...

関東地域における多様な輸送モードを活用した 災害時物流計画の現状

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

関東地域における多様な輸送モードを活用した 災害時物流計画の現状
資料2-1
関東地域における多様な輸送モードを活用した
災害時物流計画の現状
国土交通省 関東運輸局 交通環境部
平成26年10月10日
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
調査対象とする地域・計画等
調査対象とする地域・計画等
関東地域の災害のうち、首都直下地震における支援物資物流を想定し、「東京都」「神奈川県」「千葉県」
「埼玉県」における地域防災計画を参考に、広域的な輸送においてトラック輸送を代替・補完する「広域輸送
モード」(鉄道、航空、船舶)を活用した輸送計画について、輸送手段等の計画内容を整理した。また、これに
関連する業界団体等との協定の締結状況について整理した。
1
東京都における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送拠点の計画内容
広域輸送基地、地域内輸送拠点の2種類の輸送拠点を想定しており、広域輸送基地として、トラックターミナルのほか、東
京港のふ頭や空港等を指定している。また、船舶による輸送に関して、広域輸送基地を補完する水上輸送基地(河川等の
船着き場)を63箇所指定している。
【東京都の輸送拠点の定義】
【東京都の広域輸送基地の一覧】
広域輸 他県等からの緊急物資等の受入れ、
送基地 一時保管、地域内輸送拠点等への
積 替 ・ 配 送 等 の 拠 点。 ト ラ ッ ク
ターミナル、ふ頭、空港など
地域内 区市町村の地域における緊急物資
輸送拠 等の受入、配分、被災地への輸送
点
等への拠点
資料)いずれも東京都地域防災計画
2
東京都における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送手段の計画内容
輸送手段の考え方について、海上輸送は陸上輸送が困難な場合や、大量の物資が必要な場合に、被災状況や道路啓開状況を
踏まえ、海上輸送基地を決定するとしている。また、ふ頭内での滞留物資は、港湾施設の上屋やヤードで一時保管後、地域内輸
送拠点へ輸送するとしているが、その詳細についての記載は見られない。
海上輸送に必要な船舶については、災害発生時に東海汽船や協定締結団体から使用可能な船舶を把握するとともに、船舶に不
足が生ずる場合は、関東運輸局のあっせんにより、所要数を調達するよう努力することとしている。併せて、支援物資受入れのた
め必要な荷役態勢の確保を、関係団体に依頼することとしている。
なお、物資輸送について鉄道による輸送に関する記述はみられない。
協定の締結状況
災害時における物資の保管や輸送、オペレーションに関する協定を(一社)東京都トラック協会、東京倉庫協会と締結しているほか、
船舶輸送に関する協定を関東旅客船協会や日本内航海運組合総連合会等と、施設利用等に関する協定を日本自動車ターミナル
(株)などと締結している。
協定名
締結先
概要
災害時における東京都災害備蓄倉庫での荷役作業等に関する協定
一般社団法人東京都トラック協会
東京都災害備蓄倉庫での荷役作業等
震災時における船舶による輸送等に関する協定
(公財)東京都公園協会
災害時における被災者等人員の輸送、救援物資等の貨物輸送、費用負担等
災害時における船舶による輸送等に関する協定
関東旅客船協会、(一社)日本船主協会、(一
社)日本外航客船協会
日本内航海運組合総連合会
被災者等人員の輸送、救援物資等の貨物輸送、被災者等の臨時宿泊施設、費
用負担等
救援物資等の貨物輸送、その他の船舶による応急対策業務、費用負担等
災害時における緊急物資受け入れ等に関する協定
(社)東京港運協会
東京港港湾運送事業協同組合
緊急救護物資の受入れ、受入れ施設の指定、費用負担等
災害時の航空機による緊急輸送業務への協力に関する協定
調布空港協議会
災害時の航空機による緊急輸送業務の協力に関する協定
東京ヘリポート協議会
災害時における水上輸送基地の利用に関する協定
東京都漁業協同組合連合会
東京湾遊漁船業協同組合
航空機、航空燃料等の資機材及び操縦士、整備士等の労力等の提供、費用負
担等
航空機、航空燃料等の資機材及び操縦士、整備士等の労力等の提供、費用負
担等
災害における公共利用、被災者等人員の輸送、救護物資等の貨物輸送、船舶
による応急対策業務、船舶の調達及び運航に関する事務、費用負担等
災害時における緊急物資の受入れ及び輸送等に関する協定
(一社)全国物流ネットワーク協会
災害時における施設使用等に関する協定
日本自動車ターミナル㈱
災害時等における緊急支援物資の保管及び荷役等に関する協定
東京倉庫協会
災害時における船舶による輸送等に関する協定
注)小売などとの物資供給・輸送に関する協定は除く
広域輸送基地での緊急物資の荷役作業、広域輸送基地からの緊急物資の輸送
等
広域輸送基地の運営に必要な場所の提供、施設周辺等の被災状況の把握と情
報提供等
災害時における緊急支援物資の保管及び荷役等の協力
資料)東京都「地域防災計画(資料編)」平成26年改正版
3
神奈川県における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送拠点の計画内容
広域的に災害応急活動を行うため、救援物資集積配分場所及びヘリコプター臨時離着陸場を有する場所として「広域防
災活動拠点」を予め定めている。海上輸送に関しては、県内で9港の物資受入港を指定しており、このうち広域的な物資輸
送の対象となりうる重要港湾以上の港湾は、横浜港、川崎港、横須賀港である。
【神奈川県における広域防災活動拠点】
【神奈川県における受入港の指定状況】
資料)いずれも東京都地域防災計画
注)物資受入れ港として指定している港湾及び漁港のうち、耐震岸壁を整備済
(または整備中)の施設を掲載している。
資料)いずれも神奈川県「地域防災計画(資料編)
4
神奈川県における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送手段の計画内容
輸送手段の考え方について、県における緊急輸送は「車両」「船舶」「ヘリコプター」及び「鉄道車両」による輸送手段を確
保することとしており、それぞれの輸送手段毎の優先順位や想定される物資等は明記されていない。このうち、船舶につ
いては関東運輸局による調達・斡旋等による確保を想定している。
協定の締結状況
災害時における物資の保管や輸送、オペレーションに関する協定を(一社)神奈川県トラック協会、神奈川倉庫協会と締
結しているほか、民間航空機(ヘリコプター)の協力要請に関する協定を民間事業者と締結している。
協定名
締結先
概要
災害時における物資の輸送等に関する協定
一般社団法人神奈川県トラック協会
災害対策本部への会員派遣や、物資輸送
災害時における民間航空機の協力要請に関する協定
朝日航洋(株)、エクセル航空(株)
ヘリの確保(利用目的は協定上明記されず)
災害発生時における物資の保管等に関する協定
神奈川倉庫協会
災害対策本部への専門家派遣や、支援物資の一時保管場所の提供
資料)神奈川県「地域防災計画-マニュアル・資料ー」平成26年3月他
5
千葉県における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送拠点の計画内容
物資集積拠点は、原則として民間倉庫を選定し、施設・荷役機械、資器材・人材の全てにおいて民間物流事業者を主力
とした体制を構築するとしている。ただし、民間倉庫を物資集積拠点として使用することが困難となった場合には、県有施
設等を県物資集積拠点とすることなどが定められている。
輸送手段の計画内容
輸送手段の考え方について、地域防災計画では「道路の被害状況等により陸上輸送が困難な場合は、被災市町村への
支援計画を実行する上で、最も適切な輸送手段を、海上輸送・航空機輸送の中から選定する」としている。また、「災害時
における物流計画(平成25年1月)」において、「最も適切と思われる輸送手段を陸上輸送・海上輸送・航空輸送の中から
選定する」としており、千葉県は「東京湾と太平洋に囲まれた半島にあり、また、半島の付け根を利根川・江戸川に囲まれ
ていることから、陸上輸送の遮断に対応するため、自衛隊等による海上輸送の活用を想定する」としている。
協定の締結状況
「災害発生時等の物資の緊急・救援輸送、保管等に関する協定」を(一社)千葉県トラック協会及び千葉県倉庫協会と締
結している。
協定名
締結先
概要
災害発生時等の物資の緊急・救援輸送、保管等に関する協定
一般社団法人千葉県トラック協会、千葉県倉庫協会
災害時における物資の緊急・救援輸送や、営業倉庫等の活用による支
援物資の保管等、県災害対策本部等への物流専門家の派遣や作業員、
荷役機械及び資器材の手配
災害時における緊急輸送等に関する協定書
一般社団法人千葉県タクシー協会
応急対策に必要な県職員の輸送や、災害の状況、被害情報の収集、そ
の他知事が必要と認めるもの
資料)千葉県「地域防災計画(資料編)」平成24年度修正
6
埼玉県における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送拠点の計画内容
救援物資の備蓄や集配機能がある防災活動拠点と民間倉庫を物資拠点として定義している。また、広域物資拠点につ
いては、現在策定中の「埼玉県広域受援計画」において定めるとしている。
【埼玉県の輸送拠点】
救援物資
備考
種別
防
災
活
動
拠
点
備蓄機能
集配機能
防災基地
○
○
・5基地
集配で屋内施設面積が不足する場合は、テント等で対応
県営公園
○
(生活用水等)
○
・開設21公園
・計画 1公園
集配で屋内施設がない又は面積が不足する場合はテント等で対応
防災拠点校
○
舟運輸送拠点
大規模施設
○
民間倉庫
県広域物資拠点
-
・38校
○
・河川マリーナ
舟運を利用した輸送機能
○
・さいたまスーパーアリーナ
・埼玉スタジアム2002公園
スタジアムの集配で屋内施設面積が不足する場合は、テント等で対応
○
・30倉庫
県と埼玉県倉庫協会との協定に基づく指定民間倉庫
・40倉庫
国土交通省関東運輸局が事務局の「首都直下地震等に対応した支援物資物流システムの構築に関する協議会」がリ
ストアップした民間倉庫※倉庫協会との協定に基づく倉庫と、協議会がリストアップした倉庫は一部重複している。
-
県広域物資拠点とは、別に定める「埼玉県広域受援計画」で、国等の大量物資を受け入れ、被災市町村へ輸送するため
の拠点として位置付けるものである。
また、拠点選定に当たっては、救援物資の集配機能がある防災活動拠点と民間倉庫を、優先順位を付けたグループに分
けて規定するものである。
7
埼玉県における多様な輸送モードを活用した計画及び協定の締結状況
輸送手段の計画内容
原則陸送による輸送が想定されていると思われるが、地域防災計画では航空輸送についても記載があり、その場合自衛
隊及び民間会社の協力を得て輸送を行うこととしている。
協定の締結状況
物資の保管や輸送、オペレーションに関する協定を、(一社)埼玉県トラック協会、埼玉県倉庫協会及び赤帽と締結して
いるほか、ヘリコプターによる輸送に関する協定を民間事業者と締結している。
協定名
締結先
概要
災害時における人員及び物資の輸送に関する協定
本田航空(株)、朝日航洋(株)
ヘリによる人員、物資の輸送
災害時における物資の輸送に関する協定
一般社団法人埼玉県トラック協会、赤帽
救援物資管理システムの運用や、物資拠点や避難所等における救援物
資の搬出入、輸送
災害時における物資の保管等に関する協定
埼玉県倉庫協会
救援物資管理システムの運用や救援物資の保管場所の提供、物資拠点
における必要な作業員や資材等の手配、仕分け、管理
県や物資拠点への物流専門家の供給
資料)埼玉県「地域防災計画(資料編)」平成26年3月
8
Fly UP