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胃瘻バッシングの影響は、かなり深刻です 『胃瘻バッシングの影響は
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 第7回 『胃瘻バッシングの影響は、かなり深刻です。 『胃瘻バッシングの影響は、かなり深刻です。 間違った医療が広がっています。 』 あっという間に今年も半分が終わってしまった、そんな感じ。1 月は「行く」 、2 月は「逃げる」 、3 月は「去る」 、そし て 4 月は「知らぬ間に過ぎ」 、5 月は「いつの間にか過ぎ」 、6 月は「無駄なことに半年を使ってしまったのではないかと反 省しながら過ぎ」 、という感じです。ここらでしっかり反省して残りの半年を有意義に過ごそう、そう決心して・・・。 5 月の最後の仕事は奈良。第 2 回奈良県 NST 専門療法士会での講演。1 月に A.S.P.E.N.でサバンナに行って、帰国が 1 日遅れたために延期になった講演で、やっと責任が果たせました。ハートランド信貴山病院の岡田くんとメールでやり取 りをして、この講演会にこぎつけました。当日はちょっと早めに会場に到着してしまったので、どうやって過ごそう?東 大寺大仏殿へでも行くか、ということで重い鞄を肩にかけて歩きました。鹿がたくさんいるのが奈良らしい、という意見 を否定するつもりはないのですが、東大寺南大門の前の石畳の上には鹿の糞がたくさんあり、臭い空気の中を、糞を踏ま ないように気を付けながら歩くのも、あまり気持ちのいいものではないでしょう。鹿と一緒に写真を撮る?そんなことを する気にはなれません。それにしても東大寺南大門の仁王像はすごいです。あの時代に、よくあんなものが作れたな、と 思うと、感嘆するしかありません。講演は、静脈経腸栄養ガイドラインについてでしたが、結構、好きなことを気楽にし ゃべった、という感じ。この会、みなさん、仲良くて、いい雰囲気だと思いました。 6 月 4 日には大阪城の見える大手前病院で ICT の講演会。カテーテル関連血流感染症について、のびのびと講演させて いただきました。久山先生にいろいろお気遣いいただきました。ありがとうございました。外科部長の中場くんは第一外 科の同級生ですし、内科の伊藤くんは阪大時代の同級生。終わってから大口先生に呉出身の方がやっているお店でごちそ うになりました。大口院長は第一外科の先輩で、国立呉病院以来ずっとお世話になっています。私の教授就任を心から喜 んでくださっている先輩で、がんばらなくては、という気持ちにさせていただきました。 6 月 6 日には函館へ。五稜郭病院の目黒くんに呼んでいた だきました。着いてすぐ、湯の川温泉で露天風呂に入りまし た。津軽半島は見えませんでしたが、私の大好きな景色、大 好きな露天風呂なのです。温泉でのんびりしすぎて、講演前 にはなんか、身体がだるくて、という感じ。ネクタイも締め ず、気楽な感じで講演させていただいたのです。失礼ではな かっただろうと思うのですけど。講演は気合を入れてやらせ ていただきましたよ、もちろん。終わってからは目黒くん達 と楽しい食事会でした。土日は、のんびりと富良野で過ごし ました。月曜日にも札幌で 1 時間半の講演をして、火曜日は 東京へ戻って星薬科大学の講義をやり、忙しい日程でした。 しかし、北海道、ちょうど変な気候の時で、何を着ていたら いいのか、暑い?寒い?わからない気温でしたね。でも、い い北海道講演旅行でした。北海道で食べたのものでは、やっ ぱり、うにいくら丼とアスパラですね。アスパラは旬だった のです。 ↑ゼン先生の栄養管理講座の紙面として、毎回、このポスターを 出そうかな?と言ったので、今回は、ちょっとデザインを変えて 出します。本当、来年の神戸にきてくださいよ。 ↑奈良県 NST 専門療法士会後の懇親会。松村先生は顧問だとのこ とです。左下は「柿ケーキ」おみやげにもらいました。柿のヘタ が載っていました。珍しい?奈良といえば奈良漬、それしか思っ ていなかったので。奈良ホテルの朝食は、もちろん、「茶粥」で した。 ↑東大寺南大門と金剛力士像。もちろん、大仏殿の閉館時刻にな っていたのはわかっていましたが、とりあえず、ということで行 きました。金剛力士像はすごい!こんなりっぱな像を 800 年以上 前に造ったというのが驚きです。天才がいるんだ、世の中には。 南大門前の石畳。鹿がいるのはいいんですよ。でも、糞があちこ ちに落ちていて、踏んだ跡もあるし、臭いし。いいんですよ、そ れが奈良の良さなんだから。でも、歩きにくいですよ。まあ、世 界遺産になっているから、自然を大切に、鹿を大切に、糞を大切 に・・・。何年ぶりかな、ここに来たのは。関西 PEG 研究会の時、 Duke 大学の Grant 教授夫妻をお招きして、奈良を案内した時以来 だから、14 年ぶりのことです。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 第7回 そうして、第 3 回 World congress of vascular access (WoCOVA)での発表のためにドイツのベルリンへ。うちの准 教授の博さんとの二人旅。1 日目と 2 日目はドイツ料理、3 日目はアジア料理、4 日目は日本料理。ドイツ料理は、無理 ですね、私には。シュニッツェルというトンカツ?は食べま した。それ以外のドイツ料理は・・・いいんです、最初から 諦めていますから。ホテルの部屋に湯沸かし器がないのが寂 しい。あったら、日本からカップラーメンなどを持っていく のに、という感じ。部屋でコーヒーも飲めないし、寂しいも んです。 学会は、 看護師さん主体といっていいのでしょうね。 看護師さんが PICC を挿入している国が大部分なので、 という こと。中国の看護師さんも堂々と発表していました。ドイツ からの発表がほとんどなかったのですが、それは、ドイツで は看護師さんが PICC を挿入しているのではないから、 という こと。参加者は 740 人ほどだったとのこと。日本からは、私 と、 東京医大の救急部の織田先生が発表。 織田先生は口演で、 ↑函館五稜郭病院での講演会の後です。目黒くんが、講演会でい い質問をしてくれた方に私の「みんなの栄養管理講座 Part Ⅰ~ Ⅳ」をプレゼントしようと用意してくれていたのですが、ほとん ど質問が出なかったので懇親会へ持ってきて、記念写真の時にこ うして披露してくれたのです。ありがとうございます。また、呼 んでください。平日でも行けますから。次は TPN の講演かな?函 館は何度行ってもいい街ですからね。 堂々と安全管理システムについて発表して おられました。ポスターセッションは閑散と していて、とりあえず貼っておくだけでした。 カテーテル関連の機材の展示がにぎやかで、 久しぶりに新しい製品を見る機会をもらっ た、という感じでした。観光は、ベルリンの 壁とブランデンブルク門を見たこと、でしょ うか。森鴎外が住んでいたアパートには、漢 字で「鴎外」と書かれていました。ちょう ど、サッカーのワールドカップ中。日本は 惨憺たる結果でしたが、ドイツに来ている んだ、ドイツがワールドカップで優勝する かもしれないじゃないか、ということで、 ドイツ代表チームのユニフォームを買って ↑ベルリンの壁です。今は記念碑みたいな感じになっていますが、かつての写真をみ ると、すごいものです。高さは右の写真のように、私の身長の 2 倍以上です。よく、 こんな壁を作ったな、という感じです。ひどい話です。本当、ひどい話だと思います。 悲しい歴史です。戦争、してはいけませんよ。集団的自衛権の行使、今後の日本はど うなるんでしょうね。議論している方々は、戦争になっても行かない人たちですから。 私はかわいい息子や孫を戦争に行かせたくないです。そうなったら、老人部隊として 出征する?その頃は、もう、老い先短いのだから、手を挙げよう。でも、役に立たな いだろうけど。 帰りました。優勝したら、値打ちが上がる んだけど・・・。 ↑ドイツ料理です。左上のソーセージはそれなりに食べました。 上真ん中の豚のもも肉?は、一口食べてやめました。肉らしいに おいがいやでした。星薬科大学の亀井教授は、好きだと言ってい ました。左下のシュニッツェルは、まあまあです。右上はロース トビーフ?右下はササミ?その横のサラダも独特でした。いいん です、別に、期待していないので。そういえば、曺くんとミュン ヘンへ行った時、曺くんは何でもうまい、うまい、と言っていま した。 ↑左上は電柱に貼られていた広告。紙をはがさずにどんどん上に重 ねて貼っているので、どんどん太くなっているのです。何枚、重ね て貼られているのでしょうか。真ん中はベルリンテレビ塔。登ろう としたのですが、エレベータの待ち時間が 3 時間ほどもあって、断 念。たかが 368m の高さだろう。日本のスカイツリーは 634m にある んだから、別に、ここで登らなくてもいい、なんてことにしました が。右は信号。「歩け」の時間が短いのが特徴のようです。「止ま れ」も、完全に「ストップ!」という強い意志が感じられます。右 上のように、おみやげ品もありますので、有名なのでしょう。「歩 け」というより「走れ!」だと思いました。黄色い枠内は、私が 10 年以上愛用している万歩計。90 日間、毎日 10000 歩を目指して 歩いているのですが、今回、初めて、90 日間連続 10000 歩を達成 しました。がんばった。でも、体重は減っていない。効果なし? 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 第7回 帰国した翌日には、名古屋市立大学で JSPEN の学術集会検討委員会。来年からの JSPEN の学術集会について、どうすべ きか、という検討委員会でした。私自身が今、来年の会長として予定している内容について、いろいろ意見をいただきま した。 6 月 27 日には小倉で大手町病院主催の NST 講演会。寺坂先生にいろいろお気遣いいただきました。小倉といえば「焼う どん発祥の地」。以前も行って食べたこ とがあるのですが、再び。元祖のお店で 食べましたが、2 回目になると感動しな い?おばあちゃんが年取り過ぎて、味が 落ちた?そんな感じもしました。でも、 元祖は元祖です。小倉も森鴎外。住んで いたのだそうです。記念碑はすべてチェ ックする癖がついていますので、今回も 写真を撮りました。この講演会、1 施設 が実施する講演会としてはかなりりっ ぱな会で、200 人くらいは参加しておら れました。座長の寺坂先生はスーツ姿だ し、来ていただいた院長ももちろんネク タイ着用。講師の私が一番ラフな格好だ ったのですが・・・気楽に、気楽に、の びのびと、です。 ↑健和会大手町病院の講演会。終わってから NST の方々との記念写真です。私の向かっ て左が院長、右が寺坂先生。二人共ちゃんとネクタイ着用でしょう?なんですよね。今 回の講演会で気づいたのは、前の席がちゃんと埋まっていることです。どこの講演会や 研究会でも、後ろの席から埋まってきますよね。それはおかしいと私は思っています。 ということで、この健和会大手町病院の講演会に来ていただいた方々は、真剣に聞いて やろうという意図が見えている、そうでしょう、間違いありません。 ↑有名な病理学者のウィルヒョウの像と、有名な森鴎外の名前で す。ウィルヒョウの像は、歩いている時になにげなくみつけまし た。ウィルヒョウ転移で、誰でも知っている名前のはず。そうだ よ、ドイツ医学だよ、日本に入ってきたのは、そんな感じ。森鴎 外も陸軍軍医のトップにまで上りつめた医師。文豪森鴎外として の方が有名です。医師だったのだけど、脚気問題でのことを考え ると、医師としての評価は高くないのだと思います。ちょっと勉 強してみます。 ↑懇親会を終えて、ホテルに戻る途中で見つけました。参勤交代 往還路。寺坂先生は気づかなったとのこと。地面に左の「参勤交 代往還路」という文字が刻まれていて、説明の看板があっただけ のことです。でも、なんとなく気になって、写真とりました。そ れだけのことです。 ↑ベルリンで森鴎外について考え、「舞姫」を読みました。小 倉に行くと、この記念碑がありました。「舞姫」ねえ。よくわ からない。あれがすごい小説?わからない。ちょっと勉強して みようと思います。ま、この記念碑、誰も注目して見ていない ように思いました。 ↑元祖、焼きうどん。鳥町食道街にある「だるま堂」。有名な小 倉焼きうどん発祥の店です。鳥町食道街ですが、「食堂」ではな く「食道」なんですよね。これって、結構大事。単に「食堂」が 並んでいるのではなく、「食の道です」とう意味なんだと思いま す。ちなみに、大阪駅近くにも「新梅田食道街」があります。「食 堂街なのでは?」と問い合せたら、敢えて、食道街にしているの だそうです。「天まど」という、卵付きの焼きうどんを食べたの ですが、味が薄かったような感じで、あまりうまいとは思わなか ったのです。ネットで公開されている写真を見ると、もっと色が 濃いのです。失礼かもしれないけど、ソースの量が少なかったの では?もう1回行ってみると、本当のことがわかるかもしれませ ん。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 第7回 翌日は第 20 回関西 PEG・栄養研究会。記念すべき第 20 回ということで、ピンバッチと「20 年のあゆみ」という記録集 を作りました。ピンバッチは 500 円、記録集は 1000 円、参加費は 1000 円。懇親会費は無料。かなりお得な研究会参加だ ったと思います。しかし、胃瘻バッシングのおかげ?参加者数はまたまた減少して 183 名。胃瘻の研究会は、全国、どこ も、のきなみ参加者数が減っているようですが、おかしい。何を考えているんだ、心ある、臨床栄養のわかった医療従事 者はいないの?そんな感じ。一般演題発表者の中から最優秀演題を選び、トロフィーをプレゼントすることにしたのです が、いろいろありまして、結局、トロフィーをゲットしたのは、うちの研究室の秘書、須見遼子ということになりました。 その日曜日は東京の星薬科大学で認定薬剤師研修の講義。消化器がん患者の栄養管理 PartⅢ。もうネタがないので、と りあえず臨床栄養の話をしとこう、そんな感じの内容にしました。来年は PartⅣ。どうする、来年のネタは?その場で考 えよう、ということです。だんだん自分勝手な講義になりつつあります。私の前に講演された丸山先生は、ごくごく普通 の講演をされたとのこと。私?井上流。丸山先生はちゃんとネクタイを締めてピシッとしておられたのに、私は、相変わ らずクールビズ。 「井上先生、楽な服装で来られてましたね」と丸山先生が言っておられたとのことです。 ↑第 20 回関西 PEG・栄養研究会。今回の当番世話人は奈良県立医 大の松村教授。第 20 回ということで、記念の冊子も作り、ピンバ ッジも作り、盛り上げようとしたのです。参加者は 183 人と今年も 減少したのですが、ま、中身はそれなりの内容であったと思います。 胃瘻バッシングの影響?そうかもしれませんが、本当に胃瘻、栄養 管理を理解していたら、こういう風に世の中が胃瘻に対して間違っ た考え方をしていることに対して、きちんと反論できるはず。集ま ってくれた方々は、そういう考え方をちゃんと持ってくださってい る方だと思います。胃瘻、栄養管理についてわかっていない方々の 「胃瘻バッシング」に負けてはだめでしょう。 ↑今回のパネルディスカッションは、「病態別経腸栄養剤の有効 性を問う」でした。PEG・栄養研究会と名称を変更しても、やは り、PEG 造設と管理に関する話題が中心になっています。それを 反省する必要があると思います。PEG という用語が一人歩きして いる傾向もあります。PEG って、造設術なので、造設されたらも う PEG ではなくて、胃瘻になっているんですよね。用語の使い方 としておかしいでしょう。本当は「関西胃瘻・栄養研究会」の方 が名称としては正しいと思います。でも、PEG という手技を広め ることを目的として発足した会だから、なかなか、そこまで思い 切った名称変更はできません。でも・・・考え中、考え中です。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ゼン先生 ・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ゼン先生の栄養管理講座 第7回 ゼン先生:World congress of vascular access(WoCOVA) ゼン先生 ゼン先生:はい。学会もまじめに参加しましたよ。WoCOVA ゼン先生 という学会での発表のために、ドイツのベルリンへ行って のホームページに学会の様子についてのスナップ写真が きました。 たくさん掲載されていたんですが、そこに、私が聴講して 小越先生:そうか、 ベルリンか。どうだった?と言っても、 小越先生 いる写真が掲載されていました。まじめに学会に参加して 君のことだからドイツの料理はダメでした、それしか言わ いるという証拠写真です。 ないから、全く面白くないだろうな、この話は。 小越先生:そんな写真がないと、まじめに学会に参加した 小越先生 ゼン先生:食事の話はしません。ベルリンと言えば、やっ ゼン先生 と言えないのか? ぱり、ベルリンの壁ですよね。見に行ってきました。 ゼン先生:そんなことはありません。いい勉強した、と言 ゼン先生 小越先生:そうか、まだ残ってたのか。 小越先生 っているじゃないですか。 ゼン先生:もちろん、観光用です。壁の支柱も残ってまし ゼン先生 小越先生:そうだな。当然のことだから。ところで、学会 小越先生 たし、高い所から壁が見えるようになっていました。壁の としては興味ある内容だったのか? かけらが、置物やキーホルダーになって売られていました。 ゼン先生:そうですね。最近は、ESPEN へ行っても、 ゼン先生 小越先生:壁のかけらがおみやげ品か。なるほどな。 小越先生 A.S.P.E.N.へ行っても、静脈栄養の話はほとんどないので、 ゼン先生:壁自体はタダですから、いい商売ですよ。 ゼン先生 器材の展示なんかも行われていないんですよ。今回の学会 小越先生:ブランデンブルク門には行ったか? 小越先生 では、カテーテル管理に関するいろんな展示が行われてい ゼン先生:行きましたが、先生、よく名前を憶えておられ ゼン先生 て、いい勉強になったと思います。 ますね。 小越先生:そうか、器材の展示が充実していたか。それも 小越先生 小越先生:当たり前だよ。有名だから。 小越先生 学会の重要な目的の 1 つだよな。 ゼン先生:そうなんですか。私は知りませんでした。 ゼン先生 ゼン先生:そうですね。縫合しなくてもいい CVC 挿入部固 ゼン先生 小越先生:知らなかった?へえええええ・・・・。 小越先生 定器具だとか、新しい接続システムとか、血管穿刺用エコ ゼン先生:森鴎外が住んでいたアパートの辺りへは行きま ゼン先生 ーの機械とか、いろいろありました。 したよ。 小越先生:それはよかったなあ。 ま、静脈栄養についても、 小越先生 小越先生:鴎外って、壁に漢字で書かれてたんだろう? 小越先生 器材を含めて、もっといろいろやらないとダメだな。 ゼン先生:はい。これも先生は知っておられる? ゼン先生 ゼン先生:そうです。8 月 9 日に阪大で血管内留置カテー ゼン先生 小越先生:常識なんじゃないか? 小越先生 テル管理研究会を開催しますので、それが、何らかのきっ ゼン先生:常識・・・ですか。食事といえば、シュニッツ ゼン先生 かけとか、刺激になってくれたらいいと思っています。 ェルという料理はいけますね。 小越先生:それは期待できそうだな。でも、経腸栄養の領 小越先生 小越先生:シュニッツェルな、 あれは日本人にあう料理だ。 小越先生 域だって、胃瘻問題で大変なんじゃないか? ゼン先生:でも、なんとなく、あの名前がいやですね。 ゼン先生 ゼン先生:それはね、 先生、大変ですよ。28 日に関西 PEG・ ゼン先生 小越先生:どうしてだ?ドイツらしい命名じゃないか。 小越先生 栄養研究会があったんですが、参加者数が 200 人を切りま ゼン先生:なんとなく、シュニッツラー転移を思い出さな ゼン先生 した。 いですか? 小越先生:200 人も来てくれたら十分じゃないか。 小越先生 小越先生:シュニッツラー転移?胃癌のダグラス窩転移 小越先生 ゼン先生:先生、8 年前は最高で 550 人も参加者がいたん ゼン先生 か? ですよ。 ゼン先生:はい。名前が似てるでしょう?直腸診で診断す ゼン先生 小越先生:500 人以上か、それはすごいな。PEG のピーク 小越先生 る。だから、なんとなく・・・。 だったんだな。 小越先生:くだらん話だ。面白くもなんともない話だ。 小越先生 ゼン先生:まあ、そうですね。その後、毎年、順調に減っ ゼン先生 ゼン先生:すみません、確かにそうですよね。そうそう、 ゼン先生 て、 前回がちょうど 200 名、 今回が 183 名ということです。 Rudolf Virchow の像もありました。 小越先生:そうか、そんなことになっているのか。 小越先生 小越先生:そうか、あの胃癌のウィルヒョウ転移の Virchow ゼン先生:胃瘻バッシング、なんていうことになっちゃっ ゼン先生 だな。 て、おかしいですよ。 ゼン先生:そうですね。町を歩いていたらみつけました。 ゼン先生 小越先生:なんか、TPN に似てないか? 小越先生 小越先生:さすがだな、ベルリンは。医学の中心的存在だ 小越先生 ゼン先生:そうです。確かにそうです。松末先生が、来年 ゼン先生 ったんだ。明治時代に日本に入ってきたのはドイツ医学だ の学会のシンポジウムのテーマにしたら、とアドバイスを からな。 くれたんですけど。日本って、本当、右へ向けばみんなが ゼン先生:そうですね。Virchow なんて、医療関係者なら ゼン先生 右へ向く、という性格がありますよね。 誰でも知っているはずですよね。 小越先生:太平洋戦争の頃のことだな。確かにそうだ。 小越先生 小越先生:そうだな。でも、よかったな、Virchow の像に 小越先生 遭遇したなんて。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ゼン先生 ・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ゼン先生の栄養管理講座 第7回 ゼン先生:それほど重大ではないかもしれませんが。1970 ゼン先生 医療の中身について勉強しなければならないことがたく 年頃に TPN が導入されたら、なんでもかんでも TPN だった さんあるのにな。 でしょう? ゼン先生:お金の勉強をするのに忙しくて、医療の新しい ゼン先生 小越先生:そうだな。 小越先生 知識にはついていけません、ということになっていますよ、 ゼン先生:2000 年になって NST が普及すると TPN は悪、と ゼン先生 確かに。胃瘻問題については、PEG が普及しすぎたと、私 いう雰囲気になってしまったでしょう?ま、それは特に も思っています。でも、これが胃瘻をどうするか、という JSPEN の傾向かもしれませんが。 問題だけになっているからおかしいんですよ。 小越先生:TPN は悪、というのは言い過ぎだけど、経腸栄 小越先生 小越先生:問題は栄養管理の適応だものな。 小越先生 養がうまくいかなくて、TPN にならざるをえなくなったら ゼン先生:そうです。胃瘻はダメ。そしたらどうする?と ゼン先生 NST 活動としては負け、みたいな雰囲気があるとは聞いた いうことになって、鼻から管が入っている患者さんが急増 ことがある。 しているんですよ。 ゼン先生:でしょう?そのせいでしょう、静脈栄養につい ゼン先生 小越先生:確か、胃瘻造設キットの売上は激減している、 小越先生 てきちんとわかっている人がいなくなりましたから。 だったな。 小越先生:確かにそうだな。ただただキット製品を使えば 小越先生 ゼン先生:そうです。最盛期の 7 割以下になっているそう ゼン先生 いい、という程度になってしまったな。 です。逆に経鼻胃管の売上は激増しています。 ゼン先生:次は胃瘻ですよ。 今や、胃瘻を造設することは、 ゼン先生 小越先生:そのうち、 胃瘻患者がいなくなってしまうかも、 小越先生 悪ですよ。悪、悪なんですよ。間違った医療、ということ な。 になってしまってます。診療報酬でもここまでやっちゃう ゼン先生:やっぱり、議論の論点が間違っているんですよ。 と、どうしようもないと思いますよ。 だからおかしいんです。 小越先生:そんなに診療報酬が下がったのか? 小越先生 小越先生:栄養管理の適応について議論するべきだ、だろ 小越先生 ゼン先生:そりゃあ、ひどいですよ。胃瘻の手技料は、単 ゼン先生 う? 純に考えたら 40,000 円も減額なんですからね。 ゼン先生:もちろんです。栄養管理の適応があると判断し ゼン先生 小越先生:それまでがちょっと高すぎたんじゃないか? 小越先生 たら、長期症例では胃瘻が第一選択となります。これは正 ゼン先生:それは否定できないかもしれません。改定前は ゼン先生 しい選択です。 約 10 万円でしたから。 小越先生:長いこと、鼻に管が入っていると、見栄えも悪 小越先生 小越先生:だろう?今回の減額で適応のない症例への PEG 小越先生 いし、しんどそうだよ。それに、自分で管を抜く人がいる の歯止めにはなるだろうな。 から、手足を拘束しなくてはならなくなるよな。 ゼン先生:確かにそうでしょう。でも、適応のある症例に ゼン先生 ゼン先生:そのとおりです。だから、胃瘻という方法が普 ゼン先生 まで胃瘻は造設しない、できない、という状況になってい 及したんですよ。原点に帰って考えないと、本当、おかし るんですよね。 いことになります。大事なことは、栄養管理の適応につい 小越先生:そこが問題だな。そこで TPN と同じ傾向になり 小越先生 て、まず考えて、栄養管理の適応はない、栄養管理は実施 つつある、と言いたいんだ。 しない、と決めたら、胃瘻を造設することはもちろんしな ゼン先生:ちょっとニュアンスは違いますが、そうです。 ゼン先生 いし、経鼻胃管での管理は適応外、CV ポートも適応外、だ 診療報酬上、胃瘻造設を減らそうという意図が強すぎて、 から自然に看取る、という重大な決心をしなければならな TPN よりもっとすごいことになるかもしれません。さらに、 いんですよね。 嚥下機能評価をやらないと診療報酬をさらに 8 割にする、 小越先生:そういうことになるはずだ。 小越先生 と言ってますから。 ゼン先生:そこの議論をせずに、胃瘻はダメ、なんて言っ ゼン先生 小越先生:嚥下機能評価がきちんとできる施設って、たく 小越先生 てるからおかしなことになるんです。大きな声では言って さんはないだろう。 いないけど、こんな患者さんは自然に看取る方がいいんじ ゼン先生:そうなんです。そこで、嚥下機能評価の研修会 ゼン先生 ゃないか、という考え方になる場合って、みんな、共通し が慌てて企画されています。 た考え方なんだと思いますが。 小越先生:そうか、正しく政策誘導だな。とにかく、診療 小越先生 小越先生:オレもそう思う。 小越先生 報酬体系自体、そんな感じだからな、日本は。 ゼン先生:だから、そこのところの議論をしなければなら ゼン先生 ゼン先生:本当にそうですよ。2 年毎の診療報酬改定のた ゼン先生 ないんですよ。胃瘻なんて、単なる管なんですから。 びに、医療が変わっていきますから。理解不能です。理解 小越先生:そういうことを言うと、PEG 信奉者に叱られる 小越先生 したと思ったら、次の変更が、という感じです。 ぞ。 小越先生:そうだよな。そして、その診療報酬の中身につ 小越先生 ゼン先生:要するに、胃瘻の使い道を考えればいいんです ゼン先生 いて勉強しなければならない。もっと、報酬問題ではなく、 よ。嚥下機能に問題がある患者さんの場合は、必要な薬を 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ゼン先生 ・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ゼン先生の栄養管理講座 第7回 投与するための経路として胃瘻を使うという考え方もあ 小越先生:そういう考え方もできるといえばできるな。 小越先生 りますよね。 ゼン先生:おっかしいでしょう。敢えて、胃瘻の正しい適 ゼン先生 小越先生:あるな。食事はなんとか食べられるけど、足り 小越先生 応について考えるため、そういう製品は開発すべきではな ない人の栄養補助とか、水分だけの投与とか、いろいろ使 いと思いますよ。 い道はあるな。 小越先生:またまた、頑固な性格がそのまま出ているよう 小越先生 ゼン先生:大事なのはそこでしょう。もう一歩進めると、 ゼン先生 な意見だぞ、それは。 胃瘻を作って積極的に経腸をやってきた。でも、意識レベ ゼン先生:そんなことはないでしょう。経鼻胃管からも半 ゼン先生 ルも改善しないということがわかった。もちろん、100% 固形状流動食が注入できますよ、だから、胃瘻が減って経 不可能とは断定できないけど、誰がみても、ということに 鼻胃管が増えても問題ないですよ、という意味でしょう? なった場合、投与量を減らすとか、投与内容を変えるとか、 小越先生:まあそうだろうよ。 小越先生 それも認めるということにしないと、おかしいことになっ ゼン先生:ということは、胃瘻の方が適応の患者さんでも、 てしまいますよね。 経鼻胃管でもいい、ということを強調することになるでし 小越先生:投与を中止するとか、減らすとか、それができ 小越先生 ょう。今の傾向を認めることになってしまうでしょう。 ないから、もう、胃瘻は作らない方がいい、ということに 小越先生:それが世の中の傾向だったら・・・。 小越先生 なってるんだろう。 ゼン先生:先生、それは納得できないですよ。先生がそう ゼン先生 ゼン先生:集団的自衛権の問題より、先に解決して欲しい ゼン先生 いう、世の中に迎合するような考えをもっておられるなん 問題かもしれませんよ。大体ですね、投与開始時に投与量 て、理解不能です。先生らしくないです。 を計算せずに経腸栄養が開始されているんです。患者の状 小越先生:そうだな。君のいう通りだ。まあ、オレが開発 小越先生 態を観察して、投与量を減らした方がいい、という判断を したエレンタールは、経鼻胃管の 5 フレンチ程度の細いや することって、経腸栄養剤を止めるというのも選択肢なん つでも十分に投与できるから、経鼻胃管も否定しないよ、 ですが、実は、適正投与量を考えている、ということにな というニュアンスもあるんだけど。 るんじゃないでしょうか。 ゼン先生:先生、その考えは、いまいちです。 ゼン先生 小越先生:一理あるとは思うけど、屁理屈だという人もい 小越先生 小越先生:いまいちか。そしたら、どうすればいいという 小越先生 る意見ではあるな。 んだ? ゼン先生:でも、もう一つ問題だと思っているのは、経鼻 ゼン先生 ゼン先生:昔の元気な小越先生 小越先生にもどって、今の日本の胃 ゼン先生 小越先生 胃管を用いて半固形状流動食が投与できるようにしよう 瘻に対する考え方はおかしいと、大きな声で言ってくださ としている動きです。胃瘻が使えるから半固形状流動食が い。栄養管理の実施方法として、胃瘻が適応となるんだっ 発達したんですよ。それなのに、今度は、胃瘻が減って経 たら、積極的に胃瘻を造設すべきだ、と言ってください。 鼻胃管が増えているから、経鼻胃管から半固形状流動食が 栄養管理の適応についてきちんと考えることが、本当の意 投与できるようにするって、よく考えると、胃瘻の適応に 味で胃瘻問題を解決できるんだ、と言ってください。 ついて正しい判断をしようとしているのではなくて、この 小越先生:そうだな。 よくわかったぞ。君の意見に賛成だ。 小越先生 変な傾向を受け入れて、それに対応していることになりま 応援しているからな。だから、君自身が大きな声で言えよ、 すよね。 な。 ↑経鼻胃管を挿入している患者さんはつらそう、かわいそう、そ う思って、胃瘻に変えてきたのではないか。真ん中の胃瘻の患者 さんが一番、自然に、明るい。原点に戻るべきである。胃瘻の方 がいいという議論をしても、胃瘻を造ると安らかに死ねない、な んて思っている方々とは噛み合わない。それより、栄養管理の適 応について、まず、考えるべき、という議論をしましょうや。そ して、栄養管理の適応と考えたら、その次のステップとして、ど の経路で経腸栄養を実施するかを考えましょう。その時に、経鼻 胃管にしましょう、CV ポートにしましょう、という方々は、栄養 管理を理解できていない方々なのですよ。胃瘻を造設しないと決 めるということは、自然に看取る、ということを決心すること、 重大な結論を出すこと。そこを考えないで、胃瘻はダメだから経 鼻胃管にする・・・これは間違った考え方です。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ゼン先生 ・・・・・・・・・・・ゼン先生の栄養管理講座 ゼン先生の栄養管理講座 第7回 【今回のまとめ】 1. 8 月 9 日に「血管内留置カテーテル管理研究会」を開催しますので、興味のある方は来てく ださい。ベルリンで開催された血管内留置カテーテルの学会では、熱心に議論されていま した。 2. 胃瘻バッシング?それ自体がおかしい。間違った傾向が出現しているのに、なぜ、間違っ ているということにならない? 3. 現在、大多数が「胃瘻を造設すべきでないと」考えている患者さんに対して「胃瘻は造設 しない」という意見は、私も賛成です。それはそれでいいと思います。 4. その考え方が、胃瘻造設のいい適応の患者さんにも拡大解釈されていることが問題です。 経鼻胃管を入れているのに問題があるから、どんどん胃瘻を造ったんでしょう? 5. 栄養管理の適応について考えましょう。そうしたら、この胃瘻バッシングに対する正しい 考え方についての議論ができますから。胃瘻の適応について考えるのではありません、栄 養管理の適応について考えることの方が先です。 当サイトの文章、画像の無断転載を禁じます。 8