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新しいC型肝炎治療薬説明会
新しいC型肝炎治療薬説明会 岐阜市民病院 消化器内科 待望の新薬 DCV (ダクルインザ) + ASV (スンベプラ) - 適応となる患者さん - 新薬の効能・効果 - 内服上の注意と副作用 - 費用と助成金 - 治療対象でなかったら? 適応となる患者さん 希望者全員に使えるわけではありません 使えるのは、 1b型の人で IFNで治療をうけたが駄目だった人 IFNが使えない人 保険適応について セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性 肝炎又はC型代償性肝硬変における次のいず れかのウイルス血症の改善 1)インターフェロンを含む治療法に不適格の未治 療あるいは不耐容の患者 2)インターフェロンを含む治療法で無効となった 患者 語句説明 セログループ1(ジェノタイプ1) ウイルスの型を表し,インターフェロンに効きにくいと される.血液検査で分かる. 代償性肝硬変 形態的や肝臓の検査では肝硬変だが,肝不全症状(腹水, 黄疸,脳症)などが無い状態.Child分類-A 初期の肝硬変とも言える. Child-Pugh分類 肝臓の働きを確認します. 点数 1点 2点 3点 ビリルビン 22..00mmgg//ddll以下 22..11--33..00mmgg//ddll 33..11mmgg//ddll以上 アルブミン 33..55gg//ddll以上 22..88--33..55mmgg//ddll 22..77gg//ddll以下 腹水 なし コントロール容易 (少量) コントロール困難 (大量) 脳症 なし わずか あり プロトロンビン 7700%%超 4400--7700%% 4400%未満 CChhiilldd AA CChhiilldd BB CChhiilldd CC 55--66点 77--99点 1100--1155点 語句説明 不適格の未治療 IFN治療を受けたことが無い患者さんで,不適格条件 (血球減少,高齢.うつ.その他合併症)によりIFN治 療が困難とされる患者さん. 不耐容 IFN治療でIFNまたはリバビリンの副作用により投与を 中止した患者さん. 参考)IFN 不適格例とは? (*1) アメリカの学会 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ IFN投与で副作用が強い 自己免疫性肝炎や自己免疫疾患 非代償性肝疾患 ひどいうつ病 好中球 1500/μL 血小板 90,000/μL Hb 10.0 g/dL 心臓疾患 (*1) 単に入院できない、副作用が怖い、などは 不適格例には入らない 助成制度の診断書は、理由を書く必要あり 語句説明 無効とは IFN治療期間中でもウイルスが1回も消失(検出せず) していない 再燃とは IFN治療中にウイルスが陰性化したが,治療後にぶり返 した. 現時点では再燃例は保険適応とはなっていない. 語句説明 肝がんの合併 治療開始時に肝がんを認めるもの,治療後ならば合併な しとなる ウイルス排除を目的とした... 少量長期療法はこの範疇に入らない. 新薬の効能・効果 DCV (ダクルインザ) + ASV (スンベプラ) スンベプラ ダクルインザ 難治例(1b 高ウイルス量)の治癒率 100% 80-86% 80-90% 75-85% 80% 50-60% 60% 40-50% 30-40% 40% 20-30% 20% 2% 0% IFNα-2b MonoTherapy IFNα-2b +RBV (24Weeks) IFNα-2b +RBV+IFN (24Weeks) PegIFNα PegIFNα +RBV +RBV (48Weeks) (72Weeks) インターフェロン使用 PegIFNα-2b PegIFNα-2a +RBV+TPV +RBV+SMV (24Weeks) (24Weeks) DCV+ASV (24Weeks) 経口剤 飲み薬も、効果は100%ではない 効く人と効かない人があるのはなぜか? つまり 治療効果に影響する因子は何なのか? 新薬が効果が無い場合? 治験の成績は84.7%が完治,逆に約15%の 患者は治療後にウイルスがぶり返している. 1)耐性ウイルスの存在 → 治療前に分かる 2)しっかり服用できていない 3)その他(不明) 薬剤耐性変異解析検査 HHCCVV薬剤耐性変異 n 専用スピッツ n 11回22..00mmll必要 n PPCCRR--iinnvvaaddeerr法 n 保険診療外 1177228800円 n 必ず診察日以外で採血をお願いします. D168変異陽性(1-‐2%)→ スンベプラ耐性 治療待機 D168変異弱陽性 →およそ問題なし Y93変異陽性(10-‐20%)→ ダクルインザ耐性 治療待機 Y93変異弱陽性 →治療要検討 DCV/ASV併用療法フローチャート 判定結果 HCV薬剤耐性変異解析(BML) (開始前に全例) 自費:1.8万 判定 ○:陽性 △:弱陽性(1-‐20%) A群:変異無し B群:耐性無関係の変異 A,Ab,B 41.3%(31/75) Ac,Bc (V36,T54,Q80,A156S) C群:NS3の耐性変異 標準治療群 (=NS3弱陽性) 治療可能群 (D168,R155,A156T/V) 20.0%(15/75) D群:NS5Aの耐性変異 治療効果予測 >90% (41/43) (Y93,L31) E群:NS3+NS5Aいずれも耐性 Ad,Ae,Bd,Be (Y93+L31も含む) 大文字 A-‐E (=Y93弱陽性) (INV法弱陽性をDS法に準じ陰性とする) 治療検討群 >60% (7/11) 18.7%(14/75) 小文字 a-‐e (INV法弱陽性を陽性とする) a b c d e A 23 4 13 5 9 B 4 2 C D E 2 8 2 3 C,D,E (NS3陽性,Y93陽性) 20.0%(15/75) 治療待機群 <25% (1/4) E群以 外は次 期治療 が期待 できる HCV薬剤耐性変異解析による治療効果予測 SVR率(%) 100 50 0 標準治療群 変異なし Y/H 治療検討群 H/Y 治療待機群 変異あり 治療可能群 耐性無関係の変異 治療失敗により多剤耐性化し, 来年以降の新薬が効かなくなる 内服上の注意と副作用 DCV (ダクルインザ) + ASV (スンベプラ) 内服上の注意 内服上の注意 副作用について 肝機能検査値異常 p 治療中にGrade 3/4のALT上昇が認められた16例(7.2%) Ø 発現時期は、中央値で10週(範囲 4~23週) p ALT上昇により投与を中止した10例 Ø 投与中止後、全例が2.5週(中央値)で速やかにALT値の改善 が認められた。 Ø 2例でGrade 3/4の総ビリルビン上昇が認められたが、肝不全 に至る様な重篤化した症例はみられていない。 Ø 8例(80%)が、SVR24を達成している。 Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091 肝機能検査値異常 (IU/L) 700 投与期間 600 500 投与継続中 投与終了後 投与中止時点 (肝機能検査値 異常による) 400 300 200 100 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 (週) (14) (28) (42) (56) (70) (84) (98) (112) (126) (140) (154) (168) (182)(196) (日) 投与開始後日数 *投与開始後、ALTが150 IU/L以上に増加した患者 ダクルインザ・スンベプラ併用療法 適正使用ハンドブック 肝機能マネージメント p 国内臨床試験において、ALT増加の発現時期の分布範囲は広く、明らかな好発時期 は確認されていない。 p 国内臨床試験において、最も早く確認されたGrade 3又は4のALT増加は投与開始27 日後であり、それ以前には発現していない。また、投与12週後までは2週間ごと、そ れ以降は4週間ごとに肝機能検査値を測定し、肝機能異常発見時にダクラタスビル 及びアスナプレビルの投与を中止する等適切な対応を行った結果、肝機能異常に関 連する死亡や生命を脅かす重大な有害事象は認められていない。 p 国内臨床試験において、Grade 3又は4のALT増加により投与を中止した症例におい て、中止後、慎重に経過観察をおこなった結果、全例が回復している。 p 肝機能障害によって投与を中止した場合は、再投与は推奨されない。国内第3相試 験で3例が肝機能検査値異常による休薬後、投与を再開したが、いずれの患者にお いても投与再開後に肝機能検査値異常が再発している。 ダクルインザ・スンベプラ併用療法 適正使用ハンドブックより抜粋 【肝機能値のモニタリング】 投与開始12週目までは少なくとも2週ごと、それ以降は4週ごとに肝機能検 査を行うこと。肝機能の悪化が認められた場合には、より頻回に検査を行い、 投与を中止するなど適切な処置を行うこと。ALT(GPT)が基準値上限10倍以 上に上昇した場合には、直ちに投与を中止し、再投与しないこと。 ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル 添付文書 費用と助成金 DCV (ダクルインザ) 薬価:1錠 9186.00円 (1日薬価:9186.00円) 1日分 計 24週合計 + ASV (スンベプラ) 薬価:1カプセル 3280.70円 (1日薬価:6561.40円) 15,757.4円 2,645,563 円 肝炎治療助成制度(2014.9.16) (アスナプレビル+ダクラタスビル) 1) HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎またはChild-Pugh A の代償性肝硬変で肝がんのない者 2)「肝炎治療受給者証の交付申請に係る診断書」は 原則として日本肝臓学会肝臓専門医が作成する。 ただし、自治体の実情に応じて、各都道府県が適当 と定める医師が作成してもよいこととする。 3)治療期間は24週とし、延長は行わない 4)併用療法を受けた者については、以後のIFNを含 む治療については、助成の対象としない 治療対象でなかったら? 今回治療対象とならない方は? 1)ジェノタイプ2型 2)IFN治療後再燃 3)耐性ウイルスあり HCV-2 型の治療 ・第一選択は、IFN + (リバビリン) ・9月よりテラビック三者併用が適応 ・来年には経口剤が適応? ・治せるものは早く治す方がよい ・思い込みは捨てましょう(副作用は軽い) ・主治医とよく相談してください 耐性ウイルスありの場合は? 90-95% 100% 80-86% 80-90% 75-85% 80% 50-60% 60% 40-50% 30-40% 40% 20-30% 20% 2% 0% IFNα-2b MonoTherapy IFNα-2b +RBV (24Weeks) IFNα-2b +RBV+IFN (24Weeks) PegIFNα PegIFNα +RBV +RBV (48Weeks) (72Weeks) インターフェロン使用 PegIFNα-2b PegIFNα-2a +RBV+TPV +RBV+SMV (24Weeks) (24Weeks) DCV+ASV (24Weeks) SOF+LDV (12Weeks) 経口剤 次世代治療(DAAs)IFNなし HCV-1b:「インターフェロンフリー」ビールのSVR率 アスナプレビール ファダプレビール ダクラタスビール デレオブビール 100 91 SVR率 (%) 80 ABT-450r- (NS3) ABT-267 (NS5A) 85 100 レディパスビール MK-5172 (NS3) ソフォスブビール MK-8742 (NS5A) 100 100 100 Naïve 初回 Naïve 初回 Naive 初回 64 60 40 20 0 Null 無効 Ineligible 初回 (不適) Naïve 初回 単独治療 耐性化 Null 無効 複数の「ビール」を 飲み合わせる - 適応となる患者さん 現時点では保険適応は限られています - 新薬の効能・効果 治療効果は85%程度で,ウイルスの変異の有無により効 果が変わります.事前の検査を勧めます(保険外) - 内服上の注意と副作用 肝障害の報告が比較的多いため,必ず2週に1回以上の採 血が必要.また飲み忘れしないことが大事 - 費用と助成金 保険適応の患者さんは認められます よくある質問 Q:何歳までの患者さんが治療対象ですか?そも そも高齢とは? A:個別に基準が変わりますが,現時点では80歳 以上の方は安全性が確認されるまでしばらく控え ています. よくある質問 Q:主治医の先生にずっと肝臓の数値は落ち着い ていると言われていますが治療が必要ですか? A:気づかないうちに進行あり.肝がんの可能性 もわずかにあり.肝臓以外の病気を招く恐れあり.