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地球温暖化の不思議実験
地球温暖化の不思議実験 【A.はじめに】 地球の気温を決定しているメカニズムを説明し、地球温暖化の原因・影響について実験・解説 を行うとともに、具体例を出してその対応策を考え、温暖化防止への理解を深めることを目的 とする。実験内容は、以下の4つテーマとし、さらに解説を補足するビジュアルを交えて進め られるように構成した。 【B.実験のテーマ】 [1]太陽の光(赤外線の性質) [2]大気の構成とその性質(二酸化炭素、酸素) [3]温室効果の体験 [4]地球温暖化の影響を考える(海面上昇実験) 【C.実験プログラムの構成】 実験ショーの所要時間は 30 分を目安に7つの実験で構成、解説用に6つのビジュアルを用意し た。 解説用ビジュアルはPCからプロジェクター投影、あるいは印刷してフリップにできるよう画 像・アニメーションファイルとした。また、オプションプログラムとして3つの実験を、関連 する情報に3つの「豆知識」を記載した。 ■実験内容 ■オプションプログラム 1. 実験 try01 分光実験 ································ 5 try02 赤外線の性質 ··························· 7 try14 浮かぶシャボン玉 ····················· 29 try15 酸素と二酸化炭素を見る ··············· 9 try16 ドライアイスでシャーベット ············ 30 try03 酸素/二酸化炭素の性質············· 10 try05 水の体積膨張 ························· 31 try04 二酸化炭素を作る ···················· 12 2. 説明 try06 海面上昇実験 ························· 14 vis19 波長と振幅 ····························· 33 try07 温室効果体験 ························· 19 vis20 周波数と波長 ·························· 34 ■解説 vis14 氷河の溶け方 ·························· 35 vis11 海面が上昇したらどうなる?·········· 36 vis07 光の種類 ······························· 22 vis02 地球の大気組成 ······················ 23 ■オプションプログラム vis08 温室効果とは? ······················· 24 vis15 スペクトルの話 ························· 37 vis09 地球の平均気温 ······················ 25 vis17 氷河が全部溶けたら? ··············· 38 vis01 温暖化とは? ·························· 26 vis18 沈むトロピカルアイランド ·············· 38 (vis12 北極と南極) ·························· 27 vis03 わたしたちにできる温暖化対策 ······ 28 1 【D.主な流れ】 (導入話題) 天気の良い日に暖かく感じるのは、太陽からエネルギーがきているから。 1) 分光実験 [try01] ● わかること プリズムを通すと光はたくさんの色に分かれる。 ● 主な話 太陽からきているエネルギーには多数の種類がある。 昼光ランプの光をプリズムに当てると、光がたくさんの色にわかれる。 2)光の種類[[vis07] ● わかること 太陽の光には目に見える可視光線の他に目に見えない光もある。 ● 主な話 赤外線は熱を持った物からは必ず出ている。高い温度の物ほど赤外線を多く出す。 3)赤外線の性質 [try02] ● わかること 赤外線の性質。 ● 主な話 赤外線は、物を暖める性質がある。 4)地球の大気組成 [vis02] ● わかること 空気の中に含まれている気体の割合。 ● 主な話 二酸化炭素は酸素よりも少ない。 5)酸素と二酸化炭素を見る [try15] ● わかること 酸素も二酸化炭素も見えないのは同じ。 ● 主な話 酸素も二酸化炭素も無色透明。 6)酸素/二酸化炭素の性質 [try03] ● わかること 酸素と二酸化炭素の性質をみる。 ● 主な話 酸素はものが燃えるのを助ける。二酸化炭素は火を消す。 7)二酸化炭素を作る [try04] ● わかること 2 二酸化炭素は生活の中で身近に用いられている。 ● 主な話 二酸化炭素は炭酸ガスともいい、炭酸飲料に入っている泡の出る気体。 8)温室効果とは? [vis08] ● わかること 二酸化炭素が赤外線を再放射する。 ● 主な話 空気の中の二酸化炭素が、赤外線を吸収したあとで、宇宙や地球に向けて再び熱を放つ。 9)地球の平均気温[vis09] ● わかること 温室効果のおかげで、地球は快適な気温。 ● 主な話 温室効果で、地球の平均気温は 15 度に保たれている。 温室効果がなかったら、地球の平均気温は-18 度になる。 10)温暖化とは [vis01] ● わかること 人間が温室効果のバランスを崩した。 ● 主な話 人間が便利な生活を求めるようになってから、少しずつ温室効果のバランスが崩れた。 温室効果が強まり、空気が余分に暖められるようになってきた。 11)海面上昇実験 [try06]前半 ● わかること 海面が暖められると、氷が融ける。 ● 主な話 どちらかは、氷が解けても影響はない。安全なほうに人形を置いてみる。 12)温室効果体験 [try07] ● わかること 大気の役目。 ● 主な話 大気の温室効果によって地球の平均気温は 15 度に保たれている。 もし、地球に大気の層がなかったら、平均気温は-18 度になる。 3 ● わかること 赤外線で暖かくなる。 ● 主な話 手をほほに近づけると、ほほが暖かく感じる。これは、手から赤外線が出ているから。 人間も赤外線として周りに熱を放っている。 ドームが熱を外に出さないように守っているからドームの中の気温が上がる。 ● わかること 二酸化炭素と温室効果と人間の生活。 ● 主な話 大気の中でもとくに二酸化炭素は、暖かさを保つ効果がある。 二酸化炭素は、モノを燃やしても、人間が息をしても出る。 電気を作るときにも、クルマに乗ってもでる。 人間が便利な生活すればするほどでるんだね。 ● わかること 二酸化炭素と植物。 ● 主な話 二酸化炭素は悪者ではないんだよ。 人間は酸素を吸って、二酸化炭素を出すけど、植物は二酸化炭素を吸って、酸素をだす。 二酸化炭素がないと、植物は生きられない。とても大切なもの。 ● わかること 空気の存在を感じる。 ● 主な話 暑くなってきたので、脱出しよう。 外に出ると普段は意識しない空気のおいしさが分かるよ。 13)海面上昇実験 [try06]後半 ● わかること 海面上昇の要因。 ● 主な話 南極は陸地の上に氷があるので、氷が溶けた量だけ海面も上昇する。 14)温暖化のまとめ [vis03] ● 主な話 氷を室温においておけばいつかは融けるように、このまま二酸化炭素を出しっぱなしの生活を 続けたら南極の氷も少しずつ融けていきます。すぐにも生活を見直しましょう。 4 分光実験[try01] ■実験の目的 昼光ランプと三角プリズムを用い分光実験を行い、赤外線の存在を予想させる ■準備 1) 2) ガムテープなどで、三角プリズムや昼光ランプの設置位置にしるしをつける。 昼光ランプと三角プリズムとスクリーンを下図のようにセット ■手順 1) 2) 昼光ランプをつけてスクリーンに波長ごとに(虹状に)分光された様子を見る。 可視光線、赤外線、紫外線等の話をする。(虹色の)赤色の外側、見えないところに赤外線 がある。 ※赤が左になるようにプリズムをセットする。 ■演示写真 5 ■解説例 ●可視光線 可視光線(かしこうせん)とは、電磁波のうち、人間の目で見える波長のもの。いわゆる光の こと。JIS Z8120 の定義によれば、可視光線に相当する電磁波の波長は、おおよそ短波長側が 360 nm∼400 nm、長波長側が 760 nm∼830 nm である。可視光線の外に位置するのが赤外線 と紫外線。 ●近赤外線 近赤外線は、およそ 0.7∼2.5 マイクロメートルの可視光(赤)に近い電磁波。可視光線に近い 性質を持つため、「見えないが、可視光線に似た性質の光」として応用されている。 赤外線通信テレビなどのリモコンや携帯電話、セキュリティ用 CCD カメラの夜間光源などに利 用される。赤外線 LED が光源としてよく利用される。 ●中赤外線 中赤外線は、およそ 2.5∼4 マイクロメートルの電磁波。近赤外線の一部として分類されるこ ともある。 ●遠赤外線 遠赤外線は、およそ 4∼1,000 マイクロメートルの電磁波である。電波に近い性質も持つ。 遠 赤外線は熱を持った物体(絶対温度が 0K を超える物体)からは必ず放射されている。すなわ ち熱線としての性質を持ち、高い温度の物体ほど赤外線を強く放射する。 主として、熱線として調理や暖房など加熱機器に利用される。一般に電磁波は、波長が長い方 が物体に浸透する能力が大きくなるので、遠赤外線を用いることにより、対象を内部から暖め ることができる(その好例がコタツである)。 ■用意するもの ‧ ガムテープ ‧ ホワイトボード(スクリーン) ‧ 三角プリズム ‧ 昼光ランプ 6 赤外線の性質[try02] ■実験の目的 赤外線には物体を暖める性質(力)がある。見えない赤外線を感じる。 ■準備 1) 遠赤外線ヒーター(あらかじめ通電を確認しておくこと)。 ■手順 1) 2) 遠赤外線ヒーターの取っ手を下にしてスイッチを入れる 参加者にヒーターに手をかざして、遠赤外線が熱を放射していることを確認させる。 ※見学者に手をかざさせる場合は 300mm 以上遠ざける。 ■遠赤外線ヒーター: ■演示写真 ■実験イメージ ■参考資料 ‧ 光の波長による分類 ‧ 可視光線(0.4∼0.75μm) ‧ 近赤外線(0.75∼2.51μm) ‧ 中間赤外線(2.5∼25μm) ‧ 遠赤外線(25∼100μm) ※ガラスは 2μm以上の波長を通さない。 [参考サイト: http://home4.highway.ne.jp/baubau/kgk98.html] ■用意するもの 7 ‧ 軍手 ‧ 遠赤外線ヒーター(把手及び通電ランプは取り付け加工した) ※坂口電熱製 PH-100(1000W)を利用。 http://www.sakaguchi.com/lineup/goods/enseki_panelheater.html 8 酸素と二酸化炭素を見る[try15] ■実験の目的 酸素と二酸化炭素が目に見えない気体であることを示す ■準備 1) 2) 酸素缶と二酸化炭素缶を用意。 それぞれの缶には「酸素・O2」「二酸化炭素・CO2」とわかり易くラベルを巻いておく。 ■手順 1) 2) 酸素を見てみよう。(シュー) →何も見えないね。 二酸化炭素を見てみよう。(シュー) →やはり何も見えないね。 ■参考写真 ■用意するもの: ‧ 二酸化炭素ボンベ (参考:中村理科 F35-1907) ‧ 酸素ボンベ (参考:中村理科 F35-190) 9 酸素/二酸化炭素の性質[try03] ■実験の目的 酸素と二酸化炭素の性質を見る ■準備 1) 酸素と二酸化炭素のボンベ、広口ビンx2、線香 10 数本、ろうそく、ろうそくたて、チャッ カマン、水を入れた容器をテーブルの上に置いておく。 ■手順 1) 2) 3) 4) 5) 6) 線香(10 数本を束ねる)に火をつける 広口ビンに酸素缶から酸素を入れる 酸素をいれた広口ビンに火のついた線香入れる →勢いよく燃える →酸素にはものを燃やすのを助ける性質があることを話す ロウソクに火をつける 別の広口ビンに二酸化炭素缶から二酸化炭素入れる 二酸化炭素を入れた広口ビンに火のついたロウソクを入れる →ロウソクの火が消える →二酸化炭素には火を消す性質があることを話す ■参考写真 酸素を広口ビンに入れる 酸素の入った広口ビンへ線香を入れる 10 二酸化炭素の入った広口ビンへロウソクを入れる ■注意点 ‧ 火の取り扱いに注意する ‧ 消火用水を用意する ‧ 酸素缶、二酸化炭素缶、ライターの予備を用意する ■資料 ‧ 地球大気組成 (地表) 割合 ‧ 窒素 78.088% ‧ 酸素 20.949% ‧ アルゴン 0.93% ‧ 二酸化炭素 約 0.037% 大気中の二酸化炭素の割合について、氷床コアなどの分析から産業革命以前はおよそ 280ppm (0.028%)であったと見積もられている。この濃度増加は主に化石燃料の大量消費が原因と考えら れている。 ■用意するもの ‧ ろうそく ‧ ろうそくたて ‧ チャッカマン ‧ 二酸化炭素ボンベ (参考:中村理科 F35-1907) ‧ 広口ビンx2 ‧ 水を入れる容器 ‧ 火を消すための水 ‧ 線香 ‧ 酸素ボンベ (参考:中村理科 F35-190) 11 二酸化炭素を作る[try04] クエン酸と重曹をつかって二酸化炭素をつくる。 ■準備 ‧ プラコップ 3 つに重曹を適量入れておき ネーミングしておく。 ‧ プラコップ 3 つにクエン酸を適量入れておき ネーミングしておく。 ■手順 イ) 透明なプラコップにクエン酸と重曹(炭酸水素ナトリュウム)おのおの入れる ロ) まず、重曹を子供たちの右手に乗せ「せーの」でなめさせる →にがい等々の反応 ハ) 次に、クエン酸を子供たちの左手に乗せ「せーの」でなめさせる →すっぱい等々の反応 ニ) プラコップにクエン酸と重曹を 2:1 の割合で混ぜ、子供たちの手に乗せ「せーの」でなめさ せる →しゅわしゅわ感の反応 ホ) 食品に応用していることを説明 ■参考写真 -- オプション 1 -ラムネ水の作り方。 用意するもの ‧ 重曹(炭酸水をナトリウム)・・・2.5g ‧ 砂糖・・・25g ‧ クエン酸・・・4g ‧ レモンエキス1滴 ‧ ペットボトルかなど密封できる容器 12 ●作り方 1) 2) 3) 4) ビーカーなどに水200ml入れる。 これに砂糖とクエン酸を加え完全に溶かす。 溶けたら氷で冷やす。 冷えたら容器に入れレモン水を加え、重曹を入れ素早く容器の口を閉め逆さにする。 -- オプション 2 -ドライアイスでシャーベット。 ■用意するもの ‧ クエン酸 ‧ 重曹 ‧ スプーン(小)x9 ‧ 透明プラスチックコップx9 13 海面上昇実験[try06] ■実験の目的 温暖化によって極地の氷が溶けて起こる海面上昇の影響について考える。 ■比較素材 北極(海の上の氷)、南極(大陸の上の氷) ■準備 1) 2) 3) 4) 5) 6) 北極の海と南極の海を模した実験用模型を用意する(写真参照)。 北極と南極の水深が同じになるように水を注ぐ(喫水線に印しておく)。 北極海の水深は、氷(600ml 分・後述)を浮かべた際に、陸地の6∼7割まで水が浸るように 調整する。あらかじめ氷を浮かべる前と直後の、喫水線を目印しておく。 北極海の水温は 30℃程度に設定する(10 分以内に 600ml の氷が溶けるように)。 海の色を模すために、水に水性インクで色を着ける(2-3 滴)。 極地模型の北極・南極のそれぞれの氷の上にドライヤーをスタンドセットする。 ※ドライヤーと氷の距離は 300-400mm 程度に設定する。 7) 8) 北極・南極用にそれぞれ 600ml の氷を 2 セット分用意し、カキ氷を作成する かき氷はそれぞれ容器に入れて、アイスボックスなどに保管する。実験開始の直前、北極の 海と、南極の大地にかき氷を置く(南極側は南極に、北極側は海に)。 ※北極モデルでは氷が水に浮くように注意する。 ※電源容量に注意。1000W のドライヤーの場合はそれぞれの電源を別系統のコンセントから取ること。 9) あらかじめ南極側にペンギン、北極側に白熊を配置しておく。 10) 北極と南極の名称プレートをおのおの前に配置しておく。 11) 氷が溶ける時間は、場所、室温によっても変わるので、必ず事前の予備実験を行い、10 分程 度で氷が溶けるように水温調節しておくと良い。 12) かき氷用に氷の予備を用意しておく。 ■手順 1) 2) 3) 4) 5) 北極と南極の環境、位置などについて説明する。 参加者たちに人形を配り、水が上昇しても大丈夫だと考えられる場所に置いてもらう。(人 形は演示者&アシスタントが直接子供たちに配る) ドライヤーのスイッチを入れる。 10 分放置して、氷が溶けたところで結果を見る。 南極で氷が溶けると海面上昇に影響し、北極では上昇しないことを説明する。 ※北極の氷の溶け方が早いことにも触れてもよい。 14 ↓10 分後 ■参考写真 ▲全体写真 ▲北極と南極の環境、位置などについて説明する 15 ▲北極、南極の氷を投入 ▲南極 ▲北極 ▲氷が溶けた状態、横から 16 ▲氷が溶けた状態、上から ▲氷が溶けた状態、南極 ■解説例 実験について: 地球温暖化で心配されているものの 1 つに、極地の氷が溶ける影響による海面の上昇がありま す。 この模型は、こちらが北極でこちらが南極です。ここにそれぞれ、同じ分量の氷を入れます。 さて 10 分後にこの南極・北極の氷が解けます。さあ、あなたならどこに逃げますか? みなさん安全と思われるところに手元の人形を置いてみてください。 それでは、スイッチを入れます。 さて、海面上昇の実験はどうなったか見てみましょう。 北極・南極すべて氷が溶けてしまいました。 北極はあまり海面上昇はしていませんね。(ただ、氷の上に置いた物はすべて水没してしまい ました。) 南極は氷が溶けて水が陸地にまでおしよせてきました。海面が上昇したということです。 ※極地の生き物について 南極にはペンギン 南半球に分布する海鳥で、飛べない鳥の代表格でもある。 北極にはホッキョクグマ全身が白い(正確には内部が空洞になった透明な)体毛に覆われてい るため、シロクマ(白熊)とも呼ばれる。 ■用意するもの 17 ‧ カキ氷機 ‧ ドライヤー ‧ ロックアイス(1Kg) ‧ 人形 ‧ 北極名プレート ‧ 南極名プレート ‧ 実験機材を隠しておく布 ‧ 極地模型 x2 ‧ 水 ‧ 水性インク ‧ 疑似太陽ライト 18 温室効果体験[try07] ■実験の目的 オリジナルエアドームにみんなで入って、温室効果(ヒートアイランド)を体感する ■準備 1) 2) 3) 農業用ポリエチレンシート黒 (0.02mm)を張り合わせて袋状にする。 出入り口として一箇所は貼り合わせずにおく。 エアブロアーやファンを使って中に空気を入れ、エアドームを膨らませられるようにする。 ■補足・注意 イ) エアドームのサイズは人員十数名までならビニールシート 3 列を目安とする。四十名程度の場 合はビニールシート4列(一枚の幅 1800mm×長さ 10m)程度を目安とする。 ロ) ブロアーのエア吸入口に毛髪を巻き込む恐れがあるので注意する。 →付属のフィルター(ダストバック)があれば、必ず取り付けること。 ハ) エアドームの入り口をステージのどの位置にするか、あらかじめ決めておく。 ニ) 参加者が多いときにはエアドームをどのように広げられるか確認しておく。 ホ) エアドームを脱出後に取り残されてしまった人がいないか、注意、確認すること。 ■手順 1) 2) 3) 4) 5) 6) 加工したポリエチレン黒袋をブロワーで膨らませる。 中に参加者たちを入れて 助手が表からビニールテープなどで密閉する。 中で環境問題や地球温暖化の話をする。 時間がたつにつれて内部の気温が上昇。 最後にポリエチレン黒袋を破って脱出。 新鮮な空気を改めて実感する。 ■ポリエチレンシートの加工 A) B) 幅 1.8m のポリエチレンシートを長さ 10m に切り二つ折りにする。 それぞれ半分に折り 3 枚を張り合わせる。 19 C) それぞれを縁のテープで貼り袋状に張り合わせていく。 D) 3枚の内、端の一辺だけは貼り合わせずに入り口とする。 *黄色がテープ *50mm 幅ずつ重ねる ■解説例 ‧ ビニール袋に空気を入れてふくらませます。 ‧ みんなで中に入りましょう。 ‧ 中に入ってみると思ったより広く感じますね。 ‧ このシートが地球を取り囲んでいる大気と考えてください。 ‧ 中の温度はこのシートによって外に逃げないようになっています。 ‧ 地球の温室効果も大気によって外に熱が逃げにくくなっています。 ‧ みなさんの体から熱が赤外線となって出ています。 ‧ 頬に手を近づけてみてください。頬が手の熱でほんのり暖かく感じませんか。 ‧ 今は、シートが熱をためこんでいます。 ‧ 温室効果で、二酸化炭素が同じように熱を貯め込みます。 ‧ 二酸化炭素は、電気を作るときやクルマに乗るときなどに排出されます。 ‧ ゴミを燃やしても出るし、私たちが呼吸してもでます。 ‧ だんだんシートの中も暑くなってきました。 ‧ みんなで一緒に温室効果シートを破って外に出ましょう。 ‧ 5・4・3・2・1・ゼロ! ‧ 新鮮な空気が感じられますね。涼しい風がきましたね。 20 ■参考写真 シートを展開して膨らませる 破いて脱出 中に入り解説 ■用意するもの: ‧ 50mm 幅梱包テープ ‧ エアブロワー(参考:リョービ BL-3500−最大風量 3.5m^3/min− ) ‧ 懐中電灯 ‧ 農業用ポリエチレンシート黒 (厚さ 0.02mmx 長さ 50mx 幅 1800mm) 21 光の種類[vis07] 光にはたくさんの種類があります。 目に見えている光は電波や X 線と同じ電磁波の仲間です。 ■画像 静止画 1024×768。 参考資料 可視光線 (かしこうせん) 電磁波のうち、人間の目で見える波長のもの。いわゆる光のこと。JIS Z8120 の 定義によれば、可視光線に相当する電磁波の波長は、おおよそ短波長側が 360 nm ∼400 nm、長波長側が 760 nm∼830 nm である。可視光線の外に位置するのが赤 外線と紫外線。 近赤外線 およそ 0.7∼2.5 マイクロメートルの可視光(赤)にほど近い電磁波。可視光線 に近い性質を持つため、「見えないが、可視光線に似た性質の光」として応用さ れている。赤外線通信テレビなどのリモコンや携帯電話、セキュリティ用 CCD カ メラの夜間光源などに利用される。赤外線 LED が光源としてよく利用される。 中赤外線 中赤外線は、およそ 2.5∼4 マイクロメートルの電磁波。近赤外線の一部として 分類されることもある。 遠赤外線 およそ 4∼1,000 マイクロメートルの電磁波である。電波に近い性質も持つ。 遠 赤外線は熱を持った物体(絶対温度が 0K を超える物体)からは必ず放射されて いる。すなわち熱線としての性質を持ち、高い温度の物体ほど赤外線を強く放射 する。主として、熱線として調理や暖房など加熱機器に利用される。一般に電磁 波は、波長が長い方が物体に浸透する能力が大きくなるので、遠赤外線を用いる ことにより、対象を内部から暖めることができる(その好例がコタツである)。 22 地球の大気組成[vis02] 私たちは呼吸をするとき、酸素を吸って二酸化炭素を吐いています。空気中の酸素と二酸化炭素の 割合を見てみると・・・。 大気中に一番多いのは窒素という気体で 80%近くあります。次に多いのが酸素で 20%程です。二酸 化炭素は1%もありません。酸素と比べると、ずいぶん少ないですね。 ■画像 静止画 1024×768。 23 温室効果とは?[vis08] 空気の中の二酸化炭素が、赤外線を吸収したあとで、宇宙や地球に向けて再び熱を放ちます。 温室効果によって、地球の平均気温は、15 度に保たれています。 もし、温室効果がなかったら、地球の平均気温は-18 度になるだろうといわれています。 その差は 33 度に及ぶので、夏であっても冷凍庫の中のように寒いものになると考えられています。 ■画像 太陽から来るエネルギーを吸収して地面が暖まり ます。 赤外線の一部を大気中の二酸化炭素(温室効果ガ ス)は吸収します。 二酸化炭素(温室効果ガス)から宇宙空間や大気・ 地球の表面に向けて赤外線がまた出(放射され)ま す。 宇宙へ熱を逃がさないこのしくみを温室効果とい い、ここでの二酸化炭素のような働きをする気体 を温室効果ガスといいます。 アニメ 1024×730。 24 地球の平均気温[vis09] 温室効果によって、地球の平均気温は、15 度に保たれています。 もし、温室効果がなかったら、地球の平均気温は-18 度になるだろうといわれています。 その差は 33 度に及ぶので、夏であっても冷凍庫の中のように寒いものになると考えられています。 ■画像 温室効果によって地球の平均気温は、約 15 度に たもたれている もしも温室効果がなかったら…?「地球は何度に なるでしょう?」 「-18℃」になるとかんがえられています。 アニメ 1024×730。 25 温暖化とは?[vis01] 二酸化炭素が近年、増え続けています。 二酸化炭素は呼吸によっても出ますが物を燃やしても出ます。ごみを燃やす。電気を使う。自動車 はガソリンを燃やして走るなど、人々が便利な生活を求めるようになって、二酸化炭素が増えまし た。二酸化炭素が増えるとそれだけ多くの赤外線を吸収するので、温室効果は強まり、地球表面の 大気や海洋の平均気温が上昇すると考えられます。これが温暖化です。 地球温暖化は、生き物に良くない影響が出るという、ほかの環境問題にも関係があります。地球温 暖化が進んでいくと、ほかの環境問題にも悪い影響が出るだろうと考えられています。 ■画像 アニメ 1024×730。 26 北極と南極[vis12] 上が北極と呼ばれる場所で、白クマやトナカイがすんでいます。 下は南極と呼ばれる場所で、ペンギンがすんでいます。 地球儀ビーチボールとペンギン&シロクマ人形を使って説明する。 ■参考写真 27 わたしたちにできる温暖化対策[vis03] 地球温暖化を防ぐためにはどうしたらいいでしょうか。 私たちの身の回りでできることに、このような(下図)ことが挙げられます。 地球のバランスがわたしたちの経済活動によって崩れようとしています。地球温暖化を防ぐために、 今、わたしたちができることを始めましょう。 ―地球を守るより 「46 億年かけてできてきた地球のバランスが、エネルギーをたくさん使う人間活動によってこわさ れようとしています。温暖化のような気候変動の影響は、なかなか目に見える形ではあらわれてき ません。地球上すべての大気や海水など大量のものがあたためられて、気候全体のシステムが変わ るまでには、長い年月がかかるからです。そして、影響がはっきりしてから対策をとろうとしても、 今度はこの効き目があらわれるまでに長い年月がかかります。もしも対策がおくれたならば、変化 に弱い生態系が壊されたり、豊かな農地が水に沈んでしまうなど、人間がどんなにがんばっても、 もとに戻せないものを失うかもしれません。一度絶滅した種は二度ともどらないのです。私たちは、 地球上の生き物がこれからも生きていくために、「今」温室効果ガスを出しっぱなしにする生活を 変えなければなりません。」 ■画像 1024x768 静止画 28 浮かぶシャボン玉[try14] ■実験の目的 シャボン玉を用いて酸素と二酸化炭素の性質を示す ■準備 1) 2) 3) 水槽の周りにドライアイスが隠れるくらいの目隠しをする 水槽にドライアイスを入れておき二酸化炭素を充満させておく シャボン玉のセットでシャボン玉を作れるようにしておく ■手順 1) 2) 3) 水槽の外に向けてシャボン玉を飛ばす。 →割れる 水槽の中に向けてシャボン玉を飛ばす。 →浮かぶ 二酸化炭素の重さについて説明する。 ■参考写真 ■用意するもの ‧ シャボン玉セット ‧ ドライアイス ‧ 水槽 ‧ 黒い色紙(目隠し用) 29 ドライアイスでシャーベット[try16] ■実験の目的 二酸化炭素の性質を見る ■準備 かき氷機、透明プラスチックコップ、容器に入れた細かいドライアイス、氷つかみ、ジュース、ス プーンを用意(台に載せる、またはワゴンテーブルで出す) ■手順 1) 2) 3) 4) 5) ドライアイスをカキ氷器で細かくして、ドライアイス「かき氷」状にする。 「かき氷」状のドライアイスにジュースを加えて手早く混ぜる。 ドライアイスの白い粒が見えなくなったら出来上がり。 見学者にカップとスプーンを手渡し、賞味する。 「どうですか。あっという間にシャーベットのでき上がりですね。ただ、ドライアイスは素 手でさわると低温火傷をすることがありますので、充分な注意が必要です。 ビンなどに入れて密閉しないでください。破裂します。 」 ■用意するもの ‧ カキ氷機 ‧ ジュース ‧ スプーン ‧ ドライアイス ‧ 透明プラスチックコップ ‧ 軍手 30 水の体積膨張[try05] ■実験の目的 三角フラスコをお湯にいれて水の体積膨張を体験する=>温暖化による海面上昇 ■準備 開始前に、お湯を一度沸騰させておく。 ※500ml を沸騰するのに、3∼4 分かかる(ティファール早湧きポット使用時)。 ■手順 1) 2) 3) 4) 三角フラスコ(300ml)に水性インクで色をつけ口いっぱいまで 入れる。 空気が入らないようにガラス管が刺さったゴム栓をする。 1000ml のビーカーに熱湯を 500ml 入れる。 ビーカーに三角フラスコを入れる ガラス管の背面にスチレンボード(白)持ち体積膨張を見せる ■解説例 「いくつか答えが出てきましたね。えー、ところで、この地球上で陸地と海とでどっちが広いと思 いますか…。そうです。海ですね。水というのは、暖められると膨張する、つまり、体積が増える 性質があります。」 助手、色のついた水が入ってガラス管つきのゴム栓で密閉された試験管を手渡す 「これを手で握って暖めると…、」 「中の水がだんだん増えていって…、」 「とうとう試験管からこぼれ出でしまいまいたね。」 「これが、地球温暖化の影響による海面の上昇の理由の一つです。気温の上昇に対して海水温がど のくらい上昇するか正確な予測は困難ですが、気温1℃の上昇に対して海水の膨張による海面上昇 は10cm程度と言われています。」 31 ■用意するもの ‧ ガラス管 ‧ ゴム栓 ‧ スチレンボード ‧ ビーカー(1000ml) ‧ 三角フラスコ(300ml) ‧ 水性インク ‧ 電気ポット 32 波長と振幅[vis19] ■画像 「分光実験」「光の種類」での発展的解説用。 静止画 1024×768。 33 周波数と波長[vis20] ■画像 「分光実験」「光の種類」での発展的解説用。 静止画 1024×768。 34 氷河の溶け方[vis14] NASA やアメリカ国立雪氷データセンターなどでは衛星を使った観測で、北極海の海氷の状態を毎 年観測しています。北極海における 1979 年の最小の海氷範囲と 2005 年の最小の海氷範囲を比較し てみます。 ■画像 1979 年の最小の海氷範囲(左図)と 2005 年の最小の海氷範囲(右図) 静止画 1024×768。 35 海面が上昇したらどうなる?[vis11] IPCC の予測では 2100 年には海面が最大で 1m 近く上昇すると考えられています(下図参照。左図: 東京、右図:大阪)。この場合は、現在の防波堤を補強すれば何とかなるかもしれません。 ■画像 温暖化によって、南極西部氷河が崩落して海に落ちることが心配されています(数百年先かもしれ ませんが)。もし、この氷河がすべて融けてしまうと 3m 海面が高くなると考えられています。海 面が 5m 高くなったときの予想地図はこちらです(下図参照)。こうなると海岸線近くに住む人は みんな移住しなければいけませんね。 静止画像 1024×768。 参考:ストップ・ザ・温暖化キャンペーン!! 36 スペクトルの話[vis15] 「光源の種類によって、物の見え方が異なってきます。それは、光源によって、分光分布がちがう からです。光エネルギーが自然光のように一様に含まれているほど自然光と同じようにみえます。 これを、演色性といい、Ra(アールエー)で表します。」 出典:http://www.icoffice.co.jp/zukan/l_optical.htm ■参考画像 紫外線が大気圏でかなり吸収されていること、地上まで届いている光の大部分は 可視光であり、赤外線では近赤外線(0.75∼2.5μm)までであることが判る。 出典:http://www.icoffice.co.jp/zukan/l_optical.htm 37 氷河が全部とけたら?[vis17] 参考サイト情報 「仮に南極氷河が全部溶けたら、もしくは全氷河が全部溶けたら何メートル海面が上昇するか? 海水の膨張と氷河の溶解の海面上昇への寄与などわかり安い。 http://www.arp-nt.co.jp/rensai/index-sono2.html」 沈むトロピカルアイランド[vis18] 「地球温暖化しているといわれています。地球が暖まると、海も暖まります。水は温められると膨 張しますから、海の場合は海水面が高くなっていきます。 その結果、今まで波が来なかったところまで波が来て、海岸線を浸食していきます。海岸線は椰子 の木の根っこで守られています。その椰子の木も度重なる波の攻撃で傾き始めています。」 参考サイト情報 海面上昇によって領土消滅の危機に瀕しているツバル国を紹介しているサイト http://tuvalu.site.ne.jp/ 38