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第1回 「企業発ベンチャー創出研究会」要旨

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第1回 「企業発ベンチャー創出研究会」要旨
第1回 「企業発ベンチャー創出研究会」要旨
(企業内ベンチャー推進協議会2007年8月例会)
日時: 2007 年 8 月 2 日(木)
18:00∼20:00
場所: TKP東京駅八重洲ビジネスセンター
出席者:38 名
主な内容:
1.研究会発足にあたり
挨拶:企業内ベンチャー推進協議会 会長 山口 義行(立教大学経済学部教授)
・ 『企業内ベンチャー推進協議会』は、企業内ベンチャーを起こし成功している人との接触を身近に感じてもらう
為、またそれを受けて大企業がインフラを整備し、更なる企業内ベンチャーが 誕生して欲しいとの思いから立
ち上げた。
・ これまで3年間、2∼3ヶ月に 1 回は協議会を運営してきたが、今年度は関東経済産業局と当協議会と協力して
実施する運びとなった。仲間が広がり、今まで以上に情報交換が出来る良い会を作りたい。
挨拶:経済産業省 関東経済産業局 地域経済部 新規事業課長 三宅 伸
・ 当局では、関東甲信越静の1都10 県の地域活性化を主たるミッションとしており、企業発ベンチャーの推進も活
性化支援の一環。
・ 企業発ベンチャー制度は、場を提供する会社にとっても、企業を起こす側にとっても、双方のメリットがあるにも
関わらず、実際は互いに情報が少なくて、うまくいっていないという課題が平成 18 年度の当局調査において、
浮き彫りになった。
・ 平成19年度は、係る課題を解決するため、企業側、起業したい側、支援側が各々情報交換出来るような機会
やネットワークが作れるような機会を実験的に作る事にした。
・ 企業側に立つ皆様を主体として、この研究会は企業内ベンチャー推進協議会のお力を借りて年度内に 4 回開
催する予定。
2.講演:「あの新規事業は、今」
株式会社ジェイティービーコーポレートソリューションズ CLM 事業部長 上田 泰志 氏
・
株式会社ジェイティービーコーポレートソリューションズは、JTBを親元企業として、2007年4月に設立され
た企業発ベンチャー。
・
平成16年11月「企業内ベンチャー推進協議会 定例会」において、発足まもない新規事業として、上田氏にご
発表いただき、そのビジネスモデルについて、参加者でディスカッションをした。
今回は、その後、新規事業はどのような形態でどのように運営されているのか、経過も含め、再びご発表いた
だく。
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講演要旨
<株式会社ジェイティービーコーポレートソリューションズの概要>
・ 株式会社ジェイティービーコーポレートソリューションズ(以下当社)の事業は、Customer Loyalty(カ
スタマーロイヤルティ)を育む事を通じて、総合的に支援を行うマーケティング事業である。当社の掲
げる Customer Loyalty とは、絆、支持する意識、つながりの気持ちを表している。
人は何故か①ついそれを選んでしまう、②人に薦めたくなる、③次も利用しようかなぁという気分に
なる、④ずっとつきあっていたいなぁという気持ちになる。そんな 『つながり(Loyalty)』を可視化し、
強める支援を行うことをドメインとしたビジネスモデルを構築している。
・
ジェィテービー(以下JTB)勤務時代には、会員向け宿泊プランやパッケージツアー、コールセンタ
ー付専用旅行等を扱っていたが、いつからか旅行があくまで手段に過ぎない状態となっている事に
気づいた。カード会社がカードの請求書に無料で広告を折り込んで下さった事があったが、なぜ、カ
ード会社は無料で折り込んでくださったのか。そこに意味があるはずという考え方が、当社のビジネ
スモデルの発端である。CS調査やCRM手法、マーケティング広告等では見えない優良な取引を
長期間続けてもらうノウハウ自体がビジネスになると確信した。
・
課題の整理からコンサルティング(P)、好感体験の具体的な取組み(D)、検証(C)、改善点の整理
から実行(D)までをワンストップで全て対応できる事、つまり PDCA サイクルを回すという作業を当
社 1 社で完結させる事が出来ることを当社の強みとしている。
<親会社との関係>
・ 当社の親会社は株式会社 JTB である。JTB のブランドを活用できるため、ブランドの価値、つまり
JTB というブランドにより相手が大企業でも会うことが出来るものの、話をしてみると「“旅行会社”で
ある JTB には、ブランド価値構築は任せられない」と言われるなどジレンマもあった。
・
「JTB は単なる旅行会社ではない。好感体験をプロデュースする事によって顧客長期化&優良化を
実践する会社である」と言い切る事で、更なる信頼を獲得した。
・
職員には JTB プロパーと中途採用がいる。プロパーも中途採用者も大事、JTB だけを知っていても、
JTB を知らなくてもダメ!という方針で臨んでいる。中途採用者は、コンサルタント会社や広告代理
店、元モチベーショントレーナー等からの転職者がいる。
3.質疑応答(一部抜粋)
Q: 起業前の市場調査の有無やその程度について教えてください。
A: 当時の電通総研の資料で世の中の広告宣伝費が 5 兆円規模とあったのを受け、イノベーション段階
では広告宣伝費の 5%は、カスタマーロイヤルティマネジメントを行うマーケットがあるのではない
かと考えました。また、立ち上げ時には既に 1 つめのプロジェクト受注があったことで、成功の確信
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がありました。このような状況の中、特段の市場調査は行いませんでした。
Q: 入り口段階での JTB からの出資やその他支援は、どのくらいありますか。
A: JTB は 100%出資するなど、資金支援を行っています。JTB 本体に対する貢献という意味では、当初
の投資額を返済できたとは未だ思っていません。
Q: 出口段階(イグジット)戦略は、どのように考えていますか
A: 当面はJTBブランドから抜け出す予定はありませんが、業務の「ロイヤルティ」や「絆づくり」を活かし
た形での分かりやすい社名にしたいと思っています。イグジットの方向性については正直定まって
おらず、JTBの傘下でいくのか、MBOなどの選択を考えるのか、未だ見えていません。
Q: なぜJTBの傘下にいることにこだわるのですか。他のコンサルタント会社などの下請けに入った方
が効率的ではないですか。
A: JTBはリテールマーケットを対象とする商売柄、エンドユーザーの気持ちに立てる会社です。その
ブランドイメージを活用する意味でも、JTBの下に残る意味は大きいと思います。また、JTBグルー
プ全体としての広告として当社が活用できるという逆の側面もあります。当社の成功が結果としてJ
TBブランドを高め、客寄せ効果がある事も否定できません。JTBの他のグループ会社への良い刺
激を与えるという政治的目的も有ります。
また、本体から客の紹介を受けられるメリットは捨て難く、旅行と関係のないところで利益をあげら
れると思いました。
以上
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