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第 44 回 独立行政法人理化学研究所 横浜事業所研究倫理委員会 議事

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第 44 回 独立行政法人理化学研究所 横浜事業所研究倫理委員会 議事
第 44 回
独立行政法人理化学研究所
横浜事業所研究倫理委員会 議事録
日
時:平成 25 年 5 月 30 日(木)10:00~12:00
場
所:独立行政法人理化学研究所東京連絡事務所
出席委員: 北川
昌伸
東京医科歯科大学大学院
教授(委員長)
井川
陽次郎 読売新聞東京本社論説委員会
論説委員
佐谷
秀行
教授
高木
美也子 日本大学総合科学研究所
教授
田村
京子
昭和大学富士吉田教育部
教授
大野
博司
理化学研究所
慶應義塾大学医学部先端医科学研究所
統合生命医科学研究センター
粘膜システム研究グループ
鈴木
治和
グループディレクター
理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター
機能性ゲノム解析部門オミックス応用技術研究グループ
グループディレクター
欠席委員: 野村
茂樹
奧野総合法律事務所
莚田
泰誠
理化学研究所
辯護士
統合医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター
立会い : 加藤
孝男
理化学研究所横浜事業所
所長
事務局
: 山本
行彦
理化学研究所横浜事業所安全管理室
室長
田口
一徳
理化学研究所横浜事業所安全管理室
須永
絵理
理化学研究所横浜事業所安全管理室
岩佐
幸美
理化学研究所横浜事業所安全管理室
1.委員長互選、委員長代行指名
2.報告事項
・迅速審査結果について
・ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正について
3.検討事項
・迅速審査で対応する課題についての検討
4.審査事項(研究計画 新規 5 件、変更 1 件)
【H25-1】「組換え型スギ花粉症ワクチンの実用化に関する研究」
統合生命医科学研究センター
理研-鳥居連携研究チーム
上級研究員 藤村孝志
【H25-2】
「新生児に対する皮膚バリア機能保持・シンバイオティクス投与によるアトピー
性皮膚炎・食物アレルギー・アレルゲン感作の予防に関する並行群間無作為化
比較試験」
統合生命医科学研究センター
粘膜システム研究グループ
グループディレクター 大野博司
【H25-3】「新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬研究」
統合生命医科学研究センター
恒常性ネットワーク研究チーム
上級研究員 西田圭吾
【H25-4】
「進行胃癌患者を対象としたスルファサラジンの第Ⅰ相試験: スルファサラジン
及び代謝物スルファピリジンの体内動態に影響する遺伝子多型の解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
【H25-5】「The role of human leukocyte antigen (HLA) in drug-induced adverse drug
reactions」
統合生命医科学研究センター
国際ゲノム連携研究チーム
チームリーダー
Ming Ta Michael Lee
【H17-16(20)】「オーダーメイド医療開発プロジェクト」
統合生命医科学研究センター
副センター長
1
久保充明
開会に先立ち、理化学研究所横浜事業所
1.
所長
加藤より挨拶があった。
委員長互選、委員長代行指名
事務局:委員長の選任をお願い致します。
研究倫理委員会設置細則第 4 条第 1 項に定めるところにより、委員長は互選によ
り選任することとなっております。
立候補あるいはご推薦を頂けますと幸いです。
田村委員:北川先生に従来通りお願いできればと思います。
事務局:よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
事務局:それでは、北川委員が委員長ということでお願い致します。
北川委員長:東京医科歯科大学の北川でございます。引き続きよろしくお願い致します。
2.報告事項
・迅速審査結果
事務局:迅速審査結果について報告致します。時間の都合がございますため、詳細につい
ては本日配付した資料 1 をご確認下さい。
平成 25 年 3 月 14 日に平成 24 年度第 11 回迅速審査が行われました。計 141 件
の変更申請がございましたが、これらは全て横浜研究所研究倫理委員会運営規則
第 4 条第 7 項の「既に承認されている研究計画の軽微な変更」に該当すると判断
されまして、審査頂いた結果、承認となりました。
今回は申請件数がとても多くなっています。その理由としては、現在横浜地区で
行っているほとんどの研究計画について、研究期間を理研における中期計画の期
間に合わせて設定しておりましたため、今般の第 2 中期計画終了時期に期限が切
れるものが多数あったためです。簡単ですが報告は以上です。
北川委員長:どうもありがとうございました。今回は非常に件数が多いということで、内
容については資料をご覧頂きたいということですが、いかがでしょうか。全て軽
微な変更に該当しますが、よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
では、お認め頂いたということで進めさせて頂きます。ありがとうございまし
た。
それでは、報告事項の 2 番目「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の
改正について」も、事務局で説明をよろしくお願い致します。
・ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正について
事務局:本日お配りした資料 2 の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の新
旧対照表をご覧下さい。また、お手元にございますファイルの最初に「ヒトゲノ
ム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」と「Q&A」を挟んでおりますので、必要
2
に応じてご参照下さい。
まず、平成 25 年 2 月 8 日にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針改正
が告示されまして、4 月 1 日付で施行されています。
変更内容としては、1 つ目は既存試料・情報の使用に関しての変更がございまし
た。対照表の 46 ページから 49 ページをご覧下さい。従来は既存試料に関しては
A、B、C 群と分類されて、それぞれに使用要件が定められておりましたが、今般、
その分類が無くなり、既存試料・情報を利用する際には、原則として当該研究へ
の利用に対する同意を得ることが規定されました。また、同意を得ることができ
ない場合の使用要件も定めております。
それに対応して、研究計画書及びインフォームド・コンセントに試料・情報が将
来他の研究に使用される可能性等について明確に記載することが求められており
ます。こちらは 19 ページ(3)及び 26 ページ(3)が該当箇所となっております。
遺伝情報の開示についてですが、ヒトゲノム・遺伝子解析研究により得られる遺
伝情報については、提供者の健康状態等を評価するための情報として、精度や確
実性が十分でない場合があることとか、偶発的な所見が発見される可能性等につ
いて、当該情報の開示の方針を定めるとともに、提供者からインフォームド・コ
ンセントを受ける際には、当該方針を説明して理解を得ることなどを規定してお
ります。対象ページは 34 から 35 ページ(2)(3)です。
45 ページの遺伝情報の取り扱いに係る安全管理措置に関して、新たに規定が設け
られました。また、前回の委員会でもご説明しましたが、40 ページの迅速審査要
件も変更となっております。
簡単ですが以上で終わります。
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問あるい
はコメントはございますか。
既存の試料に対しても新たにインフォームド・コンセントを取らなくてはいけな
いことになっているけれども、とれない場合についてはどこに書いてあるのでし
ょうか。
事務局:46 ページから 49 ページが該当します。原則としては当該研究のためにインフォ
ームド・コンセントを得ることになっておりますが、試料・情報等が連結不可能
匿名化されている場合ですとか、対応表を有していないといった場合には、同意
を得られていなくても、機関で承認されていれば使用ができることになっており
ます。
北川委員長:この使用の内容といいますか、解析の内容については一切問わないというこ
とですか。
事務局:こちらは将来の研究に関してはあらかじめ計画書に書いておく必要がございます
が、元々計画書に書いてあれば新たに同意を得ることは必要無いということです。
北川委員長:今回もあると思いますが、新たに全ゲノムを解析したいというような時に、
3
もうインフォームド・コンセントをとれない場合も多いだろうと思います。それ
に対する回答は何かあるのでしょうか。
事務局:そういった場合は連結不可能匿名化するか、もしくはこのような研究に使用しま
すというようなことを公表とか通知することによって、本人が知り得る状況にす
るということです。
北川委員長:分かりました。ありがとうございました。他に何かご質問等ありますか。
その改正をまとめたものも何か 1 つ頂けますか。
事務局:すみません。今回は用意していないのですが、次回は用意するように致します。
ありがとうございます。
北川委員長:よろしくお願い致します。他に何かご意見等ございますか。
それでは、議事次第 2 の検討事項について、こちらも事務局からご説明をよろし
くお願いします。
3.検討事項
・迅速審査で対応する課題についての検討
事務局:先程、指針の改正についてご説明しましたが、ヒトゲノム指針において迅速審査
要件が変更となっております。これに伴い、前回委員会で横浜事業所研究倫理委
員会運営規則における迅速審査要件を変更し、類型化されている研究計画に関し
て文言が削除されました。この件に関してヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針
に関する専門委員会の委員で、理研和光の倫理委員でもある武藤香織先生に見解
をお聞きしたところ、類型化されている研究計画についても従来どおり迅速審査
で対応することが可能という意見を頂きましたので、当委員会においてもそのよ
うに対応したいと考えております。
この件に関して委員の皆様にご意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
北川委員長:ありがとうございます。それでは、何か委員の先生方でご意見のある方はい
らっしゃいますか。
そうすると、本委員会の要件が少し減って、迅速審査のほうが増える傾向になる
ということですか。
事務局:今まで類型化されている研究計画ということで迅速審査にかけていたものはその
ままということです。
北川委員長:いかがでしょうか。
鈴木委員:私が審査を受けていた時には、ある程度大きなかたまりで、新たな実験計画を
行うような時には新規に出して下さいというお話があったと思います。どれぐら
いのところがこの線引きになるのでしょうか。類型化していれば全て迅速審査と
していいのか、それともこの委員会としては、この程度の規模だったら新たに出
すべきだという見解はあるのでしょうか。
事務局:計画書を出して頂きまして、まず事務局でも見させて頂くのですが、委員長のと
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ころにお持ちして判断して頂くことになるかと思います。
北川委員長:基準が(ないと)判断しにくい。
事務局:こちらはどの程度という明確な基準はまだ設けておりませんので、準備してまた
ご審議頂ければと思います。
北川委員長:明文化するのは難しいとは思いますが、基準を考えて頂くということでよろ
しいでしょうか。
鈴木委員:ありがとうございます。
加藤所長:私が質問するのは変ですが、要するに今の話は一度従来の迅速審査では類型化
されたものは迅速審査でよいと、この委員会の細則になっていたものが、今回の
国の指針の書きぶりが変わったので、そこの条項を一旦外した。
事務局:文言的に修正をしました。
加藤所長:だけど結局、よくよく考えてみると、類型化したものが迅速審査の対象である
こと自体は問題が無いということなので、基本的には従来どおりの運営をしたい
ということですよね。
事務局:はい、そうです。
加藤所長:そのように私は理解していました。したがって、細部についてそれがそもそも
類型化されているという考え方に該当するのかどうかは、確かに多分微妙なもの
があると思いますが、そこは基本的には従来と同様にお考え頂くという中で、微
妙なものがあればむしろここで議論して頂くような形にして頂いたらいいのでは
ないかと思います。
北川委員長:分かりました。ありがとうございます。
その他に何かご意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、審議事項に移らせて頂きます。
4.審査事項(研究計画 新規 5 件、変更 1 件)
【H25-1】「組換え型スギ花粉症ワクチンの実用化に関する研究」
統合生命医科学研究センター
理研-鳥居連携研究チーム
上級研究員 藤村孝志
北川委員長:最初の要件は、藤村先生に説明して頂きます。よろしくお願い致します。
(申請者入室)
藤村上級研究員:理研 IMS 理研-鳥居連携研究チームの実験責任者の藤村です。全部まと
めてありますので、ポンチ絵で説明します。
目的は新規スギ花粉症免疫療法ワクチンの安全性と反応性の確認ということで、
現在我々は鳥居薬品株式会社と共同でスギ花粉症の免疫療法ワクチンの開発を
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行っています。その安全性と反応性を確認するために、ヒトの材料が必要である
ということで対象疾患をスギ花粉症とし、必要とする検体をヒト由来の末梢血の
血清及び末梢血の単核球としております。
具体的にどの部分を理化学研究所でやって、どの部分を鳥居薬品でやるかという
ことですが、まずボランティアさんの募集は鳥居薬品で行います。鳥居薬品でや
ることとしてはボランティアを鳥居薬品の工場及び研究所の職員から自由意思
によって募集します。その募集した方の中から事前の血液検査で肝炎ウイルス、
HIV に感染していない、感染症を持っていない適合者をボランティアとして登録
します。そのボランティアの中から各試験について、試験の状況に適格とする人
は、今回の計画としては花粉症の患者さんで最大 150 名、対照として健常者(ス
ギ花粉症でない人)を最大 20 名予定しています。
その方たちに対してこういう試験、例えば血清を抜いてその抗体価を測定し、
スギ花粉のアレルゲンとの反応性を確認しますという説明を行って同意書を取
得し、鳥居薬品の工場に産業医が来所して採血を行います。
今、予定しているのは血清の採取の時には 6ml、
血中パラメータを測る時は 20ml、
末梢血の単核球を試験する時には 20ml 必要という試算をしていますので、最大
で末梢血 46ml を予定しています。
ただ、血清を使う場合が僕らは多いと思いますので、血清採取と血清パラメー
タということで大体 26ml の採血が多いと考えています。プラス末梢血が必要で
ある時にプラス 20ml で 46ml という予定です。
鳥居薬品内で連結不可能匿名化を行い、血清分離と PBMC(Peripheral Blood
Mononuclear Cell)の分離を鳥居薬品内で行って頂きます。血中パラメータの測
定も鳥居薬品で行ってもらって、その後、凍結血清と凍結 PBMC、血中パラメー
タ中の RAST 値というスギ花粉のアレルゲンに対する IgE の抗体価の情報のみ、
全て匿名化したものを理化学研究所に送って頂いて、我々はさらに解析するとい
う流れで考えています。
理化学研究所で行うこととしては、血清を用いてスギ花粉アレルゲン及び今開
発中のスギ花粉の免疫療法ワクチンに対する特異的な IgE 及び IgG 抗体価の測定
を考えています。これは IgE と反応すると、ワクチンを投与した時に副作用が出
る可能性が高いために、IgE と反応性を有していないことを担保するためにこの
実験を行います。
一方、PBMC ではスギ花粉アレルゲン及び今開発中の免疫療法ワクチンで、試
験管内で抗原刺激して、その細胞の増殖及びサイトカイン産生、活性化能、もち
ろん細胞毒性についても確認します。これについても細胞毒性の確認とスギ花粉
症のワクチンが実際にマウスで反応したとしても、患者さんで反応しないと将来
的に効かないことが予想されますので、PBMC に用いて、試験管内でちゃんとワ
クチンとして用いる抗原と反応することを確認するためにこの実験を行います。
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PBMC については実験ごとに使い切り、多少残ったものは全て滅菌破棄します。
血清は実験終了まで施錠可能な冷凍庫にて保管します。
得られた実験データ及び RAST 値のデータは、電子データですので PC 上に保
管するわけですが、PC を施錠可能な室内に設置して、その中で保管しようと考
えています。
血清抗体価、PBMC の解析結果は理研にて解析し、実験終了後は生体由来サ
ンプルは滅菌廃棄、デジタルデータは消去します。これはチームが終わった時に
全てこのサンプルはデータとともに処理することにしています。
理研で得られたデータに関しては、フィードバックとして解析データを鳥居薬
品と共有して、安全なワクチンの開発、有効性のあるワクチンの開発につなげる
というプランで実験を行おうと思っています。
以上です。
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメ
ント等ありましたらよろしくお願い致します。
そのボランティアの方から血液を採取して、事前の血液検査を行って、例えば
HIV とか肝炎ウイルスが陽性の方は、不適格として除外するということですか。
藤村上級研究員:不適格として鳥居社内のボランティアのデータベースから外れる形にな
ります。
北川委員長:解析結果等の開示のところで、開示しないことになっていますが、この時点
でウイルスに感染していることが分かったら開示してあげたほうがいいのではな
いですか。
藤村上級研究員:これがボランティア登録時に関しては、開示は「不適格な項目がありま
したのでボランティア登録されませんでした」という情報が、そのボランティア
の方にいきます。なので、何が不適格だったかというデータまではいくかどうか
分かりませんが、不適格な項目がありましたということで、健康診断を受けて下
さいとか、そういう情報のバックはいっています。それと臨床試験になった場合
のフィードバックは行われないということです。
高木委員:連結不可能にしていて問題は無いですか。
藤村上級研究員:連結不可能にして問題ありません。特に集団としての反応性がどのくら
い低い、高いということが分かればいいのと、あとはスギ花粉症の強い人がどの
くらい反応するか、スギ花粉症の弱い人はどの程度反応するかが分かっていれば
いいので、個人には関係無く、その人の症状と解析したデータがどうかという解
析が行われればそれでいいです。
田村委員:確認ですが、唾液は使わないのですか。
藤村上級研究員:唾液は本研究では使いません。
田村委員:説明書には唾液があります。
藤村上級研究員:鳥居薬品の大もとの契約書というか、鳥居薬品の倫理委員会の書類で、
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その下に個別の研究がきて、その個別の研究の1つが今、我々がやろうとしてい
るものなので、我々の研究では使いません。
井川委員:この class2 とか 3 というのはどう違うのですか。
藤村上級研究員:class2、3 というのは、鳥居薬品内で全てのスギ花粉抽出分に対する抗
体価をはかります。
井川委員:何を言いたいかというと、普通の人は、私はスギ花粉症っぽいという人を集め
て、そこでまずこの検査をして、class2 とか 3 とか分けて、該当する人というイ
メージですか。
藤村上級研究員:そうです。
井川委員:だから、一旦血液採取は、君は class2 でも 3 でもなくて気のせいという人まで
入ってきますか。
藤村上級研究員:臨床症状がある人はまずボランティアとして募集するので入ってきます。
井川委員:何を言いたいかというと、170 ではなくて振り落とされる結果、実は 300 とか
400 とかやらなければいけないケースもあり得る。そんなにいるかどうか別です
けれども。
藤村上級研究員:そうです。この社員さんが 150 名はいないので、結果としては最大 150
名から取って、例えばスギ花粉症の症状はちょっとあるけれども、RAST の値が
0 とか 1 という人は健常者に回ることになると思います。
井川委員:そんなに社員はいないのですか。
藤村上級研究員:聞いた話では、社員の方というか工場勤務と研究所の人は、300 人も 500
人もいるわけではないみたいなので。
井川委員:では、公募ではなくて強制じゃないか。本当に公募ですか。
藤村研究員:公募です。断っている人もたくさんいるという話です。毎年新入社員がふえ
ていきますから、その中で何人かいれば(できます)。
井川委員:新入社員に、入社したら必ずこれをやれよという条件みたいなことになりませ
んか。
藤村上級研究員:それはこの登録(申出書)を渡すだけです。
井川委員:いずれにせよこれは本当に 170 なのか。
藤村上級研究員:最大で 170 です。
井川委員:ボランティアとしてはもっといるんですね。
藤村上級研究員:はい。
井川委員:それとこれは臨床研究で将来的にこの効果を見て、その後のデータ次第で、実
際に販売までのスケジュールというのがよく見えないですけれども、その後また
本当に安全性の治験の手続きというのはまだまだ先ですか。
藤村上級研究員:まだまだ先で、実際の治療効果についてはもちろんヒトに投与してみな
いと分からないですが、例えばこれで IgE との反応性が非常に高いとなると、副
反応の可能性が高いということなので、それはもう少しモディファイしたワクチ
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ンを作らなければいけないし、どこかを改変しなければいけないというステップ
が、どうしても 1 段階入ってきます。
井川委員:反応性が高過ぎると危険感度が分かる。
藤村上級研究員:危険というか副反応の危険があるので。
井川委員:これは血液の反応だから、まあ、いいでしょうけれども。
藤村上級研究員:実際投与した時に危険になる可能性があるということになれば、もう少
しピュアリティの高いもの、もしくはどこかを改変したものを作製、マイナーチ
ェンジをしなければいけない必要があります。もしそういうことが生じれば、上
市するまでの期間が少し延びてしまうことになります。
井川委員:では、極めて重要なステップですね。
藤村上級研究員:極めて重要です。
北川委員長:他にいかがでしょうか。
高木委員:感染症検査の結果は本人に知らせるのですか。
藤村上級研究員:感染症の結果、どこかの項目に引っかかっていて不適格だというデータ
はいきます。
高木委員:どこかのというのは、これによって引っかかったということを(知らせるので
すか)。
藤村上級研究員:後ろから 4 枚目の様式③に、
「採血ボランティア登録基準適合状況通知
書」があって、そこに「採血ボランティアの登録基準に適合していない項目があ
ります」 という形でチェックが入って本人に渡ります。
高木委員:では、HIV に感染していますとかそういうのは教えるわけですね。
藤村上級研究員:
「確認することができます」と書いてありますので、問い合わせれば自分
で分かります。
井川委員:その class2、class3 と一緒にやってしまうのですか。
藤村上級研究員:これはその前に、採血ボランティアをやって……。
井川委員:採血ボランティアの対象をやって、それから class2、class3 はまた別に採血す
るのですか。
藤村上級研究員:その後の試験で class3 の人が欲しいということで、スギ花粉症の人を集
めて、その中で 3 以上の人が適合とされる。
井川委員:元々スギ花粉症の人を採血ボランティアに集めるわけですよね。
藤村上級研究員:いや、これは元々は研究所の人全員の中で、私はボランティアをやって
もいいという人にまず感染症のチェックをやって、その感染症のチェックをパス
した人がこのスギ花粉症の第何ワクチンなりというそれぞれの試験のボランテ
ィアに応募できる。
井川委員:2 段階選抜なんですね。
藤村上級研究員:そうです、そうです。
北川委員長:その他にいかがでしょうか。
9
井川委員:今ダニとおっしゃいましたが、ダニは関係あるんですか。
藤村上級研究員:ダニは僕らの研究では関係無いです。鳥居薬品自体は別の研究としてダ
ニもやっているので、そこはダニも使われることがあると思いますが、我々理
化学研究所との研究においてダニは関係無いです。
井川委員:では、このボランティアの人たちはスギの他にダニとか。
藤村上級研究員:ダニの人もいます。
井川委員:それこそ牛乳とか何か。
藤村上級研究員:牛乳は彼らはやっていないと思います、基本はダニとスギをやっている
ので、僕らと関係無いところでダニのワクチンの開発を進めているのですが、
そこでは感染症の検査をパスして今度はダニの人を(募集します)
。
井川委員:別のボランティア集団になるわけですね。
藤村上級研究員:少しオーバーラップしているかもしれないですけれども。
井川委員:もちろん。
北川委員長:これは鳥居薬品にとってはワクチン開発という意味で重要なステップで、利
益相反というか、鳥居薬品にとっては非常に利益が大きいと思いますし、利潤
にもつながるかもしれないような結果が出る可能性もあるわけですよね。
藤村上級研究員:そうですね。元々開発を目指している共同プロジェクトですので。
北川委員長:その辺は大丈夫ですか。
藤村上級研究員:ここに関しては、特許等に関しては全て包括的に共同研究契約を結んで
いますので、そこは問題無いと思います。元々の目的は鳥居薬品と理研で 1 つ
の免疫療法剤を上市することなので、そこは逆に上市されないほうが問題です。
北川委員長:それが前提でもう(やっている)
。
藤村上級研究員:上市することを前提でやっています。
井川委員:共同研究費とありますが、要は丸のまま鳥居さんのお金でやっている研究です
ね。
藤村上級研究員:そうです。
北川委員長:よろしいでしょうか。
それでは、少し議論しますので退席して頂けますか。
(申請者側退室)
いかがでしょうか。ワクチンの開発に向けての基礎研究という形ですが、何か
問題はありますか。
井川委員:若干ボランティアの公募が何かいま一つ。
北川委員長:パワーハラスメントでしょうか。
井川委員:いや、ただ拒否もできるとおっしゃっているのを信じて。
北川委員長:鳥居薬品さんのほうの基準というか、取り扱い規程みたいなのは結構ちゃん
と書いてあるみたいですね。
井川委員:そこを信じて。
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北川委員長:信じるしかないとは思います。
いかがでしょうか。では、承認ということでよろしいでしょうか。
では、お呼び頂けますか。
(申請者側入室)
北川委員長:ありがとうございました。
それでは今、委員の間で議論させて頂きましたが、そのボランティアの方の自
由意思というところはちょっと難しい。確認が必要かとは思いますが、それは
理研とは関係無いということですから、信じるということで承認とさせて頂き
たいと思います。どうもありがとうございました。
藤村上級研究員:ありがとうございました。
今リクエストがあったのですが、申請書の 3 枚目の<対象と人数>のところで
一部誤植がありました。その他の「アレルギー症状があり、スギ花粉に対する
IgE が class3 以上 150 名」の下に「class3 以下 20 名」となっていますが、そ
こは「class2 以下」です。
7 ページの「議事録等公開において(記載を)望まない項目」は「有り」にし
ていますが、情報としては鳥居さんの社内の倫理委員会の考え方とかそういう
のが結構含まれているので、鳥居さんとしてはできれば伏せて頂きたいという
ことで、公開を望まないところの「有り」に印をつけています。
北川委員長:そういう研究は前例もございます。
では、承認ということでよろしくお願い致します。
藤村上級研究員:ありがとうございます。失礼します。
【H25-1】「組換え型スギ花粉症ワクチンの実用化に関する研究」
統合生命医科学研究センター
理研-鳥居連携研究チーム
上級研究員 藤村孝志
○承認する
【H25-2】
「新生児に対する皮膚バリア機能保持・シンバイオティクス投与によるアトピー
性皮膚炎・食物アレルギー・アレルゲン感作の予防に関する並行群間無作為化
比較試験」
統合生命医科学研究センター
粘膜システム研究グループ
グループディレクター 大野博司
北川委員長:それでは 2 番目の要件【H25-2】
「新生児に対する皮膚バリア機能保持・新バ
11
イオティクス投与によるアトピー性皮膚炎・食物アレルギー・アレルゲン感作の
予防に関する並行群間無作為化比較試験」ということで、大野先生にお願いしま
す。
(大野 GD、説明者席へ移動)
大野 GD:よろしくお願い致します。資料は特に用意してございませんが、今ご紹介頂い
た「新生児に対する皮膚バリア機能保持・シンバイオティクス投与によるアトピ
ー性皮膚炎・食物アレルギー・アレルゲン感作の予防に関する並行群間無作為化
比較試験」です。
アレルギーは近年増えておりますが、特に新生児期から乳児期に感作されます。
特に皮膚感作が、大きな要因の 1 つになっているのではないかといろいろな研究
から言われております。あるいは、腸内細菌との関連も、いわゆる衛生仮説とい
うことで言われています。
ただ、今までは腸内細菌の場合には基本的に疫学的な研究が多くて、実際にどう
なのかという研究が系統だってされていませんでした。
そこで、葛飾赤十字産院でお産をされた新生児の中でボランティアを募り、4
つの群に分けます。1 つは何もしない、いわゆるコントロール群です。それから
プロバイオティクス、いわゆる善玉菌ということでビフィズス菌とビフィズス菌
のえさになるオリゴ糖を合わせてシンバイオティクスと言っていますが、このタ
イトルにもあるシンバイオティクスを投与します。
それから、皮膚は湿疹などがあると、そこから入って感作されることでアレルギ
ーになることが実験的には証明されていますので、セラミド・コレステロール・
遊離脂肪酸入りの保湿薬を使う群。
それから、
その両方を使う群と 4 群に分けて、
お母さんのどういう状態の糞便かがお子さんの糞便にも影響する可能性がある
ということで、母体とお子さんの糞便を採取します。
それとは別に黄色ブドウ球菌が皮膚湿疹などからつくことによって、アレルギ
ーを悪くするようなものがあると言われていますので、そういう菌がいるかどう
かの培養試験を行うことになっています。
3 ページ下段の研究方法に今言ったようなことが書いてありますが、そのうち
理化学研究所ではその糞便を用いて、腸内細菌叢の組成がどんな形になっている
かの検査を 16S ribosomal DNA の配列に基づいた分類法によって解析します。
疫学的な調査によって、例えばビフィズス菌が少なかったりするとアレルギーに
なりやすいのではないかというようなことが言われていますが、実際にそれを直
接お子さんの便で大規模に試されたことはありません。
取ったサンプルは一度千葉大学に全部いきますので、千葉大学から私どもに糞便
が送られてきて、それを解析して、そのデータをお返しするという計画になって
います。
HIV とか HB ウイルス等の重篤な母子感染が疑われるような場合は除外します。
12
その他は、例えばお母さんがアレルギーを持っていたとしても、そういうのは除
外しないことになっております。その他、診療していて、その担当のお医者さん
が不適格と判断した場合には除外されます。
対象が新生児ですので、自分ではもちろん同意ができないので、説明と同意は
お母さんかご両親にやって頂くという計画になっております。概略はそのような
形です。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等
を頂ければと思います。よろしくお願い致します。
これは千葉大学では臨床研究で介入するタイプの試験ですよね。
大野 GD:はい。
北川委員長:一応安全なものとは思いますが、新バイオティクスとかセラミドコレステロ
ール塗布薬みたいなものの有害事象みたいなことが発生した場合の対処は(どう
なっていますか)。
大野 GD:保湿薬については、逆にそれで湿疹が副作用として出るようなことがあると伺
っておりまして、その場合にはもう速やかに中止することになると思います。
北川委員長:理研とは関係無いですけれども、例えばそういう場合の補償とかそういうこ
とはどうですか。
大野 GD:恐らく無償で治療されるのでしょうか。
井川委員:保険に入ると千葉大の資料の 23 ページにあります。
北川委員長:補償保険に入られる見積もり中ということですね。
大野 GD:そうですね。
田村委員:理研に直接関係無いところで質問させて頂きます。葛飾赤十字病院では承認さ
れていますよね。
大野 GD:はい。
田村委員:お聞きしたいのは、いつインフォームド・コンセントを取られるか。どこかに
書いてあったと思いますが、妊娠中に取られるんですよね。いつ頃でしょうか。
お母さんにしたら元気な子が産まれて、それでこれに同意していて、当然その
研究に参加するつもりでいるけれども、医師から見て実は不適格だったとなると、
意に反して参加できないことになりますよね。その理由が(分からずに)不適格
だ、何か病気があったのかみたいな話になるとあまり良くないと思います。
27 ページの説明文書には、重篤な何かがある場合には入れませんと書いてあ
りますが、こういうものに引っかからないで恐らく大丈夫という時に、インフォ
ームド・コンセントを取って頂かないと傷つくのではないかとも思います。それ
から、お産はやはり何が起こるか分からなくて、例えば仮死状態で生まれたとか
何とかということになった場合は、実はあなたに同意はしてもらったが該当しま
せんというのは、傷つくのではないか心配です。そこがどうなのかというのが一
つ質問したいところです。
13
もう一つは、お母さんからもやはり便とか細胞を少し頂くようですが、これは
新生児用のインフォームド・コンセント文書で、お母さんの同意は無い感じがし
ます。お母さん自身からの採取に関する同意は子どもとは別だろうと思います。
もう倫理審査を通っているということなので、何か言うのも変ですが、読んで
いて不思議な気がしましたので、そこを伺いたいと思います。
これはやはり赤ちゃんに関する代諾者としてお母さんがサインするのであっ
て……。
大野 GD:ご自身の糞便とかということですね。
田村委員:そうです。もちろん同じあれ(同意書)でいいのですが、
(お母さん)本人から
取っているのもどこかこれに 1 行足して頂かないと、同意を得たことにならない
と思うので、葛飾赤十字病院で(同意を得る)
。
大野 GD:29 ページのスケジュールのところにはお母さんも書いてはあります。
田村委員:そうですが、厳密に言うと……。
大野 GD:同意書の内容がそうなっていないということですね。
田村委員:そうです。
大野 GD:説明には書いてあります。
田村委員:そうです。だから、1 行どこかにお母さんからの糞便等に関しては、本人が同
意していますというのが無いとまずいのかなと思います。これでもいいですか
ね。
井川委員:
「代諾者」がなければいいですけれどもね。
鈴木委員:最初の質問ではエントリーは出産前ですよね。
田村委員:そうなんですよね。それは確かに出産前に取っておかないと、恐らく最初の時
の便の採取とかできないですよね。
大野 GD:そうですよね。
田村委員:出産前に取っておかないと取れないことがあると思いますけれども、どうなの
か。いつお取りになるのかなと思います。
井川委員:現実的には前に取っておかないと話にならないですよね。
田村委員:ならないんです。できれば、できるだけ直前に取って頂いたほうが良いのでは
ないでしょうか。きついかな。
井川委員:どっちもどっち。
大野 GD:例えば、安定期の時にもう説明を終わって……。
井川委員:先生のご懸念の点は、対象から外れた時に精神的に傷つかれるのではないかと
いうことでしょう。
田村委員:はい。
大野 GD:それについては多分この相談窓口とかというところがあるので、そこで対応し
て頂くという感じでしょうか。
井川委員:理研として求められるとすれば、おやりになる時は、この対象にならないとい
14
う時に丁寧にお母さんにご説明して、むしろ支障について例えば……。
大野 GD: 対象にならない時は多分2種類で、例えばお母さんが感染されていた場合です。
お子様が何か重篤な、例えば仮死状態で生まれるとかそういう先天異常の重篤
なものがあったというようなことは、多分生まれてからと周産期にしか分から
ないと思いますが、もう一つの最初からお母さんが HIV とかという場合には、
そのまま除外されると思います。
井川委員:いろいろな事情を考えればきりがなくなるので、そういう場合に日頃にも増し
て丁寧にご説明して下さいということをあえてお願いするということ。
田村委員:それはそうです。研究者は対象者からはずすつもりでいて、そのことを本人に
話していなかったということが一番良くないので、そこを注意して頂きたいと
思います。
あともう一点は、先程のお母さんからの同意の部分が無いのではないか。
井川委員:可能なら代諾を取ってもらう。
田村委員:でも、新生児(子ども)に関してはお母さんが代諾するわけよね。お母さんか
ら取る部分はお母さん自身の(承諾が必要ではないか)
。
井川委員:説明文を見ると保護者の自由意思みたいなことが書いてあって、代諾を含むと
いうのもある。「氏名(代諾を含む)
」とする。
田村委員:そうすればいいんですかね。先生に直接関係無いことで申し訳無いですけれど
も、どちらにしてもそれがはっきりするようにということです。
大野 GD:ここで例えばお母さんの署名欄と代諾者としての署名欄が別にある。あるいは、
そこを両方併記するような形にするかということで、はっきりとお母さんの承
諾が分かるような形が必要だということですね。
田村委員:そうです。お母さん自身の分(の承諾)ということです。
佐谷委員:19 ページの元々の千葉大学の試験実施計画書の中の評価項目の中に、主要評価
項目は 1 歳までのアトピー性皮膚炎発症率とあり、副次評価項目の中には先生
方の解析が入っていないように思いますが、それはこの計画書を出した時点で
は、先生方の研究計画はまだ含まれていなかったということでしょうか。
大野 GD:そうです。いや、でも。
佐谷委員:通常は最初の研究計画書に書かれているべきかと思いました。
大野 GD:糞便の解析が書いていないということですか。
佐谷委員:はい。恐らく最初の研究計画書の中にこの項目が入っていて、理研での研究が
成立するのではないかと思います。最初の計画書の中に入っていないとすると、
その解析を行うという情報を患者さんに与えられないのではないかと思いま
した。
大野 GD: 評価項目に入っていないということですね。その下をずっと続けて見ていくと、
20 ページには便の採取と菌叢解析という文言は入っていますが、この 7.2 にも
それが無いとだめということですか。
15
佐谷委員:今回のいわゆるマイクロビオームの解析をされる目的が計画書の中に無い。
大野 GD:副次項目ではなく「観察及び検査項目
下記」というところには入っています
が、この書き方ではまずいということですか。
佐谷委員:いや、どうでしょうか。
大野 GD:私はどうなのか分かりません。
北川委員長:言葉は書いてありますが、評価をするとは書いていない。
大野 GD:評価をするとは書いていない。検査をするとは書いてあるということですか。
佐谷委員:ここには解析のために保存するということは書いていますよね。
大野 GD:そうすると、例えば培養は僕らでやるわけではありませんが、培養もやるとは
書いてあるけれども、評価には書いていない。例えば、そういうことになる。
佐谷委員:実際にこのデータを出されて、千葉大にお返しになるわけですね。最終的にど
ういう結果が出てくるか予想されているのでしょうか。
予想される結果については、かなり一般的な表現で書いてありますが、本当に
どういう結果が出てくることが今回の試験の Proof of concept になるのでしょ
うか。
大野 GD:私たちとしてはアレルギー児と非アレルギー児で、例えば菌叢のパターンが違
うのではないかと思っています。でも、結果としてはもしかしたら変わらない
という結果になってしまうかもしれない。それはやってみないと分かりません。
佐谷委員:そうですね。
大野 GD:今まで疫学的な見解から、例えばビフィズス菌の種類とか数が少ないとか、ビ
フィズス菌に限らず何か腸内細菌の違いを見出せるのではないか。もしそうい
うことがあれば、もっと積極的なそれを是正するようなプロバイオティクスを
推奨することができるとは思いますが、変わらないという結果ももちろん起こ
り得ますので、その場合には有意な差かなというような結果になってしまうか
もしれません。
佐谷委員:千葉大での評価項目は、ほぼ臨床的なものですよね。
大野 GD:そうです。
佐谷委員:千葉大で承認された文章に対して我々は何も言うことはできないですが、理研
で行われる計画が、千葉大の計画とどうつながっているかが明確に見えなかっ
たものですから、コメントさせて頂きました。
北川委員長:千葉大の書類を直すことはもうできないですからね。
佐谷委員:その通りです。
北川委員長:こちらの申請書に少しそういうことを書ける場所がありますか。
大野 GD:こちらの研究方法には菌叢解析を行うと書いてあります。
北川委員長:では、それをもってそのように読むということでよろしいですか。
佐谷委員:僕が懸念しているのは、千葉大の計画に書かれていないということは、患者さ
んにこの研究を行うことが知らされない可能性があり、それによって問題が生じ
16
ないかということです。
この委員会でこの研究を行うことに関して認めて、千葉大にその事項を追加し
て頂くことを研究者間で連絡しておいたほうが、将来的に問題にならないのでは
ないかと思いました。ですから、この研究は理研側では大きな問題は無いので認
める形にして、それからこういう意見が出たことをフィードバックされて、再考
して頂いたほうが良いのではないでしょうか。最終的に結果を公表する時に、問
題が起こってはいけないと思ったものですから。
大野 GD:分かりました。
田村委員:説明文書の 29 ページの 3)の「一部を外部機関(理研)に提供して検査をしま
す」というところに理研の名前が出てきていますが、「理化学研究所」ときちん
と書いて頂けるといいと思います。
もう一つは、同意書の宛先が無いのでどこに同意を出すのか、書類としては問
題ではないかと思います。これも理研とは関係無い話で申し訳無いのですが、同
意書の宛先が無い。
大野 GD:これは向こうが作ったものですが、普通はあるものですか。
田村委員:そうです。
大野 GD:説明者の所属は書いてありますが、これを誰あてに出すかということですね。
田村委員:そうです。そこをよろしくお願い致します。
北川委員長:では、よろしいでしょうか。
それでは、少し議論させて頂きますので、大野先生には申し訳無いですがご退室
頂けますか。
大野 GD:どうもありがとうございました。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。理研でやる部分についてはあまり問題は無かったかと思
いますので、こちらの分は承認ということで、千葉大にいくつかの点をお伝え頂
くということでよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
では、お入り頂いて下さい。
(申請者側入室)
北川委員長:ありがとうございました。
今、議論させて頂いて、理研としてはこのような計画でやって頂くというこ
とで承認ですが、千葉大学あるいは葛飾赤十字産院との間で、母親の同意書、宛
先の問題と、ご自身の糞便を採取することに関する内容が含まれた形の同意書に
してほしいということ。
それから、対象外になった方に対する説明を丁寧にやって頂きたい。これもお
伝えするだけですけれども。
それと評価項目等にいくつかの糞便検査の解析とその結果というようなこと
17
が書いていない。将来発表する時に齟齬(そご)が生じるといけないので、千
葉大にはその辺のことをフィードバックして、発表する際には気をつけて頂く
というようなことを連絡して頂きたい。
それから 29 ページの説明文書です。「理研」は「理化学研究所」とフルネー
ムで書いて頂きたいということです。よろしいでしょうか。
大野 GD:はい。
北川委員長:よろしくお願いします。
大野 GD:ありがとうございました。
(大野 GD は委員席へ移動)
【H25-2】
「新生児に対する皮膚バリア機能保持・シンバイオティクス投与によるアトピー
性皮膚炎・食物アレルギー・アレルゲン感作の予防に関する並行群間無作為化
比較試験」
統合生命医科学研究センター
粘膜システム研究グループ
グループディレクター 大野博司
○承認する
ただし、千葉大学および葛飾赤十字産院に以下の内容を伝えること。
1.同意書に宛先を明記して頂きたいということ。
2.同意書に、母親自身の糞便を採取することに関する記載を追加して頂きたいというこ
と。
3.同意を得たものの、出生後に除外基準に該当することが判明し対象外となった方には
十分な説明をして頂きたいということ。
4.説明文書にある「理研」という記載を「理化学研究所」として頂きたいということ。
5.千葉大学の実施計画書には糞便の解析に関する記載が無い旨指摘があったということ。
また、将来成果発表をする際に問題が生じることのないよう適切な対応をして頂きた
いということ。
【H25-3】「新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬研究」
統合生命医科学研究センター
恒常性ネットワーク研究チーム
上級研究員 西田圭吾
北川委員長:次の要件は【H25-3】「新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬研究」で、
西田先生にご説明頂きます。
(申請者入室)
18
事務局:追加の資料がございますので今から配付致します。
(資料配付)
北川委員長:西田先生、
【H25-3】について説明をよろしくお願い致します。
西田上級研究員:私は統合生命医科学研究センターの恒常性ネットワーク研究チームに所
属しております西田と申します。本日はよろしくお願い致します。
お手元の資料は「図」と書いてあるほうから説明させて頂きます。
今回は新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬開発に関して、ヒトの末梢血
を使った実験を行うに際して、研究倫理委員会に対して実験計画書を今回提出さ
せて頂きました。
説明に際して 1 点お願いがございます。今回の研究に関しては塩野義製薬株式
会社と共同研究を行って、将来的には特許申請を視野に入れておりますので、
今回ご説明する研究内容の詳細、または図に描いてある分子名といったものに関
しては、知的財産権の保護の対象になりますので、皆さんのご理解の程をよろし
くお願い申し上げます。
それでは(1、研究目的)について説明します。文章ではそこに書いてある 3
行ほどになりますが、詳細に関して簡単に左の図を用いて説明します。
私どもの研究チームにおいては、アレルギーの病態に密接に関係しているマス
ト細胞・好塩基球といった免疫担当細胞に着目して研究を行っています。この
FcεRI は、例えばスギ花粉とかそういったものを認識する抗原受容体ですが、そ
ういったようなものの刺激を受けると、最終的にはアレルギーの誘発に関係して
いるサイトカインといったような物質を生体内に出します。これが過剰に反応す
ると花粉症とかアトピーといったようなアレルギー疾患を発症すると考えられ
ています。我々の研究チームにおいては、この受容体を介する新規のシグナル伝
達経路を同定することに成功しました。
そのことから塩野義製薬と共同研究を行うことによって、このシグナル伝達経
路にかかわる分子の同定とその制御は、将来的にはアレルギーの創薬開発のシー
ズ(種)になるのではないかと考えて研究を行っており、そのような成果が期待
できると考えております。
ヒトの血液を用いてどういったことをするかが 3)です。これまでの研究は全
てマウスの細胞を用いていますので、最終的には人の末梢血を用いて好塩基球・
マスト細胞を取り出して、実際にこの我々が見出した新規シグナル伝達経路が、
ヒトでも観察されるのかを確認したいということが大きな目的です。それをする
ためにヒトの末梢血を使おうと考えております。
以上が研究内容です。それでは裏になります。
今回どういった流れで塩野義製薬から血液を頂いて、解析して、データはどの
ように流れていくのかを簡単に説明します。左側半分がシオノギ製薬でやって頂
く担当・共同研究部分です。右側が理研で私が責任者となってやっていく部分で
19
す。
まずシオノギ製薬社内に数百名の血液を採取してもよいというボランティア
希望者がおられるので、塩野義製薬のボランティア管理医師が定期健康診断等の
健康診断を考慮して 6 人を任意に抽出します。その 6 名に対して塩野義製薬の実
験担当責任者が研究内容を含めたインフォームド・コンセントを受けて、本人か
ら 30ml の採血を供与して頂く同意を受けます。
同意を得たボランティアの方から、1 回 6 名、トータルで 180ml になります
が、それらの血液を塩野義の研究責任者が理化学研究所にしかるべき措置を伴っ
て送付して頂き、理化学研究所において私がその末梢血から好塩基球やマスト細
胞を取り出し、先程言った新規シグナル伝達経路を観察することを考えておりま
す。
また、一部の実験に関しては、RNA を取り出してサイトカインの発現を確認
する予定です。
少し戻ります。実際に申請書類に書かせて頂きましたが、個人が特定できない
ように個人情報に関しては連結可能匿名化を用いて、理研にはその個人情報はい
かないように配慮しております。
また、得られたヒト試料に関しては、研究実施期間の来年 3 月 31 日まで保管
します。それが終わったら適切な処置をもって破棄する予定にしております。ま
た、得られたデータは私が所属している研究チームにおいて、しかるべき措置を
もって保管する手はずです。
また、この得られたデータに関しては、個人情報を特定できないような状況で
研究結果に関して塩野義製薬に公開して、研究の打ち合わせをして、次の採血の
方向性を考えていくといったようなスキームで考えております。
以上が、今回私が倫理委員会に提出させて頂いた研究計画案です。
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメ
ント等をよろしくお願い致します。
大野委員:RNA 発現、遺伝子発現量の測定というのは、具体的には何をするのですか。
西田上級研究員:ちょっと専門的になりますが、th2 型のサイトカインにのっているので
すけれども。
大野委員:いや、その手法。
西田上級研究員:リアルタイム PCR で定量的に発現量を確認しようと思っています。
鈴木委員:1 点、サイエンティフィックな話です。塩野義さんですと多分大阪が本拠地だ
と思いますが、採血された末梢血は宅急便とかそういった形で送って頂いて、そ
れを培養して使うということでよろしいですか。
西田上級研究員:そう考えております。
鈴木委員:採血してからどうしても少し時間が経つと思いますが、研究的には問題ありま
せんか。
20
西田上級研究員:それは大丈夫だと思っています。
井川委員:申請書の研究の意義及び目的の真ん中あたりに、「抗アレルギー薬として指摘
かどうか疑問の余地が残る」というのは適切かどうかとういことですよね。
西田上級研究員:「至適な濃度」とかの「至適」がこうなってしまったのではないですか。
井川委員:それはどういうことですか。
西田上級研究員:適切ということですよね。
井川委員:それとこの新規シグナル伝達経路というのは結構もう業界では有名なんですか。
西田上級研究員:有名ではないです。
井川委員:西田先生ご本人がおやりになられた研究ですか。
西田上級研究員:はい。
井川委員:もう業界では確立しているわけではなくまだ仮説段階ですか。
西田上級研究員:現象としては確立していますが、認知度としては広まっていないという
ことです。
井川委員:私も不勉強なので知らなかったものですから。
西田上級研究員:1 つだけ言わせて頂ければ、製薬会社の方に、そういうまだ誰も言い出
していない新しいシグナル伝達経路というのは、創薬のターゲットとしてはユ
ニークなものになるのではないかという興味を持って頂いて、今回の研究に至
っております。
井川委員:その新規シグナル伝達経路を欠く人はあまりアレルギーにならないとかそうい
うことは関係無い。
西田上級研究員:それを言われると非常に難しくて、委員にその話をすると申し訳無いで
すけれども、一般的にその新規シグナル伝達経路を欠乏してしまうと、アレル
ギーになる前に例えば低身長だったり味覚障害だったりとか。
井川委員:味覚障害はよく聞きます。
西田上級研究員:あと皮膚の疾患とかが出てしまって、実際にその人がアレルギーになる
かどうかという疫学的な調査はきっちりされていなくて、今のところ我々の研
究から推測すると、
(アレルギーに)なりにくいと想像していますけれども、ま
だ(分かりません)。
井川委員:アレルギーを云々する以前の問題ですか。
西田上級研究員:そうですね。まだその研究レベルまでいっていないということです。
北川委員長:他にいかがでしょうか。
高木委員:塩野義製薬の倫理委員会は 5 月 25 日ということですが、これはもう通ったの
ですか。
西田上級研究員:それは先方の担当者から報告を受けておりまして、承認されて承認書を
こちらに送って頂けることになっています。
高木委員:あと、私が見落としたのかもしれませんが、これは塩野義製薬と一緒にやるの
で、利益相反の記述が重要なことだと思いますが、それについての記述がなか
21
ったような気がします。
井川委員:研究計画申請書の 7 ページの 11.の「
(2012 塩野義創薬イノベーションコンペ)
」
というのは、塩野義の研究費だということですよね。
西田上級研究員:そうです。
井川委員:これだとまだ研究資金だから、そこは明確に書いたほうがいい。
高木委員:利益相反が起きていないというようなちゃんとした記述が何かどこかにないと、
共同研究というとまずいのではないか。
西田上級研究員:私の理解不足で申し訳ありません。具体的にはどういうトラブルという
か。
高木委員:今、言われたように研究資金が多額に来ているとか、どういう振り分けで使っ
ているとか、何かそういうことをどこかにきっちり書かれたほうがいい。
西田上級研究員:具体的には研究費の内訳とかですね。
高木委員:そうですね。
井川委員:これもさっきのものとダブってしまう。
西田上級研究員:答えになっているか分かりませんが、一応理研所内で塩野義と共同研究
契約を締結しています。まだ最終的には合意までいっていないのですが、そこ
で両者間でどういった研究をやるのかとか、得られた研究成果に対してどのよ
うに利益を分配するのかということは、今は共同研究契約の締結をしています。
高木委員:何かそういう記述をどこかにきちんと書かれておいたほうがいいと思います。
西田上級研究員:分かりました。ありがとうございます。
井川委員:だから、議事録も公開しないでということですよね。
西田上級研究員:議事録は公開の原則ということですが、最初に説明を受けた時に塩野義
製薬からお願いがありまして、具体的な分子名は隠すといいますか、伏せるよ
うに配慮して頂きたいということでお願い致します。
田村委員:こういう薬を開発するとかそういう研究の場合は、先生は学術論文に研究成果
を発表することはなさらないのですか。
西田上級研究員:将来的には致します。
田村委員:それは塩野義が許可したら発表するという形になるわけですか。
西田上級研究員:そうですね。最終的にはまた特許の関係があるのですが、その特許に触
れる場合は出せないのですが、塩野義が大丈夫だと言えば論文にするとか、発
表するに関してはいいと了承しますので、必要に応じて例えば論文にする、投
稿する、あるいは学会で発表する時に応じて、理研と塩野義と話し合って進め
ていくことになっています。
北川委員長:他はよろしいでしょうか。
井川委員:さっきから(言われている)分子名というのは、その機微なところはどこです
か。
西田上級研究員:新規シグナルと私が勝手に言っているのですが、そのシグナルを標的と
22
して創薬開発を行っていることを伏せてほしいということになっています。だ
から、一番上のタイトルでは「新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬研究」
と今回申請書には書かせて頂いています。
井川委員:分子名、分子名とおっしゃるから、何か構造が載っているのかと思ったらそう
いうことではない。
西田上級研究員:そういうわけでは無いです。
井川委員:この(机上配付資料の)図ですね。
西田上級研究員:はい。そうですね。この図そのものになります。これが一応最初のコア
となるアイデアになっております。
井川委員:すみません。私は全然分からないので(質問しました)
。
北川委員長:今のところは議事録から大体無くなるということですよね。
井川委員:いや、だから何を削除するのか認識しておきたいということです。
北川委員長:東京医科歯科大学にいるのですが、烏山先生がマスト細胞と好塩基球は全く
違う細胞だとおっしゃっているのですが大丈夫なのでしょうか。
西田上級研究員:いや、それは難しいですね。正直、私はマスト細胞をメインでやってお
りますが、
(その意見は)違うと思います。でも、烏山先生がそうおっしゃられ
たので……。
大野委員:もちろんいろいろな性質の違いはあるかと思いますけれども、片や組織のほう
にいて、片や血中にいるとか。
北川委員長:その他にはよろしいでしょうか。
では、退席して頂けますか。
西田上級研究員:ありがとうございました。
(申請者側退室)
井川委員:人にとっては秘密とは思わない人もいますよね。そもそもこの考え方は違うと
いう人もいるわけですね。
北川委員長:いかがでしょうか。軽微な修正はして頂くことになるかと思いますが、大筋
はお認め頂くということでよろしいでしょうか。
井川委員:軽微な中に入れておいて頂ければと思います。高木先生から利益相反が分かり
にくいというのは、この「その他」は研究費に入れにくい。コンペと書いてあ
ると何かちょっと(おかしい)。
北川委員長:ちゃんとした名前があるはずということですか。
井川委員:いやいや、本文を見るとコンペとか書いてあるので、本文を見れば分かります
が、そこのところをコンペによる研究費とか、イメージ的に(分かりにくいの
ではないか)
。
北川委員長:それではよろしいでしょうか。
では、お呼び下さい
(申請者側入室)
23
北川委員長:ありがとうございました。
それでは、申請書の誤植の「指摘」(至適)というところを直して頂くこと。
それから、研究費のところは「
(2012 年度塩野義創薬イノベーションコンペ)
による研究費」とかと分かりやすく明らかに書いてほしいということ。
それから先程にもあったのですが、理研と塩野義(塩野義)の間の共同研究
契約は、先程はもう締結されているということだったのですが、結んでいる最
中ということですので、利益相反が無いことを一応明記することを追加して頂
くことで、承認とさせて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
西田上級研究員:分かりました。ありがとうございます。
北川委員長:ありがとうございました。
【H25-3】「新規細胞内シグナル経路を標的とした創薬研究」
統合生命医科学研究センター
恒常性ネットワーク研究チーム
上級研究員 西田圭吾
○条件付きで承認する
条件:
1.研究計画書「1.概要
研究の意義及び目的」における誤植を修正すること。
(「指摘」
を「至適」もしくは「最適」と修正すること。
)
2.研究計画書「11.研究資金の調達方法」について、研究費名を明記すること。
3.研究計画書に、利益相反について明記すること。
【H25-4】
「進行胃癌患者を対象としたスルファサラジンの第Ⅰ相試験: スルファサラジン
及び代謝物スルファピリジンの体内動態に影響する遺伝子多型の解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
北川委員長:それでは、次は【H25-4】
「進行胃癌患者を対象としたスルファサラジンの第
Ⅰ相試験:スルファサラジン及び代謝物スルファピリジンの体内動態に影響する
遺伝子多型の解析」を大関先生にご説明願います。
(説明者入室)
大関研究員:よろしくお願いします。本日の研究課題名「進行胃癌患者を対象としたスル
ファサラジンの第Ⅰ相試験:スルファサラジン及び代謝物スルファピリジンの体
内動態に影響する遺伝子多型の解析」は、実施責任者は莚田になっておりますが、
実施者の大関から代理で説明します。2 ページをご覧下さい。
24
概要の(研究の)意義目的を抜粋してお話しします。胃癌のうち stageⅣの進
行胃癌もしくは再発の胃癌の予後は極めて不良であって、これらの患者に対して
は延命と症状緩和目的の化学療法が治療選択肢になります。
しかしながら、この化学療法を行った場合に効果が無い、また副作用で治療が
継続できなくなりますと、明らかに延命効果がある次の治療選択肢が現状は存在
していないことから、治療法の確立が重要な課題となっております。
ターゲットとして CD44v(CD44 バリアントアイソフォーム)を出しているの
ですが、癌組織中にある癌幹細胞が、その細胞中の活性酸素を低く保つことによ
って転移能などが確立されています。その活性酸素の低下にかかわるこの CD44v
が、細胞膜表面に保持するこのシスチンのトランスポーター(xCT)の保持にか
かわっていて、これが癌幹細胞に高発現していることによって、転移などに関与
していることが最近明らかとなっております。
今回、臨床試験を行うスルファサラジンですが、こちらの CD44v、正確には
xCT となりますが、そちらを阻害することによってこの癌幹細胞の増殖を抑制す
ることが期待されています。
これらの背景から本臨床試験では、進行胃癌患者に対するスルファサラジン単
剤投与の安全性を評価し、推奨用量を決定することを目的とした第Ⅰ相試験が策
定されております。
今回出しておりますのは、そのサブ試験としての位置づけになります。本研究
はサブ試験であり、スルファサラジン及びその代謝物スルファピリジンの薬物動
態の個体差の原因になる可能性がある遺伝子多型を解析し、試験薬であるスルフ
ァサラジン・スルファピリジンの薬物血漿中濃度、効果及び副作用発現との関連
を検討することを目的としております。
3 ページの研究方法ですが、共同研究機関である国立がん研究センター東病院
において、スルファサラジン投与、インフォームド・コンセントの取得、採血、
連結可能匿名化、個人情報・医療情報の管理まで行っております。
理研には匿名化された血液試料及び匿名化された臨床情報を頂き、血液試料か
ら DNA を抽出し、その DNA 中の NAT2 及び ABCG2 の遺伝子型をインベーダ
ー法及びもしくはダイレクトシークエンス法により判定し、薬物動態、効果、副
作用との関連を考察していきます。
対象者は、進行あるいは再発胃癌に対して標準治療を受けたが、増悪または副
作用により治療が継続できず、明らかに有効で延命効果があることが示される治
療選択肢が存在しない患者としております。
診断が確定している患者さん 6 名から 24 名を目安としております。また、本
人に対して IC が取得できるということで成人を対象としております。
6 ページにあるように、成人の癌の患者さん本人に IC を取りますので、
「代諾
を必要としない」にチェックがついております。また、7.解析結果等の開示で
25
すが、原則として開示しないが、本人から強い要望がある場合には研究倫理委員
会の承認を得て開示するとしております。
私からの説明は以上です。
北川委員長:ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、コメント等
をよろしくお願いします。
井川委員:1 点だけいいですか。この申請書の 2 ページの研究の意義及び目的の最後から
2 番目の段落に「単回投与」とありますが、これは「単剤」ですかね。
大関研究員:申し訳ありません。こちらは「単剤投与」です。
井川委員:
「単剤」ですよね。「単回」だと 1 回注射して終わりで、すさまじい研究という
感じがしました。
田村委員:3 ページの 2.の「<本人に直接の利益がもたらされるか>」で「いいえ」とな
っていますが、患者さんへの説明文書ではもしかしたら効くかもしれないみた
いなことが書いてあって、それでもやはり「いいえ」になるのですか。
大関研究員:ここで「いいえ」としているのは、本研究でやるジェノタイピングの遺伝子
型判定に関しての「いいえ」でして、インフォームド・コンセントの文書にござ
いますように、患者さんに対しては有益なこととして延命効果があるだろうとい
うことです。それは IC に示されております。
田村委員:分かりました。ありがとうございます。
北川委員長:他にいかがでしょうか。
がんセンターでもこれから開始するという理解でよろしいですか。
大関研究員:はい。がんセンターでは認可、承認を頂いております。
北川委員長:これから始まるんですね。
大関研究員:はい。
北川委員長:いかがでしょうか。佐谷先生はご専門ですが、何かございますか。
佐谷委員:本研究には僕が関与しているので発言することは控えさせていただきます。
鈴木委員:試料の保管は、一応調べた後に保管することにしておられると思いますが、こ
れは 2 つの遺伝子についての SNP 解析をした後、何か他の目的で使いますか。
大関研究員:それはございません。あくまで対象は 2 つの遺伝子型で、見るのはメジャー
であって、活性が明らかに影響を与えることを知られている遺伝子多型という形
になります。それと血漿中濃度を見た場合に、実際には濃度上昇などがあったに
もかかわらず多型が無いといった場合には、その遺伝子中の探索をシークエンス
後に行うのはございますが、他の遺伝子を見る予定はございません。
井川委員:スルファサラジン自体の作用の可能性はどこかに出ていましたか。
大関研究員:はい。こちらではなくて患者向けの IC の文書で、78 ページの「9.予測され
る不利益および副作用」に、頻度が高い副作用と、添付文書上に記載されている
副作用を一通り載せています。
井川委員:重篤なものはあまり無いですか。
26
大関研究員:頻度が不明で、血液症状のもので汎血球減少症などというものがありますし、
そちらの実際の副作用の評価でも別で扱っておりますが、その他皮膚症状で薬疹
などの強いものが出ますと、それは重篤となることがありますが、頻度はそれほ
ど高いとはいえません。
井川委員:肝機能障害は急性で何かありますか。
大関研究員:実際にはある程度投与量といいますか、濃度依存的に起こるもので、検査値
が上がるものですが、急性で劇症となるというケースの報告は私の知る限りでは
ありません。
井川委員:投与して劇症肝炎になってお亡くなりになるようなことが起きると、そういう
進行性の癌なのであれでしょうけれども。あれ、こちらに劇症肝炎が入っている。
大関研究員:こちらは頻度不明という形ですが、ケースとしてはあったということです。
井川委員:79 ページに劇症肝炎とある。
北川委員長:その他にはどうでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、大関先生、佐谷先生もご退室頂けますか。
(申請者側退室)
いかがでしょうか。申請書の「単回」を「単剤」に直すこと。
井川委員:すみません。不勉強でよく分からないのですが、こういうので劇症肝炎か何か
が起きてしまって、結構厄介なことになった場合は補償保険で見るのが通常です
か。多分そうだろうけれども、最近そこら辺の薬の副作用については、一般的な
見方は、こういう言葉が適切かどうか分かりませんが、かなり過敏になっている。
北川委員長:そうですね。
田村委員:これは研究の保険には入れないですよね。
北川委員長:研究の保険ですか。
田村委員:はい。研究に関する保険。
井川委員:これは治験になるのですか。
北川委員長:フェーズⅠですから治験ですね。
井川委員:臨床試験だから、臨床試験の保険に入るんですか。
北川委員長:そういうことになると思います。もちろん理研とは関係が無いとは思います
けれども。
井川委員:がんセンターでの臨床試験における通常の補償体制の中で処理される。
田村委員:これは抗癌剤ではないから入れない。癌は入れませんよね。
井川委員:臨床試験の場合は微妙だから、僕はそこが不勉強で、この間も……。
北川委員長:癌の場合は入れないのですか。
井川委員:癌の場合は進行性だと(入れない)
。ただ、一般的には……。
北川委員長:いや、ご本人が入るわけではなくて施設が(入る)。
井川委員:施設は入っているでしょうね。
田村委員:癌の場合は入れない。
(何か)ありますか。
27
大野委員:54 ページの一番下に、保険の範囲内で自己負担分が発生すると書いてあります。
田村委員:それはいわゆる研究の保険とは違うものですよね。
井川委員:だから、何も無いんじゃないですか。
大野委員:健康被害に対しては適切な医療の提供を行うと書いてあって、医療費とか何か
補償は何も無い。
田村委員:だから、研究に関する保険に入っていないということですよね。
井川委員:これはいつもドロドロになるので。
田村委員:そうですね。
大野委員:新薬というわけでなくても、他の潰瘍性大腸炎とかに普通に使っている薬だか
らいいということですかね。
井川委員:いや、だからさっき副作用を確認したのは、劇症肝炎とかいろいろあるので。
大野委員:でも、それは処方薬なので、多分全部薬の説明書に書いてあって、そうしたら
もう薬事法上認められている範囲内。
井川委員:適用外の使用ですね。
大野委員:適用外ですよね。
井川委員:だから、そうなると……。
大野委員:適用外だけれども副作用に関してはその範囲内だったら、普通に使う範囲内と
いうことにならないですかね。
井川委員:ここでいいほうに解釈してやると、最近の世間で騒がれている抗癌剤とか、副
作用情報に載せていたとしても最高裁まで争うような肺癌の薬とか、イレッサと
かを踏まえると、これも進行性の癌だとしても、劇症肝炎でお亡くなりになった
としたら、それはご遺族の方とかはこの研究のせいだとか何だとかということで、
納得感が得られないケースが起きてくる可能性は無きにしもあらずということ
がある。
その場合、世間的な受けとめられ方として、いい加減なことをやったという報
道とかも時々散見されるので、恐らくその万が一のケースについて想定している
のか確認したいだけです。そういうケースについてはこう説明しますということ
があるなら、それはそれでいい。この研究自体はやっておいたほうがいいと思い
ます。
北川委員長:確認はして何の損も無いですから。
井川委員:では、確認だけしておいて下さいということじゃないかな。
北川委員長:その他はよろしいでしょうか。
では、お呼び下さい。
(申請者側入室)
北川委員長:ありがとうございます。
それでは、申請書の 2 ページの「単回投与」を「単剤投与」に直して頂くこと。
それから、薬剤の副作用等有害事象が発生した場合の対応について、54 ページ
28
に「補償について」があります。これは理研の問題ではありませんけれども、万
一この研究を行ったことによって有害事象が起こってしまった場合の補償保険
とか、その補償体制についてどのようにお考えなのかということをがんセンター
に情報を確認頂きたい。既によく使われている薬剤であるので、その範囲内の副
作用であれば補償は考えていないというご見解であれば、それはそれで仕様がな
いですが、そういうことをご確認頂くことで承認させて頂きたいと思いますが、
よろしいでしょうか。
大関研究員:はい。
北川委員長:よろしくお願い致します。どうもありがとうございました。
大関研究員:ありがとうございました。
【H25-4】
「進行胃癌患者を対象としたスルファサラジンの第Ⅰ相試験: スルファサラジン
及び代謝物スルファピリジンの体内動態に影響する遺伝子多型の解析」
統合生命医科学研究センター
ファーマコゲノミクス研究グループ
グループディレクター 莚田泰誠
○条件付きで承認する
条件:
1.研究計画書「1.概要
研究の意義及び目的」における誤植を修正すること。(「単回
投与」を「単剤投与」と修正すること。)
2.有害事象が発生した場合の補償体制について、共同研究機関である独立行政法人国立
がん研究センター東病院に確認すること。
【H25-5】「The role of human leukocyte antigen (HLA) in drug-induced adverse drug
reactions」
統合生命医科学研究センター
国際ゲノム連携研究チーム
チームリーダー
Ming Ta Michael Lee
北川委員長:それでは、
【H25-5】は英語でやるのですか。日本語でやってくださるのです
か。邦文のタイトルが無いですけれども、
「The role of human leukocyte antigen
(HLA) in drug-induced adverse drug reactions」のご説明をお願いします。
(申請者入室)
事務局:先程日本語でと申し上げましたが、まずチームリーダーである Lee 先生から英語
でご説明して、その後にテクニカルスタッフの森次望美さんから日本語で説明を
させて頂きます。よろしくお願い致します。
29
北川委員長:お名前を教えて下さい。
Lee TL : My name is Ming Ta Michael Lee; currently at the Laboratory for
International Alliance for Genomic Research at RIKEN Yokohama Institute.
So, I am sorry my Japanese is not good enough. 今、日本語を勉強しています。
そして……。
I will speak in English first and then Nozomi will translate for me, so if you
have any questions please let us know.
Thank you.
So if you look at the
first slide, basic…
森次氏:すみません、通訳します。
名前は Ming Ta Michael Lee と申しまして、横浜理研の IMS の国際ゲノム連
携研究チームから来ております。私はそちらのラボのテクニカルスタッフの森次
望美と申します。まだ彼は日本に来て間もなくて日本語が上手ではないので、今
回は申し訳ありませんが、最初に彼から英語で説明させて頂いて、その後に私が
日本語で通訳させて頂きます。よろしくお願い致します。
Lee TL:So people take drugs to make them feel better, to cure them. However, many
drugs would cause severe side effects such as Stevens-Johnson syndrome and
toxic epidermal necrolysis, you see in this picture here. So many genetic
associations for these severe side effects have been identified and almost all of
them are in HLA region.
So the example – one of the important example is
HLA-B*1502 with a drug called carbamazepine.
森次氏:スライドに沿ってご説明します。私たちは病気の治療のために薬を服用しますが、
重篤な副作用を引き起こす薬剤も少なくありません。主な薬剤による重篤な副作
用には、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)
などがあります。TEN はスライドに載っている写真が患者さんの状態です。
治るどころかむしろ副作用によって命を落とすケースもあります。このような
重篤な副作用の発生には遺伝的要因が同定されており、例えばカルバマゼピンと
いう薬剤に対しては、HLA-B*1502 という遺伝子型を持つ人は感受性を示すこと
が分かっております。
Lee TL:So the aim of this project is we are interested in functional assays to look at
the interactions between HLA molecules in drugs to confirm the binding of
the drug with the HLA molecules and to understand how this can lead to this
severe side effect.
So our first goal is to quickly set up the functional assays.
So we are – first was to collaborate with Academia Sinica in Taiwan; my
pervious lab where the assays have been setup already.
So, they will provide
some of the materials and technical knowhow to help us to setup this system
in RIKEN.
Once the system has been setup, we can then quickly move to
other HLA in drugs identified in Japan or elsewhere.
30
森次氏:本プロジェクトの目的は、SJS や TEN といった重篤な副作用を引き起こす薬剤
と HLA の相互作用を調べる機能解析の確立です。主にその薬剤と HLA の結合と
かそういうところの機能を調べたいと思っています。この機能解析により薬理遺
伝学研究で同定された HLA 型の機能の特徴を裏づけることが期待されます。
我々の第一の目標は、機能解析研究の早期確立です。マイクの以前所属してい
た台湾の Academia Sinica では、カルバマゼピンと HLA-B*1502 の間の相互作
用を調べる機能解析が確立しているので、まずは Academia Sinica と共同研究を
行い、サンプルや技術の提供を受けて、理研での基盤立ち上げを行う予定です。
理研での基盤が整った後は、その他の薬剤と HLA 型の組み合わせについても
研究を発展させたいと考えております。
Lee TL:It’s seems our first goal is establishment of the technical platform.
So, we will
use a study – we’ll use samples that has already been collected and setup in
Academia Sinica in Taiwan.
So, we focus on adult samples that is already
available. So, those patients were collected from medical centers in Taiwan
and the blood collected there was used for HLA typing to determine which
HLA type they have, and for B cell line transformation and PBMC collection.
So, no other genome analysis would be performed other than HLA typing and
no genome analysis will be performed in RIKEN Japan because all we need to
know is the HLA type which is already performed in Taiwan. So before the
materials are transferred to RIKEN, new codes will be given to the materials.
So in Japan RIKEN, there is no way for us to identify the patients because
they have a separate link, so we cannot trace back to the original patients.
森次氏:次はスライド 2 に移ります。本研究は成人を対象として、Academia Sinica から
提供される既存サンプルを用いる予定です。ここは Academia Sinica で完結して
いる範囲内ですが、台湾の病院からまず患者サンプルを集めて、その血液サンプ
ルから不死化 B 細胞を作製し、末梢血単核細胞(PBMC)を回収、HLA の遺伝
子型判定までを Academia Sinica で行っております。遺伝子型判定は、Academia
Sinica では HLA についてのみ行っており、その他の遺伝子解析は行っておりま
せん。
なお、HLA 遺伝子型判定は Academia Sinica で行っていて、理研で行う予定
はありません。理研には患者サンプルと臨床情報が送られてきますが、理研に送
る前に Academia Sinica でまた新規の患者 ID ナンバーが割り振られるので、理
研で個人を特定することはできません。
Lee TL:Finally because drug safety is a very important issue, so I think not many
people or I cannot really find anyone doing similar studies in Japan. So, I
think it is important to setup such platforms in Japan so any discoveries
that’s related to adverse events in HLAs, we can quickly test to confirm the
31
bindings and interactions using such platform, and we are hoping that
eventual research can lead to a safer, better drug use. Thank you.
ありがと
うございます。
森次氏:日本ではまだ類似のプロジェクトが存在しません。本プロジェクトにより、副作
用の発生機序を解明できれば、より安全に薬剤が服用できるようになると確信し
ております。
以上です。どうもありがとうございました。
北川委員長:どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方からご質問、ご意
見等ございますか。
井川委員:基礎的なことですが、この発症率というか、どのくらい重篤なものがあるので
すか。
Lee TL:So, 0.5% – less than 0.5% of the people taking the drugs, the incidence.
森次氏:この薬剤を服用している患者さんの 0.5%ぐらいの頻度だそうです。
Lee TL:Even though you don’t have many people who get this, they are very serious.
So for toxic epidermal necrolysis, 30% of the patients would die if they have it.
森次氏:発症率は非常に低いのですが、一度副作用を発症した患者さんの 30%は死に至る
確率で、その症状も写真にあるように重篤なものだそうです。
鈴木委員:So in your explanation, as far as understand, you firstly reestablish the
platform to analyze the interaction between the drugs and HLA types. Then
after that, do you have any concrete idea which drugs or which HLA do you
want to analyze?
Lee TL:So one of the good examples is HLA-A*3101 and carbamazepine in the
Japanese population and I have not seen any paper really looking at that.
Since it is identified in Japan, that’s why I want to next move on to that; but
before I can do it, I was advised I need to setup a system first and that’s why I
proposed this collaboration with Taiwan because the system looking at
HLA-B*1502 and CBZ has been published and setup already.
several
groups
in
Japan
looking
at
genetic
There are
association
between
Stevens-Johnson syndrome, TEN, or drug-induced liver injury.
Most of
these genes identified are in HLA, so I will keep searching for any
identification found in Japan or elsewhere and then we can do that here.
井川委員:基礎的なことで申し訳無い。薬剤の副作用は HLA だけとの関係がそんなに支
配要因というか、HLA だけですか。そんなに単純なのかという感じもしなくもな
い。
鈴木委員:これは少なくともスティーブン・ジョンソン・シンドロームとか TEN につい
ては HLA が関与している。
井川委員:そうですが、広げたいとおっしゃっているから。
32
Lee TL:Yeah, so you are very correct. Previous studies found HLA is one of the
components, and you are right, for example, for HLA-B*1502 and
CBZ-induced Stevens-Johnson, not all the HLA-B*1502 would develop
Stevens-Johnson.
There are other factors.
So we are hoping that because
there are many components and this is just the first and TCR repertoire is
another thing we want to look at.
that’s like stage II.
So you are right, I haven’t put that in, but
We want to identify other factors, but before we can do
that really need to establish – make sure that this particular HLA molecule is
dropped first and then what else is required for a person to develop this
adverse event, you are very correct.
森次氏:おっしゃるとおりだと思います。HLA だけが副作用の原因というわけではなくて、
第 1 の候補としてまず HLA の研究から始めたいということで、まず HLA と蛋
白の結合による影響を調べて、その後その他の作用、影響機構みたいなものを調
べていきたいと思っています。
井川委員:2.の新たな提供者というのは、日本でこれからやるというわけでは無いとい
うことですよね。さっきのご説明だと、とりあえずは台湾からお持ちになって、
当面は新たに取るというのは無いんですよね。
Lee TL:In the future, I am hoping we can collect in Japan.
井川委員:今は無いんですね。
Lee TL:Yeah.
森次氏:はい。将来的には考えていますが、現在は明確な計画はありません。
Lee TL:Like my answer to Suzuki-sensei, I am hoping once the system is setup, we can
look for important drug HLA in Japan.
森次氏:まずは HLA と蛋白の機能解析ができるプラットフォーム(基盤)を設立してか
ら、考えていきたいと思っております。
北川委員長:これは Academia Sinica というところのインフォームド・コンセントの内容
がよく分かりませんが、こういう研究をすることに問題は無いでしょうか。
森次氏:台湾のほうでということですか。
北川委員長:インフォームド・コンセントの取り方というか。
森次氏:台湾では問題無いそうです。
北川委員長:問題無い。
Lee TL:That’s approved in Taiwan.
森次氏:もう承認されて進んでいるプロジェクトです。
佐谷委員:申請書の 3 ページのドナーのところです。
Hundred patients and hundred pseudo-positive patients described in the
application mean persons who had side effect by treatment with particular
drugs or any drugs?
33
Lee TL:In the first phase in collaboration with Taiwan HL, CBZ and 1502, but like I
say in the future, another good example is HLA-3101 and CBZ in Japan, and
I am talking to several other groups around the world to explore the
possibility of them sending the samples to Japan, so we can compare, so
localize it because each country’s HLA frequency is different. For example,
HLA-1502 you cannot find in Japan. So my next mission after – actually
right now actually if you know people who have the samples, please let me
know.
We are trying to find more samples in Japan to study.
北川委員長:では、退室して頂けますか。
Lee TL:ありがとうございます。
森次氏:ありがとうございます。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。
井川委員:準陽性患者というのは意味がよく分からない。
北川委員長:よく分からないですね。
井川委員:要するに HLA のこのタイプは台湾にはいるけれども日本にはいなくて、何だ
か世界からいろいろ集めたいみたいなことを言っているけれども。
北川委員長:でも、とりあえず台湾で出た結果をコンファームするということですよね。
鈴木委員:あとは多分 EB ウイルスで感染させた B 細胞は、組換えの対象になるのではな
いかと思いますが、そこら辺は手続きは済んでいるのか聞くのを忘れました。
北川委員長:組換えの対象になると別の申請が必要ということですか。
鈴木委員:理研の中の内規で組換えを搬入するという申請が必要になると思います。
佐谷委員:もう向こうで感染させてあるんですよね。
鈴木委員:不死化と言っていましたから。
佐谷委員:そうですね。Academia Sinica で作ってあるので、全部遺伝子組換え生物の適
用になる。
北川委員長:組換え申請はしているのかということですね。
鈴木委員:はい。
北川委員長:井川先生、pseudo- positive が何かというのはよろしいですか。
井川委員:謎ですけれども。きっと軽い症状ということではないだろうから、どういうこ
とを指しているんですかね。
北川委員長:よく分からないですよね。
井川委員:いや、ご専門の方に分からなければ私は(もっと分かりません)。
北川委員長:では、そこは 1 回呼んで確認しましょうか。
その他は承認ということでよろしいですか。では、その組換え申請をしていな
ければ条件付きということですね。
鈴木委員:組換え申請はして下さいということですね。
34
北川委員長:どうぞ(お入り下さい)。
(申請者側入室)
北川委員長:どうもありがとうございました。
それでは一つ、質問の追加があったのですが、申請書 3 ページの Donors の
Pseudo-positive Patients の Pseudo-positive とはどういうことですか。
Lee TL:Pseudo-positive drug tolerant patient, so drug tolerant patient means, for
example,
in
this
case
HLA-B*1502
but
no
Stevens-Johnson
and
unfortunately because there are only – this choice is closest to drug tolerant
group.
北川委員長:それともう一点は、Academia Sinica から EB ウイルスでトランスフォーム
した細胞を持ってくるようですが、組換えた生物を日本に搬入する際には、理
研の別の申請が必要になるということですが、その申請はされているのでしょ
うか。
Lee TL:I didn’t know. So I will – because I want to get IRB approval before I do
anything, so this is opportunity for me to find out what else I should do.
北川委員長:それでは今の組換え生物体に関して申請して、
許可を頂くことを条件として、
条件付き承認ということでよろしくお願いします。どうもありがとうございま
した。
森次氏:どうもありがとうございました。
北川委員長:どうもありがとうございました。
Lee TL:ありがとうございます。
【H25-5】「The role of human leukocyte antigen (HLA) in drug-induced adverse drug
reactions」
統合生命医科学研究センター
国際ゲノム連携研究チーム
チームリーダー
Ming Ta Michael Lee
○条件付きで承認する
条件:
1.Academia Sinica から提供を受ける B 細胞について、理化学研究所において遺伝子組
換え生物等の使用に関する申請を行い、承認を受けること。
※後日、
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に
照らし精査した結果、当該 B 細胞は遺伝子組換え生物等と見なさないことが確認できたた
め、委員会において承認にかかる条件とされた遺伝子組換え生物等の使用に関する申請及
び承認については不要とする。
35
【H17-16(20)】「オーダーメイド医療開発プロジェクト」
統合生命医科学研究センター
副センター長
久保充明
北川委員長:時間が遅れて申し訳ありません。それでは、
【H17-16(20)】
「オーダーメイド
医療開発プロジェクト」を久保先生にお願い致します。
(申請者入室)
久保副センター長:統合生命医科学研究センターの久保です。よろしくお願いします。
我々のセンターが中核機関として、2003 年から「オーダーメイド医療開
発プロジェクト」という名前で申請させて頂いておりますこのプロジェクト
について、今回全ゲノムシークエンスを対象とした解析をやること。それと
実際のこれまで SNP の解析データを理研で解析してきているわけですが、
そのデータについて公共データベースへの公開が、最近文部科学省の委託事
業については、原則公開して下さいという方向性になっておりますので、そ
の 2 点について主にお話をさせて頂きます。
あとは追加として、今年の 4 月からこの第 3 期のプログラムが始まりま
したので、予算名として追加すること。あとこの 47 の病気についてゲノム
解析をやっていますが、その中でてんかんについてタイから共同研究の申し
込みがありまして、その共同研究機関と実際にサンプルがやってきますので、
その部分の追加です。
メインになる全ゲノムシークエンスは 84 ページです。オーダーメイドの
プロジェクトの中で我々は ELSI 委員会を設置しております。第 2 期が終了
する段階で、ELSI 委員会に全ゲノム解析をやることについての是非を問い
合わせております。
84 ページの 2)第 1 期登録例に対する全ゲノムシークエンス解析に関す
る倫理面の課題ということで検討して頂いていますが、今お配りした一枚紙
は、このオーダーメイド第 1 期のサンプルの同意説明文書の一部をコピーし
てきました。その上に研究方法と書いてありますが、対象となる患者さんの
血液から DNA を取り出します。DNA については調べる対象となる遺伝子は、
我々が持っている全ての遺伝子もしくはその一部ですという書き方がして
あります。
我々のこのプロジェクトは元々SNP の解析をベースにして、実際の患者さ
んに説明している部分がありますが、同意文書から見ると全ゲノム解析をや
ることについて改めて同意を取る必要は無いという ELSI 委員会からのコメ
ントを頂いております。
ただ、最初に同意を取った時の説明の仕方が、SNP が中心で話していまし
た。その時代は全ゲノム解析がまだ現実ではありませんでしたので、そうい
36
う面について提供者の利益の保護という観点と、研究の透明性を確保するこ
とから、実際に全ゲノム解析をやることについての説明は、我々が広報資料
として使っている「バイオバンク通信」と協力医療機関内でのポスター掲示、
ホームページ等からの情報公開という形で、拒否する権利を確保した状態で
のオプトアウト方式での同意を得ることで、今回やらせて頂こうと考えてお
ります。
もう一つのデータベースの公開の話は、15 ページのその他特記事項の中で
す。文部科学省の委託事業については、解析データをバイオサイエンス・デ
ータベース・センター(NBDC:National Bioscience Database Center)に
寄託することが、ほぼ全ての事業について求められています。
この NBDC がデータを寄託する際のガイドラインは 4 月末にやっと出たば
かりですが、NBDC に寄託することについての同意を得ていないサンプルに
ついては、該当する倫理委員会での承認を得た上で寄託することとガイドラ
インでルールが定められております。我々としては理研と医科研が中核機関
になりますので、ここでの倫理委員会の承認を受けた後、実際にサンプルを
提供して頂いている 12 の協力医療機関でも、データ提供について全部倫理審
査にかけて頂いて、承認を得た機関のサンプルのみのデータを提供するとい
う方針で考えております。
また、このデータ公開についても、先程の全ゲノムシークエンスと同様に、
ホームページ等で情報公開を行って、オプトアウトでの拒否の機会を保証す
るという方針で現在考えております。
主な点は以上です。
北川委員長:どうもありがとうございました。委員の先生方から何かコメント、ご質問等
ございますか。
かなり注意深く配慮されているように伺いましたがいかがでしょうか。
田村委員:このバイオサイエンス・データベース・センターというのは、この第 1 期のイ
ンフォームド・コンセントの時には無かったのですね。
久保副センター長:存在しません。NBDC は昨年か一昨年にでき上がった文部科学省の事
業の 1 つです。
井川委員:2011 年 4 月と書いてある。
久保副センター長:それぐらいですね。あれは管理運営しているのはどこでしょうか。
井川委員:JST と書いてある。
久保副センター長:事業運営者ですね。
田村委員:それに該当するものは第 1 期のインフォームド・コンセント文書には無い。
久保副センター長:データベースセンターみたいなものですか。
田村委員:こんなものができるとすれば預けますみたいなことは(書いてありますか)。
久保副センター長:その時点でもなかったですね。我々のところは JSNP というデータベ
37
ースで、これも JST の委託事業で行われているデータベースですが、そこには
制限アクセスの状況で集計データをアップロードして公開していました。何年
かは忘れましたが、途中で文部科学省の事業としてゲノム解析のデータを公開
するような統合データベースが 1 回できて、そこで我々のプロジェクトはそこ
の同意は取っていないので公開していませんが、徳永先生とか遺伝研の先生方
はデータをそこで公開していらっしゃいました。
その文部科学省の統合データベースが無くなって、今度は NBDC に統合され
たという流れで、データ公開のほうは動いています。ですので、我々のプロジ
ェクトが先に動いていて、その時点では全然そういうデータ公開の話とかは無
くて、実際に出てきたのは多分 2006 年とか 2007 年以降だと思います。
井川委員:これは使い勝手が良いですか。
久保副センター長:いや、NBDC はできたばかりなので、いろいろなデータベースがいっ
ぱい入っています。ゲノムとか何とかではなくて、いろいろなデータベースが
ガサッと入っているので、私はほとんど使ったことがありません。
ただ、これは強制ではありませんが、国からの非常に強いリコメンデーショ
ンとしてデータを寄託するようにというお話になっていて、我々もその文科省
の委託事業ですので、その指示には従わないといけないと思います。そのため
には同意が無いので、参加してくれた方々、協力してくれている医療機関、中
核機関である我々がちゃんと倫理審査を通していかないと、やはりこれは筋が
通らないだろうと思いました。
鈴木委員:最初のご説明の時に、全ゲノムの解析をするお話はいろいろなところと相談さ
れてやっておられることはよく分かりましたが、全ての遺伝子と全ゲノムとい
うのはやはりイコールではないと思います。
久保副センター長:はい。イコールではないですね。
鈴木委員:先程の説明の時に全ての遺伝子をやると書いてあるから、全ゲノムでもいいだ
ろうというニュアンスの説明をされたと思います。
久保副センター長:説明が足りず申し訳ありません。全ての遺伝子と言った時でも、SNP
の解析ですら遺伝子を調べているわけではないですよね。
鈴木委員:そうですね。
久保副センター長:これは一般の方に 2003 年当時、ゲノムとか遺伝子以外の領域とかい
う説明の仕方は現実的ではない時代ですので、ゲノムを調べるのは遺伝子を調
べるという形で言い換えて、実際にこの同意説明文書は作られています。です
ので、これは言い方の問題かもしれませんが、今の時代であればゲノムという
言い方である程度通じると思いますが、11 年前の状況を考えて頂くと、一般の
方にゲノムとか DNA という言葉がほとんど浸透していない時代に、今のゲノ
ム解析を説明するには遺伝子という言葉を使わざるを得ない状況がありました。
今の僕の説明の仕方も足りなくて申し訳無いですが、全ての遺伝子を調べると
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いう意味は、ゲノム全体を調べるという意味と同意義でこの同意文書の中では
使われていると我々は解釈しています。
ですので、実際にその先生の適用を考えますと、SNP 解析自体は遺伝子を調
べているわけではないので、2003 年当時から我々がやっていたことは同意書と
一致しないというお話になってしまうのですが、そうではないので、実際の説
明として DNA、ゲノムという説明の仕方があの時代は一般的ではなかったとい
う前提で、遺伝子という言葉を使って説明しているとご理解頂ければと思いま
す。
井川委員:苦しいでしょうね。
久保副センター長:はい。ですが、実際に SNP 解析ですら遺伝子を調べているわけでは
ないですよね。それはもう今の時代であれば理解して頂けると思います。
井川委員:もし新しいのをやるとすれば、当然のことながら全(ホール)ゲノムですとい
う説明になるわけですね。
久保副センター長:説明しています。これは実は第 3 期のプロジェクトとして、個別化医
療推進プロジェクトというのを前回(やっています)。
井川委員:何を申し上げたいかというと、恐らくちゃんと書いてあるでしょうが、この資
料の中に現在のインフォームド・コンセントはこう書いています、それと実質
同等性がありますという示し方になっていないと、その回答案という形で頂い
ているのだけだと若干(不十分)
。
久保副センター長:現在の同意書は 101 ページです。これが現在のオーダーメイドのプロ
ジェクトの新しい同意文書です。
新しい同意文書の中では、右側上の<DNA の解析方法>に、「抽出した DNA
から、遺伝情報全てを細かく読み解く分析(SNP 解析を含む全ゲノム解析)」
と明示しております。
そのページの右下には<データベースへの登録>に、現在は NBDC のデータ
ベース等へのデータ公開をやるということも、こういう形で今は明示していま
す。ですから、新しいサンプルについてはもう時代が変わりましたので、文言
も変えて全ゲノムシークエンス解析を含める形での同意書、データ公開につい
ての同意も含めて取るようにしています。これが 10 年前との違いです。
井川委員:その「案」はもう取れているんですよね。
久保副センター長:ELSI 委員会ですか。
井川委員:ええ。
久保副センター長:はい、3 月末日に取れています。すみません。
井川委員:中身はそんなに変わっていないのですか。
久保副センター長:中身は変わっていません。
井川委員:
「案」が取れただけですね。
久保副センター長:「案」が取れただけです。
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北川委員長:その他はいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。では、ご退室をお願いします。
(申請者側退室)
北川委員長:いかがでしょうか。すごく大きなプロジェクトの中の 1 つということですか
ら、ここであまり文句を言っても始まらないかもしれません。
井川委員:ひっくり返すほどの疑念があるわけではありません。
北川委員長:そうですね。
よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
では、お入り下さい。
(申請者側入室)
北川委員長:それでは、先程鈴木先生からも指摘のあった遺伝子と全ゲノムは違うという
ようなことは、新しいインフォームド・コンセントにはあるのですが、ホーム
ページとかバイオバンク通信とかポスターでされる時も、一応配慮して頂くと
いうことでよろしくお願いします。それで承認ということでよろしくお願いし
ます。ありがとうございました。
久保副センター長:ありがとうございました。
【H17-16(20)】「オーダーメイド医療開発プロジェクト」
統合生命医科学研究センター
副センター長
久保充明
○承認する
ただし、研究目的や方法等についてホームページやポスター掲示でお知らせする際は、
全ゲノム解析を行うことが分かりやすいように配慮すること。
加藤所長より、閉会に際し、閉会の挨拶があった。
以上
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