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資料2 廃止措置の終了の確認に係る基本的考え方 (中間
資料2 廃止措置の終了の確認に係る基本的考え方 (中間とりまとめ) -主な論点と今後の検討の方向性について(案) 平成22年12月10日 総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 廃止措置安全小委員会 目 次 1. 検討の経緯 ............................................................ 1 2. 廃止措置の終了の確認に関する安全規制の概要 ............................ 1 3. 検討の目的と対象 ...................................................... 2 3.1 検討の目的 ......................................................... 2 3.2 検討の対象 ......................................................... 2 4. 終了確認の基準の具体化にあたっての主な論点 ............................ 4 4.1 終了確認の形態 ..................................................... 4 4.2 終了確認の判断基準 ................................................. 4 4.3 終了確認の対象範囲 ................................................. 6 4.4 終了確認時の記録 ................................................... 6 4.5 終了確認時のベースラインサーベイデータの必要性 ..................... 7 4.6 (1) (2) (3) 廃止措置終了時の具体的な確認方法 ................................... 9 計画段階で予見できない汚染が確認された場合の対応 .................. 9 汚染に係る評価対象核種の選定の考え方 ............................. 10 環境関連法令との関係 ............................................. 10 5. おわりに ............................................................. 11 - i - 1. 検討の経緯 平成 21 年 11 月、当小委員会は、原子力安全・保安院が原子力施設の廃止措置 に対して行う安全規制に係るニーズ等を踏まえ、当面実施すべき規制支援研究に 係る考え方を報告書としてとりまとめた1)。 その際、廃止措置分野における安全規制ニーズの一つとして「廃止措置終了確 認の具体的な方法の検討」を挙げ、必要な調査研究を進めることとした。また、 報告書とりまとめ当時、平成 23 年度から日本原子力発電(株)東海発電所の原 子炉領域の解体が計画されていたことを考慮して、「具体的な方法」の検討に先 立ち、平成 22 年度に「廃止措置終了確認の基本的考え方」(以下、「基本的考え 方」という。)をとりまとめることとした。これを受けて、当小委員会は、第 12 回会合(平成 22 年 6 月 7 日開催)から「基本的考え方」の検討に着手した。 その後、7 月 30 日に、今回の審議の契機とした東海発電所の廃止措置に係る工 事工程が変更され、原子炉領域の解体着手が 3 年延期されることとなった。しか しながら、当小委員会では「基本的考え方」の検討を先送りすることなく継続し、 主な論点と今後の検討の方向性を整理してとりまとめ、広く意見を求めることと した。 なお、ここに至るまでの検討は、(独)原子力安全基盤機構(JNES)が実施し た調査研究の結果2)や、 「廃止措置に係る規制支援研究計画(平成 22 年度~平成 26 年度)」に基づいて現在進められている調査研究の進捗状況を JNES から聴取し ながら進めた。 2. 廃止措置の終了の確認に関する安全規制の概要 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下、「原子炉等規 制法」というが、この項では単に「法」と記す。)は、 「製錬事業者は、廃止措置 が終了したときは、その結果が経済産業省令で定める基準に適合していることに ついて、経済産業大臣の確認を受けなければならない。」 (法第 12 条の 6 第 8 項)、 「確認を受けたときは、第 3 条第 1 項の指定は、その効力を失う。」(法同条第 9 項)と定めている。 この規定は、加工事業者(法第 22 条の 8 第 3 項)、原子炉設置者(法第 43 条 の 3 の 2 第 3 項)、使用済燃料貯蔵事業者(法第 43 条の 27 第 3 項)、再処理事業 - 1 - 者(法第 50 条の 5 第 3 項)、廃棄事業者(法第 51 条の 25 第 3 項)に対しても、 適用対象となる原子力事業者に応じた読替えを行った上で、同じ規定が適用され ることとなる。 経済産業省が安全規制を担当する原子力施設の廃止措置については、その設置 や運転の場合と同様に、遵守すべき事項が経済産業省令に定められている。特に、 実用発電用原子炉の設置者が廃止措置の終了の確認を受けようとする場合には、 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(以下、 「実用炉則」という。)に 基づき、廃止措置の対象となる施設等に係る必要事項を記載した申請書を経済産 業大臣に提出しなければならない(参考資料-1)。確認に当たっては、実用炉 則第 19 条の 11 に定める次の基準を用いる。 一 核燃料物質の譲渡しが完了していること。 二 廃止措置対象施設の敷地に係る土壌及び当該敷地に残存する施設につい て放射線による障害の防止の措置を必要としない状況にあること。 三 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄が終了している こと。 四 第七条第一項に規定する放射線管理記録の同条第五項の経済産業大臣が 指定する機関への引渡しが完了していること。 なお、研究開発段階炉についても、研究開発段階にある発電の用に供する原子 炉の設置、運転等に関する規則(以下、「研究炉則」という。)第 43 条の 8 に、 同じ基準が定められている。 3. 検討の目的と対象 3.1 検討の目的 今回の検討では、実用炉則第 19 条の 11 及び研究炉則第 43 条の 8 に定める廃 止措置の終了の確認(以下、 「終了確認」という。)に係る基準の具体化にあたっ ての主な論点を挙げ、論点ごとに今後の検討の方向性を示す。 3.2 検討の対象 現在までに経済産業省の廃止措置計画認可の実績は、3 基の実用発電用原子炉 (日本原子力発電(株)東海発電所、中部電力(株)浜岡原子力発電所 1 号原子 炉及び 2 号原子炉)と研究開発の目的で設置された新型転換炉「ふげん」 (現 - 2 - 原 子炉廃止措置研究開発センター)である。加工施設等の核燃料サイクル施設につ いては、廃止措置計画申請の見通しが具体化していないことから、前述の原子炉 施設に加え、今後、当面の間、新たに廃止措置の対象となる原子力施設は、実用 発電用原子炉施設と見込まれる。 以上のことから、今回、検討対象とする施設は、実用発電用原子炉施設及び既 に廃止措置段階にある「ふげん」とし、2.に記した実用炉則第 19 条の 11 第1 項第 2 号及び 3 号、並びに研究炉則第 43 条の 8 第 1 項第 2 号及び第 3 号に係る 論点を挙げ、今後の方向性を検討する。 なお、将来、他の原子力施設についても追加が必要となれば、適宜検討の対象 として加えていくものとする。 - 3 - 4. 終了確認の基準の具体化にあたっての主な論点 当小委員会において検討を行った終了確認の基準の具体化にあたっての主な 論点と今後の検討の方向性を以下に示す。 4.1 終了確認の形態 終了確認後の当該原子炉施設の建屋や敷地等の利用形態は、①当該原子炉の運 転とは別の原子力に係る活動で継続的に利用される場合(継続利用)と、②原子 力以外の一般の活動に解放される場合(一般解放)に大別される(参考資料-2)。 国際原子力機関(IAEA)が定めた安全指針 WS-G-5.1「行為の終了に際しての規 制上の管理からのサイトの解放」では、一般解放の場合の終了確認の考え方はもと より、終了確認後の敷地等の継続利用が予定されている場合などに、その使用や 立入りに一定の制限を課すことで、線量限度を担保する「制限付きの解放」の考 え方が示されている(参考資料-3)。米国をはじめとする海外の事例を見ると、 必要に応じて「制限付きの解放」に係る考え方が適用されて、安全規制を解いて いる事例もある(参考資料-4)。 我が国における原子炉施設の設置状況を見ると、単一の設置許可の下、同じ敷 地に複数の原子炉施設が設置されている場合が多く、その一部で廃止措置が実施 されても当該施設の跡地に、引き続き運転中の安全規制が適用されることが一般 的である。このように当該施設の廃止措置が終了した後も、別の原子炉施設に係 る安全規制が適用されることを考慮すると、「制限付きの解放」に係る考え方が 導入できる余地がないわけではない。 しかしながら、終了確認は、当該施設を安全規制から解放することを第一義的 な目的としていることから、まずは、安全規制を解くにあたって何ら条件を設け ない、一般解放を念頭に置いた終了確認のあり方について検討を行うこととする。 4.2 終了確認の判断基準 IAEA の安全指針 WS-G-5.1「行為の終了に際しての規制上の管理からのサイトの解 放」は、全ての被ばくの可能性のある組み合わせによって生じる実効線量の総和 の上限として公衆の年間の線量限度 1 ミリシーベルトを担保すべきであるとの考 - 4 - えの下、「サイトの解放」について線量拘束値が適用されるべき放射線源の一つ であり、その防護が線量拘束値未満で最適化されることを求めている。 また、適用される線量拘束値について、同指針は、年 10 マイクロシーベルト のオーダーを下回る最適化 注1 が放射線防護の根拠から是認されないかもしれな いことを考慮して、バックグラウンドに対して年 300 マイクロシーベルトを超え るべきではないとしている。 終了確認の判断基準に関しては、国内の安全規制、特に放射性固体廃棄物の埋 設施設における管理期間の終了に用いる線量基準(施設に対する安全規制の解除 に係るもの)との整合性についても考慮しておく必要がある。 当初、我が国では昭和 62 年の放射線審議会注2基本部会報告で、放射性固体廃 棄物の浅地中処分について、放射線障害防止の観点からの管理を規制除外する際 の判断の規準とすべき線量(規制除外線量)を年 10 マイクロシーベルトとした。 その後、平成 22 年 1 月、放射線審議会基本部会は、我が国における放射性固 体廃棄物埋設地の管理期間終了後における放射線防護に関する基本的考え方等 について検討し、「放射性固体廃棄物埋設処分及びクリアランスに係る放射線防 護に関する基本的考え方について」3)をとりまとめた。この報告書は、放射性固 体廃棄物埋設地の管理期間を終了し、安全規制を解く場合でも、複数の線源によ る被ばくを見込んで線量限度年 1 ミリシーベルト以下の拘束値を組み込んだ防護 の最適化により行われるべきであるとして、線量拘束値の具体的な値としては年 300 マイクロシーベルトを超えない値を用いることが適切であるとしている。 なお、クリアランス基準との関係について、IAEA の安全指針 WS-G-5.1 は、ク リアランスされる物質の場合には幅広い用途での潜在的な使用が想定されるこ とから年 10 マイクロシーベルトの基準が適用されるのに対し、土地はその場に 注1 放射線防護の最適化とは、経済的、社会的要素を考慮の上で、放射線リスクを生じる施設と活動を過度に 制限することなく、その存続期間全体を通じ合理的に達成できる限り、被ばくの発生頻度、被ばくする人数、 被ばく量を低減させる措置。国際放射線防護委員会(ICRP)により、正当化、線量制限などと共に提出された考 え方のひとつである。いわゆる(ALARA)の考え方であり、例えば、線量拘束値の年間 300 マイクロシーベル トを、合理的に達成できる限り低減させることを言う。 (参考:ICRP Publication 103「国際放射線防護委員 会の 2007 年勧告」 ) 注2 放射線審議会は、 「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」に基づき、放射線障害の防止に関する技 術的基準の斉一を図ることを目的として、文部科学省に設置されている諮問機関。関係行政機関の長は、放射 線障害の防止に関する技術的基準を定めるときは、放射線審議会に諮問しなければならないこととされている。 また、放射線障害の防止に関する技術的基準のうち、特に専門的な事項を審議することを目的として放射線審 議会基本部会が設置されている。 - 5 - 留まり、その規制解除後の潜在的な利用に係る被ばくの予測可能性が、物質の場 合より高いと判断できることから、土地の終了確認に係る線量基準はクリアラン スに係る基準より高くなり得るとして、線量拘束値である年 300 マイクロシーベ ルトを用いることが合理的としている。 これらを踏まえ、今後の検討に当たっては、終了確認によって安全規制を解く 場合の判断基準について、線量拘束値年 300 マイクロシーベルトを用いて、防護 の最適化を図るという考え方を基本とする。今後、かかる考え方の下に、建屋や 土壌の廃止措置後の潜在的な利用の可能性に留意しつつ、安全評価シナリオや被 ばく経路の設定など、具体的な評価方法に係る検討を行う。 4.3 終了確認の対象範囲 4.1でも述べたとおり、終了確認の対象範囲は、対象となる敷地内に立地す る施設全てを廃止措置する場合と、複数の原子炉施設のうち一部を廃止措置する 場合に分けて検討する必要がある。 終了確認は、直ちに原子炉等規制法に基づく安全規制の解除を意味するもので あることから、敷地内の原子炉施設及びその付属施設全てを廃止措置する場合に は、当然のことながら敷地全体が終了確認の対象となる。 他方、複数の原子炉施設のうち一部を廃止措置する場合には、当該廃止措置の 対象施設に限って終了確認を受けることとなる。このため、終了確認の対象とな る敷地等もおのずから限定されるとする考え方が合理的である。具体的な終了確 認の対象範囲については、終了確認後に残存するベースマット(建屋を建設する 際の基礎)や地下埋設物、土壌等への汚染の浸透の有無を確認し、仮に汚染が確 認された場合には、その状況を踏まえて終了確認の範囲を適切に設定することが できるよう、今後、対象範囲の設定に係る考え方を明確にする必要がある。 4.4 終了確認時の記録 廃止措置の終了の確認を行う場合には、規制機関として、必要に応じて確認対 象となる施設や敷地において、その放射能濃度等を直接測定することなどに加え、 事業者によって作成されている記録を確認し、汚染の有無の判断や事業者が実施 した測定等の方法の妥当性に係る判断を行うことが重要となる。 - 6 - 廃止措置に係る工事の方法など、廃止措置に直接関係する記録(実用炉則では 第 7 条第 1 項第 8 号、研究炉則では第 25 条第 1 項第 11 号。以下、この段落では 実用炉則の該当条文を指すが、研究炉則にも同じ条文が置かれている。)は当然 のことながら、放射性廃棄物に係る放射線管理記録(同条第 1 項第 4 号チ)、運 転中に発生した事故に関する記録(同条第 1 項第 5 号)などは、終了確認におい て規制機関に有益な情報を提供するものである。 また、管理区域における線量当量や放射性廃棄物の排気口等における放射性物 質の特定期間中の平均濃度などの放射線管理記録(同条第 1 項第 4 号ロ及びハ)、 気象記録(同条第 1 項第 6 号)など、現在、事業者における保存期間を終了確認 までとしていない記録事項であっても、これらを用いることで合理的な終了確認 に資するものもあると考えられる(参考資料-5)。 かかる観点から、現行の規則に定める記録の保存期間について改めて検証し、 記録の保存期間の延長など、合理的な終了確認のために必要な措置を講じること が必要である。 また、廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物を処分しようとする場合には、 処分施設の安全審査等を合理的に行う観点から、廃止措置に伴って発生する放射 性廃棄物の発生場所、発生時の状況などを追跡可能にしておくことも必要である。 このような観点からも、今後、作成すべき記録の項目について改めて検証する。 このほか、終了確認に用いた記録の国による保存のあり方や、原子炉設置者に よる自主的に録取された記録に係る実態把握、その活用のあり方などについても 検討を行う。特に、事業者による自主的に作成された記録については、早期にそ の有効性を認め、当該記録の散逸を防ぎ、その保存に係る事業者の自主的な取組 を促すことも重要である。 4.5 終了確認時のベースラインサーベイデータの必要性 IAEA の安全指針 WS-G-5.1 は、終了確認に際し、線量拘束値はバックグラウン ドから年 300 マイクロシーベルトを超えるべきではない、そのために新規の施設 の試操業(運転)前に、事業者は施設サイトにおけるバックグラウンド放射線の レベルを定義付けるために、放射線学的条件の情報入手を含むサイトのベースラ - 7 - インサーベイ注3が実施されることを確保すべきであるとしている。また、本格的 な施設の解体に伴って発生する放射性物質による汚染状況を把握する観点から、 原子炉領域の解体など廃止措置が本格化する前に、事業者において必要なデータ を整備することも重要である。 現行法令や安全審査指針は、事業者に対して運転開始前のベースラインサーベ イに係る記録の作成及び保存を明示的に要求していないため、現在運転段階にあ る国内の原子炉施設には、事業者の自主的な取組を除いて、予めベースラインサ ーベイによるデータが取得されていない場合がほとんどであると想定される。 この場合でも、IAEA 安全指針 WS-G-5.1 に、既存の施設に関して「類似の、擾 乱されていない似た特性を持つ地域からのデータが用いられるべき」と規定され ていることを踏まえ、周辺の類似環境での環境モニタリングデータなどの結果を 終了確認に用いることが可能であると考えられる。 これまでの施設周辺の環境モニタリング等の結果を勘案すると、原子炉施設の 敷地近傍で有意に確認される放射線は、一般的には、天然に存在する放射性核種 に由来するか、あるいは核実験や海外の原子力施設の事故に伴う放射性降下物に 由来すると考えられる。天然に存在する放射性核種の影響であれば、原子炉施設 の運転に伴う評価対象核種を考慮することで取り除くことが可能である。他方、 セシウムなど放射性降下物についても、敷地近傍の類似環境下で測定された適切 な値を用いることによってその影響の程度を判断できるものと考えられる注4。 IAEA 安全指針 WS-G-5.1 でも示されているとおり、原子炉施設を対象とした終 了確認にあっては、各国でも自然放射線や放射性降下物などのベースラインを差 し引いた評価が実施されている。我が国においても、事業者に対して、新規の施 設について終了確認に利用可能なベースラインサーベイを促すとともに、運転開 始の前にベースラインサーベイが行われていない既存施設であっても、事業者が 適切な方法によってベースラインとなるレベルを設定し、終了確認に用いること は妥当と考えられる。 注3 新規施設の操業前に、バックグラウンド放射線のレベルを定義づけるために実施される測定データで、サ イト解放のために利用可能なもの。 注4 例えば、国内の環境放射線データベースによれば、土壌中に含まれるセシウム-137 は、2008 年度で検出 限界以下~最大 0.15Bq/g、平均 0.01Bq/g 程度と評価されている。環境放射線データベースは、文部科学省が、 関係省庁、47 都道府県等の協力を得て実施した、環境における放射能水準の過去の約 300 万件の調査結果が収 録され、公開されているデータベース。 - 8 - 以上のとおり、当小委員会では、今後、事業者によって終了確認に用いるベー スラインとなるレベルが適切に決定されるよう、規制機関として講じるべき措置 について検討する。また、必要なデータが予め取得されていない場合であっても、 適切な設定方法にしたがって終了確認に用いることができるよう、建設前、運転 中、廃止措置時に取得されたモニタリング結果を、ベースラインとして利用する 際の方法などについて検討を進める。 4.6 廃止措置終了時の具体的な確認方法 4.4でも述べたとおり、終了確認の具体的な方法を検討するにあたっては、 対象施設等の直接的な測定・評価と、事業者によって作成された記録の確認をど のように組み合わせて行うのか、検討しておくことが必要となる。 今後の検討に当たっては、海外の規制動向や先行事例の実地調査を行い、その 結果も踏まえつつ、規制機関による直接的な測定の位置付け(事業者による測 定・評価との関係性の整理)、民間規格の活用を含む測定方法の具体化に係る方 針の検討とともに、事業者の測定結果の検証を含む確認のあり方、位置付けとい った制度面の課題について議論を深める。 また、技術的な観点からは、以下のような課題についても考慮する。 (1) 計画段階で予見できない汚染が確認された場合の対応 施設の地下の土壌については、まずは事業者が当該土壌の上に設置されていた 施設の汚染の有無やその状況、施設の破損状況、地下埋設物の汚染状況などを廃 止措置の計画段階で把握し、施設の汚染状況を踏まえた除染等を適切に実施する ことが必要である。終了確認においても、まずは事業者が把握した計画段階での 汚染の状況等について考慮することとなる。 他方、施設の地下の土壌の実際の汚染状況のように、施設撤去後にしか直接測 定することができない場合もあるため、廃止措置の過程や終了確認の際に、予期 しない汚染が確認されることも考えられる。具体的な確認方法の検討にあたって は、このような計画段階で予見できない汚染が確認された場合の対応についても 検討しておく必要がある。 - 9 - (2) 汚染に係る評価対象核種の選定の考え方 解体作業時に飛散した放射性物質によって発生する土壌の汚染については、運 転時や事故時の放射性物質の放出による被ばく評価や、放射性廃棄物の廃棄確認 時に評価対象としている放射性物質の核種組成が、そのまま適用できない場合も 想定される。このため、放出される可能性のある放射性物質の半減期も考慮しつ つ、評価対象とする核種選定の考え方について整理する。 (3) 環境関連法令との関係 環境基本法は、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防 止のための措置について、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる と定めている。また、廃棄物の処分について適用される廃棄物の処理及び清掃に 関する法律も、その適用対象から放射性物質及びこれによって汚染された物を除 くとしている。今後は、廃止措置に伴って発生する汚染などを具体的に考慮して 検討を進める必要がある。 - 10 - 5. おわりに ここでは、当小委員会がとりまとめた規制支援研究に係る報告書に基づき、発 電用原子炉施設を対象とした廃止措置終了確認の基本的考え方に係る論点と、今 後の検討の方向性を示した。今後、ここに示した考え方に基づき、引き続き当小 委員会で、取組についての緊急性や優先度に応じて具体的な検討を進め、廃止措 置の終了の確認に係る基本的考え方を示すこととしたい。 今後の検討にあたっては、特に海外での規制制度や先行事例の調査が大いに検 討の参考となるとの認識から、原子力安全・保安院や JNES において、今回示し た論点に沿った情報収集、海外における動向調査を行い、最新の知見を反映した 検討を進めていくことが必要である。また、検討の過程で、昨年作成された規制 支援研究計画に反映すべき研究課題が見出されれば、必要に応じて同計画を見直 すものとする。 さらに、今後の事業者の事業計画の進展や、当小委員会における検討の進捗状 況を踏まえ、原子炉施設における終了確認の考え方を基礎として、核燃料サイク ル施設への適用について検討することも必要である。 - 11 - 参考文献 1) 総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 廃止措置安全小委員会、 「廃止措置に係る規制支援研究計画(平成 22 年度~平成 26 年度)について」、 平成 21 年 11 月 2) 独立行政法人日本原子力安全基盤機構、 「平成 20 年度 廃止措置に関する調 査報告書」、平成 21 年 11 月 3) 放射線審議会基本部会、「放射性固体廃棄物埋設処分及びクリアランスに係 る放射線防護に関する基本的考え方について」、平成 22 年 1 月 - 12 - (付録1) 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 廃止措置安全小委員会 委員名簿 委員長 委員 専門委員 石 榑 顕 吉 社団法人日本アイソトープ協会 常務理事 井 川 陽次郎 読売新聞東京本社 論説委員 岡 本 孝 司 東京大学大学院 新領域創成科学研究科人間環境学専攻 教授 葛 西 賀 子 フリージャーナリスト 金 澤 稔 近畿大学工学部 非常勤講師 川 上 泰 財団法人原子力安全研究協会 研究参与 工 藤 小 崎 久 明 完 小佐古 小 山 高 木 服 部 敏 昭 直 隆 荘 夫 行 利 山 内 喜 明 田 中 忠 夫 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 准教授 北海道大学大学院工学研究院 エネルギー環境システム部門 准教授 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 教授 京都大学原子炉実験所原子力基礎工学研究部門 教授 東海大学大学院工学研究科応用理学専攻 教授 財団法人電力中央研究所 原子力技術研究所放射線安全研究センター 上席研究員 弁護士 独立行政法人日本原子力研究開発機構 安全研究センター廃棄物安全研究グループ - 13 - リーダー (付録2) 総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 廃止措置安全小委員会における検討の経緯 第9回 第10回 平成21年2月6日 ・廃止措置に関する次期5ヶ年の安全規制支援研究計画(案)につ いて ・これまでの安全規制支援研究の実施状況 平成21年7月9日 ・ 「廃止措置に係る規制支援研究(平成22年度~平成26年度) について(案)」について ・「廃止措置に係る規制支援研究計画(平成22年度~平成26 年度)(案)」について 第11回 平成21年11月18日 ・ 「廃止措置に係る規制支援研究(平成22年度~平成26年度) について(案)」について ・廃止措置に係る規制支援研究計画(平成22年度~平成26年 度)」について(案)」 第12回 平成22年6月7日 ・廃止措置技術評価ワーキンググループの審議状況について ・廃止措置に係る規制支援研究について ・廃止措置終了確認検討方針について 第13回 平成22年9月3日 ・廃止措置終了確認の基本的考え方の論点について 第14回 平成22年10月27日 ・廃止措置終了確認の基本的考え方の論点について 第15回 平成22年12月10日 ・廃止措置終了確認の基本的考え方(中間とりまとめ案)につい て - 14 - なお、本報告書の検討に係る廃止措置安全小委員会の議事録、配布資 料については、以下の経済産業省のホームページに掲載。 http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/9.html - 15 - 参考資料一覧 参考資料-1 終了確認の基準 ............................................ 17 参考資料-2 終了確認、サイト解放等の定義と廃止措置終了の形態について .... 18 (第 14 回 資料1-1より) 参考資料-3 廃止措置終了確認に係るIAEAの要件、指針の調査 ............ 20 (第 14 回 資料1-1より) 参考資料-4 廃止措置終了確認に関する国内外の事例 ........................ 23 (第 13 回 参考資料1-5より) 参考資料-5 終了確認に必要とされる作成すべき記録の検討例 ................ 54 (第 14 回 資料1-1より) - 16 - 参考資料-1 終了確認の基準 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和 53 年 12 月 28 日通商産業 省令第 77 号) (廃止措置の終了の確認の申請) 第十九条の十 法第四十三条の三の二第三項 において準用する法第十二条の 六第八項 の規定により廃止措置の終了の確認を受けようとする者は、次の各号 に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名 二 廃止措置に係る工場又は事業所の名称及び所在地 三 廃止措置の対象となる原子炉の名称 四 原子炉施設の解体の実施状況 五 核燃料物質の譲渡しの実施状況 六 核燃料物質による汚染の除去の実施状況 七 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄の実施状況 2 前項の申請書には、次に掲げる事項を記載した書類を添付しなければなら ない。 一 核燃料物質による汚染の分布状況 二 前号に掲げる事項のほか、経済産業大臣が必要と認める事項 3 第一項の申請書の提出部数は正本一通、写し一通とする。 (廃止措置の終了確認の基準) 第十九条の十一 法第四十三条の三の二第三項 において準用する法第十二条 の六第八項 に規定する経済産業省令で定める基準は、次の各号に掲げるとおり とする。 一 核燃料物質の譲渡しが完了していること。 二 廃止措置対象施設の敷地に係る土壌及び当該敷地に残存する施設につい て放射線による障害の防止の措置を必要としない状況にあること。 三 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の廃棄が終了している こと。 四 第七条第一項に規定する放射線管理記録の同条第五項の経済産業大臣が 指定する機関への引渡しが完了していること。 ※ 「研究開発段階にある発電の用に供する原子炉の設置、運転等に関する規則(平成 12 年 11 月 6 日総理府令第 122 号)」も内容は同じ - 17 - 参考資料-2 終了確認、サイト解放等の定義と廃止措置終了の形態について 原子力施設の廃止措置の終了後に、放射性物質の汚染による影響等がないこと を確認した上で、敷地及び建屋に対する原子力の安全規制を解除すること。また、 IAEA の WS-G-5.1 では、 「サイト」は規制上の管理からの解放の検討対象となる土 地と建屋あるいはその他の構造物を意味する。従って、上記の実用炉規則の二号 の要件に係るものである。 この関係について、図2-1図に示す。 また、原子力施設の終了確認に際しては、基本的にサイト(敷地及び建屋)に ついて原子力施設として引き続き利用する場合、あるいは、一般施設として利用 する場合、また、複数の施設が立地している場合にはその一部について解放する 場合など、表2-1に示すように、様々な場合があるが、大きく分けて継続利用 と一般解放の二通りである。 終了確認、サイト解放等の定義について 廃止措置終了確認基準*3 実用炉規則:第十九条の十一 他の省令より 1.核燃料物質の譲渡 しが完了*1 2.放射線による障害 の防止の措置を必 要としない 3.核燃料物質又は 核燃料物質によつ て汚染された物の 廃棄が終了*1 4.放射線管理記録 の指定する機関へ の引渡しが完了*2 核燃料 IAEA、WS-G-5.1:行為の終了に際し ての規制管理からのサイトの解放*3 敷地に係る土壌 土地 (敷地、地面) 敷地に残存する施設 建屋(建物) サイト* 4 その他の構 造物 放射性廃棄物 *3:国内の終了確認においては、規制管理からの解放だけでな く、引き続き敷地における原子力規制等が継続される場合が含 まれる。(次ページ参照) *4: IAEA、WS-G-5.1のp1注記2: 「用語「サイト」は、本安全指針中で規制上の管理からの解放の 検討対象となる土地と建屋あるいはその他の構造物を意味して *1 :再処理規則では、使用済燃料、核燃料物質又は いる。 」 原文:”The term ‘site’ as used in this Safety Guide means land 使用済燃料から分離された物という言葉が入る。 together with any buildings or other structures being *2 : 放射線業務従事者 の被ばくの記録を放射線影 considered for release from regulatory control.” 響協会 に引渡すこと 5 図2-1 終了確認、サイト解放等の定義 - 18 - 表2-1 廃止措置終了の形態 継続/サイト解放 施設区分の変化 許認可 1 2 原子力関連施設と 同一施設区分とし 許認可全体の終了 同一事業者 しての継続的利用 ての利用 同上 同上 同上 他の事業者 3 同上 4 同上 5 同上 6 7 再利用先 同上 許認可の一部の終 同一事業者 了 他の施設区分での 許認可の一部の終 同一事業者/他事 利用(RI 施設も含 了 業者 む) 周辺監視区域内で 許認可の一部の終 同一事業者/他事 継続 了 業者 一般施設としての 一部の解放 利用(サイト解放) 同上 全体の解放 許認可の一部の終 同一事業者/他事 了 業者 許認可全体の終了 (同一事業者/他 事業者) - 19 - 参考資料-3 廃止措置終了確認に係るIAEAの要件、指針の調査 国際原子力機関(IAEA)においては、2006 年に策定された、基本安全原側を頂上と する、安全規制文書体系に基づき、安全要件(Safety Requirements)、安全指針 (Safety Guides) の 整 備 を 原 子 力 安 全 局 (Department of Nuclear Safety and Security)で行っている。 廃止措置終了確認に関しては、以下の3つの安全要件及び指針が主に関連する文 書である。 WS-R-5 ”Decommissioning of Facilities using Radioactive Material”、 「放射性物質を用いる施設のデコミッショニング」(2006:IAEA 安全要件) WS-G-2.1“Decommissioning of Nuclear Power Plants and Research Reactors”、 「原子力発電所と研究炉のデコミッショニング」(1999:IAEA 安全指針、ただ し、現在改訂作業実施中) WS-G-5.1 “Release of Sites from Regulatory Control on Termination of Practices”、 「行為の終了に際しての規制管理からのサイトの解放」(2006:IAEA 安全指針) これらの安全基準文書のうち主な留意点を以下に示す。 ICRP の線量基準に基づき、年線量限度を 1mSv とすれば、線量拘束値の 300μ Sv/y を用いるべき。ただし、10μSv/y 以下の最適化は是認されない。(図3 -1参照) 土地はその場にとどまるので、クリアランスより高くてもよい。建屋について は、流通も考慮されるべき。バックグラウンドについては差し引いて考えれば よい。そのためのベースラインサーベイが必要。 ベースラインサーベイが実施されなかった既存の施設については、この目的の ために、類似の、擾乱されていない似た特性を持つ地域からのデータが用いら れるべきである。 サイト解放の具体的な基準としては、一般解放基準あるいは、サイト固有の基 準の2方法がある。 評価においては、シナリオと被ばく経路の設定、選択が必要。 サイト解放時には、埋設物への留意、地下水、地表水の汚染の調査が必要。 記録保管要件、マネジメントシステム、品質保証が必要である。 等級別扱い(Graded Approach)を考慮する必要性がある。 浄化の手続きの要件(一般的な行為と同様の要件)が必要。(図3-2に浄化 プロセスを示すフローチャートを示す。) 制限付の使用における要件を定めておく必要がある。 事業者の最終サーベイ報告書を規制当局に提出する必要がある。 規制当局の検査として、手順のレビューあるいは独立したモニタリング及び解 - 20 - IAEA析がありうる。 のサイト解放に関する防護の最適化の考え方 線量限度(年1mSv) 制限が機能しない場合 の制限付きの使用のた めのサイト解放領域 線量拘束値( <年300μSv) 適切な制限が用意され ている制限付きの使用 のためのサイト解放に 対する最適化領域 最適化されたサイト解放線量基準 ≈年10μSv 制限無しのサイト使用 に対する最適化の領域 線量低減処置が是認さ れそうにない領域 図3-1 IAEA のサイト解放に関する防護の最適化の考え方 WS-G-5.1 図1 拘束された最適化とサイト解放における決定グループの構成員 (WS-G-5.1 行為の終了に際しての規制管理からのサイトの解放) に対する実効線量の領域 - 21 - 行為の終了とサイトの解放の決定 サイトを特性調査 サイトは適切に特性調 査されているか No Yes No 国の規制は、一般解放基 準を明記しているか。 Yes Yes Yes サイト固有の解放基準の導出 (シナリオ、モデル化等) 規制当局による承認 No サイトは、制限無しの 解放の基準に従うか。 No 制限付きの解放 エンドポイントの規定 制限、責任のある主体および制度 的管理処置の規定 制限無しの解放 No 浄化計画の策定/改定 浄化計画の策定/改定 規制当局による承認 規制当局による承認 浄化活動の実施 浄化活動の実施 最終サーベイの実施 最終サーベイの実施 制 限 無 し の使 用 の た めの解放基準の遵守 No Yes 制 限 付 きの 使 用の た めの解放基準の遵守 Yes 規制当局による承認 規制当局による承認 制限無しの使用 制限の実施 図3-2 浄化プロセスを示すフローチャート (WS-G-5.1 行為の終了に際しての規制管理からのサイトの解放) - 22 - 参考資料-4 廃止措置終了確認に関する国内外の事例 1. 国内のサイト解放の事例 国内では、現行の法制度で病院や航空会社等で、核燃料使用施設について施設の 終了例はあるが、尐量の使用であり、直接の参考にならない。原子炉施設について は、下記の VHTRC が廃止措置の終了確認を完了している。また、旧制度に基づくも のであるが、JPDR は解体撤去を完了した例である。以下にその概要を示す。 ① 動力試験炉(JPDR) 旧日本原子力研究所、東海研究所の動力試験炉(JPDR:沸騰水型、12.5MWe)は、 昭和 51 年 3 月の運転終了後、国の方針により将来の商業用発電炉の廃止措置に備 え、廃止措置において活用し得る解体技術の開発と実地試験を行うという方針のも と廃炉プロジェクトに供されることとなり、昭和 57 年 12 月に解体届が出され、昭 和 61 年までに技術開発がほぼ終了、同年 12 月から解体作業が開始された。その後、 原子炉本体の解体、跡地の整地化まで実施、平成 8 年 3 月に全ての試験を終了し平 成 14 年 10 月に廃止届が出された。 建屋については、管理区域内の全表面について事前に直接測定を実施するととも に、施設全体で約 2,000 箇所の試料を採取し、汚染測定を行っている。その後、こ れに基づいた除染作業を行い、最終的に、施設管理者、放射線管理者及び規制当局 の三者が測定等で確認した上で管理区域を解除し、建屋解体を実施している。解放 基準としては、建屋について汚染が検出されないこと。(α線を放出しない放射性 物質に対して 0.4Bq/cm2)としている。 また、敷地については、建屋周辺について土砂のサンプリングを行い、ガンマ線 測定を行い、建屋と同じ条件で判断を行っており、国もその結果を確認している。 ② 高温ガス炉臨界実験装置(VHTRC) 日本原子力研究開発機構、原子力科学研究所(旧日本原子力研究所、東海研究所) の VHTRC は、昭和 34 年 10 月 14 日に使用施設の臨界実験装置(SHE:半均質臨界実験 装置)として許可を受け、その後、原子炉の設置に関する書類を提出し、昭和 43 年 7 月 20 日をもって原子炉設置許可を受けたものとみなされた原子炉施設である。 施設の廃止措置に際しては、平成 12 年 3 月 17 日に旧原子炉等規制法に基づき解 体届を提出し、解体に着手した。原子炉等規制法改正後、平成 18 年 5 月に廃止措 置計画認可申請書を文部科学大臣に提出した。その後、建屋を全て解体し更地化を 行い、平成 22 年 3 月 30 日に廃止措置終了確認申請書を文部科学大臣に提出し、平 成 22 年 6 月 30 日付けで文部科学大臣より廃止措置の終了を確認した旨の通知を受 - 23 - けている。 VHTRC は、最大熱出力 10W の臨界実験装置であり、運転時間も短いが、施設内の汚 染については管理区域全域の表面密度及び線量当量率の測定を実施した。表面密度 は間接法及び直接法により測定した。この結果、表面密度は検出限界値以下、線量 当量率はバックグラウンドレベルであることを確認し、管理区域を解除している。 建屋の跡地については、念のためサーベイメータで測定し、バックグラウンドレベ ルであることを確認している。 最終的に 5 月 27 日に国の確認検査を受けており、この際に敷地の測定について も確認を受けた。 2. 国外のサイト解放の事例 原子力施設の廃止措置終了後のサイト解放における安全確認に関して、建屋や土 壌の解放基準を事業者や規制当局がどのように確認しているか、米国の FSSR(最終 状態サーベイ報告書)等の文書を収集・調査し、手続き、放射能測定、確認等の活 動と実績をまとめるともに、ドイツ及びフランスについても概要をまとめた。 1) 米国 ① 概要 米国の原子力発電所は、小型のものも含めて、現在までに 27 サイト、28 基が恒 久停止し、このうち 13 基で敷地解放が実施されている(表4-4参照)。なお、1990 年代以降に恒久停止した発電所は、燃料貯蔵施設を建設し、使用済燃料を保管して 廃止措置を進めている。これらの手順は②に示す手法がほぼ同様に取られている。 ② サイト解放までのプロセス 原子炉ライセンス所有者は、LTP(ライセンス終了計画)を NRC(米国原子力規制委 員会)に提出し、認可された後、最終サーベイを行い、FSSR(最終状態サーベイ報 告書)を NRC に提出する。NRC は、FSSR が LTP どおりに行われ、かつサイト解放基 準に合致していることを審査する。NRC は、第三者検査機関(一般には、米国政府 支援機関である ORISE(オークリッジ科学・教育研究所))による確認サーベイの支援 により、FSSR の妥当性を確認する。以上の完了をもって、サイト解放が認可される。 ③ メインヤンキー原子力発電所のサイト解放の事例[1] (1) 概 要 メインヤンキーは、1997 年 8 月に廃止措置活動を開始し、2005 年 8 月に、NRC よ り無制限公共使用が公表された。 - 24 - サイト解放基準は他の発電炉と異なり、メイン州法に従って、全ての経路を通し て 10mrem/年(100μSv/年)、地下水を通して 4mrem/年(40μSv/年)と厳しいもので あった。 メインヤンキー発電所では、ISOCS(現位置γ線スペクトル検出器)による測定 及び、土壌サンプルを行い、γ線スペクトル分析を実施した。表面走査結果は、一 部に DCGL(導出濃度ガイドラインレベル)を超える汚染が検出され、除去を実施した が、最終的には基準以下となった。 また、建屋等については、解体中にガスフロー比例計数管による表面β線測定、 NaI シンチレーションによるγ線測定及びスミヤ測定が行われた。 NRC は、施設解体が LTP に従って達成されたか、FSS が LTP どおりに行われて LTP に記載されたサイト解放基準に合致しているかを審査し、合格とした。また、メイ ンヤンキーが提出した 12 項目からなる FSSR 付属書類を審査し、かつ、これらにつ いて ORISE の支援を受けて確認サーベイを実施し、サイト解放基準に合致している とした。FSSR 付属書類の審査は、FSS の検査、装置類の校正記録、技術訓練、品質 記録を確認することによって行われた。NRC は、ORISE に確認サーベイを依頼し、 その結果を審査した。 ORISE は NRC の依頼により、FSSR 付属書類の書類審査の他、確認サーベイとして、 表面走査、表面走査で最大値が計測された部位の直接サーベイ、土壌及び水のサン プリング、並びにこれらの分析とデータ解析を行った。 (2) 施設及びサイト解放に関する情報 a. 施設概要及び解放までの経緯 メインヤンキー原子力発電会社(Maine Yankee Atomic Power Company, MYAPC)は、 ニューイングランドの 10 の電力事業社の合弁企業であり、PWR 原子炉 1 基を有する メインヤンキー原子力発電所(Maine Yankee Atomic Power Station, MYAPS)を設立 した。なお、以後の文章においてメインヤンキー原子力発電会社とメインヤンキー 原子力発電所をまとめてメインヤンキーと称する。 この原子炉は 1972 年 12 月 28 日に商業運転を開始し、メイン州の電力の 50%を供 給し、25 年間の運転において 119×109kWh を達成した。また、運転初期には、燃料 被覆管損傷事故を経験しており、高いソース(汚染源)を有するプラントである。 この原子炉は運転上及び規制上の様々な問題により、1996 年 12 月 6 日に最後の 商業運転を行い、1997 年 8 月 27 日に停止後廃止措置活動報告書(Post Shutdown Decommissioning Activities Report, PSDAR)を発行し、廃止措置活動を開始した。 2005 年 8 月 15 日に放射能の最終状態サーベイ (Final Status Survey, FSS)結果が NRC に受け入れられて、同年 10 月 3 日、同サイトの無制限公共使用(unrestricted - 25 - public use)が NRC News で公表された。廃止措置プロジェクトは約 8 年間でほぼ達 成し、そのコストは約 5 億ドルであった。メインヤンキーのサイト解放に関する流 れを図4-3に示す。 運転中のメインヤンキーを図4-1に、廃止措置後のサイト跡地を図4-2に示 す。 以下に施設、経緯、解放基準等の概要を示す。 出力:2,700MWt(931MWe)(出力増加後) 炉型:PWR 恒久停止:1996 年 12 月 6 日 1997 年 8 月 27 日 PSDAR を発行 2005 年 8 月 15 日 NRC が FSS 結果を認可 2005 年 10 月 3 日 NRC はメインヤンキー原子力発電所の無条件サイト解放を公表 解放基準:全ての経路のバックグラウンド以上の年間の合計線量当量 10mrem/年、 及び飲料水源である地下水に対して年間 4mrem 未解放区域:独立使用済燃料貯蔵施設(ISFSI)及び一部隣接区域(3.17 エーカー (1.28×104m2)) b. サイトの位置 メインヤンキーはメイン州の Wiscasset 町にあり、820 エーカー(3.3×106m2)の敷 地を有し、このうちサイトは、約 641 エーカー(2.6×106m2)である。原子炉施設の 概略位置を、図4-4に示す。また、解放における影響のある(impacted)エリアと 影響のない(non-impacted)エリアを図4-5に示す。サイトから最も近い居住地ま での距離は 0.43 マイル(0.7km)であり、最も近い人口数の多い Wiscasset 町の中央 まで 5 マイル(8km)である。 c. サイト解放基準 メインヤンキーは、NRC の基準である全ての経路を通して 25mrem/年(0.25mSv/年) 及び ALARA 要件に合致する修復を行うことで廃止措置活動を開始したが、米国環境 保護庁(U.S.EPA)の修復要件及びメイン州等の要求があり、解放基準について様々 な議論が行われた。 2000 年 4 月 26 日、メイン州法 LD 2688-SP1080 が採択された。この法律は、全て の経路を通して 10mrem/年及び地下水経路を通して 4mrem/年を無拘束解放基準とす ると明記した。また、残留放射能汚染が 5,000dpm/100cm2 を超えるいかなる残留コ ンクリート片もあってはならないと明記された。結果として、これら数値がサイト 解放基準となった。 - 26 - 図4-1 運転中のメインヤンキー原子力発電所 図4-2 廃止措置完了後のサイト跡地 - 27 - 運転 恒久停止 廃止措置 1972 年 12 月 商業運転開始 1996 年 12 月 最終商業運転 1997 年 8 月 PSDAR 発行 1997 年 10 月 初期サイト特性サーベイ 1998 年 2 月 取出し燃料安全解析書(DSAR)を NRC に提出 2000 年 1 月 LTP 改定 0 版を NRC に提出 2000 年 9 月 ISFI 建設開始 2000 年 11 月 原子炉圧力容器内部構造物の細断を開始 2001 年 8 月 LTP 改定 2 版を NRC に提出 2003 年 5 月 原子炉圧力容器を Barnwell へ向け発送 2004 年 9 月 格納容器壁を爆破解体 2004 年~2005 年 FSS について NRC の審査、ORISE による FSS 評価、 更地エリア等の確認サーベイ 2005 年 8 月 FSS 結果を NRC が受理 2005 年 10 月 NRC 大部分のサイトの無制限公共使用を公表 認可終了 図4-3 メインヤンキーサイト解放の流れ - 28 - 図4-4 メインヤンキー原子力発電所サイト概略図 - 29 - 図4-5 メインヤンキー原子力発電所サイトの影響及び非影響エリア - 30 - (3) サイト解放に関する NRC の評価方法及び結果 a. 評価方法と結果の概要 メインヤンキーのサイトのうち、ISFSI 及び一部隣接区域(3.17 エーカー)を除く 残存敷地のサイト解放に関する NRC の評価方法及び結果について述べる。 メインヤンキーは NRC に対して、ライセンスを有する敷地の無拘束解放を要求し た。敷地はライセンスから恒久的に解放されるため、規制当局はメインヤンキーの 提出書類等が 10 CFR 50.82(a)(11)の要件に合致しているかを評価した。評価は以 下の2点について行われた。 解体は承認された認可終了計画書(LTP)に従って達成されたか。 最終サーベイ及び関連書類は、LTP 以前に承認された使用に関する部分の関連 線量寄与の評価も含めて、施設及びサイトが 10 CFR Part 20, subpart E の基 準に合致しているかを証明しているか。 b. 最終サーベイの審査及び承認 最終サーベイ結果の詳細については、12 項目からなる FSSR の付属書類が NRC に 提出され、また、追加情報が、NRC への回答として提出された。規制当局は、メイ ンヤンキーによって提出された書類が整理され、サイトが承認された LTP に記載さ れた解放基準に合致しているかどうかを審査した。 NRC による確認サーベイは、米国政府の支援機関である ORISE の支援を受けて行 われた。 c. メイン州の活動 NRC の規制に従って、メイン州は改定にかかる要求書の通知を受けた。 FSS が行われている間中、NRC 担当官及びメイン州の原子力安全検査官は、放射 線測定及び結果に関する技術課題について連絡を密にしてきた。メイン州の検査官 は、メインヤンキーの FSS 遂行中の現地立合いを行い、且つ、NRC の解体中サーベ イや確認サーベイには、NRC の検査官や担当官と行動を共にした。 d. 環境への配慮 2003 年 2 月 12 日、NRC は、メインヤンキーLTP の承認に関する環境評価 (Environmental Assessment, EA)を公表した。この環境評価は、LTP の認可及びそ れに続く無制限使用のためのサイト解放からの環境影響を評価するものである。こ の環境評価には、妥当な放射線解放基準及び LTP において述べられた妥当な FSS も 決められている。 メインヤンキーは、認可された LTP に従ってサイト修復を完了させた。修復に関 - 31 - する環境への影響は明確に評価されたので、本ライセンス取得活動に関する環境評 価が要求されることはなかった。 e. NRC の結論 メインヤンキーの FSSR 付属書 1~付属書 10A は、施設運転ライセンス No.DPR-36 から解放される土地が、10mrem/年(全ての経路のバックグラウンド以上の年間の 合計線量当量)及び LTP に従って飲料水源である地下水に対して年間 4mrem(バッ クグラウンドからとして)とするサイト解放基準に合致していることから、10 CFR 20.1402 に規定されたサイト解放基準である無制限使用に関する放射線学的基準に 合致している。 NRC は上述の結果をもとに、以下のとおり結論付けた。 公衆の健康及び安全は、提案された方法で解放の措置を実施することによって 危険にさらされることはない。 このような活動は、NRC 規制を遵守して行われる。 改定の発表は、公共の防護及び安全あるいは公衆の健康と安全に反するもので はない。 (4) ORISE による確認サーベイ a. ORISE について ORISE(Oak Ridge Institute for Science and Education)は、米国エネルギー省 が、教育、訓練、健康及び環境に関する国内及び国際プログラムを遂行するために 設立した機関である。ORISE 及びそのプログラムは、米国エネルギー省との契約を とおして Oak Ridge Associated Universities(ORAU)によって運営されている。ORAU は、1946 年に設立された 86 の大学の共同体である。 ORISE の報告書は、米国政府の支援による業務報告書である。 b. 目的 確認及び解体中検査サーベイは、NRC がライセンス所有者の手順及び最終状態サ ーベイ結果の妥当性と正確さを評価するために、独立した機関が現地データ審査及 び放射線学的データを提供するために行うものである。 c. 確認サーベイエリア メインヤンキーのサイトは、820 エーカー(3.32×106m2)であり、このうちメイン ヤンキーのサイト解放に関する NRC 支援として、ORISE が対象とした確認サーベイ のサーベイエリアを下表に示す。これらエリアは、元来あった制限エリアの内部及 - 32 - び外部の表面土壌サーベイユニット(SU)をカバーするエリアであり、建屋が解体さ れたエリアも含んでいる。正確には、確認及び解体中検査サーベイに対してカバー された SU の合計面積は約 14,700m2 であった。下表に確認サーベイに関する情報を 示す。 表4-1 メインヤンキーサイト確認サーベイ サーベイのタイプ サーベイエリア サーベイユニット 面積(m2) FR 0100 3 1,476 9 1,622 10 1,332 17 1,563 2 2,752 3 1,687 2 104 3 282 19 1,080 4 1,363 9 1,400 FR 0111 最終確認 FR 0200 FR 0900 FR 0111 解体中検査 FR 0200 d. 書類審査 ORISE の 一 部 門 で あ る ESSAP(Environmental Survey and Site Assessment Program)は、LTP 及び MARSSIM ガイドラインを十分に考慮して、ライセンス所有者 が公表した記録の妥当性と適合性について審査した。また、ガイドラインを超えた エリアが適切に修復されたことを保証するために提出されたデータについても十 分に評価した。 e. 手順 ESSAP は、2004 年 11 月 16 日、2004 年 12 月 8 日及び 2005 年 4 月 25 日~27 日に メインヤンキーの更地エリアの確認サーベイを実施した。追加の解体中検査サーベ イは NRC の要求があった時の 2005 年 4 月 25 日~27 日に行われた。サーベイは、NRC に提出して承認されたサイト特性サーベイ計画、及び ORISE / ESSAP サーベイ手順 と品質保証マニュアルに従って行われた。 f. 表面走査 屋外位置の表面走査は、計数率計を付けた NaI シンチレーション検出器を用いて、 近接可能エリアの約 10%~100%について行われた。検出器は対象表面上をゆっくり - 33 - と移動された。検出器と表面距離は最小限とし、通常約 1cm であった。土壌表面の 走査最小検出可能濃度(MDC)は、NUREG-1507 で与えられているセシウム-137 に対し て 10.4pCi/g(0.385Bq/g)、コバルト-60 に対して 5.8pCi/g(0.215Bq/g)である。 FR0111 SU9 に 3 ヵ所、FR0111 SU10 に 1 ヵ所、FR0900 SU2 に 1 ヵ所の高いγ線 が検出されたが、その他の SU 表面は、環境のバックグラウンドレベルであった。 なお、確認及び解体中検査サーベイデータは、放射線学的に制限のないサイト解 放に対する規制ガイドラインと比較された。 g. 土壌及び沈殿物サンプリング 土壌及び沈殿物サンプルは、元制限エリア内の SU 及び元制限エリア外の SU から 採取された。表面土壌(0~15cm)サンプルは、表面走査によって高い直接ガンマ放 射線が検知されたと判断された 5 ヵ所、及びランダムに選択された 29 ヵ所から採 取された。更に、NRC の要求により、115kV 開閉所の貯水槽から沈殿物サンプルが 採取された。 土壌サンプルは各採取位置から約 1kg が採取され、ESSAP サーベイ手順に従って、 プラスチックバッグに入れられ、シールされ、ラベルを貼って分類された。 h. 水サンプリング メインヤンキーが FR 0111 SU19 掘削地から汲み上げた水について、NRC の要求に より 2 個のサンプルが採取された。 i. サンプル分析及びデータ解析 サンプル及びデータは、テネシーにある ORISE の ESSAP Oak Ridge に送られて、 分析と解析が行われた。サンプルは ORISE/ESSAP 実験室手順マニュアルに従って行 われた。土壌サンプルは、マニュアルに従って、乾燥、混合、粉砕され、また、必 要に応じて均一化された。こうして調整されたサンプルの一部は、0.5ℓ Marinelli ビーカー又はその他適切な容器に封入された。 土壌、沈殿物及び水サンプルは、γ線スペクトル分析装置でセシウム-137 とコバ ルト-60、及びその他の核分裂及び放射化生成物について分析された。また、水サ ンプルの一つはトリチウム分析された。 ④ DOE マウンド施設の制限付サイト解放の事例 マウンド施設は、オハイオ州マイアミスバーグに核兵器の研究開発・製造施設と して建設された。米国エネルギー省(DOE)の環境管理計画に基づき、廃止措置及 び環境修復作業が 2007 年度末までに完了している。 - 34 - サイト解放については、下記に示すような、制度的管理を行う制限付のものが含 まれている。 a. 土壌の除去の禁止 b. 地下水の使用の禁止 c. 土地利用については、工業・商業利用等のみ(居住等の禁止) d. 特定の建屋からのコンクリート床の移動禁止 e. 特定の建屋の穿孔禁止 f. 政府及び州の機関がサンプリングやモニタリングで立ち入り可能 2) ドイツ ① 概要 ドイツの原子力発電所は、小型のものも含めて 19 基が恒久停止し、このうち 2 基で敷地解放が実施されている(表4-4参照)。その他、複数機サイトで一部の 解放を行っている事例(グンドレミンゲン等)もある。米国と異なり、敷地の汚染 修復を求められる状況にはほとんどない。また、サイト解放基準のベースが物質の クリアランスと同じレベル(10μSv/y)に設定されている。 ニーダアイヒバッハは、ドイツのミュンヘン近郊に設置された重水減速炭酸ガス 冷却型原子炉(106MWe)であり、1974 年に開発中止のため閉鎖された。その後、1994 年 8 月に解放されたが、敷地の解放基準として例えばコバルト-60 で 0.5Bq/g が用 いられている。 グロスベルツハイム HDR は、沸騰水型軽水炉(電気出力 2.5 万 kW)であり、1971 年に開発中止のため閉鎖された。その後、1998 年に解放されたが、敷地の解放基準 として、コバルト-60 で 0.01Bq/g の値が用いられている。 ② ニーダアイヒバッハの事例[2] ニーダアイヒバッハ原子力発電所(KKN)は、1972 年に初臨界に達したが、2 台の 蒸気発生器に漏洩が発見されたため、1974 年 7 月に停止し、修理が困難なこと、また 軽水炉主体の方針が確定したことにより、廃止措置された。 解体は、1987 年に開始し、1995 年 8 月までに原子炉及び建屋の解体を終了した。 原子炉解体前と解体後のサイトの状態を図4-6に示す。 その後、原子力法による規制が解除され、ドイツで最初のサイト解放宣言が 1997 年 11 月に行われた。 KKN の解体に伴う全廃棄物は、約 81,000 トンに達し、その 95%は非放射性のもので あり、さらにその大部分の 75,000 トンがコンクリートである。このコンクリートの 2/3 は原子炉跡地に埋め戻され、残り 1/3 は、サイト外の一般道の路盤材に使用され - 35 - た。非放射性汚染金属 400 トンは、スクラップとして市場に出された。低汚染及び 低放射化金属 2,300 トンは、溶融処理後、カールスルーエセンター内で再利用された。 汚染及び放射化廃棄物 500 トンは、センター内に保管されている。 施設建物及び敷地解放には、バイエルン州当局から最終的に放射能の無い区域で あることの確認を得るため、原子炉建屋で約 12 万点、全エリアで 20 万点以上の放射 能測定を一般的なハンドモニターにより直接測定している。また、全体で 5,300 地点 でのサンプリングによる放射能測定を実施している。KKN の全エリア解放のための 放射線管理区域内及びそれ以外の測定面積及び測定点を表4-2に示す。測定点は、 対象エリアを放射能評価や汚染履歴などから 5 カテゴリーに分類し、決めている(表 4-3参照)。 また、規制当局による確認測定は、州政府が検査協会(TÜV)に委託し、測定点の 10% で実施している。また、州当局自身も約 3%測定している。 表4-2 KKN サイト解放のための放射線サーベイ エリア 表面積 放射線管理区域 約 26,000m2 直接測定:約 200,000 (床、壁、天井) サンプリング:約 5,000 2 非管理区域 測定点 約 19,500 m 直接測定:約 2,300 (床、屋根) サンプリング:約 300 表4-3 KKN サイト解放のための放射線測定エリア・カテゴリー カテゴリー エリア 測定頻度等 Ⅰ 全放射線管理区域 床:100% 壁及び天井:1 点/m2 Ⅱ 床:1 点/10m2 管理区域に隣接エリア 最小限:1部屋 Ⅲ 管理区域に近接していないが 通路:1 点/10m2 測 定 を 除 外 で き な い エ リ ア グリッドスペース:1 点/50m2 (通路等) Ⅳ 解体作業に使用していないエ 通路、グリッドスペース:1 点/50m2、 リア(通路、屋根、グリーン グリーンエリア:サンプルによる測 定:1 点/500m2 エリア) Ⅴ 管理区域の内側及び外(建屋 確認測定 内等) - 36 - 図4-6 KKN の解体前(1972)と解体後(1995)の概観図 - 37 - 3) フランス ① 概要 基本的にフランスの「解放基準」は、「いかなる人工的な放射能も存在しないこ と」であり、これはバックグラウンド放射能濃度の 2 倍と解釈されている。ただし、 原子力施設の汚染区域を除染して一般区域に指定解除することが実質的なサイト 解放となっている。 例えば、Pierrelatte 燃料加工工場(FBFC 社、現在は AREVA 社)は、1983 年から 運転を開始したが、1998 年に永久停止され、2002 年までに解体を実施し、2003 年 に終了した。解放の基準値としては、α線の表面密度で 0.4Bq/cm2 未満、比放射能 は 1Bq/g 未満とされている。なお、このサイトは工業用地として再利用される予定 となっている。 ② Pierrelatte 燃料加工プラントの事例[1] Pierrelatte サイトは、COGEMA 社が所有する COMHUREX プラント(ウラン転換と 精製)及び EURODIF プラント(濃縮)、AREVA 社の Pierrelatte 燃料加工プラント及 びその他の軍・民の主要な原子力施設から構成されている。Pierrelatte 燃料加工 工場は、FBFC 社(現在は、AREVA 社)によって 1983 年から運転を開始したが、1990 年代の後半には、フランスのウラン燃料要素の生産能力が十分になったことから、 効率の良くない同施設は、1998 年に永久停止されることになった。同燃料加工プラ ントは、軽水炉用の燃料(濃縮度 5%以下)を製造し、その製造能力は 500 tHM/y (ton Heavy Metal /year)であり、総勢 300 人の従業員で運営されていた。図4-7に Pierrelatte 燃料加工プラントの全景を示す。 Pierrelatte サイトでは、放射性廃棄物貯蔵施設及び有害な危険廃棄物貯蔵施設 の建設許可を取得し建設を始めるとともに、Pierrelatte 燃料加工プラントの廃止 措置を 2000 年 5 月に開始した。その後、2002 年まで解体を実施し、2003 年に原子 力安全規制局の検査を受けて解体が終了した。同施設の壁、床及び天井を除染する ために、約 23 ヶ月が必要であった。廃止措置作業を大きく区分すると以下の 5 ス テップに分かれる。 必要な調査、資料作成、許認可の取得等に係る準備作業 解体のための業者との打ち合わせ、契約作業 解体作業の実施 最終サーベイ等の放射線管理に関する作業 原子力施設としての規制管理を解除するための作業 - 38 - Pierrelatte サイトは、修復して工業用地として再利用する予定である。なお、 サイト内施設の一部は、燃料集合体の部品の製造施設として、再利用される。図4 -8に、Pierrelatte 燃料加工プラントの廃止措置フローを示す。 フランスにおける原子力施設からの放射性廃棄物のクリアランスは、個々のサイ トの実状に応じて決定される。Pierrelatte 燃料加工プラントの廃止措置では、ゾ ーニング(放射性廃棄物を発生するエリアと放射性廃棄物を発生しないエリアとに 区分する方法)の概念を適用し、放射性廃棄物のクリアランスを実施した。なお、 同施設の解体時には、既に極低レベル廃棄物に対して Morvilliers 処分場を使用す ることが可能であった。 クリアランスレベルに関しては特に基準設定はしていない。十分な調査を実施し、 原子力廃棄物ゾーンと一般廃棄物ゾーンに区分しており、疑わしきものは全て放射 性廃棄物に分別している。サイト解放に関しては、過去の実績から、汚染されたサ イトの修復に対し、CEA(フランス原子力庁)は、サイト解放されたサイトから住民 が受ける年間の被ばく線量を 300 μSv 以下にすることを基本としている。サイト 修復中における最良の作業方法は、サイトの残存線量を決定して、作業を進めるこ とである。最終的なサイト解放における最適な線量基準としては、種々のシナリオ 中の最悪のシナリオに対し 10μSv/y 以下にすべきであるとしている。 Pierrelatte 燃料加工プラントにおいては、サイト解放基準(基本的には建物内 表面に対して)として、α線の表面密度を<0.4Bq/cm2 及びα線の比放射能濃度を< 1Bq/g の値を適用した。 Pierrelatte 燃料加工プラントの解体が完了したことを証明するために、確認測 定を実施し、Pierrelatte サイトの表面密度が α<0.4 Bq/cm2、比放射能はα<1 Bq/g の規定値以下であることを確認した。現場での測定は、主にコリメータ付き及 びコリメータ無しのγ線スペクトロメーターを使用している。 - 39 - 図4-7 Pierrelatte ウラン燃料加工プラントの全景 1983 年 11 月 商業運転開始 運転 恒久停止 1998 年 11 月 最終商業運転 2000 年 5 月 解体デクレ(MAD 及び DEM)発行 2000 年 10 月 貯蔵施設と廃棄物許認可発行 廃止措置 2002 年 2002 年暮 認可終了 指定解除用放射能測定結果提出 ASN は施設が解放条件に適合せずとして指定解除時期尚早と判断 2003 年 5 月 INB 施設(主要原子力施設)のリストから削除(規制解除) 図4-8 フランス Pierrelatte 燃料加工施設の廃止措置フロー - 40 - 表4-4 敷地解放まで至った世界の原子力発電所 No. 国 原子炉施設名 1 2 3 4 米 エリクリバー シッピングポ 米 ート 米 ショーハム フォート・セ 米 ント・ブレイ ン 5 米 トロージャン 6 米 7 米 8 米 9 米 10 米 11 米 12 米 13 米 メインヤンキ ー サクストン ビックロック ポイント パスファイン ダー ヤンキー・ロ ー ハダムネック (コネチカットヤンキー) キャロライナ CVTR ランチョセコ -1 ニーダアイヒ バッハ(KKN) グロスベルツ 15 独 ハイム HDR 14 独 16 日 動力試験炉 BWR 電気出力 (万 kW) 2.4 1964.07~1968.02 敷地解放 の完了 1974/8 LWBR 6.8 1958.05~1982.10 1989/12 BWR 84.9 1986.08~1989.05 1995/4 解体、燃料撤去 HTGR 34.2 1979.07~1989.08 1997/8 解体、燃料撤去 PWR 115.5 1976.05~1992.11 2005/5 PWR 90.0 1972.12~1997.08 2005/10 PWR 3.0 1967.03~1972.05 2005/11 BWR 7.1 1963.03~1997.08 2007/1 BWR 6.3 1966.07~1967.10 2007/7 PWR 18.0 1961.07~1991.10 2007/8 PWR 58.7 1968.01~1996.12 2007/11 HWR 1.9 1963.12~1967.01 2009 秋 解体、燃料撤去 炉 型 運転期間 現状 解体、燃料撤去 解体、燃料撤去 解体、乾式貯蔵施 設残存 解体、乾式貯蔵施 設残存 解体、燃料撤去 解体、乾式貯蔵施 設残存 解体、燃料撤去 解体、乾式貯蔵施 設残存 解体、乾式貯蔵施 設残存 PWR 91.7 1975.04~1989.06 2009/10 解体、乾式貯蔵施 設及び放射性廃 棄物貯蔵設備残 存 HWGCR 10.6 1973.01~1974.07 1995/7 解体、燃料撤去 BWR 2.5 1970.08~1971.04 1998 解体、燃料撤去 BWR 1.3 1965.03~1976.03 (1996/3) 解体、燃料撤去、 周辺監視区域内、 RI 施設残存 [1]平成 20 年度 廃止措置に関する調査報告書、独立行政法人原子力安全基盤機構、09廃輸報-0001 [2]原子力施設のサイト解放に関する安全基準等の調査、平成 18 年 3 月、(財)原子力研究 バックエンド推進センター - 41 - 3. サイト解放に関する各国の規制状況のまとめ 米国のサイト解放基準は、原子炉施設、核燃料サイクル施設等に共通した放射能 基準(10 CFR Part 20 Subpart E)に基づいており、廃止措置規則と連携して行わ れている。この法規制の概要を表4-5に示す。特に Subpart E[認可終了のため の放射能基準]の要求事項が 10 CFR Part 20.1402,20.1403 及び 20.1404 にあり、 各種のサイト解放等に係るガイドラインは、参考になる。 また、前記の事例のように米国では、原子力施設のサイト解放における FSSR に 基づき、NRC が共同又は独立して徹底的に確認する体制が確立されている。また、 公的な第三者機関が関与している。また、NUREG-1575(MARSSIM)をガイダンスと してサイト解放を実施している。 MARSSIM は、放射性物質に関する権限と管理を持つ 4 つの機関、国防総省(DOD)、 エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)と原子力規制委員会(NRC)が協力して作 成した多省庁機関の総意文書であり、建物表面や表面土壌の最終状況放射線サーベ イについての設計、実施、評価、文書化に関する情報を提供するガイドラインであ る。 図4-9に MARSSIM における測定・評価・検認フローを示す。無条件解放として は 250μSv/y に加え ALARA の考え方を適用している。具体的には、各サイトごとに DCGL(導出濃度ガイドラインレベル)を算出して適用している(表4-6のメインヤ ンキーの例参照)。 一方ドイツにおいては基本的にクリアランスの考え方が使われ、サイトの無条件 解放としては 10μSv/y を基準にして算出した値が用いられている(表4-7参照)。 フランスの場合は、基本的にサイト解放の基準と明示したものはなく、原子力施 設の土地について、再利用するという基本的な方針であるが、0.4Bq/cm2 または 0.4Bq/g、といった基準でケース・バイ・ケースで解放が行われている。 イギリスの場合も同様にケース・バイ・ケースであるが、基本的にはリスクの考 え方で行っており、10-6/y という、リスク基準を判断基準として、実際の値を設定 している。 以上のように、国によって解放基準が異なっているのが現状である。各国の規制 状況の概要について、表4-8に、詳細について表4-9にまとめる。 - 42 - サイト解 放基準 廃止措置 関連規則 規制指針 等 参考 サイト解 放基準 表4-5 米国のサイト解放に関する法規制の概要 原子炉施設 核燃料サイクル施設等 (発電炉及び研究炉) 10 CFR Part 20[放射線防護基準] Subpart E の要求事項 Part 201402 (無条件)、20.1403(制限付き)及び 20.1404(代替 基準) 本規則の適用範囲;Part 30、40, 50,60, 61 70, 72、ただし、 ウラン及びトリウム採掘施設及びウラン溶液回収施設に適合し ない。 ・10 CFR Part 2 ・10 CFR Part 2 ・10 CFR Part 30 ・10 CFR Part 50 ・10 CFR Part 40 ・10 CFR Part 70 ・RG1.184(2000.06) 統合 NMSS 廃止措置ガイダンス ・DG-4006(1998.08) (NUREG-1757 Rev.2) ・RG1.86(1974.06) (2006.09) ・RG1.86(1974.06) 許容表面汚染レベル(Table ― 1) EAP 基準 ・建家の表面汚染に対する共通のβ/γ線放出放射性核種用参考 ス ク リ ー 表(63FR64132,1998 年 11 月 18 日) ニング値 ・土壌表面汚染に対する共通のβ/γ線放出放射性核種用参考表 (64FR63895,1998 年 12 月 7 日) ・多省庁間共通放射線測定・サイト調査マニュアル 調査/分析 (MARSSIM:NUREG-1575 Rev.1) マニュア ・多省庁間共通放射線研究分析プロトコル・マニュアル ル (MARLAP:NUREG-1576) サイト解 ・DandD 放評価コ ・RESRAD ード ・研究炉 GTRR:RG1.86 規 制 解 除 ・発電炉の例(メインヤンキ NUREG-1814 実績例 ー等): 10 CFR Part 20 Subpart E - 43 - 表4-6 メインヤンキーで使用した DCGL の値 (JAEA 平成 18 年度発電用原子炉廃止措置基準化調査 p4-34 より) 使用履歴調査(HSA) 基準線量の設定 影響・非影響領域 基準濃度(DCGL)計算 License Termination Plan(LTP)の申請 非影響→ 測定せずに汚染なしと決定 影響 基準濃度の設定 BG参照 エリア スコーピングサーベイ 計算幾何体系・ パラメータ値 サイト固有基準濃度 算出 サイト特性サーベイ バック グラウンド相当 基準濃度を超える可能性 Class 1 Class 2 Class 3 評価単位設定 評価単位設定 測定方法・判断 測定方法・判断 最終サーベイ(測定) 最終サーベイ(測定) 修復・洗浄 修復支援サーベイ 評価単位設定 測定方法・判断 最終サーベイ(測定) 最終サーベイ報告書(FSSR)の提出 規制当局の確認 サイト解放 図4-9 米国 NRC NUREG-1575 (MARSSIM)における測定・評価・検認フロー - 44 - 図4-10 米国の最終状況サーベイに適用されるデータライフサイクル (NUREG-1575 MARSSIM roadmap-3 より) 入力データ エリア区分 サーベイ単位の識別 参照(基準)座標系 均一 サイト履歴調査、 スコーピングサーベイ、 特性評価サーベイ、 修復活動支援サーベイ 放射能の高い エリア 汚染分布 設 計 期待値 期待値 評価数N, 格子間隔L, 検出限界濃度MDC (測定点数、測定位置、 測定方法の選定) 範囲、走査検出限界濃度 (走査したサーベイ単位の割合、 汚染の高いエリアのサイズ、 測定方法の選定) 直接測定又は試料 採取 実 統合サーベイ設計 走査サーベイ 最終状況サーベイデータの取得 DCGLW と DCGLEMC (走査サーベイ、直接測定、 試料採取及び分析) 施 データ検証とデータ実証 データ品質評価と統合サーベイ設計の審査 データの図示解析 評 実際のサーベイ結果 (N, L, MDC) 価 決 定 注: DCGL DCGLEMC DCGLW EMC 統計検定 高測定点比較 合格/不合格 合格/不合格 最終状況サーベイ結果に基づいて各サーベイ単位が 規制に適合しているかを決定 :導出濃度ガイドラインレベル :EMCを用いた放射能の高い小エリアのDCGL :統計検定を用いた広範囲にわたって均一濃度のDCGL :放射能の高い小さなエリアの放射能濃度が規則に一致していることを実証するための高測定点比較 - 45 - 表4-7 ドイツのクリアランスレベル(サイト解放を含む) (放射線防護令の付録Ⅲの表 1 から一部抜粋) 無条件クリアランス 建屋ガラ サイト と土壌> 1000 t/y [Bq/g] [Bq/g] 表面汚染 [Bq/cm2] 固体状物 質*と液 体 [Bq/g] 1** 4 5 6 7 8 9 10 10a H-3 100 1,000 60 3 1,000 1,000 4,000 1,000 C-14 100 80 10 0.04 1,000 2,000 6,000 80 Fe-55 100 200 200 6 1,000 10,000 20,000 10,000 Co-60 1 0.1 0.09 0.03 0.4 4 3 0.6 Sr-90+ 1 2 2 0.002 30 2 30 9 Cs-137 1 0.5 0.4 0.06 2 10 10 0.6 Eu-154 1 0.2 0.2 0.06 0.7 7 6 0.5 U-234 1 0.5 0.5 - 1 9 10 2 Pu-242 0.1 0.04 .0.4 0.04 0.1 1 2 0.3 Am-241 0.1 0.05 0.05 0.05 0.1 1 3 0.3 放射性 核種 再使用の ための建 屋 [Bq/cm2] クリアランス 処分のため 取 壊 し の 溶 融 の た め の固体状物 み の た め の 金 属 ス ク 質と液体 の建屋 ラップ [Bq/g] [Bq/cm2] [Bq/g] *)1 トン/年を超える建屋ガラは除外する **)欄(コラム)番号は放射線防護令の表の番号を引用している。放射線防護令のリストには約 300 の放射性核種に対するクリ アランスレベルが示されている。 - 46 - 地 面 (構造物建設部分を除く) 事前調査 カテゴリ 分類 検認測定 ・ ・ ・ ・ 敷地内の認可活動前の汚染の調査 放射能分布 放射性核種混合物 主要核種 ・ ・ カテゴリ 1:クリアランスレベルを超える汚染が存在した、または現存する(全面測定) カテゴリ 2:汚染の可能性がある(汚染の兆候はあるが測定値はクリアランスレベルを 下回っている)(統計的測定) カテゴリ 3:汚染の可能性がない(汚染の兆候がない)(実証測定) ・ 直接測定 試料採取 ・γ線放出核種が存在する場合 ・コリメータの要否を決定 ・コンクリート、アス 法 ファルト等による舗 装表面のみ対象 法 - 47 - 大面積比例計数管に よるβ線表面汚染 測定 原位置γ線 スペクトロメトリ γ線放出物質の比質量放射 能濃度、比表面放射能濃度 ・ホットスポットがないことを確認 ・サンプリングサイズ、サンプル採 取深さ、サンプリング密度の決定 格子エリア内での サンプリング 解放基準※ クリアランスレベル (サイト) 土壌サンプリング 均質化した代表サンプルの 比質量放射能濃度測定 測定結果の統計的分析 表面汚染の全β 比表面放射能濃度 解放判定 No サンプル試料又は代表試料 の核種毎の測定 解放不可 (汚染部分除去、対象見直しによる 再検認を含む) Yes 解 放 ・放射能分布が不均一な場合 ・放射能が地中深く浸透してい る場合 均質化処理後サンプル採取 ※ 解放基準 放射線防護令付録 III 表 1 によるクリアランスレベル サイト: Co-60 0.03Bq/g、Cs-137 0.06Bq/g 等 図4-11 ドイツの地面に対する検認手順 (DIN25457-7:2008 より) 表4-8 主要国のサイト(敷地)解放の規制状況の概要 米国 適用法律、 規則. 認可終了 の条件と手 続き - 48 認可終了 形態 解放の条 件 ドイツ 10CFR,Part20,SubE,10CFR 50 原子力法第 7 条、17b 条、9a 条、放射線防護令等 認可終了の条件は、「§ 50.82(a)(11)(ⅰ)LPT を満足し た形で作業が完了したことの 確認、及び(ⅱ)サイトが解放 する上で適当な状態であるこ との確認」である。 認可終了に関連する指針・ 関連ガイダンス等は、指針 RG1.179、NUREG-1575 Rev.1 ( MARSSIM ) が あ る 。 指 針 RG1.179 では、“原子力発電 炉用 LTP の標準様式とその 内容”を定めている。 次の事項を記載した文書を 提出 ‐廃止措置完了時のサイト の状態の説明 ‐サイトに残っているすべて の構造物とサイトそのものの 表面に対するクリアランスお よび撤去基準、測定方法と測 定結果 ‐無条件解放 ‐制限付解放 ‐部分的解放(敷地や建屋 分離し、該当部分の解放) ‐無条件解放 ‐部分的解放(敷地や建屋 分離し、該当部分の解放) ‐無条件解放(決定シナリオ で 0.25mSv/y を 超 え な い +ALARA) ‐制限付解放(0.25mSv/y を 超えるが、環境に実害を与え ないか、ALARA レベルにある ことの実証、第三者による制 度的管理、制度的管理が消 えても 1mSv/y を超えない等) ‐無条件解放(10μ Sv/y を 基準にした、クリアランスレベ ル) ‐敷地(土壌):附属書Ⅲ、表 1 の 7 欄及びパート E ‐建屋の再使用 ‐無拘束解放基準値の参考 例:Co-60:0.03Bq/g Cs-137:0.06Bq/g フランス 基本原子力施設(INB)デクレ 63-1228、原子力・放射線防護 局通達 SD3-DEM-01 操業者は ANS に廃止措置 (免許終了)申請書を提出し、 原子力安全担当大臣にもその 旨を通知する。 一般的事項のほかに以下の 記載が要求される。 ‐解体撤去後におけるサイト の状況の説明 ‐廃止措置後の所有者の義 務について説明を受けたことを 証明する文書 ‐サイトの将来的な利用につ いて説明する文書 ‐ INB リストからの削除 ‐ INB の一部の指定解除 ‐ INB から「環境保護の理由 で区分する施設」(ICPE)への変 更 ‐廃止措置後のサイトの解放 基準はない。但し、サイト清浄 化作業の目標値(建屋の再利 用)として、α :0.4Bq/cm2、比放 射能 1Bq/g の基準が採用され た こ と が あ る ( RM2/Fonteney aux Rose サ イ ト 、 FBFC/ Pierrelatte サ イ ト 、 Brenillis (0.4Bq/cm2;全核種))。 イギリス 原 子 力 施 設 法 (NII65) 、 電 離 放 射 線 規 則 (IRR99)、放射性物質法(RSA93) サイトの許可解除は「電離放射線の危害が無 い」ことを示し、HSE がその声明を出す。 以下の項目についての証明が必要 i. サイトの規制除外を求める理由。 ⅱ. 土地の履歴と用途について。 ⅲ. 現在または将来、放射能が放射線被ばく に顕著に寄与する場所の特定と、その回復に 対して合理的実現可能な方法の評価。 iv. サイト近隣とバックグラウンドデータの比 較をするため、サイトから採取したサンプルの 放射線サーベイと分析の文書、記録、結果。 v. サイトにおける将来の土地の利用と被ばく 経路に関して保守的な推定に基づいて行った、 許可の解除後の公衆の線量とリスクの評価 ‐全面解放 ‐部分的解放 ‐ RSA93 と IRR99 での定義の免除基準以 下、 ‐英国放射線防護庁(NRPB)の勧告(10-5 相当 0.3mSv/y を超えないこと) ‐ HSE が部分及び全面解放基準を公表(2005 年 8 月)(リスク 10-6) 表4-9 サイト(敷地)解放に関する米、ドイツ、IAEA、日本の規制に関する詳細 比較表 米国 適用法律、 規則.、指 針、基準 線量・リス ク等の基 準 根拠となる 考え方 - 49 関連する 法令・基準 等 ドイツ 連邦規則 10CFRpart20、同 Subpart E, 連邦規則 10CFR50 RG1.179、DG4006、NUREG-1700、NUREG-1727、 NUREG-1575 (MARSSIM4)) 無条件解放(決定シナリオで 0.25mSv/y を超えな い+ALARA) 制限付解放(0.25mSv/y を超えるが、環境に実害 を与えないか、ALARA レベルにあることの実証、 第三者による制度的管理、制度的管理が消えても 1mSv/y を超えない等) 無条件解放(10μ Sv/y を基準にした、クリアランス レベル) ‐敷地(土壌):附属書Ⅲ、表 1 の 7 欄及びパート E ‐建屋の再使用 ‐無拘束解放基準値:(土地) H-3:3Bq/g C-14:0.04 Bq/g Co-60:0.03Bq/g Sr-90:0.002 Bq/g Cs-137:0.06Bq/g ドイツが地面の解放基準のベースを 10μ Sv/y した 根拠は 1998 年 2 月の放射線防護委員会(SSK)勧 告でとりまとめられた報告書「極低レベル放射能を 有する物質、建屋、地面を届出・許認可義務ある 扱いから のクリアラン ス」が基礎 となっ ている 。 SR2271 第 1.1 節 2)に以下の記載がある。 「建屋その他の施設の解体撤去後、又はその除染 後に、原子力法の適用領域からサイトを解放するので あれば、その前に、地面に留まっている残存放射能を 無視できる程度に抑えておかなければならない。…10 μ Sv/y の範囲の線量なら、無視可能なものとみなす ことが可能で、それゆえ最大でもその程度の線量に至 る被ばく源なら、それ以上低減する必要もないという 認識に関しては、既に国際的な合意事項となってい る。」 ただし、クリアランスと同じ線量基準を適用した経緯 については、継続調査中である。 NUREG-1628 の 8.9 章に以下の内容の記載あり。 「国際放射線防護委員会(ICRP)と米国放射線防護 測定審議会(NCRP)の示す放射線被曝に対する容認 できる公衆被ばく量は 100mrem/y である。更に最適化 の原則によって低減する必要性を勧告している。この ため、NRC は、認可終了を許可するサイトの残留放射 能の値として 25mrem/y+ALARA のレベルを採用し た。」 実際には、米国環境保護庁(EPA)は、15mrem (150μ Sv/y)の値を主張したが、汚染がある軍事施 設などを含めた広大な原子力施設の敷地解放を 行うために、(除染などの)経済性を試算し、150μ Sv/y は現実的ではなく、IAEAの線量拘束値も参 考にしつつ、250μ Sv/y が合理的と判断した。ま た、個別の施設において、経済的に合理性がある のであれば、より低い値とすること(ALARA)とし た。なお、これは、環境防護基準(40CFR190 )、低 レベル放射性廃棄物処分場(10CFR 61)の線量基 準等とも同一の値となっている。(次項参照) 10CFR 61:「低レベル放射性廃棄物:放射性廃棄物 の陸地処分のための許認可要件」(1982.12.27) 公 衆 の 年 間 線 量 と し て 全 身 で 25mrem(0.25mSv/y)…を超えてえてはならない。 10CFR40 のウランの粗製錬、10CFR72 の中間貯 蔵施設にも同様の記載有 現在、40CFR190(EPA の環境防護基準)にも同様 の記載有 クリアランスに関する制度は現状なし。 原子力法第 7 条、17b 条、9a 条 放射線防護令等 廃止措置手引書(最新は 2009 年版)8) DIN25457-7:20089) クリアランスについて、原子力法第 9 条第 1 項、 放射線防護令(2001 改正)に基づき、規制を実施し ている。10μ Sv/y の線量基準に基づき、約 300 の 核種に対するクリアランスレベルが定められてい る。 低レベル放射性廃棄物の処分に対しては、ICRP の線量拘束値に相当する線量基準を適用してい る。(300μ Sv/y) IAEA WS-R-5 「放射性物質を用いる施設のデコミッショ ニング」(2006:IAEA 安全要件)5) WS-G-5.1「行為の終了に際しての規制管理からの サイトの解放」(2006:IAEA 安全指針)6) WS-G-2.1「原子力発電所と研究炉のデコミッショニ ング」(1999:IAEA 安全指針)7) WS-G-5.1、2.10 に 「サイトが制限無しで使用される場合、決定グループ の構成員の実効線量が、線量拘束値年 300μ Sv 未満 に保たれる防護の最適化によって確保されるべきで ある。サイトが制限付きで使用される場合、制限を適 切に設けた上で、実効線量が年 300μ Sv の線量拘束 値を超えないようにすべきであり、制限が将来機能し ない場合でも、実効線量が年 1mSv を超えることのな いようにすべきである。」とある。 WS-G-5.1、2..9 に、 「BSS および国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告 にしたがい、線量拘束値は、行為の終了後に人の居 住環境に残留すると予想される放射性残留物による 被ばくに対し、前向きに適用されるべきである。したが って、サイト線量解放規準は、10μ Sv/y のオーダーを 下回る最適化が放射線防護の根拠から是認されない かもしれない事実を考慮して、この拘束値未満での防 護の最適化に基づくべきである。」とある。 RS-G-1.7(2004 年)「規制除外、規制免除及びクリ アランスの概念の適用」: クリアランスレベルを 1010μ Sv/y を踏まえて設定 WS-G-5.1、2.11 に、クリアランスとの関係に関し、 「...クリアランスされた物質は、広範囲の潜在的な 使用に伴って取引されることもあるので、年 10μ Sv の オーダーのクリアランス規準に従うべきである。土地 の規制上の管理からの解放のための線量規準は、最 適化されるべきであり、土地はその場所にとどまり、そ れ故に土地の潜在的な利用についての確実性の程 度は、物質の規制上の管理からの解放後の利用に係 る確実性の程度よりも高いことから、物質のクリアラン スの場合より高くなり得る。...」 日本 原子炉等規制法、第十二条の六第八項 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則 第十九条の十一 二 廃止措置対象施設の敷地に係る土壌及び当 該敷地に残存する施設について放射線による障害の 防止の措置を必要としない状況にあること。 現状、具体的な基準は定められていない。 H16.12.9 原子力施設の廃止措置規制のあり方につ いて:「汚染のおそれのある場合には、廃止措置の終 了後の土地及び残存する施設の利用形態も考慮し て、被ばく管理上問題のない放射能レベルの基準、確 認手法等について、国際機関での検討や諸外国の先 進事例も参考に今後具体的に検討を行う必要があ る。」 今後の検討課題 クリアランスについては、10μ Sv/y の基準に基づ き、核種ごとの濃度を算出している。 放射性固体廃棄物埋設処分及びクリアランスに係 る 放射線 防護に関す る基 本的考 え方 について (2010.1、 放射線審議会基本部会) 我が国における放射性固体廃棄物埋設地の管理期 間終了後における放射線防護に関する基本的考え方 [線量拘束値の具体的な値] ある個人が受ける線量に影響を与える施設(埋設処 分場、原子炉施設等)は限定的であると考えられる。 →我が国でも、1ミリシーベルト/年を担保するため の値として 300 マイクロシーベルト/年を超えない値を 採用することが適切 米国 サイト解放 基準を満 たすため の解放レ ベル決定 評価のシ ナリオ - 50 認可終了 の条件と 手続き 認可終了 形態 ドイツ 線量基準に基づき、事業者は、DCGL(導出濃度ガ イドラインレベル )等を決定する。これは、LTP(認 可終了計画書)に反映され、NRC の認可を受け る。 NRC が認可する認可終了基準を満たす公開コード の代表として DandD コードと RESRAD コードがあ る。 ただし、これに限定するものではない。 これは、サイト固有のソースターム(入力)と組み込 まれた代表的な核種移行モデル及びパラメータを用 いて 10CFR Part20 Subpart E に規定する認可終了基 準を満たす核種濃度を計算するプログラム 被ばく経路例 ・ 定住シナリオ(地面、地下水等) ・ ・工業利用シナリオ ・ ・事務所化シナリオ ・ ・露出スラブシナリオ ・ ・記念品シナリオ 約 300 種の核種について、現実的に起こりうると想 定される被ばく経路を抽出し、それをもとに無制限 利用、工業用途利用に関して 5 つの被ばく経路を 設定した上で、全部で 67 の評価シナリオに分け て、それぞれについて被ばく線量評価を実施 Co-60 の濃度例: ・地面:無条件解放 :0.03Bq/g ・建屋:無条件(継続使用) :0.4Bq/cm2 ・建屋:無条件 (解体) :3Bq/cm2 被ばく経路は以下の通り: ・ 解放サイトの地面表面下数 10cm の表層部からの 外部被ばく ・ 解放サイトの地面からの塵埃飛散による核種の 直接吸入による被ばく ・ 解放サイトの地面からの土壌の直接摂取による 被ばく ・ 解放サイトでの栽培による食物経口摂取による被 ばく ・ 河川水又は地下水の飲料や灌漑による食物、家 畜などの経口摂取による被ばく な お 、 用 いら れ た解 析 コ ー ドは 代 表 的 な 米 国 の RESRAD コードをベースにしてドイツ独自に開発してい る。 認可終了の条件は、「§50.82(a)(11) (ⅰ)LPT を満足した形で作業が完了したことの確 認、及び (ⅱ)サイトが解放する上で適当な状態であることの 確認」である。 認可終了に関連する指針・関連ガイダンス等は、 指針 RG1.179、NUREG-1575 Rev.1(MARSSIM)が ある。指針 RG1.179 では、“原子力発電炉用 LTP の標準様式とその内容”を定めている。 次の事項を記載した文書を提出 ‐廃止措置完了時のサイトの状態の説明 ‐サイトに残っているすべての構造物とサイトそのも のの表面に対するクリアランスおよび撤去基準、測定 方法と測定結果 無条件解放 制限付解放 部分的解放(敷地や建屋分離し、該当部分の解 放) 無条件解放 部分的解放(敷地や建屋を分離し、該当部分の解 放を実施) IAEA とある。 処分関連では、 WS-R-1「放射性廃棄物の浅地中処分」(1999 年)及 び、WS-R-4「放射性廃棄物の地層処分」(2006 年)に 施設の閉鎖後における公衆の線量について、線量拘 束値 300μ Sv/を超えないか、10-5/年オーダーのリス ク拘束値を超えないように設計するべき。とある。 WS-G-5.1、4.12 に、 「ほとんどの状況において、サイトにおける残留放射 性物質によって公衆の構成員が将来影響を受ける数 多くの可能性のあるシナリオが生じるであろう。シナリ オは、合理的な一連のサイトの潜在的な使用に関連 する人の活動として規定されるべきである。シナリオ は、潜在的な土地の使用並びにサイトの将来の使用 と展開に関連する人の活動について、十分な説明を 提供すべきであり、それには、産業活動、宅地居住、 農業生産、レクリエーションのための使用が含まれる かもしれない。」とある。 TECDOC-1118 に以下の記述がある。 ・汚染源は大気飛散、土壌浸透、地下水移動及び生 息する動植物を介してサイト内及びサイト周辺に拡散 し、作業従事者や将来にわたって生命活動を営む人 間にさまざまな被ばくを与える。環境影響評価を行な うに際して被ばく経路と被ばくシナリオを想定しうる限 りモデル化し、公衆に対する被ばく量が修復基準を満 たすか否かを推定 ・代表的なシナリオ: -定住シナリオ:サイト内に定住し、農耕生活を行 い、生産物による食生活を営むケース -地下水シナリオ:サイト内で地下水をくみ上げて飲 料水として使用する。定住シナリオとの組合せも想定 するケース -娯楽活動シナリオ:サイト内でのリクリエーション 活動や発掘活動を想定するケース WS-G-5.1、5.12 に、 「サイトにおける浄化活動の完了後に、事業者は、 解放規準が満たされていることを実証する最終サー ベイ報告書を規制当局に提出すべきである。」 また、WS-G-5.1、522 に、 「サイト解放の目的が、規制当局が納得するまで達 成されていれば、規制当局は、サイトを規制上の管理 から解放するという決定を、事業者、他の適格な関連 機関および利害関係者に対して正式に告知すべきで ある。」とある。 サイトの制限無しの使用(WS-G-5.1、5.14) 制限付解放(WS-G-5.1、5.16) 部分的解放(WS-G-5.1、1.3) 日本 今後の検討課題 今後の検討課題 今後の検討課題 米国 検認方法 と手順 - 51 - MARSSIM(NUREG-1575 Rev.1)に従い検認を実施 a.事前サーベイ ・事前サーベイでは、サイト解放の可否を最終的に 判断する最終状況サーベイの計画に必要な情報収集 及び汚染レベルによるエリアのクラス分類を段階的に 実施 ・事前サーベイは、サイト履歴調査、スコーピングサ ーベイ、特性評価サーベイ及び修復活動サーベイか ら構成 ①サイト履歴調査 サイトの使用前及び運転時の汚染履歴の調査を行 い、以下を実施 ・スコーピングサーベイと特性評価サーベイの計画 に必要な情報を収集 ・履歴調査の結果から放射能の影響を受けてないエ リアをサイトから区分 ②スコーピングサーベイ サイト履歴調査が不十分なエリアに対して追加調査 を行い、以下を実施: ・特性評価サーベイの計画に必要な情報を収集 ・代表的な測定結果から残存放射能濃度のばらつき を評価すると共にエリアのクラス分類を行い以下のと おり分類: ⅰ.汚染が発見されなかったエリアをクラス 3 に分類 ⅱ.汚染が発見されないか又は汚染のないことの確 認が不十分なエリアをクラス 3 以外に分類 ③特性評価サーベイ クラス 3 以外に分類されたエリアに対して汚染の可 能性のあるエリアの走査測定、残存放射能濃度の高 いエリアの直接測定又は試料採取を行い、以下に分 類: ・導出核種濃度ガイドライン(DCGL)を超えるもの:ク ラス 1 ・DCGL を超えないもの:クラス 2 汚染の特性、範囲の評価、修復技術の検討、最終 状況サーベイの計画に必要な情報収集を実施 ④修復活動支援サーベイ クラス 1(場合によってはクラス 2)のエリアを修復(除 染)した後、修復箇所周辺で走査測定と直接測定を 行い、DCGL との比較により除染効果、最終状況サ ーベイの実施可否を判断する。また、最終状況サー ベイの計画に用いる最新(修復後)の情報(核種濃 度のばらつき、放射能の高い小エリアの可能性)を 収集 b.最終状況サーベイ 最終状況サーベイでは、事前サーベイによりクラス 分類されたエリアに対して、残存放射能濃度の測定を 行い、基本評価領域(サーベイユニット)ごとにサイト解 放可否の判断を行う ドイツ 2001 放射線防護令 29 条のクリアランスレベルを DIN25457-7:2008 に従い検認 a. 適用範囲 本規格は、放射線防護令 29 条の適用を受ける原 子力施設の地面、すなわち敷地内の、構造物が建設 されていない地面の解放のための測定に適用され る。 本規格は、介入の一環として行われる放射能の測 定に対しては適用されない。本規格は原子力施設の 運転から生じた放射線学的に見て相当量の放射能が 地下水層に浸透しているような施設エリアに対しては 適用されない。 b. 事前調査 原子力施設の地面解放を実施するに先立って、敷 地内の認可活動前の汚染の調査、放射能分布。放射 性核種混合物の調査、 主要核種の特定を実施する。 c.カテゴリー分類 以下のカテゴリに分類し、検認測定の手順に反映す る。 カテゴリ 1:クリアランスレベルを超える汚染が存在し た、または現存する カテゴリ 2:汚染の可能性がある(汚染の兆候はある が測定値はクリアランスレベルを下回っている) カテゴリ 3:汚染の可能性がない(汚染の兆候がな い) d. 検認測定 直接測定の場合、γ 線放出物質のみであれば、原 位置γ 線スペクトロメトリにより、γ 線放出物質の核種 毎測定を行う。 コンクリート、アスファルト等による舗装表面のみであ れば、大面積比例計数管によるβ 線表面汚染測定を 行う。 また、試料採取が必要な場合には、サンプリングサ イズ、サンプル採取深さ、サンプリング密度の決定を 行い、格子エリア内で、サンプリング均質化した代表 試料の測定を行い、測定結果の統計的分析を行う。 また、放射能分布が不均一な場合、放射能が地中 深く浸透している場合、土壌サンプリングとして、削取 り物質又は代表試料の核種毎の測定を実施する。 この結果、解放基準(放射線防護令付録 III 表 1 によ る ク リ ア ラ ン ス レ ベ ル 、 例 え ば Co-60 0.03Bq/g 、 Cs-137 0.06Bq/g)を満たせば、無条件クリアランスレ ベル(サイト)を満たせば解放されるが、条件を満たさ ず、解放不可であれば、汚染部分除去、対象見直しに よる再検認等が実施される。 IAEA WS-G-5.1、5.12 に、 「サイトにおける浄化活動の完了後に、事業者は、 解放規準が満たされていることを実証する最終サー ベイ報告書を規制当局に提出すべきである。」 とあるが、詳細な測定・評価方法は指針には記載さ れていない。 日本 国内では、明確な検認方法や手順は定められてい ない。 以下、参考として、JPDR での事例を示す 管理区域の解除に当っては、施設管理者、区域放 射線管理者及び規制当局(科学技術庁)の順で実施 (1)検認方法 a.施設管理者による確認 施設管理者による確認は、建屋コンクリートの撤去 作業を終了後に管理区域内の全表面(約 23,800m2) を、表面汚染計を用いた直接サーベイ法と代表点か ら採取した試料を Ge 半導体検出器で測定する試料採 取法の両方で実施 ①直接サーベイ法 ・測定作業は、JIS Z 4504 及び放射性表面汚染の 「測定・評価マニュアル」*5 に基づいて実施 ・JPDR の主要な汚染核種が Co-60 であること、また 測定対象面積が膨大であることを考慮して、β 線に対 応し、かつ、検出窓面積の大きな測定器を使用 ②試料採取法 直接サーベイ法による確認測定の後、直接サーベイ 時に埋設配管などの影響でバックグラウンド係数率の 高かった地点においてコンクリート試料を採取して Ge 半導体検出器-波高分析器により汚染のないことの 確認を実施 b.区域放射線管理者による確認 区域放射線管理は、施設管理者が行った汚染評価 の結果と除染終了後の確認測定データを解析し、測 定対象場所に適した測定計画を立案 確認測定は、その測定計画を基に直接サーベイ法 を中心にスミヤ法及び試料採取法の 3 方法を併用 米国 - 52 - 平均化手 法 核種組成 の取り扱 い c.確認サーベイ 事業者が実施した最終状況サーベイの結果に対し て、解放基準を満たすことの妥当性を評価するため、 NRC による確認サーベイを行う。 NRC の検査手引書 (Inspection Procedure 83801)に よると、サイト解放に対する規制当局の役割は、以下 のとおりである。 ・LTP に従って、最終状況サーベイが実施されたか どうかを書類確認する。 ・解放基準を満たすレベルまで除染が行われている ことを確認するためのサーベイを実施する。 検査手引書には、検査要件、検査項目及び最終状 況サーベイプログラムに対するチェックリストが含まれ る。 MARSSIM によれば、サーベイ単位 ごとに汚染の判断を実施するが、クラス分類、被ば く経路モデルの前提条件、サイト固有の条件に基 づいて、寸法を制限する必要があるとされている。 例えば、以下のサーベイ単位が推奨されてい る。 クラス 1(修復以前に DCGLW を超える残存放射 能濃度を持つ影響を受けたエリア 敷地エリア 面 積 2,000 m2 まで クラス 2(DCGLW を超えるとは予想されない残存 放射能濃度を持つ影響を受けたエリア) 敷地エリア 2,000 ~ 10,000 m2 クラス 3(残留放射能を有するエリアを含んでい る可能性の低い影響を受けたエリア) 敷地エリア 無制限 クラス別に必要な測定点数が定められる。これ らのすべての測定値が DCGLW 未満であれば、サ ーベイ単位は解放基準を満足しており、平均値が DCGLW より大きければサーベイ単位は解放基準を 満足していない。ただし、DCGLW より大きい測定値 があり、平均値が DCGLW よりも小さい場合には、 符合検定と高測定点比較を実施するとされてい る。 MARSSIM には、複数の汚染物が存在するサイトで も、代替測定を使用すれば、汚染物の 1 つだけを 測定して、サイトに存在するすべての汚染物につ いての適合を証明することができるとある。また、 現場でのサーベイ機器を使って測定できない放射 性核種が含まれる場合には、表面物質の実験室 分析が必要とされている。さらに一貫性のある比 率を決定する必要があるが、データのばらつきとレ ベルの不確かさを考慮する必要があるとされてい る。 ドイツ IAEA 日本 2001 放射線防護令附則Ⅳ第E部:地面のクリアラ ンスに、「表面汚染を測定するための平均面積を 100 ㎡ 以 下 と す る 。 」 と あ る 。 ま た 、 DIN25457-7:2008 によれば、平均化面積の範囲 で、多数の測定点が得られた際には、統計的に標 準偏差の4倍を超えるものが有る場合あるいは平 均値の 95 パーセンタイル値がクリアランス値を上 回る場合は、除染するか、地面領域の再区分を行 って判断することとなる。 特に言及無し 今後の検討課題 DIN25457-7:2008 によれば、検認測 定に重要な放射性核種混合物は、出所(放射性生 成物または核分裂生成物)、物理的または化学的 性質に応じて主要核種を尐なくとも 1 つは見つけ るようにし、各放射性核種の放射能は、主要核種 の放射能に各放射性核種に対する換算係数を掛 けることにより得られる。 また、換算係数は、放射性核種混合物の代表 サンプルを調べて明らかにした、主要核種の全放 射能に対する全放射能の組成比率より求める。 (Nuclide Vector 法) 特に言及無し 今後の検討課題 米国 ベースライ ンンサー ベイにつ いて - 53 - 規制当局 の検認に 対する役 割と確認 測定実施 機関 ドイツ MARSSIM に「現場及び実験室における適切な測 定技術により、バックグラウンドとして存在する放 射性核種のレベルと分布、残存汚染のレベルと分 布に関して科学的に説明あるいは、弁明できるサ イト特性データを取得すること。」とあり、測定・評 価上、考慮することとなっている。 また、同書に、「バックグラウンド参照エリアは、調 査するサーベイ単位と物理的、化学的、放射線学 的、そして生物学的に類似な特徴を持ち、サイト放 射能によって汚染されなかった(すなわち、影響を 受けていない)エリアとして定義される。」 MARSSIM には「最終状況サーベイの計画には、規 制機関との間で、確認または検証サーベイのため の実務作業に関して、初期に話し合う作業を含め る必要がある。確認サーベイ(独立した検証サーベ イとも呼ばれる)は、管轄規制機関が実施すること も、独立した第三者が実施することもあり(規制機 関との契約などによる)、この調査によって最終状 況サーベイの結果を裏付けるためのデータを提供 する。」とある。 実際の確認サーベイは、ORISE 等別の機関に委 託 している。 認可書に定められた解除の基準、試料採取・測定 方法などが遵守されていることを検査 記録文書を審査し、事業者の専門能力などを審査 当局による放射線測定の実施、測定結果を確認 実際の確認サーベイは、一部 TUV 等、別の機関に 委託して実施している。 原子力法第 7 条に定義されている施設及びその 一部の廃止、安全密閉及び解体撤去の手引書 (2009 年 6 月 26 日)に 「地面のクリアランスの場合、敷地の施設が原因で 起きた汚染のみを考慮すべきである。天然の放射性 核種、核兵器の試験やチェルノブイル事故から生じた 放射性降下物は、クリアランスにおいて考慮すべきで ない(たとえば、施設環境に匹敵するエリアでの測定 に基づいて)。」とある。 IAEA WS-G-5.1、2.6 に、 「この線量拘束値は、複数の被ばく経路を考慮に入 れるべきであり、バックグラウンドから年 300μ Sv を超 えるべきではない。」とある。 WS-G-5.1、2.7 に、 「施設サイトにおけるバックグラウンド放射線のレベ ルを定義づけるために、放射線学的条件の情報入手 を含むサイトのベースラインサーベイが実施されるこ とを確保すべきである。…ベースラインサーベイが実 施されなかった既存の施設については、この目的のた めに、類似の、擾乱されていない似た特性を持つ地域 からのデータが用いられるべきである。」とある。 WS-G-5.1、5.21 に、 「規制当局は、規制上の管理からの解放が考慮され るサイトの検査を実施すべきである。これには、浄化 およびモニタリング手順のレビュー、マネジメントシス テムのレビュー、サイトの解放規準の遵守に関する独 立したモニタリングおよび解析、あるいはサイトにおけ る制限の実施のレビューが含まれることになる。」とあ る。 日本 今後の検討課題 (JPDR の事例) 規制当局による確認 施設管理者及び区域放射線管理者による JPDR 施 設内部の確認測定が終了した後、管理区域の変更を 行なうため、規制当局による確認を実施 規制当局は、施設管理者が作成した書類確認を行 なった後、施設内部の現場確認を実施 ①確認書類 ・使用履歴に関する書類 ・汚染測定に関する書類 ・除染に関する書類 ・確認測定に関する書類 ②現場確認 ・目視による確認 ・直接サーベイ(合計 35 点)、試料採取法(Ge 半導体 測定器を用いた測定) 主要参考文献: 1) 平成 19 年度及び平成 20 年度、廃止措置に関する調査報告書、独立行政法人原子力安全基盤機構 2) 平成 17 年度及び平成 18 年度、発電用原子炉廃止措置基準化調査、独立行政法人日本原子力研究開発機構 3) 平成 18 年 3 月及び平成 19 年 3 月、原子力施設のサイト解放に関する安全基準等の調査、(財)原子力研究バックエンド推進センター 4) 国防総省(DOD)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)、原子力規制委員会(NRC), Multi-Agency Radiation Survey and Site Investigation Manual (MARSSIM) NUREG-1575, Rev.1 5) WS-R-5 ”Decommissioning of Facilities using Radioactive Material”、「放射性物質を用いる施設のデコミッショニング」(2006:IAEA 安全要件) 6) WS-G-5.1 “Release of Sites from Regulatory Control on Termination of Practices”、「行為の終了に際しての規制管理からのサイトの解放」( 2006:IAEA 安全指針) 7) WS-G-2.1“Decommissioning of Nuclear Power Plants and Research Reactors”、「原子力発電所と研究炉のデコミッショニング(1999:IAEA 安全指針) 8) ドイツ、原子力法第 7 条に定義されている施設及びその一部の廃止、安全密閉及び解体撤去の手引書(2009 年 6 月 26 日) 9) ドイツ、DIN25457-7:2008 放射性廃棄物と原子力機器を解放する際の放射能測定方法 第 7 部 地面 参考資料-5 終了確認に必要とされる作成すべき記録の検討例 No. 1 2 - 54 - 3 4 作成すべき記 録 排気筒からの 放出放射能の 記録(ダストモ ニタ、ガスモニ タ) 事故等による 環境放出等 気象記録 事故等による 建屋内の汚染 省令等の記録事項 省令等の記録すべき場合 と保存期間 記録すべき場合:一日間 の平均濃度にあつては 毎日一回、三月間の平 均濃度にあつては三月 ごとに一回 保存期間:10 年間 現状の作成状況 (媒体、処理、報告等) 媒体:紙(報告書、チャ ート) 処理:計算機処理 報告等:国等へ報告 原子炉施設等の事故記録 (事故の発生及び復旧の 日時、事故の状況及び事 故に際して採つた処置、 事故の原因、事故後の処 置) 気象記録(風向及び風速、 降雤量、大気温度) 記録すべき場合:その都 度 保存期間:終了確認まで 媒体:紙(事故・故障に 対する報告書) 処理:― 報告等:国等へ報告 記録すべき場合:連続し て 保存期間:10 年間 媒体:紙(チャート、報 告書) 処理:一部計算機処理 報告等:自治体へ報告 放射性物質による汚染の 広がりの防止及び除去を 行つた場合には、その状 況及び担当者の氏名 記録すべき場合:広がり の防止及び除去の都度 保存期間:1年間 媒体:紙(報告書(除染 作業実施記録等) ) 処理:― 報告等:国等へ報告 放射性廃棄物の排気口又 は排気監視設備及び排水 口又は排水監視設備にお ける放射性物質の一日間 及び三月間についての平 均濃度 現状の保存状況、保存期 間、廃棄状況 保存状況:紙媒体(報告書、 チャート) 保存期間:10 年間 廃棄状況 :保存期間経過 後、廃棄(一部事業者で は、永久保存又は現時点 で廃棄していない) 保存状況:紙媒体(事故・ 故障に対する報告書) 保存期間:終了確認まで 廃棄状況:- 保存状況:紙媒体(チャー ト、報告書) 保存期間:10 年間 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄される。(一部 事業者では、永久保存又 は現時点で廃棄してい ない) 保存状況:紙媒体(報告書 (除染作業実施記録 等) ) 保存期間:1 年間(5 年間、 10 年間の事業者あり、 2.に関するものを除く) 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄される。 記録の重要度(大中小)と その根拠 小 排気筒からの放出実績は 有意なものではなく、ま た、広い範囲に拡散する ため、敷地の汚染には寄 与しない 大 事故における放出記録等 は、サイト汚染の推定の ため重要な記録である。 中 1の理由で、平常時の記 録の必要性は小さいが、 事故時の記録は残してお く必要がある。 大 事故・事象における汚染 記録は、サイト汚染の評 価のため重要な記録であ る。 No. 5 - 55 - 6 7 作成すべき記 録 運転時の必要 な記録 解体時の記録 解体時の作業 箇所周辺の建 屋内の環境測 定記録、汚染調 査の結果 省令等の記録事項 省令等の記録すべき場合 と保存期間 (運転時の諸記録) 【巡視点検記録】 例:原子炉施設の保守管 記録すべき場合: 理記録(巡視点検記録等) 運転時:1日1回 その他:運転記録、定期 廃止措置時:1週1回 検査や改造作業など諸作 保存期間:巡視又は点検 業時の放射線管理記録 を実施した施設又は 設備を廃棄した後5 年間 【管理区域内における線 量当量率、空気中放射性 物質濃度、表面密度の定 期放射線測定記録】 頻度:1週1回 保存期間:10 年間 現状の作成状況 現状の保存状況、保存期 (媒体、処理、報告等) 間、廃棄状況 媒体:紙(巡視点検記録) 保存状況:紙媒体 処理:― 保存期間:巡視又は点検を 報告等:特になし。 実施した施設又は設備 を廃棄した後5年間 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄される。 ※平成15年の実用炉則 改正後、上記保存期間で 運用 媒体:紙 保存状況:紙媒体 処理:― 保存期間:10 年間 報告等:特になし。 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄される。(一部 事業者では、現時点で廃 棄していない) 記録の重要度(大中小)と その根拠 廃止措置に係る工事の方 法、時期及び対象となる 原子炉施設の設備の名称 記録すべき場合:廃止措 置計画に記載された工 事の各工程の終了の都 度 保存期間:終了確認まで (東海発電所、浜岡発電 所、ふげんのみ) 媒体:紙 処理:- 報告等:特になし (東海発電所、浜岡発電 所、ふげんのみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認まで 廃棄状況:― 大 なし なし (東海発電所、ふげんの み) 媒体:紙(測定結果工事 開始前、工事完了後 の工事場所の線量当 量率・表面汚染密度 測定結果) 処理:- 報告等:特になし (東海発電所、ふげんの み) 保存状況:紙媒体 保存期間:5年間 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄される。 中 中 上記の事故・事象に関連 する記録として、あるい は、作業時の作業環境の 汚染状況を推定するため に必要。 中 作業時の作業環境の汚染 状況を推定するために必 要。 作業時の作業環境の汚染 状況を推定するために必 要。 上記の事故・事象に関連 する記録として、あるい は、作業時の作業環境の 汚染状況を推定するため に必要。 No. 8 9 - 56 - 10 11 作成すべき記 録 解体物の汚染 省令等の記録事項 工事の対象となる原子炉 施設の設備のうち管理区 域内の設備から当該工事 に伴い生じる物の表面に おける放射性物質の密度 及び当該物に含まれる放 射性物質の数量の測定結 果、測定方法、測定日及 び測定をした者の氏名 省令等の記録すべき場合 と保存期間 記録すべき場合:測定の 都度 保存期間:終了確認まで 現状の作成状況 (媒体、処理、報告等) (東海発電所のみ) 媒体:紙(NR念のため の測定記録) 処理:- 報告等:特になし 現状の保存状況、保存期 間、廃棄状況 (東海発電所のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認まで 廃棄状況:― 記録の重要度(大中小)と その根拠 中 作業時の作業環境の汚染 状況を推定するために必 要。 環境モニタリ ングデータ(線 量率、ダストモ ニタ、ガスモニ タ) (モニタリング指針によ り、線量率、ダスト等の 測定の他、環境試料の測 定が実施される。 ) 空間放射線について連続 媒体:紙(チャート、四 測定、緊急時には強化。 半期報、年報等) 保存期間:指針に規定は 処理:― ない 報告等:自治体へ報告 保存状況:紙媒体(チャー ト、四半期報、年報等)) 保存期間:(各社毎設定: 5年間、10 年間、永久) 廃棄状況: (各社で異なる) 中 解体物の履歴、 追跡管理に関 する記録 放射性廃棄物を容器に封 入し、又は容器に固型化 した場合には、その方法 (その他、廃棄確認にお いては、放射能濃度等を 示すための履歴記録が必 要) 記録すべき場合:封入又 は固型化の都度 保存期間:終了確認まで 廃棄確認時に必要 (東海発電所、ふげんの み) 媒体:紙(固体廃棄物保 存報告書) 処理:― 報告等:特になし (東海発電所、ふげんの み) 保存状況:紙媒体 保存期間:終了確認まで 廃棄状況:― 大 クリアランス に関する記録 工場又は事業所において 用いた資材その他の物に 含まれる放射性物質の放 射能濃度について法第六 十一条の二第一項の規定 に基づく確認を受けよう とするものの記録 記録すべき場合:基本的 にその都度保存期間: 工場又は事業所から搬 出された後 10 年間 (東海発電所のみ) 媒体:紙(放射能濃度確 認対象物及び評価報 告書) 処理:― 報告等:特になし (東海発電所のみ) 保存状況:紙媒体 保存期間:搬出された後 10 年間 廃棄状況:これまでに廃棄 したことはない。 小 特に土壌の測定記録につ いては、ベースラインサ ーベイデータの一つとし て利用可能。 廃止措置の終了確認の基 準(実用炉則第19条の 十一第1項第三号)に係 るもの。廃棄確認時の記 録としても必要。 終了確認の基準三号に係 るが、既に検認が終了し ており、クリアランスの 制度の中で運用。 No. 12 作成すべき記 録 使用済燃料の 譲渡しに関す る記録、追跡管 理に関する記 録 省令等の記録事項 使用済燃料の種類別の払 出量、その取出しから払 出しまでの期間及びその 放射能の量 省令等の記録すべき場合 と保存期間 記録すべき場合:払出し の都度 保存期間:10 年間 現状の作成状況 (媒体、処理、報告等) 媒体:紙(計量管理記録) 処理:- 報告等:払出の都度、国 へ報告 現状の保存状況、保存期 間、廃棄状況 保存状況:紙媒体 保存期間:10 年間 廃棄状況:保存期間が過ぎ れば廃棄又(一部事業者 では、永久保存又は現時 点で廃棄していない) (一部事業者のみ) 環境モニタリングとし て、操業前、操業後 のサイトの土壌、指 標植物(松葉)、降下 物に関する放射能濃 度を測定。 媒体:紙(環境放射線モ ニタリング月報) 処理:― 報告:自治体へ報告 媒体:紙(四半期報、年 報等) 処理:― 報告等:自治体へ報告 (一部事業者のみ) 中 保存状況:環境放射線モニ ベースラインサーベイデ タリング月報は、燃料装 ータとして利用可能。 荷の 2 年前より保存。 保存期間:10 年間 廃棄状況: (各社で異なる) ベースライン サーベイ等に 関する記録 ― ― 14 (その他の記 ― 録) 環境放射能測 定データ 放水口沖の海 洋水、環境空気 中ダスト・トリ チウム等、環境 試料(海産物、 松葉等植物等) 放射能測定 ― - 57 - 13 記録の重要度(大中小)と その根拠 大 廃止措置の終了確認の基 準(実用炉則第19条の 十一第1項第一号)に係 るもの。尐なくとも、廃 止措置計画認可時点から の移動確認が必要。 保存状況:紙媒体(四半期 中 報、年報等)) 環境放射能データは汚染 保存期間:(各社毎設定: が拡散していないことの 5年間、10 年間、永久) 傍証となる。 廃棄状況: (各社で異なる)