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ドイツ - 独立行政法人 労働政策研究・研修機構|労働政策研究・研修機構

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ドイツ - 独立行政法人 労働政策研究・研修機構|労働政策研究・研修機構
ドイツ
パートタイム労働の法制度
ドイツ
川田 知子(中央学院大学講師)
目 次
はじめに
I
3
高齢者パート就労促進法
4
連邦育児手当法におけるパートタイム労働
おわりに
パート労働・有期労働契約法の制定過程とその背景
1
1985年就業促進法とその効果
2
法制定の背景
3
法制定の経緯
はじめに
II パート労働・有期労働契約法の枠組み
1
パートタイム労働者の定義
2
差別的取り扱いおよび不利益取り扱いの禁止規定
3
パートタイム労働の促進
4
労働時間の延長
現する重要な手段として位置づけられている。また、企
5
募集、欠員に関する情報提供
業の労働時間編成における柔軟化への要望を実現させ
6
職業教育および継続職業教育
る手段として、他方で労働者の様々な理由による短時間
7
解雇禁止
労働の希望を実現させる労働形態として、特に、家族的
III 労働時間短縮請求権と裁判例の動向
1
労働時間の短縮請求権
(1)要件
(2)労働時間の短縮を妨げる「経営上の理由」
(3)労働時間短縮の擬制的効果
(4)再請求までの期間
2
労働時間の短縮請求権をめぐる判例の動向
(1)ArbG Möchengladbach-Ca1l57/01,
Urt. v. 30. 5. 2001, NZA2001, 970.
(2)ArbG Stuttgart, Urt. 5. 7. 2001,
21Ca2762/01
(3)ArbG Nürnberg, Urt. v. 23. 1. 2001
近年、ドイツにおけるパートタイム労働は、失業問題を
背景とする雇用の創出・維持とワークシェアリングを実
責任を有する労働者の職業生活と家庭生活を調和さ
せ、あるいは、高齢者の職業生活から引退生活への円
滑な移行を実現させるなど、労働者の多様な要求と課
題を解決する有効な手段として機能することが期待され
ている。このような多様な期待にこたえるべく、ドイツで
は2000年12月21日に「パートタイム労働および有期労働契
約に関する規定を定め並びに労働法の規定を改正しお
よび廃止するための法律」
(Gesetz über Teilzeitarbeit und
befristete Arbeitsverträge und zur Änderung und
Aufhebung arbeitsrechtlicher Bestimmungen。以下、
「パー
ト労働・有期労働契約法」という)1)を制定し、2001年1
Ca603/01
(4)ArbG Freiburg, Urt. v. 4. 9. 2001-7Ca
143/01
IV 特殊なパートタイム労働形態の法規制
月1日から施行されるに至っている。ドイツにおけるパー
トタイム労働に関する立法は、1985年就業促進法にさか
のぼるが、今回のパート労働・有期労働契約法は、パー
1
ジョブシェアリング(Arbeitsplatzteilung)
トタイム労働と有期労働に関する包括的な規制に関する
2
呼び出し労働(Arbeit auf Abruf)
法律であり、85年就業促進法の内容を大幅に拡充した
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
21
パートタイム労働の法制度
ドイツ
ものであると同時に 2)、パートタイム労働の枠組み協定
トタイム労働や特殊な雇用形態(ジョブシェアリングや呼
に関する97年12月15日のEU理事会指令(97/81/EG)3)及
び出し労働)
を承認するとともに、パートタイム労働者の
び有期労働契約に関する99年6月28日のEU理事会指令
平等取り扱いを明確に規定することによって、これら縁
(99/70/EG)4)を国内法に転換したものである。
辺労働者(Randbelegschaft)の雇用を拡大させようとする
パート労働・有期労働契約法の主な特徴は、1パート
ものであった。具体的に、同法は、パートタイム労働者
タイム労働者および有期雇用労働者に対する差別並び
の定義(2条2項)
を定めたうえで、その労働条件につい
に同法における権利の行使を理由とする不利益取り扱
ては、1客観的な理由のない差別の禁止(2条1項)、2
いを禁止すること、2パートタイム労働者の請求権(労働
労働時間の変更を希望する労働者への情報提供義務(3
者による労働時間の短縮請求権)
を認めたこと、3使用
条)、3特殊なパートタイム労働形態(呼び出し労働およ
者に対してパートタイム労働および有期雇用の職場に関
びジョブシェアリング)の法規制(4条、5条)、4本法規定
する情報提供を義務づけたこと、4パートタイム労働者
に対する労働協約の優位
(6条)
について規定していた5)。
および有期雇用労働者に職業教育訓練および継続職業
同法制定以降のパートタイム労働者の推移を見てみる
訓練に参加する機会を与えたこと等である。
と、パートタイム労働で働く者は1985年には約285万人
そこで、本稿においては、パートタイム労働・有期労
(全就業者2218万人に占める割合は13.0%)、91年には
働契約法の制定過程とその背景(I)、パートタイム労働・
約474万人(同3389万人、18.5%)、2000年には約650万
有期労働契約法の枠組み(II)、労働時間短縮請求権と
人(同3264万人、19.8%)
と、徐々に増加する傾向にある。
裁判例の動向(III)、特殊なパートタイム労働形態の法規
もっとも、ヨーロッパの他の国々と比較してみると、オラ
制(IV)
について、順に検討することとしたい。
ンダ38.7%、イギリス24.9%、スウェーデン23.2%、デン
なお、パート労働・有期労働契約法はその名称のとお
マーク22.3%となっており、ドイツのパートタイム労働比率
り、パートタイム労働と有期労働契約について包括的に
は、ヨーロッパ全体の水準から見るとそれほど高くない
規制する法律であるが、本稿ではパートタイム労働に関
ことが分かる。
する規定に限定して論じることにする。
2
I
パート労働・有期労働契約法の制定過程
とその背景
法制定の背景
このような就業促進法を廃止し、今回新たにパート労
働・有期労働契約法を制定するに至った背景には、次
のような事情があった。
1
1985年就業促進法とその効果
第一に、近年、失業率が高止まりを続けるドイツにお
ドイツにおいて初めてパートタイム労働を一般的・法
いて、この持続的な雇用保障を維持するためにも、雇用
的に規定したのは、1985年就業促進法である。同法は、
政策上有効な手段としてパートタイム労働(個別的労働
CDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)、FDP(自由民
時間短縮)の拡大によるワークシェアリングが将来的に必
主党)の連立政権が労働法分野での規制緩和として最初
要不可欠な雇用形態であるとして追求されるようになっ
に手がけたものであり、失業対策の一環としての雇用・
てきた点である。
就業促進対策を主眼として制定されたものである。その
第二に、連邦政府議事録において、
「非差別的なパー
ため、有期雇用契約や派遣労働の要件を緩和し、パー
トタイム労働は、事実上の男女同権の実現にとって不可
22 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
パートタイム労働の法制度
欠な条件である」と指摘されているように、もともと家庭
責任を担う女性のための労働形態として発展してきた
3
パートタイム労働を、安価な不安定雇用としてではなく、
法制定の経緯
連邦政府法案は、連邦参議院に送付されたのち連邦
フルタイム労働者との平等取り扱いやフルタイム労働へ
議会に提出され、2000年6月26日に第一読会が行われて
の転換を促進することによって、その積極的な活用を促
労働社会委員会に付託された。同委員会は、野党であ
進しようとしている点にある。連邦雇用庁のマイクロセ
るCDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)が提出した法
ンサスによると、現在ドイツにおける女性のパートタイム
案および同じくFDP(自由民主党)が提出した法案と合わ
労働者は87%である。パートタイム労働者の多くは家庭
せて審査を行い、11月15日に、政府案を修正のうえ採択
的な理由からパートタイム就労を選択している。また、
し、2つの野党案を却下するよう勧告する委員会報告書
パートタイム労働の選択理由として、余暇の時間を企業
を提出した。同委員会は、以下のような修正法案を提示
外での職業教育訓練や資格取得、さらに生涯学習に利
している。この間、11月8日には労働社会委員会の公聴会
用するなど個人的な理由も多く挙げられているように、
が開催された。
「生活形態の個人化」がパートタイム労働やフレックスタイ
連邦議会本会議は11月16日、委員会で修正された政
ム制などの自由な労働時間形成を労働者に選好させて
府提出法案を可決し、12月21日に制定、同月28日に公布
いる点である。このように、パートタイム労働は、男女の
されたものである。
平等の機会や職業と家庭責任の調和を促進するのみな
らず、労働者の多様な生活設計を可能にするものとして、
II パート労働・有期労働契約法の枠組み
これまで以上に強力に促進されなければならない。そ
の意味で、パート労働・有期労働契約法の最も重要なポ
パート労働・有期労働契約法は、主として、EUのパー
イントは、個人のライフスタイルに対応した労働時間決定を
トタイム労働指令および有期労働指令の準則を国内法化
労働者の権利として認めたところにあるといえるだろう。
するという目的をもって制定されたものであるため、同法
第三に、前述した1985年就業促進法1条1項から4項
はこの2つの指令の目指す方向をそのまま受け入れたも
の有効期限が2000年12月31日であることと、97年12月15
のとなっている。パート労働・有期労働契約法のパート
日パートタイム労働指令(97/81/EG)および99年6月28日
タイム労働に関する規定部分とEU指令を対比してみる
有期労働指令(99/70/EG)
によって、加盟国は2年以内に
と、1パートタイム労働者の定義(パートタイム労働指令3
本指令を国内法で実施するための措置をとるよう要請
条)、2パートタイム労働者に対する差別禁止・保護(同4
されていた点である
(前者は2000年12月20日にすでに転
条)、3パートタイム労働に関する情報提供(同5条3項(c)
換期間を経過しており、後者は2001年7月20日に転換期
(d)
(e))、4労働時間の短縮(同5条3項(a))、5労働時
日を迎えることになっていた)。そのため、立法者は非
間の延長(同5条3項(b)
(c))、6職業教育および継続職
常に切羽詰まった状態に追い込まれており、短期間に
業教育(同5条3項(d))、7 解雇の禁止(同5条2項)
と
激しくまた感情的に行われた議論の末に法案が成立し、
なっている。以下、順に見ていくこととする。
また、立法過程の最終段階のほんのわずかな期間に、
労働社会委員会による法案修正が行われることとなっ
たのである。
1
パートタイム労働者の定義
1985年就業促進法では、
「 パートタイム労働者とは、週
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
23
パートタイム労働の法制度
ドイツ
の通常の労働時間が当該事業所内の比較されうるフル
約、または適当な団体協約がない場合には、国内法、
タイム労働者の週の通常の労働時間より短い労働者をい
団体協約または慣行を参考にすることができる」
(第3条
う。ただし、週の通常の労働者が約定されていない場
3項)
と規定している。また、ILOの「パートタイム労働に
合には、年間の労働時間を1週当たりに平均した通常の
関する175号条約」および「同182号勧告」においても、
労働時間を基準にする」
(第2条2項)
と規定されているた
「同一の事業所、または当該事業所に比較可能なフルタ
め、その事業所内に比較の対象となるフルタイム労働者
イム労働者がいない場合は同一企業、または同一企業
がいない場合には、この規定は適用されないことになっ
にそれがいない場合は同一産業部門(the same branch of
ていた(もっとも、学説のなかには、このような場合にも
activity)
に雇用されている」者を比較可能な労働者とし
パートタイム労働に関する法規定の適用を可能にするた
ている
(条約1条(c))。このように、パート労働・有期労
めに、特別に「一般に見られる通常の労働時間」という
働契約法におけるパートタイム労働者は、EU指令および
比較基準を設けることを提案するものもあった)。
ILO条約の流れに沿って定義づけられたものと位置づけ
これに対して、パート労働・有期労働契約法が適用対
ることができる。産業における横断的労働市場が確立
象としているのは、
「通常の週労働時間が、比較対象と
している国にとって有益な規定ではあるが、このような
なるフルタイム労働者の週労働時間より短い労働者」で
前提が存在しないわが国では、他の国には見られない
あり、通常の週労働時間が定められていない場合には、
「擬似パート」も含めてパートタイム労働を定義づける規
最高1年までの雇用期間を平均して、通常の週労働時間
定が求められる。
を算定する
(第2条1項1文・2文)。また、比較の対象とな
また、パート労働・有期労働契約法第2条2項の規定
るのは、労働関係の種類が同一でかつ同等または類似
は、社会法典第4編第8条第1項第1号による僅少労働者
の活動に従事している当該事業所のフルタイム労働者で
もパートタイム労働者であるとしている。したがって、労
あり
(同項3文)、当該事業所内に比較対象となるフルタ
働時間が1週15時間以下で、かつ、労働報酬が通常
イム労働者がいない場合には、適用可能な労働協約に
630DM以下の労働者も、同法におけるパートタイム労働
基づいて比較対象となるフルタイム労働者を定めるか、
者ということになる。
それ以外の場合には、各産業部門ごとに通例として比
較対象となるフルタイム労働者と見なされるべき者を基
2
差別的取り扱いおよび不利益取り扱いの禁止規定
準としなければならない(同項4文)。1985年就業促進法
パート労働・有期労働契約法第4条第1項は、パートタ
に比べると、同法におけるパートタイム労働者の定義規
イム労働者に対する不利益取り扱いを禁止している。ま
定は、1「労働関係の種類が同一でかつ同等または類
ず、同条第1項第1文は、パートタイム労働者をパートタイ
似の活動に従事している」フルタイム労働者が比較対象
ム労働を理由として比較可能なフルタイム労働者よりも
となること、2当該事業所内に「比較されうるフルタイム
不利に取り扱うことは、客観的な理由によって正当化さ
の労働者」が存在しない場合にも、
「適用可能な協約」あ
れないかぎり許されないと規定している。これは、1985
るいは「各産業部門」のなかに比較可能なフルタイム労
年就業促進法2条1項およびパートタイム労働指令4条1項
働者を比較対象者として見いだせばよいとしている点が
に相当するものである。同法は、
「パートタイム労働を理
特徴的である。この点、EU指令でも「同一職場内に比
由とした」パートタイム労働者の差別のみを禁じているた
較可能なフルタイム労働者がいない場合、妥当な団体協
め、パートタイム労働者が差別的な取り扱いを受けたと
24 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
パートタイム労働の法制度
しても、それが労務給付、格付け、職業経験、社会的立
場合、使用者はフルタイムのポストを補充する際に、差
場(Sozial Lage)、業務の性質上フルタイム労働者でない
し迫った経営上の理由または他のパートタイム労働者の
とその労働ポストにおける任務を遂行できない場合な
希望がこれを妨げないかぎり、同一の適性・能力であ
ど、他の客観的な理由に基づくものであれば許容され
ることを条件としてそのパートタイム労働者の希望を優先
る。特に重要なのは、同項第2文が、
「パートタイム労働
的に考慮しなければならない、と規定している。これは、
者の労働報酬あるいはその他の分割可能な金銭価値の
フルタイムへの復帰権を規定したものではない。パート
ある給付は少なくも、比較可能なフルタイム労働者の労
タイムから、フルタイムに戻るのを容易にするために、使
働時間に対するその労働時間の割合に応じて保障しな
用者は新たに設けるフルタイム職を求人する際、労働時
ければならない」と規定している点である。これは、従
間の延長を希望するパートタイム者を優先することを義
来の判例において示されてきた「比例原則(pro-rata-
務づけたものと解されている。
「差し迫った経営上の理
temporis-Grundsatz)を法律上明文化することにより、
由」は、通常の場合であれば労働者の利益を優先させ、
パートタイム労働指令4条2項を国内法化したものである。
特に重要な理由がある場合にのみ使用者が拒否できる
また、パート労働・有期労働契約法第5条は、この法
ことを意味している。例えば、使用者が労働者の希望を
律に基づく権利を行使した労働者を、合意や処遇(例え
拒否できるのは、多くのパートタイム労働者がフルタイム
ば、職業上の昇進)
において不利に取り扱うことを禁止
のポストを希望しているため使用者がそのなかから選
している。この規定は、民法612a条の一般規定をパート
択・決定せざるをえない場合である。もっともその場合
タイム労働の分野において明らかにしたものである。
にも、使用者は、衡平な裁量の原則(Grundsätze billigen
Ermessen)に基づいて選択・決定しなければならない。
3
パートタイム労働の促進
この規定を考慮せずに労働者を採用した場合には、経
パート労働・有期労働契約法第6条は、
「使用者は、指
営組織法第99条第2項第1号による法規定に違反した人
導的な地位にある者を含め労働者に対し、この法律を
事上の措置であり、従業員代表員会はそれを拒否する
基準としてパートタイム労働を可能にしなければならな
ことができる。
い」
と規定している。一般に、男性は専門性の高い仕事
にフルタイムとして従事しており、パートタイム労働を選択
5
募集、欠員に関する情報提供
する者が少ないのに対して、多くの女性がパートタイム
パート労働・有期労働契約法第7条第1項は、
「使用者
労働を選択し、職域が限定された専門性の低い職(2級
は、公募または内部公募を行う際、パートタイムの職に
の仕事)に従事している。このような現状を考慮して、
適する場合には、パートタイム職としても募集しなければ
パートタイム労働が特に専門性の高い職業領域において
ならない」
と規定している。この規定の目的は、パートタ
も魅力的な雇用形態として利用されるよう配慮すべきこ
イム労働の職場の提供を拡大すると同時に、労働者が
とを使用者に義務づけた規定である。
パートタイムからフルタイム労働へ、あるいはその逆への
移行を容易に行えるようにすることである。
4
労働時間の延長
第2項は、すでに事業所内で勤務している労働者に対
パート労働・有期労働契約法第9条は、短時間で働い
して、労働時間の変更に関する情報提供について規定
ているパートタイム労働者が労働時間の延長を申し出た
している。すなわち、
「使用者は、契約上定められた自
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
25
パートタイム労働の法制度
ドイツ
己の労働時間の長さおよび配分の変更を希望した労働
者には、事業所または企業内で補充の行われる相応の
7
解雇禁止
(sprechende)職に関する情報を提供しなければならな
第11条は、
「フルタイム労働関係からパートタイム労働関
い」のである。1985年就業促進法の3条2項では、情報
係への転換またはその逆への転換を労働者が拒否する
提供は掲示によって行われることを明確にしていたのに
ことを理由としてなされる労働関係の解約告知は無効で
対し、パート労働・有期労働契約法第7条2項にそれが
ある」としている。この規定は、民法612a条の一般規定
明示されていないのは、同法18条(期間の定めのない
をパートタイム労働の分野において明らかにしたもので
職に関する情報提供)が、事業所や企業内の労働者に
あると同時に、パートタイム労働指令第5条2項を国内法
入手しやすい適切な場所に一般的に公示することによっ
化した規定である。もっともこの規定は、その他の理由
て情報提供するよう使用者に義務づけているためであ
による解雇、例えば、経済的・技術的・組織的理由など
る
(同条第2文「情報提供は、事業所および企業内の労
差し迫った経営上の理由が認められる状況においてま
働者が接近できる適当な場所への一般的な公示によっ
で使用者の解約権を否定するものではない。
て行うことができる」の類推適用)
。
III 労働時間短縮請求権と裁判例の動向
6
職業教育および継続職業教育
パート労働・有期労働契約法のパートタイム労働に関
パート労働・有期労働契約法第10条は、
「使用者は、
差し迫った経営上の理由または他のパートタイム又はフ
する規定の中心は、パートタイム労働を促進するという目
ルタイムで雇用される労働者の初期職業教育および継続
的から、労働時間の短縮請求権を認めた点である。前
職業教育に対する希望によって妨げられないかぎり、
述したように、同法はEUのパートタイム労働指令および
パートタイムで雇用される労働者も職業能力の向上およ
有期労働指令の準則を国内法化するという目的をもって
び職業上の移動を促進するための初期職業教育および
制定されたものであるため、基本的にEU指令の目指す
継続職業教育に参加することができるように配慮しなけ
方向をそのまま受け入れたものとなっているが、ここで
ればならない」と規定している。ドイツにおいては資格
紹介する「労働者の労働時間短縮請求権」は、EU指令や
が昇進や賃金決定などに多大な影響を及ぼすことから、
それを国内法化したイタリアやイギリスの法律にも規定
職業生活に入った後も、資格をさらに高め、あるいは新
されていないものである。ドイツが選択した道は、まさ
たな資格を取得することは昇進・昇格にとって重要なこ
にパートタイム労働政策が成功を見たオランダモデルで
とである。そのため、パートタイム労働者に資格取得を
あったといえるだろう6)。
可能にする職業訓練並びに継続職業訓練の機会を与え
ることは、賃金格差是正に貢献し、またパートタイム労働
者のキャリア形成を実質的に保障することになる。同条
1
労働時間の短縮請求権
(1) 要件
における職業教育訓練は、パートタイム労働者が実際に
パート労働・有期労働契約法の最大の特徴は、労働
従事している職業に関する職業教育だけでなく、職業上
者に労働時間の短縮を求める権利を認めたことである。
の移動を促進するうえで必要とされる資格(能力)
を改善
前述したように、1985年就業促進法はその3条において、
するための措置も含まれている。
労働時間の長さおよび配分の変更を希望する労働者に
26 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
対して、当該事業所内の補充されるべき相応のポストに
パートタイム労働の法制度
(2) 労働時間の短縮を妨げる「経営上の理由」
関する情報提供を規定するにすぎなかった。これに対
第8条第4項第1文および2文は、労働者による労働時
して、パート労働・有期労働契約法第8条では、従業員
間短縮請求に対する使用者側の対抗手段について規定
数が通常15人を超える事業所で6カ月を超えて働く労働
している。第1文は、
「使用者は、経営上の理由によって
者は、契約上定められた自己の労働時間の短縮を要求
妨げられないかぎり、労働時間の短縮に同意しおよび
することができる、とされている
(第8条第1項・7項)。同
労働時間の配分を労働者の希望に応じて定めなければ
法第6条が、指導的な地位にある者も含めた労働者に
ならない」と規定する。また、第2文では、
「経営上の理
対してパートタイム労働の促進を規定していることから、
由が存在するのは、特に、労働時間の短縮が事業所内
8条の労働時間短縮を請求しうる労働者も、監督的地位
の組織、作業の流れもしくは安全を本質的に阻害し、ま
にある労働者や指導的地位にある者、すでにパートタイ
たは過度の費用負担を生じさせる場合である」として、
ム労働に従事している者などあらゆる労働者が対象に
使用者が主張すべき
「経営上の理由」を例示列挙してい
なる7)。期間の定めのある労働者も6カ月以上継続勤務
る。さらに、第3文は、
「拒否の理由は、労働協約によっ
している場合には、労働時間の短縮を請求することがで
て定めることができる」と規定し、契約当事者は労働時
きることになる。
間の短縮を拒否する理由を具体化し、それをあらかじ
労働者が労働時間の短縮を請求するためには、労働
時間の短縮および短縮の程度を短縮開始の遅くとも3カ
め労働協約に定めておくことによって、それぞれの産業
部門に特有の事情を考慮することができる。
月前までに主張しなければならず、また、労働時間の配
分についても申告することとされている
(同条第2項)。
(3) 労働時間短縮の擬制的効果
この3カ月の期間は、使用者が、当該労働者が8条1項お
使用者は、労働者が希望した労働時間の短縮および
よび7項の要件を満たしているかどうか、また、労働時
配分を受け入れるかあるいは拒否するかどうかの決定
間の短縮が事業所内の組織や作業の流れに影響を与え
を、希望された短縮開始の遅くとも1カ月前までに労働者
ないかを調査し、この労働時間を補填する追加の労働
に文書で通知しなければならない(第8条第5項第1文)。
者を見つけ出すための期間として設定されたものであ
使用者と労働者が同条第3項による労働時間の短縮につ
る。労働者による労働時間短縮の請求がなされると、
いて合意せず、かつ使用者が希望された短縮開始の遅
使用者は当該労働者と、労働時間の希望する短縮につ
くとも1カ月前に労働時間短縮を文書で拒否しなかった
いて合意に達する目的で協議しなければならず、また、
場合には、労働時間は労働者の希望どおりに短縮される
労働時間の配分については当該労働者との間で合意を
(同項第2文)。これによって労働時間の短縮が「擬制」
さ
得なければならないとされている
(同条第3項)。同条の
れることになる。すなわち、労働時間短縮の擬制は、労
労働時間短縮請求は、労働者による労働契約の一方的
働者によって希望された労働時間短縮に対する使用者の
な変更請求であるため、この請求権の行使に当たって
同意の意思表示(Zustimmungserklärung)
であり、使用者
は、まず労使の合意により解決することが求められてい
による労働契約変更の意思表示の発信(Abgabe einer
るのである。
Willenserklärung)である。したがって、使用者が労働者
による労働時間短縮請求に対して適時に拒否しなかった
場合には、これに同意したものと見なされ、その効果が
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
27
パートタイム労働の法制度
ドイツ
生じることになる。このように、使用者が労働者による労
時に、同法第8条に基づく労働時間短縮請求をめぐって
働時間の短縮を拒否した場合には、民事訴訟法第894条
訴訟が提起され、いくつかの下級審判決が出されてい
に基づき訴訟を提起することができる。
る。同法で規定する労働時間の短縮請求権がいかにド
また、同条第5項第3文は、
「使用者と労働者が労働時
イツにおいて関心を呼ぶものであるかを窺い知ることが
間の配分について第3項第2文による合意を得ることな
できることから、ここでその判例を簡単に紹介しておき
く、かつ、使用者が希望された短縮開始の遅くとも1カ月
たい。
前に希望された労働時間の配分を文書で拒否しなかっ
た場合には、労働時間の配分は労働者の希望に応じて
定められたものと見なされる」と規定し、労働者の希望
に応じた労働時間短縮の擬制は、労働時間の配分に関
しても同様に適用されることを明らかにしている。
(1) ArbG Mönchengladbach-Ca1l57/01, Urt. v. 30.
5. 2001, NZA2001, 970.
化学製品や医薬品の販売会社に勤務していた医療技
術補(MTA)である原告女性が、パート労働・有期労働
さらに、第5項第4文は、
「使用者は、第3文または第3
契約法第8条に基づいて、週40労働時間を24時間に短
項第2文によって定められた労働時間の配分を、配分の
縮するとともに、その労働時間を週の初めの3日間に配
変更による経営上の利益が配分の維持による労働者の
分する
(月∼水曜日に8時間ずつ配分する)
よう請求したと
利益を相当程度上回り、かつ、使用者が遅くとも1カ月前
ころ、被告会社は同条第4項の「経営上の理由」からこ
に変更を予告した場合には、再度変更することができる」
れに応じることはできないとしての請求を退けたため、
と規定し、労働時間の配分について、使用者の一部解
原告が訴えを提起した事案である。
約権(Teilkündigungsrecht)
を認めている。すなわち、労
判決は、1(原告の労働時間短縮によって生じる欠
働時間の配分の変更による経営上の利益が、これまで
員ポストを補充する)適切な追加の労働力を見つけるこ
の配分を維持することによる労働者の利益を著しく上回
とが困難であるとする被告の異議は、パート労働・有期
る場合に、使用者は同意されあるいは希望された労働
労働契約法第8条の意味での「経営上の理由」に当たる
時間の配分を再び変更することができるとするものであ
が、それは、2主張・立証責任を負っている使用者が、
る。この場合、使用者は、配分の変更による経営上の利
当該労働者の職業像にふさわしい追加の労働力を使用
益と、それが労働者の利益を著しく上回ることを主張・
者にとって標準的な労働市場において利用できないこと
立証しなければならない。
を証明した場合にかぎるところ、被告はその点を主張し
ていないし、3被告は原告による労働時間短縮の申請
(4) 再請求までの期間
が行われた後の求人活動(原告の後任者探し)
を明らか
同法第8条6項は、
「労働者は、労働時間の短縮を、使
にしておらず、また、数え切れないほどの商品名がある
用者がこれに同意しまたは正当な理由をもってこれを
ことが追加の労働力を探す際の障害となっていることを
拒否してから早くとも2年経過後に、改めて要求すること
証明していないとして、原告の請求を認容した。
ができる」
と規定している。
(2) ArbG Stuttgart, Urt. 5. 7. 2001, 21Ca2762/01
2
労働時間の短縮請求権をめぐる判例の動向
パート労働・有期労働契約法が制定・施行されると同
28 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
原告男性はポンチプレス工として週37時間勤務し、
18.30マルクの時間賃金を得ていた。原告の労働時間は、
ドイツ
パートタイム労働の法制度
月曜日から木曜日まで、6:45∼12:00(9:00∼9:15の休憩
おいて、知的および精神な障害を持つ12人を担当して
を含む)
と13:00∼16:00であり、金曜日は6:45∼12:00
いた。原告はパート労働・有期労働契約法第8条に基づ
(9:00∼9:15の休憩を含む)であった。原告は、パート労
き、2001年8月13日の書面により、同年10月1日から1年間、
働・有期労働契約法第8条に基づき、これまでの週37労
週労働時間をこれまでの38.5時間から32時間に短縮し、
働時間を33時間に短縮し、月∼木曜日の労働終了時間
しかもその時間を月曜日から木曜日に配分するよう申し
を16:00∼15:00に変更するよう申請したところ、被告会
出たが、被告会社はこれを拒否した。
社は、
「経営上の理由」
(原告の仕事には3カ月間の教育
原告の主張によれば、希望した労働時間の短縮は被
期間が必要であり、早急に追加の労働力を見つけるこ
告の業務を本質的に阻害するものではないし、自分の不
とは困難であることや、わずかな不足時間を補充するた
在期間中は、別の2つのグループリーダーやボランティア
めに職場を再編成することはできないこと等)から、原
として勤務する者に担当してもらうことも可能であると主
告の請求を拒否した事案である。
張した。
判決は、
「原告の希望に基づく週4時間の労働時間短
判決は、
「原告は、パート労働・有期労働契約法第8条
縮並びに労働時間配分は、パート労働・有期労働契約
第1項および第4項1文に基づき、週労働時間を従来の38
法第8条4項1、2文の意味での経営上の理由によって妨
時間から32時間に短縮する請求権を有していない」
とし
げられない」
と判断した。そしてその理由について、
「使
て訴えを退けた。その理由として判決は、第1に、労働
用者は可能なかぎり、事業所内を再編成したり、労働時
時間の短縮は3カ月前に書面によることが要件とされて
間の配分を変更することによって、作業の流れや事業所
いるが、本件ではこの要件を満たしていないことを挙げ
内の組織への侵害を取り除きあるいは最小限に抑える
ている。また、パート労働・有期労働契約法では労働時
努力をしなければならない」が、本件の場合、原告の労
間を短縮する期間についてはなんら予定していないに
働時間短縮によって生じる侵害はわずかであるから、事
もかかわらず、本件では「1年間」に限定して労働時間の
業所を大々的に再編成する必要はなく、事業所内の別
短縮を要求している点を指摘した。
の労働者がその部分を補えば足りるとした。また、使用
また第2に、パート労働・有期労働契約法第8条第4項
者は、労働時間の短縮によって、
「組織あるいは作業の
の「経営上の理由」については、以下のように指摘する。
流れが本質的に侵害される」
ということを単に「決まり文
「パート労働・有期労働契約法第8条の意味における“経
句」として主張するだけでなく、
「経営上の理由」を事実
営上の理由”を主張するためには、使用者が経営学的、
によって主張・立証しなければならないところ、本件に
企業政策的並びに企業組織上の理由によって根拠づけ
おいて被告会社はその義務を果たしていないとして、原
られ、かつ労働時間の短縮に反論する決定的な企業構
告の労働時間短縮請求を認容した。
想(計画)
を証明することが必要である。…使用者が労
働者によるパートタイムの希望を却下しうるのは、パート
(3) ArbG Nürnberg, Urt. v. 23. 1. 2001 Ca603/01
労働・有期労働契約法第8条第4項2文の意味での(事業
原告は2人の子どもを持つ男性であり、被告から月々
所内の組織、作業の流れもしくは安全を)本質的に阻害
5400マルクの収入を得ていた。被告は、障害者のため
しあるいは過度の費用負担を考慮した場合だけではな
の作業場を経営する公的施設であり、原告はグループ
い。法の体系からみれば、この拒否(理由)は例示列挙
リーダーとして勤務し、月曜日にはランプ製造グループに
されている4つの理由のうち少なくとも1つを根拠としう
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
29
パートタイム労働の法制度
ドイツ
ることを意味しているにすぎないのである…」とする。
あるから、原告の主張は適切なものではなく、
「その他
そのうえで、
「被告は、原告の週38.5時間から32時間へ
任務を引き受けなければならない」
という労働契約上の
の労働時間の短縮を妨げる組織の計画を跡づけうるも
義務を果たしていない。被告の業務は長期にわたるも
のとして提示している。経営上の理由は教育上の観点
のではなく、そのつど、顧客個人の依頼や要求に応じる
に起因している。職場に在席する期間や、あるいは同
必要があるため、顧客とまめにコンタクトをとり在荷目録
一の仕事を担当することができる人の数(代替者の数)
の点検を繰り返し行わなければならない。したがって、
に関する職業特有の要求は、労働時間の短縮を妨げる
休暇もしくは疾病ゆえの代理は時間的に制約されざるを
合理的で跡づけうる理由となりうるものである。被告は、
えない、と反論した。
可能なかぎり同時に3人のグループリーダーが在席する
判決は、
「両当事者が主張した争いのない事実によれ
ことを保証するほど、障害を持つ人の世話を組織化して
ば、原告の(労働時間短縮の)請求は(被告会社の)経営
おり、このことは、原告が月曜グループでランプ製造の
上の理由によって妨げられる。…労働者が希望する労働
担当に従事する38.5時間の在席を前提としている。この
時間の短縮および配分が企業の組織計画ないしは組織
ような企業の計画は十分跡づけうるものである。
(した
構成(Organisationskonzeption bzw. Organisationsstruktur)
がって)被告には理由がある」として、原告の労働時間
を侵害する場合には、常に、パート労働・有期労働契約
短縮請求を棄却した。
法第8条第4項第1文および2文の“経営上の理由”が存在
する。使用者は、彼に義務づけられた企業決定の範囲
(4) ArbG Freiburg, Urt. v. 4. 9. 2001-7Ca 143/01
内で、企業の目的を達成しうる組織構成を決定するので
輸出販売の担当者として週35時間勤務し、月々の賃金
ある。
(それゆえ)事業所の組織構成の決定は、企業決
総額は平均して約5700マルク支払われていた原告女性
定の中核をなすものであり、したがって裁判所はその決
が、出産・育児休暇後に、週12時間のパートタイム勤務
定が恣意的でありまた濫用と見られる場合に制限的に
を希望したところ、被告会社はパート労働・有期労働契約
熟慮しうるにすぎないのである。被告の組織計画では、
法第8条の経営上の理由からこれを拒否した事案である。
輸出販売部門においてもっぱらフルタイム労働者を雇用
原告の主張によれば、労働時間の短縮の要求を妨げ
することを予定している。委託を受けてから準備し、
(在
る経営上の理由は存在しないという。被告会社の輸出
荷を)貯蔵していない被告会社においては、顧客とのコ
販売の仕事は、データ処理や顧客との渉外のほかに、
ンタクトも社内での調整もまた、その時々の販売担当者
書簡作成、苦情処理、統計の作成並びに注文の処理な
が出来る限りその場に居合わせていることが必要とされ
ど様々であるが、これは輸出販売担当の2人の女性が担
ているのである」
と判断して、原告の労働時間短縮の訴
当しているものであるから、彼女はその仕事を委託する
えを退けた。
ことができる。したがって、被告会社は、従来の35時間
すでに、パート労働・有期労働契約法の立法理由書
労働を将来的には12時間に短縮し、月曜から金曜日の
には、第8条の「経営上の理由」
として、
「労働時間の短縮
午前中に配分するという原告の要求に同意すべきであ
を希望する労働者の仕事を補うことができるような職業
るという。これに対して被告会社は、原告は給与グルー
能力を有する適切な追加の労働力を見つけることがで
プK4/4に所属しているが、彼女が主張した書簡作成や
きない場合であり、
使用者がそれを主張・立証した場合」
苦情処理などはK2の給与グループに属する者の担当で
との具体例が挙げられていた。第1の判例を見ても、労
30 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
働時間の短縮が「事業所内の組織、作業の流れもしくは
パートタイム労働の法制度
れる)の2つに区別されている。
安全を根本的に阻害し、または過度の費用負担を招く
ジョブシェアリングでまず問題になるのは、パートナー
場合」に当たるか否かは、結果的に「適切な追加の労働
である労働者が債務不履行、有給休暇、病気等の理由
力を見いだすことができるか否か」の問題であることが
で欠勤した場合に、もう一方の労働者は欠勤した労働者
明らかである。したがって、使用者が労働者の労働時間
の分も代行して勤務しなければならないのかという点で
短縮請求を拒否するには、特に、労働時間の短縮を希
ある。この問題について、同条第1項は、
「これら労働者
望する労働者の仕事が代替不可能なものであり、彼の
の1人が労務給付を妨げられた場合、その他の労働者
ポストを補う職業能力を有する追加労働者を見つけるこ
は、個々の場合における代理に同意したときは代理の義
とができないこと、それによって事業所内の組織・作業
務を負う。代理の義務は、労働契約が差し迫った経営
の流れが阻害されたことを主張・立証することが求めら
上の理由が存在する際の代理を定めており、かつ、代理
れるであろう。しかしながら、第4の判例のように、企業
が個々の場合において要求できる
(zumutbar)
ものである
の組織計画ないしは組織構成は使用者の企業決定の中
場合にも生じる」と規定している。したがって、原則的
核をなすものであるから、その決定が恣意的あるいは
に、欠勤したパートナーの代理はそれぞれ個別の場合
濫用に当たらなければ合理的な決定であるという考え
に労働者が同意したときに義務づけられるが、1差し
によると、今後、労働者による労働時間の短縮請求の多
迫った経営上の理由が存在する場合、および、2その
くは認められにくくなるのではないだろうか。
代理が労働者に要求できる時にも代行義務が生じるこ
ととなる。
IV 特殊なパートタイム労働形態の法規制
また、同条第2項は、
「一方の労働者がジョブシェアリ
ングから離脱する場合、そのことを理由としてジョブシェ
1
ジョブシェアリング(Arbeitsplatzteilung)
アリングに参加している他の労働者の労働関係を使用
パート労働・有期労働契約法第13条は、
「使用者およ
者が解約告知することは無効である」と規定している。
び労働者は、複数の労働者が1の職の労働時間を分割
これは、一方の労働者がジョブシェアリングから離脱し
すること
(ジョブシェアリング)
を合意することができる」
た場合、他の労働者を同時に解雇することができるのか
(第1項第1文)
として、ジョブシェアリングについて規定し
という問題について、ジョブシェアリングに従事している
ている。その分割の仕方は、1日の勤務時間を午前と午
者はそれぞれ互いに独立した労働契約に基づいて雇用
後で分割する、1日おきに交替で勤務する、週あるいは
されていることから、一方の労働者の離脱を理由とした
月単位で交替するなど様々である。この労働形態は、
解雇の制限を明確に規制したものである。
「ジョブスプリッティング(job splitting)」
(各労働者があら
パート労働・有期労働契約法は、労働協約にこれらの
かじめ定められた勤務時間表に応じて交替で勤務する
規定と異なる定めを置くことができる旨定める規定を置
が、個々の勤務においてはおのおのが互いに独立して
いている。ジョブシェアリングについては第13条第4項に
勤務を行う形で労働ポストが分割される)
と、
「ジョブペ
おいて、
「労働協約が労働者の代理についての規則を含
アリング(job pairing)」
(各労働者があらかじめ定められ
んでいる場合には、労働協約により労働者に不利にな
た勤務時間表に応じて交替で勤務するが、業務の遂行
るとしても第1項および第3項と異なる定めをすることが
については共同で責任を負う形で労働ポストが分割さ
できる。このような労働協約の適用範囲内においては、
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
31
パートタイム労働の法制度
ドイツ
労働協約に拘束されない使用者および労働者は、ジョ
に対し労働者の労働時間の配置をそのつど少なくとも4
ブシェアリングに関する労働協約の規則の適用について
日前に予告した場合にかぎり、労務給付の義務を負う」
合意することができる」
と規定している。
として、事前の通知義務を規定している。この事前の通
知がなされない場合には、労働者は労務提供を負わな
2
呼び出し労働(Arbeit auf Abruf)
いこととなる。
パート労働・有期労働契約法第12条第1項は、
「使用者
ジョブシェアリングと同様に、労働協約が1日および週
と労働者は、労働者がその労務給付を仕事量に応じて
の労働時間並びに予告期間について規則を定めている
行わなければならないこと
(呼び出し労働)
を合意するこ
場合には、労働協約によって労働者に不利になるとして
とができる」
として、呼び出し労働について規定している。
も、同条第1項および第2条と異なる定めをすることがで
呼び出し労働は、労働者が労働時間の長さおよび配分
きる。また、このような労働協約に拘束されない使用者
の双方の決定権を使用者に委ねる形態と、労働時間の
および労働者は、呼び出し労働に関する労働協約の規
長さは特定し、その配分の決定権を使用者に委ねる形
則の適用について合意することができる
(同条第3項)。
態の2つに分けられるが、前者は労働者の地位を非常に
同法に対する労働協約の優位は、協約自治を広く認め
不安定にすることから判例・学説によりその存在を否定
るドイツ法制の特徴を示すものであるが、学説上は、労
されている。
働時間の配分の予告期間や約定がない場合の1日の最
このように、呼び出し労働における労働者の地位の安
定を図るために、同法は労働時間の長さの決定および1
低労働時間(連続3時間)の長さを短縮することは、労働
協約においてもできないと解されている。
日の労働時間の長さについて規制している。すなわち、
合意によって「週または1日の労働時間の一定の長さを
3
高齢者パート就労促進法
定めなければならない。週の労働時間の長さが定めら
1988年12月20日制定された高齢者パートタイム法
れていない場合には、10時間という労働時間が合意さ
(Altersteilzeitgesetz)は、高齢労働者の職業生活から退
れているものと見なされる。1日の労働時間の長さが定
職へのスムーズな移行を促進するため、またこれによっ
められていない場合には、使用者は、労働者の労務給
て失業者の雇い入れを可能にするために、高齢労働者
付をそのつど少なくとも連続3時間について請求しなけ
をパート労働に使用する事業主であって、一定の要件を
ればならない」
としている。これにより、使用者は合意さ
満たしている事業主に対して、連邦雇用庁が賃金の
れた労働時間数(基準労働時間数)の範囲内で、労働者
20%および労働者負担分の保険料を助成する等の援助
に対して労務の提供を請求することができることとなり、
について定めたものであった。しかし利用が少なかっ
契約当事者が労働時間の長さをあらかじめ一定に定め
たことから、政府は、財政の健全化・高齢労働者の希望
ていない場合には、労働時間を週10時間と約定したも
に合った就労の促進・若年層の雇用機会の拡大・ワー
のと見なされる。また、連続3時間の労務提供が義務づ
クシェアリング効果を狙って、同法を拡充することとした。
けられている趣旨は、短時間の就労にもかかわらず長
1996年6月23日に制定(同年8月1日施行)
された「高齢
い通勤時間や無駄な滞在期間によって労働者が不相応
労働者のパートタイム労働の促進および早期年金受給の
な負担を防ぐことにある。さらに、労働時間の配分の決
実態改善に関する法律(以下、
「高齢者パート就労促進
定について、同条第2項は「労働者は、使用者が労働者
法」
という)
によれば、事業主が、在職中で満55歳以上の
32 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
パートタイム労働の法制度
高齢労働者を年金支給開始までの間、従前のフルタイム
Elternzeit: Bundeserziehungsgeldgesetz-BerzGG:連邦育
就労の労働時間の半分以下のパートタイム就労に移行さ
児手当法)が施行された8)。本法は、育児手当に関する
せ、その移行によって生じた一種の「空きポスト」を新た
規定と育児休暇に関する規定から構成されているが、
に求職登録者または職業訓練生を雇用して充足した場
ここでは、育児休暇制度に関する規定のうち、パート労
合に、連邦雇用庁が事業主に対してパート高齢労働者
働および労働時間短縮請求権について紹介する。
に支給する賃金の20%分を補助金として支給することを
連邦育児手当法第15条第4項は、
「親時間を取得する
主たる内容とするものである。これにより、高齢パート
各親の取り決められた週労働時間が30時間を超えない
労働者は従前のフルタイム就労により得られた賃金の最
場合には、親時間中の稼得活動が許される…」
と規定し、
大70%の賃金を得ることができる。また、同法に規定す
育児休暇中に父、母のどちらも週30時間までのパートタ
るパート労働に24カ月以上従事していたことを条件に、
イム労働を可能にした。これまで育児休暇を取得してい
通常65歳から支給される老齢年金を60歳から受給でき
るどちらかに週19時間までパートタイム労働が許されて
ることになっている。
いたが、改正後は、両親が一緒に育児休暇を取得する
例えば、アウディ社は1998年7月に、55歳または57
歳からパートタイム就労に入り、最低2年間最大5年間の
パートタイム就労を行うこととした。建設業の事例では、
場合には、2人合わせて週60時間のパートタイム就労が
可能になる。
また、連邦育児手当法第15条第5項から第7項は、育
55歳以上の者が就労期間の最後の10年間において、週
児期間中に労働者が労働時間の短縮を請求する権利に
労働時間を従前の半分の19.5時間に削減する、または
ついて規定している。まず第5項は、
「労働時間短縮の申
最初の5年間フルタイムで労働し残りの5年間は引退する
請およびその形態については、被用者および使用者は4
方式をとり、パートタイム期間中は、賃金は従前の賃金
週間以内に合意するものとする」
とし、第6項では、
「被用
の7割、社会保険料額は従前賃金時の9割となるよう事
者は、第5項による合意が不可能であるかぎりにおいて、
業主から保障される、としている。また、小売業の事例
第7項の要件の下に、親時間の全期間中に2回、使用者
では、55歳以上から高齢者パートタイム労働に就くこと
に対して自己の労働時間の短縮を請求することができ
ができ、半分の労働で従前賃金の82.5%が保障されると
る」と規定している。そして、労働時間の短縮請求権の
している。しかし実際には、対象期間の5年間のうち、
ための要件としては、1使用者が、職業教育訓練中の
前半分をフルタイムで(従前と変わらず)就労し、後半分
人数にかかわりなく、通常、15人以上の被用者を雇用し
を全く労働しないという利用形態が多くなっており、
ていること
(第7条1号)、2被用者の当該事業所または
パートタイム労働による雇用対策という考え方が形骸化
企業における労働関係が、中断することなく6カ月を超え
している。
て成立していること
(2号)、3契約により合意された通
常の労働時間を最低3カ月にわたり、週15時間以上30時
4
連邦育児手当法におけるパートタイム労働
2000年7月7日、ドイツ連邦議会で第三次育児手当法改
間以下に短縮しようとするものであること
(3号)、4請求
に対抗する差し迫った経営上の理由がないこと
(4号)、
正法案が可決され、パート労働・有期労働契約法と並ん
5請求が8週間前に文書により使用者に通知されたこと
で、2001年1月1日から新しく
「育児手当および親時間に
(5号)、とされている。これにより、労働者は、使用者と
関 する 法 律 」
( Gesetz zum Erziehungsgeld und zur
の話し合いを前提として、育児休暇の全期間中に2回ま
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
33
パートタイム労働の法制度
ドイツ
で、3カ月間にわたり、週15時間から30時間の範囲内で
同権の視点からも非常に重要である。
労働時間を短縮することを使用者に請求することができ
少子高齢化が進むわが国においては、少子化対策と
るようになった(ただし、差し迫った経営上の理由があ
介護対策、そして労働力の確保が近年の課題であること
る場合には、使用者は、労働者が請求した労働時間の
は周知のことである。この課題を達成するためには、既
短縮を4週間以内に文書によって拒否することができる。
婚女性の労働市場への参入を促進し、高齢者の労働市
同項第2文)。また、育児休暇終了後、元の労働時間に
場を開拓していく必要がある。すなわち、職場と家庭に
復帰する権利も保障されている
(同条第5項第2文)
。
おける責任を両立でき、心身の状況に合わせて無理な
このように、ドイツの改正育児手当法におけるパートタ
く働ける環境を整備して、女性も高齢者も、労働市場に
イム労働の上限時間の引き上げおよび労働時間短縮請
参加できるようにすることが政策の中心テーマに据えら
求権の導入は、両親がともに育児休暇を取得しながら勤
れなければならない。
務時間を短縮する柔軟な働き方を目指したものである。
ここで紹介した労働者の労働時間短縮請求権は、労
働者のニーズに見合ったフレキシブルな働き方を保障
おわりに
するものとしてわが国にとっても重要な意味を持つもの
と思われる。また、2001年の育児・介護休業法改正で
今回のパート労働・有期労働契約法は、EUの1997年
は、育児休業の申し出をしたり、育児休業をしたことを
パートタイム労働指令および99年有期労働指令をドイツ
理由とする解雇だけではなく、その他の不利益取り扱い
の国内法として具体化する措置であるが、労働者保護
も禁止されることとなり、指針では不利益取り扱いの典
の観点から見ると、多くの点で同指令を上回るものと
型例として、
「退職強要、正社員をパートタイム労働者等
なっている。これは、ドイツの立法者がEU指令を形式的
の非正社員とする契約変更の強要」
を挙げている。今後
に取り入れながらも、実質的には失業対策が成功を見
は「フルタイム労働とパート労働の相互転換制度」のような
たオランダモデルを目指していたことによるものであると
制度的保障や、勤務時間短縮制度の義務化が急務の課
思われる。特に、本法の労働時間短縮請求権は、オラ
題であるといえるだろう。最後に、パートタイム労働者と
ンダの
「労働時間調整法」
(2000年7月)
に規定されている、
フルタイム労働者の均等待遇に議論の中心が置かれてい
従業員の労働時間の調整(短縮または延長)
を求める権
るわが国にとっては、労働者が必要に応じて短時間勤務
利に範を得たものであり、立法者は失業対策と雇用に
を選択できるようになる別方向からの接近もまた、長期的
おける男女平等の実現という両側面から期待を寄せて
には両者の壁を低くする有効な手立てである。その意味
いる。後者については、ドイツ商業・銀行・保険労働組
で、パート労働・有期労働契約法の労働時間短縮請求権
合が、
「女性が育児休業後、進んでパートタイム労働関係
は重要な示唆を与えるものであると思われる。
に入る場合には、まさにパートタイム労働の権利が必要
1) BGBl 2000, 1966.同法の翻訳としては、斎藤純子「ドイツにおけ
るパートタイム労働・有期労働契約法の制定」
『外国の立法』209
号、2001年6月、47ページ、がある。また、パートタイム労働に関
する規定については、ハンブルグ政治経済大学のウルリッヒ・
ツァッハルト教授の講演「ドイツにおける労働法改革の現在―
1998年以降のシュレーダー政権の労働法改革」
『日本労働研究雑
誌』
日本労働研究機構、497号、64ページを参照。
2) 1985年就業促進法については、水町勇一郎『パートタイム労働の
法律政策』有斐閣、1997年、を参照。
である。パートタイム労働の権利を規定することは、男
性と女性の同権向上への歩みを意味するものである」
と
指摘している。このように、本法において労働者に短時
間勤務の選択権を認め、パートタイム労働とフルタイム労
働の相互転換を容易にしたことは、雇用における男女
34 海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
ドイツ
3) Die Richtlinie 97/81/EG des Rätes vom 15. Dezember 1997 zu der
von UNICE, CEEP und EGB geschlossenen Rahmenvereinbarung
über Teilzeitarbeit (Abl. EG 1998 Nr.L14S.9).同指令は、パートタ
イム労働者に対する差別を除去し、自発的パートタイム労働の展
開を促進し、使用者および労働者のニーズを考慮した労働時間
のフレキシブルな編成に寄与することを目的とするものである。
また、客観的な理由がある場合を除いて、賃金および労働条件
においてパートタイム労働者の均等待遇が適用されることも求め
るものであった。同指令の内容については、柴山恵美子「イギリ
スのパートタイム労働に関する新法制定とEC
(現EG)
理事会指令」
『賃金と社会保障』
、1280号、
(2000年8月下旬号)
、61ページ参照。
4) Die Richtlinie 1997/70/EG des Rätes vom 28. Juni 1999 zu der GBUNICE-CEEP-Rahmenvereinbarung über befristete Arbeitsverträge
(Abl.EG 1999 Nr.L175S.43).同指令は、差別禁止原則の適用に
より有期労働の質を改善することおよび有期労働契約の反復更
新の濫用を防止することを目的としており、有期労働者に対する
不利な扱いの禁止、期間比例原則の適用、加盟国が濫用防止の
ための措置(更新を正当化する客観的理由、継続更新の最長期
間、更新回数を定めること)
をとることを定めているものである。
同指令に関しては、戸塚秀夫「欧州連合(EU)
における有期労働
に関する労使間の枠組み協定について」
『労働法律旬報』
1468号、
1999年、30ページ参照。
5) 同法は当初、有効期間が1989年12月末までとされていたが、そ
の後、89年12月22日改正(90年就業促進法)
によって95年12月末
まで5年間延長され、94年7月26日改正(94年就業促進法)
によっ
て2000年12月末まで再度5年間延長され、さらに、96年9月25日
「成長と就業促進のための労働法(労働法上の就業促進法)」
(Arbeitsrechtliches zur Gesetz zur Förderung von Wachstum und
Beschäftigung (Arbeitsrechtliches Beschäftigungsförderungsgesetz),
による85年就業促進法第1条の改正を経て、2000年12月31日に失
効することが予定されていた時限立法であった。
6) オランダにおけるパートタイム労働は、ここ数年注目を集めてい
る。ドイツの立法者もこのパートタイム労働請求権によって、オラ
パートタイム労働の法制度
ンダの低失業率に近づく可能性を見いだしている。オランダモデ
ルについては紹介した文献としては、
「資料/ゼンセン同盟オラ
ンダモデル調査団報告(要約と結論および関連資料)」
『賃金と社
会保障』、1298号、2001年5月下旬号、16ページ以下、がある。
また、関連論文としては、中野麻美「オランダ・モデルと日本の
パートタイム労働」
『賃金と社会保障』
(同号)、4ページ以下、が
ある。
7) 労働時間の短縮を求める権利に関しては、野党から10歳以下の
子を養育している者または介護を要する家族を有する者に限定
して認めるとする対案が出されていたが、これは退けられた。
家族的責任を理由としてではなく、労働者の様々な理由による短
時間労働の希望を実現させる働き方を可能にするものと評価で
きる。
8) 同法の翻訳としては、斎藤純子「育児手当と親時間―ドイツの新
しい育児手当・育児休暇制度」
『外国の立法』、212号、2002年5
月、1ページがある。なお、育児休暇は、
「両親のための時間=
親時間(Elternzeit)」
という用語に名称変更された。これは、育児
という仕事に従事しているのに「休暇」
と呼ぶのは不適切である
ことや、期間中のパートタイム労働を可能にしたことから休暇と
いう言葉がそぐわなくなったためである。
参考文献
BT-Drucksache 14/4374
BT-Drucksache 14/4103
Wolfgang Hromadka, Das neue Teilzeit-und Befristungsgesetz,
NJW2001, S.400.
Peter Link/Martin Fink, Anspruch auf Verringerung der Arbeitszeit,
AuA2001, S.107.
Ulrich Preis/Michael Gotthardt, Das Teilzeit-und Befristungsgesetz,
DB2001, S.146.
Lindmann/Oliver Simon, Neue Regelungen zur Teilzeitarbeit, BB2001,
S.151.
ドイツの労働
苧谷 秀信 著 A5判 311頁 平成13年刊 本体1,500円(税別)
目次
第1部 最近のドイツの労働事情 ドイツの概況/コール政権からシュレーダー政権への移行と労働政策/労働組合の改革
第2部 労働法制
労働関係法制/労働基準法制/労働契約法制/労働時間、休暇/財産形成及び企業年金/
女性政策/労働市場政策/職業能力開発/労働裁判所
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日本労働研究機構 出版課
海外労働時報 2002年 増刊号 No. 331
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