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資料集 別添3(PDF形式:2316KB)
第 3-8 図
62 の戦略重点科学技術
26
第3-9図
第3期科学技術基本計画
選択と集中の考え方
出典:第53回総合科学技術会議資料
戦略重点科学技術に係る予算については、平成 18 年度以降、予算額及び政策課題対応
型研究開発に占める割合とも一貫して増加しており、戦略重点科学技術への重点化が進
展していると言える(第 3-2 表)。
年度(平成)
第 3-2 表 戦略重点科学技術の重点化の進展
戦略重点科学技術
政策課題対応型研究開発
に係る予算 (A)
に係る予算 (B)
(A)/(B)
18
2,850億円
17,761億円
16%
19
3,873億円
16,998億円
23%
20
4,419億円
17,312億円
26%
21
4,677億円
16,870億円
28%
出典:内閣府資料をもとに経済産業省作成
27
(3)政府研究開発投資に係る国際比較
我が国の政府研究開発投資を購買力平価換算して国際比較すると、米国の約 5 分の 1、EU
の 3 分の 1 以下の水準にある(第 3-10 図)
。
第 3-10 図 各国における政府研究開発投資額(2007 年)
(10億ドル、購買力平価換算)
160
140
120
100
80
60
40
20
0
備考:EU27、英国及びスウェーデンは 2006 年のデータ
出典:「Main Science and Technology Indicators 2008/1」(OECD)、「World
Economic Outlook Database」(IMF)から経済産業省作成
これを経済規模と比較するために GDP 比率で見ると、
我が国は 0.68%と低い水準にある。
他方で、米国は 1.02%と高い水準にある(第 3-11 図)
。
第 3-11 図 各国における政府研究開発投資の GDP 比率(2007 年)
(%)
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
備考:EU27、英国及びスウェーデンは 2006 年のデータ
出典:「Main Science and Technology Indicators 2008/1」(OECD)、「World
Economic Outlook Database」(IMF)から経済産業省作成
28
各国における産学官の研究開発投資比率を見ると、我が国は韓国と並び、企業等による研
究開発投資が多い。他方、欧州各国では大学等による研究開発投資の割合が比較的高い。中
国や台湾では、公的研究機関による研究開発投資の割合が比較的高い(第 3-12 図)
。こうし
た各国における研究開発投資の産学官の比率の違いは、それぞれの国のイノベーションシス
テムの違いを反映しているものと考えられる。
第 3-12 図 各国における産学官の研究開発投資比率(2006 年)
出典:「Main Science and Technology Indicators 2008/1」
(OECD)から経済産業省作成
29
(コラム)学術論文・特許のベンチマーキング
●学術論文のベンチマーキング
主要国の論文を、マクロデータを用いて質と生産性の観点から比較する。
論文の質については、論文発表件数あたりの被引用論文数を指標とする。また、論文
の生産性は、その国全体の研究開発活動全体に占める論文作成への傾注度を表すものと
し、研究開発費あたりの論文発表件数を指標とする。
我が国は論文の質・論文生産性ともに欧米と比べると低く、これらのマクロデータか
らは、我が国の研究開発活動における論文への取り組みに課題があると言える。
欧米各国の中では、米国・英国が論文の質において優位性を示している、また、中国・
英国は論文生産性が高い(第 3-13 図)。
第 3-13 図 主要国における論文の質と生産性の関係(試算)
論
文
の
質
出典:*1
*2
*3
*4
THOMSON ESSENTIAL SCIENCE INDICATOR
THOMSON NATIONAL SCIENCE INDICATOR を基に科学技術政策研究所が再編
IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASE 2008
OECD MAIN SCIENCE AND TECHNOLOGY INDICATORS 2008
30
1998∼2002 年と比較した 2003∼2007 年の被引用数の割合は、日本・米国・英国・ド
イツ・フランスにおいて全体的に減少した。これは、中国・韓国等、日米欧以外の国の
科学技術水準の向上が背景にある(第 3-14 図)。
第 3-14 図 主要 16 分野合計の被引用件数の国別割合
1998‐2002 ‐0.8%
‐3.7%
‐1.6%
+2.7%
日本
米国
英国
ドイツ
フランス
中国
韓国
その他
+3.4%
2003‐2007 0%
20%
40%
60%
80%
100%
出典:Thomson Essential Science Indicators から産業技術総合研究所作成
日米欧を比較すると、それぞれの分野における優位性が差別化されることが見受けら
れる(第 3-15 図)。我が国においては、材料科学、化学、物理といった分野において論
文が引用される割合が高い。米国は逆の傾向を示し、材料科学等の被引用割合が小さい
ものの、ライフサイエンス分野で高いシェアを示しつつ、その他の分野においても満遍
なく高い割合をキープしている。英国も米国と同様、相対的に材料分野の被引用割合が
小さい一方、宇宙科学が最も高くなっている。ドイツは物理や宇宙科学・地球科学にお
ける被引用割合が比較的高く、フランスでは特に数学での割合が高いことが特徴である。
中国・韓国は我が国と同様の傾向を示し、ナノテク・材料分野、特に材料科学におい
て論文の被引用率が高い。また中国・韓国においては、近年、材料科学において着実に
論文の割合を増加させており、日本を急速に追随していることに注意が必要である。
なお、1998∼2002 年と 2003∼2007 年との比較において、我が国では材料科学におい
て割合の減少が大きい。一方、免疫学・地球科学の分野においては被引用割合が増加し
ている。
31
第 3-15 図 分野別被引用数の比率の変化
日本
1998-2002
情報通信分野
コンピュー
12.4
タ
米国
2003-2007
工学
物理
数学
情報通信分野
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
6.2
宇宙科学
地球科学
環 境分野
1998-2002
環 境分野
分子生物
学・遺伝学
臨床医療
化学
薬理学・毒
物学
0.0
生物学・生
化学
環境
分子生物
学・遺伝学
微生物学
免疫学
臨床医療
免疫学
脳科学
脳科学
ライ フサイエンス分野
ライ フサイエンス分野
英国
1998-2002
情報通信分野
コンピュー
11.6
タ
ドイツ
2003-2007
物理
情報通信分野
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
5.8
地球科学
環 境分野
1998-2002
工学
数学
宇宙科学
環 境分野
分子生物
学・遺伝学
微生物学
臨床医療
物理
化学
薬理学・毒
物学
0.0
生物学・生
化学
環境
分子生物
学・遺伝学
微生物学
免疫学
臨床医療
免疫学
脳科学
脳科学
ライ フサイエンス分野
ライ フサイエンス分野
フランス
情報通信分野
コンピュー
タ
中国
2003-2007
物理
数学
地球科学
環 境分野
情報通信分野
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
4.5
宇宙科学
1998-2002
工学
9.0
地球科学
生物学・生
化学
環境
環 境分野
分子生物
学・遺伝学
微生物学
工学
物理
化学
薬理学・毒
物学
0.0
生物学・生
化学
環境
分子生物
学・遺伝学
微生物学
免疫学
臨床医療
脳科学
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
5.5
宇宙科学
薬理学・毒
物学
0.0
コンピュー
11.0
タ
2003-2007
数学
化学
臨床医療
ナ ノ テク・材料分野
5.3
地球科学
生物学・生
化学
環境
工学
材料科学
宇宙科学
薬理学・毒
物学
0.0
コンピュー
10.6
タ
2003-2007
数学
化学
1998-2002
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
地球科学
生物学・生
化学
微生物学
物理
22.7
宇宙科学
薬理学・毒
物学
環境
工学
数学
化学
0.0
コンピュー
45.4
タ
2003-2007
免疫学
脳科学
ライ フサイエンス分野
ライ フサイエンス分野
次ページに続く
32
韓国
1998-2002
情報通信分野
コンピュー
タ
2003-2007
工学
4.6
物理
数学
2.3
宇宙科学
地球科学
環 境分野
ナ ノ テク・材料分野
材料科学
化学
薬理学・毒
物学
0.0
生物学・生
化学
環境
分子生物
学・遺伝学
微生物学
臨床医療
免疫学
脳科学
ライ フサイエンス分野
出典:Thomson Essential Science Indicators から産業技術総合研究所作成
●特許のベンチマーキング
主要国の特許を、マクロデータを用いて収益性と生産性の観点から比較する。
特許の収益性は、その国全体でどれだけ特許が経済活動に貢献したかを表すものとし、
特許件数あたりの GDP を指標とする。また、特許の生産性は、その国全体の研究開発活
動全体に占める特許獲得への傾注度を表すものとし、研究開発費あたりの特許件数を指
標とする。
我が国においては、特許生産性は比較的高いものの、特許収益性は低い。これらのマ
クロデータからは、我が国は特許の獲得には熱心であるものの、それが必ずしも収益に
結び付いていないことがうかがえる。
欧米各国の中では、英国の特許収益性が高い。また特許生産性は、韓国・ドイツが高
い(第 3-16 図)。
米国における特許公開件数の国籍別割合を 8 分野の観点で俯瞰すると、我が国におい
ては、情報通信分野において 25%と最も多くのシェアを占めている。このほか社会基盤、
エネルギー、環境、ナノ・材料、ものづくりの各分野においても欧州・中国・韓国と比
べて高いシェアを維持しているが(第 3-17 図)、これとは対象的に、ライフサイエンス、
フロンティアの分野においては、我が国のシェアは 10%以下と極端に低い。
33
第 3-16 図 主要国における特許の収益性と生産性の関係(試算)
出典:*1 IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASE 2008
*2 OECD MAIN SCIENCE AND TECHNOLOGY INDICATORS 2008
第 3-17 図 米国における 8 分野関連技術の特許公開件数
(2006 年 9 月∼2007 年 8 月)
フロンティア
社会基盤
ライフサイエンス
30%
25%
20%
15%
10%
5%
0%
ものづくり
情報通信
ナノテクノロジー・
材料
環境
エネルギー
日本国籍
欧州国籍
中国籍
韓国籍
出典:「平成 19 年度重点 8 分野の特許出願状況調査報告書」(特許庁)より経済産業省作成
34
4.8分野に関する産業技術の観点からのレビュー
(1)ライフサイエンス分野
1)選択と集中・差別化戦略の重要性
ライフサイエンス分野における民間企業による研究開発投資を国際比較すると、欧州には
世界五指に入るメガファーマが存在するものの、米国企業の存在が際立っている。このこと
は、政府研究開発投資でも同様であり、例えば米国では日本の 6 倍以上の投資を行ってきて
いるように、米国一国が大きな存在感を有している。
第 4-1 図
主なヘルスケア関連企業 ※ に関する研究開発投資額・企業数の各国比較
※研究開発投資トップ 1000 企業(全世界)のうち、ヘルスケア関連企業 159 社を対象に作成。
※下記出典のうち、以下の分類に属する企業を「ヘルスケア関連産業」とした。
・BIOTECHNOLOGY (47 社)
・FOOD & DRUG RETAILERS (4 社)
・HEALTH CARE EQUIPMENT & SERVICES (36 社)
・PHARMACEUTICALS (72 社)
出典:European Commission The 2008 EU Industrial R&D Investment Scoreboard より経済産業省作成
第 4-2 図
日米のライフサイエンス政府支出研究費の推移
35
企業単位でみた場合、我が国企業の研究開発投資は、欧米と比べると規模で劣る。製
薬企業については、我が国最大の製薬企業である武田薬品工業ですら研究開発投資額が世界
で 15 位であるように、研究開発費・売上高ともに欧米のメガファーマとの規模の格差が顕
著である。
このような状況下、売上高は必ずしも多くないが、医薬品の世界売上ランキング 50 位以内
に日本オリジンの医薬品が 9 品目入っており、差別化された領域での強みがうかがわれる。
第 4-3 図
全世界・日本の製薬会社トップ 5 社の比較
出典:European Commission The 2008 EU Industrial R&D Investment Scoreboard より経済産業省作成
第 4-1 表
世界の医薬品売上ランキング上位 50 品目に占める日本オリジンの医薬品
日本オリジンの医薬品
出典:ユート・ブレーン
ニュースリリースより経済産業省作成
36
一方医療機器についてみると、治療機器では米国企業が、診断機器では欧州企業が市
場の上位を占めており、国内企業では、東芝メディカルシステムズ(13 位)、オリンパス
(19 位)、テルモ(25 位)が上位となるが、製薬企業と同様、世界トップ企業との規模
の格差は大きい。
ただし内視鏡については、日本固有の精密加工技術、光学技術、電子デバイス技術の
強みを存分に発揮して、日本企業がグローバルマーケットをリードしている。
第 4-4 図
治療・診断機器メーカーの医療部門での売上
主な診断機器メーカーの医療部門での売上(2006年)
0
20
40
60
80
100
120
140
GE
Siemens
Philips
東芝メディカル
オリンパス
出典:”Medical Device Industry Report 2007”, Espicom Business Intelligence をもとに三
菱化学テクノリサーチ作成
第 4-5 図
内視鏡における日米欧の市場構造
出典:平成 17 年度特許出願技術動向調査「内視鏡」(特許庁)
37
(億ドル)
160
180
このように官民共に欧米に比し、研究開発投資・売上高ともに規模の格差が大きい状
況下では、得意分野に選択と集中及び差別化を図って厳しい国際競争に勝ち残る戦略、
すなわち「カテゴリー集中戦略」が重要となってくる。
第 4-6 図
我が国企業による「カテゴリー集中戦略」
出典:アステラス製薬株式会社
代表取締役会長
竹中氏作成資料より
このことは、特許について見ても、分野によって強み弱みがはっきりしていることか
ら同様の考察が可能である。注目技術について、その米国への出願総数に占める日本国
籍の出願人の割合をこの 10 年で見ると、X 線 CT や超音波診断などの医療機器(診断機
器)においては日本の割合が高く、3 割近くを占める分野もある。また、機能性成分を高
含有する食品の割合も高い。
一方、創薬や再生医療の分野は総じて弱く、ワクチン、抗体作成技術、幹細胞・前駆
細胞の分化誘導技術などは 5%程度しかない。しかし、直近 5 年間と、それ以前の 5 年間
の比較においては、ほとんどの領域で日本国籍の出願割合が増加しており、グローバル
な研究開発を強化し、世界市場に挑んでいる日本企業の姿がうかがえる。特に医療機器
分野での伸びが大きくなっている。
38
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