Comments
Description
Transcript
PDF:1169KB - 社会技術研究開発センター
第3回国連防災会議 パブリックフォーラム内シンポジウム 「災害に強くしなやかな社会の創造を目指して」 2015.3.18 東京エレクトロンホール宮城 *福江 高志 国立大学法人 岩手大学 工学部 機械システム工学科 熱工学研究室(廣瀬・福江Gr.)助教 http://www.mech.iwate-u.ac.jp/ hirose/ *福江 高志 廣瀬 宏一 西村 文仁 鈴木 順 片野 圭二 岩手大学 株式会社アイカムス・ラボ 秋冨 慎司 岩手医科大学 研究課題名 災害現場における救急救命用スタンドレス輸液装置の開発 JST 復興促進プログラム (マッチング促進) Type - II 研究実施期間:2012年12月 ~ 2015年3月 研究開発内容 災害現場で活用可能な, 高精度・高効率の スタンドレス輸液装置のための研究開発 高精度制御 高流量化 バッテリ 寿命向上 スタンドレス 防塵・防水 耐衝撃・小型 → 次世代スタンドレス輸液装置の提案 2 災害現場における救急救命活動の実際 Ex (1) 福知山線脱線事故 搬送まで輸液が必要だが, 狭い隙間しかない現場 Ex (2) 東日本大震災 (航空搬送) 救急活動を行えるスペースが 狭い中,たくさんの患者さん スタンドや輸液を設置するスペースがない 3 災害現場における救急救命活動の実際 Ex (3) 福知山線脱線事故でのクラッシュシンドローム ※ クラッシュシンドローム*: 体の一部が,ものに挟まれる などにより長時間圧迫され, 筋肉が損傷し組織の一部が壊死 圧迫状態から開放されると, 壊死した筋細胞からカリウム・ ミオグロビン・乳酸など大量に漏出 心停止や急性腎不全などの誘発. 致死率も高い. *www.wikipedia.org クラッシュシンドロームが疑われる患者さんには,現場にて, 救出までに急速の,かつ大量の輸液投与が必要. 高流量・高信頼性・長寿命の輸液機構が必要 4 スタンドや輸液を設置するスペースがない 狭い隙間でも設置し使用できる 重力による滴下を必要としない 狭い空間での医療 高流量・高信頼性・長寿命の輸液機構 10 ml/h ~ 1000 ml/h の広範囲で輸液量の精度が取れる 48時間以上の駆動時間が確保できる 広域搬送+対クラッシュシンドローム 両方のニーズを満たした救急救命現場向けの輸液装置の実現: 装置の小型化や,耐衝撃・防塵・防水機構の開発 高精度・高信頼性を実現する輸液輸送機構の開発 バッテリ寿命を向上するための動力系の高効率化の実現 5 フィンガー方式 小型ポンプ 輸液方法 ○ 精度高い:±10%、脈動が小さい × 製品サイズ大きい × 設置:スタンド必要 × 傾斜・衝撃・振動:不適 × 流量:小さい(最大500ml/h) × 電池寿命:短い(3h) スタンド固定 輸液ポンプ 携帯型 輸液ポンプ シリンジ ポンプ 自然落下 ○ 汎用 × 必要 × 500ml/h ○ ±10% ○ 300h × ローラ方式 × 専用 ○ 不要 × 300ml/h ○ ±10% × 24h × シリンジ方式 × 専用 × 必要 × 500ml/h ◎ ±5% × × 外観 課題点 ポンプ方式 チューブ 輸液スタンド 最大流量 流量精度 バッテリー寿命 耐衝撃・傾斜 6 フィンガー方式 小型ポンプ 輸液方法 ○ 精度高い:±10%、脈動が小さい × 製品サイズ大きい × 設置:スタンド必要 × 傾斜・衝撃・振動:不適 × 流量:小さい(最大500ml/h) × 電池寿命:短い(3h) スタンド固定 輸液ポンプ 携帯型 輸液ポンプ シリンジ ポンプ 外観 課題点 ポンプ方式 チューブ 輸液スタンド 最大流量 流量精度 バッテリー寿命 耐衝撃・傾斜 自然落下 ローラ方式 シリンジ方式 ○ 汎用 × 専用 × 専用 × 必要 ○ 不要 × 必要 × 500ml/h × 300ml/h × 500ml/h ○ ±10% ○ ±10% ◎ ±5% 現状の製品で ○ 300h × 24h × 災害現場での使用に耐えうる製品が見当たらない! × × × 7 高精度制御 高流量化 バッテリ 寿命向上 スタンドレス 防塵・防水 耐衝撃・小型 → 次世代スタンドレス輸液装置の開発 製品開発目標 点滴チューブ スタンド 流量設定範囲 流量精度 バッテリ寿命 動作環境 汎用のものが使用可能 不要.輸液の動力はポンプで付与. ポンプ本体 10 ml/h ~ 1000 ml/h 10 % 以下 100 ml/h で 48 時間以上 (充電池 DC 3.7 V 2 本) 転倒可能.振動10Hz,0.6 Gで動作可 耐衝撃・防塵・防水 ケース 一体型 8 → 次世代スタンドレス輸液装置の開発 チューブポンプをベースに開発 輸液チューブをそのまま使用可能 流量制御が機構上容易 回転機構の最適化による省電力化が可能 製品開発目標 点滴チューブ スタンド 流量設定範囲 流量精度 バッテリ寿命 動作環境 汎用のものが使用可能 不要.輸液の動力はポンプで付与. ポンプ本体 10 ml/h ~ 1000 ml/h 10 % 以下 100 ml/h で 48 時間以上 (充電池 DC 3.7 V 2 本) 転倒可能.振動10Hz,0.6 Gで動作可 耐衝撃・防塵・防水 ケース 一体型 9 研究実施期間:2012年12月 ~ 2015年3月 JST 復興促進プログラム (マッチング促進) Type - II 岩手大学 アイカムス・ラボ ポンプ内の輸液の流れの 分析技術,性能評価技術 チューブの粘弾性変形の シミュレーション技術 マイクロ歯車や低摩擦軸受の 精密加工技術 モーター制御技術 機構系の設計ノウハウ 岩手医科大学 (有) UNO 実際の医療現場,災害現場 での救急救命医療の実績 実使用の立場からの ポンプ設計指針・要望検討 従来DCモータに比べ 遥かに効率の高い コアレスモータの開発実績 10 研究実施期間:2012年12月 ~ 2015年3月 JST 復興促進プログラム (マッチング促進) Type - II 岩手大学 アイカムス・ラボ ポンプの最適設計のための 性能評価,流れの評価 粘弾性解析によるチューブ 変形と性能の関係の検証 溝つき軸受の最適化による 動力伝達効率の向上 高効率化のためのモータ制御 技術の構築 岩手医科大学 (有) UNO スタンドレスの輸液ライン 安定保持機構の開発 実際の使用者の立場からの 開発製品の有用性の評価 ポンプの長時間駆動に最適な コアレスモータの開発 目標値:従来モータ 70 % に対し,85 % に向上 11 岩手大学 教授・廣瀬宏一,准教授・西村文仁,助教・福江高志 ポンプの最適設計のための性能評価,流れの評価 粘弾性解析によるチューブ変形と性能の関係の検証 研究開発内容の一例 チューブ変形解析 性能評価・流れの評価 例:ローラー個数と吐出流れの相関 ローラー4個: 安定した流れ ローラー2個: 不安定性の発生 12 岩手大学 教授・廣瀬宏一,准教授・西村文仁,助教・福江高志 ポンプの最適設計のための性能評価,流れの評価 粘弾性解析によるチューブ変形と性能の関係の検証 チューブ変形解析 研究進捗の一部は輸送現象に関する国際シンポジウム (ISTP-24) で発表 研究開発内容の一例 (2013.11) 性能評価・流れの評価 例:ローラー個数と吐出流れの相関 ローラー4個: 安定した流れ ローラー2個: 不安定性の発生 13 アイカムス・ラボ 溝つき軸受の最適化による動力伝達効率の向上 高効率化のためのモータ制御技術の構築 研究開発内容の一例 軸受に溝加工と高潤滑粒子数を低減し動力伝達効率をUP (特許取得済み) 軸受の溝構造 高潤滑粒子 軸受の溝 高潤滑粒子 歯面の溝構造 高潤滑粒子 溝 従来:溝加工なし 本開発:溝+高潤滑粒子 カーボン粒子 フッ素粒子 高潤滑粒子 14 岩手医科大学 助教・秋冨慎司, アイカムス・ラボ スタンドレスの輸液ライン安定保持機構の開発 実際の使用者の立場からの開発製品の有用性の評価 研究開発内容の一例 現場の声を フィードバック ・輸液ラインの安定保持構造の開発 ・災害現場を想定した輸液装置原理試作と評価 看護師さんの 視認のしやすさ ボタン配置や 色の最適化 感染症対策 など 15 高精度制御 高流量化 バッテリ 寿命向上 スタンドレス 防塵・防水 耐衝撃・小型 → 次世代スタンドレス輸液装置の開発 ポンプの流動分析 チューブの変形解析 軸受形状の最適化 高効率モータの応用 最適制御技術 現場で使用しやすい プラットフォーム 災害現場から救急現場まで 広い範囲に対応可能な ポンプ設計の可能性を示唆 実証試験機 16 Acknowledgement: 本プロジェクトは独立行政法人 科学技術振興機構の A-STEP 復興促進プログラム (マッチング促進) Type ‒ II の ご支援の下,実施しております. また,本研究の推進に当たり, 多くの岩手大学 廣瀬・福江研究室,西村研究室所属の学生諸君の 協力を得ました.記して謝意を表します.