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事例でみるe-Discovery ~米国型訴訟の実務~ 想定事例紹介

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事例でみるe-Discovery ~米国型訴訟の実務~ 想定事例紹介
事例でみるe-Discovery
~米国型訴訟の実務~ 想定事例紹介
NTT 情報流通プラットフォーム研究所
藤村 明子
© 2008 NTT Information Sharing Platform Laboratories
はじめに
• 本セッションでは、具体的事例を元にe-Discovery実務の
処理手順を紹介する
• 本資料でとりあげた事例は、過去の判例などを参考に「デジタル・
フォレンジック・コミュニティ2008」の当セッション向けに用意され
た架空の事例であり、実在の人物、事件等と関係ない
© 2008 NTT Information Sharing Platform Laboratories
事例でみるe-Discovery~米国型訴訟の実務~ 事案の概要
【当事者となる企業】
• A株式会社は、乳幼児向け製品を扱う専門メーカー、 B工場はA社がQ国に設置した工場、 Y社は
A社の米国現地法人である。Y社は、B工場で製造され、日本で安全・品質管理がなされている製
品を、A社の事業計画に基づき米国内で輸入・販売を行っている。
【事件発生】
• ところが2006年10月、Y社の主力商品である乳児用哺乳瓶(製品名:ニコニコ哺乳瓶)を使用し
ていた米国人X1の娘X2(1歳)に、重大な健康被害が発生した。哺乳瓶を調べてみたところ、ゴム
部分に人体に重大な影響を及ぼすおそれがかねてより指摘されていた素材が使用されていること
が判明し、哺乳瓶の米国内での販売は中止となった。この哺乳瓶は、Bで製造出荷され、Aの指揮
の元、2006年1月にYが米国で販売開始したものであった。
• 2007年5月、X2の親権者であるX1が、X2の健康被害について (1)健康被害という損害の事実 (2)
商品欠陥の存在 (3)損害と欠陥の因果関係、が認められるとして、損害賠償請求訴訟(製造物責
任訴訟)をY社らに対して連邦裁判所に提起された。これに続いて、同様の被害を訴える被害者が
複数現れた。Y社、A社、B工場を共同被告として訴状が送達された。Y社らは争う姿勢。
【ディスカバリへ】
• その後の調査により、実は2005年12月の時点で、日本国内でもX2の症状に類似した複数の乳
児の健康被害が発生していたことが明らかとなった。ところが、A社はこの事実について「全く把握
していなかった」と主張。その件に関する国内の訴訟もなかった。
• しかしX1の米国の代理人は、Y社の行為について悪意があるとして、懲罰的賠償を求めるべくY社
らに対して関連情報の開示を求めるディスカバリの手続を取ることにした。
Y社らにとって、e-Discoveryは全く初めての経験である。
【ディスカバリの過程で】
• ディスカバリを進めていく過程で、A社の電子メールの中から、A社が過去に社内セクハラ事例のも
み消しというコンプライアンス違反行為を行っていた事実が明らかになった。
• また、Y社とA社の間でやりとりされた電子メールには、本訴訟とは無関係な秘密保持に関わる情
報が含まれていることが明らかになった。
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事例でみるe-Discovery~米国型訴訟の実務~ 当事者の関係
日本国内
日本国内
2005年4月
販売開始
親会社 A社
製造・出荷
A社:国内の乳幼児向けの専門メーカー
B工場:Q国に設置されたA社の工場
Y社:Aの米国現地法人
X1X2:米国 カリフォルニア州在住の親子
アメリカ
アメリカ
X1,X2親子
Q国
Q国
哺乳瓶
哺乳瓶
2005年12月頃
健康被害
2006年10月
健康被害
A社工場B
2006年1月
販売開始
現地法人 Y社
連邦裁判所
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事例でみるe-Discovery~米国型訴訟の実務~ 主な年表
1990年 9月
A株式会社が、米国現地法人Yを設立。 Q国にB工場を設置。
2005年 4月
Aが、日本国内でニコニコ哺乳瓶の販売を開始。
2005年12月
日本国内で乳幼児による健康被害がこの頃発生。
(この健康被害の原因がはっきりしていなかったこともあり、Aはこの事実を全く把握していなかったと
(後に)主張)
2006年 1月
Yが、米国内でニコニコ哺乳瓶の販売を開始。
2006年 9月
日本国内でのニコニコ哺乳瓶の販売を中止。
2006年10月
米国内でニコニコ哺乳瓶の利用者であるX2に、健康被害が発生。
2006年12月
ニコニコ哺乳瓶のゴム部分に、かねてより人体に重大な影響を及ぼすおそれが
指摘されてきた素材が使用されていることが判明。
2007年 1月
米国内でのニコニコ哺乳瓶の販売を中止。
2007年 5月
X2の親権者であるX1が、X2の健康被害について (1)健康被害という損害の事実(2)商品欠陥の存在
(3)損害と欠陥の因果関係、が認められるとして、損害賠償請求訴訟(製造物責任訴訟)をYに対して
提起。続いて、同様の被害を訴える被害者が複数現れた。
Y、A、Bを共同被告として訴状が送達される。Y、A、Bは争う姿勢。
争う場所は連邦裁判所。
2007年12月
日本国内での健康被害に関する状況について、X1の代理人がディスカバリ請求。
Y及びAにとって、e-Discoveryは全く初めての経験である。
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事例でみるe-Discovery~米国型訴訟の実務~ 対象資料
【本件におけるディスカバリ対象資料】
• 製品仕様書: ニコニコ哺乳瓶が使用している素材の生成過程や調達過程が記されてい
るもの(A4で1万枚程度の電子データ)
• 販売企画書: Aが国内での販売実例を元にYに対して指示した販売計画が記されている
もの(A4で5千枚程度の電子データ)
• コールセンター受付票:国内での健康被害に関する苦情受け付けの記録(件数不明)
• 2005年12月以降のA社の製品安全管理部門における会議議事録(週1回に定例会議が
開催)
• 日本国内で健康被害が生じた2005年12月以降、YA間でやりとりされたすべての電子
メール及びその添付資料(数量不明)
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