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コスタリカ消費市場調査

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コスタリカ消費市場調査
コスタリカ消費市場調査
2009 年 3 月
ジェトロ・サンホセ事務所
目次
1.消費者概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.消費行動概観・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
3.一般消費財流通市場の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
4.マーケティング事例:ユニリーバ社・・・・・・・・・・・・・・・・・20
1
Copyright©2009 JETRO.All rights reserved.
コスタリカ消費市場調査
1.消費者概観
(1)コスタリカ基礎情報
コスタリカは中米 5 カ国の中で最も経済開発が進んだ国である。中米諸国の主要経済指
標を比較するとその差は歴然としている。この背景には 1980 年代の内戦によるコスタリカ
を除く中米諸国の停滞がある。また、近年は悪化しているが、他の中米諸国に比して安定し
た治安、高い教育水準、観光資源の有効活用等による外国人観光客や外国直接投資の誘致で
大きな成功を収めてきたこともコスタリカが中米で抜きん出た経済力を持つ理由である。
表1 中米5カ国主要指標(2007年)
コスタリカ
エルサルバドル
国土面積(1,000km2)
51
21
109
112
130
人口(100万人)
4.4
7.1
13.3
7.5
6.1
GDP成長率(%)
7.3
4.7
5.7
6.3
3.8
26,232
20,373
33,694
12,279
5,724
5,904
2,857
2,532
1,635
946
名目GDP(100万ドル)
1人当たり名目GDP(ドル)
グアテマラ
ホンジュラス
ニカラグア
出所:「World Economic Outlook Database」IMF、「Basic Indicator Data base」Pan American Health Organization
表2 コスタリカ共和国の基礎情報
人 口
4,549,903人(2008年)
面 積
首 都
51,100km2
サンホセ
行政区分
7県(Provincia)、81郡(Canton)、470区(Distrito)
言 語
スペイン語
宗 教
カトリック(信教の自由あり)
通 貨
コロン
気 候
雨季、乾季を伴う熱帯性気候
出所:コスタリカ統計庁(INEC)
(2)国内主要都市
コスタリカの行政区分は 7 県(Provincia)
、81 郡(Canton)、470 区(Distrito)から構
成されている。県は比例代表制の国政選挙を実施する上で重要だが、地方自治は 81 の郡を
その区分としており、各行政府を市(Municipartidad)と呼称している。従って、商圏を
捉える上では市区分で見るのがわかりやすいだろう。
コスタリカで人口が集中する都市は主にサンホセ市を中心とするサンホセ県全域、フア
ン・サンタマリア国際空港の立地するアラフエラ市、サンホセ経済圏に隣接するエレディア
市、カルタゴ県カルタゴ市、太平洋岸のプンタレナス市である。
2
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人口は Valle Central(中央盆地)に集中しており、全人口の 5 割が分布している。サン
ホセ県全域と、アラフエラ市、エレディア市を合わせた地域がコスタリカの主要経済圏であ
る。食品加工業を中心とする製造業、その他の商業もこれらの地域に集中している。太平洋
岸は観光が主要産業、カリブ海沿岸は気候条件が厳しく社会開発が遅れている地域で、太平
洋岸に比べると観光開発が進んでいない。
人種別の分布も比較的明確であり、カリブ海岸にはカリブ系黒人が多く分布する。統計か
らは読み取ることができないが、中華系も多いと言われている。インディヘナは全国の保護
区に分散しており、主要都市の市中で見かける機会は尐ない。
図 1 コスタリカ地図と人口分布
(3)コスタリカの人口動態・分布状況
A.コスタリカの人口動態
コスタリカの人口動態を把握するには国勢調査が適当である。2000 年に実施された調査
結果に、コスタリカ統計庁(INEC)及びコスタリカ大学中米人口研究所(CCP)が 2008
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年に実施した人口推計の修正結果を加味するとコスタリカの人口動態は次のとおりである。
2001 年の国勢調査に基づく 2008 年のコスタリカの人口推計値は 454 万 9,903 人だが、
先述の見直しの結果、445 万 1,205 人に下方修正された。下方修正の主な要因は、出生率、
移民流入が想定以下であったこととされている。また人口動態の特徴として、若年人口層の
全人口に占める割合が低下していることが挙げられる。国勢調査は 2050 年までの人口推移
を予測しているが、先述の要因により人口増加率は 2001 年公表値を下回る公算が大きい。
2000 年の国際調査に基づく年齢別人口構成はきれいなピラミッド型となっているが、近年
は尐子化傾向にある。
図2
4
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5
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B.人種構成
人種構成は多様性に富んでおり、先住民(インディヘナ)、白人、混血、カリブ系黒人、
中華系など様々である。国勢調査は全人口の 95%が混血であるとしている。頭髪、瞳、肌
の色は多彩である。統計で示すことはできないが、混血でも白人に近い外見を留めているケ
ースが多い。またコスタリカ人の白人は大柄ではない。褐色(Moreno)の混血についても、
インディヘナのように小柄というわけではない。
また、中華系人口は全人口の 0.2%とされているが、実際には統計値以上の中華系人口が
コスタリカ国内に存在するものと考えられる。これらの人々は一般的に中華料理店、食料雑
貨店を経営することが多いと言われている。
表3 コスタリカの人種構成
人口
国土全体
都市部
農村部
合計
3,810,179
2,249,296
1,560,883
先住民
63,876
13,383
50,493
黒人
72,784
46,903
25,881
中華系
7,873
6,958
915
混血その他
3,568,471
2,127,006
1,441,465
不明
97,175
55,046
42,129
出所:コスタリカ統計庁(INEC)「2000年国勢調査」
国土全体
100.0
1.7
1.9
0.2
93.7
2.6
(単位:人、%)
構成比
都市部 農村部
100.0
100.0
0.6
3.2
2.1
1.7
0.3
0.1
94.6
92.3
2.4
2.7
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2.消費行動概観
(1)2008 年の個人消費動向
個人消費は景気後退局面入りする前、2008 年前半までは好調に推移してきた。またイン
フレ率が金利を上回って推移しており、
消費者の貯蓄インセンティブが働かず購買活動を刺
激し続けてきた。好調な個人消費を背景に金融機関各社は中間所得層向けのクレジットカー
ドの発行に注力、中間所得層が国内消費を牽引した。
そのため一般消費向けのクレジット残高が拡大してきたが、急速な景気後退を背景に破産
者が増加している。またクレジットカード発行時の消費者への説明が不十分であるとして、
金融機関への指導を強める向きもある。2009 年は物価上昇が落ち着きを取り戻すと見込ま
れるものの、大幅な景気後退を受け個人消費は悪化が見込まれる。
(2)家族構成と賃金、消費の特徴
A.世帯構成
2008 年の家計調査によるとコスタリカの家族構成人数は 1~3 名が 49.3%、4 名が 28.4%
となっている。時系列で見ると、5 名家族がその構成比を縮小させる一方で 1~3 名家族が
増加していることから、コスタリカにおいて核家族化、あるいは尐子化が進んでいることが
伺える。
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B.消費性向
一般的にコスタリカ人の貯蓄性向は低い。低賃金労働者の場合、月給を 2 度に分けて支
給する習慣があり、月給を 1 度に支給すると次の給料日まで家計のやりくりに窮すること
が多いとも言われている。消費スタイルは所得水準によるが、経済成長に伴い中所得者層が
拡大しているため低価格品ばかりの需要が高いということはない。後述するユニリーバ社の
市場分析においてもコスタリカは他の中米諸国と異なる。
女性は他のラテンアメリカ諸国と同様、美に対する意識が高く、化粧品や美容院などに対
する支出を惜しまない。
C.賃金動向
コスタリカの所得水準を把握する材料として家計調査を取り上げる。家計調査は毎年実施
され、一般世帯、労働者の所得水準を時系列で把握することが可能なためだ。
家計調査によると 2008 年のコスタリカにおける一世帯当たり平均月収は 51 万 3,911 コ
ロン(実質収入、2008 年 7 月コロン平価、同月為替レート:532.26=965.53 ドル)である。
平均月収は仕送り、副業収入などを含む全収入を指す。同様に労働者の平均月収は 28 万
1,667 コロン(同、529.19 米ドル)である。一般的に中所得層労働者の平均月収は 600 米
ドル程度と言われている。製造業の工員、コーヒー、バナナなどのプランテーション労働者
は政府が半年毎に定める法定最低賃金、
あるいはそれに近い水準の賃金であることが一般的
で、低所得者層に位置付けられる。事務員の場合、公的部門の賃金水準が民間部門の水準に
比して高い。
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新しい消費拡大層としてコールセンターなどで働くバイリンガルの若年層を挙げること
ができる。
比較的低い賃金でかつ語学力の高い労働者を求めて米国企業のコールセンターが
コスタリカ国内に数多く設立された。その結果、語学力の高い労働者に対する需要が供給を
上回り、英語力に優れる若年労働者の賃金が上昇した。バイリンガルのオペレーターの月給
は経験の浅い者でも 800 ドル程度、2、3 年の経験を積めば 1,000 ドル以上と言われている。
これはコスタリカの一般的な給与水準に比して高く、未婚、かつ実家で生活する若年層の可
処分所得を押し上げている。
新しい年金制度においてはコスタリカ社会保険庁より年金が支給されるのは男性が満 65
歳から、女性は満 62 歳からとされている。貯蓄性向の低いコスタリカにおいて、年金受給
者が有望な消費者となるとは思われない。
D.季節商戦
一般家庭の購買活動が特に活発になるのはクリスマス商戦、8 月 15 日の母の商戦(家電
製品が中心と言われている)の 2 つである。そのほかにプロモーションが行われるのは新
学期前の 1、2 月(パソコンや学用品が中心)、セマナサンタ(宗教行事)
、父の日(6 月)
などである。贈答品はクリスマス、バレンタインデー、結婚記念日、Dia de Noviazgo(恋
人記念日)に贈る習慣がある。贈答品は所得に見合ったものになる。特に重要なのはクリス
マス商戦である。クリスマス商戦は 10 月下旬から始まるとされており、小売店は 8 月頃か
ら年末商戦に向けた在庫の積み増しを始めると言われている。
9
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3.一般消費財流通市場の概要
(1)一般消費財流通経路の特徴
コスタリカにおける一般消費財の流通経路の特徴として、①大手資本、家族経営の大企業
が高い比率で国内市場を占有していること、②サンホセを中心とした中央盆地に人口、商業、
消費が集中していること、③市場を占有する大企業以外は中小・零細企業が多いこと、外国
製品を取り扱う場合、国内あるいは中米域内での独占販売を好む傾向にあること、④流通過
程は短く、製品輸入と国内流通を同時に手掛けることが多い、という点が挙げられる。
また、石油製品、石油派生製品、砂糖、蒸留酒など特定の品目については政府が独占的に
輸入を行うか、輸入許可を取得する必要があるなどの制限もある。
コスタリカ輸入業者・外国代理店協会(CRECEX)はコスタリカの流通網について次の
とおり分類している。
A.販売代理店・代理人(Agentes Comerciales-Representantes)
コスタリカの市場に商品を流通させる最適な方法とされているのは外国製品を取り扱う
販売代理店を活用することである。組織形態は法人、個人を問わず、販売代理店は外国企業
の責に帰する瑕疵に責任を有さない。外国企業がコスタリカ政府の実施する調達に参加する
に当たり、代理人を立てて参加する(弁護士事務所など)ことも一般的である。
B.ディストリビューター(Distribuidores)
販売代理店との契約に基づき製品を輸入、あるいは国内市場向けに加工し、小売販売網に
卸す。広域かつ多数の小売店に商品を卸すことが可能である反面、販売価格に中間マージン
が上乗せされるため、販売価格は高くなる。
C.輸入加工業者(Industriales)
製品を直接輸入、在庫を保有し、自社で加工・パッキングして商品化する。
D.スーパーマーケットチェーン(Cadenas de Supermarcados)
コスタリカの市場規模は小さいため、国土全体に店舗網を有するスーパーマーケットチェ
ーンの数は限られている。詳細は後述するが、全国的な店舗網を有するのは Wal-Mart
Centroamérica、Megasuper、GESSA の 3 社のみで、これらは販売力が強く、商品の仕入
れ量が圧倒的に多い。これら 3 社に Auto Mercado を加えた 4 社がコスタリカの主要スー
パーマーケットチェーンである。
E.季節輸入業者(Importadores Casuales)
需要期にのみ商品を輸入する業態。
10
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(2)主要な販売ポイント
コスタリカにおける販売ポイントは時代とともに変化し、今日では中高級品(所謂ブラン
ド品)は外国人居住地域の専門店、ショッピングモール内の専門店で、中低級品は主要都市
中心部の小規模小売店や大手スーパーマーケットチェーンで取り扱われている。また家電製
品はメーカーの直営店や家電量販店で販売されている。大手スーパーマーケットチェーンが
取り扱う商品は家電から食品、衛生用品まで幅広いが、客層に合わせた店舗形態と商品ライ
ンナップを展開している。中所得者層の拡大により、専門店、スーパーマーケット、デパー
トメントストアなどが集まったショッピングセンター、ショッピングモールが増加している。
多くの消費者が一般消費財をスーパーマーケットで購入する。また「Pulpería(プルペ
リア)
」と呼ばれる食料雑貨店で一般消費財を購入する消費者は依然として多い。
A.スーパーマーケットチェーン
コスタリカには次に掲げる 4 つの主要なスーパーマーケットチェーンが存在する。
1)Wal-Mart Centroamérica(ウォルマート・セントロアメリカ)
国内に 420 以上の店舗網を有する最大のスーパーマーケットチェーン。5 の業態を有する。
Wal-Mart の株式保有比率は 51%で、中米地域統括拠点をコスタリカに置いている。傘下ス
ーパーマーケットチェーンの業態別の特徴は下表のとおり。
表 4 ウォルマート・セントロアメリカの店舗網
業態名
Más X Menos
特徴
顧客サービスに重点を置いている。
客層
店舗数
中所得
25
中高所得
6
(マス・ポル・メノス)
店舗立地
都市部に立地。
「ワンストップショップ」をコンセプ
Hipermás
トに掲げる。豊富な製品、メーカーを
(イーペル・マス)
取り扱い、眼鏡店、銀行、クリーニン
郊外あるいは比較的大きい都
市の玄関口に立地。
グ店などを併設し利便性を高める。
Palí
(パリ)
Maxi Bodegas
(マキシ・ボデガス)
都市部、農村部、スラムを問わ
ディスカウント商品を中心に低価格
を追求する。他方、商品のバラエティ
低所得
119
に欠く。
ず立地。駐車場のない中心市街
地の歩行者が多い場所にも多
数。
ディスカウント商品を中心に豊富な
商品ラインナップを有する。
都市部を中心に展開し始めた
低中所得
11
新しい業態。新しいショッピン
グセンター内に立地する。
出所:ウォルマート・セントロアメリカウェブサイトなどよりジェトロ作成
11
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2)Corporación Megasuper Costa Rica(メガ・スーペル)
国土全体に店舗網を持つスーパーマーケットチェーン。ここ数年で店舗網を拡大し大きく
成長した。
「毎日節約(Ahorro Todos los días)」を消費者への約束として掲げる。無料の会
員登録で発行される Tarjeta Mayorista を提示することで会計時に即時値引きされる特典
で顧客を集めている。チェーンの特徴は下表参照。
表 5 メガ・スーペルの店舗網
業態名
特徴
客層
店舗数
中低所得
80
店舗立地
食料雑貨、果物、野菜、肉、パン類な
Megasuper
(メガ・スーペル)
どバラエティに富む低価格、高品質の
全国
商品とよいサービスの提供。
出所:メガ・スーペルウェブサイトよりジェトロ作成
3)SUCAP(Supermercados de Centroamérica y Panamá、中米・パナマスーパーマーケット)
中米、パナマ資本のスーパーマーケット 9 社が形成するスーパーマーケット同盟。本部
をエルサルバドルに置く。コスタリカでは GESSA(Grupo Empresarial de Supermercados
S.A.)
、Auto Mercado(アウト・メルカド)の 2 社が加盟する。9 社合計で 16 チェーン、
279 店舗を中米 5 カ国とパナマに展開する。消費者に高品質かつ世界水準の商品の提供する
ための相互支援を目的としている。9 社の年間売上高は 22 億ドル、2 万 4,000 人の従業員
を抱える。SUCAP 加盟各社は情報交換、人事交流、共同仕入れを行い、加盟各社の価格競
争力、サービス向上に繋げている。コスタリカの GESSA、Auto Mercado の特徴は下表の
とおり。
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表 6 GESSA の店舗網
業態名
特徴
客層
店舗数
店舗立地
サン・ラモン、グレシア、オロ
ティーナ、カルタゴ:テラモー
Perimercados
(ペリメルカードス)
質の高いサービス、便利さ、品揃えの
ル)、サンホセ:デサンパラド
多さ、アクセスのよさ、信頼性、安全
ス、エスカス、クリダバッド、
性を追求する。快適な雰囲気と、新鮮
17
中高所得
ティバス(2 店舗)、サンホセ・
でバラエティ豊富な高品質の商品の
セントロ・コメルシャル・デ
提供。
ル・スル、コロナド、モンテリ
マル、サン・ペドロ、パソアン
チョ、パバス、サンホセ中心部
Jumbo
Supermercado
(ジャンボスーペル
各種多様な新商品が充実、常にバラエ
ティに富んだ目玉商品、専門商品の提
グアナカステ(リベリア)、ア
5
中低所得
ラフエラ、サンホセ(モラビア、
供。
グアダルーペ、デサンパラドス
低価格、経済的に限られた家庭向けで
農
メルカド)
Cadena Super
Compro
(カデナ・スーペルコ
バラエティに欠く。アットホームな雰
22
低所得
囲気を提供。
村
部
:
グアナカステ(20店舗)、アラ
フエラ(2店舗)
ンプロ)
Industrias
Montelimar
(インドゥストゥリ
ペリメルカード、ジャンボスー
常に収穫されたばかりの果物と野菜、
新鮮でおいしい肉、魚介類など豊富な
-
-
商品の提供。
アス・モンテリマル)
ペルメルカド、スーペルコンプ
ロの GESSA グループのチェー
ン店
出所:GESSA ウェブサイトよりジェトロ作成
表 7 アウト・メルカドの店舗網
業態名
特徴
客層
店舗数
店舗立地
サンホセ、エレディア、グアナ
Auto Mercado
(アウト・メルカド)
高品質でバラエティ豊富な商品、質の
カステ、太平洋岸の住宅地およ
高所得
高いサービスの提供。
12
び有名で来客数の多いショッ
ピングセンター内
出所:アウト・メルカドウェブサイトよりジェトロ作成
4)主要 4 社以外のスーパーマーケットチェーン
主要 4 社以外のスーパーマーケットは下表のとおり。会員制の大型倉庫店の PriceSmart
(プライスマート)も店舗数を増やしている。高級住宅が立ち並び高所得者層が数多く住む
13
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Escazú(エスカス)市には高所得者層のみをターゲットにする Saretto(サレット)が立地
する。小規模小売店ではあるが、アジア食材を取り扱う店舗もいくつかある。代表的なもの
として Super Sony(スーペル・ソニー)を挙げた。アジア食材自体は主要スーパーマーケ
ットも取り扱っており、品数は尐ないが海苔、醤油、インスタント麺、豆腐の類の入手は比
較的容易である。
表 8 主要 4 社以外のスーパーマーケットチェーン概要
業態名
特徴
客層
店舗数
中米・カリブ海地域で営業する会員制
PriceSmart
食料雑貨販売業社。アメリカを始め、
(プライスマート)
国内外のブランド商品を扱い会員に
店舗立地
国内の主要都市部中心 (サポ
中高所得
4
テ、エスカス、ティバス、エレ
ディア、アラフエラ(近日))
最高の価格を提供する。
Saretto
Supermercado
専門的、国際的な商品の提供。
高所得
1
エスカス、サンホセ
特殊
1
サンホセ中心
(サレット・スーペル
メルカード)
Super Sony
アジア商品専門
(スーペル・ソニー)
出所:各社ウェブサイトなどよりジェトロ作成
B.食料雑貨店(Pulpería、プルペリア)
食料品から日用雑貨まで幅広い商品を取り扱う自営の小規模小売店(写真参照)
。伝統的
な販売チャネルである。集落に 2、3 店舗ある為、近所で買い物を済ませたい、尐量のもの
を買いたい場合(例えば単三電池 1 本)
、バラ売りに対応するケースが多い。日本人の感覚
ではコンビニエンスストアに近い。店舗数について正確なデータはない。ディストリビュー
ターがこうした食料雑貨店に商品を卸している。食料雑貨店の数は減尐傾向にあると言われ
ているが、販売チャネルとしての存在感は依然として大きい。
C.デパートメントストア
その他の業態としてデパートメントストアが挙げられる。主に大規模かつ新しいショッピ
ングセンターに併設、隣接している。基本的に食品は取り扱わず、衣料、家具、文具を中心
とした品揃えである。
14
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表 9 主要なデパートメントストア一覧
業態名
特徴
店舗数
デパートメントストアのリーダー的存在。日用雑貨、玩具を専門に
Cemaco
扱う。充実したサービス、高品質、新商品のラインナップ、豊富な
(セマコ)
バラエティ、幅広い価格を提供することで顧客のニーズを満たす。
5
革新的な資源の有効利用を目指す。
Llobet E Hijos
S.A.
(ジョベット・エ・イ
子供・婦人・紳士服、ギフト、アクセサリー、書籍、楽器、バザー、
1
スポーツ用品コーナー等、家庭で必要なものが何でも揃う老舗デパ
ートメントストア。
ホス)
Tiendas Aliss
子供・婦人・紳士服、バザー、ギフト、玩具など家庭で必要なもの
(ティエンダス・アリ
が何でも揃うデパートメントストア。新商品とバラエティの豊富さ
ス)
4
で顧客のニーズを満たす。
創業 80 年以上の Carlos Federspiel&Universal 社からチェーン展
開したデパートメントストア。学用品、事務用品、テクノロジー機
器、玩具、書籍コーナーを提供。 主に文具と日用雑貨を扱う。
Universal
(ウニベルサール)
流 通 経 路 : ウ ニ ベ ル サ ー ル 卸 売 業 は 、 Carlos Federspiel &
Universal 社の区分で、全国各地にブランド商品の流通を行ってい
コスタリカ資本のチェ
ーン。全 10 店舗で、全
国をカバーする。
る。
Office Depot
(オフィス・デポ)
Yamuni e Hijos
S.A.
(ヤムニ・エ・イホス)
Tienda la Gloria
(ティエンダ・ラ・グ
ロリア)
Tiendas carrion
(ティエンダス・カリ
オン)
事務用品の卸売り。 事務用品の販売だけでなく、文具、家具、コン
4
ピュータ、電化製品の卸しからの購入利益を消費者にもという販売
概念は革新的。
陶器、タオル類の日用雑貨を始め、絨毯、織物、カーテン等の装飾
品のバラエティも豊富。子供・婦人・紳士服、バザー、ギフト商品
2
も充実。リーダー的卸売業者として市場や小売業者の要望に合うサ
ービスと品質の提供をモットーにしている。創業 102 年。
サンホセ最大のデパートメントストア。衣料品、日用雑貨のバラエ
1
ティ豊富。
流行の婦人・紳士・子供服を始め、スポーツシューズ、日用雑貨、
香水なども扱う。ホンジュラスの最大メジャーデパートメントスト
アとして創業開始。コスタリカ、エルサルバドル、ニカラグア、グ
アテマラの中米レベルの市場にも進出、成功を成し遂げている。
主要ショッピングモー
ルに 7 店舗とサンホセ
中心に 1 店舗
出所:各社ウェブサイトよりジェトロ作成
15
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D.その他の業態
複数のメーカーの商品を取り扱う家電量販店も存在する。主な家電量販店は Importadora
Monge(インポルタドーラ・モンヘ)と Play(プレイ)、Gollo(ゴジョ)など。Importadora
Monge は中米全域に店舗網を持つ。
コンビニエンスストアも存在する。ガソリンスタンドに併設するもの、単独で店舗を展
開するものが存在し業態としては比較的新しい。
16
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E.コンタクト・ウェブサイト情報
会社名
コンタクト情報
WallMart Centroamerica
http://www.walmart-centroamerica.com/
(ウォルマート・デ・セントロアメリカ)
Teléfono : (506) 22437100
GESSA (Grupo Empresarial de Supermercados S.A.)
http://www.perimercados.com/
Teléfono: (506) 2247-2450 / 2247-2451
Supermercados de Centroamérica y Panamá
http://www.automercado.co.cr/
(SUCAP)
Teléfono: (506) 281-1515
(中米・パナマスーパーマーケット)
Fax: (506) 281-0597
Email: [email protected]
http://www.megasuper.com/
Corporación Megasuper Costa Rica
(メガ・スーペル)
Teléfono: (506) 2246-0400
PriceSmart
http://www.pricesmart.com/
(プライスマート)
Teléfono: (506) 2283-4494
Saretto Supermercado
Teléfono: (506) 22280247
(サレット・スーペルメルカード)
Fax : (506) 22286983
Super Sony
Teléfono : (506) 22588383
(スーペル・ソニー)
Fax : (506) 22213730
Cemaco
http://www.cemaco.co.cr/
(セマコ)
http://www.llobet.co.cr/
Llobet E Hijos S.A.
(ジョベット・エ・イホス)
http://www.alisscostarica.com/
Tiendas Aliss
(ティエンダス・アリス)
http://www.universalcr.com/
Universal
(ウニベルサール)
http://store.officedepot.co.cr/
Office Depot
(オフィス・デポ)
http://www.yamuni.com/
Yamuni e Hijos S.A.
(ヤムニ・エ・イホス)
http://www.lagloria.co.cr
Tienda la Gloria
(ティエンダ・ラ・グロリア)
http://www.tiendascarrion.com
Tiendas carrion
(ティエンダス・カリオン)
出所:各企業ウェブサイトなどよりジェトロ作成
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(3)インターネット通販
コスタリカでは Aeropost International Services 社、JET BOX 社などクーリエ各社が提
供するインターネットショッピング向けサービスが中所得者以上の間で普及している。
Amazon.com など米国のインターネットショッピングサイトで購入した商品の送付先にク
ーリエ各社のマイアミ支店を指定し、クーリエ各社が各国まで輸送、輸入通関を代行する。
商品は自宅、あるいは自宅最寄りの支店で受け取る。
コスタリカの税関法は個人消費目的で輸入される商品について、半年につき CIF 価格 500
米ドルまで免税としていることもこれらのサービスを後押ししている。さらにコスタリカは
輸入される家電製品などに対して奢侈税を課すため、これらの国内販売価格は高い。これも
インターネット通販による個人輸入を後押しする要因だ。
コスタリカ国内の小売店がインターネットショッピングを提供するケースは尐ない。また
インターネットショッピングに関連した消費者保護の法的枠組みは存在しない。
参考:
Aeropost International Services, Inc:http://www.aeropost.com/
JET BOX:http://www.jetbox.com/
(4)消費者保護のあり方
コスタリカには消費者に対する製造物責任について定めた法規が存在しない。従って基本
的に製造者は製造物責任を問われない。
コスタリカにおいて消費者がある輸入品の使用によ
り傷を負うなどした場合、一般的に責任を問われるのは輸入・流通・販売業者である。近年
の経済成長による消費市場拡大を背景に、コスタリカ政府は消費者保護の枠組み作りに着手
している。法的な枠組みには及ばないが、輸入・流通・販売業者に対してグッドプラクティ
スモデルを提示し、消費者の権利を尊重するよう促している。
コスタリカにおいては消費者保護・競争促進法(Ley de Promoción de Competencia y
Defensa Efectiva del Consumidor)が消費者保護に関する法的枠組みであり、消費者保護
行政を担うのは経済省(Ministerio de Economia、MEIC)傘下の国家消費者委員会
(Comición Nacional del Consumidor)である。同委員会は日本の国民生活センターに当
たり、消費者からの苦情を受け付ける。同委員会は、ベストプラクティスモデルの作成、消
費者相談業務、製品店頭価格のモニターリング調査など、消費者保護に関するあらゆる施策
を担う。
同委員会によると、同委員会に消費者から寄せられる苦情内容は、保証の不履行、粗悪な
品質、契約不履行、過大広告、製品情報の不開示など多岐に及ぶ。消費者から多く苦情が寄
せられるのは携帯電話に関するものが最も多く、次いで家電製品、住居、乗用車と続く。特
定の製品やサービス関して消費者から告発があった場合、委員会は告発された企業に対して
通告、不適切な事項の修正、改善を 30 日以内に完了するよう命じる。それでも改善されな
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い場合、委員会は当該企業に対して罰金を課すことができる。
参考:
国家消費者委員会(Comición Nacional del Consumidor)
:http://www.consumo.go.cr/
(5)消費者向けファイナンス
コスタリカでは銀行をはじめとする金融機関から小売業者まで幅広い業種、業態において
販売促進の為に様々なファイナンスを消費者に提供している。例えば家電量販店、スーパー
マーケット等は消費者に対する月賦払いを提供している。月々の支払金額は小さいが、金利
は非常に高く設定されており、年率 40 から 60%近くに達するケースもある。様々なファイ
ナンスの中で最も数多くの消費者が利用するのはクレジットカードである。また学用品購入
や消費財購入のための小口融資を銀行が提供している。こうした銀行の融資やクレジットカ
ードの発行を受ける要件を満たすことができない場合は消費者金融(Dinero Fácil)から借
り入れる消費者もいる。
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4.マーケティング事例:ユニリーバ社
(1)同社概要
英・蘭資本の大手消費財メーカー、ユニリーバの事例を取り上げる。同社は大きく分けて
食品部門、
ホームケア・パーソナルケア用品部門の 2 部門を持つ。
売上高比率は食品が 40%、
ホームケア用品が 30%、パーソナルケア用品が 30%である。
同社は世界市場を米州、欧州、アジア・アフリカの 3 つの地域に分けて統括している。
その中で米州を北米、メキシコ、中米・パナマ(ANCAM)、アンデス諸国の 4 つの地域ク
ラスターに分けて統括している。
これら地域クラスターの下、各国に現地法人を置いている。
マーケティングついてユニリーバは、地域クラスター毎、国毎、商品毎にマーケティング
会社のコンサルティングを踏まえて目標、販売戦略を設定する。広告、各市場における個別
シーズン、個別商品にまで及ぶ。また戦略立案に必要な情報は市場の特徴、製品の安全、環
境配慮など多岐に渡るため、財務、人事、生産など社内の様々なセクションの協力を得て各
国のマーケティング・販売部門(顧客開拓部門)が販売戦略を立てる。
ユニリーバはグローバルカンパニーだが、世界各国のローカル市場において成功を収めて
いる。上述の緻密な販売戦略、製品自体の品質に加えてローカルブランドの取り込みが果た
す役割も大きい。ローカルブランドを利用し、ユニリーバの名称を前面に押し出すことなく
消費者の信頼を得ている。
(2)同社が見る中米市場
中米・パナマ地域は 1 つのクラスターを形成しているが、マーケティング上はグアテマ
ラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアから構成される中米北部とコスタリカ、パ
ナマから構成される中米南部に分けられている。これは各国の市場特性によるもので、具体
的には次のとおりだ。
中米北部:所得水準が低い為、消費者は低価格品、小容量を好む。主要な販売経路は食料雑
貨店(Pulpería、プルペリア)など各地に数多く点在する小規模小売店である。
ユニリーバは、消費者の 70%は食料雑貨店で、30%はスーパーマーケットで生
活用品を購入するとしている。
中米南部:所得水準が高く購買力が強い。大容量を好み、消費者の 50%はスーパーマーケ
ットで、残る 50%は食料雑貨店などの小規模小売店で生活用品を購入する。
各市場の消費者特性を、ユニリーバ製品を通して次のように例示できる。
パーソナルケア用品を例に取ると、中米南部は 99%の消費者が洗髪にシャンプーを使用
する。そのうち 95%がシャンプー&コンディショナーを使用する。制汗剤は 85%の消費者
がスティックタイプ(固形)を好む。
中米北部は、70%が洗髪にシャンプー類を使用しない。10%の消費者が洗髪にシャンプー
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を、5%がシャンプー&コンディショナーを使用するに留まる。制汗剤は、ロールオンタイ
プ(液体)を好む。
ホームケア用品でも消費者の嗜好に違いがある。洗濯用洗剤を例に取ると、中米南部は容
量の大きい粉洗剤を好むが、中米北部は小容量、低価格で、洗髪、洗濯、食器洗浄など多目
的に使用できる固形洗剤を好む。
ユニリーバは中米各国の市場における有力なローカルブランドを買収し、
傘下に置いてい
る。商品価値を保つために製品価格は中米市場で統一しているが、インフレ、その他各国の
経済事情に応じて価格を調整している。ユニリーバは域内でコストを分担する戦略を持つ。
例えば A 国において商品 X の生産、物流、営業、倉庫、税に係るコストが他国に比して低
い場合、製品価格が統一されていれば A 国における利幅が大きくなり、他国のコストを吸
収する。同様に地域としての販売目標も有する。経済、政治危機、災害などの影響による落
ち込みを補完するためである。
(3)コスタリカにおける販売の特徴
コスタリカにおけるユニリーバ製品の販売チャネルはスーパーマーケットと伝統的販売
チャネルの 2 つである。取引量が大きいスーパーマーケットについてはそこに特化した担
当グループを設置している。
最も特徴的なのは伝統的販売チャネルである。伝統的販売チャネルとは、食料雑貨店(プ
ルペリア)や「Cuentas Claves(クエンタ・クラベ)」と呼ばれる大手スーパーマーケット
チェーンに属さない小規模小売店に商品を卸すための流通業者「Stockista(ストキスタ)」
である。コスタリカに限らず中米には食料雑貨店(プルペリア)や小規模小売店が数多く存
在する。ユニリーバ・コスタリカ法人はコスタリカ全国 8,000 カ所の食料雑貨店への商品
供給を、「Stockista(ストキスタ)
」と呼ばれる 8 名の元従業員を組織して展開している。
ストキスタには地域を分割して営業を担当させる。ストキスタは有利な価格条件、支払い条
件(30 日以内)でユニリーバから商品を購入する。その代償として各担当地域の 80%の伝
統的販売チャネルをフォローし、毎週そのうちの 70%を訪問営業する義務を負っている。
ストキスタはそれぞれ食料雑貨店(プルペリア)、即時代金回収が可能な顧客へユニリーバ
製品を販売し利益を得る他、販売量に応じてユニリーバから販売報酬を得ている。
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