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iPhone アプリを内製で開発、 すべての外勤社員が利用して業務を効率化

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iPhone アプリを内製で開発、 すべての外勤社員が利用して業務を効率化
ITpro 掲載ユーザー事例
日本パレットレンタル
iPhone アプリを内製で開発、
すべての外勤社員が利用して業務を効率化
写真 1
日本パレットレンタルの岡部利文取締役マーケティング
本部長(右)と黒岩暁情報本部情報システム部 IT サービ
ス課係長(左)
どの情報も営業上必須となる。
しかし、JPR のセキュリティポリシーでは、顧客情報
を社外に持ち出せないことになっている。従来は、営
業担当者が外出先で顧客情報が必要になった場合に
は、事業所に電話をかけて社内に常駐するアシスタン
トに確認してもらっていた。
営業担当者にとって、多様な情報を電話で確認する
のは手間がかかったし、アシスタントも電話問い合わせ
に忙殺されてしまっていた。新規開発した iPhone アプ
リケーションはこの状況を改善し、業務効率の向上を
目指す(写真 3)。
一方、決済申請の承認・否認機能では、管理職が外
出していても事務処理が停滞しないようにすることを目
指す。
物流用パレットのレンタル事業を手掛ける日本パレットレンタル
(JPR)は 2010 年 8 月、iPhone 向け業務アプリケーションの
稼働を開始した。同社では今年 1 月から、営業担当者を中心と
した外勤社員と管理職の合計 153 人に iPhone 3GS を配布して
いた。この iPhone を活用して、新たに開発した業務アプリケー
ションを利用。
「業務スピードの向上を狙う」
(岡部利文取締役マー
ケティング本部長、写真 1)
。
新しい業務アプリケーションは大きく二つの機能を持つ(写真
2)
。一つは、顧客の名称や所在地、連絡先、顧客ごとの契約内
容を外出先で検索・閲覧できる営業担当者向けの機能。もう一
つは、iPhone 上で決済申請を確認して承認・
否認できる管理職向けの機能である。
JPR では、顧客の状況に応じて契約を変更する。例
えば、販促キャンペーンなどで配送する商品の数量が増えれば、貸し
出すパレットの数を追加する必要が出てくる。顧客の取引先が増えた
場合には、配送ルートを変更して、運賃を再計算する。
契約内容の変更時には、営業担当者が新たな契約内容を管理職に
申請し、承認を得なければならない。iPhone 向け業務アプリケーショ
ンでは、営業担当者による申請、管理職による承認をどこからでも実
施できるようにした(写真 4)
。従来も電子申請システムはあったが、
パソコンで利用するシステムであったため、管理職が帰社するまで承
認できなかった。営業部門の管理職は外出が多く、事務処理が滞る
ことも少なくなかった。
アプリケーションは社内に常駐する協力会
社の社員 2 人と共同開発した。アプリケー
ション開発を主導した黒岩暁 情報本部情報
システム部 IT サービス課係長は、「柔軟に順
次バージョンアップするため、あえて内製を
選択した」という。iPhone 向けアプリケー
ションの 開 発 言 語である「Objective-C」
での開発経験はなかったが、
「アップルへの
申請や開発ノウハウの習得を含めても、4 カ
月で開発できた」(黒岩係長)としている。
無駄な時間 を削る
新たに開発した業務アプリケーションが持
つ顧客情報の閲覧機能では、顧客情報を確
認する手間の削減を狙う。同社の営業担当
者が扱う顧客情報は多岐にわたる。顧客の
名称や住所に加え、パレットのサイズと数量、
配送ルート、運賃単価、顧客の取引先名な
写真 2
8月に稼働を開始した業務ア
プリケーションのトップ画面
写真 3
ユーザー契約内容の画面
写真 4
承認ポータルの画面
メールでは早くも効果出る
同社がiPhoneを導入したそもそものきっかけは、外出の多い社
員が社外でメールや予定表、アドレス帳を確認するためだ。2009
年夏に試用を開始し、今年1月に正式導入に至った。岡部本部長
は、
「社内会議を招集するメールに対し、社員のレスポンスが速く
なったという実感がある」
と iPhone効果 の手応えを語る。
メール、予定表の閲覧には、iPhone が標準機能として搭載す
る「Exchange ActiveSync」を利用する。Exchange ActiveSync
は社 内に設 置したマイクロソフトのグル ープウエアサーバー
「Exchange Server」と、iPhone 標準搭載のメーラー、予定
表をリアルタイムに同期する機能だ。
JPR では iPhone 導入以前からグループウエアに Exchange
Server 2003 を利用していた。そのため、追加投資なしにメール、
予定表の同期を導入できた。
iPhoneを導入する前は、一般の携帯電話でExchange Server
と同期できる携帯アプリケーションを利用していた。また、希望す
る社員にはノートパソコンを支給していた。携帯電話でメールを閲
覧する仕組みでは「容量の大きな添付ファイルを開けないし、添付
ファイルが開けても画面が小さくて見づらかった」
(岡部本部長)
。
一方、ノートパソコンは持ち歩きが負担になる点と、起動に時間
がかかる点がネックになっていた。加えて、情報システム部門では
「パソコンはセキュリティ対策や紛失対策が難しく、管理が大変」
(黒岩係長)という悩みを抱えていた。岡部本部長は「iPhoneはバ
ランスのいい大きさと機能」と評価する。黒岩係長は「ノートパソコ
ンに比べると圧倒的に管理が楽になった」
という。
遠隔ロックでセキュリティを守る
業務情報を社外で閲覧可能にするには、やはりセキュリティ対策が
必須になる。JPR では、大きく三つの方法でセキュリティを確保して
いる。
一つは、社内システムにアクセスする際には、IPsec による VPN(仮
想 閉 域 網)で リ モ ート 接 続 を す る こと。二 つ め は、Exchange
Server と iPhone の連携によってリモートロック、リモート消去の機
能を利用することだ。iPhone の紛失時に実行して情報漏えいを防ぐ。
三つめは、iPhone をスリープから復帰させる時にパスワードの入力を
必要にしたことだ。パスワードの入力を一定回数以上誤ると、自動的
に iPhone 内部のデータを消去する。
これらの機能の実装では、セキュリティを保ちつつも、運用の煩雑
化を避ける工夫をした。例えば、「利用者に VPN を使っていると意識
させないようにした」(黒岩係長)。メーラーや業務アプリケーション
の起動時に、iPhone 内に格納した電子証明書で自動的に VPN 接続
する。エンドユーザーは VPN 接続していることを意識しなくていい。
こうした仕様にしたのは、ノートパソコンを使った VPN 接続で運用
に苦労した経験があるからだ。VPN 接続の際には IC カードとパスワー
ドで認証することにしていたが、「『IC カードを無くした』『パスワード
を忘れた』といった電話が業務時間外にかかってくるなど、サポート
が大変だった」(黒岩係長)
。
iPad の導入も検討中
今後は、iPhone 向け業務アプリケーションを逐次改良していく計画
だ。岡部本部長は「顧客情報の閲覧機能に、顧客の所在地を地図上
にプロットする機能を追加する」という。
iPad の導入もテスト中だ。「iPhone は細かい情報を表示させるには
画面が小さい」(岡部本部長)ため、役員向けに 5 台の導入を検討し
ている。加えて、営業担当者のプレゼンテーションに iPad を利用す
ることも検討していくという。
(白井 良=ITpro)
2010/8/20
出典 :「ITpro」(日経 BP 社)
日経 BP 社 「ITpro」の許可を得て複製しております。
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