...

第150回日本胸部外科学会 関東甲信越地方会要旨集

by user

on
Category: Documents
95

views

Report

Comments

Transcript

第150回日本胸部外科学会 関東甲信越地方会要旨集
第150回日本胸部外科学会
関東甲信越地方会要旨集
日 時: 2009年 6 月 6 日
(土)
会 場: 都市センターホテル
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1
(東京メトロ 有楽町線「麹町駅」徒歩約 4 分,
東京メトロ 有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」徒歩約 3 分)
総合受付
P C受付
第 I 会場
第 II 会場
6階
602(6 階)
601(6 階)
706(7 階)
第III会場 606(6 階)
幹 事 会 701(7 階)
会 長: 呉屋 朝幸
杏林大学医学部外科(呼吸器・甲状腺)
〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
TEL:0422-45-3527/FAX:0422-44-3576
参加費: 1,000円
(当日受付でお支払い下さい)
ご注意:
(1)PC発表のみになりますので、ご注意下さい。
(2)PC受付は60分前(ただし、受付開始は 8 時30分です)。
(3)一般演題は口演 5 分、討論 3 分です。
(4)追加発言、質疑応答は地方会記事には掲載いたしません。
【会場案内図】
都市センターホテル
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-4-1
TEL 03-3265-8211
会場周辺図
JR
至市ヶ谷
至新宿
四ッ谷駅
三井住友銀行
萬力屋
みずほ銀行
麹町六 新宿通り
上智
大学
至靖国神社
麹町四
有楽町線
麹町駅
弘済会館
弁慶橋
青
平川町
至溜池
最高裁判所
4
三宅坂
衆議院
議員会館
国会図書館
国会議事堂
国会前
山王坂
首都高速都心環状線
り
木通
六本
霞ヶ関
ランプ
至日比谷
N
半蔵門線
有楽町線
永田町駅
自民党本部
都道府県会館
丸の内線
銀座線
赤坂見附駅
り
山通
5
9
急
ル東
ホテ
セル
エク
赤坂
D
全共連
ビル
砂防会館
9
皇居
南北線
永田町駅
内堀通り
赤坂プリンス
麹町
ホテル
中学校
都市センター
ホテル
国立劇場
町通り
紀尾井
至渋谷
サントリー
貝坂通り
プリンス通り
中
央
線
弁慶堀
半蔵門
FM東京
文芸春秋社
ホテル
ニュー
オータニ
半蔵門線
半蔵門駅
路 線 図
●
駒込
JR山手線
有
楽
丸
の
町
線
内
線
飯田橋
市ヶ谷
新宿
四ッ谷
JR総武線
門線
半蔵
渋谷
目黒
麹町
南
北
線
池袋
後楽園
●
上野
お茶の水 秋葉原
●
●
●
●
永田町
東京
赤坂見附
溜池山王
有楽町
品川
–2–
●
東京メトロ 麹町駅(有楽町線)半蔵門方面出口
より徒歩約 4 分
東京メトロ 永田町駅(有楽町線・半蔵門線)4
番・5 番出口より徒歩約 4 分
東京メトロ 永田町駅(南北線)9 番出口より徒
歩約 3 分
東京メトロ 赤坂見附駅(丸の内線・銀座線)より
徒歩約 8 分
J
R 四ッ谷駅麹町口より徒歩 14 分
都バス 平河町 2 丁目・都市センター前
(新
橋駅 市ヶ谷駅 小滝橋車庫前)
首都高速 霞ヶ関出口より 5 分
JR山手線
JR総武線
丸の内線
有楽町線
半蔵門線
南 北 線
【場内案内図】
都市センターホテル
■6F
エレベーター
602
PC受付
機械室
601
第 I 会場
603
604
本部
LS控室
機器展示・
ホスピタリティルーム
機械室
エレベーター
機械室
Tel
事務局
参加
受付
606
共用休憩所
吹抜
第III会場
階段
コピー機
非常用
EV
非常用
EV
W/C
非常階段
■7F
非常階段
機械室
エレベーター
機械室
エレベーター
機械室
Tel
701
五人委員会
吹抜
幹事会
706
階段
第II会場
コピー機
非常用
EV
W/C
非常階段
–3–
非常用
EV
非常階段
第Ⅰ会場:601
( 6 階)
第Ⅱ会場:706
( 7 階)
第Ⅲ会場:606
( 6 階)
9:00 〜 9:40
9:00 〜 9:32
9:00 〜 9:40
大血管 1
食道・その他
胸壁
8:55 開会式
1 〜 5 鈴木 伸一
横浜市立大学 心臓血管外科
1 〜 4 宗田 真
群馬大学大学院病態総合外科学
1 〜 5 望月 篤
聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科
9:40 〜 10:20
9:32 〜 10:12
9:40 〜 10:20
大血管 2
先天性心疾患1
縦隔腫瘍1
6 〜 10 田中 良昭
自衛隊中央病院 胸部外科
5 〜 9 金本 真也
筑波大学 心臓血管外科
6 〜 10 吉田 成利
千葉大学 呼吸器外科
10:20 〜 11:00
10:12 〜 10:52
10:20 〜 10:52
大血管 3
先天性心疾患 2
縦隔腫瘍 2
11 〜 15 窪田 博
10 〜 14 北堀 和男
11 〜 14 野守 裕明
杏林大学 心臓血管外科
東京大学 心臓外科
慶應義塾大学 呼吸器外科
11:00 〜 11:48
10:52 〜 11:40
弁膜症1
先天性心疾患 3
16 〜 21 宮入 剛
15 〜 20 安藤 誠
三井記念病院 心臓血管外科
榊原記念病院 心臓血管外科
11:00 〜 12:00
教 育 講 演
Airway Stentology:stents and stunts
座長 池田 徳彦
東京医科大学 外科第 1 講座
演者 宮澤 輝臣
聖マリアンナ医科大学 呼吸器・感染症内科
協賛:オリンパスメディカルシステムズ株式会社
12:10 〜 13:10
12:10 〜 13:10
ランチョンセミナー Ⅱ
ランチョンセミナーⅠ
肺癌に対する胸腔鏡手術
周術期チームにおける 集中治療医の役割
−超音波メスを使った肺門縦隔
リンパ節郭清を中心に−
座長 井野 隆史
さいたま市民医療センター 副院長
座長 小 泉 潔
日本医科大学 呼吸器外科
演者 川 原 克 信
大分大学 総合外科学第 2 講座
協賛:ジョンソン・アンド・ジョンソン株式会社
演者 讃井 將満
自治医科大学さいたま医療センター 麻酔科
協賛:帝人ファーマ株式会社
13:15 〜 13:25
名誉会員記授与式
(601:6 階)
10:30 〜 11:20
五人委員会
(701:7 階)
–4–
11:30 〜 12:10
幹事会
(701:7 階)
第Ⅰ会場:601
( 6 階)
第Ⅱ会場:706
( 7 階)
第Ⅲ会場:606
( 6 階)
13:30 〜 14:18
13:30 〜 14:10
13:30 〜 14:10
弁膜症 2
心周術期管理
気腫性疾患
22 〜 27 茂木 健司
船橋市立医療センター 心臓血管外科
21 〜 25 保坂 茂
国立国際医療センター 心臓血管外科
15 〜 19 池田 晋悟
三井記念病院 呼吸器センター外科
14:18 〜 15:06
14:10 〜 14:50
14:10 〜 14:50
弁膜症 3
冠状動脈
肺・感染性疾患
28 〜 33 渡邉 善則
東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科
26 〜 30 吉崎 智也
東京医科歯科大学大学院 心肺機能外科
20 〜 24 大平 達夫
東京医科大学 外科第 1 講座
15:06 〜 15:54
14:50 〜 15:30
14:50 〜 15:30
弁膜症 4
心臓・その他 2
肺悪性腫瘍 1
34 〜 39 磯田 晋
31 〜 35 山口 敦司
25 〜 29 佐藤 幸夫
防衛医科大学校 心臓血管外科
自治医科大学付属さいたま医療センター 心臓血管外科
筑波大学 呼吸器外科
15:54 〜 16:34
15:30 〜 15:54
15:30 〜 16:10
心臓・その他 1
肺・循環管理
肺悪性腫瘍 2
40 〜 44 尾㟢 重之
36 〜 38 稲葉 博隆
30 〜 34 坂尾 幸則
東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科
順天堂大学医学部 心臓血管外科
癌研有明病院 呼吸器外科
15:54 〜 16:26
16:10 〜 16:50
肺・その他
肺悪性腫瘍 3
39 〜 42 田中 良太
35 〜 39 高持 一矢
杏林大学 呼吸器外科
順天堂大学 呼吸器外科
16:50 閉会式
–5–
第
I 会場(601:6 階)
9:00〜9:40 大血管1
座長
I - 1
術例
鈴 木 伸 一(横浜市立大学 心臓血管外科)
下大静脈を圧迫閉塞した巨大胸腹部仮性大動脈瘤の 1 手
I - 2
一例
高齢者下行大動脈瘤破裂に対するステントグラフト内挿術の
東京女子医科大学病院 心臓血管外科
自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科
中山祐樹、青見茂之、冨岡秀行、山崎琢磨、梅原伸大、東 隆、
板垣 翔、由利康一、根本一成、安達秀雄
山嵜健二、黒澤博巳
症例は86歳女性。近医にて、下行大動脈瘤破裂と診断され当院へ救
症例は68歳の男性。2005年から高血圧症に対し内服加療中。2008
急搬送され、ハイリスク症例のためステントグラフト内挿術を行う方針と
年下肢浮腫を認め、精査で胸腹部大動脈瘤と診断され当院に紹介
なった。左後腹膜アプローチで左総腸骨動脈にConduit Graftを縫着
受診。後腹膜腔内を占拠する最大径16.6cmの胸腹部仮性大動脈瘤
し、同部からシース、デバイス挿入を行った。エンドリークなく手術は終了
(CrawfordIV型)
、及び動脈瘤の圧迫による下大静脈閉塞を認め
した。手術時間は 4 時間、出血量は470mlであった。術当日、人工呼
た。2009年 1 月超低体温循環停止下に腹部 4 分岐再建を伴う人工血
吸器より離脱。歩行器での歩行は可能となり術後26日目にリハビリ目的で
管置換術を施行した。術後下肢浮腫は改善し、現在外来で経過観察
転院となった。
中。
I - 3
術例
右室流出路狭窄を来した未破裂Valsalva洞動脈瘤の 2 手
I - 4
ITPを合併したAVR術後の胸腹部大動脈瘤の 1 例
青梅市立総合病院 胸部外科
横浜市立大学 外科治療学 心臓血管外科
渡辺大樹、大島永久、白井俊純、牧田 哲、染谷 毅
長 知樹、鈴木伸一、磯松幸尚、岩城秀行、南 智行、益田宗孝
症例は76歳、男性。2006年10月にARに対してAVR(MOSAIC#25)
未破裂Valsalva洞動脈瘤が右室流出路狭窄を来した 2 例を経験した
を施行し、ITPには血液内科でPSL投与中であった。2008年10月に便
ので考察を加えて報告する。症例 1 : 71歳男性。レントゲンで異常指
秘のために施行した腹部CTで胸腹部大動脈瘤(Crawford 3 型)
を認
摘され精査で右冠動脈洞Valsalva洞動脈瘤と診断。最大径56mm、
めて当科紹介。腎機能障害、認知症を合併していたが、瘤最大径は
右室流出路狭窄を認め、パッチ閉鎖術を行った。症例 2 : 83歳男性。
95mmと巨大であり、手術を施行。F-F bypassによる部分体外循環下
レントゲンで異常指摘され精査で右冠動脈洞Valsalva洞動脈瘤と診
に胸腹部大動脈置換術、肋間動脈(Th10、L1)
および腹部分枝(CA、
断。最大径69mm、右室流出路狭窄、右心不全を認め、肺動脈弁越
SMA、bil RA)再建をおこなった。ITPは血小板40単位およびPSLの投
しに瘤縫縮し、パッチ閉鎖術と大動脈弁置換術を行った。
与にて増悪なく、術後経過は良好であった。
I - 5
腹腔動脈が偽腔より起始した慢性B型大動脈解離に対し、
全弓部置換術および腹部分枝動脈バイパス術を施行した 1 例
東京医科大学病院 血管外科
飯田泰功、佐伯直純、高江久仁、駒井宏好、小櫃由樹生、
重松 宏
症例は69歳男性。平成16年にB型大動脈解離を発症し、経過観察中
に径拡大を認めたため、手術目的に平成21年 2 月 7 日入院となった。
CTにて遠位弓部に60mmの解離性大動脈瘤を認め、解離は左鎖骨
下動脈から腹腔動脈まで及び、腹腔動脈は偽腔より起始していた。 2
月16日全弓部置換術および上行グラフト-総肝動脈バイパス術を施行し
た。文献的考察を加え報告する。
–6–
9:40〜10:20 大血管 2
座長
田 中 良 昭(自衛隊中央病院 胸部外科)
I - 6
右側大動脈弓に発症した慢性大動脈解離の 1 治験例
群馬県立心臓血管センター 心臓血管外科
I - 7
の一例
岡田修一、金子達夫、江連雅彦、佐藤泰史、長谷川豊、
信州大学 心臓血管外科
小池則匡、滝原 瞳、小此木修一
志村 愛、和田有子、高橋耕平、大津義徳、寺崎貴光、
症例は66歳男性。高血圧で加療されていた。平成19年11月、急性大
高野 環、福井大祐、天野 純
右腕頭動脈瘤を含む多発動脈瘤を呈したマルファン症候群
動脈解離DeBakey Ⅲb型(最大径54mm)
を発症し、当院に入院した。
症例は51歳、女性。他院で下行大動脈瘤、腹部大動脈瘤の手術歴
保存的加療で同年12月に退院し、経過観察されていた。平成20年 5
があり、高身長、骨格異常などがありマルファン症候群が疑われてい
月のCTで瘤は最大径60mmに拡大していたため、手術適応と判断し同
た。2009年 2 月突然の背部痛で前医を受診。急性大動脈解離破裂の
年 6 月に当院入院した。同年 7 月、弓部全置換+経大動脈ステントグラ
診断で当院に搬送。弓部大動脈置換術を施行した。切除した大動脈
フト施行した。経過良好で術後40日目に退院した。若干の文献的考察
壁は嚢胞性中膜壊死の診断であった。造影CTからは右腕頭動脈瘤、
を含め報告する。
膵頭部周囲の動脈瘤、両側総腸骨動脈瘤、両側内腸骨動脈瘤を認め
た。若干の文献的考察を加えて報告する。
I - 8
の1例
分類不能の結合組織異常と思われた若年者の多発動脈瘤
I - 9
例
漏斗胸による胸郭変形を有した急性大動脈解離の 1 手術
東京大学医学部 心臓外科
山梨県立中央病院 心臓血管外科
川島 大、竹谷 剛、師田哲郎、高本眞一
本田義博、土屋幸治、中島雅人、腰山 宏
20歳女性、生来健康。家族歴:祖父が脳動脈瘤破裂によるSAH。
症例は59歳男性、DeBakey I型急性大動脈解離の診断。漏斗胸によ
2008年 4 月健診にて胸部単純X線検査で異常陰影を指摘。CT検査に
る胸郭変形を有し、術前CTでは心臓は左側へ変位していたが、大動
て、弓部形成異常を伴った、弓部、下行大動脈瘤(いずれも嚢状瘤)
脈は正中に存在した。通常の胸骨正中切開で開胸、上行大動脈およ
及び、脳動脈瘤(左内頚動脈−後交通動脈分岐部)
、左内頚動脈の著
び右心房は通常にアプローチ可能であり、右鎖骨下動脈および大腿動
明な拡張、蛇行を指摘された。脳外科にて、頭部病変は、治療のリス
脈送血、右心房脱血での体外循環確立し上行大動脈人工血管置換術
クが高く、経過観察となり、2009年 3 月左前側方開胸下に、弓部−下
を行いえた。胸郭変形の存在する患者では、開心術・大血管手術での
行大動脈置換術、左鎖骨下動脈再建術を行った。病因的にも興味深
アプローチに難渋することがあり、文献考察を加え報告する。
い動脈瘤であった。
I - 10 成人大動脈縮窄症に合併した弓部大動脈瘤の 1 手術例
自衛隊中央病院 胸部外科
野澤幸成、田中良昭、竹島茂人、小原聖勇、橋本博史
症例は42歳男性。右腓骨骨折のため手術目的で他院に入院中、胸部
異常影を指摘された。他院のMRIで弓部大動脈瘤と診断され、手術目
的で当院紹介となった。当院で撮影したCTでは、左総頸動脈起始部
から左鎖骨下動脈起始部にかけて大動脈が狭小化しており、その狭小
化している弓部小弯側に41mm大の嚢状瘤を認めた。手術は胸骨正中
切開で全弓部置換術を行った。術後経過は良好で退院した。大動脈
壁の病理所見では、cystic medial necrosisを認めた。若干の文献的
考察を加えて報告する。
–7–
10:20〜11:00 大血管 3
座長
窪 田 博(杏林大学 心臓血管外科)
I - 11 人工血管内挿法で治癒せしめた下行大動脈瘤破裂の一例
東京都立府中病院 心臓血管外科
I - 12 AAE、ARにて大動脈基部置換術施行し、3 年後カンジダ
菌による感染性心内膜炎によりcomposite graft脱落と仮性動脈瘤を生
二宮幹雄、大塚俊哉、野中隆広、稲田健太郎
じた一例
80歳、男性。平成20年 5 月、下行大動脈下部の嚢状瘤破裂で入
医療法人社団公仁会大和成和病院 心臓血管外科
院。人工血管置換術を行う方針であったが、左肺が下行大動脈下部
遠藤由樹、倉田 篤、武藤康司、奥山 浩、南淵明宏
に強く癒着していて、遠位側の吻合が困難であった。そこで瘤の中枢側
患者は68歳男性。上行大動脈瘤、AR、AAEの診断にて平成18年
の下行大動脈を切離し、人工血管を瘤の遠位まで内挿して終了した。
modified Bentall法による大動脈基部置換術施行。 2 年後肺炎による
術後25日目には瘤内は血栓化しており、10カ月後には瘤径の縮小( 8 ×
全身状態の悪化、入院後敗血症となり血液培養でカンジダ菌が認められ
4.8cmから 6 ×4.2cmに)
をみとめ、治癒したと判断した。本法で確実な
た。UCGにてcomposite graftが脱落し、大動脈基部に仮性動脈瘤が
止血や血栓化が得られる保証はないが、緊急避難的な方法としては有
認められた。抗生剤投与を約 5 カ月継続し炎症所見が陰性化した時点
用と考えた。
でBentall法による再手術施行、術後経過は良好であった。
I - 13
脈置換術
脈修復
慢性Ⅲb型解離の肺穿破、大量喀血に対する胸腹部大動
I - 14
外傷性大動脈破裂、心タンポナーデ、ショックに対する大動
杏林大学医学部 心臓血管外科
杏林大学医学部 心臓血管外科
土屋博司、窪田 博、戸成邦彦、遠藤英仁、高橋 雄、
柳沼和恵、窪田 博、戸成邦彦、遠藤英仁、土屋博司、
稲葉雄亮、須藤憲一
高橋 雄、稲葉雄亮、須藤憲一
59歳女性。1995年発症のⅢb型解離に対して同年腋窩大腿動脈バイパ
74歳男性。解体作業中に廃材が前胸壁を強打し救急要請。到着時
ス術、Yグラフト置換術施行。2003年、左開胸遠位弓部~下行大動脈
JCSⅢ- 300。徐々に意識回復。近医でCT施行し大動脈基部のtearと
部分置換術施行。2008年 4 月、外出中喀血し当院救急外来受診。
心タンポナーデを認めたため、手術目的で当院搬送、緊急手術を施行し
外来で大量喀血し緊急挿管。CTで残存胸腹部大動脈瘤肺内穿破を
た。Tearは左冠動脈入口部から10mm末梢側を横走しており、フェルト
認めた。TEEでsevere AR。緊急手術:第 7 肋間開胸、超低体温循
補強し直接閉鎖した。術後経過順調で17病日独歩退院となった。文献
環停止、心尖ベント併用、胸腹部大動脈置換術(Gelweave 30mm)
的考察を含め報告する。
施行。術後経過良好で33病日独歩退院となった。
I - 15 脳梗塞による左片麻痺を合併した急性A型大動脈解離に対
して上行大動脈置換術を施行した一例
NTT東日本関東病院
伊藤雄二郎、中村喜次、片岡 豪、本間信之、細山勝寛、
田鎖 治、市川靖充、山岡由美子、森田明夫
74歳女性。突然の背部痛、呂律障害、左片麻痺を発症。発症後30
分で救急外来受診。急性大動脈解離による脳梗塞が疑われたため
CT、頭部MRIを施行。右中大脳動脈領域の脳梗塞、血栓閉塞型急
性A型解離を認めた。全身状態は良好であったため上行大動脈置換
術を施行。術後新たな脳合併症の発症なく、36日目でリハビリ目的の転
院。現在杖歩行にて外来通院中である。
–8–
11:00〜11:48 弁膜症 1
座長
宮 入 剛(三井記念病院 心臓血管外科)
I - 16 弁輪部膿瘍を伴うIEのAVR術後にIE再発し、DVR、全周
性弁輪形成を要した一例
I - 17 大動脈弁置換術後に外傷性の左室右房交通症をきたし、
再手術に至った一治験例
山梨県立中央病院 心臓血管外科
医療法人鉄蕉会亀田総合病院 心臓血管外科
腰山 宏、土屋幸治、中島雅人、本田義博
加藤雄治、加藤全功、久本和弘、古谷光久、外山雅章
症例は78歳女性。診断はIE、AR、MR。 1 年前、IE、AR、MRに
左室右房交通症は比較的まれな先天性心疾患とされているが、外傷、
対して緊急でAVR、膿瘍腔閉鎖術を施行した。大動脈弁の無冠尖と
感染性心内膜炎、虚血性心疾患、弁置換術合併症に起因する後天性
左冠尖の交連部に疣贅を認め、その直下の膿瘍腔により僧帽弁前尖が
の報告も散見される。今回我々は大動脈弁置換術後に外傷性の左室
大動脈弁輪より離解していた。術後退院となったがIEを再発。人工弁
右房交通症をきたし、その後感染心内膜炎を併発したが保存的加療に
の動揺、AR、MRによる心不全を認め、緊急手術となった。大動脈弁
て軽快、しかし術後13年目に大動脈弁逆流の進行に伴い再手術に至っ
輪に全周性の膿瘍、僧帽弁前尖に穿孔を認めたため、ウマ心膜パッチ
た稀有な症例を経験したので考察を加え報告する。
にて弁輪形成し、AVR、MVRを施行した。
I - 18 CABG後ASに対するハイブリッド再手術の 1 例
社会福祉法人三井記念病院 心臓血管外科
I - 19 CABG術後、高度石灰化大動脈を伴うIE・ASRに対する
再手術の 1 例
矢野琢也、宮入 剛、金光一瑛、山内治雄、三浦純男、
新潟県立新発田病院
木川幾太郎、福田幸人
青木賢治、大関 一、杉本 愛、斉藤正幸
症例は56歳男性。1995年急性心筋梗塞に対して冠動脈バイパス術 5 枝
症例は82歳、男性。75歳時にCABG(LITA-# 8 、SVG-# 4 PD)
を
(LITA-LAD、SV-D1-PL-4AV、GEA-4PD)施行。2009年大動脈弁
受けた。化膿性椎間板炎+IE・ASRに対して抗生剤治療を続けるも感
狭窄症(圧較差52mmHg)
の進行に対して再手術の方針となる。ハイブ
染再燃、心不全進行にて手術を余儀なくされた。上行AoはSVGが吻合
リッド手術室にてカテーテル的に開存LITAの血流を遮断し安全に大動
されている上、全周性に石灰化していた。SVGは胸骨裏面に接してい
脈弁置換術を施行しえた。
た。CT所見を参考にSVG損傷なく胸骨を再切開できた。送血は腋窩
+FA。循環停止下に上行Ao切開し、石灰化内膜を切除してAo遮断し
た。23mm生体弁でAVR。術後脳合併症なく独歩退院した。手術工
夫とCABG後の再手術に関する考察を含めて報告する。
I - 20 冠動脈バイパス術後に進行した大動脈弁狭窄症に対して
Apico-Aortic Conduitを施行した一例
I - 21
例
重症大動脈弁狭窄症とS状結腸癌に対する同時手術の 1
1湘南鎌倉総合病院 心臓血管外科
順天堂大学医学部 心臓血管外科
2東京慈恵会医科大学 柏病院
山岡啓信、山本 平、丹原圭一、稲葉博隆、山崎元成、
1
2
1
1
安達晃一 、川人宏次 、野口権一郎 、森田英幹 、太田浩雄
1
土肥静之、松村武史、嶋田晶江、天野 篤
78歳 女 性。 冠 動 脈バイパス術 後 8 年で大 動 脈 弁 狭 窄 症(圧 格 差
79歳女性。意識消失発作を繰り返し来院、精査にて重症ASと診断。
100mmHg、大動脈弁軽度)
が進行して心不全で入院。過去の冠動脈
貧血精査にてS状結腸癌を認めた。易出血性でCFが通過しない進行
バイパス術はすべて開存。肺炎を制御した後、PTAVを行って人工呼
癌であった。 2 期的手術も考慮したが、認知症による病識欠如著明で
吸器から離脱。外泊が可能になるくらいまでリハビリテーションし、入院53
2 度の全身麻酔手術は困難と判断した。また消化器癌に伴う術後PVE
日目にApico-Aortic Conduit手術施行。経過良好で術後第12病日に
を回避するために、同時手術を行う方針とした。AVR(CEP19mm)
退院。
CABG × 1(SVG-PL)
を行った後、続いてS状結腸切除術を行った。
術後経過良好で術後第12病日退院となった。
–9–
13:30〜14:18 弁膜症 2
座長
I - 22
た一例
茂 木 健 司(船橋市立医療センター 心臓血管外科)
僧帽弁位PVEに対して心房中隔を利用して再置換術を行っ
I - 23 腱索断裂による僧帽弁閉鎖不全症を合併した閉塞性肥大
型心筋症の一手術例
東京慈恵会医科大学 心臓外科
1横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 心臓血管センター
保科俊之、川田典靖、儀武路雄、配島功成、長沼宏邦、
2横浜市立大学医学部附属病院 第 1 外科
橋本和弘
町田大輔 、井元清隆 、内田敬二 、柳 浩正 、伊達康一郎 、
1
1
1
1
1
2
1
1
症例は73歳男性。 4 カ月前に他院にて僧帽弁置換術を受けている。
安田章沢 、杉浦唯久 、益田宗孝
発熱を伴わないCRPの上昇、心雑音の出現にて心エコーを行い、PVE
症例は58歳女性。突然の呼吸苦と血痰で発症し緊急入院。酸素化
と診断され当院紹介となった。抗生剤治療を開始したが、vegetation
障害著明で気管挿管。心エコーにてsevere MR(PML prolapse)
、
の増大が認められ準緊急手術となった。vegitationを摘出、感染創の
LVH、LVOTO+、SAM+、HOCMに腱索断裂によるMRを合併した
debridement後にvalsalvaと交通した病変部をパッチ閉鎖した。人工弁
急性心不全、肺水腫の診断。内科的治療に反応乏しく僧帽弁置換術
再逢着に際し、後尖弁輪と前尖弁輪の一部に加えて心房中隔を利用し
+左室流出路筋束切除術を施行。術後低左心機能及び重度呼吸機
て右房側より刺入し、人工弁を再縫合した。
能障害のためPCPSサポートを要したが術後 3 日目に離脱し軽快退院し
た。腱索断裂によるMRを合併したHOCMの報告は稀で文献的考察を
加え報告する。
I - 24 大動脈弁置換術後遠隔期にパンヌスによるintermittent
stuck valveを来した一例
I - 25 もやもや病を合併した僧帽弁閉鎖不全の一例
新潟市民病院 心臓血管外科
船橋市立医療センター 心臓血管外科
羽賀 学、中澤 聡、佐藤裕喜、本橋慎也、高橋善樹、
青木哉志、茂木健司、杉本晃一、高原善治
金沢 宏
症例は65歳、男性。平成 6 年、感染性心内膜炎に対し大動脈弁置
もやもや病は中大脳動脈狭窄・閉塞による疾患群で開心術の報告は
換術(Edwards-TEKNA 21mm)
を施行後、外来で経過観察中であっ
少ない。脳合併症回避のための対策を報告する。症例は44歳女性。
たが、平成20年11月の心エコーにて、数拍に 1 回のみAR3°
の出現が
30年前に心房中隔欠損閉鎖術と僧帽弁閉鎖不全に対する弁輪縫縮術
認められた。透視下での人工弁の動きは、異常を認めず。stuck valve
(Kay法)
を施行。起座呼吸を呈す僧帽弁閉鎖不全(VI度)で当院に
の診断で手術を施行。人工弁自体の動きは良好であったが、弁輪部か
紹介。術前精査でもやもや病を指摘され、両側浅側頭動脈-中大脳動
ら左室側に向かってパンヌスが認められ、これを切除したのち、機械弁
脈吻合術、IABP、低体温、術中血圧とPCO2 の管理等の対策を取り、
による弁置換術を行った。
僧帽弁置換術を施行。神経学的異常を認めず退院した。
I - 26 活動期感染性心内膜炎、弁輪部膿瘍に対して
Manouguian法による 2 弁置換を施行した 1 例
例
横浜市立大学 外科治療学 心臓血管外科
獨協医科大学越谷病院 心臓血管外科
南 智行、鈴木伸一、磯松幸尚、岩城秀行、長 知樹、
大喜多陽平、齊藤政仁、田中恒有、深井隆太、入江嘉仁、
松木佑介、益田宗孝
今関隆雄
症例は23歳男性。主訴は発熱。血液培養陽性であり、心エコー上僧
感染性心内膜炎に左室破裂を合併することは希であるが、二度の左室
帽弁に疣贅を認め、AM continuityに膿瘍腔を認めた。CTで多発脳
破裂を合併し救命し得た一症例を経験したので報告する。症例は、46
梗塞、腎、脾梗塞も認めた。感染性心内膜炎の診断で手術を施行。
歳女性。感染性心内膜炎にて重度僧帽弁閉鎖不全症および心タンポ
I - 27
二度の左室自由壁破裂をきたした感染性心内膜炎の 1 症
大動脈弁は 2 尖であり、大動脈弁僧帽弁線維性連続に疣贅を認め、
ナーデを合併し2008年 7 月17日緊急手術を行った。術中、血栓心嚢液
僧帽弁前尖に穿孔を認めた。AM continuity、大動脈弁、僧帽弁を
と左室自由壁の破裂を認めた。僧帽弁置換術、左室破裂修復術を施
切除しManouguian法による 2 弁置換を施行し良好な結果を得た。
行した。経過良好であったが、2008年 8 月29日再度左室破裂を合併
し、左室破裂部位にパッチ閉鎖術を施行した。
– 10 –
14:18〜15:06 弁膜症 3
座長
渡 邉 善 則(東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科)
I - 28 IEを合併したunstable AP、ASr、MRに対して大動脈弁
下膿瘍腔にパッチ閉鎖、AVR、MVP、 2 枝バイパスを行った一例
I - 29 感染性上腸間膜動脈瘤と深大腿動脈瘤を合併した感染性
心内膜炎の 1 症例
山梨大学医学部附属病院 第 2 外科
聖マリアンナ医科大学病院 心臓血管外科
榊原賢士、松本雅彦、白岩 聡、木村光裕、加賀重亜喜、
小野裕國、鈴木敬麿、亀井奈津子、向後美沙、永田徳一郎、
井上秀範、緒方孝治、鈴木章司、進藤俊哉
安藤 敬、村上 浩、小林俊也、近田正英、幕内晴朗
症例は69歳女性。severe ASでフォロー中39℃の発熱、心不全症状が
症例は61歳男性。心エコーで僧帽弁に疣贅を認め、血液培養が陽性
悪化し齲歯によるIEを疑い緊急入院となった。胸痛発作が頻回のため
となった。画像診断で多発脳梗塞と左腎梗塞、上腸間膜動脈瘤、左
CAGを行ったところLMT99%、緊急手術となった。手術は大動脈弁に
深大腿動脈瘤を認めた。疣贅は巨大であり、可動性が大きいため更な
vegetationを認め弁下部に膿瘍腔を形成していたため同部位を自己心
る塞栓症や感染性脳動脈瘤の可能性が高いと判断し緊急手術とした。
膜でパッチ閉鎖、AVRを施行しSVGでLAD、Cxにバイパス、MVPを行っ
感染性心内膜炎に複数の感染性動脈瘤を合併した報告はまれであるた
た。術後経過良好であった。
め、若干の文献的考察を加え報告する。
I - 30 大動脈弁狭窄症(先天性二尖弁)に弁輪部膿瘍を合併した
活動期感染性心内膜炎に対する 1 手術例
I - 31 市中MRSAによる活動期感染性心内膜炎に対して僧帽弁
形成術後を行った 1 例
諏訪赤十字病院 心臓血管外科
聖隷浜松病院
駒津和宜、坂口昌幸、田中啓之
渕上 泰、小出昌秋、國井佳文、渡邊一正、新垣正美
72歳 男 性。 主 訴 は 発 熱、 倦 怠 感、 食 欲 不 振。 血 液 培 養 でα-
症例は29歳女性。発熱を主訴に近医受診。血液培養でMRSA検出さ
streptococcusを検出。UCGでは大動脈弁は 2 尖で圧較差50mmHg
れ心エコーでも僧帽弁に疣贅認め感染性心内膜炎と診断。内科的治
の大動脈弁狭窄あり、大動脈弁輪部心室中隔側に膿瘍腔を認めた。カ
療で経過みていたが心不全の増悪と急性腎不全の合併もあり手術を行う
ラードップラーにて大動脈・左室との交通が認められた。手術は膿瘍腔
方針とした。疣贅は僧帽弁後連部を中心に前尖にも及んでいた。疣贅
郭清、馬心膜パッチによる大動脈弁輪形成、ステントレス生体弁による
を除去し残った後尖をedge to edgeにて縫合しさらに自己心膜プレジェッ
大動脈基部置換術および上行大動脈置換術を施行した。術後経過は
トで弁輪を縫縮した。術後リネゾリドの投与を行い経過良好であった。
順調であった。
市中MRSA感染性心内膜炎は稀であり、若干の文献的考察を加え報
告する。
I - 32
例
I - 33 IEによる三尖弁閉鎖不全の 2 手術例
東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科
異時・多発性に末梢動脈瘤を生じた感染性心内膜炎の 1
医療法人立川メディカルセンター立川綜合病院 心臓血管外科
佐々木雄毅、渡邉善則、寺本慎男、原 真範、益原大志、
三島健人、山本和男、佐藤正宏、上原彰史、滝澤恒基、
濱田 聡、小澤 司、藤井毅郎、塩野則次、小山信彌
杉本 努、吉井新平、春谷重孝
症例 1 は47歳男性。発熱で他院受診。肝不全、腎不全を認め当院
56歳男性。2008年 7 月より微熱あり、 8 月のCTで両側後脛骨動脈瘤
救急外来へ搬送された。血液培養でMSSAが検出され、抗生剤治
指摘。10月 9 日突然の腹痛あり、僧帽弁位感染性心内膜炎及びSMA
療を開始。経過中に心エコーで三尖弁に疣贅を認め、内科的治療後
塞栓の診断。抗菌剤で加療行うも、10月17日脳動脈瘤から出血し開頭
にCEP29mmでTVR施行。症例 2 は60歳男性。発熱で他院入院中
手術。11月 5 日腹痛出現、CTでSMA瘤発見。瘤切除及びGEAでの
に血液培養でstreptococcus oralisが検出され、三尖弁に疣贅を認め
バイパス術。MR悪化し2009年 1 月 7 日僧帽弁置換術。 2 月 6 日に後
た。抗生剤治療後にTVPを施行。いずれも術後経過良好で退院となっ
脛骨動脈瘤切除を施行した。感染性心内膜炎に伴う異時・多発性の
た。文献的考察を加えてこの 2 例を報告する。
動脈瘤は稀と考え報告する。
– 11 –
15:06〜15:54 弁膜症 4
座長
磯 田 晋(防衛医科大学校 心臓血管外科)
I - 34 若年女性のPDA合併ARに対し大動脈弁形成術及びPDA
閉鎖を皮膚小切開で行った一例
I - 35 機能的閉鎖不全に対する僧帽弁複合体手術
防衛医科大学校 心臓血管外科
聖路加国際病院 心臓血管外科
磯田 晋、木村民蔵、増子雄二、山中 望、中村伸吾、前原正明
植西倫子、山崎 学、阿部恒平、渡邉 直、川副浩平
55歳男性。機能的僧帽弁閉鎖不全のtetheringに経僧帽弁的な乳
既往のない18歳女性。頭痛主訴に他院受診。拡張期低血圧あり、
頭筋接合術とループを用いた乳頭筋吊上げを施行し、人工弁輪縫
心エコーでARⅢ°
( 2 尖弁)及びPDAを認めた。弁形成術希望され
縮、2 次腱索切除、心再同期療法を追加した。術前/後でtethering
当院紹介受診。手術は胸骨正中切開を行ったが若年女性のため皮
height10.4mm/3.4mm、MRsevere/mild、PAsys53mmHg/sys
膚切開は約10cmに留めた。上行大動脈送血、右房脱血で体外循
39mmHg、BNP2048/821と改 善した。 乳 頭 筋 接 合と吊り上 げ は
環確立。大動脈遮断後主肺動脈を切開しPDAを閉鎖。大動脈弁は
tetheringを改善し、ループの利用で吊上げ距離のコントロールが簡便で
TEE通りRCC-NCCが癒合。大動脈弁輪形成及びraffeを吊り上げる
あった。
tricusplizationを施行。術後心エコーでmildAR。術後経過良好で、
術後 7 日目退院。
I - 36 石灰化上行大動脈を合併した重症ASの一治験例
葉山ハートセンター
I - 37 多発性嚢胞腎による維持透析中の、上行大動脈高度石灰
化病変を伴う大動脈弁狭窄症に対し、上行大動脈置換術、大動脈弁
片平晋太郎、深田靖久、星野丈二、磯村 正
置換術を施行した一例
76歳男性、慢性透析患者で、高度の上行大動脈石灰化を伴うASで手
国家公務員共済組合連合会虎の門病院
術不能とされフォロー中にVT、心肺蘇生後CHDFを行い、ヘリコプター
小澤毅士、成瀬好洋、田中慶太
で搬送。手術は右腋窩動脈送血、右房脱血で28度低体温、一時的
症例は76歳、男性。多発性嚢胞腎による維持透析中。併存する多発
循環停止、大動脈縦切開、内腔を確認し大動脈を遮断。復温開始、
性肝嚢胞とC型肝炎による肝障害、完全房室ブロックに対するペースメー
逆行性心筋保護で生体弁によるAVRを施行。大動脈遮断解除し、血
カー植え込みの既往あり。
液をflushし、大動脈壁を閉鎖。CPB離脱は容易で術後13日目に独歩で
繰り返す嚢胞感染の治療中、重症大動脈弁狭窄症と診断され、手術
軽快退院した。石灰化上行大動脈を有すASに対し、合併症を回避で
適応と判断。胸部CT上、腕頭動脈近傍まで上行大動脈に高度石灰
きる方法を中心に報告する。
化病変あり。超低体温循環停止下に、上行大動脈人工血管置換術及
び大動脈弁置換術を施行した。長期の抗生物質投与の継続を要した
が、心配された脳障害、肝障害の悪化無く、以後経過良好である。
I - 38 上行大動脈の著明な石灰化を認める大動脈弁狭窄症に対
して大動脈弁形成術を施行した 1 例
I - 39 四度の僧帽弁位人工弁detachmentを起こし、ステロイド投
与が有効と考えられたDVR症例
東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科
東京女子医科大学附属第二病院 心臓血管外科
山下裕正、尾崎重之、内田 真、松山孝義
佐々木章史、小寺孝治郎、浅野竜太、池田昌弘、片岡 豪、
症例は76歳男性。平成20年12月に大動脈弁狭窄症に伴う心不全にて
道本 智、立石 渉、久保田沙弥香、中野清治
入院加療を要し紹介となる。心臓超音波検査上、大動脈弁狭窄症と
47歳男性。DVR後 6 カ月と 8 カ月後に人工弁感染の疑いで再DVRを
低左心機能を呈しており、外科的治療の適応となった。CT検査では、
施行。その後、術後早期より僧帽弁位人工弁detachmentが出現し、
上行大動脈の著明な石灰化を認めており大動脈遮断は不可能と判断し
初回手術より15カ月後と21カ月後に再手術をおこなった。手術所見はい
た。手術は、自己心膜を使用した大動脈弁形成術、上行大動脈人工
ずれも大動脈弁、僧帽弁接合部の広範囲な裂開であり、全経過を通じ
血管置換術を施行した。術後は、経過良好で、大動脈弁逆流は認め
てCRPの陰転化を認めなかった。このため炎症性疾患を考え、ステロイ
られず大動脈弁位の圧較差も10mmHgと低値であった。著明な大動脈
ドを開始し良好な結果を得た。
石灰化を伴う大動脈弁狭窄症例にたいして、大動脈弁形成術および上
行大動脈人工血管置換術を施行し良好な結果を得たので報告する。
– 12 –
15:54〜16:34 心臓・その他 1
座長
I - 40
一例
尾 㟢 重 之(東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科)
循環停止下に左腎細胞癌の下大静脈腫瘍塞栓を摘除した
東京慈恵会医科大学附属柏病院 心臓外科
I - 41
急性動脈塞栓症を契機に発見された巨大左房粘液腫の 1
例
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 心臓血管外科
香川 洋、川人宏次、田口真吾、松村洋高
千葉 清、阿部裕之、北中陽介
症例は60歳男性。血尿で発症し、IVC内に進展した腎細胞癌と診断さ
症例は37歳の男性。仕事中に突然右上肢の痛みが出現し、冷感としび
れた。同時に深部静脈血栓症と両側肺動脈塞栓を認めたため、IVC
れが増悪したため、当科を受診した。右上腕動脈から末梢の拍動は触
filterを留置し、血栓融解療法を開始したが、貧血が進行し、さらに
知せず、血栓除去を行う方針とした。しかし術前、経胸壁心臓超音波
IVC内の腫瘍塞栓がfilter内にまで進展したため、左腎摘術、および腫
上、左房内に境界明瞭な内部エコー輝度が不均一な腫瘤が発見され、
瘍塞栓摘出・下大静脈部分合併切除術を循環停止下に施行した。術
拡張期に左室心尖部に嵌頓するため、再発予防のため腫瘤摘出術を
後は順調で、37PODに軽快退院した。
行った後に上腕動脈の血栓除去術を行った。摘出した腫瘍と塞栓は病
理学的に粘液腫と判明した。若干の文献的考察を踏まえて報告する。
I - 42 心嚢液貯留で診断に至った巨大右房腫瘍の一例
東邦大学医療センター大橋病院 心臓血管外科
I - 43 収縮性心膜炎を合併した右房内炎症性腫瘤の 1 例
1筑波大学附属病院 心臓血管外科
松山孝義、尾崎重之、内田 真、山下裕正
2筑波大学附属病院 病理部
40歳男性。感冒症状にて近医を受診し心拡大を指摘されるも経過観
川又 健 、榎本佳治 、松原宗明 、金子佳永 、徳永千穂 、
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
察。その後、平地歩行にて息切れが出現するようになり当院に紹介と
佐々木昭暢 、金本真也 、佐藤藤夫 、松下昌之助 、平松祐司 、
なった。当院にて施行した心臓超音波検査では、右房内の腫瘤およ
榊原 謙 、南 優子
び、多量の心嚢液貯留を認めていた。悪性腫瘍を疑ったが遠隔転移
74歳、男性。難治性胸水を主訴に来院し、収縮性心膜炎の診断のもと
の所見はなく、人工心肺使用下に腫瘤摘出および馬心膜パッチによる右
心膜切除術を行った。術中心嚢内は右房を中心に強い癒着を認め、心
房再建を行った。術後は、心不全など認めることなく良好に経過し第14
房中隔から右房、上大静脈入口部にかけて連続する弾性硬の腫瘤が
病日に退院となった。病理所見では、angiosarcomaであった。
1
2
触知された。経食道エコー上はLipomatous hypertrophyが疑われた
が、病理診断では断裂した心筋間に炎症性細胞浸潤を伴った像が主
体で、脂肪組織の介在は軽度であった。
I - 44 大動脈弁に発生した乳頭状弾性線維腫の一切除例
新潟県立新発田病院 心臓血管外科、呼吸器外科
杉本 愛、青木賢治、斎藤正幸、大関 一
症例は70歳女性。胸部苦痛を主訴に受診した。心エコーにて大動脈
弁位に可動性のある1.5cm大の腫瘤を認め、乳頭状弾性線維腫の診断
で手術を行った。腫瘤は大動脈弁右冠尖の大動脈側に付着しており、
一部右冠尖とともに切除し、弁形成術を併施した。病理組織検査で乳
頭状弾性線維腫と診断された。大動脈弁に発生した乳頭状弾性線維
腫に対し大動脈弁形成術を併施して腫瘍摘出した症例を経験したので
文献的考察を加えて報告する。
– 13 –
第
II 会場(706:7 階)
9:00〜9:32 食道・その他
座長
宗 田 真(群馬大学大学院 病態総合外科学)
II - 1
II - 2
特異な臨床所見を呈した食道癌術後自然気胸の 1 例
独立行政法人国立病院機構中信松本病院 呼吸器外科
1
砥石政幸 、矢満田健
成人期に発症した食道気管支瘻の 1 手術例
1新潟県立新発田病院
1
2新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野
1
1
1
1
2
症例は74歳、男性。食道癌にて食道亜全摘術及び胃管による胸骨後
斉藤正幸 、大関 一 、青木賢治 、杉本 愛 、土田正則
経路再建の既往あり。2008年11月13日、皮下気腫を主訴に当院外来を
31歳男性。平成17年から食事中の前胸部痛が出現し、上部消化管内
受診、CTにて両側気胸、縦隔気腫、皮下気腫と気腹を認めた。両側
視鏡で食道潰瘍を指摘されていた。平成20年嚥下時の咳、痰が出現
胸腔ドレナージを行ったがair leakageが持続,CTにて中葉にブラを認め
するため内科へ入院した。胸部CT、食道造影検査等で食道と左下葉
たため、右開胸にて中葉部分切除術を施行した。術中所見より、今回
気管支の間に瘻孔を認めた。内科的治療にて瘻孔は閉鎖せず、左下
の経過は右自然気胸により発生した空気が胃管周囲の縦隔胸膜欠損部
葉に膿瘍を形成したため手術施行した。下部食道・胃噴門部切除、
位から対側胸腔、縦隔、腹腔に至った結果であると推測された。
左下葉切除術を施行した。下葉と食道の間には肉芽腫を形成し、下葉
には高度の炎症を認めた。まれな症例であり報告する。
II - 3
II - 4
手術症例からみたBarrett食道癌の治療戦略
群馬大学大学院 病態総合外科学(第一外科)
後側方開胸における肋骨ピンの臨床応用
国立がんセンター中央病院 呼吸器外科
原 圭吾、中島政信、田中成岳、宗田 真、加藤広行、桑野博行
河内利賢、桜井裕幸、渡辺俊一、浅村尚生
【目的】Barrett食道癌の治療方針を検討した。【対象と方法】手術症例
9 例を対象として臨床病理学的特徴、予後を解析した。【結果】手術
は食道亜全摘・ 2 領域郭清が 6 例、非開胸食道抜去 1 例、下部食
【背景】後側方開胸において、肋骨固定に肋骨ピンを使用し、肋骨変
位の頻度を検討した。
®
【方法】96症例において Super FIXSORB を使用した。肋骨変位は、
道噴門部切除 1 例、ESD 1 例。高分化腺癌 6 例、中分化 2 例、
胸部単純X線正面像で手術 1 週間後、2 カ月後、1 年後に評価した。
低分化 1 例。T1a: 2 例、T1b: 4 例、T2: 2 例、T3:1 例。リン
【結果】変位発生率は術後 1 週間、 2 カ月、 1 年でそれぞれ22%、
パ節転移は 8 例がN0。【結語】Barrett食道癌は高分化で深達度、リ
19%、31%であった。肋骨ピンによる重篤な合併症は認めず、疼痛のた
ンパ節転移も軽度で予後も良好であり、QOLを重視した低侵襲手術を
めにピンの除去を必要とする症例も認めなかった。
選択できると思われた。
【結論】肋骨ピンを用いた肋骨固定は, 高頻度に変位を来たすため, 後側
方開胸においては有用性が低いと考えられた。
– 14 –
9:32〜10:12 先天性心疾患1
座長
金 本 真 也(筑波大学 心臓血管外科)
II - 5
TCPC術後にconduitの血栓閉塞を生じたDORV、apicocaval juxtapositionの 1 成人例
II - 6
筑波大学病院 心臓血管外科
自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓血管外科
徳永千穂、平松祐司、金本真也、松原宗明、金子佳永、榊原 謙
河田政明、立石篤史
24 歳男性。D O R V 型 S V、P S、d e x t r o c a r d i a、a p i c o - c a v a l
19歳時、心房中隔欠損修復の既往を有する61歳女性。チアノーゼ、
術後41年経過した心房中隔欠損の一例:成人先天性心疾
患臨床の現状?
juxtaposition。幼児期のclassical BTSを経て19歳時にBDGを施行
運動制限、呼吸困難にて経過観察中、精査にて肺静脈還流異常を伴
した。残存する低酸素血症に対して運動耐用能改善を望んでTCPC
う静脈洞型ASD、三尖弁/僧帽弁逆流、徐脈性心房細動、肺高血圧
を行った。20mmのextracardiac conduitを心尖の対側に迂回させた
と診断。僧帽弁/三尖弁弁輪形成、心筋電極植え込みを伴う心内修復
fenestrated TCPCとし、IABP補助下にCPB離脱した。術後 8 日目に
を行った。欠損孔閉鎖の痕跡はなく、結婚・妊娠の禁止を含めた41年
conduitの急性血栓閉塞を生じ、血栓溶解・除去を行ったが救命に至
間の経過観察の意味を再考させられた。自覚症状・運動だけでなく精
らなかった。手術適応および経過中の問題点を振り返る。
神活動も著明に改善した。成人先天性心疾患臨床について考察する。
II - 7
手術適応の判断に難渋した成人心室中隔欠損症の 1 例
茨城県厚生農業協同組合連合会土浦協同病院 心臓血管外科
II - 8 成人動脈管開存症に対する一分枝付き井上式ステントグラフ
ト留置術の一例
田崎 大、広岡一信、大貫雅裕
1慶應義塾大学病院 心臓血管外科
症例は58歳女性。下腿骨骨折による入院時に、胸部単純写真上の
2(同)放射線診断科
異常を契機に心エコーでVSDと診断された。 3 回のカテーテル検査で
3PTMC研究所
は手術適応を明確に判断できず、肺生検を行なった上で手術を決定し
山邉健太朗 、志水秀行 、笠原啓史 、古梶清和 、四津良平 、
1
2
1
2
1
2
1
1
3
た。VSDはPerimenbrous outlet typeで、二重パッチを作成し閉鎖し
橋本 統 、中塚誠之 、栗林幸夫 、井上寛治
た。術中からNO吸入を行ない、 6 POD抜管、27POD軽快退院となっ
68歳、女性。胆石症の術前精査中に動脈管開存症を指摘された。本
た。若干の文献的考察を加えて報告する。
症例に対し一分枝付き井上式ステントグラフトを留置しシャントは完全に消
失した。成人動脈管開存症に対する血管内治療にはコイル塞栓術、オ
クルーダーやステントグラフトによる閉鎖術があるが、一分枝付きステントグ
ラフトによる治療例は数例にすぎない。若干の文献的考察を加えて報告
II - 9
心内修復31年後に再手術となったTOF、PSR、coronary
AV fisutulaの1例
する。
東京慈恵会医科大学 心臓外科
宇野吉雅、森田紀代造、儀武路雄、山城理仁、篠原 玄、
橋本和弘
症例は48歳、男性。外来検査にて右室容積の拡大と心室性不整脈の
増悪があり、さらに精査にてmoderate PSRおよびLAD# 6 →RVOTの
coronary AV fistulaを認めたため手術施行となった。Fistulaは前回手
術時に筋切除を行ったと思われるTSM前脚部で、これを直視下に閉鎖
しLITAにてD1にバイパスを行った。またP弁は肥厚した 2 尖形態で片
側弁輪部に一部slitがあり、この部位からの逆流も考えられたため生体
弁にて置換し手術を終了。術後は経過良好。
– 15 –
10:12〜10:52 先天性心疾患 2
座長
北 堀 和 男(東京大学 心臓外科)
II - 10 先天性房室ロックに対する新生児期植込み後のペースメー
カー感染に対する 1 治験例 II - 11 漏斗胸修復術とVSD閉鎖術を同時に施行した1 例
山梨大学第 2 外科
新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野
加賀重亜喜、鈴木章司、松原寛知、奥脇英人、志村紀彰、
杉本 愛、渡辺 弘、高橋 昌、白石修一、渡邊マヤ、
宮内善広、木村光裕、榊原賢士、井上秀範、松本雅彦
林 純一
3 歳女児。 1 カ月健診にて心雑音と前胸部の陥凹を指摘され、VSDと
両大血管右室起始、肺動脈閉鎖を合併した先天性房室ブロックの新
漏斗胸と診断された。VSDは膜様部型でQp/Qsは1.81、胸部の陥凹
生児に対して第 6 生日に剣状突起下アプローチでVVIペースメーカー植
容積は40ml、CT indexは5.5で高度陥凹と診断した。手術は胸骨正中
込み
(本体は左上腹部)
を行った。第 3 病日にペースメーカー感染を認
切開でアプローチし、VSDのパッチ閉鎖後に胸骨体最下部に付着する
め、ペースメーカーを摘出して一時ペーシングを行いながら創の治療を
左右 2 対の肋軟骨と剣状突起を切除、腹直筋を胸骨下端へ再固定す
行った。 1 カ月後に創の治癒を待って、左開胸でブラロック短絡とペース
る胸骨挙上術の変法を行った。心内修復術と漏斗胸修復術の同時手
メーカー植込みを行い、本体は左前胸部皮下に植え込んだ。
術により良好な結果を得たので報告する。
II - 12 ファロ-四徴症、右側大動脈弓、左肺動脈起始異常に対し
自己心膜ロールを使用し肺動脈形成を行った一例
II - 13 肺動脈断端部の左房圧迫により肺静脈還流障害を生じた
Norwood手術の 1 例
聖隷浜松病院
東京大学医学部附属病院 心臓外科
渡邊一正、小出昌秋、國井佳文、新垣正美、渕上 泰
北堀和男、村上 新、高岡哲弘、峯岸祥人、吉本明浩、
症例は 5 カ月男児。出生後心エコーにてファロ-四徴症、右側大動脈
長坂貴顕、高本眞一
弓、左肺動脈起始異常と診断。高位鎖肛にて人工肛門造設。出生時
患児は、三尖弁閉鎖症( 2 C)
、上行弓部大動脈低形成にて新生児期
体重が1184gと低出生体重児であり新生児期での肺動脈形成手術は困
の両側肺動脈絞扼術を経て、 3 カ月後Norwood手術(BTシャント)
を施
難であった。lipo PGE 1を使用しながら体重増加をまち手術を行う方針と
行した。左右肺動脈を主肺動脈から離断した際、Gore-Texパッチで断
した。手術は人工心肺使用下でグルタールアルデヒド処理した自己心膜
端部を形成した。術直後より左房内に壁外性圧迫による肺静脈還流障
をロール状にして肺動脈形成を行った。術後の造影CTで肺動脈の形態
害を認め、TEEにより肺動脈離断再建部の圧排と判明。術翌日、肺動
は良好であった。
脈断端部よりGore-Texパッチを除去して再形成し症状の改善をみた。
文献的考察を加え報告する。
II - 14 Sinusoidal communicationを伴うPA, IVSに対するTCPC
completion時に体外循環の工夫を要した一例
1長野県立こども病院 心臓血管外科、
2長野県立こども病院 循環器科
1
1
1
2
2
梅津健太郎 、坂本貴彦 、原田順和 、武井黄太 、瀧聞浄宏 、
安河内聰
2
2 歳男児。PA、IVS、PLSVC、sinusoidal communicationの診
断にてstaged operationを予定し、両側BTSを経て、bil. BDG、
PA angioplastyまで終了。Sinusoidal communication( 3 枝ともRV
dependent)
のため、TCPCを行う際、上行大動脈送血に加え、右房
送血をおこなうことで安定した血行動態を得た。
– 16 –
10:52〜11:40 先天性心疾患 3
座長
II - 15
た1例
安 藤 誠(榊原記念病院 心臓血管外科)
閉塞性肥大型心筋症に対し左室流出路心筋切除を施行し
II - 16
例
Jacobsen症候群に合併した左心低形成症候群の 1 手術
東京女子医科大学 心臓血管外科 東京大学医学部附属病院 心臓外科
笹生正樹、平松健司、岩田祐輔、岡村 達、小沼武司、
吉本明浩、村上 新、高岡哲弘、北堀和男、峯岸祥人
渡辺成仁、矢野清崇、市原有起、駒ヶ嶺正英、山嵜健二、黒澤博身
2 歳女児。在胎40週 3 日、2200gにて出生。胎児超音波検査にて
症例は 8 歳。1 歳時に心雑音を指摘され、閉塞性肥大型心筋症と診
HLHS(AA/MA)
と診断。また、染色体検査にて11番染色体の一部
断され、β―ブロッカーの内服にて経過観察されていたが、徐々に圧格
欠失を認め、Jacobsen症候群と診断された。日齢 8 日に両側PAB、
差の進行を認め手術適応であると判断した。心筋肥大による左室流出
4 カ月にNorwood+Glenn手術を施行。今回、TCPCを施行した。
路の閉塞が高度であり、左室造影にて左心室が二腔様であった。広範
Jacobsen症候群は特異的顔貌に加えて、血小板減少を認めるが、止
囲に狭窄部左室心筋を切除し良好な結果を得たので、若干の文献的
血に難渋することなく、経過は良好であった。本症例につき若干の文献
考察も含めて報告する。
的考察を加えて報告する。
II - 17 修正大血管転位症再手術症例における左開胸左房切開に
よる三尖弁置換術 2 例の検討
II - 18
埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科
財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院心臓血管外科
岩崎美佳、鈴木孝明、枡岡 歩、加藤木利行
角田 優、安藤 誠、澤田貴裕、宮島敬介、椛沢政司、平岩伸彦、
症例 1 :26歳女性。ラステリ術後。TR 3 度を認め弁置換術施行。症
和田直樹、高橋幸宏
例 2 :11歳男児。VSD閉鎖・LVOTO解除・TVR後。TSが出現し再
症例は 3 歳 3 か月男児、Costello症候群に伴う肥大型心筋症、僧
1例
Costello症候群に合併した心疾患に対し手術治療を要した
弁置換施行。修正大血管転位症では正中切開での三尖弁の展開が不
帽弁閉鎖不全症、左室流出路狭窄に対し僧帽弁置換術及び左室流
良であることに加え再手術症例であり左開胸を選択した。上行大動脈送
出路形成術を施行した。経過は概ね良好であり術後23日にて退院とな
血、肺動脈脱血、無名静脈脱血により体外循環を確立できた。三尖弁
る。Costello症候群はまれな先天性異常であり、肥大型心筋症をはじめ
の展開は非常に良好であり、無名静脈脱血を加えることで同一術野から
とした心疾患の合併頻度が高い事で知られている。今回、手術を要した
すべてのカニュレーションを行うことが可能であった。
Costello症候群の 1 例を経験したので、疾患の紹介と共にこれを報告する。
II - 19 大動脈弓部におけるAP windowの 1 例
千葉県循環器病センター 心臓血管外科
II - 20 大動脈縮窄複合症根治術後遠隔期に進行した肥大型閉塞
性心筋症の 1 例
大場正直、松尾浩三、林田直樹、鬼頭浩之、浅野宗一、
1東京都立八王子小児病院 心臓血管外科
平野雅生、相馬裕介、田村友作、村山博和
2東京大学医学部附属病院 心臓外科
在胎38週 2 日、3754g。生後 1 カ月時に体重増加不良や顔色不良を
厚美直孝 、川島 大 、村上 新
1
2
2
認め、近医で精査を行ったところAP window、IAA及びPDAを疑われ
症例は17歳、男性。CoA+VSDに対し日齢 6 に鎖骨下動脈フラップ
当センター紹介となる。UCGでは弓部下面とmPA天井が繋がっているこ
法、 1 歳時にVSDパッチ閉鎖術施行(他院)。初回手術時から心室中
とが確認できた。AP windowの開口部は非常に大きく、大動脈遮断に
隔の肥厚を指摘されていた。遠隔期に両心室の流出路狭窄が進行し心
よる修復は不可能と判断し、循環停止下で大動脈弓部及び肺動脈をそ
臓カテーテル検査を施行。左室内で74mmHg、右室内で96mmHgの
れぞれ直接閉鎖した。非常に稀な形態であり、術式や若干の考察を加
圧較差を認めた。HOCMの診断で左室流出路肥厚筋切除、右室流出
え報告する。
路パッチ拡大術を施行。術後圧較差は著明に減少し、臨床的にも改善
が認められている。
– 17 –
13:30〜14:10 心周術期管理
座長
保 坂 茂(国立国際医療センター 心臓血管外科)
II - 21 硬膜外カテーテルによる血腫が原因となった胸部下行大動
脈瘤術後対麻痺の 1 例
II - 22 弁置換術後に硬膜下血腫を認めた一例
帝京大学医学部附属市原病院
国立国際医療センター 心臓血管外科
伊藤俊一郎、服部隆司、重田 治
藤岡俊一郎、保坂 茂、賀嶋俊隆、尾澤直美、秋田作夢、
63歳女性。MSr、AR、TR、Afに対しDVR(機械弁)
、TAP、PVI施行。
福田尚司、高澤晃利、木村壯介
術後 1 病日にLOSとなり再挿管、IABP挿入を要した。その後、LOSは
73歳女性、155cm、79kg。胸部下行大動脈瘤に対しF-Fバイパス下
改善し 8 病日よりワーファリン内服開始し、13病日のINRは1.05であった。
人工血管置換施行も対麻痺合併。Th5−L2に硬膜外血腫あり、この
しかし14病日に嘔気出現し、翌日も持続するため頭蓋内病変を疑い頭
圧迫による脊髄障害と診断。症状改善傾向とリスクから減圧手術適応外
部CT、MRI施行したところ、小脳天幕に沿った部位に硬膜下血腫を認
と判断、 4 カ月後には杖歩行可能まで回復。肥満のため手術時体位
めた。開心術後の硬膜下血腫について、文献学的考察を加え報告す
変換で術前日に留置した硬膜外カテーテル先端が移動し硬膜外腔を損
る。
傷、そこにヘパリンが加わり血腫形成に至った稀な1 例と考える。
II - 23 体外循環終了後のプロタミン投与でショックを来し、PCPS、
IABPを要した一例
II - 24 発 作 性 心 房 細 動に対するカテーテルアブレーション中に
Valsalva洞損傷を生じショックに陥った 1 例
財団法人心臓血管研究所
北里大学医学部 心臓血管外科学
原澤慶太郎、田邉大明、依田真隆、門磨義隆
波里陽介、井上信幸、鳥井晋三、田中佑貴、板谷慶一、
65歳女性。幼少期より弁膜症を指摘されており、今回僧帽弁閉鎖不全
友保貴博、柴田 講、須藤恭一、宮地 鑑、小原邦義
症、三尖弁閉鎖不全症、心房細動に対して僧帽弁置換術、三尖弁形
69歳女性。P-afに対しカテーテルアブレーションを予定した。ブロッケン
成術、MAZE手術施行した。体外循環終了しプロタミン投与15分後に、
ブロウ法直後にショックに陥り、心タンポナーデと診断され緊急手術となっ
急速に全周性壁運動低下を伴うショック状態となった。心臓マッサージを
た。左房の天井及び左上肺静脈に血腫を認め、一時的な止血を得るも
開始し自己圧で心拍再開したが、壁運動の改善なくPCPS、IABP補助
血圧上昇に伴い再度出血を生じた。人工心肺下に損傷部位を確認する
を要した。壁運動再開には24時間近くを要したが、その後は良好な経
と、左冠動脈入口部近傍のValsalva洞内に損傷を認めた。同部を修復
過であった。若干の文献的考察を加えて報告する。
し救命に至った。
II - 25 DCM急性増悪に対しLVAD装着し離脱し得た一症例
東京大学医学部附属病院 心臓外科
木下 修、西村 隆、小野 稔、縄田 寛、本村 昇、許 俊鋭、
高本眞一
37歳男性。36歳発症のDCM急性増悪。LVDd 70mm・EF 17%で、
鬱血肝のためAST/ALTは4000以上に上昇。PCWP 46で、IABP下
でもCI 1.5。カテコラミン・IABP離脱不能でLVAD装着。手術 1 カ月
後には歩行リハビリ開始。その後、多量carvedilol内服導入し、筋力ト
レーニングや有酸素運動による心臓リハビリを行い心機能回復。経過中
MRSA菌血症を繰り返すも、LVAD装着428日後に離脱し軽快した。
– 18 –
14:10〜14:50 冠状動脈
座長
吉 崎 智 也(東京医科歯科大学大学院 心肺機能外科)
II - 26 急性心筋梗塞を発症した巨大右冠動脈瘤の 1 症例
埼玉医科大学国際医療センター
II - 27 左冠状動脈から伸びた異常血管が瘤化しつつ右房に瘻孔
を形成していた一例
梅田悦嗣、新浪 博、朝倉利久、上部一彦、石川雅透、岡 潤一、
総合病院国保旭中央病院 心臓外科
田畑美弥子、森田耕三、住 瑞木
梅木昭秀、山本哲史、竹田 誠
症例は53歳、男性。平成元年、ネフローゼ症候群による慢性腎不全で
症例は特に既往のない23歳女性。健診で指摘された連続性雑音を契
透析導入。同年、生体腎移植施行。平成17年、再透析導入し現在
機に左冠状動脈右房瘻が判明した。これは左冠状動脈から伸びた異
維持透析中。平成 8 年、急性心筋梗塞の既往あり。今回、右冠動脈
常血管が大動脈背面を回り、瘤化(径25mm)
つつ右房に注ぎ込むもの
領域の急性心筋梗塞を発症した際、冠動脈造影施行し 2 枝病変と巨
であった。手術は人工心肺下に心停止を得た後、上行大動脈を離断し
大右冠動脈瘤を認め、外科的適応となりOPCAB 2 枝(LITA-LAD、
異常血管の走行を確認。これを左冠状動脈からの起始部で刺通結紮
SVG:Ao-4PD)
、瘤切除施行し良好な結果を得たので報告する。
処理し、瘤は切開、右房開口部は縫合閉鎖して手術を終了した。術後
経過は良好であった。
II - 28
治験例
II - 29 浅大腿動脈を用い左冠動脈主幹部解離を再建した一例
1横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター
度重なるPCIにてステント11本留置後OPCABを施行した 1
東京医科歯科大学大学院 心肺機能外科
2横浜市立大学医学部 外科治療学
大石清寿、長岡英気、牛山朋彦、宮城直人、吉崎智也、
安田章沢 、内田敬二 、柳 浩正 、伊達康一郎 、町田大輔 、
荒井裕国
1
1
1
1
1
2
杉浦唯久 、井元清隆 、益田宗孝
1
1
65歳慢性透析の男性。2006年に前壁のAMIに対してPCI施行。そ
76歳女性。A型解離の診断で手術施行。術中所見でLMT中枢 1/2
の後もステント再狭窄や他病変の進行を認め、計 5 回のPCIで11本
が解離している事が判明した。冠動脈の再建が困難と判断し解離した
のステント
(DES: 9 本、BMS: 2 本)
を留 置された。2008年 9 月の
LMTを切除し左浅大腿動脈を採取。Hemashield人工血管と残った
CAGで# 1 :100%、# 6:90%認め当院受診。ステント多数留置によ
LMTの間に浅大腿動脈をinterposeしBentall手術を完成させた。術後
る吻合箇所の限定および左鎖骨下動脈狭窄のため、free LITA-LAD
骨髄炎発症もVAC療法で軽快。術後造影では浅大腿動脈で再建した
(# 8 distal)
とSVG-4PDをOPCABにて施行し良好な経過を得た。
部位に狭窄認めず。
II - 30 wrapping法による上行大動脈人工血管置換部に中枢側吻
合を行った冠動脈バイパス術の一治験例
健康保険岡谷塩嶺病院
木村 玄、畑 博明、飯田 充、添田雅生、奈良田光男
症例74歳女性。胸部圧迫感にて受診。心電図上、虚血性変化認め
ACSの疑いにてCAG施行。 3 VDであった。 6 日後急性大動脈解離
と診断され当科紹介。血管外膜によるwrappingを行い緊急上行置換
術、冠動脈バイパス術 3 枝を施行。術後経過は良好。大血管の人工
血管置換術の際、wrapping法は、出血コントロールに有用であるが、
今回wrapping部位に冠動脈バイパス術の中枢側吻合を併施したので
報告する。
– 19 –
14:50〜15:30 心臓・その他 2
座長
山 口 敦 司(自治医科大学付属さいたま医療センター 心臓血管外科)
II - 31 複数の嚢状瘤を形成した冠動脈肺動脈瘻の一例
長野医療生活協同組合長野中央病院 心臓血管外科
II - 32 ワーファリン内服中に左心房内血栓を認めた後期高齢者に
対し血栓除去を施行した1 治験例
外川正海、松村 祐、八巻文貴
船橋市立医療センター 心臓血管外科
73歳女性。労作時息切れを主訴に当院循環器内科受診。連続性雑音
杉本晃一、茂木健司、青木哉志、高原善治
を指摘され精査にて上記診断。冠動脈からPAへ流入する異常血管の
78歳男性。脳梗塞の既往、心房細動に対しワーファリン内服し、良好
3 ケ所に嚢状瘤形成を認めた。手術はHarmonic Scalpelを用いてon
なINRコントロールであった。定期検診にて心エコー上、左心房内後壁
pump beating下に異常血管および嚢状瘤の剥離を試みるも肺動脈壁
に付着する可動性のない 3 cm× 3 cmの腫瘤を認めた。認知症を伴う
内走行を認め剥離困難。大動脈遮断し心停止下に肺動脈および嚢状
後期高齢者であったが、腫瘍・血栓両方の可能性があり、外科的除去
瘤を切開し流入口、流出口を閉鎖。遮断解除後、虚脱が得られていな
術の方針となった。人工心肺下、右側左房切開にてアプローチ。術中
い異常血管は全て切開し流入口を閉鎖。術後12日目に独歩退院。良好
診断にて器質化した血栓の診断、血栓除去を行った。血栓が付着して
な結果を得たので報告する。
いた左房後壁は内膜欠損していた。術後経過良好で経過観察中。
II - 33
II - 34
例
心筋梗塞後仮性心室瘤に新たな仮性心室瘤を合併した一
1自治医科大学付属さいたま医療センター
1 治験例
フォンレックリングハウゼン病に合併した肋間動脈瘤破裂の
自治医科大学 心臓血管外科
2湘南鎌倉総合病院
相澤 啓、岩下ちひろ、大木伸一、斉藤 力、三澤吉雄
1
2
1
1
1
1
堀大治郎 、田中正史 、左藤健一郎 、木村知恵里 、
1
内藤和寛 、由利康一 、山口敦司 、安達秀雄
症例は48歳男性。20代のころよりフォンレックリングハウゼン病を指摘され
1
ていた。突然の背部痛を自覚しCT検査にて右血胸、第11肋間動脈破
53歳男性。心窩部違和感にて当院受診。心臓超音波検査施行した
裂を認めた。手術は右開胸にて肋間動脈結紮を施行した。術後止血
ところ左室前壁に55×37mm+32×38mmのふたこぶ状の心室瘤を認め
剤によると思われる脊髄圧迫症状を認めたため再開胸圧迫除去を施行し
た。精査目的のため冠動脈血管造影検査を施行したところ#7 に完全
た。比較的まれなフォンレックリングハウゼン病に合併した肋間動脈瘤破
閉塞を認めた。SAVE手術を施行。心室瘤は真性瘤に仮性瘤を合併し
裂の症例を経験したため文献的考察を加え報告する。
ふたこぶとなっていた。術後経過良好にて退院となった。
II - 35 維持透析患者に対し、AVR、CABG、CEAを同時施行し
た 1 治験例
健康保険岡谷塩嶺病院 心臓血管外科
飯田 充、畑 博明、添田雅生、木村 玄、奈良田光男
症例は76歳男性。平成 3 年、糖尿病性腎症でHD導入。平成20年
8 月心不全で当院紹介受診。severe AS、IHD( 1 VD)
と、左内頸
動脈90%狭窄を認め手術予定としたが、活動性B型肝炎を認め肝炎
に対し加療。当初手術に消極的であったが、その間にAS、左頚動脈
狭窄が原因と思われるTIAを 3 回起こし、肝機能が安定した後、速
やかにAVR、CABG(1)
、lt. CEAを同時に施行。術後経過は良好
で、リハビリ後に退院。動脈の石灰化を有するHD患者に対しAVR、
CABG、CEAを同時に施行し得たので報告する。
– 20 –
15:30〜15:54 肺・循環管理
座長
稲 葉 博 隆(順天堂大学医学部 心臓血管外科)
II - 36 弓部大動脈瘤、左主気管支炎症性偽腫瘍を合併した右肺
癌に対して、ステントグラフト内挿術、気管支腫瘍レーザー焼灼後に右
II - 37 左房に浸潤をみとめた縦隔内傍神経節腫の一例
順天堂大学医学部 心臓血管外科
上葉区域切除を行った 1 例
松村武史、稲葉博隆、山本 平、天野 篤
新潟大学医歯学総合病院 第二外科
【症例】
69歳男性。
【既往歴】
高血圧と糖尿病。
【現病歴】
2008年12月25
北原哲彦、土田正則、篠原博彦、橋本毅久、榛沢和彦、林 純一
日不安定狭心症のためステントを留置、この際、回旋枝より栄養される
症例は66歳男性。嗄声の精査で弓部大動脈瘤と左主気管支腫瘍、右
腫瘍が指摘された。尿中カテコラミンが異常高値を示し、縦隔内傍神経
肺癌を発見された。動脈瘤は3.1cmの嚢状瘤で破裂の危険があること
節腫を疑われ当科紹介。2009年 3 月13日に手術施行。【手術】人工心
からステントグラフト内挿術を先行した。10日後に気管支腫瘍レーザー焼
肺を用い心停止下に腫瘍を摘出。腫瘍は70mm大で、左房頭側に位置
灼、その 7 日後に肺癌に対して根治切除を行い良好に経過した。非結
し、左房壁に浸潤していた。【経過】術後の経過は良好であり、第 3 病
核性抗酸菌症で左肺機能低下あり
(血流シンチで左右比は0.29: 1 )区
日に人工呼吸器を離脱し、第 5 病日に一般病棟へ転棟となった。
域切除を選択した。
II - 38 右胸膜肺全摘後の心臓脱の一例
順天堂大学医学部 呼吸器外科
神津吉基、高橋宜正、王 志明、鈴木健司、高持一矢
症例は44歳男性。H16に胸腺腫に対して拡大胸腺全摘術を施行し、以
後化学療法を施されていたが、H18より右胸膜転移巣の増大を認めた。
胸腺腫術後右胸膜播種の診断でH21に右胸膜肺全摘、心膜横隔膜再
建を施行した。術後ICUにて除脈および血圧の低下があり、胸部単純
写真をとったところ、右胸腔への心臓脱を認めたため緊急再開胸。ゴア
テックスシートが足側へずれ込んでいたことが原因で、心嚢を追加補強し
た。通常救命困難な心臓脱を来し、救命しえた一例を経験したので報
告する。
– 21 –
15:54〜16:26 肺・その他
座長
田 中 良 太(杏林大学 呼吸器外科)
II - 39 閉塞性肺炎を契機に発見された希な中枢型肺肉腫の 1 例
1群馬県立がんセンター 呼吸器外科
II - 40 異所性気管支原性嚢胞の 2 切除例
1群馬県立がんセンター 病理部
2群馬県立がんセンター 臨床病理部
2群馬県立がんセンター 呼吸器外科
3杏林大学医学部 外科学教室
1
1
2
3
3杏林大学医学部附属病院 外科
1
1
2
1
関恵理奈 、中里宜正 、田中良太 、吉田 勤 、飯島美砂 、
小島 勝 、呉屋朝幸
2
中里宜正 、田中良太 、呉屋朝幸
3
症例 1 は15歳男児、胸部異常陰影を指摘され当科受診となった。胸
症例は63歳、女性、感冒様症状で当院を受診、胸部CTで左肺門部
部CTでは左後縦隔に椎体に接する 4 cm大の腫瘤影を認めた。症例
に径 3 cm大の充実性腫瘤を認めた。気管支鏡検査で左下葉気管支
2 は37歳女性、乳癌術後follow中に,胸部CTで前縦隔に1.5cm大の
を閉塞する腫瘤を認めるも生検による確定診断には至らなかったが、細
腫瘤影を認めた。 2 例とも胸腔鏡下に切除術を施行し、病理診断は気
胞診から低分化扁平上皮癌を否定できず左肺下葉切除術を施行した。
管支原性嚢胞であった。気管支原性嚢胞は原始的発育異常の 1 つと
病理組織像は好酸性胞体を有する腫瘍細胞が束状、交錯状に増殖
され、まれなケースでは気管気管支樹から離れた位置にみられ、異所性
し、CD21+35とCNA、42が陽性で濾胞樹状細胞肉腫と診断された。
気管支嚢胞として報告されている。
II - 41 異常血管が瘤化した肺底区動脈大動脈起始症に対し大動
脈ステント留置後に胸腔鏡下左下葉切除を施行した 1 例
例
1神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器外科
山梨大学医学部附属病院 第 2 外科
2同 放射線科
国光多望、松原寛知、宮内善広、松岡弘泰、奥脇英人、
3同 心臓血管外科
1
胸腔鏡で術中に拍動が確認できた肺動静脈瘻(AVF)
の1
鈴木章司、進藤俊哉、松本雅彦
1
1
1
2
清家彩子 、大森隆広 、高橋 航 、田尻道彦 、西村潤一 、
3
II - 42
3
横室浩樹 、市川由紀夫 、塩野則次
症例は40歳女性。胸部X線異常を指摘され、CTで左肺下葉胸膜直下
3
にA 8 を流入動脈、V 9 を流出静脈とするAVFを認めた。胸腔鏡下に
症例は59歳、男性。検診で腫瘤影を指摘された。胸部CTで胸部下行
切除術を施行。予想された領域に黒色でやや膨隆した病変を数個認め
大動脈より左肺底区に流入する 3 cm大の瘤化した異常血管と底区肺
たが、注意深く観察するとAVFと思われる病変にのみ拍動を認め、これ
動脈の低形成を認め、肺底区動脈大動脈起始症と診断した。手術侵
を切除した。肺のAVFはよく遭遇する疾患であるが、胸腔鏡下に拍動
襲を考慮し胸部下行大動脈にステント留置後、胸腔鏡下左下葉切除を
を確認し得た症例を経験したので、術中のビデオを供覧し報告する。
行った。ステント留置後に肺切除した同疾患の報告は稀にて報告する。
– 22 –
第
III 会場(606:6 階)
9:00〜9:40 胸壁
座長
III - 1
望 月 篤(聖マリアンナ医科大学 呼吸器外科)
エコーを使用し、非開胸下に切除し得た胸壁神経鞘腫の
1例
III - 2
コンポジックス・クーゲルパッチによる胸壁再建を行った腎細
胞癌肋骨転移の 1 切除例
東京女子医科大学 第一外科
群馬大学大学院 病態総合外科学
松本卓子、神崎正人、和知尚子、大貫恭正
茂木 晃、八巻 英、高坂貴行、田中司玄文、桑野博行
胸壁発生の神経原性腫瘍は比較的まれである。今回、胸壁エコーにて
症例は70歳代、男性。10年前に腎細胞癌に対し右腎根治摘出術を施
腫瘍を同定し、小切開・非開胸下に胸壁神経鞘腫を切除し得たので報
行された。2009年 1 月のCTにて右第 6 肋骨に骨破壊像を伴う腫瘤を
告する。症例は19歳 女性。学校の健康診断にて胸部異常陰影を指
指摘され経皮的穿刺針生検にて腎細胞癌骨転移と診断された。同年
摘され、精査加療目的にて当科を紹介された。精査の後、胸壁腫瘍の
2 月に手術を施行した。切離縁までの距離を十分に得るように第 5 ~
術前診断にて手術を行った。手術は全身麻酔、分離肺換気下に行っ
7 肋骨を含めて腫瘍切除を行ったところ、約14×10cmの骨性胸壁欠損
た。執刀前に胸壁エコーにて腫瘍を同定した。腫瘍の直上に皮膚切開
となった。再建にはコンポジックス・クーゲルパッチを用いたが、扱いやす
をおき、非開胸にて腫瘍を摘出した。腫瘍は第 6 肋間神経より発生した
く術後の強度も十分であり非常に有用と思われた。
神経鞘腫であった。
III - 3
透析患者の胸壁に発生した悪性線維性組織球腫の 1 切除
例
1聖マリアンナ医科大学病院 呼吸器外科
新潟県立がんセンター 呼吸器外科
2聖マリアンナ医科大学病院 病理学
1
1
1
2
佐藤衆一、小池輝明、大和 靖、吉谷克雄、本野 望
1
1
1
新明卓夫 、森田克彦 、多賀谷理恵 、安藤幸二 、望月 篤 、
栗本典昭 、高木正之 、中村治彦
III - 4 乳癌術後局所再々発に対し有茎広背筋皮弁にて胸壁再建
を施行した 1 例
55歳女性、2005年 6 月左乳癌に対し乳房切除術施行。2007年11月よ
1
り創部に腫瘤出現、生検にて再発所見認め2008年 4 月再発腫瘤切除
症例は72歳の女性。右背部皮下に発生した小児頭大の腫瘤を主訴と
及び腫瘍床へ放射線照射施行。同年12月より再度創部に腫瘤出現、
して他院受診。生検で悪性線維性組織球腫の診断を得て、切除目的
CTでは胸壁浸潤疑いの40mm大腫瘤を認め、生検でも再々発の所見
で当科を紹介された。胸部CT、MRIで腫瘍は血管に富み、右前胸壁
であった。2009年 2 月根治目的に再々発腫瘤及び胸壁合併切除、有
にも転移と考えられる小病巣を認めた。全身検索でこの他に転移を認め
茎広背筋皮弁、全層植皮術施行。植皮部の安定化が遷延しているも
ず、患者が切除を強く希望したため、増生した腫瘍血管に対する塞栓
のの皮弁部の経過は良好である。
術施行後に切除した。
III - 5
上行弓部置換術後に発症した胸壁デスモイド腫瘍の 1 例
1公立学校共済組合関東中央病院 心臓血管外科
2公立学校共済組合関東中央病院 外科
1
1
1
2
達 和人 、鎌田 聡 、大野烈士 、河原正樹 、高田 厚
2
症例は55歳男性。2007年 1 月A型大動脈解離に対して上行弓部置換
術を施行。その後外来で定期的に経過観察していた。2008年 9 月、
胸部XPにて左下肺野に境界明瞭な腫瘤影が出現。胸部CTにて左前
胸壁から胸腔内へ突出し心嚢に接する 4.5×2.8㎝大の腫瘤を認めた。
CTガイド下生検を施行、デスモイドと診断した。左第 4 肋間開胸にて
腫瘤切除術を施行。腫瘤と強く癒着していた心嚢の一部と左肺舌区を
合併切除した。胸壁発生のデスモイド腫瘍は非常に稀であり、文献的
考察を加えて報告する。
– 23 –
9:40〜10:20 縦隔腫瘍1
座長
吉 田 成 利(千葉大学 呼吸器外科)
III - 6
部分的に非被包化された小型胸腺腫の 1 切除例
国保松戸市立病院 呼吸器外科
III - 7
岡田 直、溝渕輝明、高野浩昌、岩井直路
2自治医科大学附属病院 呼吸器外科
症例は68歳女性。脱力感、眼瞼下垂を主訴に当院神経内科を受診
坪地宏嘉 、金井義彦 、中野智之 、遠藤俊輔
し、重症筋無力症の診断となる。胸部CTで胸腺腫を疑う所見は認めな
症例は68歳女性。胸部の圧迫感を主訴に受診。CTで前縦隔に 4 cm
かった。ステロイド隔日大量投与療法の後、拡大胸腺摘出術を行った。
大の腫瘤を認め、周囲に数ミリ大の軟部組織影を多数伴っていた。胸
WHO分類のType B 3 胸腺腫が偶発的に発見された。腫瘍は、被膜
腺腫が疑われ、胸骨正中切開で拡大胸腺胸腺腫摘出術施行。主病
胸腺内に多発性に微小な腫瘍組織を伴った胸腺腫の一例
1自治医科大学附属さいたま医療センター 呼吸器外科
1
1
1
2
形成を一部伴わない境界明瞭な 4 ×2.5mmの結節性病変であった。今
巣の病理組織はtypeB 2 の胸腺腫で被膜より露出しており正岡Ⅱ期で
回、Microthymomaの概念に相当する 1 切除例を経験したので、文
あった。また周囲に多発性にtypeB 1 相当の小型リンパ球の密な組織
献的考察を加え報告する。
が認められ、転移あるいは多発の可能性が疑われた。多発胸腺腫は稀
であり文献的考察をふまえ報告する。
III - 8
III - 9
嚢胞性胸腺腫の 1 切除例
1防衛医科大学校 第 2 外科
期)
の1例
2自衛隊中央病院 胸部外科
1
1
1千葉大学医学部附属病院 呼吸器外科
2
1
2
田中聖子 、尾関雄一 、小原聖勇 、浅野久敏 、橋本博史 、
前原正明
術前導入化学療法後に切除した浸潤性胸腺腫(正岡Ⅳb
2千葉大学大学院医学研究院 診断病理学教室
1
1
1
2
1
1
1
1
和田啓伸 、星野英久 、吉田成利 、鈴木 実 、渋谷 潔 、
症例は43歳の女性。H20年 9 月、会社検診で胸部異常影を指摘され
中谷行雄 、吉野一郎
た。胸部CT、MRIで前縦隔に不規則に肥厚した薄壁を有する嚢胞性
66歳男性。労作時呼吸苦にて紹介。CTで両側腕頭静脈に騎乗する
腫瘤を認めた。FDG-PET/CTでは肥厚した嚢胞壁に軽度の集積を認
径98mmの腫瘤影と心嚢水あり。EBUS-TBNAで胸腺腫(Type B 2 )
めた。嚢胞性胸腺腫あるいは成熟奇形腫を疑い、手術を施行。内容
と診断し正岡IVb期(心膜・SVC浸潤/胸膜播種/リンパ節転移)
に対し
液は淡黄色透明、漿液性であり、迅速病理診断で胸腺腫(WHO type
CBDCA+PTX+PSLを 2 コース施行(PR)後、容積減量目的で手術を
AB ; cystic thymoma)
であったため胸腺・胸腺腫摘出術を施行した
行った。腫瘍は両側腕頭静脈を巻き込み心嚢内に突出して進展してお
(正岡 I 期)。腫瘍全体が嚢胞状形態を示す胸腺腫は極めて稀である
り、SVC合併切除再建を伴う縦隔腫瘍摘出術を施行し術後胸腔内化
ため報告する
学療法を追加した。
III - 10 上大静脈症候群を合併した胸腺癌の 1 症例
獨協医科大学病院胸部外科
荒木 修、井上 尚、田村元彦、梅津英央、石浜洋美、千田雅之
58歳女性。皮膚筋炎の精査中に胸部異常陰影と顔面、上肢の浮腫
を指摘され紹介。CTにて胸壁に接する40mm大の前縦隔腫瘍および
上大静脈症候群を認めた。針生検にて胸腺癌と診断。WHO分類:
T3N0M0:3 期の診断のもと手術を行なった。腫瘍は左右の腕頭静脈
および上大静脈を巻き込み、胸壁、右上葉にも浸潤を認めた。左腕
頭静脈―右心耳に一時バイパスを置き、胸壁合併切除し腫瘍を摘出し
た。右腕頭静脈―上大静脈は人工血管により再建した。術後経過は良
好である。
– 24 –
10:20〜10:52 縦隔腫瘍 2
座長
野 守 裕 明(慶應義塾大学 呼吸器外科)
III - 11 術後29年で局所再発した重症筋無力症を合併する胸腺腫
の一手術例
III - 12 12年間に 2 回の再発を認めた胸膜孤立性線維性腫瘍の
1慶應義塾大学病院 呼吸器外科
1神奈川県立がんセンター 呼吸器外科
2慶應義塾大学病院 病理診断部
1
1
2神奈川県立がんセンター
2
1
1
山内良兼 、河野光智 、林雄一郎 、福冨寿典 、泉陽太郎 、
1
1
1例
1
渡辺真純 、堀之内宏久 、川村雅文 、野守裕明
1
1
1
2
1
1
1
石川善啓 、小島陽子 、菅 泰博 、伊藤宏之 、坪井正博 、
1
中山治彦 、亀田陽一
症例は55歳女性。昭和54年MG合併胸腺腫に対して拡大胸腺摘出術
50代後半女性。12年前他院で胸壁腫瘍切除術を受け、病理診断は胸
を施行されていた。術後、MGは軽快。平成20年、検診にて胸部異常
膜中皮腫であった。その10年後、縦隔腫瘍を指摘され当院で切除術施
陰影を指摘され、上縦隔左側に径 5 cmの縦隔腫瘍を認めた。胸腺腫
行。前回標本を含めた検討により胸膜中皮腫ではなく孤立性線維性腫
再発を疑い、平成20年12月に手術を施行。左第 3 肋間で前側方開胸
瘍の再発と診断した。今回左肺下葉肺癌のため切除術を施行したが、
し、腫瘍摘出、左肺上葉合併部分切除術を施行。病理検査結果は
壁側・臓側胸膜に多数の結節を認め、播種再発と診断した。再発を繰
胸腺腫type AB、29年前の切除検体の組織像に酷似していた。
り返した孤立性線維性腫瘍は極めて稀であり、文献的考察を加えて報
告する。
III - 13 中縦隔から発生したIMT(inflammatory myofibroblastic
tumor)
の1例
III - 14 前方アプローチにより切除した左肺尖部胸壁Aggressive
fibromatosisの一例
信州大学医学部附属病院 呼吸器外科
1千葉県がんセンター 呼吸器外科
代田智樹、蔵井 誠、江口 隆、兵庫谷章、齋藤 学、
2千葉県がんセンター 臨床病理部
濱中一敏、椎名隆之、近藤竜一、吉田和夫、天野 純
坂入祐一 、中島崇裕 、石川亜紀 、松井由紀子 、伊丹真紀子 、
1
1
1
1
2
1
60歳代、女性。検診CTにて中縦隔に 5 × 4 ×9.3cm径の腫瘤を認
飯笹俊彦
め、食道を左側へ、右主肺動脈や左房を腹側に、下行大動脈を背
症例は23歳男性。2008年 4 月頃より左背部、前胸部痛出現し当科受
側に圧排する形で腫瘤は存在した。中縦隔腫瘍と診断され、胸腔鏡
診。胸部MRIにて左肺尖部胸壁に 5 × 4 cm大の腫瘤をみとめた。悪
下に腫瘤摘出術を施行した。病理検査にて免疫組織学的にmyxoid
性腫瘍が疑われ2008年12月前方アプローチによる腫瘍切除を施行。腫
changeを伴うIMTと診断された。中縦隔から発生したIMTは稀な疾患
瘍は左鎖骨下動脈、肺尖部骨性胸壁に固着していたが、鈍的、一部
であり、文献的考察を含めて報告する。
鋭的に切除可能であった。切除標本はAggressive fibromatosisとの
診断を得た。術後局所に54Gyの照射を行い経過観察中である。
– 25 –
13:30〜14:10 気腫性疾患
座長
池 田 晋 悟(三井記念病院 呼吸器センター外科)
III - 15 ブラの縦隔内交通によると考えられた縦隔気腫の 1 例
1中野総合病院 外科
III - 16 巨大肺嚢胞との鑑別を要した先天性嚢胞性腺腫様肺奇形
(CCAM)
の 1 切除例
2中野総合病院 呼吸器内科
1
1
東京都立駒込病院 呼吸器外科
1
1
1
榎本直記 、上田吉宏 、円城寺恩 、加藤俊介 、大野 玲 、
角 勇樹
斎藤 格、堀尾裕俊、羽藤 泰、原田匡彦
2
症例は40歳代男性。10歳代より左肺嚢胞を指摘されていたが呼吸器症
19歳男性。主訴は胸痛。 4 年前に縦隔気腫の既往あり。胸部X線、
状ないため放置していた。2005年健診にて左巨大肺嚢胞指摘、2008
CTにて咽頭部から心嚢にかけて広汎な縦隔気腫を認めた。気胸はなく
年 3 月やはり症状はなかったが、切除を希望され当科受診。CT上左胸
食道造影でも異常を認めず、当初特発性縦隔気腫と診断した。しかし
腔3/4を占める嚢胞で、呼吸機能は正常域であった。同年 5 月胸腔鏡
頸部thin slice CTにて肺ブラと縦隔気腫との交通を認め、発症機序とし
下嚢胞切除を施行、標本は17×12cmの単胞性で内腔面は上皮で被覆
て胸壁に癒着したブラが破れて縦隔組織内に空気が流入したためと考え
されており、平滑筋・軟骨・気管支腺は認めずCCAMと診断された。
られた。特発性縦隔気腫と診断されていても同様の機序で発症している
成人期に無症状で発見されるCCAMはきわめて稀であり、文献的考察
可能性があると考えられた。
を加えて報告する。
III - 17 縦隔偏位を伴う巨大肺嚢胞に対する 1 手術例
東京大学医学部附属病院 呼吸器外科
III - 18 心膜欠損に伴い縦隔気腫を認めた左気胸の一例
1社会福祉法人三井記念病院 呼吸器センター外科
村川知弘、井上雄太、杉浦未紀、日下部将史、吉田幸弘、
2同 病理診断科
深見武史、中島 淳
田中里奈 、横田俊也 、日野春秋 、星野竜広 、川野亮二 、
45歳男性。右巨大肺嚢胞の診断で当科に紹介。肺嚢胞は右胸腔
池田晋悟 、藤井晶子 、森 正也 、羽田圓城
1
1
1
2
1
1
2
1
1
をほぼ占拠し更に縦隔偏位を伴っていた。術前肺活量1.65L、 1 秒
症例は21歳男性。健診時、胸部単純写真で中等度の左気胸を指摘さ
量1.22L。胸腔鏡下嚢胞切除を施行。呼吸苦症状は改善、肺活量
れ当院受診。CT検査では左肺尖にブラを疑う所見と、縦隔気腫を認め
3.71L、 1 秒量3.07Lと呼吸機能も著明に改善した。本症例のような巨
た。気管支鏡で異常所見を認めず、VATS下肺部分切除術を行った。
大肺嚢胞は手術の良い適応と考えられる。
術中所見で、 4 ×3.5cm大の部分的な心膜欠損を認め、左心耳が胸
腔内から観察された。欠損部はGoreTexシートで補填した。この心膜欠
損により、左気胸に縦隔気腫を合併したと考えられた。
III - 19 マルファン症候群に合併した気胸が家族間で認められた 1
例
1東京慈恵会医科大学附属柏病院
2東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座
1
1
1
1
1
鈴木俊亮 、秋葉直志 、丸島秀樹 、三宅 亮 、小林 進 、
森川利昭
2
症例は以前よりマルファン症候群と診断されていた21歳男性。主訴が胸
痛の左自然気胸に対して、胸腔ドレーンで改善が認められず、胸腔鏡
下肺部分切除術を施行した。家族歴は、祖父、父、兄、弟の 4 人が
マルファン症候群に罹患しており、弟は 1 年前に同様に当院にて気胸
に対し胸腔鏡下肺部分切除術を受けた。マルファン症候群に合併した
気胸が家族間で認められることは稀であり、文献的考察を加えて報告す
る。
– 26 –
14:10〜14:50 肺・感染性疾患
座長
大 平 達 夫(東京医科大学 外科第 1 講座)
III - 20 右肺全摘56年後,胸郭形成術30年後に右慢性膿胸、後
腹膜膿瘍に対し胸腹開窓術を行った 1 例
III - 21 発熱を契機に発見された成熟奇形腫の 1 例
1東京医科大学 外科学教室第 1 講座
埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器外科
2化学療法研究所附属病院
山崎庸弘、坂口浩三、石田博徳、二反田博之、金子公一
及川武史 、加藤靖文 、梶原直央 、片場寛明 、臼田実男 、
75歳男性。19歳時右肺結核で右肺全摘術、45歳時右膿胸に対し胸郭
1
1
1
2
1
1
2
1
内田 修 、大平達夫 、小中千守 、池田徳彦
1
形成術施行。2008年 8 月発熱,炎症反応高値を認め当院受診。右膿
41歳男性。高熱を伴う前縦隔腫瘍および胸水のため、当科紹介となっ
胸に連続した後腹膜膿瘍再燃の診断で抗生剤投与及び後腹膜ドレナー
た。生検で確定診断が得られなかったが胸腺由来の腫瘍と考え、腫瘍
ジ。発熱及び炎症所見改善し 9 月一旦退院も直ぐに再燃しドレーン再
ならびに胸腺全摘術を施行した。病理組織で膵、胃、腸組織を腫瘍内
挿入、再入院。その後胸腔にも感染し胸腔ドレーン挿入。洗浄ドレナー
に認め、成熟奇形腫と診断された。術後は解熱し、消化酵素による組
ジ続けるも改善せず、10月胸腹開窓術施行した。術後経過は良好であ
織融解が発熱の原因になったと推測された。
る。
III - 22 透析中に左肺化膿症からMRSA膿胸・有瘻性難治性気胸
を併発した 1 例
III - 23 経皮的ドレナージ後に膿気胸となり肺膿瘍切除・有茎筋肉
弁充填を行った一例
北里大学病院
新潟県立中央病院 呼吸器外科
小川史洋、松井啓夫、天野英樹、根津賢司、伊豫田明、佐藤之俊
保坂靖子、青木 正、竹重麻理子、矢澤正知
症例は20歳代男性。喫煙者。慢性腎不全、肺炎の診断で他院入
60歳男性、肝細胞癌に対して開腹手術の既往あり。右肺膿瘍の診断
院。透析導入後、左肺化膿症からMRSA膿胸および左有瘻性難治性
で当院呼吸器内科に入院した。抗生物質の投与と共に膿瘍に対して
気胸に進展し、当院紹介受診となる。リネゾリド投与と胸腔ドレナージを
CTガイド下ドレナージを行ったが、膿汁が胸腔内に流出し、膿気胸と
行い、MRSA培養陰性化と炎症反応改善を認めたが、気瘻持続する
なった。膿瘍および胸腔ドレナージを継続したが軽快しないため、肺膿
ため胸腔鏡補助下手術を施行した。膿胸腔を開き醸膿膜を掻爬除去
瘍切除を計画した。膿瘍は比較的大きく切除だけでは死腔が残存すると
後、肺剥皮術と下葉の気瘻部位の縫縮を施行した。経過良好で術後
思われたので、膿瘍切除とともに有茎広背筋弁を胸腔内に充填した。
20日に退院した。胸腔鏡所見ならびに文献的考察を報告する。
第20病日に軽快退院した。
III - 24 不活性ガス注入が有効であったと思われる肺癌術後膿胸の
一例
さいたま赤十字病院 呼吸器外科
坂入祐一、門山周文、山田義人
50代男性。肺癌に 4 コースの化学療法と同時放射線治療後、上中葉
切除を行った。術 5 週後に嫌気性菌膿胸で再入院した。第 2 肋間を
小開胸して掻爬洗浄+閉鎖式ドレナージを行い、肺瘻あるも炎症は沈静
化した。18日後に同部位を再開胸して瘻を吸収性布とフィブリン製剤で被
覆したが、術後に胸水からMRSAが検出され、小瘻も再開したため吸
収布圧着と酸素遮断目的に不活性ガスを注入した。Arbekacin100mg
も 1 回腔内注入した。その後は閉瘻・無菌化し、小腔残存するも肺拡
張は良好で退院した。
– 27 –
14:50〜15:30 肺悪性腫瘍 1
座長
佐 藤 幸 夫(筑波大学 呼吸器外科)
III - 25 PET集積の弱い結節影の診断に苦慮した肺悪性疾患 2 例
長野市民病院 呼吸器外科
III - 26 診断に難渋した中枢型肺腺癌の 1 治験例
総合病院長岡赤十字病院 呼吸器外科
山田響子、有村隆明、西村秀紀
佐藤征二郎、富樫賢一
症例 1:67歳男性。胆管癌術後 4 年。CTで左肺 S6に結節 1 が出
症例は75歳男性。喀痰、咳嗽にて当院受診。CT上、左S1 + 2 領
現、 2 年前から結節 2 が左 S 9 に存在した。PETで 1 がSUV 1.57、
域に13mmの異 常 陰 影 認めフォローとなった。 3 カ月後のCTにて増
2 が0.45であった。術中迅速検査で 1 は腺癌で、下葉切除を施行し
大傾向認め、またCEA 18.7ng/mlと高値であり、気管支鏡施行。左
た。ともに腺癌で、胆管癌の転移であった。症例 2:82歳女性。CTで
B1 + 2a + b入口部を閉塞する隆起性病変を認めた。生検では上皮
左肺 S6に結節 1 、左S10に結節 2 を認めた。PETで 1 がSUV0.54、
下に紡錘型細胞の増生を認め、S-100蛋白陽性であり神経鞘腫の診断
2 が1.17であり、 1 は細胞診でClass 3 であった。 1 は局在不明で下
であった。悪性も疑われるため、左肺上葉切除施行。迅速診断にて
葉切除を施行した。診断は、 1 は粘液産生性腺癌、 2 は肺内リンパ
carcinoma の診断を得、リンパ節郭清を追加した。病理診断ではクロモ
節であった。 2 例とも粘液成分が多くPETで集積が乏しかったと考えら
グラニン染色陰性で肺腺癌であった。
れた。
手術例
III - 27 術中筋弛緩剤によるショック、気道痙攣をきたした肺癌の一
III - 28 広範な胸壁浸潤を呈したG-CSF産生肺多形癌の 1 例
1筑波大学病院 呼吸器外科
東京医科歯科大学大学院 心肺機能外科
2筑波大学 臨床医学系外科
藤原直之、小島勝雄、荒井裕国
3筑波大学病院 病理部
症 例 は59歳 女 性、 ア スピリン 喘 息 の 既 往 あり。 右S1 の 腺 癌
小林尚寛 、石川成美 、小林敬祐 、中村亮太 、酒井光昭 、
(c-T1N0M0)
に対しVATS lobectomyを施行。手術開始 1 時間後に
1
2
1
1
2
2
2
2
3
3
後藤行延 、鬼塚正孝 、榊原 謙 、南 優子 、野口雅之
突然血圧低下(収縮期50mmHg台)
と麻酔バッグを押せない程の気道
70歳の男性。 1 カ月間で19cm大へ倍増した白血球増多を伴う右前胸
内圧上昇が生じ、薬剤によるショックと気道痙攣が疑われた。DOA増
壁腫瘤を呈し、GCSF高値と経皮針生検により癌が確認された。手術で
量、薬剤投与に加え、筋弛緩剤をロクロニウムからベクロニウムに変更し
は、腫瘍を大胸筋、第 1 - 5 肋骨、一部半切した胸骨とともに胸壁から
症状軽快、その後RUL+ND2aを完遂した。ロクロニウムは市販後調査
遊離すると肺門が展開でき、右肺上葉と一塊で摘出した。組織像は肺
でショックが報告されており、薬剤アレルギーの既往を持つ患者での投与
原発多形癌で、術後、白血球は低下し順調に経過した。
は慎重を期すべきである。
III - 29 同一領域に結核病巣と肺腺癌を認めた一例
1自衛隊中央病院 胸部外科
2自衛隊中央病院 内科
3自衛隊中央病院 研究検査部病理課
1
1
1
2
1
1
1
小原聖勇 、橋本博史 、熊木史幸 、大鹿芳郎 、野澤幸成 、
3
3
3
竹島茂人 、三村敬司 、佐々木由佳 、佐藤仁哉 、松熊 晋 、
田中良昭
1
症例は40歳男性。職場の健康診断で異常影を指摘された。CTで右肺
下葉 S9に空洞を有し胸膜陥入を伴う腫瘤状影が存在した。術前の気
管支鏡検査で肺腺癌の診断を得た。cT2N0M0の診断で右肺下葉切
除術ND2aを行った。病理所見は結核菌を伴う類上皮肉芽腫とともに肺
腺癌が散在し、同一の領域に結核病巣と肺腺癌が存在した。文献的
考察を加え報告する。
– 28 –
15:30〜16:10 肺悪性腫瘍 2
座長
坂 尾 幸 則(癌研有明病院 呼吸器外科)
III - 30 転移性肺腫瘍に対する右 S9a + S10切除術の 1 例
1筑波大学大学院 人間総合科学研究科
III - 31 奇静脈葉を有するsuperior sulcus tumorの一切除例
1群馬県立がんセンター 呼吸器外科
2筑波大学附属病院 呼吸器外科
2同診断病理部
1
2
2
1
1
1
2
1
酒井光昭 、中村亮太 、小林尚寛 、小林敬祐 、後藤行延 、
石川成美 、鬼塚正孝 、榊原 謙
3杏林大学医学部 外科学教室
1
2
1
吉田 勤 、中里宜正 、田中良太 、呉屋朝幸
3
症例は67歳男性。腎細胞癌で左腎摘 2 年後の右肺 S10 a 孤立性肺転
症例は76歳男性、胸部異常陰影を指摘され当科受診となった。胸部
移。S10区域切除術の方針とした。第 6 肋間開胸。底区肺動脈を末
CTでは右肺上葉に 4 cm大の腫瘤を認め、また奇静脈を取り巻く様に
梢側へ追うために下葉肺実質を切離していく途中で、肺動脈と交差する
肺実質が存在し奇静脈葉が疑われた。気管支鏡下肺生検を施行し右
B9aを切離した。S9a+S10切除術の方針としA9a、A10a、A10b+c、
肺扁平上皮癌と診断した。胸壁浸潤が疑われ cT3N0M0 病期ⅡBと判
B10a、B10b+cの順で結紮切離した。S6/S10間を分離して下肺静脈を
断し、右肺上葉切除、リンパ節郭清及び胸壁合併切除を施行した。本
展開し、下肺底静脈のみを結紮切離した。最後にS 9 a/ S 9 b 間の分離
症例では胸壁合併切除を要する肺癌に加え、解剖学的奇形が存在す
を行った。
る希な症例であり、手術に工夫を要したので報告する。
III - 32 右肺動脈上行大動脈起始症に合併した右上葉肺癌の 1
III - 33 肺葉切除から 1 年 4 カ月後の縦隔リンパ節再発に対し追加
郭清を行った肺腺癌の 1 例
手術例
1杏林大学 呼吸器外科
財団法人癌研究会有明病院 呼吸器外科
2杏林大学 心臓血管外科
中村 崇、奥村 栄、坂尾幸則、文敏 景、上原浩史、中川 健
1
1
1
1
1
症例は63歳男性。他院にて大腸癌手術(2003年)
、転移性肺腫瘍に対
1
1
1
1
2
し右上葉切除+ND1(2007年)。CEAが再上昇し当院受診。PETCT
2
2
2
で# 3(短径 1 cm以下)
に集積を認めEBUS-TBNAを実施、他院標
71歳男性。血痰を主訴に当院を受診。右上葉肺癌 cT4N0M0(T4は
本見直しで原発性肺癌の# 3 転移の診断。同部以外に再発、転移巣
武井秀史 、苅田 真 、橘 啓盛 、河内利賢 、増井一夫 、
中里陽子 、長島 鎮 、輿石義彦 、呉屋朝幸 、遠藤英仁 、
戸成邦彦 、窪田 博 、須藤憲一
PM1)
と診断、同時に右肺動脈上行大動脈起始症を認めた。他の心
を認めず、未郭清範囲の再発と判断し、胸骨正中切開での上縦隔郭清
奇形は認めず右上葉切除を行った。上葉の肺動脈はA1 + 3とA 2の
(ND 2 a 相当)
を施行した。術後半年の経過で再発なく、CEAも正常
2 本であった。気管支動脈は右肺動脈から分岐していた。肺動脈大
値を保っている。
動脈起始症が成人まで無症状で経過することは極めてまれで、本疾患
に合併した肺癌手術例の報告はない。
III - 34 右S6 sleeve segmentectomy で切除した大腸癌肺転移の
1例
茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター
森下寛之、朝戸裕二、清嶋護之
症例は58歳、女性。2006年 2 月下行結腸癌・肝転移に対し結腸切
除・肝部分切除術が施行された。2007年 5 月肺転移が疑われ、右上
葉部分切除術施行されたが肉芽腫であった。2009年 1 月PET/CTで
肝・肺転移を認め、2 月肝切除が行われた。CT上、肺転移巣はS6肺
門側に存在、中間気管支幹に接していた。術中所見でB6根部から中
間気管支幹に浸潤所見を認め、S 6 sleeve segmentectomyを行った。
肺転移巣切除に於いて、気管支形成術が行われることは比較的稀であ
り、報告する。
– 29 –
16:10〜16:50 肺悪性腫瘍 3
座長
高 持 一 矢(順天堂大学 呼吸器外科)
III - 35 高齢者の悪性胸膜中皮腫に対し左胸膜肺全摘術と術後化
学療法を施行した 1 例
III - 36 放射線化学療法後の肺尖部胸壁浸潤肺癌に対する前方ア
プローチの 2 例
独立行政法人国立病院機構東京病院
国立がんセンター東病院 呼吸器外科
桑野秀規、竹内惠理穂、佐野 厚、中島由槻
青景圭樹、菱田智之、嶋田善久、中尾将之、川瀬晃和、
70歳女性。咳、痰、発熱を主訴に来院した。胸部単純写真上左胸水
小鹿雅和、吉田純司、永井完治
貯留を認めた。CT上左胸膜肥厚を認め、FDG-PET検査で同部に異
61歳と64歳男性。共に第 2 肋骨前方浸潤を伴う肺尖部肺癌で、術前
常集積を認めた。胸腔鏡下胸膜生検施行し、上皮型悪性胸膜中皮腫
放射線化学療法が行われた。いずれもPRが認められ、鎖骨温存の前
と診断された。高齢ではあったが耐術しうると判断し、左胸膜肺全摘、
方アプローチが可能と判断し手術となった。 1 例は鎖骨下縁から胸骨
心膜・横隔膜合併切除、リンパ節郭清を施行した。術後心房細動を合
右縁、第 3 肋間の及ぶコの字切開を加え第 1 、 2 、 3 肋骨を、もう
併したが、保存的治療で軽快し、第27病日に退院した。術後74日目より
術後化学療法(CDDP+PMX)
を施行中である。
1 例は鎖骨下縁から胸骨右縁までの切開を加え第 1 、 2 肋骨を合併
切除した。胸壁再建を行い、経過良好で退院。病理学的にも完全切
除であった。
III - 37 肺全摘術後に対側肺切除を行った肺癌症例
1順天堂大学医学部附属練馬病院 呼吸器外科
III - 38 放射線化学療法が有効であったA-P
一手術例
2順天堂大学附属順天堂医院 呼吸器外科
1
2
2
window浸潤肺癌の
自治医科大学附属病院 呼吸器外科
2
市之川英臣 、王 志明 、高持一矢 、櫻庭 幹 、鈴木健司
2
手塚憲志、遠藤哲哉、大谷真一、長谷川剛、遠藤俊輔
症例は77歳男性。原発性肺癌に対して平成11年左肺上葉切除術、平
症例は67歳女性。咳を契機に発見された長径4.5cmのA-P window
成18年左肺残肺全摘出術を施行。平成20年、胸部CT上右S2 領域に
浸潤肺扁平上皮癌(c-T4N2M0)
に対し、CDDP+VNRを用いた放射
15mm大のsimple GGO、S3 領域に15mm大のmixed GGOを指摘され
線化学療法(50Gy)
を施行。腫瘍は長径 3 cmに縮小したもののA-P
た。肺癌を疑い、S3のmixed GGO病変に対して肺楔状切除を施行。
windowへの浸潤が疑われた。補助循環スタンバイのもと胸骨正中切開
術中は一時的にhyperventilatedとした後に 1 分間の換気停止および
下に手術を施行。ボタロ管を切離して左主肺動脈を遮断できたために補
肺虚脱の状態とし、肺楔状切除を完了した。手術時間55分。術後は
助循環を使わずに心嚢内左肺全摘術を施行できた。術後病理検査で
順調に回復し、現在外来にて経過観察中である。
は病巣とリンパ節ともにef 3 であった。術後経過良好で退院した。
III - 39 Clinicopathological Features in Resected Subcentimeter Lung Cancer-Status of Lymph Node Metastases
General Thoracic Surgery, Juntendo University School of
Medicine
Zhou Qianjun, MD, Yoichi Anami, MD, Kazuya Takamochi, MD,
Shiaki Oh, MD, Kenji Suzuki, MD
The role of systematic lymph node dissection(SLND)for lung
cancer remains controversial, especially for subcentimeter
tumors. We investigated the status of lymph node metastases
in resected subcentimeter lung cancers. Among 681 patients
b e t w e e n 2000 a n d 2008. 31 p a t i e n t s u n d e r w e n t s u r g i c a l
resection for subcentimeter lung cancers. Pathological lymph
node metastases were found in five cases(16%). Gender, tumor
differentiation, and pleural invasion were significant predictors
for lymph node mets. SLND is not dispensable for patients with
subcentimeter lung cancers.
– 30 –
Fly UP