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76 溶液法によるセラミックスナノ薄膜コーティング

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76 溶液法によるセラミックスナノ薄膜コーティング
機能材料工学科
研究室見学
ナノテクノロジー・材料
76 溶液法によるセラミックスナノ薄膜コーティング
准教授 伴 隆 幸
e-mail: [email protected]
研究の概要
水溶液を原料溶液とした溶液法によるセラミックス薄膜の作製について、酸化チタンの薄膜コーティングを例に説明する。
・
・
・
原料水溶液の調製について
(結晶性層状チタン酸塩のコロイドや、結晶性酸化チタン(アナターゼ)のコロイドが分散した透明水溶液の調製)
層状チタン酸塩のコロイダル水溶液を用いたゾルゲル法による緻密なアナターゼ薄膜の作製
層状チタン酸塩のコロイダル水溶液を用いた水熱合成法による、ナノオーダーの凹凸をもったアナターゼ薄膜の作製
ゾルゲル法(ディップ コーティング)
ナノオーダーの
厚さの薄膜
ナノオーダーの
厚さの薄膜
安定化剤
金属源
水熱合成法
ゾルゲル法(スピン コーティング)
溶媒
コーティング
溶液調製
乾燥,熱処理
セラミックス薄膜
ゾルゲル法の特長
・薄膜の作製条件により、薄膜の膜厚が容易に制御できる
水熱合成法の特長
・200℃以下の低温でセラミックス膜が作製できる
・組成の制御が容易である
セラミックス薄膜
乾燥,熱処理
コーティング
反応
ゾル
基板
・有機成分との複合化が容易にできる
セラミックス膜の
基板上への不均一核生成
・複雑な形状の材料のコーティングが容易である
溶液法の原料溶液に対する研究課題
・有機溶媒よりは水溶媒 ・薄膜が低温合成できないか? ・配向性やナノレベルでの微構造が制御できないか? ・緻密な薄膜が合成できないか?
研究の内容
1.
原料水溶液の調製
層状チタン酸塩コロイドの結晶構造
(レピドクロサイト型チタン酸塩)
水溶液中の状態の模式図
結晶性層状チタン酸塩のコロイダル水溶液
N(CH3)4OH
(TMAOH)
Ti(OPri)4
(TIP)
O−-Ti ≡
H2O
水
攪 拌
組成 TMA0.7Ti1.825O4 H2O
層状チタン酸
塩コロイド
TMA+イオン
TiO6八面体
TMA+
調製水溶液
H2O
攪 拌
基
板
ゾルゲル法によるコロイドが容易
に配向塗布される
TMAOH/TIP ≥ 0.4
チタンアルコキシドを水酸化アルキルアンモニウムと室温、空気中で混合して水で希釈するだけで、結晶性層状チタン酸塩のコロイドが分散した透明
水溶液が調製できる。
結晶性酸化チタン(アナターゼ)のコロイダル水溶液
乾燥粉末のTEM像
添加したクエン酸や過剰の水酸化
テトラメチルの余分な有機成分は、
次のように取り除くことができる。
コロイダル水溶液にアルコールを
添加して沈殿したコロイド粒子を、
十分にアルコールで洗浄後に
コロイドを水に再溶解させる。
これにより、最低限の有機成分しか
含まないコロイダル水溶液ができる。
可視光領域で
高い透光性
クエン酸添加
層状チタン酸ゾル
溶液を室温で乾燥した試料のXRDから
コロイドがアナターゼであることが分かる
水熱処理
層状チタン酸塩のコロイダル水溶液を、沈殿抑制のためにクエン酸を添加した後に水熱処理すると、コロイド粒子が
アナターゼに結晶化しても透明性を維持され、アナターゼが分散した透明コロイダル水溶液が調製できる。
2.
チタン酸塩のコロイダル水溶液からのゾルゲル法による薄膜作製
60~70 nmの膜厚であった。
他の代表的な溶液から
作製したものに比べても、
屈折率が高く緻密であった。
結晶温度も比較的低く、
膜の均一性にも優れていた。
3.
水熱合成した薄膜の種々の液滴に対する濡れ性
UV照射により、
2Hの鉛筆硬度
になった
250℃の熱処理で、
結晶化していなく
ても、6Hの鉛筆
硬度となった
液滴
チタン基板上に水熱合成されたアナターゼ薄膜
表面
断面
アナターゼのナノ結晶が
合成されるだけでなく、
面白い形態に自発的に
組織化することが
分かった。
そこで、これを薄膜作製に
応用してみた。
ナノオーダーの凹凸構造をもった配向したアナターゼ薄膜が得られた
合成薄膜上
水
超親水性
接触角 40°
接触角 0°
接触角 15°
接触角 1°
オレイン酸
グリセリド
チタン酸塩のコロイダル水溶液からの水熱合成法による薄膜作製
コロイダル水溶液から水熱合成された
星型のアナターゼ結晶集合体
Ti板上
超親油性
ホルム
アミド
接触角 50°
接触角 0°
ドデシルリン酸で
疎水化処理した
基板上の水
誘電率の
大きい液体
に対しても
高い濡れ性
高い
疎水性
接触角 85°
接触角 135°
紫外線照射しなくても、凹凸構造により
超親水性、超親油性をあわせもつ膜となった
ここではTiO2の例しか示しておりませんが、ZnO, SnO2, ZrO2などのその他の金属酸化物に対しても薄膜コーティングを検討しているので、
酸化チタン以外のコーティングでなにかニーズがございましたら、ご遠慮なくおっしゃってください。対応できると思います。
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