Comments
Description
Transcript
上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト
生物多様性保全を目指す日中合作 『上海・崇明島自然がっこう』2014年ESDに向けて 2015年4月10日 一般社団法人ときの羽根 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖プロジェクト発足の経緯 2005年愛知万博開催年設立「アジアインパクト政策研究会」 に久田が所属。同研究会で次回万博開催地・上海市と交流 を開始し、持続可能な生態島建設を目指す崇明島に注目。 2009年11月に愛知万博→上海万博→COP10→ESDの開催 理念の具現化を目標に一般社団法人ときの羽根を設立。 上海市科学技術委員会および上海崇明県生態科普協会と の交流を深め、2010年7月7日に「崇明生態国際会議」の席 上で上海市政府と合作調印を結び当プロジェクトを発足。 2009年12月 上海市崇明島東灘湿地の視察 名古屋大学教授3名・准教授2名、愛知県環境部長ら視察団(事務局長・久田) 会議セレモニーとして上海市長宛てに COP10国際自治体会議への招聘状贈与 元愛知県副知事・稲垣氏(写真右)と COP10支援実行委員会事務局長・小林氏 2010年7月「上海崇明生態国際会議」主催:上海市&UNEP 会場:上海万博「国連パビリオン」・崇明島国際会議場 上海市崇明県政府と日中合作環境事業合意書に調印 COP10国際自治体会議に公式参加のため来日した 上海市政府COP10代表団と「日中友好環境経済フォーラム開催」 2010年10月 主催:(一社)ときの羽根 於三菱東京UFI銀行「暮雨巷」 COP10国際自治体会議に公式参加した上海市 政府代表団を招いてフォーラムと懇親会を開催 左写真の前列中央/元愛知県副知事・稲垣氏 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖プロジェクトの目的 環境教育(生物多様性を育む感性の育成、自然環境や身の 回りを思いやる心の醸成)を通して崇明生態島建設に貢献。 ① 地球規模で考え、地域社会に貢献する環境教育指導者の養成。 ② 環境の大切さを知り、自発的に行動する児童・生徒の育成。 ③ 環境に配慮した農業振興などの地域活性化を図る。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖上海崇明島について 上海の北端・長江の最下流に位置し、世界有数の東灘湿地帯を有する。 人口は約70万人。主産業は農業、海産物など。上海市政府は、崇明生態島を 上海の今後の発展の備蓄エリアと位置づけ、2010年∼2020年を目標に低炭素 コミュニティの建設、低炭素農業の発展など低炭素社会の実現に取り組む。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai 「自然がっこう」プロジェクトは、トヨタ環境活動助成プログラム、あいちモリコロ基金、 経団連自然保護基金の助成により、2012年∼2014年の3ヵ年に亘り実施。 2014年 (第3回自然がっこう) 2012年 (第1回自然がっこう) 環境教育指導者の育成 を目的に教師250名を 対象に実施。 グリーンマップをテーマ に小中学校教師150名 を対象に実施。 2013年 (第2回自然がっこう) 生態系に配慮した農業 をテーマに、教師・研究 者50名を対象に実施。 2014年 (ESDユネスコ世界会議) ESDユネスコ世界会議 にて日中合同で活動報 告とセミナーを開催。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖第1回「自然がっこう」 (2012年2月28日・29日) 開催目的 環境教育推進者の養成 環境を大切にする児童・生徒の育成 講義対象者 崇明島の幼稚園、小学校の教師250名 講師 名古屋市職員、元名古屋市立小学校校長 名古屋市立保育園園長 カリキュラム 講義「環境教育の意義としくみ」 ・環境教育は心の教育 ・教師の役割 ・日本での環境教育の実践紹介 ワークショップ「崇明島各地域の大切なものを探そう!」 ❖主な成果 ◆教え込むのではなく、答えを一つに絞り込まないで、子供たちが主体的に 感じ、考え、行動することを主眼においた教育スタイルへの評価と導入。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖第2回「自然がっこう」 (2013年11月1日) 開催目的 生き物と共生する農業を学び、考える グリーンマップづくりを通した環境教育の実践 講義対象者 崇明島の教師、高校生、農業研究者(上海市農業科学院)ら50名 講師 金沢大学大学院 香坂玲准教授、冨吉満之博士研究員 同済大学 李建華教授 カリキュラム 講義「環境教育と農業経済の発展」 ・生物多様性と農業 ・農業の6次産業化と地域活性化 ワークショップ「グリーンマップは五感を使った環境教育」 ❖主な成果 ◆生き物と共生する農業は、崇明島の自然、文化、経済などを島民自らが 見つめ直すチャンス。日中アグリ青年交流会へと発展する。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖第3回「自然がっこう」 (2014年5月28日) 開催目的 講義「グリーンマップって何?」 ディスカッション「グリーンマップの目的と活用」 講義対象者 崇明島の教師、高校生、大学生ら150名 講師 地域の未来・志援センター 理事長 萩原喜之氏 カリキュラム 講義「グリーンマップって何?」 グリーンマップを活用した環境保全活動紹介(事例:カトマンズ) ディスカッション「グリーンマップの目的と活用」 ❖主な成果 裕安小学校をモデル校にグリーンマップ(GM)活動をスタート。夏休みの課題 プログラムに検討されるなど、崇明島の小学校全35校がGM活動採用へ。 「第7回上海デザイン・ビエンナーレ」 2014年8月下旬(主催・上海市科学技術委員会) パートナーとして2年連続で招待出展 日中合作「自然がっこう」活動を紹介 助成先情報 会場:上海展覧中心 豊田汽車(中国)投資有限公司上海分 公司 企画課長 程雅琴氏(左) デザイナーの喜多俊之氏(右)と久田 2014年3月2日∼7日 「日中アグリ青年交流会」開催 上海市政府職員、大学教授、研究家、学生を招いて視察とシンポジウム 助成:三菱UFJ国際財 団 愛知県農業総合試験場視察・上海市農業科学院らと情報交換 イチジク農場視察 ㈱デンソ̶ 豊橋トマト実証農場「プロファーム」視察 日中合同シンポジウム(後援/中部運輸局・愛知県・中経連ほか) 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖ESDユネスコ世界会議2014交流セミナー(2014年11月11日) ① 目的 上海崇明島「自然がっこう」プロジェクトの3カ年間の成果報告と崇明島での グリーンマップ指導を拡大発展させ、長江流域の生物多様性保全活動「こど も環境ミット2015」活動計画の合同発表と意見交換を目的とする。 ② プログラム 1)上海・崇明島「自然がっこう」プロジェクトの活動報告 2)グループディスカッション a)「子どもたちを対象にしたESDと生物多様性について」 コーディネーター:金沢大学・香坂玲准教授、同済大学・李建華教授 b)「長江こども環境サミットに向けたグリーンマップの活用とESD」 コーディネーター:地域の未来・支援センター・萩原喜之理事長 C)「環境と共存する循環型農業の深化に向けたESDの展開」 コーディネーター:元愛知県環境部長・藤井敏夫氏、四川省国際合作協会・梁晋会長 グループディスカッション① 「子どもたちを対象にしたESDと生物多様性について」 1)日中の生物多様性と環境保全教育の現状と課題 2)地域(都市、農村、山間部など)に応じた生物多様性教育 グループディスカッション② 「グリーンマップの活用とESD」 1)中国での環境教育の現状と課題(崇明島をフィールドとした事例紹介) 2)長江流域生物多様性保全活動「こども環境サミット」に向けた課題 グループディスカッション③ 「環境と共存する循環型農業の深化に向けたESD展開」 1)日中における循環型農業の現状と課題 2)日中における農業分野におけるESDの必要性 ESDユネスコ世界会議2014交流セミナー グループディスカッションのまとめ ❖地域や社会こそESDが求められている。 トキやコウノトリは、 (1)それだけでは生きることはできない、 (2)多様な生き物との関わりによって生存が可 能になっている、 (3)それらの生き物が織りなす生態系は、私たちの暮らしとも密接に関係している。学校教 育だけでなく、地域や社会のあらゆる場で誰もが取り組むべき学習がESDであり、求められている。 ❖長江流域「はこども環境サミット」は影響力が大きく期待できる。 長江流域環境教育の取り組みに成果を収めれば、プロジェクト参加の地域だけでなく、周辺の長江沿岸の 地方や、支流の地域まで影響を及ぶことが期待できる。長江という話題は常に人々の注意を引くため、全国 範囲での環境教育推進も不可能ではないと思われる。国家戦略としての取り組みがあれば、環境教育は持 続的で健全に育つことが可能になる。 ❖地域に即した環境教育モデルの構築が必要か? 中国は広くて、地域性の違いが大きいため、様々な環境教育のモデルを構築することが望ましい。したがっ て、グリーンマップを唯一の方法として異なる地域に導入するよりは、それぞれの地域の特徴にあった環境 教育活動の形を作り出すための手助けは実用で、新たな地域の展開に選択できるモデルが多くなる。そのた めに、日本からの指導講師や協力団体が数種類であることを提案する。 ❖市民・消費者の意識が循環型農業の応援団になる。 持続可能な教育のなかでも持続可能な農業について取り組まれることが期待される。また、これに関連して 農産物などの輸入に際しては、それが環境に配慮されて生産されたものかどうかなどを判断して行うフェアー トレードという運動が世界的に広がっている。農産物に対する市民、消費者の意識は循環型農業の応援団に なると考えられる。 「ESD 日中合同の成果」2014年11月11日 於名古屋国際会議場 上海対外科学技術交流中心、上海市農業科学院園芸研究所と協力合意書締結 写真前列左より:上海市農業科学院園芸研究所・朱為民主任、ときの羽根・久田治子、 上海対外科学技術交流中心・韓彦部長 長江流域生物多様性保全活動に向け、上海市科学技術系と農業系政府との連携強化を図る 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖長江流域の生物多様性保全活動「こども環境サミット」へ 長江流域「こども環境サミット」 の目的 2012年から3年連続実施した上海崇明島における「自然がっこう」の実績をベース に、長江の最下流・上海崇明島から内陸部の上中流域(四川省、湖北省、安徽省 )へと活動範囲を広域化。生物多様性保全の意識向上を目指す教育活動を進化 させ、2016年から始まる中国第十三次五か年計画に日中共同重点環境教育プロ ジェクトとして位置付けられることを目標とする。 (トヨタ環境活動助成プログラム2014 、経団連自然保護基金助成活動) 長江流域「こども環境サミット」 開催概要 2015年10月(予定)に長江流域の小中学生代表が崇明島に集い、長江流域「こど も環境サミット」を開催する。ESDの一環として取り組むグリーンマップ活動を中心 に各地域での活動状況や成果の発表と意見交換を通して、各地域の環境問題を 共有して長江の「上・中・下流域」共通の課題解決を図る流域連携を促進する。 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖開催体制 (予定) 主催:一般社団法人ときの羽根 上海市崇明県科普協会 協力:上海対外科学技術交流中心 四川省国際科学技術合作協会 安徽省国際科学技術合作協会 同済大学環境科学與工程学院 武漢大学、宣浜学院、 合肥工業大学、安徽農業大学 上海市農業科学院園芸研究所 NPO同済大学緑色之路 2015年10月、長江流域の小中学生が集い 上海崇明島にて「こども環境サミット」開催 2015年10月「こども環境サミット」開催小学校 上海崇明島「裕安小学校」新校舎(9月開校) 上海・崇明島における日中共同「自然がっこう」プロジェクト Sino-Japanese collaborative Nature School and Capacity Building project on Chongming Island, Shanghai ❖成果と課題 最大の成果:自発・自立した生態系保全活動が動き始めた。 グリーンマップ(GM)活動をツールとした生態系保全活動の進行状況 ・小学校のみならず中・高校に実施校が拡大 ・生徒の父兄も関心を持ち参加 ・学生ボランティアも参加してサポート 国家教育部が視察・高く評価 ・GM作成活動の目的と効果を報告 ・夏休みの課題プログラムとしてGM活動を計画 上海市教育局の指導者が視察 ・当「自然がっこう」を重要環境教育プロジェクトとして認定 ・GM活動推進に向け裕安小学校に日本語、英語が堪能な副校長を就任させる 課題①:どのようにして持続可能な活動として定着させるか? 課題②:円安局面下での活動費の確保 課題③:活動の広域化と高度化に伴う組織強化