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「フェアトレードについてもっと知りたいこと!」 長坂先生からのコメント

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「フェアトレードについてもっと知りたいこと!」 長坂先生からのコメント
「フェアトレードについてもっと知りたいこと!」
長坂先生からのコメント
■フェアトレードを広げるには:FTT運動を広げる、または盛り上げるための手立ては
どんなものがありますか?よい事例はありますか?
○FTT(フェアトレードタウン)運動はこれから日本で広げていく、その端緒はすでに
現れています。日本での事例はありませんので、誰も盛り上げていくための明確な方法は
まだ知りません。皆で相談しながら、いろいろな試みを行っていくのがいいのでしょう。
とくに日本では、メディアと政府(行政)の影響力が強いので、メディアと行政への働き
かけも必要でしょう。
また、タウン運動は、地域イニシアチブで進められるのべきだと思っています。風 s の
活動も、熊本や札幌での活動も、それぞれによい事例だと思います。これからこれら事例
情報の交流を行い、励まし合って各地で FT タウンが結実していくことを願っています。
■
FTを知らない人に簡単に伝える方法はありますか?
○簡単に伝えることはなかなか難しい問題ですね。簡単に伝えるために最も大切なことは、
理屈よりも自分の思いを伝えることだと思っています。そのためには、自分が思いをもつ
ことが大切なのだと思います。
でも、理屈的に言えば、①開発途上国の貧しい人々の自立支援――そういう人々/世界
の課題と自分とが関わること、②環境や社会問題への関心をもった消費者になること――
消費者から選択者になる、③つまり、自分自身の生き方(ライフスタイル)を世界の中で考え、見
直してみること(こうした人々のことを考える自分でいる方がいい、手作りのものを大切
にしたい、顔の見える、繋がりを感じられものを身につけたい・・・)、そんなことを考え
てみようよと呼び掛けることだと思います。
■FTを商売につなげるためにはどうしたらいいですか?
○フェアトレードショップを開店するには、心意気のようなものが必要だと思います。フ
ェアトレードのマーケティングは、地域活動です。フェアトレードを商売につなげていく
には、地域活動への理解と参加が大切なような気がします。ショップの方々の心意気につ
いては、『日本のフェアトレード』や『世界と日本のフェアトレード市場』(共に明石書店)
に紹介されています。
■フェアトレードマークなどへの、補助金制度はできないのでしょうか?
○フェアトレードマークを支援するための補助金制度はできそうにもありません。
フェアトレードマークとは関係ありませんが、日本の開発協力輸入の促進の観点から、ア
フリカでのフェアトレードの現地開発プロジェクトにジェトロから支援が出ています。基
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本的には専門家の派遣などのための資金支援です。
■フェアトレードショップを後押しするもの:本来のFTの真意を伝えるために必要、重
要となる、ショップを後押しする力となるものはなんですか?(個々の負担が大きいのが
現状)
○日本のフェアトレードの普及には、ショップの力が最も重要だと思います。消費者に対
して、フェアトレードの大切さを伝える最前線にいるからです。ショップを後押しするに
は、若い方々のボランティア的な参加による勢いがとても重要だと思います。日本の現在
のフェアトレードを推進しているのは、若い方々がフェアトレードに強い関心を示してく
れていることです。若い方々がフェアトレードに関心を示してくれている限り、フェアト
レードには未来があると思いますし、その未来がショップの方々に力を与えることになり
ます。若い方たちのフェアトレードへの関わりが各地のショップとの関わりとなっていく
ことを願っています。
■フェアトレードの先進的な取り組み事例:外国のFTの効果的な取り組みは、どんなも
のがありますか?・FT先進国の状況(人々に浸透していくプロセスやシステムづくりな
ど)はどんなですか?
○『世界と日本のフェアトレード市場』(明石書店、2009)などからそうした事例の多くが
発見できると思います。ここでは書き切れませんので、この本をご参照ください。
■認証型と提携型:認証型と提携型のメリットとデメリットは何ですか?
○認証型のメリットは、企業が取扱い易いことです。販売する商品について、企業自身が
フェアトレード商品であることを保証する必要がないのです。企業は自由に扱えるためで
す。提携型のメリットは、フェアトレードの理念である生産者と輸入者、そして消費者が
直接結び合うことができる点です(顔の見える関係)。フェアトレードの基本的理念として
の、手作りとつながりの大切さを共有できることがよりできることです。
■フェアトレードの判断基準、調査方法:・FT商品が本物かどうかどうやって判断する
ことができますか?/FT商品が本当にフェアトレードで成り立っているかを調べる方法
はありますか?
○WFTOの商品(日本ではネパリ・バザースとピープル・ツリー)およびFLO(日本
ではFLJ)の認証商品については、それぞれのモニタリング(監査)システムによって
保証されています。その他のフェアトレード商品(シャプラニール、第3世界ショップ、
シャンテ・ボラティア、ぐらする~つ、スローウオーターカフェ、ICAN等々)は、自
分たちはWFTOのフェアトレード基準に従って自らの団体を運営していることを明確に
宣言し、かつその活動(実践)状況をweb等で情報公開をしています。また、スタディ
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ツアなどを行うなども情報公開の一環です。つまり、理念の認知と情報公開でそれがフェ
アトレードであることを担保しています。ほんとうにフェアトレードであるかどうかは、
そうしたことから、つまり活動実態を見て私達は知っていきます。
■FTの日本での認知度が20%である、という根拠と調査方法を教えて下さい。
○チョコレボ実行委員会が 2007 年から毎年インターネットで調べる方法で行っています。
インターネットで検索してみてください。
■FT商品は中間業者がいないので一般の商品より安くできるのではないか、と思うので
すが、どうでしょう?
○フェアトレードは中間業者の排除や、環境適応や手作りなどの付加価値によって先進国
で販売します。また、生産者の生活コトスを前提に仕入価格を決めますので、通常の取引
より高く仕入れることになります。そのため、どうしても(中間業者を排除しても)なお
高くなりがちですが、しかし、輸入業者等(フェアトレード団体)の努力で高すぎないよ
うに努力しています。
■途上国の人の視点:・途上国の人はFTについてどう思っているのでしょうか?またF
Tの認知度はどうでしょう?
○途上国の人々のフェアトレード認知度に関するデータについては私は知りません(多分
ないのでは)
。途上国の人々にとって、フェアトレードの対象となることは、具体的には自
分の所得がありが、子どもが学校に行けるようになり、コミュニティがよくなっていくこ
とを意味します。しかし、まだフェアトレード活動の対象となっているコミュニティ(生
産者)はきわめて少ないのです。フェアトレード消費がもっともっと先進国で活発になる
ことが必要です。
■「適正な価格」はどうやって決めるのが、生産者にとって有効でしょうか?
○通常の取引では、日本で売るにはどの価格で仕入れる必要があるかと考え、一銭でも安
く仕入れる交渉をしますが、フェアトレードでは、「適正価格」とは、基本的にはその生産
者の生活コストをベースに決めています。具体的には相手(生産者)の団体(協同組合な
ど)と話し合って自立できることを前提に価格を決めます。
■地域的・地球的地産地消のありかた:・国際産直、国内産直の提携性、関連性、可能性
について、具体的な事例を教えて下さい
○日本の地域のショップの方々はすでに「産直」の考えとフェアトレードの理念が結びつ
くことを知っています。産直と連携しようとしているショップの方々もあります。フェア
トレードは国際産直運動なのです。地域のショップの方々にとっては、地域の農家との共
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存(輸入品であるフェアトレード商品と地域産品との共存)が最も大きな課題になるでし
ょう。具体的なショップの名前を申し上げられませんが、昨年(財)国際貿易投資研究所
で行った日本で初めての日本のフェアトレード市場の調査の時にも、そう回答してきたシ
ョップの方々いくつかあったのには感動しました。
■日本と海外の取引であるフェアトレードに対して、地域の循環である「地産地消」とは、
どのように連動していけばよいのでしょうか?
○理念・コンセプトを分かち合うことです。同じ理念ですので、分かり合うことはできま
す。また、フェアトレードを扱うことは、国内の地域の農家の生産品とバッティングしな
いので、協力し合うことは可能です。
フェアトレードは基本的には途上国の農家の人々の自立支援運動です。オーガニックコ
ットンなどの衣料品も、綿花農家の支援から始まります。フェアトレードコーヒーや紅茶
も、チョコレートもカカオ農家の支援を目的としています。また、これら熱帯産品は日本
の農家の産品とはバッティングしません。共存できるのです。フェアトレードは国際産直
運動であり、国内の産直運動と同じコンセプトなのです。お互い交流し、話し合い、産品
を相互乗り入れしていく形での連携の始まりもありうるでしょう。
■フェアトレードタウン
推進会議、自治体との連携:・FT推進会議は、どのような話
し合いをしているのでしょうか?
○私も参加しているフェアトレード推進会議は、関東中心のフェアトレード関係者(まだ
ショップの方は参加していませんが)の情報交流・勉強の場となっています。当面は5月
のフェアトレード月間をできるだけみんなで一緒にやっていきましょうと考えています。
今後はこの会議をどのようにしていくかは、2010 年後半をメドに考えていきたいと思って
います。日本のフェアトレード関係者である皆様が思っていることをできるだけ勉強し、
情報を交流する場となればと思っています。今後どのような集まりにしていくかは、5 月以
降に話し合っていくことになるでしょう。
■自治体とは、具体的にどのように連携していくとよいのでしょうか?
○自治体の方々(担当者等)に、いろいろなイベントに参加してもうらよう声をかけるこ
と、フェアトレードのことを知ってもらう努力をすること、自治体内のベンダーの中の一
つの品目にフェアトレードをいれてもらう(フェアトレード缶コーヒーなど)ようにお願
いしていく等々から始めていくのはどうでしょうか。そして、フェアトレード関係者側が
皆で一緒になってグループ(ネットワーク)を作り、自治体と連携していくことが大切だ
と思います。
■フェアトレードと企業:・企業がFT商品を扱うのは、企業イメージのアップのための
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戦略がメインだと聞いたことがあります。その点について、長坂さんはどうお考えになり
ますか?
○そのとおりだと思います。CSRとは、「企業は社会のステークホルダーの一つ」である
ことを企業が認識することです。そのため企業は収益をあげることのみならず、社会や環
境をよりよくする責任があるのですが、そうした経営姿勢の必要性に気づく企業はまだ日
本では多いとはいえません。自社のイメージアップのためにフェアトレード商品を扱って
いるのが実態だと思います。しかし、動機はともあれ、企業がよいことをやってみようと
思うことは、日本が変わっていくためにはやはりよいことだろうと思いたいと思います。
これは同時に消費者の問題だと思います。自分の日々の買物を選挙に投票にいく時のよう
に、より環境と社会によい商品を選択するという消費者が増えると、企業はフェアトレー
ド商品を扱わないと生き残っていかなくなるでしょう。
以上
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