...

經濟學研究 58巻2号

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

經濟學研究 58巻2号
經濟學研究
58巻2号(2008.9) 要旨
内田 和男(Kazuo Uchida)
消費者物価長期低下傾向の構造的要因 ―経済のグローバル化とサービス化―
= The Structural Factors in the Downward Trend of the Consumers’ Price
―The global economy and the service economy― ( 1 - 10 p )
本稿では, 1973年以降における日本の消費者物価上昇率の長期趨勢的下落傾向, とりわけ
1995年以降のデフレ現象の構造的要因について分析している。分析モ デルはケインズ『貨
幣論』の第一基本方程式に基ついており, モデルの推定結果によれば, 貨幣賃金の変動と「マク
ロ的」マーク・アップ率の変動が消費者物価の下方変動の説明要因として統計的に有意であるこ
とが示される。推定結果から我々は, 1995年 以降のデフレ現象が経済のグローバル化によ
る賃金の伸び悩みと, 経済のサービス化(ポール・クルーグマンが云う所の世界経済のローカル
化)に起因していることを読み取ることが出来る。
小島 廣光(Hiromitsu Kojima)
・畑山 紀 (Toshi Hatayama)・大原 昌明 (Masaaki Ohara) ・
樽見 弘紀 (Hironori Tarumi)・平本 健太 (Kenta Hiramoto)
NPO〃政府〃企業間の戦略的協働 ―北海道NPOバンク―
= Strategic Multi-SectorCollaborations
―Case of Hokkaido NPO Bank― ( 11 - 44 p )
本研究は〃NPO〃政府〃企業という3つの異なるセクターに属する組織間の戦略的意図
にもとづく協働(以下「戦略的協働」もしくは「協働」と略記)のプロセスを解明することを目
的としている。
21 世紀のNPO〃政府〃企業は〃それぞれ独自のマネジメントを行いつつも〃新しい社会的
価値の創造を目指し〃戦略的協働を積極的に展開することになった。しかし〃戦略的協働のため
の具体的な方法は〃いまだ試行錯誤の段階にあり〃解明されていない。
NPO〃政府〃企業間の戦略的協働に関しては〃小島他(2008)において 20 の命題が既に析
出されている。本稿では〃北海道NPOバンクの協働プロジェクトの詳細な事例研究にもとづき〃
戦略的協働の前史〃形成〃実現〃展開の 4 つの過程を分析し〃既出の命題の妥当性を検討する。
岡部
洋實 (Hiromi Okabe)
資本主義における自立の論理と不均衡(2)―利潤率の均等化をめぐって―
= The Capitalistic Logic of Self- Sustainment and the Disequilibrium (2)
―On equalization of rates of profit― ( 45 - 56 p )
1
利潤率均等化と価値の生産価格への転化は, 原理的には、価値法則の現実的な貫徹の仕方であ
ると理解される。しかし, マルクスや宇野弘蔵の概念構成からみると, それらは、資本支出と商
品価値の構成要素に関する資本家的な日常意識の表現でしかない。なぜなら, 諸資本は利潤率だ
けを指針に運動するのであり, 資本の有機的構成や回転期間という生産条件の本質的な相違は,
分析者の関心事に留まるからである。資本家にとって各生産部門は, 最大限の利潤率を実現しう
るか否かの意義しかないものであり, その意味で資本家的競争とそれによる均衡は, 資本家社会
的な顛倒意識の産物であることになる。
そうであれば, 利潤率をめぐる資本の競争が齎す需給関係には, 資本家社会的な偏倚があるこ
とになる。資本家的観念として成立する競争的均衡と社会的な実体編成との不断のずれは, 価格
変動と諸資本の部門間移動とを齎し, 資本家的観念は、生産価格という顛倒した均衡価格概念を
齎す。かくして「転形問題」の焦点は, この顛倒した均衡価格と実体編成との関係, それと資本
主義の自立性との関係にあることになるのである。
(未完)
園 信太郎 (Shintaro Sono)
サヴェジ基礎論における期待値作用素について
= On the Expectation Operator in Leonard Jimmie Savage’s Foundations ( 57 - 61 p )
D. V. Lindley 教授は, 1974 年に, A. Tversky らの議論について, ある苦言を呈している。
この苦言を読解することとした。
谷口 勇仁 (Eugene Taniguchi)
高信頼性組織(HRO)研究に内在するジレンマ
= A Dilemma in High Reliability Organization Studies ( 61 - 70 p )
企業が引き起こす事故を防止する研究(企業事故研究)は〃様々な分野において展開されてい
る。近年注目されている経営学分野のアプローチに〃高信頼性組織(HRO; High Reliability
Organization)研究が存在する。本稿は〃社会学を中心として行われてきた従来の企業事故研
究との比較を基に〃高信頼性組織研究の特徴を明らかにし〃企業事故研究における位置づけを行
う。その上で〃高信頼性組織研究を批判的に検討し〃高信頼性組織研究に内在するジレンマにつ
いて明らかにする。
佐野 浩一郎 (Kou-ichiro Sano)
不平等と経済成長
=Inequality and Economic Growth ( 71 - 78 p )
この論文では, 不平等が経済成長にあたえる影響を分析する。90 年代以降, 内生的成長理論が
発展する過程で経済成長と不平等の関係を扱う研究が多数発表された。それらの研究は, 伝統的
な開発経済学における見解とは逆に, 不平等であるほど経済成長率は低くなる, というインプリ
ケーションを持っていた。 しかし, この逆相関関係は決定的な支持を得られているとは言い難
い。理論的にも実証的にも逆の結論を持つ研究が存在するからである。さらに, 不平等と経済成
長の間には非線型的な関係があることを示唆する研究も存在する。そこで, この論文では不平等
と経済成長の間の逆 U 字型の関係を理論的に導出することを試みる。
基礎となる研究は Alesina
2
and Rodrik (1994) である。彼らのモデルでは, 生産要素として財政支出を考慮しており, その
財政支出の水準は多数決投票によって決定される。不平等度が高まるほど, 中位投票者の選好す
る税率が高まり, 成長率が低くなる。このモデルを拡張し, 財政支出に外部効果があることを想
定すると, 投票者が財政支出の生産性向上効果を過小評価することになり, 結果として不平等と
成長率の間に逆 U 字型の関係が生じる事になる。
多田
和美
(Kazumi Tada)
海外子会社の製品開発に関する研究 ―日本コカ・コーラ社の事例を中心に―
= Global Product Development Activities in Subsidiary
―A case study of Coca-Cola (Japan)― ( 79 - 106 p )
本稿は〃日本コカ・コーラ社の事例を通して〃海外子会社の製品開発活動の進展プロセスを解
明することを目的としている。具体的には〃海外子会社の役割進化モデル(Birkinshaw and
Hood〃1998)を出発点として〃海外子会社の製品開発活動が他国向け製品も開発する段階に進
展するまでのプロセスの実証研究を行っている。
日本コカ・コーラ社は〃コカ・コーラグループの海外子会社のなかでも世界各国で活用される
製品を最も数多く自主開発している〃すなわち最も製品開発活動が進展している海外子会社であ
る。事例分析の結果〃同社の製品開発活動は①本国親会社の役割指定〃②海外子会社の選択〃③
現地環境などの要因が影響していることが明らかになった。さらに〃海外子会社の自律性と本国
親会社と海外子会社間の関係強化という多国籍企業内部の要因も重要となることが明らかにな
った。
これらの発見事実は〃近年活発化している海外での製品開発活動に重要な示唆を含んでいると
考えられる。
田中 嘉浩
(Yoshihiro Tanaka)
<研究ノート> Farkas の補題に関する話題
=<NOTE> On Farkas’s Lemma ( 107 - 112 p )
20世紀初頭に導出された Farkas の補題は多くの類似の結果が知られている二者択一の定
理の端緒となる重要な結果であり〃Kuhn and Tucker が非線形計画の最適性の必要条件を導出
するのに用いて脚光を浴びたが〃線形計画の双対定理の証明〃金融分野で裁定(arbitrage)が存在
しない条件(無裁定条件)を導出する目的等にも二者択一の定理が使われる。
本稿では類似の多くの結果が知られている二者択一の定理について〃それらの関係を調べ〃そ
の代表的な結果である Farkas の補題の導出についての最近の結果を示す。
相原
基大
(Motohiro Aihara) ・ 秋庭
太
(Futoshi Akiba)
産業集積における技術イノベーションの実現プロセス
―鯖江眼鏡枠産地のフィールド調査を通した予備的考察―
= A Note on the Innovation Process in an Industrial District
―The case of an eyewear district in Japan― ( 113 - 130 p )
3
本稿の目的は〃鯖江眼鏡枠産地にて実施したフィールド調査のデー タにもとづいて〃産業集
積において技術イノベーションが実現される過程に関する特徴を析出し〃今後の調査分析の予備
的な知見を得ることにある。
フィールド調査の対象は〃眼鏡枠メーカー6社〃部品メーカー3
社〃眼鏡枠企画卸業者3社〃業界組合1組織〃行政1組織〃業界専 門誌出版社1社の計 15 サ
イトである。収集されたデータは「絶えざる 比較法」によって分析された。具体的には〃テキ
スト化されたデー タを切片化した後〃コードマトリクスなどの作成を通してデータの 切片を相
互に比較し〃概念カテゴリーおよび概念間の相互関係に関 する仮説の導出をおこなった。なお〃
本稿での分析で中心的に用いられたのは〃特徴的な加工技術の開発を経験したことのある眼鏡枠
メーカー2社および企画卸業者1社で得られたデータであり〃他のデータは補完的に用いられ
た。
分析の結果〃開発に着手する背景〃加工技術の開発過程における加 工専門業者との関係〃開
発成果の流出入の3点に関して〃いくつか興味ある発見事実を得た。
4
Fly UP