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WTO 加盟後の中国石油産業の行方 - 一般財団法人 日本エネルギー

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WTO 加盟後の中国石油産業の行方 - 一般財団法人 日本エネルギー
IEEJ:2002 年 3 月掲載
WTO 加盟後の中国石油産業の行方
―変化・影響・動き ―
研究統括本部
研究員
郭
四志
1.はじめに
2001 年 12 月 11 日から『中国の WTO 加盟議定書』が発効され、中国が WTO の第 143 番目
のメンバー国となった。WTO 加盟は、中国石油産業の市場環境の変化をもたらし、中国石油
産業に大きな影響を与えている。
長い間、中国の石油産業は政府の関税と非関税障壁およびその他の保護政策・措置によ
り、保護され、国際石油市場における競争リスクが回避されてきた。しかしながら、中国
は WTO 加盟後、WTO 加盟のための交渉過程でコミットした約束を実行しなくてはならない。
すなわち国際ルールを守り、国内市場を次第に開放することである。このように、WTO 加盟
をきっかけとし、国内市場の規制緩和・石油市場の開放に伴い、中国では約 40%の石油製品
は生産コストが中国より三分の一の安い国外の同類製品からの競争に直面している。そし
て石油産業全体は、国際メジャーズなどの外国石油企業の中国市場を巡った激しい競争に
迫られている。最近、WTO 加盟後、規制緩和による中国石油市場環境の変化と国際競争によ
る中国石油企業への影響に伴い、中国石油産業にはいくつかの新しい動きが現れている。
本稿は、中国の WTO 加盟後における石油関税・非関税障壁の撤廃向けての変化と石油産
業の WTO 加盟による影響、及びそれに伴う石油産業の動きについて、簡単に検討しておく
ことにする。
2.WTO 加盟後の石油関税・非関税など諸制度の変化
表 1 に示したように、中国は WTO 加盟後一年目である 2002 年 1 月 1 日から原油輸入関税
が今までの 16 元/トンからゼロになり、そしてガソリン、重油、潤滑油の輸入関税はそれ
ぞれ加盟前の 9%、12%、9%から 5%、6%、6%まで下がった。また、輸入制限のための割り
当て制度は(重油、燃料油、潤滑油のそれに関して、不明であるが)
、原油、ガソリン、軽
油、灯油に関しては、すべて 2004 年から廃止することになった。2002 年ではガソリン、軽
油、灯油、燃料油などの石油製品 1,658 万トンの輸入が許可され、非国家指定貿易公司に
よる石油製品 400 万トン、原油 720 万トンの輸入が許可されている(表 2 と表 3 参照)。ま
た、表 2 によると、2004 年まで
その石油製品輸入量は毎年 15%増加、すなわち 2002 年
に 1,658 万トン,2003 年に 1,907 万トンとなっている。2004 年 1 月 1 日までに輸入制限枠
が全部撤廃される。
1
IEEJ:2002 年 3 月掲載
表1
項目
加盟前の
WTO 加盟後における関税と非関税障壁の変化
加盟後の
実施時期
関税(%) 関税(%)
輸入割当
輸入割当の
(年)
許可証
廃止時期
(年)
原油
16 元/トン
0
2002
ガソリン
9
5
2002
有り
2004
輸出入許可
軽油
6
2002
有り
2004
輸出入許可
灯油
9
9
2002
有り
2004
輸出入許可
重油
12
6
2003
―
―
―
燃料油
6
6
2002
―
―
―
潤滑油
9
6
2002
―
―
―
6
輸出許可
出所:『中国能源』2001 年 12 月号、p.6;CHINA OIL, GAS & PETROCHMICALS
Vol.9, No.22. November 15,2001, p.2;Vol.10, No.2, January 15, 2002, p.2 より作成。
表2
石油製品
石油製品の輸入割当量とその取り消し
輸入割当の廃止
2002 年の輸入割当量
年増加率
(時期)
(mton)
(%)
2004 年
16.58
15
出所:CHINA OIL, GAS & PETROCHMICALS Vol.10, 2. January 15,2002, p.2 より作成。
表3
民間(非国家指定)輸入業者の原油と製品の輸入割当量
2002 年(mton)
年増加率(%)
年増加率の再調整
原油
7.2
15
2012 年内
石油製品
4.0
15
2004 年内
出所:CHINA OIL, GAS & PETROCHMICALS Vol.10, 2. January 15,2002, p.5 より作成。
なお、小売業市場は 2005 年までに外国に開放し、卸業市場は 2007 年に開放することに
なっている。
WTO 加盟後、中国石油産業における内外環境が大きく変化しようとしている。まず、第一
に中国における中国石油天然ガス集団公司、中国石油化学集団公司という二大グループに
よる直営システムが崩されており、中国国内石油業界は国際メジャーズからの競争に直面
し、国内における今までの石油製品の独占による競争優位は減退していくであろう。第二
に、近年、国際石油市場において、総じて言えば、石油製品の生産が過剰になっている。
こうした背景の下で、国際石油メジャーズがたちまち経済成長の比較的速いアジア太平洋
地域、特に GDP 成長率 7%以上を持続しつつあり、13 億人の大市場である中国を狙ってい
る。中国周辺である日本、韓国、シンガポールなどの国・地区は、石油精製・設備処理能
2
IEEJ:2002 年 3 月掲載
力が過剰になって、生産稼動率が不足していることで、中国をその重要な販売市場として
いる。
このように中国の WTO 加盟後、とりわけ国内市場の全面的開放猶予期 3-5 年の終わった
2005 年前後に、中国国外からの石油製品は中国で相当大きい市場シェアをもつようになる
と思われる。
3.WTO 加盟による石油産業への影響
中国石油産業は中国の WTO 加盟により、以下のような面にマイナスとプラスの影響を与
えられている。
3.1. 石油産業へのマイナスの影響
①
精製と販売
関税の低下と石油市場の開放により、中国の石油製品が国際競争にさらされている。表 2
に示したように中国石油精製業は、先進国と比べると、その生産技術水準は全体的に低く、
製品の品質の面で、大きな格差がある。二次設備処理能力が小さく、生産コストが高く、
国際競争力が乏しい。中国石油産業は生産コストを下げることを通じ、WTO 加盟によるマイ
ナス面の影響を弱めないと、石油業界の全体の利益が低下する恐れがある。また、同様に
石油製品輸入関税の低下と市場進出の開放により、中国における石油市場の需給関係と石
油製品価格が大きな影響を受ける。多くの石油製品は、外国の良質かつ比較的安い石油製
品の輸入により、その価格が下落する。そして、冒頭で述べたように石油における小売・
卸売り市場が次第に開放されることにより、国際石油メジャーズなどの外国石油企業がそ
のマーケッティング力などの優位性を活かし、中国石油市場に急速に参入し、中国石油企
業の市場シェアが減少していくことになろう。
表4
中国と世界の石油精製技術経済指標(1999 年)
項目
中国
世界の先進的水準
平均規模(10 t/a)
346
558
最大単体能力(104t/a)
500
1250
稼働率(%)
75.5
92.7
白油回収率(%)
66.75
73.7
製品得率(%)
90.75
93.61
精製ロス率(%)
1.28
0.2
精製コスト($/t)
28.8
18.8
4
出所:日本エネルギー経済研究所『日中エネルギー交流会機関誌』No.22、2001 年 12 月、p.5 より作成。
3
IEEJ:2002 年 3 月掲載
②
石油産業における上流部門の原油と天然ガスの探鉱・開発
WTO 加盟後、中国政府は一層外国企業の探鉱・開発市場への参入規制を緩和し、その探鉱・
開発のための地域制限を次第に取り消し、国内における石油上流市場の競争がさらに激し
くなる。中国石油産業の上流部門は「注水開発」、「三次採油」などの開発技術が世界の先
進水準に達していると評価もあるが、実際には総合的に外国石油企業とりわけ国際メジャ
ーズと比べ、大きな格差がある(表5と表6参照)。よって、WTO 加盟後の規制緩和による
外国石油企業の中国における探査・開発分野への新規参入に伴って、中国石油産業は一層
厳しい競争に直面することになろう。
表5
中国石油企業と外国石油企業の上流部門競争力(評価)比較
加重平均 標準値 中国石化 中国石油 中国海洋 EXXON Chevron Dutch
原油生産量
0.117
100
42.2
125.7
19.1 173.7
81.5 227.5
原油埋蔵量
0.113
100
50.4
165.7
16.4
69.7
31.4
97.6
探査・開発コスト
0.26
100
64.9
71.8
75.6 118.2
165
163
技術貢献度
0.108
100
61.4
68.6
74.3
100
100
100
技術投入度
0.072
100
83
95.8
95.8
100
コスト変動率
0.106
100
50
60
62.5
72.5
84.5
75
埋蔵と開発比率
0.114
100
72.4
107.8
58.8
87.7
84.2
93.5
53.7
85.1
52
94.6
93.1 117.6
5
4
6
2
∑
89
ランキング
108.3 112.5
3
1
出所:Economics Commission of China Petroleum Society COLLECTION OF SION-JPANESE SYMPOSIUM ON 2001
年, p.284.
表6
中国と先進国における原油探査・開発コスト (1996-98 年)
単位:$/bbl
発見・確認コスト
生産・開発コスト
中国
6.57
4.58
先進国
4.27
3.93
出所:日本エネルギー経済研究所『日中エネルギー交流会機関誌』No.22、2001 年 12 月、
p.14 より作成。
③
石油産業における建設・工事などの技術サービス業務
WTO 加盟後、中国国内における油田の開発・工事などの技術サービス市場はさらに開放さ
れ、その市場をめぐる競争が益々激化している。主要国際石油開発企業は様々な方式を通
じて、中国市場に進出すると見込まれている。
4
IEEJ:2002 年 3 月掲載
④ 石油産業の技術・管理人材の面
WTO 加盟後、中国石油産業上下流分野における市場規制緩和・市場開放に伴い、国際石油
メジャーズが中国石油市場への進出を拡大している。それにより、中国石油産業の優秀な
技術・経営管理人材の一部が、優遇の外資系石油企業へ流失する恐れがあり、中国は石油
産業の人材をめぐる外国企業との激しい競争に直面している。
3.2. 石油産業へのプラスの影響
一方、上述したマイナスの影響を受けているが、他方、WTO 加盟は、中国石油産業にとっ
ては大きな発展チャンスでもある。WTO 加盟による国際ルールの遵守、国際市場とのリンケ
ージ、国内市場の開放により、中国石油産業の発展へのプラスの影響も受けている。
①
規範かつ公平的競争市場の創設
WTO 加盟をきっかけとし、
中国は国際的市場規則を受けいれることが義務づけられている。
これは、中国国内市場をより一層オープンにし、規範化し、価格システムを整備し、地域
的保護を撤廃することに寄与している。そして中国石油産業は、公平・効率的競争市場で
鍛えられる。こうした競争市場の下で、中国石油業界は、WTO の非差別原則に基づき国内外
の土俵で、同業者と競争し、そして最恵国待遇を享受する。また、中国石油業界は、国際
取引・貿易において、反ダンピングや補助、反補助などの貿易救済措置を活用することが
でき、WTO の紛争処理メカニズムを通じて国際取引における摩擦・紛争の仲裁・裁決を受け、
自分自身に正当な権益の保護を受けるメリットが与えられる。
②
WTO 加盟の「外圧」により、中国石油業界の現代的な企業制度の確立が加速されている
こと。
中国では、WTO 加盟により、国有企業における改革のキーポイントである市場メカニズム
に適した企業制度の改革・確立が、加速されている。石油業界は目下、中国が WTO に加盟
したことを契機にし国際基準や市場ニーズ、価格システム、取引慣習などに基づいて、企
業経営に積極的に取り組み、現代的な企業制度を構築するように中国石油企業の経営体質
の強化、経営・生産の効率化を急いでいる。
③
石油産業の技術水準の向上を促すこと
中国石油業界は WTO 加盟後、日々激化する国際競争によるプレッシャーによって、競争
に負けないように技術の研究と開発により一層力を注がざるを得なくなり、こうして、上
下流における技術進歩・革新による探査・開発技術と精製技術水準および品質向上、生産
コストダウンのための努力が促進される。一方、WTO 加盟後、国際石油メジャーズが中国石
油市場進出の展開に伴い、直接投資による「企業内における技術移転」が加速され、中国
全体における石油産業技術水準の向上に寄与されると考えられる。
④ 内外における資源と市場を活用すること
中国石油産業は WTO への加盟によって世界の石油資源を共同利用する条件が与えられて
いる。中国石油精製企業は、外部市場を活かし国際市場を視野に入れ、生産と供給活動を
広げることができ、資源・原料問題が自主的に解決される。一方、WTO 加盟により国際貿易
5
IEEJ:2002 年 3 月掲載
システムに組み込まれることにで、中国石油業界の市場が拡大される。つまり、WTO 加盟国
が享受できる平等互恵の権利を用いて、差別的待遇を取り除き、石油製品が国際市場への
進出するために有利に働くのである。また、WTO による平等活互恵の通商・取引環境の下で、
中国石油企業は、比較的スムーズに国際石油開発業に関する請負・技術サーにス分野に参
入するこができる。
以上、WTO 加盟後、中国石油産業へのマイナスとプラスの影響は、簡単でありながら検討
を行なったが、次に WTO 加盟後の中国石油産業分野における新しい動きを見てみよう。
4.WTO 加盟後の中国石油産業における動き
4.1. 国際石油メジャーズなどの石油各社の対中国石油市場への進出の加速
最近、国際石油企業は中国の WTO 加盟後に伴う規制緩和による中国の大きな石油・エネ
ルギー市場をねらって対中国進出の動きを活発にしている。たとえば、最近中国石油天然
ガス集団・公司(CNPC)が担当する中国の最大級のエネルギー開発プロジェクト(西気東
輸)にロイヤル・ダッチ・シェル、エクソンモービルおよびロシアのガスプロムは積極的
に参入し、中国石油天然公司・集団と共同合弁でタリム盆地と上海を結ぶ総延長 4,200 キ
ロの天然ガスパイプラインを建設・運営することを決め、最終調整に入っている。
なお、2005 年稼動を目指して、ロイヤル・ダッチ・シェルは中国海洋石油公司(CNOO)
と提携し広東省で総額 40 億ドルをかけ石油化学コンビナートを建設することになっている。
また、日本の石油業界の最大手である日石三菱は、中国の WTO 加盟による規制緩和に伴
って石油製品市場に先行して足場を築くために、急速に拡大している中国の燃料油、潤滑
油分野に進出(販売市場の確保など)している。日石三菱は、中国の石油化工集団公司
(SINOPEC)と提携し、販売会社を設立し、年間燃料油 100 万キロリットルを現地で販売す
ることになっている。現地合弁事業のほかに、日本石油各社は、製造業の空洞化による国
内における潤滑油などの石油製品市場の需要が低迷しているため、「世界工場」に台頭して
きた中国市場を開拓し、WTO 加盟で輸入制限が緩和しつつある石油製品販売の足がかりとし
て、中国における電気メーカー向けて潤滑油販売に相次ぎ乗り出している。前述した日石
三菱は中国進出した日本の電気メーカー各社に家電・電機などの製造工程に必要な潤滑油
を販売している。
出光興産は中国の WTO に加盟した直後、中国家電の大手(美的電気グループと格力電器
会社)に潤滑油を販売するようになった。ジャパンエナジーも中国で家電製品向けの潤滑
油販売を積極的に検討している。
目下、中国での潤滑油の市場規模は年間 200∼300 万キロリットルである。日本などの先
進国における電気、機械などの製造企業の中国への直接投資による生産移転が進んだうえ、
外資系企業を含む現地企業が国際市場向けの輸出製品における品質向上のため、企業にお
ける生産工程で使う潤滑油を、中国製から耐久性の高い海外製品に切り替える動きが広が
るにつれ、中国の潤滑油市場への日本などの先進諸国における石油各社の進出が加速され
6
IEEJ:2002 年 3 月掲載
ている。
4.2.
中国石油産業における3大石油企業は国際メジャーズとの合弁・提携をテコにし、
経営合理化および新規開発事業への推進
2000 年から 2001 年にかけて香港やニューヨークで株式公開した中国石油天然ガス集団・
公司(CNPC)、中国石油化学集団・公司(SINOPEC)、中国海洋石油公司(CNOOC)という三
大石油企業は、積極的に国際メジャーズと提携・合弁して技術力・資金力を向上すると同
時に、経営合理化を進め、また新規開発事業も構築している。
中国石油天然ガス集団公司は、BP の資本提携(香港上場企業の中国石油にすでに 20%出
資)を通じて、BP の経営改革を手本にし、人員削減、リストラなどを通じて合理的に資源
配置をしている。同集団公司は 2005 年までにコストダウン 340 億元の目標の実現に努力し
ている。中国海洋石油公司は、すでに述べたようにロイヤル・ダッチ・シェルと合弁し、
広東省で石油化学コンビナート事業を行っている。中国石油化学集団公司はビッグスリー
のシェル、BP、エクソンモンビと合弁で、今年第一上半期に浙江省と広東省で小売ビジネ
ス業務を展開することになっている。中国石油化学集団公司は国際メジャーズの資金、技
術を利用のみならず、相手の経営管理経験・ノウハウも活用し、石油製品の販売ネットワ
ークを構築することをねらっている。
4.3.
国際競争に備え、技術改造・技術革新・国際ルールの学習への努力
WTO 加盟後、中国石油企業各社特に下流分野の原油精製・加工部門が競争力を向上させる
ための企業経営、労働制度などの改革と技術改造・革新により一層力を注いでいる。たと
えば、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)に所属する主力な精製・加工企業である大連石
油化学公司は、WTO 加盟後、規制緩和に伴う外国石油企業と石油製品の中国市場への大量な
進入に備えて、今までの経営・生産、労働制度改革(経営・生産組織の合理化 ―主業と輔業
の区分)と HSE(健康、環境、安全)管理システムを行った上で、従業員に対し徹底的に OJT
させると同時するに生産・操縦および石油品質に関する技術の向上・改良をするように奨
励制度を与えている。
そして現在、大連石油化学公司では、技術者、企業幹部、現場従業員の「三結合」によ
り技術改造・改良と技術革新に力を注いでおり、各職場は、設備技術改造・改良と品質改
善・及び新技術の発明のために、提案と小グループ活動を積極的に行っている。
また、同企業は、経営・生産幹部に経営、生産管理技術を修得した以外に石油に関連す
る国際取引ルール・慣習、法律を習得させている。
目下、中国石油企業各社は、先進国石油精製企業との精製・設備処理技術のギャップを
縮小し、国際競争・対抗できるように、WTO 加盟による市場の完全開放までの猶予期間を活
かし、対外開放以来の技術・設備導入を行った上で、積極的に技術・設備改造を進め、技
術開発と生産規模を拡大による生産コストのダウンに努力している。
7
IEEJ:2002 年 3 月掲載
5.終わりに
以上、中国の WTO 加盟後における石油関税・非関税障壁の撤廃に向けての変化と石油産
業の WTO 加盟による影響、及びそれに伴う石油産業の動きについて、簡単に検討しておい
た。
とにかく、短期的に中国石油産業は、その他の産業と同じく WTO 加盟という両刃の剣(プ
ラス的影響・マイナス的影響)を受け止めなければならない。長期的に中国石油産業は、
WTO 加盟による外圧効果を活用し、3∼5 年間の猶予期間内に企業構造改革と技術改良と技
術の研究・開発加速すべく努力することにより、市場リスクに抵抗する能力と国際競争力
を増強することが大いに期待される。
今後、WTO 加盟による中国石油産業・市場の規制緩和と国際化の進展に伴い、中国石油市
場と国際石油市場とのリンケージが深まっていくと考えられる。こうして、近い将来、中
国と各国とりわけ近隣の東アジア諸国・地域との石油をはじめとするエネルギー産業・市
場及び安全保障分野における連携・協調がより一層緊密になるであろう。
お問い合わせ:[email protected]
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