般 H27.12.10 18 漂白剤 野菜を除く食品全般 H27.12.10 19 漂白剤 割りばし及び爪楊枝 H21. 7. 8 20 発色剤(亜硝酸ナトリウム) 食品全般 H21. 7. 8 21 次亜塩素酸 食品全般 H21. 7. 8 22 サイクラミン酸 食品全般 H21. 7. 8 23 サイクラミン酸 食品全般 H27.12.10 24 アセスルファムカリウム(合成甘味料) 食品全般 H27. 8.17 25 アスパルテーム(合成甘味料) 食品全般 H27.8.17 26 プロピレングリコール 生めん、いかくん製品及びギョウザ、ワンタンの皮 H15. 3. 3 27 ポリソルベート アイスクリーム、プリン、ココナッツミルク、ムース、クッキー、パスタソース、 ドレッシング H17. 4.10 28 t-ブチルヒドロキノン 植物油、バター,魚介乾製品、魚介冷凍品、菓子類 H27.12.10 29 エリソルビン酸及びアスコルビン酸 食品全般 H21. 8.14 30 プロピオン酸 食品全般 H21. 8.14 31 フェロシアン化合物 食塩 H21. 8.14 32 シアン化合物 タピオカでん粉 H21. 8.14 33 ローダミンB 食品全般 H21. 8.14 34 臭素酸カリウム パン H21. 8.14 35 過酸化ベンゾイル 小麦粉、小麦粉製品及びはるさめ H21. 8.14 36 スーダンⅠ~Ⅳ 唐辛子製品 H21. 8.14 37 カドミウム 玄米 H23. 1. 12 38 カドミウム 玄米及び精米 H23. 12.15 39 合成保存料(3種)及び甘味料(2種) 食品全般(チューイングガムを除く)乳酸菌飲料(殺菌したものを除く)及び チューインガムを除く) H27. 7.30 40 合成甘味料(サッカリン、アセスルファムカリウム及びアスパルテーム) 食品全般(チューイングガムを除く) H27.9.17 着色料検査の実際 <検体受付> <遠心分離> <サンプリング> <ポリアミドへ吸着> <抽出> <薄層クロマトグラフィー> 食品収去検査(理化学検査)規格基準違反項目 ○印:国内産 年度 H 17年度 食品 項目 輸入菓子 2検体 TBHQ(添) 0.11 違反率(%) H 18年度 ローヤルゼリー ○レタス クロラムフェニコール(動) ホサロン(農) 0.11 H 19年度 ○食肉製品(ウインナー) 輸入カップ麺 ○春菊 亜硝酸ナトリウム(添) ポリソルベート(添) ホスチアゼート(農) 0.17 シアン化合物 安息香酸(添) 0.24 H 20年度 キャッサバ加工品 3検体 輸入調味料 H 21年度 ○しょうゆ 安息香酸(添) 0.06 H 22年度 ○スルメソーメン ○さくら餡 二酸化イオウ(添) 二酸化イオウ(添) 0.12 H 23年度 H 24年度 ○煮豆 二酸化イオウ(添) - 0.05 H 25年度 - - ― H 26年度 - - ― H 27年度 缶詰(カレー) TBHQ(添) 0.09 平成28年度 検査項目 国内産食品 検体数 微生物検査 食品収去検査計画 輸入食品 項目数 検体数 合計 項目数 検体数 項目数 1,200 3,600 80 100 1,280 3,700 残留農薬 270 40,500 100 15,000 370 55,500 (県内産農産物) 250 37,500 - 250 37,500 食品添加物 150 1,500 300 3,000 450 4,500 動物用医薬品 280 11,200 70 2,800 350 14,000 アレルギー物質 350 350 - 350 350 5 5 5 5 102 102 遺伝子組換え食品 - - - - 5 5 自然毒(シアン化合物等) 5 5 - - 汚染物質(カドミウム等) 10 10 - - 100 200 放射性物質 2 2 :前年度の計画との比較 食品GLP(Good Laboratory Practice) ・「優良試験所規範(基準)」 ・「業務管理」(①組織、②検査室等の管理、③機械器具の管理、④試薬 等の管理、⑤動物の管理、⑥有毒又は有害な物質及び危険物の管理、⑦試験品 の取扱い、⑧検査の操作等、⑨検査等の結果の管理、⑩検査結果通知、⑪試験 品の保存、⑫内部点検、⑬精度管理、⑭外部精度管理、⑮データの作成、⑯標 本、データ等の保存) ・「食品衛生法」 第29条、施行令8条、施行規則37条 ・行政機関は平成9年に導入 →約20年近くが経過して・・・ 試験検査の信頼性を確保するために ①適切に管理された施設,設備,機器類を用いて、 ②十分トレーニングされた職員が、 ③妥当性評価された試験法を用い、 ④標準作業書(約118種)に則って、 どのような手続きとルールに従って処理をするのかを定めた文書 ⑤検査を実施し、 ⑥その結果を記録・報告・保存する。 ★★★ 試験によって得られた「分析値」 行政措置・処分の判断材料!!! ★★★ 精度管理担当の役割 精確さとは? ・食品微生物担当 <真度 精度 > <真度 精度 > <真度 精度 > 保健所等へ相談があった食品の原因究明 検査実施件数の年度別推移(理化学検査) H20.1.30 中国製冷凍ギョウザ事件 H25.12.30 アクリフーズ事件 (件数) その他 異物 異味・異臭 農薬 70 60 50 40 30 20 10 0 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 (年度) 相談事例1(有症苦情) 自分で採取した山菜(野草)を喫食後、体調不良により救急搬送された。 <有毒成分の機器分析> スコポラミン アトロピン 100 % % 100 0 0 2.00 4.00 6.00 8.00 100 2.00 4.00 6.00 8.00 2.00 4.00 6.00 8.00 % % 100 0 Time 2.00 4.00 6.00 8.00 0 Time 厚生労働省:「自然毒のリスクプロファイル」より 相談事例 2 学校給食で出されたガラス瓶入り牛乳: 「味がいつもと違う」 「バターのような臭いがする」 職員の官能検査: ・「古くなった牛乳の臭い」 ・「ひなびた臭い」 ・「干し草のような臭い」 ・「異常を感じない」 推定原因 ・ 製造メーカーで冷蔵倉庫内の照度を上げるため,照明の一部にハロゲン灯を使用していた. ・ ハロゲン灯直下に光を透過するガラス瓶入りの牛乳を約40時間,保管したことにより,揮発性物質が生じたも のと推測された. ア ハ ゙ ン タ ゙ ン ス T 3 6 0 0 0 0 3 4 0 0 0 0 I C : 1 0 3 0 - 0 0 7 .D ペンタナール 3 2 0 0 0 0 *不飽和脂肪酸が酸化 3 0 0 0 0 0 *含硫アミノ酸から生成 2 8 0 0 0 0 2 6 0 0 0 0 ジメチルジスルフィド 2 4 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 ヘキサナール 2 0 0 0 0 0 1 8 0 0 0 0 1 6 0 0 0 0 1 4 0 0 0 0 1 2 0 0 0 0 1-ペンタノール 1 0 0 0 0 0 8 0 0 0 0 6 0 0 0 0 4 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 T im 4 .0 0 5 .0 0 6 .0 0 7 .0 0 8 .0 0 9 .0 0 1 0 .0 0 1 1 .0 0 1 2 .0 0 1 3 .0 0 e - - > 苦情品のマスクロマトグラム 1 4 .0 0 事例検証 場所 主光源 光源からの距離(m) 照度(ルックス) 1* ハロゲン灯 1.9 3,120 2 3 4 ハロゲン灯 蛍光灯 4.4 6.4 2 625 422 490 なし - 0 ハロゲン灯 5** *:苦情発生時と同じ条件 **:同一冷蔵庫内に,遮光して保存 0,24,48,72及び96時間後の 異臭原因物質を分析,官能検査実施 照射時間と異臭物質生成量 (ハロゲン灯から1.9Mの位置(苦情品と同一条件) 18 ペンタナール 濃度(ppb) 16 14 ジメチルジスルフィド 12 ヘキサナール 10 ペンタノール 1-ペンタノール 8 6 4 2 0 0 24 48 時間(hour) 72 96 異臭原因物質の検出量(ppb) 対象物質 苦情と同一条件 (ハロゲン灯有: 3,120ルックス) 対照品 (ハロゲン 検出限界 灯無) ペンタナール 6.9 1.6 0.5 ジメチル ジスルフィド 0.8 0.1 0.1 ヘキサナール 5.5 1.3 0.5 1-ペンタノール 2.5 N.D. 1.0 揮発性物質の生成には照度が重要な要因である. 相談事例 3 和菓子を食べたら、白あんから薬品のような異臭がした。 職員の官能検査 ・「プラスティック臭」 <検査項目> 保存料(安息香酸・デヒドロ酢酸・ソルビン酸)、界面活性剤、 漂白剤(二酸化硫黄・亜硫酸塩類)、 臭気分析 <結果> ソルビン酸及びトランス-1,3-ペンタジエン (プラスティック,樹脂製造の原料)を検出 臭気分析(GC-MS) MSスペクトル 苦情品 ライブラリ検索 トランス-1,3-ペンタジエン 参考 O ソルビン酸 (白あんの基準値: 1.0g/kg) OH 真菌等により、 ソルビン酸から トランス-1,3-ペンタジエン が生成される 報告あり ・ペニシリウム属真菌を単離、同定 ・どのような条件(温度、pH等)で 生成するか再現実験 調査研究:残留農薬一日摂取量調査 ・目的:日常の食事を介して摂取される農薬等の量を推定 ・参加機関:16地方自治体の衛生研究所(埼玉県実施) ・実施方法:国民栄養調査の食品分類(14群)に食品を分類。各地域別食品 群別摂取量となるようにモデル献立を作成(約200品目の食品) 通常行われている調理法に従い、調理した後の農薬量を分析 農薬名 平均一日摂取量 (μg) 対ADI比 (%) ADI (μg/53.3kg体重/日) アセタミプリド、アセフェート、アゾキシストロビン、イ プロジオン、イマザリル、イミダクロプリド、エトフェン プロックス、オキシテトラサイクリン、クレソキシムメ チル、クロチアニジン、クロルピリホス、クロルフェナ ピル、シアゾファミド、ジノテフラン、シプロジニル、シ ペルメトリン、チアクロプリド、チアベンダゾール、チ アメトキサム、チオジカルブ及びメソミル、トルフェン ピラド、ピラクロストロビン、フェンプロパトリン、フル フェノクスロン、プロシミドン、ボスカリド、メタラキシ ル及びメフェノキサム 29(30)農薬 0.07~4.64 0.009~2.8 128~19,188 厚生労働省:「(平成26年度)食品中の残留農薬等一日摂取量調査結果について」より 開かれた衛生研究所 ★衛生研究所を県民の皆さまに身近に感じていただくきっかけとなるよう、広報活動を行っています。 えいけんオープンデー H27年8月20日(木) (1)県民公開講座 「ヒトらしい歩き方で健康なカラダづくりを目指しましょう」 大東文化大学教授 琉子 友男 先生 62名参加 親子48名参加 (2)夏休み親子科学教室 お菓子の着色料を調べてみよう ~身近なお菓子から着色料を取り出す実験~ ★専門性の高い研究機関の特性を生かして、医療イノベーション埼玉ネットワークへの参加や インターンシップの受入れ、研修、大学や企業等との共同研究などを行っています。 インターンシップの受入れ ◆平成27年8月24日(月)~8月28日(金) 東京薬科大学 薬学部5年生 1人、北里大学 薬学部5年生 1人 研修の受入れ ◆平成27年5月29日(金) 日本薬科大学 薬学部1年生23人 ◆平成27年11月11日(水) 埼玉医科大学 医学部4年生25人 緊急時対応 ・国や関係自治体と協力し,全国的な 食品事件等に迅速に対応 効果的な収去検査 ・検査対象食品,検査項目の選定につい ては流通量,使用量,違反率,毒性等を 考慮 ・迅速で精度の高い分析 技術力 正確な情報提供 ・県民への速やかな情報提供→安心 ・国,関係自治体への情報提供により 不良食品の市場からの排除 検査の信頼性の確保 情報収集