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リウマチ性多発筋痛症 - せきぐちクリニック
せきぐちクリニック 2009年4月6日 リウマチ性多発筋痛症 引き続き、「膠原病(こうげんびょう)」シリーズです。今回は、リウマチ性多発筋痛症について です。関節リウマチと聞き間違えるかもしれません。 リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica) 診断は、以下の基準に照らし合わせて行います。 高齢者、とくに65歳以上の方が、朝のこわばりや、 頚から肩にかけての筋肉痛、または、女性のはくガー 診断基準(1979年のBirdらの基準) ドルで覆われる範囲の筋肉痛を訴えられて受診される (1)両肩の痛み・こわばり 原因不明の病気です。 (2)2週間以内に症状出現 発症は急速で、微熱(通常は、高熱にはならない)、 (3)赤沈40mm/時間以上 食欲低下などの症状に続き、1から2週間で、全体の (4)朝のこわばり1時間以上 症状がでそろいます。しばしば抑うつ状態がみられ、 体重も減ってしまいます。関節炎や筋炎の所見はな く、CRPや赤沈とよばれる炎症を表す値が高くなりま (5)65歳以上 (6)抑うつ状態・体重減少 (7)両上腕を圧したときに痛む す。 男女比は、1:2で女性にやや多い傾向があります。 リウマチ性多発筋痛の約30%に側頭動脈炎(巨細胞性 動脈炎)を合併し、頭痛、視力障害、ご飯を食べてい て顎が疲れる(顎跛行(がくはこう))という症状が これらのうち①3項目以上ある場合、 ②1項目以上と側頭動脈を生検し異常所見が ある場合、ステロイド剤が有効な場合は、 診断に役立ちます。 でることがあります。逆に側頭動脈炎の約50%にリウ マチ性多発筋痛症を合併するとされています。しか し、日本では、側頭動脈炎を合併した例は少ないよう ですが、仮に合併した場合には、失明の問題がでてき 治療は、 ステロイド剤が著効します。プレドニゾロンを1日 に10∼20mg内服します。すると、劇的に効いて、 ます。 翌日あるいは遅くとも1週間以内には痛みは良くな 採血をした場合はどうかといえば、膠原病領域で問題 ります。以後、プレドニゾロンを徐々に減量してい になる抗核抗体やリウマチ因子とよばれるものは、通 常は陰性です。炎症を表すCRPや赤沈とよばれるもの は上昇します。 きますが、減量が早すぎると、また症状がぶり返し ますので、慎重に減量し、一般的には、1から2年間 は、プレドニゾロンを1日5mgくらい内服し続けま す。側頭動脈炎を合併した場合には、失明に至る危 険もあり、プレドニゾロンを1日60mg程度内服し ます。このため、原則として入院治療となります。 せきぐちクリニック通信 ページ 1