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12 1 食事姿勢のポイントⅠ(リクライニング車いすの場合) 介護の知識
12 食事姿勢のポイントⅠ(リクライニング車イスの場合) わたしたちのやりたいケア 介護の知識 50 食事姿勢のポイントⅠ(リクライニング車いすの場合) 介護の知識 施設の重度化に伴い、リクライニング式車いすを使用される入居 者が増えています。 リクライニング式車いすを使用される利用者が食事をするとき の正しい姿勢のポイントについて紹介します。 1 リクライニング式車いすの使用が適している方の状態 いす(車イス)ではなく、リクライニング式車イスで食事をとった 方がいいかどうかを考えるのは、次のようなときです。 ① 頭を支えることができない場合 ② 身体がそりかえり、頭も同様にそりかえり、あごを引いた食事姿 勢がとれない場合 ③ 頭を支えようとすると首に強い力が入ってしまい、飲み込みが難 しくなる場合 ④ 離床すると本人の状態が悪くなるくらい体力が落ちているとき 1 2 リクライニング式車いすでの姿勢保持のポイント リクライニング式車いすでの食事ケアの第一歩も、正しい姿勢の保 持です。 ① 背抜きをする リクライニング式車いすやベッド上での姿勢保持で忘れてはいけ ないのが「背抜き」です。 背抜きと一言で言っても「褥瘡予防の背抜き」と「食事の背抜きで は、ケアは同じですがポイントが違います。 背抜きとは、背中とリクライニング車イスの背もたれの圧を抜くこ とです。 食事の際の背抜きは、お腹が圧迫されて苦しくなり食事がとりづら くならないようにすることがポイントです。 背抜きの方法については、 『褥瘡予防』の回でお伝えします。 全国高齢者ケア研究会 12 食事姿勢のポイントⅠ(リクライニング車イスの場合) 【背中に手を入れ少し体を浮かす】 【お尻の除圧も行う】 ② リクライニングを倒す角度は30度まで 【リクライニング角度30度】 【リクライニング角度80度】 身体の後側へのそりがある人、頭を支えるのが難しい人などの場 合、背もたれの角度が高いと、姿勢が安定しないことがあります。背 もたれを倒して姿勢を安定させる場合、背もたれは左の写真のように 30度くらいまで倒しても大丈夫なことがあります。 ※30度が基本ではありません。 2 80度から30度までのあいだで、本人が最も食べやすい角度を 探してください。 最初は、80度から初め少しずつ角度を下げていってください。 ③ あごを引いた状態にする。角度は握りこぶし1個くらい。 あごが上がった状態だと、物を飲み込むための筋肉を動かしづらい です。天井を見てあごをのばした状態でつばを飲み込んでみるとよく わかります。多くの人がかなり飲み込みづらいはずです。 あごを引いてつばを飲み込んでみると、飲み込みやすいことがわか ります。あごを引いた状態にするために頭の後ろに枕やクッションを 入れ、調整します。 全国高齢者ケア研究会 12 食事姿勢のポイントⅠ(リクライニング車イスの場合) ④ 麻痺側の方に枕等をあて、健側をやや下にし軽く側臥位をとる。 ① ② 麻痺がある方の場合、麻痺側の頬に食べ物がたまりやすくなりま す。健側を下側にすることで、咀嚼・嚥下をしやすくし、食べ物がた まることを防ぎます。 また、介助者が健側から介助をすることで、入居者の食事への集中 力が高まります。 麻痺側に枕やクッション等を入れる場合、①の肩の後ろだけに枕等 を入れると体がねじれた状態になり食べづらい姿勢になります。②の 腰からおしりにかけて、クッション等を入れると体全体が横を向きね じれた姿勢は解消できます。 ⑤ 首のはりを確認する 食事姿勢の最後は首のはりを確認してください。 3 首の筋肉の張りを見ながら調整することが大切になります。首の緊 張があると嚥下し難くなります。 その方に合った角度を首の筋肉のはりで調整してください。 【首のはりを確認】 耳から5cmほど下に手をあててください。写真の赤丸で囲んだあ たりです。手をあてた状態で顔を上に向けたり、下に向けたりすると 首の筋肉が緩んだり、張ったりする感覚がわかります。自分の首で試 すとよくわかります。座っているときとベッドで横になったときとを 比べてみると、横になったときの方が首の筋肉が緩むこともわかりま す。 施設内研修では、スタッフ同士で横になったり斜めになったりし て、上や下を向いた状態での首のはりを確認し合うと、理解が深まり ます。 全国高齢者ケア研究会