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富士通ジャーナル2010 1月・2月合併号 VOL.36 NO.2 2010 NO.326

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富士通ジャーナル2010 1月・2月合併号 VOL.36 NO.2 2010 NO.326
23
FEB.-MAR.2010
富士通ジャーナル
ISSN 0911-8969 VOL.36 NO.2 2010 No.326
注目のソリューション①
p.02
p.10
低コスト導入・運用を実現する
図書館運用支援「LS@SCHOOL」
と学術ポータル
「Ufinity」
お客様の事業にフォーカスし
経営課題の解決に応える
製造業向け
ソリューション
注目のソリューション②
プロダクト&サービス
p.06
専門組織による高い提案力と商品力で
お客様のさらなる価値向上に貢献する
リテールソリューション
エントリーサーバ
「PRIMERGY TX150 S7/RX100 S6」販売開始
エントリーディスクアレイ
「ETERNUS DX60/DX80/DX90」
ラインナップ
p.12
導入事例
● 新晃工業株式会社
様
現場全員の意見を聴き、合意を形成
第三者の客観的視点が改革を可能にする
先端テクノロジー
p.14
液体の影響を受けにくい
UHF帯RFIDタグ技術
http://jp.fujitsu.com/about/journal/
左
お客様の事業にフォーカスし
経営課題の解決に応える
「製造業向けソリューション」
富士通ではこれまで全国の製造業のお客様に、地域を中心に各種ソリューションをご提
供してまいりましたが、今回新たに製造業向けソリューションを業種毎に細分化し再編。
お客様のダイナミックな経営判断にスピーディーに対応していくため、事業によりフォーカ
スし、各業種・業務を把握した上での提案力の強化を実践してまいります。
経営統合や
グループ連合
活発化にも
迅速に対応
❶リファレンスモデル
過去の実績やノウハウ
をもとに作り上げた手本
とすべき標準。
富士通ではこれま
変更しました。
また、業種での活動強化の一
で製造業のお客様に
環として、
富士通グループ企業を含め各社・各
対し、地域毎にそれ
地域で保有する多様な製造業向けソリュー
ぞれの業種と業務に
ションを、
ラインナップ化・最適化すること
応じた幅広いソリュー
で、全国のお客様により実績のある商品・
ションをご提供してまいりました。
しかし、一
サービスを、共通にお届けしていきます。
それぞれ企業が求め
口に製造業といっても、
さらに、富士通の製造業の担当営業/SE
る情報システムは異なります。
まして経営統
部門は、海外ビジネスグループとも連携。中
合、
グローバル化が進む製造業においては、
国・ASEANを中心に欧米も含め、
製造業の担
お客様の業種を取り巻く状況、
経営方針等を
当営業/SE約60人を現地に駐在させ、
日系
理解した上でのご提案が必要になります。
製造業のお客様のサポートをしております。
そこで、地域に密着して地域のお客様の
富士通は、
自ら社内で実践し、進化させて
声にお応えするよう展開していた製造業向
きた情報システムを、
リファレンスモデル❶と
けビジネス活動を、よりお客様の事業に
して、
同じ製造業のお客様にご提供し続けて
フォーカスする体制に整えました。
まいります。提供形態も、
これまでの個別対
応型やパッケージ適用型に加え、
クラウドコ
❷クラウドコンピューティ
ング
クラウド=雲(インター
ネット)の向こう側に存
在 するI C Tリソースを、
ネットワーク経由でサー
ビスとして利用するとい
うICTの利用形態。
製造業向け
ビジネスを
業種毎に
細分化
今回の組織改革
ンピューティング❷形態でのご提供も行い、
では、製造業の担当
お客様の選択肢を増やしてまいります。
営業/SEを、プロセ
次に、
具体的な4つの製造業向けソリュー
ス産業(化学、石油、
ションをご紹介します。
鉄鋼等)、組立産業
(エレクトロニクス、精密機械等)、建設業、
製薬業等といった12業種に細分化。
まずは
東京・名古屋・大阪で、
それぞれの業種統括
責任者が地域の枠を超え、業種の専門営業
/SEとしてお客様に提案活動を行う体制に
02
プロセス産業
向け
ERPパッケージ
「GLOVIA/
Process C1」
「GLOVIA/Process
C1」は、
プロセス産業
固有の要件に対応
し、化 学 産 業 、製 薬
業、鉄鋼業、非鉄金属
右
■ 図1「GLOVIA/Process C1」による原価損益管理ソリューション
想定される効果
精緻な原価管理や多彩な原価分析・損益把握分析が実現でき、
シミュレーションにより先手を打った経営を実現
コストマネジメント
損益マネジメント
原価・損益(事業管理部門、原価管理部門)
製品別
原価・損益管理
シミュレーション
GLOVIA/Process C1
実 績
予 算
シミュレーション
実 績
予 算
費目別
製品別
費目別
事業別
損益管理
組織別
製造原価管理
産業、ガラス産業、紙・パルプ産業といった
プ ロ セス 産 業 向 け に 開 発 され た E R P
❸
パッケージです。すでに約70社のプロセス
産業のお客様にご導入いただき、高い評価
製紙業向け
SCPパッケージ
「GLOVIA/
SCP FPA」
を受けています。
「G L O V I A / S C P」
は、SCM ❻ ソリュー
ションの中核として、
需 要 予 測、生 産・物
流計画、納期回答等
プロセス産業では原材料価格の変動
の企業内・企業間の重要な計画機能の役割
が 収 益と密 接 につ な がっており、より正
を担います。
確 な 原 価 管 理 が 求 め ら れ て い ま す。
数ある業種の中にあって紙・パルプ業界
「GLOVIA/Process C1」の大きな特長となっ
❹
❸ERP
Enterprise Resource Planning。
企業全体を経営資源の
有効活用の観点から統
合的に管理し、経営の効
率化を図るための手法・
概念。
では、設備の効率的な稼働、効率的な取合
ているのが、標準原価計算 だけでなく、実
せ等、業種独特の制約・ノウハウが必要で
際原価計算❺への対応です。実際原価計算
あり、
これまでは人に依存していた部分が
を採用することで、期初に決められた原材
多く、生産計画のシステム化は、非常に難し
料の標準原価ではなく、タイムリーな原価
いとされてきました。
こうした中、数多くの
管理が可能になります。
計画系システムの構築経験と業種/業務ノ
「GLOVIA/Process C1」
を導入することで、
ウハウを ベ ース に 、製 紙 業 に 特 化した
精緻な原価管理や多彩な原価分析・損益
最 適 なソリューションを実 現した の が、
把握分析が実現でき、シミュレーションに
「GLOVIA/SCP FPA」
です(p.4 図2)。抄造計
より先手を打った経営が実行できるように
画や取合せ等、マシン効率やトリム効率を
なります。
意識した計画業務、複数工場間/マシン間
今後もプロセス産業のお客様の裾野を
での並行した計画の調整業務、中間原反へ
拡げるとともに、
プロセス産業以外の食品、
の引当業務、
また現場への指図発行業務等
飲料、金属加工業等のお客様への適用展開
を支援します。
も積極的に進めていきます (図1) 。
富士通では、紙・パルプ業界でのディファ
❹標準原価計算
過去の生産実績の統計
分析等により、一つの製
品を製造するのに理想
的な価格や賃料、投入量
等をそれぞれ標準価格、
標準消費量等と設定し
て原価を算出する方法。
❺実際原価計算
棚卸資産や労働投入量
等、全ての原価について
実績値に基づき事後
に行われる原価計算の
こと。
❻SCM
Supply Chain Management。
供給連鎖管理。物流シス
テムをある一つの企業
の 内 部 に 限 定 すること
なく、複数の企業間で統
合的な物流システムを
構築し、経営の成果を高
めるためのマネジメント
のこと。
注目のソリューション① / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
03
左
■ 図2「GLOVIA/SCP FPA」の導入イメージ
注文・取合せ・製造が 一 体化した計画
営業部門
管理部門/会議体
営業/受注
製造パターン策定
お客様対応/納期確認等
計画部門
製造パターン
M1
M2
M3
注文集計・振分け
的確でスピーディーな 調整
リアルタイムな 情報の共有
取合せ
製造計画
取合せ(指図)
製造部門
製造計画
資材部門
M1
M2
M3
製造・加工
資材手配
適正な在庫調整
クトとして
「GLOVIA/SCP FPA」
を浸透させる
な資源活用を行い、CADのインタラクティ
だけではなく、その高機能なところを活か
ブ性とCAE❽ の高負荷なジョブを両立させ
し、シート・フィルム系装置業への展開を
たCAD-ASP❾として実現。現在、数千人が活
図っていくとともに、各種業界に特化した
用する大規模なシステムになっています(図
「GLOVIA/SCP」の拡大を進めていきます。
3)。
こうした社内実践されている基盤やアプ
リケーションをリファレンスモデルにして、
❼EDA
Electronic Design Automation。
電子設計自動化。半導体
や電気回路の設計を、
コ
ンピュータシステムを使
い自動的に行うこと。あ
るいは、そのためのハー
ドウェアやソフトウェア
のこと。
ものづくり企業とし
設計の現場で3次元CAD等を活用する製造
ての富士通社内では、
業のお客様に、
ご提供しております。
環
電気系CAD
(EDA❼)
一方、設計の現場では、電子機器におけ
境を「CADシンクライ
るノイズ対策が大きな課題になっていま
アント技術」により集
す。富士通では、社内での30年にわたる設
約するとともに、
「グリッド技術」により最適
計業務で培われたノウハウを結集した回
高性能CAD基盤
やCADアプリ
ケーションを
ASPとして提供
■ 図3 社内ASPセンター概要
❽CAE
Computer Aided Engineering。
工業製品の設計・開発工
程を支援するコンピュー
タシステム。
❾ASP
Application Service Provider。
ビジネス用のアプリケー
ションを、インターネット
を通じて利用者に提供
する事業者またはその
サービスのこと。
多様なユーザークライアント環境に対応
ネットワーク層
ASPセンター
高性能CAD基盤
CAD シンクライアント技術 (Web オルケッタ)
グリッド技術 (Systemwalker CyberGRIP)
大規模CADアプリサーバ群
(PRIMEQUEST, PRIMERGY,SPARCEnterprise)
SAN/NAS (ETERNUS)
04
認証/セキュリティ管理
ユーザー管理
ライセンス/課金管理
アプリケーション
遠隔バックアップ
データ
設計製造データ及び
CADプログラム格納
右
■ 図4 臨床開発向けクラウドサービス「tsClinical」
医 者
tsClinical
業務支援
(Business Layer)
治験コーディネーター
治験モニタリング担当者
横断的マネジメント支援
(X management Layer)
インターネット
サポーター
サービス基盤、データ基盤
(Foundation Layer)
ヘルプデスク
オフショア開発者
データセンター
路設計におけるシグナル検証/自動アドバ
ムを、臨床開発に関わる様々なステークホ
イスシステム「Signal Adviser」や、
プリント
ルダーの利用者数や臨床試験単位で、必要
基盤伝送線路ノイズ解析システム「SIGAL」
な基盤からそれぞれのサービス、アプリ
10
といったアプリケーションのSaaS 型提供
ケーションを選択あるいは組み合わせて利
も計画。ものづくりの現場で役立つ多彩
用できるようになります。
なアプリケーションのご提供を目指して
富士通ではこうしたクラウドサービスの
います。
ご提供を通じ、臨床開発業務における開発
10SaaS
Software as a Service。
ソフトウェアの機能をイ
ンター ネット経 由で 提
供。ユーザーは月額使用
料といった 形で 利 用で
きる。ASPとほぼ同義語
で発展形。
の効率化や品質の向上、治験のグローバル
製薬業の臨床開発
臨床開発向け
クラウド
サービス
「tsClinical」
化に貢献していきます (図4) 。
業務は、治験の大規
模化、データ量の増
今後、富士通では、業種での専門性を活
大、グローバル化等
かし、製造業向けソリューションメニューの
が進み、治験に関わ
整備・充実やグローバル対応強化を重点的
る業務を委託している複数のCRO(医薬品
に進め、お客様の経営課題の解決に応えて
11
リ
開発業務受託機関) のマネジメントや、
まいります。
11CRO
Contract Research Organization。
製 薬 業(臨 床 試 験 依 頼
者)が行う臨床試験に関
わる、様々な 業 務 を 代
行・支援する組織。
アルな治験成績の把握等に、ICT活用が不
可欠になっています。
そこで、富士通では製薬業のお客様がグ
「現場の声」
ローバルでの製薬市場において新薬開発
ご紹介したソリューションや製品の
開発背景、ポイントを、現場の第一線
で活動する富士通社員自らが解説!
の競争優位を獲得していくために、変化に
柔軟かつ俊敏に対応できるビジネス基盤と
して、臨 床 開 発 向 けクラウド サ ー ビ ス
「tsClinical」のご提供を開始しました。
これ
まで製薬業のお客様自身で規制に対応し
個々に用意しなければならなかったシステ
ますます重要度を増すグローバルビジネスの展開。そんな中、組織を再編しグ
ローバル企業へのサポート能力を高める富士通のグローバル成長戦略とは?
グローバルビジネスに関わる営業担当者がグローバルITについて語ります。
富士通ジャーナル 現場の声
検
検索
索
http://jp.fujitsu.com/about/journal/industry/persons/201002.shtml
注目のソリューション① / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
05
専門組織による高い提案力と商品力で
お客様のさらなる価値向上に貢献する
「リテールソリューション」
コスト削減やサービス品質の向上等、競争力の一層の強化が求められる小売業界。こう
した中、富士通ではグループ経営の強化の一環として、店舗ソリューションの専任営業を
富士通フロンテックに組織化。市場変化の激しい小売業にあって、専門性を高めると同
時に、お客様への対応力の一層の強化を図ってまいります。
専任営業を
富士通
フロンテックに
組織化
富士通では総合
品戦略を含めた徹底したローコストオペ
力を活かし、企業経
レーションの推進による一層のコスト削減
営のための基幹シス
や、IT活用を軸とした顧客一人ひとりの満
テムの構築から、店
足度を高めるためのきめ細かなサービス
舗業務の効率化を
の質の向上が求められています。
支援するPOSやハンディターミナルをはじ
その中で、富士通では、事業領域を明確
めとした店舗ソリューション、物流システム
にし、ビジネススピードのアップやグルー
に至るまで、常に変化を続ける流通の世界
プでの総合力を図るため、
グループ経営へ
に対応するトータルソリューションをご提
の強化を進めています。それぞれの業務に
供してまいりました。
しかし、現在市場は成
精通した専門組織にすることで、お客様の
熟し、小売業態間での競争が激化する中
いまの姿を捉えたより高い提案力、商品力
で、経営体質の強化、顧客の獲得や囲い込
を持つことができるようになります。
みに向け、小売業の経営には、店舗戦略・商
店舗ソリューション向け製品に関しても、
■ 図1 製販・サービス一体化による店舗ソリューション
カプセル化 例 1
情報配信サービス
顧客サービス向上
大画面
インタラクション
システム
UBWALL
データ
集配信
現状店舗ソリューション
製品&サービス
日配、生鮮自動発注システム(EOB)
計量器(マスタ連携)
値下げラベル発行専用機
製販バランス管理
ATM
消費期限管理
デジタルサイネージ
ESL(電子棚札)
PDA
釣銭釣札機
POP
セルフレジ
OTR(オンラインタイムレコーダ)
入金機
MMK(マルチメディアキオスク)
06
効用等
ロス削減
商品詳細情報(安心)
省力化、ロス削減
作業時間適正化
利便性向上
食の安心
商品詳細情報
価格不一致対策、省力化
在庫照会等
精算迅速化
価格不一致対策
利便性向上
作業効率追求
セキュリティ強化
優良顧客維持
既存
ソリューション
サービス
カプセル化
カプセル化 例 2
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)
サービス
POS
ヘルプデスク
作業効率向上
右
従来は販売活動を富士通が、開発と製造を
り個人を特定するバイオ認証や勤怠管理、
富士通フロンテックがそれぞれ担当してき
電子ペーパーによるデジタルサイネージ❹
ました。
しかし、富士通全体のグループ経営
やペーパーレス化等、新しい店舗ソリュー
❶
の中で、
フロントテクノロジー事業 の強化
ションのご提案も可能になります。
施策の一環として、全国の小売・サービス業
富士通では、
グループ経営により専門性
向けに販売している店舗ソリューションの
を高め、現状の製品競争力を向上させ、小
営業活動や保守サービスを、2009年10月
売業のお客様のビジネスパートナーとし
1日付で富士通フロンテックに統合。関連
て、さらなる価値創造に貢献していきたい
業務を同社に集中させることで、保守サー
と考えます。
ビスを含めた製販・サービス一体の体制を
次に、新たにリリースされる4つの製品を
構築しました(図1)。
ご紹介します。
これらは、3月に開催される
「リテールテックジャパン2010」に出展し
お客様の
経営に寄与する
質の高い
提案活動を展開
コスト削減やサー
ます。
ビスの質の向上とい
う小売業の経営課題
急速に普及し続け
動向の変化に迅速に対応した店舗ソリュー
物販・
るネットワークイン
専門店向け
POSシステム
フ ラ と 、最 先 端 の
「TeamStore/S」 Java/Web技術を活
ションが欠かせません。今回の事業統合の
用し本部と店舗間と
大きな目的は、POSターミナルを中心とし
のリアルタイム通信を可能にした画期的な
た店舗ソリューションに特化した専任営業
インターネット対応POSシステム「JStore」
を富士通フロンテックに組織化すること
や「WStore」の基本コンセプトを継承・融合
で、店舗業務に精通した専門組織によるお
し誕生したのが、物販・専門店向けPOSシス
客様の経営に寄与する質の高い提案活動
テム「TeamStore /S」
です。
や、スピーディーできめ細かなサポートを
売上データは瞬時にサーバへ転送され
実現することにあります。
るため、本部側での各店舗の売上情報をリ
また、製販一体化によって、お客様の要
アルタイムに把握/分析することが可能と
件を素早く標準機能に取り込み、製品化
なり、迅速な経営判断に役立ちます。
に反 映 するとともに、カスタマイズ 費 用
快適なオペレーションを考えた画面構
等の削減、品質の一層の向上を図っていき
成、見やすい文字サイズ・明快な色使い、人
ます。
間工学を考えた画面構成等、直感的でわか
に応えていくために
は、技術革新や市場
❷
富士通フロンテックは、RFID や手のひ
❸
❶フロントテクノロジー
事業
流通のPOS端末、銀行の
ATM、公営競技向け投票
券発売機・払戻機等、エ
ンドユーザーが扱う製品
の開発・製造・販売・保守
を行う事業。
❷RFID
Radio Frequency IDentification。
RFIDタグと呼ばれる媒体
に記憶された人やモノ
の個別情報を、無線通信
によって読み書きを行う
自動 認 識システムのこ
と。製品の在庫管理や生
産者・産地・賞味期限と
いった履歴情報管理等
に利用が広がっている。
❸手のひら静脈認証
手のひらに近赤外線光
を 照 射し、静 脈 の 模 様
(静脈パターン)を読み
取り、本人確認を行うも
の。人の生体的特徴を利
用しているため高精度で
個人を識別することがで
き、偽造やなりすまし等
を防止できる。
❹デジタルサイネージ
店舗等に設置したディス
プレイに、映像や広告情
報をネット経由で配信す
るシステム。
りやすい操作を実現。パートやアルバイト
フロントテクノロジーにお
ら静脈認証 等、
でも短時間の操作教育で習得でき、
レジ待
いて独自の先進技術を多数有しています。
ち時間が短縮される等、お客様満足度向上
これらの先進技術を活用し、RFIDによる商
につなげます。
品管理や物流の効率化、手のひら静脈によ
また、店舗スペースや店舗規模に応じ
注目のソリューション② / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
07
左
経営者
■ 図2 TeamStore/S 導入の効果
経営者
システム
店舗企画
部門
本部での監視やシステム保守による
システム担当者の負荷削減
機器の電力量/ネットワーク通信量
紙の使用量の削減で
環境に配慮したソリューション
422mmと小型でありながら、丸みを帯び
導入コストの最適化を支援。省電力化等、
たスマートなデザインで、店舗にふさわし
環境への配慮や、
ダウン対策による信頼性
い洗練感を高めたスタイリングを実現しま
の確保、担当者毎の業務権限機能等の安
した。
また、繁忙期でもストレスなく操作で
心・安全へのニーズにも対応しています
きるようCPUやプリンタの性能も向上。
さら
に、ハードディスクに比べ、極めて信頼性が
高いSSD❺に対応しています。
コンパクト
POSターミナル
「TeamPoS1100
(仮称)」
百貨店や専門店、
外 食 店 舗で お 使 い
いただくPOSターミ
ナルには、限られた
スペースの中でカウ
08
催事等による増設や
新規出店も簡単に対応する
システム導入コストの最適化
て、柔軟なシステム構成が可能で、
システム
(図2)。
❺SSD
Solid State Drive。
フラッ
シュメモリ技術を応用し
た半導体ディスク。
フラッ
シュメモリであるため、
ハードディスクと違い駆
動部がなく、故障率が低
く、省電力で動作する。
社会貢献
システム
部門
パート/アルバイトの
即戦力化に対応できる
操作性の高いデザイン
店舗企画
店舗
運営
店舗運営
社会
貢献
経営判断の一つである
正確な売上情報の把握
モバイル
ハンディ
「MultiPad
V2」
店舗内での商品発
注や商品価格の確
認・変更等に使われ
るモバイルハンディ
ンターやショーケースの上にも設置できる
には、片手で商品を
コンパクトさとともに、お客様からの見た目
確認しながらも使える操作性や持ちやす
を考慮した上質な店舗空間との調和性も
さ、そして実際の店舗等での運用を考えた
求められます。
性能や機能が求められます。
「TeamPoS1100(仮称)」は、設置性、ユー
富士通のモバイルハンディ
「MultiPad V2」
ザビリティを徹底追求した先進のコンパク
は、従来の「MultiPad」の細部を見直しフル
トPOSターミナル「TeamPoS1000」のコン
モデルチェンジしました。使いやすさを向上
セプトを踏襲し、あらゆる売場を同一製品
させるとともに、最新の高性能・省電力CPU
でカバーできる省スペース&小型一体型
の採用により従来機器より処理速度を約2倍
POSターミナルです。横幅268mm、奥行き
にアップ。画面を大きくし解像度を上げるこ
右
とで見やすさも格段に向上させています。
スのアプリケーションが動作します。既存の
特に今回の「MultiPad V2」はお客様の声
Webシステムをそのまま使用したモバイル
を反映して使いやすさを徹底向上させ、片
運用等に向いています。
手でも両手でも使えるように考慮。読み取
CPUにAtom TM❻を採用、メモリ1GBで軽
り等に頻繁に使うスキャナキーは、初めて
快な動作を実現。OSには、Windows® XP
使うパートやアルバイトでもわかりやすい
Service Pack3 を元にして、業務向けに最
ように色を付けて直感的にわかるようにし
適化された組み込み用OS、Windows®
ました。また、数字キーも大型化し、押し間
Embedded POSReady2009❼を採用。専用
違えを防止します。
のOSの開発環境を学ばなくても、PCの業
務開発で使い慣れた Windows® XPと同じ
モバイル
ハンディ
「Patio700」
店舗発注端末とし
使いやすさで、既存のWindows® XPドライ
て、様々な情報参照
バの活用やアプリケーションの開発が可能
端末として活用でき
です。
るモバイルハンディ
富士通では、モバイルハンディの導入段
「Patio 700」。
❻Atom
低消費電力が求められ
るデジタル・モバイル機
器向け専用に開発さ
れ た 4 5 n mプロセスの
CPU。
TM
❼Windows® Embedded
POSReady2009
POSソリューションを構
築するOEMや、POS機器
を使用する企業向けに
最適化されたWindows®
XPベースの組み込み向
けOS。
階から運用サポートに至るまで、
トータル
Internet Explorer®7.0を利用したWeb
でお客様の店舗業務を強力にバックアップ
アプリケーションの利用が可能で、Visual
しています。
Studio®2005/2008で作成したパソコンベー
リテールテックJAPAN2010
出展のご紹介
富士通は「リテールテックJAPAN2010」(3月9日
(火)~12日(金)、東京ビッグサイトにて開催)に出展
しま す。
「リテ ー ル 現 場 改 革 に よる 価 値 創 造
~For Sustainable Retail~」を出展コンセプトに、
メインステージにおいて、お客様事例をもとに富
士通の店舗ソリューション/フィールド・イノベー
ションによる現 場 の 改 革をご 紹 介 い たします。
また、展示コーナーにおいては、小売業の最前線
(フロント)を支える最新の製品・ソリューションの
※2009年開催時の様子
数々を展示紹介いたします。
注目のソリューション② / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
09
左
お客様のビジネスを支援する
富士通の製品とサービス
SaaS型LS@SCHOOL &Ufinity
学校・大学図書館業務を支えるSaaS型サービス
低コスト導入・運用を実現する
図書館運用支援
「LS@SCHOOL」
と学術ポータル
「Ufinity」
ユーフィニティ
富士通は、2010年1月より小・中・高校図書館向けSaaS型学校図書館サービス
「LS@SCHOOL」
を、
また、2010年2月
(予定)
より大学図書館向けにSaaS型学術ポータル「Ufinity」のご提供を開始しま
す。厳しい財政状況下、自前システムを必要とせず、ネットワーク経由で利用できるSaaS型サービス
は、速やかなサービス提供とコスト低減を実現し、
より高度な図書館利用機能をご提供します。
SaaS型「LS@SCHOOL」と
「Ufinity」の主な特長 〈検索をより強化する機能〉
「LS@SCHOOL」は、基本的図書館業務サービス以
複数の横断検索結果が同じ場合、1レコードとして
外に次のようなサービスをご提供します。
表示する機能、電子化された情報の検索結果を直
接参照する機能や、直接参照できない検索結果を
〈横断検索サービス〉
自治体単位での導入時、学校間で横断検索可能。
紙出力で入手依頼する機能を提供。
〈機能、
レイアウト、ページを自由に変更〉
〈MARC連携サービス〉
書誌情報(MARC)を提供する出版取次会社と連携
他の Webページを取り込んで表示する機能や、他
し新刊情報を参照・利用可。書誌情報入力を省略。
サイト情報を取り込む機能モジュールのほか、16モ
ジュールを自由にレイアウト・変更する機能で、ユー
〈注文・登録サービス〉
出版取次会社にオンライン注文後、バーコード貼付
ザーの用途にあわせた複数のページを提供。
の本が届く。センターサーバに所蔵情報を自動登録。
このほかSaaS型ならではの特長として、すぐに運
「Ufinity」は、他図書館、研究機関、出版社提供の
用が可能、低コスト運用、管理業務の負担軽減、Web
学術情報を横断的に、高速かつ強力に検索する機
経由のQ&A(LS@SCHOOL)、横断検索のメンテナン
能以外に次のような機能を備えています。
スフリー
(Ufinity)
等、
数々のメリットを備えています。
■ LS@SCHOOLの概要
IDCセンター
(富士通)
学 校
Webブラウザで、
サービスを利用するだけ
児童・生徒
予約・リクエスト
児童・生徒向け画面
先生・司書
先生・司書向け画面
全件 MARC データ
出版取次会社
MARC 連携
発注・登録連携
詳しくは http://jp.fujitsu.com/about/journal/products-services/20100201/
10
学校図書データ
コミュニティデータ
※24 時間運用・セキュリティ監視
インターネット
登録・検索・統計
選書・発注・検収
横断検索サービス
IT 運用サービス
情報共有サービス
MARC 連携サービス
注文・登録サービス
…
探す・借りる・返す
LS@SCHOOL
図書業務サービス
全図書誌
出版情報
MARC
右
PRIMERGY TX150 S7/RX100 S6
ありながら仮想化環境の構築等、幅広い用途に対応
インテル社最新CPUを搭載
エントリーサーバ
「PRIMERGY TX150 S7/RX100 S6」
販売開始
プライマジー
しました。
また、3.5インチHDD(SAS/SATA)に加え、2.5イン
チHDD(SAS)の構成で、SAS2.0に対応したHDDを
採用。さらに、SAS2.0に対応したRAIDカードを組み
IT投資コストが抑えられる中、小さな投資で大き
合わせた6Gbit/sの転送により、高速・高性能を実
な効果を得ることが求められています。その要望
現しました。
にお応えするため、富士通はタワー型/ラック型
その他、サーバの状態をグラフィカルな画面で
PCサーバ「PRIMERGY TX150 S7」
とラック型PCサー
監視可能な「ServerView Operations Manager &
バ「PRIMERGY RX100 S6」の販売を2010年1月より
ServerView Agents」により、CPU、メモリ、ハード
開始しました。
ディスク、ファンの稼働状況、筐体内の温度や電圧
アーキテクチャーとしては、最新のインテル製
等のサーバステータスを把握し、確実なサーバ管
CPU、
Celeron®
(RX100 S6のみ)
/Pentium®/Core
理が行えます。
i3/Xeon®プロセッサーの中から、
用途に応じて選択
本製品は、統一したグローバル仕様の製品とし
が可能。
最大メモリ容量32GBにより、
1WAYサーバで
て、最適なIT環境の構築に貢献してまいります。
TM
詳しくは http://jp.fujitsu.com/about/journal/products-services/20100201-02/
ETERNUS DX60/DX80/DX90
環境配慮型、上位機並みの信頼性を備えた
エントリーディスクアレイ
「ETERNUS DX60/DX80/DX90」
ラインナップ
エターナス
可能な拡張性に加え、
クラス最大の8Gbpsのファイバ
チャネル(FC)ホストインターフェースをサポート。
DX90は、
8ポートを標準装備する等、
接続性を強化。
事業継続を支援する災害対策リモートコピー機能
企業データを確実に保存するストレージに求めら
DX90は、
リモート・アドバンスト・コピー機能(オプ
れるのは、一層の信頼性、拡張性、災害対策と環境
ション)により、サーバ経由なしでDX90間とのボ
への配慮。
これらにお応えする中堅・中小企業、大企
リュームコピー(装置間コピー機能)が可能。さらに
業の部門向けエントリーディスクアレイが「ETERNUS
高機能FCスイッチを使用し、WANコンバーターなし
DX60/DX80」
、
そして新モデル「ETERNUS DX90」
。
の遠隔地データ転送が可能となり、より安価な災害
主な特長は次の通りです。
時データ保全システムの構築を実現。
この他、省電力、静音性強化、電力・温度状態の見
さらなる環境配慮と拡張性・接続性を強化
える化等の環境配慮機能、主要コンポーネントの二
DX60/DX80は、
新たに省スペース・低消費電力の
重化やデータの暗号化機能等、数々の特長を備えて
2.5インチHDDをサポート、
豊富なディスクタイプによ
より高機能・高信頼性
います。富士通はこれからも、
り、
コスト・性能等のバランスに応じたRAID構築が可
のエントリーディスクアレイで中小・中堅企業のITシ
能に。
DX80/DX90は、
最大120本までHDDの搭載が
ステムを支えてまいります。
詳しくは http://jp.fujitsu.com/about/journal/products-services/20100201-03/
富士通ジャーナルサイトもあわせてチェック!
富士通ジャーナルサイトでは、冊子でご紹介した製品の詳しい情報や、冊子ではご紹介しきれない
お奨めの製品情報を毎週更新しています。ぜひご覧ください。
富士通ジャーナル プロダクト&サービス
検
検索
索
http://jp.fujitsu.com/about/journal/products-services/
プロダクト&サービス / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
11
左
新晃工業株式会社 様
FIer導入事例
フィールド・イノベータが関連部署間での「組織の壁」に着目
現場全員の意見を聴き、
合意を形成
第三者の客観的視点が改革を可能にする
空調機器の製作・販売・施工を行い、業務用空調機器では国内シェア4割のトップメーカー、
新晃工業
(株)
様。同社では、全社視点での設計業務の効率改善・コスト削減に向けて、
関連部門を含めた全員の合意形成が重要であるとの考えから、フィールド・イノベータ
(以下、FIer(エフアイヤーと略す))
に推進役になってもらうことを決意。議論を重ねなが
ら工場を含めた現場全員の意識統一を得て、改革を軌道に乗せました。
ムの再構築を計画。製販一体での仕組みづくりに取り
組むことになりました。
その一つとして設計業務の効率
改善・コスト削減のための次世代設計・積算プロジェク
トがありました。
左から/管理本部 製販業務改革グループ 執行役員
管理本部 製販業務改革グループ 係長
SE部 課長
SE部 技師
川中
奥本
田中
中嶋
一氏
純弘 氏
宏保 氏
信一郎 氏
現場全員の意識を統一するためには
第三者のFIerの力が必要だった
環境への対応をはじめ機能の高度化等により、一品
一様の空調機器の設計点数が急速に増えているにも
12
効率改善・コスト削減に向けた
次世代設計・積算プロジェクト
かかわらず、逆にリードタイムは短くなっており、設計業
昭和初期、創業者が空調先進国アメリカから最新の
は工場が別会社となっており、CAD構成の違い等から、
技術を持ち帰り、戦後1950年に創業。2010年に創業60
お客様の仕様を反映した上流の受注設計と、製造のた
周年を迎える新晃工業(株)様。
まさに国産の業務用空
めの仕様を反映した工場の生産設計との間でデータ
調機器の歴史とともに歩み、常に空調市場をリードす
の連携ができず非効率になっていたのです。
るトップメーカーであり続けてきました。その歴史の中
プロジェクトオーナーの川中氏は「具体的には部品
には、東京オリンピックの代々木室内プールや東海道
表の展開によって設計データの共有化を図ることが有
新幹線の全駅の空気調和機、赤坂迎賓館や新国技館と
効であると考えていましたが、前任者を含め過去3回の
いった時代を象徴するものから、東京ドーム、六本木ヒ
トライアルで、社内をまとめることができずにいたとい
ルズ、東京ミッドタウン等々、都心の街を彩る最新鋭の
う経緯がありました。私自身は製販業務改革の担当役
ビル群等も含まれています。同社の特徴は、ビルの形
員として、生産管理システムにも携わっています。そち
態や目的、機能にあわせたオーダーメイド設計によっ
らの方は第三者の視点で主導的に改革を進められる
て、お客様のニーズにフィットした一品一様での空調環
と思っていました。
しかし、設計・積算に関しては私が設
境を提供できる、高度な技術力と柔軟な対応力にあり
計出身ということもあり、何が必要か熟知していました
ます。現在、常に「革新」、常に「挑戦」ができる心の若さ
が、逆に改革の難しさもわかっている分、
『できない』
と
“YOUNGing SINKO”を大切にし、
より
「価値のある会社」
現場の設計者に言われれば、第三者的な立場で強力
を目指し事業を展開されています。
に推進できなくなるのでは?と迷っていました。そこで
同社では中期経営計画を策定する中で、基幹システ
第三者のFIerに客観的な事実を示してもらい、改革の
務の効率改善は大きな課題となっていました。同社で
右
■ 新晃工業
(株)
様におけるフィールド・イノベーション活動手順
課題感知
事実確認
課題を共有し、領域を設定する
仮説をたて、現実を捉える
課題の把握
オーナー・インタビュー
現場状況の確認
担当者インタビュー
対象領域の設定
オーナー打ち合わせ
想定される課題の抽出
問題・影響ネットワーク
改革
目標を設定し、施策を実行する
施策実行計画の立案
実行計画詳細化
実行体制確立
KPI 設定
施策の実行
KPI 測定・確認
現場実態の表出化
シャドーイング
業務時間調査
業務フロー作成
プロジェクト・メンバー全員で議論し、合意形成
推進役になってもらいたいと導入を決断しました」
と、
語られます。
FIerとともに熾した改革の火を
燃やし続けていきたい
率先してプロジェクトにあたるFIerの熱心な姿に、
プ
全員が納得するまで確認を取り
プロジェクトを進める
ロジェクトメンバーも引き込まれ、活動も日を追う毎に
FIerは、お客様と同じ目線に立って、お客様の現場で
から、納得感を持って自分たちで主体的に取り組んで
の課題解決に取り組む業務プロセス改善の専門家で
いくという姿勢に変わっていきました。
す。FIerは別会社である工場をはじめとする関連部署間
「一般的なコンサルタントでは、社内から資料を集め
での「組織の壁」に着目。全員が本音で議論することに
させ、それをもとにした表面的な内容のレポートで終
よって、それぞれの組織を超えて共感し、合意形成を得
わることが多いのに、FIerの場合、時間はかかるものの
て自律的な改善活動が生まれる関係づくりを目指し活
現場の業務まで深く入り込み、問題解決に向けた具体
動を始めました。
まず、設計業務の問題点・影響等につ
策を検討し、全ての部署を含んだ合意形成を実現して
いて、全員の意見をカード
(付箋)
を使い、壁に貼りなが
くれました」
と、奥本氏は語られます。
ら可視化。次に課題を絞り込み、東京・名古屋・大阪・神
現場に深く入り込むことによって、実際の業務での問
奈川・岡山等の各拠点を精力的にまわり、課題の検証
題点が浮かび上がってきます。そして問題解決に向け
を行いました。
て、組織の壁を超えて対等な立場での議論を重ねるこ
「情報システムの担当として設計でのCADの導入に
とで、総意としての合意形成が実現されていきます。
関わってきましたが、手書きだった図面をCAD化したと
「全員の意思が統一され、施策実行計画書が完成し
いうだけにとどまっていたのが現状で、製造・販売部門
たということは、今回の大きな成果で感謝しています。
のデータを共通化し、設計の段階でデータを紐付け、積
計画書のスケジュールに則って今後全員で本格的な改
算ができるまでにしたいという強い思いをずっと抱い
革をスタートさせていくことになります」
(川中氏)。FIer
ていました。今回FIerの方が社内に入り込み、
自分たち
とともに熾した改革の火を燃やし続けることに注力し
が漠然と抱いていた問題点を整理し示してくれたこと
ていきたいと、決意を新たにされています。
で、自分の考えが間違いではなかったと再認識するこ
とができました」
と、田中氏は話されます。
活気を帯び、従来のやらされているというプロジェクト
新晃工業株式会社
設 立 1950年6月16日
「社内にいると、一方的な解決策を示して意見を押し
資 本 金 58億2,200万円
付けがちになりますが、全員が納得するまで確認を取り
従業員数 248名
ながら、合意形成を目指していくプロジェクトの進め方
U R L http://www.sinko.co.jp/
(2009年3月現在)
は大変勉強になりました」
と、
中嶋氏も振り返られます。
導入事例 / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
13
左
液体の影響を受けにくい
UHF帯RFIDタグ技術
微小ループアンテナによる検体容器の一括読み取りに成功
人や物を電子的に識別するRFIDタグが、バーコードに替わる新しい自動認識技術として
注目されています。特にUHF帯(周波数950MHz帯)を使用するRFIDタグの利用は、
様々な業種ですでに始まっています。富士通研究所と富士通フロンテックは、共同で
UHF帯RFIDの適用範囲拡大に取り組み、微小ループアンテナ技術を利用して、世界で
初めて検体容器150本の一括読み取りに成功しました。
❶RFIDタグ
RFIDは「Radio Frequency
タ
IDentification」の意味。
グ(ICチップと無線通信
用アンテナを組み合わ
せた小さな札)の情報に
電波を利用してアクセス
する。
UHF帯により
適用範囲が
拡大した
RFIDタグ
システム
富 士 通 研 究 所と
等 、お 客 様 の ニ ーズ に あ わ せ た 様々な
富士通フロンテック
RFIDタグシステムを開発してきました。
❶
では、RFIDタグ の
中でも特に、電池を
内蔵しない安価で大
❷
量生産可能な「パッシブ型タグ 」を利用し
たUHF帯❸RFIDタグの将来性に注目。洗濯
❷パッシブ型タグ
電池を内蔵せず、アンテ
ナから届いた電波を電
力に変えて動作する(通
信距離は数m)。
この他、
電池を内蔵して自ら情報
を発信する「アクティブ
型 タグ 」
(通信距離は
20m)、電池を内蔵する
が自らは電波を発信せ
ず、電池で受信回路やセ
ンサーを補助する「セミ
パッシブ型タグ」がある。
に対して抜群の耐久性を持ちユニフォー
❹
組んだのは、血液セ
ンターの検体 ❼ 管理
に 対 応 するR F I Dタ
グシステムの研究開
発です。
去が可能で入出庫管理に適した「リライタ
1日に数万本もの検体容器を扱うことがあ
❺
ブルシート 」、書類を重ねたまま一括読み
❻
取りが可能な「書類管理用ラベルタグ 」
る血液センターでは、
これまで検体の個体識
別にバーコードを採用していました。
そのた
■ 図1 UHF帯RFIDタグのアンテナ指向性
従来のタグ
ダイポール型のアンテナをラベルに貼付
すると指向性は水平方向になる。
今回開発したタグ
微小ループ型のアンテナをラベルに貼付
すると指向性は垂直方向に強くなる。
アンテナ面
リーダライタ
❹リネンタグ
富士通研究所と富士通
フロンテックが、2006年
5月、世界で初めて開発
したUHF帯RFIDタグ。洗
濯やクリーニング時の曲
げや圧力に強く柔軟性
に優れている。
今 回 新 た に 取り
ム管理等に適した「リネンタグ 」、印字・消
1
❸UHF帯
UHFは「Ultra-High Frequency」
の意味。RFIDに使用され
る周波数帯の一つ。電波
の性質により、一度に大
量のデータを読み取るこ
とができる。
液体に
影響されない
一括読み取りが
課題に
微小ループ
アンテナ
電波が
リーダライタに
確実に届く。
隣接する容器に遮られて
電波がリーダライタに届かない。
アンテナ面
リーダライタ
(ラックの下に設置)
14
右
め、ハンディ型のリーダを使って検体容器を
1つ1つ読み取る手作業が発生し、検体管理
の効率化が求められていました。
の方向も一様でない傾向があります。そこで、小
型アンテナを複数配置することにより、B4サイズ程
度のラック内の150本全ての検体容器に対して、
電波が一様に到達できるようにしました(図2)
。
複数の検体容器を読み取るには、RFIDタ
グ技術が適していますが、UHF帯は水に吸
バーコードでは不可能な「一括読み取り」
収されやすい特性から、
血液をはじめとする
というRFIDの特長を、液体に対しても実用
❽
化することにより、血液センターにおける検
を使う場合も、その電波の特性上、150本収
体管理の大幅な工数削減と人為的な作業
容可能なラックに対して一度に処理できる
ミスの軽減を可能にしました。
液体への採用は難しく、
また13.56MHz帯
検体容器が50本程度に限られ、一括して読
み取り可能な技術の開発が急務となってい
ました。
世界初、
検体容器
150本の一括
読み取りに
成功
❺リライタブルシート
部品伝票等に使用され、
印 字・消 去 が 繰り返し
500回程度可能。
化粧品・
飲料の
分野へも
富士通フロンテッ
クは本技術の検体容
器への適用を 2010
富士通研究所と富
年度に予定していま
士通フロンテックは、
す。
また、製造管理や
これ ま で の 様 々 な
入出荷検品等における業務効率の向上が
RFIDの小型アンテナ
期待できることから、化粧品容器や飲料容
技術に取り組んでき
器への適用についても検討していきます。
た経験をもとに技術の改良を進め、世界で
同時に富士通研究所は小形化/薄型化が
初めてUHF帯RFIDタグを使用した検体容器
難しい金属貼付用タグの研究開発を進め
150本の一括読み取りに成功しました。
ます。
❻書類管理用ラベルタグ
タグ同士が2mmの距離
で重なっていても100枚
を約4秒で一括読み取り
可能。
❼検体
人体から採取した検査
対象物。
❽13.56MHz帯
通信距離は最大60cm程
度。携帯電話に搭載され
ている「おサイフケータ
イ」や、乗車券・電子マネ
ー 等として利 用で きる
「Suica」等のICカードで
採用されている。
本格的なRFID普及に向けて、富士通研究
RFIDタグの電波の指向性を変える
微小ループアンテナ
所と富士通フロンテックは、
これからもお客
検体容器に貼付するRFIDタグのアンテナに、独
自に開発した微小ループ型を採用し、電波の下
方向への指向性を高めました。
これにより、隣接
様の要件にあったRFIDタグシステムをご提
供できるよう研究開発を進めてまいります。
する検体容器の方向への電波が少なくなり、液
体の影響を受けにくくなります。また、ラックの
■ 図2 検体容器150本の一括読み取り
下にリーダライタを設置することにより、
リーダ
ライタに対して検体容器のアンテナが重ならな
いため、安定したタグ情報の読み取りが可能に
なりました。
さらには、RFIDタグを検体容器の底
面に貼付する必要がなく、試験管のように底面
が平らでない容器にも適用可能です(図1)
。
ラック内の全ての検体容器に
電波到達可能な
リーダライタのアンテナ配置
一般にリーダライタのアンテナ面では、電波強
❾
度の分布が面全体で一様にならず、
また、偏波
❾偏波
電波の振動方向。アンテ
ナの重要な特性の一つ。
到来する電波の偏波と
アンテナの偏波が一致
する場合は受信電力が
最大になるが、直交する
場合はゼロになる。
先端テクノロジー / FUJITSU JOURNAL / FEB.-MAR.2010
15
生物多様性保全へ向けて熱帯雨林の再生活動を実施
~植林・育成活動の継続と
「富士通レディースの森」の新設~
富士通グループは、マレーシア・ボルネオ島において熱帯雨林の再生活動に取り組んでいます。2009年11
月、
自然教育の概念を兼ね備えた
「富士通グループ・マレーシア・エコ・フォレストパーク」
にて社員ボランティ
アによる植林・保育・調査活動を実施したほか、
「富士通レディースの森」
を新設しました。
熱帯雨林の再生で未来へつなぐ多様な動植物
スポーツ活動を通じて環境保全に貢献
2002年より
「富士通グループ・マレーシア・エコ・フォレ
また、熱帯雨林再生活動に加え、
「富士通グループ・マ
ストパーク」において、サバ州森林開発公社(SAFODA)
レーシア・エコ・フォレストパーク」内に「富士通レディー
の協力のもと、植林活動を中心とした熱帯雨林再生支
スの森」
を新設しました。
援活動を実施しています。
これまで、原生種の苗木3万
「富士通レディース」は、1978年にスタートした富士通
7,500本を植林してきましたが、
その苗木をきちんと育て
ス
プロアマチャリティゴルフトーナメントが前身であり、
ていくためには、継続的なメンテナンスが不可欠です。
タート時の「チャリティ精神」は現在も受け継がれていま
2009年11月27日から30日にかけて実施した熱帯雨林再
す。2009年10月開催の「富士通レディース2009」
では、環
生活動では、
これまでに植林してきた場所の補植や雑
境プログラム「バーディーforグリーン」により、同パーク
木の伐採等、2008年度からの継続活動である保育作業
に1,000本の苗木を寄付しました。
「バーディーforグリー
を実施しました。
また、
あらかじめ定めたルートに沿って
ン」は、バーディー、イーグル等、選手の成績に応じて熱
動植物の出現種数を記録するラインセンサス法※を用
帯雨林の再生活動に苗木を寄付するものです。
いて、植林場所に生息する鳥獣の調査も行い、熱帯雨林
今後も、
スポーツを通じた植林活動を積極的に推進
の再生に向けた様々な活動を展開しました。
し、
将来的には
「富士通スポーツの森」
へと発展させてい
きます。
富士通グループ
は、
「富士通グルー
プ生物多様性行動
ボランティアの手
で1本ずつ丁寧に
植林
指針」に基づき、熱
帯雨林の再生に一
層の努力を続けて
※ラインセンサス法
あらかじめ定めたルートに沿って動植物の出現種数等を調査する方法。ルートを
固定化することによって、経年的な比較等を可能にする効果がある。
いきます。
2009年11月新設の「富士通レディース
の森」
富士通グループはチーム・マイナス6%に参加しています。
発 行 富士通株式会社
マーケティング本部 eマーケティングセンター
〒105 - 7123 東京都港区東新橋1- 5 - 2
(汐留シティセンター)
富士通ジャーナル
印 刷 富士通アプリコ株式会社
本誌ならびに本誌掲載の製品・サービスに関するお問い合わせ先
富士通コンタクトライン TEL 0120-933-200
受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日・年末年始を除く)
URL http://jp.fujitsu.com/about/journal/contact/
※本誌記事中のプログラム名、CPU名、システム名等は各メーカーの商標、
または登録商標です。
※本誌に掲載されている内容については、取材時点によるものです。
※本誌は、森林認証紙を使用しています。また、印刷インキは大豆インキを使用しています。
© 富士通株式会社2010 本誌記事・写真・イラストの無断転載を禁じます。
Copyright © 2010 by FUJITSU LIMITED
WE0024-2010年02月AP
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