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インターンシップ・準備編及び現場からの報告

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インターンシップ・準備編及び現場からの報告
GSICS 国際公務員養成プログラム
インターンシップ実施記録①
実施機関:国際連合人権高等弁務官事務所
2009 年 9 月 13 日
【インターンシップ準備】
1. インターンシップ応募
1.1 応募動機
大学院に進学する目的として、将来国際機関で自身の専門性を活かして仕事がしたい、
という希望がありました。海外実習を通じての国際的経験や国際法プログラムでの授業で
の専門知識の習得及び国際公務員プログラムによる様々な企画がインターンシップ応募に
あたり、大きな後押しとなりました。
応募する際の懸念事項として、英語力や専門性に不安を持ち、応募をためらう、という
ことが少なからずあると思いますが、環境条約交渉への参加や国際公務員の方へのインタ
ビューを行うことで、英語への不安を解消することができました。また、実際に環境条約
交渉に参加したということは、インターンに応募する際にも大きなアピールポイントにな
りました。さらに、私が修士 2 年在籍時にスタートした国際公務員プログラムはインター
ンシップ応募にあたってとても大きな後押しとなりました。すでにインターンシップをさ
れた先輩の体験談や様々な企画も非常に役に立ちました。
国際公務員として働くためには、専門知識を持っていること、そして実務経験を有して
いることが必要です。純粋な実務経験ではありませんが、インターンとして働き、国際機
関で働くとはどのようなことか、ということを実際に経験しておくことは今後のキャリア
計画においてとても重要です。私は国際法の中でも人権法及び環境法の専門知識を生かし
国際機関で働きたいと考えているため、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)へ応募しまし
た。
1.2 志望書類準備
本格的な書類の準備は 4 月から始めました。幸いにも国際公務員養成プログラムの「特
別企画:春季集中・実践英語強化 Week」に参加させていただくことができました。その中
でも、インターン志望書類の作成を行い、それを参加者全員で添削し合う、というアクテ
ィビティはとても役に立ちました。最終的にはこの時作成したものとは違う CV 及び志望動
機の書類となりましたが、まず何でも良いので書いて形にしてみることは非常に大切です。
応募するかしないか悩んでいる方も、まずどのような書類が必要とされているのかを調べ
て、とりあえず書いてみてください。英語で履歴書(CV)を書くことや自身の経験などを整
理した上で志望動機を一通り書いてみることはインターン応募以外にも就職活動にも非常
に役に立つと思います。
OHCHR は年に 2 回、インターンの選考が行われます。夏から始まるインターンシップ
については 4 月の末日が締め切りでした。ほとんどの国際機関のインターン応募に際して
は、CV、志望動機及びその他、事務的な必要書類を用意するのが普通ですが、OHCHR へ
のインターン応募については、基本的必要書類の他に、Sample of the Research Work を提
出しなければなりませんでした。私は修士 2 年の時に履修した International Human
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インターンシップ実施記録①
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2009 年 9 月 13 日
Rights Law の際に提出したレポートと修士論文の要約を送りました。
ほとんどのインターン選考の場合がそうですが、世界各国からいくつものインターン応
募が寄せられるため、OHCHR も合格者にしか連絡がいきません。応募から一ヶ月が経ち、
あきらめていたところに、今のインターン先である、平和活動及び緊急対処ユニットから
電話インタビューを受けないか、という連絡がありました。自分が希望したユニットとは
違うところからの連絡でしたが、OHCHR でインターンをするという貴重な機会を逃して
はいけない、また人権法を扱うことになる、人権担当職員(Human Rights Officer)として働
くことを希望している、ということもあり、電話インタビューを受けることにしました。
書類審査通過の連絡を受けた 2 日後の電話インタビューだったのですが、先生方からの様々
なアドバイスを基に、出来る限りの準備をしてインタビューに挑みました。
自分としては高校時代の留学経験や条約交渉の経験からある程度は英語が話せると思っ
ていましたが、電話となるとうまく話せず、「電話でうまく話せないのであれば、英語が全
く話せないと同じようなことだ」と深く反省し、インタビュー後は非常に落ち込みました。
結果としてインタビュー1 週間後に不採用の連絡がありました。OHCHR にインターン応募
の書類を提出していた後も、その他に興味のある 2 つの機関にインターンの応募、また応
募準備をしていたので、気持を切り替え、この失敗を生かしつつ、準備を進めていました。
しかしインタビューをした 1 か月後に突然、OHCHR から「採用したい」とのメールが来
たので、第 1 希望であった OHCHR からのオファーを受けることにしました。このように
私のインターンシップ獲得は決してスムーズではありませんでした。
ここで、応募書類と電話インタビューについて少しだけアドバイスを書きたいと思いま
す。志望動機については、やはり自分以外の人に読んでもらうことが大切です。話の流れ
を考え、強調したいポイントを盛り込み、メリハリのある文章を書き、何度も添削するこ
とが必要です。さらにテクニックとしては日本語の表現をそのまま英語にするとどうして
も平坦な文章になってしまう場合が多いので、英語独特の表現を学ばなければなりません。
電話インタビューを受ける際のポイントとしては、インターン先の業務内容を把握してお
くことは最低限必要です。しっかり把握したうえで、自分がどのように貢献することがで
きるのか、そしてそのような能力をどのような経験から得たのか、ということをしっかり
説明できることが最も重要です。あとは誰かに手伝ってもらい何度も事前に練習をして下
さい。
2. 採用決定から出発まで
インターンの開始はインターン採用が決まってからちょうど 1 か月後の 8 月 3 日からと
なっていたので、急いで準備を開始しました。多くの先生方のサポートのおかげで突然の
インターンシップ補助申請にも関わらず、スムーズに対応していただき、出発前には補助
決定の知らせを頂くことができました。補助申請手続の間にも、航空券の購入、海外保険
への加入、滞在先情報の収集など、慌ただしい日々が続きました。中でも特に宿泊先を決
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めることは非常に難航しました。実際の部屋を見てからでなければ決めることはできない
ので、現地に行ってからしか本格的な物件探しはできません。様々な方からの助けのおか
げで、比較的スムーズに物件は探すことができましたが、やはり宿泊先探しは在ジュネー
ブのどの機関のインターンも非常に苦労しているようです。以上のような手続的な準備の
他にインターンシップへの準備として、インターン先の業務内容を調べなおすとともに、
扱う活動をカバーしていると思われる論文を読むなどの準備も行いました。
【インターン報告】
1. インターン先について
(国連欧州本部 Palais des Nations と私が働く、OHCHR の Motta の建物)
国連高等弁務官事務所(OHCHR)は、前身である国連人権センターを引き継ぎ、「ウィ
ーン宣言及び行動計画」の勧告に基づく、国連総会の決議によって創設された国際機関で
す。国連事務局が行う活動の人権担当部門として、人権の普遍的な促進、人権に関する国
際協力、国際的基準の具編的実施等の促進などを任務とし、幅広く活動している機関です。
OHCHR は大きく分けて 4 つの部門があります。
(1) 特別手続部(Special Procedures Division)は主に各トピックの特別報告者のサポート
を行っています。
(2) 人権理事会及び条約部(Human Rights Council and Treaties Division)は毎年数多く開
かれる人権理事会及び人権条約の会合を調整し、専門家に対する様々なサポートを行う
部門です。
(3) 調査及び発展の権利部(Research and Right to Development Division)は主な人権のテ
ーマごとのユニットに分かれ、それぞれの権利について調査・研究を行うこととともに、
関係する人権条約の会合やその他の会合を企画及びサポートしています。
(4) 現 地 活 動及び 技 術 協力部 (Field Operations and Technical Cooperation Division:
FOTCD)はそれぞれの国別にユニットが分かれており、それぞれの国についての人権状
況の把握や人権条約の履行促進を行うほか、各地で展開している国連の平和ミッション
(Peace Mission)へのサポートも人権の立場から行うことを任務としています。
私はこの 4 番目の部門である、FOTCD の平和活動支援及び緊急対処ユニット(Peace
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Mission Support and Rapid Response Unit: PMSRRU)に所属し、主に Humanitarian
Action に関連する OHCHR の活動を担当する部署でインターンを行っています。
平和維持活動における OHCHR の役割は日々増大しています。また平和維持活動以外に
も人権担当官が紛争や人道危機、さらに自然災害が起こった地域に派遣され人権状況の調
査、モニタリング及びアドバイス等を行い、短期及び長期的に支援を行っています。私が
所属する部署は仕事内容の性質上、人道分野の機関との関係が非常に強く、中でも国連人
道問題調整部(OCHA)事務局が設置されている常設委員会(IASC)を中心に OCHA、UNHCR、
UNICEF や NGO では ICRC などと一緒に仕事を行うことが多くなっています。
2. インターン仕事内容
私のインターンはまず、所属ユニットがどのような仕事を現在中心に行っているのかを
知る作業からは始まりました。人道法や平和構築に関する知識があったとしても、実際に
どのように業務の中で活かしていくかについてはこれから学ぶべきことが沢山あります。
2010 年 3 月までに所属ユニットが行うべきワークプランを初日にいただいていたので、重
要な文書を読みながら、自分には何ができるか、何について取り組みたいか、ということ
を考え、上司と話をする、ということを何度も行いました。
私のインターンとしての仕事の中で重要なものとして、毎週開かれる IASC Weekly
Meeting に OHCHR 代表として参加する、ということがあります。このミーティングでは
人道支援に関わるあらゆる機関の職員や政府代表、NGO 職員が集まり情報を交換したり、
様々なプログラムの進捗状況について報告を行ったり、また注目すべき国についての最新
情報をアップデートしたりなど、様々な内容で毎週開かれます。私は出席するとともに、
事前にそのミーティング内容に関連する内容を扱っている OHCHR の職員に興味があれば
参加するようにと連絡をし、ミーティング後は内容を関係する職員に連絡することが仕事
となっています。
私のユニットは OHCHR 以外の機関との繋がりが非常に多いですが、同様に OHCHR の
他ユニットと共同で仕事を進めていくことも多いです。ですので、何か一つのプロジェク
トを行うにしても、情報共有が非常に大切になってきます。インフォーマルなミーティン
グに上司とともに参加し、議論の内容や今後の方針についての簡潔なノートを取り、報告
することもインターンとしての仕事です。一見、簡単なように思いますが、ノートや議事
録をとることは非常に難しいことです。これは条約交渉に参加したときにも痛感していた
ことですが、やはり議論している内容についての豊富な知識があることが最低限要求され
ます。「研究分野とは違うユニットだから」というのは言い訳にはなりません。ミーティン
グ前には短い時間で関連する文書を読み、それをしっかり頭に叩き込んでおく、という作
業を繰り返し行っています。
今とりかかっているひとつの作業として、人道支援に関わる人権担当オフィサー(Human
Rights Officer)のための重要な文書やサイトを集めたキットが OHCHR の内部サイト及び
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CD-ROM としてまとめてあるのですが、それを見直す作業を任されています。今まではな
かった、それぞれの文書に関する簡潔な説明文を付けることや、近年の文書で付け加える
ものがないかどうか調査すること、また、リンク先アドレスの整理などを行っています。
それぞれの機関は現場の職員が扱うことになる様々な Tool Kit や Check List 及びガイドラ
インを有しています。それらが現場の人に効果的に利用されなくては意味がありません。
どのようにすれば現場の職員の方々にとって使いやすくなるのかを念頭におきつつ、作業
を行っています。
10 月末には所属ユニットが主催するワークショップがあるので、一段と忙しくなりそう
です。今回はぼんやりとしたインターンの内容しかご紹介できませんでしたが、次回はい
くつかのインターン作業内容に注目して、どのようなテーマを扱っているのかを詳しく報
告したいと思います。
3. その他コマゴマ情報の報告
メール
内部のメーリングリスト、つまり情報共有がとても充実しています。基本的に OHCHR の
スタッフ全員のメーリングリスト、Division 内全員に送られてくるメール、そしてユニッ
ト全員のメーリングリストがあります。毎日かなりの量になるので、全部をしっかり読む
には時間がかかってしまい大変ですが、ななめ読みするだけでもかなり勉強になることが
わかりました。OHCHR 全体で何が起こっているかを知ることは、自身の仕事をする際に
とても重要になってきます。また人事情報についても一早くメールで送られてきます。
内部サイト
(おそらく)ほとんどの国際機関には外部向けのサイトと内部向けのサイト(Intranet)があ
ります。ここではそれぞれの Division や Unit の詳しい仕事内容及び資料、テーマ別の説明
及び資料、職員全員を調べることができるシステムやあらゆる情報のアップデートや私生
活に関する情報(例えば住宅情報)などが載せられています。OHCHR 以外の様々な機関
の Intranet にもアクセスができます。
勉強会
OHCHR でも、他の機関においても、Coffee Briefing や Lunch Time Lecture と称して、
様々な勉強会が開催されています。はじめから公開のものについては当然インターンも参
加することが可能ですので、時間が許す限り、あらゆる勉強会に参加するよう心掛けてい
ます。
他機関へのアクセス
OHCHR は現在 2 つの建物に分かれて業務を行っています。パレ・ウィルソン(Palais
Wilson)はレマン湖に面した、OHCHR が昔から使用している建物でとても立派でいかにも
Palais というような素敵な建物です。もう一つは国連欧州本部(Palais des Nations)の近く
にある普通のオフィスビルの Motta です。私の Division のオフィスはすべてこの Motta に
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あります。Palais Wilson から国連欧州本部へは徒歩やく 30 分ほどかかってしまうのです
が、Motta からは約 10 分です。興味のある会合が開かれればすぐに行くことができるので、
素敵な建物にいれないのは残念ですが、私はこちらの建物で本当によかったと感じていま
す。ちなみに道路をはさんで正面に世界知的所有権機関(WIPO)があり、お隣は国際電気通
信連合(ITU)、5 分ほどのところに国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)があります。9 月中
旬からは人権理事会が始まります。時間を見つけて、研究分野と重なる議論の際は国連欧
州本部へ行きたいと考えています。
以上
上田はるか
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